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斜角筋症候群の鍼灸治療

日曜日, 7月 28th, 2024

斜角筋症候群とは

 

斜角筋症候群は胸郭出口症候群の1つであり、頸部の筋肉の前斜角筋か中斜角筋、その両方が過剰に緊張して神経や血管を圧迫することで、痛みや痺れ、手の冷感、蒼白といった症状を引き起こす疾患です。

斜角筋は前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3種類があります。

 

◯前斜角筋

第3~6頸椎の横突起から起こり、第1肋骨に付着。

 

◯中斜角筋

第2~7頸椎の横突起から起こり、第1肋骨に付着。

 

◯後斜角筋

第5~6頸椎の横突起から起こり、第2肋骨の外側に付着。

 

前斜角筋と中斜角筋の間には、腕神経叢と鎖骨下動脈が通っています。

腕神経叢は、前腕と上腕の屈曲運動を司り力こぶを作る動きをする上腕二頭筋の筋皮神経、掌や掌側の第1~3指と第4指の内側半分の感覚を支配し、前腕の回内、手首や指の屈曲、母指球筋の動きを司る正中神経、第4指の外側半分と第5指の掌背側の感覚、前腕の小指側の感覚を支配し、手首と指の屈曲や母指球以外の掌の筋肉の運動を司っている尺骨神経、第1~3指の背側、手、前腕、上腕の遠位の背橈側(親指側)の感覚と、肘や手首、指を伸ばす運動を司る橈骨神経に枝分かれしていきます。

鎖骨下動脈は胸郭の上部を横方向に走行する大きな動脈で、頭部や腕に血液を供給しています。

途中で前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋隙)を通り腕に走行していきますが、斜角筋隙が狭くなることで血管が圧迫され前腕や上肢への血流が低下し冷え感という症状が現れます。

 

斜角筋症候群の原因

 

斜角筋症候群の1番多い原因は、長時間のパソコン作業やスマートフォン使用による頸部への負荷になります。

下を向く、顔をパソコンの画面に近づけて望みこむような姿勢を繰り返し行うと頸椎が真っすぐに変形するストレートネックになってしまうことがあります。本来人間の頸椎は頭の重量を支えるため横から見て湾曲しています。人間の頭はボーリングの玉と同じぐらいの重さがあり、湾曲することでその重量から首への負担を分散しています。

しかし、ストレートネックになると重量を分散できなくなり、斜角筋に大きな負荷が掛かってしまいます。

また、テニスのサーブ、野球の投球動作、ゴルフのスイング、バレーボールのアタックといったスポーツによるオーバーワークや、重いものを持つ、なで肩、冷えによる斜角筋の筋温低下、精神的ストレスでも首や肩周りの筋緊張を起こす原因になります。

 

斜角筋症候群の症状

 

斜角筋症候群の症状は、肩や腕の痛み手のしびれ手の冷感蒼白があります。

また、神経や血流低下によって肩から指先にかけて力が入りにくいといった筋力低下も起こることがあります。

斜角筋症候群は肩こりや頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症などその他の頸肩腕症状と似ているため鑑別が必要です。

 

斜角筋症候群の徒手テスト法

 

①モーリーテスト

患側の前斜角筋と中斜角筋の間を指で圧迫する。

腕や肩に神経症状が現れれば陽性。

 

②アドソンテスト

座った状態で患側の手首の脈を確認し、患側側に顔を向けさせた状態で頸部を後屈させる。その体勢のまま大きく息を吸いきったところで息を止める。その時手首の脈が減弱したら陽性。

 

③ルーステスト

腕を開いて肩まで拳上し、手が上になるように肘を直角に曲げる。

その状態で手を握る、開くを繰り返し行う。その動作を3分間継続できない場合は陽性。

 

斜角筋症候群の当院での治療

 

当院では原因部である前斜角筋と中斜角筋の筋緊張を徹底して緩める事を目的とした施術を行います

斜角筋だけではなく、頸部全体の筋緊張を軽減するために胸鎖乳突筋、板状筋、僧帽筋、大胸筋にもアプローチしていきます。

筋緊張が強い場所には低周波通電鍼療法を加えて行っていきます。

筋緊張を緩めることで痛みやしびれ、冷感、蒼白等の原因になっている神経や血管の通りを改善していきます。

また、痛みや冷感が強い患部には直接鍼やお灸を施すことで血行を促進させ症状を緩和させていきます。

当院では、筋緊張の緩和だけではなく自律神経の調節も同時に行います

痛みやしびれでお悩みの方はそのストレスで自律神経が乱れることが少なくありません。

自律神経は自然治癒力や血流をコントロールしているため、少しでも早く改善させるために非常に大切です。

 

斜角筋症候群に対する東洋医学の考え

 

東洋医学では斜角筋症候群は体外からの邪気を受けることで発症すると考えられています。

五臓六腑の「肝」「脾」「腎」が邪気を受けて損傷し機能が低下し、これらの働きが悪くなると頸部や上肢の気血が滞ってしまいます。その滞りが痛みやしびれとして考えられています。

東洋医学での「肝」は、血液を貯蔵し必要に応じて筋肉や各器官に供給する働きや、自律神経系の働きを通じて血管の拡張・収縮運動をコントロールし体内各部の血液量を調節する作用があります。

「脾」は口から摂取した食べ物の栄養を吸収し、気血水を作り出す働きがあります。脾の栄養は筋肉や四肢の運動に大きく影響しています。

「腎」は呼吸や水分代謝といった生命活動や人の成長、発育に大きく関わっています。

「肝」「脾」「腎」の3つの機能が低下すると全身の血が不足し、筋肉が栄養不足になるため斜角筋症候群が発症すると考えられています。

 

斜角筋症候群の鍼灸治療症例

 

症例 1

30代 男性

1か月以上前から、首前面の違和感や手のしびれ、力が入らないといった症状が出てきた。長時間下を向く作業を行った後、首に痛みがでて湿布薬を貼った後から、手のしびれが出るようになった。

整形外科を受診したところ、姿勢不良による斜角筋症候群と言われ、ご来院された。

当院の施術

触診では、首の前面だけでなく、後面から肩、背中の筋緊張が強く見られた。

首の筋肉が神経を圧迫し違和感やしびれが生じているため、鍼とお灸で筋緊張を和らげる施術をしていきました。また、斜角筋だけでなく、首肩周りの筋肉も弛緩させるような施術をしていきました。より筋緊張をとるため自律神経の調整も行いました。

一回目

鍼灸を受けるのは初めてだったため、弱めの刺激でお灸と置鍼のみ行いました。施術後は首肩周りの筋肉の緊張がほぐれた。

二回目

前回の施術後から、首の違和感や手のしびれはマシになった。

今回から鍼通電療法も行った。

三回目

手のしびれや、首前の違和感はなくなった。

以前よりある肩回りのこりが気になるため、週に1、2回のペースでご来院されている。

顔面神経麻痺の鍼灸治療

日曜日, 7月 21st, 2024

 

顔面神経麻痺に対する当院の鍼灸治療

①問診

しっかりと時間をかけて問診していきます。ストレスや環境の変化により発症する場合もあります。症状の経過などによっても治療過程が変わってきますので詳しくお伝えください。
問診

 

②検査

自律神経測定器を用いて現在のお身体の状態を計測していきます。また柳原法を用いて症状の進行具合を診ます。

自律神経測定器

柳原法

 

 

 

③うつ伏せ治療

背部には五臓六腑の重要な経穴があります。東洋医学の診断法に基づいて弱っていると臓腑、逆に強くなりすぎている臓腑を経穴を刺激して調整します。顔面神経麻痺の方は、首肩の筋緊張が強い場合が多いのでそれらの筋肉をほぐしていきます。

 

顔面神経麻痺に対するうつ伏せ鍼灸治療

 

 

④仰向け治療

顔面部に鍼やお灸をしていき、同時にお腹や上下肢などの重要な経穴を刺激して自律神経を調整していきます。

顔面神経麻痺の鍼灸治療

 

顔面神経麻痺は、2週間以内の早期に治療を開始するとそれだけ予後も良いです。しかし、慢性期の方や後遺症が残っている方でも鍼灸施術で改善していったという症例が多くございます。

顔面神経麻痺の自律神経調整鍼灸

 

顔面神経麻痺の効果についての研究

東京女子医科大学の東洋医学研究所の研究では、顔面神経麻痺の鍼灸効果についての研究がされており、鍼治療の効果のエビデンスはいまだ解明されていないものの鍼刺激が顔面神経や顔面神経管等の周辺組織の血流が改善されることで麻痺の回復を促すことが研究結果から推測されています。

「難治性のBell麻痺およびHunt症候群に対する鍼治療効果の検討ーENoG値0%でかつNETスケールアウトであった29例の検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/60/3/60_3_347/_article/-char/ja/

この研究では、1996年8月から2004年6月までの間に鍼治療を行った顔面神経麻痺患者の中で電気生理学的検査で全く反応がなく一般的には予後不良となる方29例を対象に行われました。
結果では、発症後6か月以内に顔面神経麻痺が完全治癒したのが17・2%で不完全治癒が82.8%でした。不完全治癒が圧倒的に多いかと思いますがこの研究で扱った症例では、一般的には治癒見込みがないとされる症状の重い状態の患者さんであってそういった患者さんでも鍼の有効性が認められ、顔面神経麻痺の鍼灸治療の効果が示されています

 

顔面神経麻痺の症例

 

40代 男性

3週間ほど前に風邪をひいて体調を崩してから頭痛や耳の後ろ当たりの痛みを感じるようになった。痛み自体は2日ほどでほとんど軽減されたが、右顔面部の動かしずらさを覚えて病院を受診したところ、顔面神経麻痺の診断を受けた。

病院では主に経過観察でビタミン剤などの栄養剤を処方されただけで次は1か月後に来院されてくださいとだけ言われて他に何か治療手段はないかと検索をかけたところ鍼灸治療が効果があると知って当院にご来院されました。

 

当院の治療

体調を崩されてからの顔面神経麻痺の発症ということで自律神経の状態も何かしら顔面神経麻痺に影響を及ぼしている可能性もあるので自律神経測定器で自律神経の状態を測定して治療に入っていきます。

測定の結果交感神経の活動も高く、最近よく眠れていないということから全身的な副交感神経の活動を高められるような施術も含めて行っていきました。

うつ伏せから施術を行い首肩周りの筋緊張の緩和、背部兪穴を用いた五臓六腑の機能回復を行います。

その後、仰向けとなり右顔面部中心に鍼灸施術を行っていきます。

 

治療経過

最初問診時、特におでこのしわ寄せ動作や口をイーっと横に広げる動作が右顔面部できていない状態でした。また、目もうまく閉じれない状態でドライアイも出ていた。

一回目の治療では顔周りの鍼通電治療は症状悪化の可能性も高くなるので行わずに顔周りは鍼とお灸で刺激していきます。

一回目の施術後その日の夜に目の閉じやすさを実感。口元やおでこはまだあまり変化を感じることができない。

2回目後はおでこのしわ寄せ動作も少しずつですができるようになってきた。

3~4回目では症状にあまり変化がみられなくなったため5回目以降は耳の後ろと口元の右横とおでこ周囲に低周波の鍼通電治療を行っていき、変化をみていきます。

6回目の施術後次の日から明らかに口元の動きが改善、口をイーっと行う動作が左側とさほど変わらないくらいまで回復。

7回目以降は大きな変化は見られなかったが少しずつ回復していって10回目で施術を終了。ほぼ完治された。

 

症例2

40代 男性

2週間前に体調を崩し風邪を引いた。風邪が治りかけたタイミングで耳の奥に痛み出始め、左顔面部に帯状疱疹が発症した。帯状疱疹が治り始めてしばらくたったら、左片側顔面神経麻痺が発症した。

主な症状は、額のしわ寄せ、閉眼、ほほを膨らませる、口の動きなどが不能。

病院ではラムゼイ・ハント症候群と診断され、最初はステロイド薬の治療を行い、その後は抗生物質での治療に切り替え経過を見ている。少しでも早く改善したいと思い当院を受診した。顔面神経麻痺以外には、首肩のコリも気になる。

当院の施術

寝不足もあり体調を気にしていましたので、まずは自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認しました。

多少交感神経の活動が優位になっていましたが、バランスはそこまで大きく乱れてはなく、ほぼ正常に近い状態でした。

しかし、いち早い改善を目指すためにはさらに自律神経の調節が必要不可欠になります。

そのため、顔面神経麻痺、首肩コリに対する施術の他に自律神経調節治療も同時に行いました。

 

発症からまだ期間も短く、異常共同運動のリスクを避けるために、電気鍼は行わず低刺激で血流を促進させ末梢神経損傷部の再生を促す事を目的とした施術を行いました。

 

その後、末梢神経損傷部の再生が完了し、異常共同運動のリスクが消滅した時点で顔面部の筋委縮を弛緩させる鍼通電療法に切り替えていきました。

 

経過

1回目

まだ大きな変化はないが、心身ともにリラックスできた。

2回目

顔のこわばりは少し楽になった。

3回目

瞼は前より閉じやすくなってきたが、ほほや口の動きはまだ変化がない。

4回目

以前より口が動きやすくなってきた。首の張りが気になる。

5回目

以前より軽快してきた。

継続して通院中。

 

 

 

顔面神経麻痺とは?

顔面神経麻痺とは顔面の表情筋をつかさどっている顔面神経が何らかの原因により、神経麻痺をおこして顔面部の筋の運動麻痺を主とした様々な症状が現れる疾患です。

発症にとくに男女差はみられませんが、発症前に仕事が忙しかったり、ストレスを著しく感じていたり、風邪をひいて寝込んでいたりと身体が弱っている時に発症しやすいことが言われています。

また、発生頻度は高齢の方のほうが高く、血圧の高い方血糖値の高い方に多い傾向にあり、そのような方は治る過程も遅くなります。

顔面神経麻痺

 

 

顔面神経麻痺に対する東洋医学的考え

 

東洋医学では、病気の原因は大きく分けて内因(体質素因・精神的素因)外因(生活素因・自然素因)病理的産物とに分けられます。外因は内因を通してはじめて病変して身体に影響が出ます。

顔面神経麻痺の場合、外因が深くかかわっていると考えられています。

 

東洋医学の外因とは

・生活素因

暴飲暴食や過労、性生活が過剰であったり、睡眠が不規則であったり、運動不足などにより日常生活が乱れている場合に病変として現れます。

・自然素因

環境の変化や細菌やウィルスなどによる体の外から来る病気の原因によって病変が現れます。東洋医学では、自然界の気候の変化を「風・寒・暑・湿・燥・熱」の6つに分けられ、それらが人体に作用して病変が起きる状態を「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪」と呼びます。

 

顔面神経麻痺の東洋医学での原因

東洋医学では、末梢性顔面神経麻痺は風邪と寒邪が合わさった病変だと考えられています。

風邪は

・突然発症する

・変化が多い

・人体の表面部分をおかしやすい

などの特徴があり、風邪によって顔面部の経絡の流通が妨げられて、運動麻痺や痺れ、痛みなどが発症すると考えられています。

 

寒邪は

・全身あるいは局所の寒冷症状

・固定制の疼痛や筋肉のひきつれ

・体が冷えると症状が強く出る

などの特徴があり、ストレスや生活の不摂生などにより、体の防御反応が弱くなってきた際に顔面部に寒邪が侵入しやすく、神経麻痺が起きます。

 

 

顔面神経とは

顔面神経は12対ある脳神経の一つで、第七脳神経とも呼ばれます。顔面神経は左右の脳幹から出て、内耳神経と一緒に内耳道、中耳腔を通って側頭骨を貫きます。さらに単独で顔面神経管という管を通り、耳の前下あたりから出て表情筋などへ伸びていきます。

また顔面神経管を通るあたりから涙腺唾液腺味覚をつかさどる神経の枝を出します。

主に顔面部の表情筋の運動を主っており、また涙腺や唾液腺、味覚などにも関係する神経が出ており、顔面神経麻痺が起こったときは、それらの症状も発症することがあります。

 

顔面神経麻痺の症状

顔面神経麻痺に起こる主な症状としまして

表情筋の麻痺

顔面神経は顔の表情筋を主っているため顔の表情筋が麻痺します。両側に起こることは少なく、多くは片側に麻痺が出ます。

顔の表情筋に麻痺が出てしまうと

  • ・額にしわを寄せることができない
  • ・目が閉じにくくなる
  • ・頬を膨らませても口から空気が漏れる
  • ・口笛が吹けなくなる
  • ・食べ物や飲み物が口からこぼれる

などの症状が出ます

味覚障害

  • ・涙の分泌障害
  • ・手足の症状

 

唾液腺の障害

  • ・よだれが多く出て口も閉じにくいため口から垂れてしまう
  • ・唾液が出ずに口が渇く場合もある

涙腺の障害

  • ・涙の量が減り、瞬きの回数も減ってしまうので目の表面が傷つきやすく痛みや違和感を生じます

 顔面神経麻痺の種類

 

顔面神経麻痺の種類

 

 

顔面神経麻痺には、大きく分けて中枢性と末梢性があります。

中枢性顔面神経麻痺

脳幹より上位の中枢側の障害による顔面神経麻痺です。脳卒中脳梗塞などによって引き起こされます。一般的に中枢性の方が末梢性よりも予後が悪いです。

顔面神経麻痺の症状に加えて下記のような症状が出た場合はすぐに専門医を受診してください。

  • ・手足がしびれる
  • ・原因不明の突然の頭痛がする
  • ・歩くとふらついてめまいがする
  • ・視界がかすんだり、急に視力が低下したと感じる

頭頂部の痛み

 

 

末梢性顔面神経麻痺

顔面神経麻痺のほとんどは末梢性顔面神経麻痺です。末梢神経麻痺は、脳や脊髄の中枢から手足など様々な部分に伸びる末梢神経が障害を受けるために麻痺が起こります。
顔面神経の場合は顔の筋肉を支配してますので、顔の筋肉の麻痺が起きてしまうのです。
末梢神経麻痺の代表的なものとしてベル麻痺とハント症候群が挙げられます。 ベル麻痺は、顔面神経麻痺全体の7割近くを占めます。次いでハント症候群が挙げられます。

 

ベル麻痺

ベル麻痺は末梢神経麻痺の中でも発症頻度が高く、およそ10万人に23人もの割合で発症し、年齢男女問いません。原因としましてはわからないとされていましたが、近年の研究により単純ヘルペスウィルスの感染・再活性が原因という説が有力です。

従来ベル麻痺に関しては原因不明とされてきましたが、近年ではヒト単純ヘルペスウイルスの再活性が原因とされるウイルス説が有力とされるようになってきました。

ベル麻痺は前駆症状がなく、いきなり顔の片側の筋肉が動かしづらく感じて筋力低下を起こす場合もありますが、発症の数時間~2日前に耳の後ろの痛みを感じて顔面神経麻痺を生じる場合もあります。

ベル麻痺による麻痺の程度は軽度から重度のものがあり、発症から2日以内が最も筋力低下が起きやすい期間となります。

顔の筋力の低下が起きると、目を閉じづらくなり眼球結膜が常に見えた状態の兎目という状態になることがあります。また、額にしわを寄せる・口角を上げる・口を膨らませるといった動作ができなります。

ベル麻痺による影響は、顔の筋肉に留まるばかりでなく、涙腺や唾液腺にも影響を与えるため目や口の渇きを感じる場合もあります。

ベル麻痺は数ケ月の間に自然治癒する場合もありますが、長い時間顔の筋肉を使わないため筋肉が拘縮したり、筋力低下による顔の垂れ下がりなど後遺症も残る場合も多いので注意が必要です。

また、目の乾燥や閉眼動作ができないた目の表面が傷つきやすく、視力の低下などにもつながる可能性があるのでしっかり目もケアしていく必要があります。

 

ハント症候群

ハント症候群とは、末梢性顔面神経麻痺の中でベル麻痺に次いで2番目に多い疾患です。ベル麻痺との大きな違いは、顔の筋肉が動かしづらい症状に加えて強い痛みを感じることが特徴です。

ハント症候群の原因は水痘帯状疱疹ウィルスです。幼少期などに水ぼうそうに感染し、体にウィルスが潜伏していた場合に発症するリスクがあり、体の疲れストレス免疫力の低下などの原因によりウィルスが再活性して症状が現れます。

ウィルスが活性化する神経によって症状が異なりますが、ハント症候群の場合顔面神経でウィルスが活性化します。すると、耳や口の中に水泡やかさぶたを生じて強い痛みを感じるのです。

また、顔面神経近くを通る内耳神経にも影響を与えるので、難聴耳鳴りめまいなどの症状も現れる場合もあります。

ハント症候群はベル麻痺よりも治癒率が低く、時間が経てばたつほど治りも悪くなるので早期に治療を開始することが重要です。顔の筋力が戻らない・病的共同運動・筋肉のひきつれなど後遺症が残ってしまう場合も多いです。

 

 

検査法

病院では、MRI検査やCT検査などの画像診断で中枢性か末梢性か検査されます。脳卒中などで中枢性に障害を受けている場合は、顔の神経麻痺ばかりでなく片側の上下肢にも痺れや筋力低下が起きるので、診断は可能かと思います。しかしまれに頭部外傷腫瘍、その他の感染症で顔面神経麻痺が起きる場合もあるので、一度病院で検査を受けていただく必要があります。

当院では、顔面神経麻痺の際に使用される評価法40点法(柳原法)を用いて顔面の筋肉運動の評価をしていきます。柳原検査法は、麻痺の程度を把握するためにとても重要な検査で顔面間神経麻痺の評価法において世界的にも用いられている検査法の一つです。

柳原法は、顔面の筋肉各部の動き・麻痺の程度を評価する検査法で、ベル麻痺とハント症候群を評価するために作成された評価法です。

これら9つの項目40点満点で評価します。

  • 20点以上・・・軽度の麻痺
  • 18~10点・・・中程度の麻痺
  • 8点以下・・・重度の麻痺

 

顔面神経麻痺の西洋医学的な治療

顔面神経麻痺の種類によって治療法は変わってきます。

ベル麻痺の場合は、単純ヘルペスウィルスに有効な抗ウィルス薬が処方されて、ハント症候群に関しましては、水痘帯状疱疹ウィルスに有効な抗ウィルス薬が処方されます。その他にも神経を早期に修復させる目的でビタミンB12ビタミンEなどの製剤が処方されたり、星状神経節ブロックやリハビリなどの保存的両方が採用されます。

顔面神経麻痺が重くなるにしたがってお薬の量が増えて、重度の場合は入院して集中的に治療する場合もあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ストレートネックの鍼灸治療

土曜日, 7月 20th, 2024

ストレートネックの鍼灸治療

当院のストレートネックに対する鍼灸治療は、まず第一に頸部・肩部へ鍼をさすことにより、血流改善・筋緊張の緩和を促します。

ストレートネックの鍼治療

 

必要であれば、さした鍼に電気を流す鍼通電療法も行っていきます。鍼通電療法では痛みを抑制する鎮痛効果も期待できます。

ストレートネックの鍼通電治療

また温灸療法やマッサージ・整体も行うことで鍼施術との相乗効果で筋緊張を緩和していきます。

そのほか、ストレートネックによる症状で悩まされている方の多くは自律神経の乱れ症状も見られます。首肩部の痛みや違和感は交感神経を過亢進状態にさせやすく、容易に自律神経のバランスの乱れに繋がってしまいます。するとめまいや吐き気、睡眠障害に悩まされる方も少なくありません。

 

ストレートネックの自律神経調整鍼灸治療

当院でのストレートネックの治療はもちろん首肩部を中心に行いますが、全身の調整施術や自律神経の調整施術も並行して行っていきます。

 

ストレートネックとは

 

ストレートネックとは、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまっている状態です。ストレートネックは決して病名というわけではありません。しかし、ストレートネックに起因する症状が今増えています。

ストレートネックを理解するためにまず背骨の生理的湾曲を理解する必要があります。

生理的湾曲
腰が曲がっているなど背骨が曲がっているとあまりいい印象を受けませんが、背骨は生理的に曲がっている状態が正常なのです。人間の頭部は、体重比で言いますと8~13%もあるといわれています。例えば体重60kgのひとは約6kgも頭部の重さがある計算になります。それだけ重いものを支えるために背骨は適度なS字カーブを描いて湾曲されていてその湾曲により頭部などの重力を分散させているのです。

まず、頸部は前面に湾曲して次に背中部分は後ろに湾曲して最後に腰部はまた前面に湾曲しているのです。

この生理的湾曲が崩されて頭部などの重力の分散がうまくできない状態になってしまうとある部分への重力の負担が大きくなってしまい、頸肩部でいうと頸椎ヘルニア頚椎症肩こりなど、腰部でいうと腰椎椎間板ヘルニア慢性腰痛・圧迫骨折・などの原因となってしまうのです。その他にも身体全体にも影響を及ぼして自律神経失調症不眠症なども患ってしまう危険性もあるので注意が必要です。

頚椎症

 

ストレートネックの症状

ストレートネックは前述したように病名ではありません。ストレートネックでも症状が全然出ていない方もいますが、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまうと

・首肩コリ

・頸部や肩部の痛み

・上肢の痺れ

頭痛(主に筋緊張性頭痛)

・吐き気

めまい

などの症状がでます。

デスクワークなど座っている時間が多い人や周りの人から猫背姿勢を注意されるなどで上記の症状が慢性的に出る方は一度整形外科などでレントゲン検査を受けてみるのもいいかもしれません。

ストレートネック

 

ストレートネックの自己チェック法

頸部は通常、30度~40度の生理的湾曲をしていると言われています。ストレートネックのでは湾曲が30度以下なってしまっているため、下記のような自己チェック法でストレートネックが疑われます。

まっすぐな壁にかかと・仙骨・肩甲骨を付けるようにまっすぐに立ちます。この時にあごを軽く引いて後頭部が壁につかない場合はストレートネックが疑われます。

この自己診断法で後頭部が壁につかないかつ上記のようなストレートネックの症状が出ている場合はストレートネックの可能性が極めて高くなります。整形外科などでレントゲン検査を受けるとストレートネックは簡単に診断がつきますので一度整形外科を受診することをお勧めします。

また、症状が全く出ていないのにも関わらずに自己チェック法でストレートネックの疑いがある人も日々の姿勢などを気を付けて症状が今後出ないように気を付ける必要があります。なにしろストレートネックの怖いところは、症状に気づいたときには頸部の生理的湾曲はかなり崩れていて改善するのに苦労することが多いところです。

 

 

ストレートネックの原因

ストレートネックの原因は、主に

・スポーツや事故での外傷

交通事故でのむち打ち症でストレートネックとなってしまうことがあります。その他、格闘技での頭部や頸部への衝撃、スキーでの転倒などでもストレートネックの原因となってしまうこともあります。

 

・加齢や老化による筋力低下や骨の変形

加齢、老化によって頸部の筋力低下や頸椎椎間板の弾力性が損なわれてしまい椎間板クッション機能が低下して椎間板が変性してしまうことにより頸部の生理的湾曲が減少してストレートネックとなってしまうことがあります。

 

・姿勢の悪さ

今、パソコンでの仕事が増えて長時間座っている人が増えているため、姿勢の悪さのためストレートネックによる症状で悩まされている方が増えています。人間本来の背骨の構造上、背骨は座位姿勢には適したように構造されていません。椅子に座っている作業することが多くなってしまっていることによって骨盤周囲の筋肉は衰えてしまい人間本来の骨盤の前傾が保たれていない状態となってしまっているのです。
すると背骨全体のバランスが変わってきて背骨の生理的湾曲が保つことができなくなってしまいストレートネックへと変形してしまうのです。

またパソコンではマウスやボードを使うため上肢を前に出した状態を続ける事になります。そして、頭部は前傾して背骨の生理的湾曲であるS字を描くというよりもC字に描きやすくなってしまうことによりストレートネックになってしまいます。

姿勢の悪さ

・スマートフォンの長時間使用

スマートフォンの普及により、頭部の前傾姿勢が長時間続くことでストレートネックになる方が増えています。
ニューヨーク市脊椎専門クリニックのケネスハンスラージの研究によりますと、頭部を前傾姿勢にすればするほど頸部への荷重が増えていくという研究結果が出ています。肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度を基準に0度の場合と45度の場合を比べると45度の場合の方が約4倍もの荷重が首にかかっていると研究結果では出ています。この肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度が45度の姿勢はちょうどよく電車内でも見かける座ってスマートフォンを操作している時の姿勢です。
それだけ、頭部を前傾にすると頸への負担は増えるのです。頸への負担が増える事で頸部の筋肉は過緊張状態を引き起こし伸縮性を欠いてストレートネックとなってしまうのです。また、頸椎や椎間板にも影響を与えてしまい、頚椎椎間板ヘルニアや椎間板変性症になってしまうのです。

スマホ首

 

 

症例

10代 男性

受験期間の数ヶ月でかなり姿勢が悪くなった。コロナ禍でオンライン授業も多くなりパソコンやスマホの画面に向かうことが増えた事も関係していると思われる。勉強だけでなく趣味もパソコンゲームで、気付くと何時間も熱中しているとのこと。

また首、肩の痛みや緊張は常にあり、今は問題ないがこのままでは近視など他の悩みも出てきそうだと保護者様からの勧めで来院。

 

当院の治療

 

首から腰まで上半身は全体的に筋緊張があり、特に首周りのかたさが目立った。また、身体の緊張状態のせいか睡眠の質も悪いとのことでこちらも同時進行で治療していく。

首周りの筋肉の緊張を緩める事と、身体の状態を安定させるために自律神経調節の治療をメインで行った。

治療頻度は週に1回

 

治療経過

◇1回目◇

治療中リラックスできた。気づいたら寝ていた。

◇2回目~5回目◇

治療直後や数日間は楽になるがすぐ元に戻ってしまう。

◇6回目◇

治療後の軽さが前よりも長持ちするようになった。

治療頻度を2週間に1回に変更

◇7回目◇

机で勉強やパソコンをしていても疲れや緊張を感じにくくなった。

◇8~10回目◇

日常生活の中で首がかなり軽くなったと感じる。

◇11~13回目◇

ご家族に姿勢が変わってきたと言われた。背が伸びた気がする。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

かすみ目の鍼灸治療

日曜日, 7月 14th, 2024

かすみ目とは

目がかすむことを専門用語では「霧視(むし)」といい、文字通り霧がかかったように物体の焦点がぼけてかすんで見えることを指しています。

特にスマートフォンやタブレットなどで目を酷使している人が多い現代では珍しいことではありません。しかし、その症状が病気に起因している場合には注意が必要です。

かすみ目

かすみ目の症状

目のかすみを表現される症状には、主に下記のものがあります

・視界がぼやける

・全体に霧がかかっているように感じる

・すりガラスを通して見ているように感じる

・色の差が分かりにくい

・色が以前より淡く見える

・輪郭がはっきりしない

・視力が低下した

・ものが二重、三重にだぶって見える

・視界に見えにくい部分がある、視野が欠けている

・見える範囲が狭くなったように感じるなど

 

かすみ目の原因

目がかすむ主な原因には、次のようなことが考えられます。

・屈折異常(近視、遠視、乱視など)

近視は目に入る光が網膜より前方で焦点を結んでしまう状態のことであり、遠くのものがぼやけて見えにくくなります。遠視では、光が網膜より後方で焦点を結んでいるため、近くも遠くもはっきり見えません。乱視の場合、角膜や水晶体のゆがみが原因で、焦点が一か所に定まらずぼやけてしまいます。

 

 

・眼精疲労

十分な休息や栄養をとらないで目を酷使し続けると、目のピントを合わせる筋肉が疲れて固まってしまい、ピント調節機能が一時的に低下して視界がかすんで見えることがあります。

眼精疲労に対する鍼灸治療について

 

 

・ストレス

目に直接何らかの負荷がかかるわけではなく、ストレスにより自律神経が乱れ、涙の量や瞬きが減少したり、筋肉が緊張したり、血液が滞ったりと体に影響を与え、目がかすんで見えることがあると考えられています。

 

 

・不適切な矯正

メガネやコンタクトを常用している人の中には、視力に合わないものを使っていたり、強めの度数に設定していたりと間違った視力矯正をしている人がいます。そうした場合にも、目そのものや筋肉に過度な緊張がかかった状態が続き、かすみ目になりやすくなります。

 

 

・老眼

老眼の初期症状として、目がかすむという症状がみられることがあります。そもそもピント調節の役割を担う「水晶体」は15歳頃から徐々に老化によって硬くなり始め、40歳を過ぎた頃からピントを合わせるのが難しくなるといわれています。それが一般的に老眼といわれ、目のかすみで気づく人も多いのです。

老眼に対する鍼灸治療について

 

 

・病気の症状

白内障、ドライアイ、緑内障、ぶどう膜炎、黄斑変性、中心性網脈絡膜症、糖尿病網膜症などの病気が原因で、視界がかすむこともあります。
また、脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患がある場合、像をとらえる能力に問題が起き、視力や視野に異常が発生する可能性があります。さらに、全身の病気では糖尿病、高血圧、動脈硬化、心疾患、自律神経失調症、更年期障害などにより目のかすみが生じることがあります。

 

 

 

緊急受診が必要な目のかすみ

 

目のかすみに加え、ものが二重に見える、目が痛い、激しい頭痛や吐き気、めまいが見られる場合には数日で失明に至る可能性がある急性緑内障や、命に関わるくも膜下出血などが疑われますので、すぐに受診が必要です。

 

西洋医学的治療

 

検査・診断

問診、視力検査、細隙灯顕微鏡検査、眼圧検査など基本的な眼科検査を行います。感染症の有無を確かめて原因を特定します。眼圧に関与する房水の状態を調べるための隅角検査、視神経や網膜の状態を調べる眼底検査、視野の欠けがないかを確かめる視野検査、涙の量や質を調べる検査などから必要に応じた検査を行って原因疾患を特定します。

 

 

治療

基礎疾患がある場合、その病気の治療を行います。屈折異常が原因であれば、通常は矯正レンズ、または手術によって目のかすみを矯正していきます。

目の疲れをやわらげ、目にうるおいを与える点眼薬の使用や、身体や目の緊張をほぐす内服薬などによる治療が有効である場合があります。

 

 

東洋医学的考え方

東洋医学では「肝は目に開竅(かいきょう)する」といい、五臓の肝の働きが目に現れると考えられています。開竅とは、五臓の機能が反映されやすい器官のことを指し、目のことを肝竅(かんきょう)ともいいます。

特に肝血虚という状態は、五臓の肝において必要とされる血液や栄養(肝血)が不足している状態です。結果的に目の滋養が足りなくなり、かすみ目や眼精疲労、目の奥の痛みなどの症状を引き起こします。

また、肝は「疏泄(そせつ)」を主る(身体の諸機能を調整する)とともに、「血(けつ)を蔵す」機能があり、血を貯蔵して循環させる臓器でもあります。さらに、筋を主る機能もあり筋肉の収縮や弛緩といった運動の制御もすると考えられています。

 

当院のかすみ目に対する鍼灸治療

 

目のピント調節筋である毛様体筋は自律神経支配であり、かすみ目の症状に大きく関わっていることもふまえ、当院では自律神経測定器で測定を行いお身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経測定

 

自律神経系の調整施術を行い、目のピント調節機能を整える作用を促します。また、内臓機能や免疫力を高め、全身的な血液循環を促進し、自然治癒力を高めることで症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。

東洋医学的観点から「肝」をはじめとした目に関わる五臓六腑の機能を調整するツボや、気や血の流れを整えるツボなどを選択します。

また、首肩周りの施術を行い目へと続く血液の流れを良くしていきます。実際かすみ目を訴える患者様の多くは、ストレスや目の酷使、姿勢の影響などで首や肩のコリを自覚されている方がほとんどです。

さらに、直接目の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え、ピント調節に関わる筋肉の機能を整えていきます。

 

 

症例

50代 男性

若い頃からデスクワークでずっとパソコン仕事で目を酷使してきた。最近夕方頃や疲れを感じると目が霞むことが多くなった。車通勤なので、帰るときに対向車や標識が見づらく運転の時に不安になり来院。

 

当院の治療

デスクワークで眼精疲労だけでなく首、肩こり、腰痛が慢性的にあり、たまに後頭部に頭痛がおこることもあるということで、目の周りの筋肉だけでなく、筋肉の緊張と筋肉の疲労がある首、肩から背中、腰を全体的に鍼とお灸で血流を改善し緊張と疲労回復を目的とした治療を行った。

また、同時に自律神経の乱れも相談されたので、そこにも効果的な経穴に刺激をあたえ相乗効果で更に体の改善を目指す治療を行った。

◇1~3回目◇

変化なし

◇4回目◇

疲れたらおこる頭痛が最近ほぼなくなっている。眼の疲れが感じにくくなってきた。

◇5回目◇

いつもの仕事の帰り道が良く見えた。

◇6回目◇

仕事中のパソコン画面や、道路標識が見やすい。

◇7回目◇

車の運転で不安を感じることが少なくなってきた。

◇8回目◇

眼のかすみはほぼ気にならなくなった。

 

顔のむくみの美容鍼

金曜日, 7月 12th, 2024

顔のむくみに対する当院の美容鍼

まず、自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定しお身体の状態を把握したのち治療を行っていきます。

まず、背部にある五臓六腑に関連するツボや、頸部や肩周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、筋肉の緊張を緩和し顔面部の循環を促進します。

美容鍼の頸肩鍼灸治療

 

その後仰向けで頭部や顔面部、前頸部に鍼やお灸で刺激を与え血液やリンパ液の循環を促します

顔のむくみの美容鍼

 

また、自律神経のバランスを整える施術を取り入れることで、全身の血液循環を促して体を温め、免疫力の向上、内臓の機能を整え、体が本来持つ自然治癒力を引き出す効果が期待できます。

顔のむくみに対する自律神経調整鍼

 

 

 

顔に出るむくみとは

 

むくみ」とは、体内の血液やリンパ液などがうまく循環しなくなることにより、皮下組織に溜まってしまう状態の事を指します。
顔は他の部位よりも皮膚が薄く浮腫が現れやすく、顔のむくみが生じると瞼が腫れぼったくなり目つきが悪く見えたり、フェイスラインがぼやけて顔が膨張して見える原因になります。

顔のむくみは、基本的に朝に症状が現れて時間が経つにつれ軽減していきます。これは、静脈やリンパは顔から下に向かって流れているため、日常生活では重力の影響でこの流れは促進されているのですが、寝ている間は身体が水平になるため重力の影響をほとんど受けず、細胞間質液が体中に均等に行き渡るためです。

逆に日中は下半身の静脈の流れは重力に逆らっているため、夜に近づくにつれ下肢にむくみが現れやすいといわれています。

 

 

顔のむくみ

 

顔のむくみの東洋医学

 

東洋医学においてむくみと関係の深い臓器は「」、「」、「」の三つと言われています。

「脾」は飲食物の中から必要な水分の吸収と輸送を行い、「肺」は津液(血液以外の体内の水分の総称)を全身に分布し体を潤し、余分な水分は汗や尿として排泄する過程の調整を行い、「腎は」水分代謝の主導的な役割を担っている臓器です。

これらの機能が低下したり障害されると余分な水分が順調に排泄されず停滞し、むくみが発生すると考えられています。

 

 

 

むくみの原因

 

血行不良

動脈は栄養分や酸素を運び、静脈は細胞の活動で生じた老廃物や水分を回収しています。リンパ管も余分な水分を回収しますが、静脈はその約10倍の働きをすると言われています。
そのため運動不足身体の冷えなどにより血液循環が悪くなると、血管から染み出た水分の回収がスムーズに行われず、むくみやすくなります。また、長時間の無理な姿勢やパソコン、スマートフォン操作などによる筋疲労によって首や肩の筋肉が硬くなると顔面を流れる血管やリンパ液の流れを阻害し慢性的な顔のむくみに繋がります。

 

塩分・糖分の摂りすぎ

食事で塩分を多く摂ると体内のナトリウム濃度が高くなり、ナトリウム濃度を一定に保つために身体がより多くの水分を必要とするため、体内に水分をため込みむくみが生じます。

また、糖分は水分を吸収するという性質を持っているため、摂りすぎると体の中の水分の循環がうまく行われなくなってしまい、代謝が低下し老廃物の排出がうまく出来なくなってしまうため顔がむくむ原因になります。

 

お酒の飲みすぎ

お酒を飲むと血中アルコール濃度が上昇し、体温が上昇して血管が拡張します。上昇した血中アルコール濃度を薄めようと血管に水分が取り込まれ、さらに血管が拡張し、むくみの原因となります。

 

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンとむくみには深い関係があります。女性ホルモンの一つであるプロゲステロンは妊娠に備えた身体を作るためのホルモンですが、体温を上昇させ、妊娠後のために栄養、水分を身体にため込む作用があります。プロゲステロンは排卵後から生理前は分泌量が増加します。そのため、特に生理前は顔のむくみが出やすい状態になってしまいます。

 

自律神経の乱れ

睡眠不足やストレス、過労、冷えなどで体の機能を調整している自律神経のバランスが乱れることにより血液循環や水分代謝に影響を与えむくみを引き起こす原因となります。

 

筋力の低下

筋肉は収縮することによりポンプ機能の役割を果たし、血液の流れをスムーズにしています。加齢や運動不足などにより筋力が低下することにより、筋肉のポンプ作用が低下するためむくみが起こることがあります。一般的に女性がむくみやすいといわれるのは男性に比べて筋肉量が少ないのが理由の一つと考えられています。

 

※泣くと目の周りがむくむのは何故か

泣くと目の周囲がむくむのは、泣いた際に目を擦ることにより眼の周囲に炎症が起き、それを冷やそうとして水分(血漿成分)が集まり溜まってしまうためといわれています。目の周りの皮膚は体の中でも最も薄く外部の刺激に敏感なため、擦りすぎたり強めに圧迫したりすると毛細血管が傷つきやすまた、目の周りの組織は粗く水分が入り込みやすい事や、涙腺から涙を分泌させるため、涙腺とその周囲の血液量が一時的に増える事によりまぶたがむくむためといわれています。

 

むくみと関連のある病気

心疾患

狭心症、心筋梗塞、心不全などにより心臓の働きが低下すると様々な症状が現れます。尿量の減少、体重増加、咳や痰に加え顔のむくみや手足のむくみが現れます。これは、体内の血液の循環が悪くなるため、水分が体のあちこちに留まるためです。

 

肝疾患

肝硬変、門脈圧亢進症などの肝臓の病気でもむくみが現れる事があります。肝臓の機能低下により血液中のアルブミンというタンパク質の量が少なくなります。アルブミンは血管壁の浸透圧を調整する役割を持っているため、アルブミンが減少する事により水分が細胞と細胞の間に溜まってしまうことでむくみを引き起こします。

 

腎疾患

腎臓の異常で大量のタンパク質が尿から排出されてしまうネフローゼ症候群でもむくみを生じる事があります。初期に目の周りやまぶた、顔、足に強いむくみが生じます。重症化すると胸や腹に水が溜まるといった症状が現れます。低タンパク血漿を引き起こすためむくみ以外にも、尿の異常などの症状が現れます。

 

内分泌系疾患

ホルモンを分泌する内分泌系の病気でむくみを生じるのがクッシング症候群です。コルチゾールという、副腎から分泌される血圧を調整するホルモンが過剰に分泌されることで、顔が満月のようにむくんでしまう満月様顔貌や、手足は痩せているのにお腹や顔が太ってしまう中心性肥満、高血圧などの症状が現れます。

 

その他にも上大動脈が閉鎖する上大静脈症候群やバセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患でもむくみを生じる事があります。

※甲状腺異常に対する鍼灸治療

 

症例

20代 女性

これから半年間に結婚式が6回控えており、久しぶりに会う友人も多くキレイな自分で再会したくて美容鍼を希望。

毎朝の顔のむくみが気になっており、特に顎周りをシャープにしたい。

他にも、肌荒れ改善、肌のトーンアップ、を希望

通常の眼科コースと交互に治療していく、治療頻度は週に1回、美容張りは月に2回。

 

当院の施術

元々眼精疲労で通院されている患者様のため顔周りの鍼に慣れていたので、表情筋や顎回りの筋緊張が強い筋肉の緊張緩和と血行促進。また、フェイスラインをしっかり上げる、溜まっている老廃物が流れていく道を作る、お肌のターンオーバーを促進させるために表情筋、顔周りの経穴に刺入し治療しました。

◇1回目◇

治療前と治療後のお顔を鏡で確認していただきフェイスラインがスッキリし、顔のむくみが取れて小さくなったきがする。

◇2回目◇

前回と同様の変化と、眼の周りも眼科コースよりしっかり治療してもらえている気がして眼がらくになる効果も感じる。

◇3回目◇

朝起きて自分の顔のむくみが前よりも気にならなくなってきた。

◇4回目◇

天候の変化で頭痛が時々あったが、軽い痛みで済むようになった。顎のラインが細くなった。

◇5回目◇

肌の色が明るくなったように感じる、メイクの時間が前よりも楽しくなった。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

お灸の作用とセルフケアのススメ

日曜日, 6月 30th, 2024

鍼灸(しんきゅう)の『灸』とは、何をしてどんな効果があるかご存知ですか?

 

 

』とは、皮膚に「もぐさ」をのせ線香で火をつけて身体に『温熱刺激』を与える治療法です。

もぐさ」とは、キク科の多年草のヨモギの葉を乾燥させ石臼で挽き精製したものです。夾雑物の混入の程度により等級分けされ、使用用途も異なります。鍼灸師が手でひねって治療に用いるもぐさは、もぐさのなかでも特に高級品のもぐさを使用しており、なんと1kgの乾燥ヨモギから7gほどしか作られません。とても貴重ですね。

 

お灸は約2000年前の北方民族の独特の医療として芽生え、インドに渡り仏教医学として発達したといわれています。中国やインドの砂漠地帯でも自生する生命力の強いヨモギで病気を治そうと考えついたのがお灸の始まりとされています。

日本には飛鳥時代に中国から仏教と共に伝来し、独自に発展し多様な灸法があります。701年に制定された大宝律令の中の医疾令には針博士という官職名が記され、鍼とお灸の勉強が定められていました。奈良平安期以降お灸は広く用いられていました。

江戸時代には多様な灸法書が著されるようになり、健康維持のため庶民にも広く浸透していました。ヨーロッパとの交易でお灸は日本からヨーロッパ、世界へと伝えられ、お灸は英語で「moxibustion」「MOXA」(モグサ)と呼ばれています。

明治以降西洋医学が主流になり、熱くて痕が残るお灸は忌避されるようになっていきました。また昔の家屋に比べ住宅の気密性が高まり、煙のでるお灸は嫌がられるようになりました。今では、一部の地域や鍼灸院にかかる人のみにお灸が普及している状況です。

芳年 『風俗三十二相 あつさう』

歌川豊国 『江戸名所百人美女 鎧のわたし』

お灸の種類

 

お灸には治療目的に合わせて形を変えたり、道具を用いたりと色んな種類があります。

お灸の方法には大きく「直接灸」と「間接灸」という2種類の方法があります。直接灸とは、皮膚に直接もぐさを置き燃焼させる方法です。間接灸とは、皮膚ともぐさの間に台座やニンニク、生姜などを挟み間接的に燃焼させる方法です。当院では、直接灸と間接灸の両方を用い、適宜刺激量を調節し治療を行っています。

 

 

 

お灸の作用

 

お灸は以下の作用で身体に反応を起こしています。

 

1、温熱作用

2、皮膚から浸透する成分の作用

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

4、モグサや煙の芳香による作用

 

1、温熱作用

お灸は温熱刺激を生体に与えます。温熱刺激の感受には「温度感受性TRPチャネル」が関わっていると考えられています。

TRPチャネルとは、皮膚や感覚神経だけでなく身体中の臓器に発現し、温度刺激や化学刺激に反応する受容体です。人間には9種類の温度感受性TRPチャネルが存在することがわかっています。

お灸による温熱刺激には、侵害性の熱い温熱刺激と非侵害性の温かい温熱刺激に分けられます。

侵害性の熱い温熱刺激は、TRPV1(活性化温度閾値は43℃以上)、TRPV2(52℃以上)により感受されます。感覚神経のうちC線維、Aδ線維にそれぞれ発現しています。感覚神経上のTRPチャネルが活性化されると、温度情報は活動電位に変換されて求心性に脊髄、脳へ送られます。その過程で主に以下の3つの作用が起こると考えられています。

①軸索反射を介して、枝分かれした軸索末端から神経ペプチド(CGRP、サブスタンスP)が放出され、血管が拡張し、発痛物質が血管に取り込まれ痛みを緩和する。

②上行性に伝えられた温度情報が、脳幹や視床下部を介して、自律神経や内分泌系など様々な調節反応を誘発する。

③大脳辺縁系において心地よさが生じ、大脳皮質にて温かい感覚が生じて、気分を楽にする。

 

非侵害性の温かい温熱刺激はTRPV3(活性化温度閾値32〜39℃以上)、TRPV4(27℃〜35℃以上)、TRPM2(36℃以上)により感受されます。TRPV3やTRPV4は表皮のケラチノサイトなどに発現しており、温度を感受するとATPを放出して感覚神経に伝えることが報告されています。

 

TRPV2は上皮組織に存在する肥満細胞に発現し、TRPM2はマクロファージなどの免疫細胞に多く発現していることから、お灸は免疫とも関わっていると考えられます。

 

以上のように、活性化温度閾値の異なるTRPチャネルがあり、様々な組織に発現しているので、お灸の温度の違いにより生体に及ぼす反応も異なると考えられています。

 

TRPチャネルはDavid Julius教授(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)の研究グループによって発見され、2021年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。TRPチャネルの発見により、お灸の機序解明が進んでいます。

 

2、皮膚、呼吸器から浸透する成分の作用

ヨモギの腺毛には揮発性の精油が含まれており、主成分であるシネオールは燃焼により独特の芳香を発します。ヨモギには多数の精油がふくまれており、皮膚と親和性があり、含有されているポリフェノールが燃焼による酸化的ストレス状態を抑制することが報告されています。

 

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

昔のお灸は、皮膚を焼き切り熱傷を生じさせる療法でした。皮膚を焼くことで、炎症を引き起こし、再生させるという過程を通して、神経組織、結合組織、免疫系などに様々な影響を与えることにより病気の予防と治療を行っていました。

 

4、お灸に用いる物質の芳香作用

お灸の匂いでリラックスするという意見は多く、モグサ燃焼時の芳香によるアロマテラピー効果があると考えられています。

 

お灸の効果

1、血流改善、痛みの緩和

2、免疫・代謝機能の向上

3、リラクゼーション

 

セルフケアとしてのお灸

 

鍼灸院での治療効果を維持するためや、不調の改善、健康維持のために、セルフケアとしてご自宅での台座灸をおすすめいたします。

台座灸とは、円形の台座紙の上にもぐさがついているお灸で、シールで皮膚に貼ることができます。

煙が苦手な方は、煙の出ない台座灸も市販されています。

市販の台座灸は温熱レベルの低いものを選び、熱く感じたら取り除き、やけどをしないよう気をつけて行ってください。

 

 

セルフケアにおすすめのツボ

 

・足三里

スネにあり、膝のお皿の上に親指を当て、お皿をつつみこむように握った際に中指の先があたるところにある。

効果:免疫力向上。胃腸の調子を整える。足の疲れ。疲労。腰痛。

 

・三陰交

くるぶしの内側で指4本分上がったところにある。

効果:婦人科疾患。胃腸のトラブル。頭痛。肩こり。

 

・合谷

手の親指と人差し指の股の人差し指側にある。

効果:首肩こり。頭痛。疲労。

 

・手三里

ひじを曲げた時にできるしわに人差し指を置き、手首側に指3本のところにある。押すとズーンとひびく。

効果:首肩こり。胃腸の不調。疲労。

 

・大椎

第七頸椎と第1胸椎棘突起間にある。

効果:呼吸の調整。風邪。花粉症。首肩こり。

 

・肩井

首の付け根と肩先を結ぶ線の中央にある。

効果:首肩こり。腕の痛み。疲労。

 

・中脘

へそとみぞおちを結ぶ縦線の中間にある。

効果:胃腸の不調。逆流性食道炎。

 

・天枢

へそから左右指2本分外側にある。

効果:胃腸の不調。便秘。下痢。

 

・関元

へそから指4本分下側にある。

効能:胃腸の不調。冷え。疲労。婦人科疾患。

 

ご自身に合うツボを知りたい方はぜひ鍼灸師にご相談ください。

 

お灸で養生

 

東洋医学にはとても大事な身体観として『養生』と『治未病』という言葉があります。

『養生』とは、生命を養うという意味です。

『治未病』とは、病気になる前に治すという意味です。

健康は、日々の生活の小さな積み重ねによって維持されます。

病気を発症したとしても、悪化を防ぐことはとても重要です。

ぜひ日々のセルフケアとしてお灸をして、養生してくださいね。

気になることは鍼灸師にご相談ください。

産後ケアの鍼灸治療

金曜日, 6月 28th, 2024

出産後の体の変化

 

産後の体は妊娠中と同様にとてもデリケートで大きな体の変化が起こります。出産後に元の体に戻ろうとする約8週間を「産後の肥立ち」や「産褥期」と呼び、体が急激に元の状態に戻ろうとしホルモンバランスも大きく変わり様々な痛みや不快症状があるだけでなく、免疫力も低下してウイルスなどに感染しやすくなります。

また、赤ちゃんが生まれてからは生活も急激に変化するので、産褥期が過ぎた後もいろいろな不調や変化が起こりやすく、体だけでなく精神面も不安定になりがちです。そのため、産褥期はしっかりと体を休めて心身を整えることが重要です。

赤ちゃんが生まれたあとのお母さんは、自分の体のことを後回しにして無理してしまいがちですが、この時期のケアはとても大切で無理した結果、後々までつらい症状が残ることもあります。

産褥期・産後の症状

産褥期は子宮が妊娠前のように戻り、母乳も分泌され始めます。体が急激に戻ろうとすることで様々な症状がみられます。

 

・悪露の排出

出産後に起こる子宮内膜や分泌物の排出。整理よりも量が多いが出血があり、分娩時に残った胎盤の一部が排出されることも。産後すぐから一か月前後まで続きます。

 

・子宮収縮の痛み(後陣痛)

大きくなった子宮が元の大きさに戻る際の収縮による痛み。後陣痛とも呼ばれ産後三日程度までが特に強い痛みを感じやすい。授乳によって子宮が収縮して痛みが強まることもあります。

 

・会陰切開・帝王切開の痛み

傷の程度にもよりますが、産後二週間程度は切開による傷そのものが痛むでしょう。傷が治った後も、瘢痕と呼ばれる傷跡が残るため、痛みや座った時の違和感を覚えることがあります。

 

・便秘

産後は悪露や授乳によって体内の水分量が減り、便秘になりやすい傾向にあります。こまめな水分補給や、食物繊維・乳酸菌など便秘に効果的な栄養素を積極的に取り入れるとよいといわれています。便秘が悪化すると痔になることもあります。

便秘に対する鍼灸

・抜け毛

産後はホルモンバランスの変化により、毛髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が多くなる方も多いです。中には円形脱毛症になってしまうケースも。ただし、症状は一過性であるため、ホルモンバランスが落ち着くのと同時に徐々に改善されていくケースが多いです。

 

・腰痛

骨盤の開きや筋肉の衰えなどで腰痛を訴える方も少なくありません。また、産後すは出産の際にゆるんだ骨盤が不安定な状態になるため、特に痛みを感じやすいです。

腰痛に対する鍼灸

骨盤が不安的な状態や筋肉が衰えた状態で無理な姿勢をとると腰痛を悪化させてしまいます。赤ちゃんのお世話をする際にもできるだけ背筋を伸ばした正しい姿勢をとるように心がけましょう。

 

・むくみ

妊娠中の血液量は妊娠前の1.5倍に増えます。産後急激に血液量が減ることで体内の水分バランスを保ちにくくなり、浮腫みが発生しやすくなります。また、産後は体力回復のために激しい運動ができないため、筋肉のポンプ機能が衰えてしまうことも原因の一つです。

むくみに対する鍼灸

 

・マタニティブルー、鬱状態

産後二週間以内に起こりやすい気分の落ち込みや不安感などの症状でホルモンバランスの乱れが影響していることも。二週間以上症状が改善しない場合は産後鬱に移行している可能性もあり、医師に相談を。

産後うつに対する鍼灸

 

・腱鞘炎

赤ちゃんの沐浴や授乳などで手を使うことが多くなるため手首に負担がかかり炎症を起こしてしまいます。

腱鞘炎に対する鍼灸

 

・肩こり

赤ちゃんのお世話は入浴やおむつ替えなどで無理な姿勢をとることが多いです。また、抱っこや授乳などは首肩に大きな負担がかかってしまいます。

肩こりに対する鍼灸

 

・頭痛

産後は様々な原因が重なり頭痛が起こります。首肩こりはもちろん、寝不足や育児に対する緊張で血管が細くなることも頭痛の原因になります。

頭痛に対する鍼灸

 

出産後の体が変化する原因

 

産後は体が妊娠前の状態に戻ろうとするため、大きくなった子宮の収縮やホルモンバランスの急激な変化が起こります。

ホルモン分泌の変化と一口に言っても、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン、骨盤を広げて赤ちゃんが産道を通りやすいようにするリラキシン、炎症を抑えるステロイドホルモンなどそれぞれ役割が異なるホルモンの分泌に変化が起こります。

また、生活環境の変化から体の変化が起こる場合もあります。

育児のために同じ体勢を取ることが増えると体の痛みにつながったり、夜泣きに合わせて生活をすることになるため生活リズムが乱れたり、また慣れない育児により精神的なストレスを感じることなどが考えられます。

 

東洋医学的考え方

東洋医学で考える産後ケアは

◆妊娠、出産で失われた体力の回復「気(元気の元)」を補う

◆授乳で消耗した「血」を補う

◆悪露を出し切り「血」の巡りをよくする

◆ホルモンバランスの改善

が大切です。

・気(き)

中医学では、身体を動かすものを「気」といい消耗した状態を「気虚(ききょ)」といいます。出産により消耗した身体を休めて体力を回復するのが大事です。
気虚の状態が続くと肥立ちが悪くなるだけでなく、お露が長引いたり、お腹の皮膚が引き締まらない原因にもつながります。

また、「気滞(きたい)」といってストレスなどの影響で気の流れが滞ることで悪露が長引いたり、不眠やイライラ、胸が張り母乳の分泌が悪くなるようなことが起こります。

 

・血(けつ)

出産による出血で消耗するだけでなく、母体の回復のため、母乳の材料などで使われることで出産後は不足しがちになります。血が不足するとイライラや不安、不眠など精神的に不安定になります。母乳の不足や産後鬱にならないためにも血を補うことは大切です。

また、身体に不要な血の滞りを「瘀血(おけつ)」といいます。胎盤の残りなど悪露は不要なものなので血流を良くしてしっかりと排泄します。悪露をしっかり排泄することで子宮が引き締まり妊娠前の状態に戻りやすくなります。

 

・腎虚(じんきょ)

「腎(じん)」は西洋医学の腎臓の水分調節だけでなくホルモンや骨、生殖に関する機能を担っている場所です。出産前と後では大きく女性ホルモンの分泌が低下します。このため情緒が不安定になります。腎を補うことでホルモンバランスを整えていくことが重要と考えられています。

 

当院の鍼灸治療

産後はホルモンバランスの変調や育児による体の疲れから自律神経の不調が起こりやすいです。そのため、自律神経系の調整施術を行い免疫機能や内臓機能、全身の血流を促進し体が本来持つ自然治癒力を高めます。

東洋医学的観点から気・血を補うツボや腎の機能を高めるツボなどを選穴していきます。

産後のお悩みは様々ですので、一人一人のお悩みの症状に合わせてツボを選穴し施術していきます。

ストレス頭痛の鍼灸治療

火曜日, 6月 18th, 2024

頭痛の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されております。

https://alfashinkyu-tokyo.com/column/index-991.html

 

ストレス性頭痛の治療の流れ

 

①問診で生活習慣、仕事、日常の姿勢、食事習慣、精神状態、など詳しくお話をお聞きします。

 

②ストレスは自律神経のバランスを乱し頭痛の原因となるため、必要であれば自律神経測定器で現在のストレスの度合いや自律神経の状態を確認します。

 

③ベットに横になって頂いて、触診にて筋肉の状態や冷えなどお身体の状態を確認していきます。

 

④問診、触診、自律神経測定器の結果をもとに、施術を行います。

 

⑤施術後は日常生活へのアドバイス、適切な施術間隔をお伝えします。

 

⑥お会計、次回のご予約を済ませ終了となります。

施術内容

 

まず、頸肩部周辺にの経穴に刺鍼し筋肉を緩めることで頭部の血液循環を促していきます。

頸は僧帽筋上部、頭半棘筋部の「天柱」「風池」、頭板状筋や胸鎖乳突筋の「完骨」、肩は僧帽筋の「肩井」「肩外兪」、肩甲間部の「膏肓」棘下筋の「天宗」といったっけ経穴を主に刺鍼していきます。

 

頭部は「百会」「頭維」「四神聡」の経穴以外にもコリや疼痛部にも直接刺鍼し、そこに低周波を流す「電気鍼療法」を行い頭部の筋緊張を緩め痛みを緩和させていきます。

 

※電気鍼療法が苦手な方は刺鍼のみでも対応可能です。お気軽にお申し付けください。

 

同時にストレスの緩和や体質改善を目的に自律神経を整える施術を行っていきます。自律神経を整えることによって、滞っている全身の血流がよくなり蓄積した疲労が回復が回復していきます。また、副交感神経を高めることでリラックス効果が生まれ、ストレスによる過剰な筋緊張が改善していきます。

 

 

ストレス性頭痛の原因やメカニズム

 

精神的ストレスで自律神経の交感神経が過剰に働きます。交感神経が過剰に働くと筋肉を必要以上に収縮させてしまいます。さらに血流も悪くなるので頭部の筋緊張が増悪し頭痛が引き起ります。

また、食いしばりとの関連性も大きいです。ストレスで交感神経が亢進すると、睡眠の質が低下し食いしばりを起こします。こめかみにある側頭筋は顎を動かす咬筋と連動して収縮します。こめかみを触りながら歯をぐっと噛みしめると側頭筋が動くのがわかります。

 

食いしばる時間が長ければ長いほど頭痛が起きやすくなります。

頸肩の筋肉の硬さが頭部に波及して頭痛が増幅することもあります。

また脳内のセロトニンがストレスなどの原因で一次的に増加し血管が収縮し、ふたたび拡張されることで刺激され痛みが起こるという説もあります。

片頭痛の誘因でもある喫煙、飲酒、チョコレートの食べ過ぎというストレス解消による行動も頭痛の原因になります。

 

 

頭痛の種類

 

頭痛には一次性頭痛二次性頭痛があります。

 

一次性頭痛は原因疾患が特定できない頭痛で、二次性頭痛は原因疾患が特定できる頭痛をのことを言います。

原因疾患とは脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、外傷、感染症などといったものがあり、これらによって起こる頭痛は二次性頭痛に分類されます。

上記のような疾患が検査しても見つからず、原因疾患の存在が否定され初めて一次性頭痛を疑います。つまり、脳出血や脳梗塞などが二次的に頭痛を引き起こしているため、これらは二次性頭痛と言われるのです。

 

一次性頭痛は片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛などが上げられ、これらは二次性頭痛の検査結果が陰性で、頭痛の部位、性質、誘因、持続時間、光や音に対しての過敏性、前兆の有無など情報を考慮し鑑別していきます。

 

片頭痛は原因がはっきりわかっていませんが、ストレスにより三叉神経が刺激され神経末端から炎症物質が放出されることによって脳の血管が急激に拡張することで頭痛が起こると考えられています。吐き気や嘔吐も伴うことがあり、音や光に過敏になります。チョコレートやワイン、チーズ、柑橘類が誘因になることがわかっています。

ズキンズキンと脈打つような痛みなのが特徴です。

 

緊張性頭痛は精神的ストレスや頸肩コリ、眼精疲労による頭部の筋収縮から起こる頭痛です。頭全体または一部に締め付けられるような痛みが発生し、その痛みがストレスになりさらに筋収縮を引き起こし頭痛を増悪するという悪循環ができてしまいます。

 

群発性頭痛は左右どちらかの目の奥に耐え難い痛みが起こる頭痛です。

例えるなら、目の奥をえぐられるような、またはバットで頭を殴られるような痛みと言われるほど強烈なものです。この頭痛は持続性はなく、30分~1時間といった比較的短時間で消失します。通常は1~3か月程規則的に起こり、その後は数か月~数年と頭痛のない日が続きます。

痛みは目の奥だけではなく、時には片側の側頭部や目の周辺にも出現することがあります。

群発性頭痛のはっきりとした原因はまだ分かっていませんが、目の裏側にある太い血管が拡張し、それが神経を刺激するためではないかと言われています。

 

※突然今まで経験したことのない強烈な痛みや、発熱、しびれや感覚が無いなどの麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、意識が朦朧とするなどの症状がある場合は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血ような緊急性の病気の疑いがあります。その場合は一刻も早く病院に受診しましょう。

 

症例

20代 男性

仕事の人間関係でストレスを感じるようになってから仕事中に頭痛がするようになった。最初は30分ほどでおさまっていたが、最近は仕事中だけではなく、出勤前にも痛みが出てくるようになり、かなり辛い。現在は仕事中は常に痛みがある状態になった。

主に痛みがあるのが仕事中のため、現在は薬で誤魔化して働いているが、業務にも支障をきたすかもしれないと不安になって来院。

 

当院の施術

自律神経を整える事をメインで考え治療。また、頭に行く血液は肩、首を通り脳に流れるので肩と首、背中の筋緊張を緩める治療も同時に行った。

特に頭痛の症状が現れている側頭部、後頭部の筋緊張が強く、血行促進と緊張緩和のために他の箇所と比べ筋肉にしっかり刺激を入れた。

週に2回来院。

 

◇1回目◇

治療中に寝てしまうくらいリラックスできた。身体の血流良くなった気がする。

◇2回目◇

前回はすぐ元に戻ってしまった。治療後には楽になる。

◇3〜5回目◇

肩が動かしやすくなり、頭痛の時間が短くなってきた。

◇6〜9回目◇

出勤前の頭痛が出なくなり、朝の時間が楽に過ごせるようになった。

◇10〜15回目◇

仕事中に頭痛はあるが、前のような激しい痛みはなくなり、かなり痛みが軽くなった。来院頻度を週に1回にして様子を見ながら治療。

◇16回目~20回目◇

仕事中常に頭痛がある日がなくなり、頭痛がでる以前のように仕事に集中できるようになった。

◇20回目以降◇

体調や疲労の度合いをみて月に数回来院。

 

強膜炎の鍼灸治療

火曜日, 6月 18th, 2024

①強膜炎に対する当院の鍼灸治療

 

強膜炎の鍼灸治療方針

当院の強膜炎に対する施術は、第一に目周辺のツボに鍼をさして強膜の炎症をおさえる作用を促します。

強膜炎の鍼通電治療
また強膜炎は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことで症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑えて下げる治療もする必要があります。

強膜炎の場合、強い痛みのため寝不足となったり、常にイライラしたりと交感神経が過亢進状態となりやすいです。それは、自律神経の乱れとなり、様々な全身症状へと繋がってしまいます。
そこで当院では自律神経を測定して施術することで自律神経のバランスを調整します。
自律神経のバランスを整えることで人間が本来持っている免疫力を回復させます。

 

強膜炎の自律神経調整鍼灸

 

 

②強膜炎の東洋医学的考え

 

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。

肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。
すると強膜炎などのさまざまな目の疾患・高血圧頭痛自律神経失調症などを引き起こします。また外からの風熱の邪気が体に侵入すると目は侵されやすく、強膜炎を引き起こす原因にもなります。

 

 

③強膜炎の鍼灸治療症例

症例1

50代 女性

当院にご来院される半年ほど前から強膜炎を発症し、眼科でステロイド薬の点眼薬を処方してもらったが、なかなか症状が改善されず当院にご来院された。眼科では、強膜炎になった原因は特定されなかったが、既往歴に自己免疫疾患があり、ストレスなどと深く関係しているのではないかとご本人とおっしゃっていました。

強膜炎の症状として目の痛みはなく視力の低下や目の充血、日中太陽の光をあびるととてもまぶしく感じるとのこと。また、症状に対するストレスなどにより睡眠が浅く、朝の目覚めがすっきりしない。

 

・当院の治療
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから治療に入りました。まず、仰向けで自律神経調整療法を行い、自律神経の状態を整えてうつ伏せで首や肩の筋緊張をとっていきます。
そして再度仰向けになっていただき目の周りの施術をしました。

 

・経過
1回目 
自律神経測定器の結果、交感神経が過度に亢進している状態でしたので、交感神経を下げて副交感神経の働きを上げるような柔らかなお灸と鍼の刺激を施していきました。

2回目
1回目の治療後ステロイドの薬を以前は1日2回点眼していたが、1日1回で済むようになった。首肩部の筋の緊張はまだ緩和されていない

3回目
1回目の施術後のように点眼薬を1日1回ですんでいる。

4回目
眼科を受診したところ残りの目薬を使い切って、その後目に異常が出なかったらステロイドの点眼薬をもうしなくて良いと言われた

5回目
点眼薬をしなくても目の症状は落ち着いている。

 

 

 

症例2

40代女性
一年ほど前に目に強い痛みや視力低下が出たため病院を受診したところ、右目の強膜炎と診断された。左側頭部や左目周囲の痛みが強かったため鎮痛剤とステロイド剤を処方された。少しして症状が軽減したが、また仕事や家事が忙しくなると再発して薬を処方してもらうというサイクルを繰り返していた。
しかし、一か月前に症状が出て薬を飲んでもあまり効き目がなく痛みで睡眠もうまくとれなくなってきて当院にご来院された。

 

当院の治療
仕事も立ち仕事で特に目を酷使しているわけではないが、身体が疲労してくると症状が出るということで自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術にはいりました。痛みも強い状態、検査結果から自律神経も乱れている状態だったので自律神経を整えて首肩の筋緊張をとってから電気鍼療法で鎮痛効果をねらい施術しました。

 

経過
1回目
治療後、左目・左側頭部の痛みは軽減した。2日ほどたったらまた痛みが少し戻ったとのこと。

2回目
側頭部の痛みはほぼ感じなくなったが目の痛みはまだ少し感じる。夕方疲れてくると視界のぼやけを感じる

3~6回目
症状が少し強くなったり、全く感じなかったりを繰り返す

7回目
左目・左側頭部の痛みはまったく感じなくなった。薬の服用も中止

8回目以降
2週間に1度のペースで治療。以前は一か月周期で左目が痛くなっていたが3か月経っても今のところ症状が出ていないでいる

 

 

 

症例3

50代女性
5年ほど前に目の痛みと赤みの症状が出て眼科を受診したところ強膜炎と診断された。ステロイドの点眼薬と痛み止めの注射をして痛みは治まったが、赤みは常にある状態が続いていた。痛み止めをすると1か月かけて徐々に痛みは治まるが、2~3か月後にまた痛くなり、注射をうつという状態が続いていた。視力は昔から悪く左右共に0.01ほど。
当院にご来院される1か月前に痛み止めの注射を打ってもらったが、痛みが続いて目の赤み症状も強く出ていた。何とかこの痛みだけでも解消したいと当院にご来院された。

 

当院の治療
痛みが出始めるきっかけは本人としてもわからず、特に体に疲労が溜まっている時や目を酷使した時などに発症するというわけではなくイレギュラーに痛みが出てくるので本人としても対策のしようがないとのこと。しかし、痛くなる前は必ずと言っていいほど首肩がこって痛くなるとのことで、自律神経の状態・首肩の筋緊張も整える形で治療していきました。

 

治療経過
1回目
両目ともに痛みや赤みが見られたが、左目の方が症状が強く出ていたのでまず左目を中心に治療していきました。

2回目
前回治療後、痛みが軽減。違和感程度になった。赤みはまだ消えていない

3回目
左目は痛みというよりも違和感程度になった。赤みも軽くなってきて左目の内側だけまだ赤い

4回目
左目が良くなったことで右目が気になるようになってきたとのことで右目中心に治療

5回目
右目の違和感はなくなった

6回目
全体的に赤みもだいぶ減ってきて、1日のうちでたまに痛みが走る時がある

7回目
ステロイドの点眼薬を少しずつ減らしている。赤みが消えて眼科の先生にも驚かれたと嬉しそうにおっしゃっていた

 

 

症例4

30代 女性

産後にいきなり目の痛みと充血に襲われて病院を受診したところ強膜炎と診断を受けた。ステロイド点眼薬と服用薬を処方されて最初の目の痛みと充血が2週間くらいかけて軽減していった。

その後体調が悪いせいか、強膜炎を繰り返し起こすようになってしまった。

その度に比較的強いステロイド剤で炎症を抑えて時間が経つとまた発症するの繰り返し。

昔から漢方薬を服用するなど東洋医学に興味があり、鍼灸治療でどうにか回復しないかと当院にご来院されました。

 

経過

ご来院された3日ほど前から強膜炎が発症。目の痛みと充血のほかに痛みが強いせいか頭痛やめまいも感じるとのこと。明るい日差しで視界が真っ白、視力も低下。

また、育児と仕事の両立で身体は疲弊しきっている。仕事もパソコン等のデスクワークが中心で日常的に眼精疲労も感じやすい。

最近痛みのせいか睡眠不足もあるため自律神経の状態も乱れていないか診るために自律神経の状態も測定していきました。

 

治療間隔は5回ほどを3日〜5日の間隔で鍼灸治療を行っていきました。その後治療間隔を延ばしていき、2週間に1回ほど。

治療効果は出やすく、1回目のあとから目の痛みや充血は引いていった。病院でもステロイド剤の強さがワンランク下がったとのこと。

痛みがたまに出て痛みが出るとめまいにつながる感覚。

治療5回目までは症状に波がある日が多かったです。痛みが出るときもあるが痛みの程度はだいぶマシになっていった。

視力が元々悪く病院でも普段メガネをかけることを勧められていたがコンタクトレンズをつけてもいいとのことで強膜炎の状態はかなり改善されてきた。

8回目の施術後、病院でステロイド剤が処方されてず、炎症もだいぶ引いたとのこと。視力・羞明感も回復。

 

 

症例5

50代 女性

2か月前ほど前から眼の充血、痛みが気になり始めた。眼の痛みがかなり強くなったため眼科へ受診したら強膜炎と診断された。薬を処方してもらい多少楽になったが、強い痛みが続いており、日常生活で支障が出るほど苦痛なため当院を受診した。

患部は左目で、強膜部分は広範囲に充血が見られる。まぶしさは感じないが、もともと痛みに弱くこの痛みが続くかと思うと夜も眠れない。

当院の施術

まず、自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認していきました。

緊張やストレスを感じる事で反応する交感神経が過剰に働いており、リラックスした精神状態にさせる副交感神経の働きが弱い状態でした。

これは強い眼の痛みによってそれがストレスになり、交感神経を優位にしてしまっていると考えられます。交感神経優位になると自然治癒力も低下し治癒が遅れてしまいます。また、人によっては痛みに対して過敏になってしまいます。

 

次に触診でお身体の状態を確認したところ、背中から首、肩、頭部の筋緊張が強くみられました。普段の姿勢によるものが原因として考えられますが、痛みによる精神的ストレスで筋肉が緊張しているものも大きく関係しています。

①鍼とお灸で眼の炎症を抑える、鎮痛を促す

②自律神経の調節

③首、肩、背中、頭部の筋緊張を緩める

上記の内容を中心に施術を行いました。

 

経過

1回目

まだ痛みは続いているが、少し楽になった様な気がする。

2回目

初回より痛みが引いてきた。充血も改善してきた。

3回目

痛みが引いてきたため、よく眠れるようになってきた。

4回目

痛みはあまり気にならなくなってきた。

充血も少し残っているが、ほとんどない。

5回目

痛みは気にならなくなり、快適に過ごせるようになった。

 

 

 

④強膜炎とは

 

強膜炎の症状

 

強膜炎とは、眼球の外側を覆っている強膜という部分に炎症がおこることを言います。強膜は眼球の外壁の後ろ6分の5の白い不透明な組織です。また眼球の外壁の前6分の1は透明で角膜という組織です。

これらは厚くて強靭な密性結合組織から成り、眼球の形を保ち保護します。角膜周囲の強膜の上には、半透明の結膜が張っており、この強膜あるいはその表面に炎症を起こした状態が強膜炎です。

強膜炎は30代~50代の成人に多く見られて、男性よりも女性に多く発症します。患者の3分の1で両眼に発症します。強膜炎は関節リウマチ全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患を伴うことがあります。

強膜炎の症状として目の充血痛み視力障害などの症状があらわれます。強膜炎は病巣が深いので痛みも強くて充血の範囲も広くあらわれます。突き刺すような目の激しい痛みがあり、あまりの痛さに眠れなかったり、食欲が落ちることがしばしばあります。

そのほか目の圧痛・涙の量の増加・明るい光に対して過敏になるといった症状が出ます。強膜炎が重症の場合は強膜に穴があいたり、薄くなったりします。眼の奥の方にも炎症が起こると視神経に異常が出る場合があるので、眼底検査で確認する必要があります。網膜剥離を起こして視力が低下する場合もあります。

また強膜は、内側でぶどう膜と前方で角膜と接していることから強膜炎となるとそれらにまで炎症が及ぶことがあり、ぶどう膜炎や角膜炎を合併してしまい視力低下や眼痛の症状が一層強く出てしまう危険性があります。

 

⑤強膜炎の原因

強膜炎のほとんどは原因が不明ですが、挙げられる原因として自己の組織を攻撃する自己免疫疾患やさまざまな炎症性疾患などがあります。
慢性関節リウマチ結節性動脈周囲炎全身性エリテマトーデスサルコイドーシス痛風結核梅毒なども強膜炎の原因に挙げられますが、それらの疾患の存在が確定されるケースはそれほど多くはありません。

強膜炎は、発症場所や炎症の性質によって分類されます。

上強膜炎
上強膜炎では強膜の表面部に炎症が起こります。上強膜炎では強膜の表面部分が炎症していることで充血が強くみられますが、それ以外の視力低下や痛みなどの症状は比較的軽いです。上強膜炎は原因がはっきりと特定されておらず、自己免疫疾患などが疑われており症状がなくなっても再発を繰り返すと言われていますが、症状が重症化することは比較的稀です。発症する年代は青年期が多く、男性よりも女性にかかりやすいとされています。

前部強膜炎
前部強膜炎は強膜の深部に炎症が起こっていることを指し、強膜炎というと一般的にこの前部強膜炎のことをいいます。前部強膜炎のなかでも広範囲に炎症が及ぶものをびまん性前部強膜炎、強膜にしこりのようなできものができるものを結節性前部強膜炎、強膜が壊死して溶けてしまうものを壊死性前部強膜炎といいます。

後部強膜炎
後部強膜炎は眼球の後部にまで炎症が進行して炎症が広範囲に広がっていることを指します。後部強膜炎で炎症が広範囲にわたってしまうと脈絡膜にまで炎症が及んで網膜に浮腫ができて網膜が剥離することがあり、視力が著しく低下する危険性があります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

老眼の鍼灸治療

金曜日, 6月 14th, 2024

老眼の鍼灸治療

 

・自律神経の調整
目と自律神経は実は深い関係にあります。自律神経とは、内臓の働きや血液循環など自分の意識とは無関係に働いている神経であり、目のピントを合わせる調整や目の血液循環にも影響を与えています。
自律神経の状態が乱れていると目のピントを合わせる調整能力が低下したり、目の周りの血液循環は低下してしまいます。

 

老眼の自律神経調整鍼灸

・首肩コリの解消
首肩の筋肉が過緊張状態やコリがあるとその部分で血管を圧迫してしまい脳や目に栄養ある血液が行き届きませんし、脳や目からの血液が下がりにくくなってしまうのです。
また、首肩部分には目に関するツボもあるためその部分を刺激していきます。
東洋医学的にみると目と五臓六腑の『肝』、老化と五臓六腑の『腎』は深い関係にあります。『肝腎同源』という言葉もあり、肝と腎はお互いに影響しあうため症状が現れるときも同時に現れる場合も多いです。首肩の施術と並行して背部に肝と腎の重要なツボがあるためそのツボも刺激していきます。

 

老眼の頸肩鍼灸治療

・目の周りの施術
目の周りに鍼を刺してお灸を施すことで目の周りの筋緊張の緩和や血液循環を改善する目的で施術していきます。

老眼の鍼治療

 

当院ではこの3点を老眼治療として行っていきます。その他にもその方の症状に合わせたツボを用いて施術を行っていきます。

老眼とは

老眼とは目の水晶体が老化によって硬くなったり、毛様体筋という水晶体の厚みを調節する筋肉の衰えによって近くのものが見えづらくなることです。

現代の生活の中には、目に負担のかかることが溢れています。仕事中は、パソコン作業をして仕事の時間以外でもスマートフォンを見ていたりテレビを見たりと常に目に負担のかかることをしている方も少なくないと思います。

目に負担のかかる時間の多い人は、老眼となる時期も早まる可能性があります。一般的には老眼は45歳から始まりやすいと言われますが、30代後半くらいから老眼の症状が出る方もいます。

老眼

老眼となる仕組み

老眼となってしまう原因を知るためには目の構造を理解する必要があります。

目に入ってきた情報は、角膜→水晶体→硝子体→網膜と通過して資格情報として視神経を介して脳に伝わります。

目の構造

角膜:角膜は一般的には黒目と言われるもので暑さ0.5ミリほどの厚さです。角膜は透明な組織で外から入ってきた光を網膜上で合わせるために光を屈曲させる役割があります。角膜は、目の構造上一番外にあり外界に触れやすいため傷つきやすいため傷つくと角膜炎となったりします。

角膜炎について詳しくはコチラ

 

水晶体:水晶体はカメラの機能でいうとレンズに相当する目の器官です。角膜の内側に位置します。水晶体の役割は角膜と同じように光を屈折させて網膜上で合わせる役割があります。
しかし、角膜と違う部分は水晶体は毛様体筋の働きによって水晶体の厚さを変化させることができる点です。近くのものに焦点を合わせるときは、毛様体筋は収縮して水晶体は膨らむことで焦点を合わせようとします。逆に遠くのもに焦点を合わせるときは、毛様体筋は弛緩して水晶体を薄くすることで遠くに焦点を合わせます。

水晶体が白く濁って物が見えづらくなる症状を白内障と言います。

・白内障について詳しくはコチラ

 

硝子体:硝子体は水晶体の内側にある目の器官の中ではとても大きい器官です。硝子体の内部は房水というタンパク質で出来ており、眼球の形を保つ役割があります。硝子体の中の房水がうまく排出されなかったりして房水の量が増えてしまうと視神経を圧迫して視界が狭くなったり、中心暗点ができる緑内障となってしまいます。

また、房水が紫外線などによって物質変化して線維化したものが房水内に漂流してしまうと飛蚊症となってしまいます。

・緑内障について詳しくはコチラ

・飛蚊症について詳しくはコチラ

 

網膜:網膜はカメラで言いますとフィルムの役割で角膜・水晶体・硝子体と通ってきた光を視覚情報として電気信号に変えて視神経を介して脳に情報を送る役割があります。成人では厚さは0.2ミリほどで網膜の中心部分、視覚情報が集中する部分を黄斑部といい、この黄斑部分が変性してしまい物が歪んで見えたり、視界が狭くなってしまう症状を加齢性黄斑変性症といいます。

・加齢性黄斑変性症について詳しくはコチラ

 

 

この4つの視覚情報を伝達する過程で老眼となる原因となってしまうのは、水晶体毛様体筋です。水晶体は目の器官で唯一自分で厚さを変えてピントを調節するととても重要な役割があります。その過程で、老化により厚さを変えることができなかったり、筋力の衰えによって厚さの調整能力が低下すると老眼となってしまうのです。

老眼

 

今増えている『スマホ老眼』とは

老眼は思っているよりも早く発症します。40歳以上は目のピントを調整する能力が衰えてしまう老眼世代にあたります。目の調整能力は20歳がピークと言われてそれを境目に段々と落ちてくるといわれていますが、眼を酷使する現代社会ではその年齢も低年齢化していると思われます。

ピント調節筋である毛様体筋の緊張が強く、簡単には筋肉の緊張がほどけない場合もあります。このような場合、子供ならば仮性近視といい、大人であればスマートフォンを長時間艦見続けてピント調整がうまくいかない『スマホ老眼』の方が急増しています。
そのような方々は、厳密にいうと水晶体の弾力性が失われた状態ではないので「老眼」とは診断されませんが、老眼とほぼ同じような症状がでます。

水晶体の弾力性が失われている老眼と違ってスマホ老眼の方がまだ対処が簡単にできます。

一番は長時間のスマホ操作を避ける・30分以上はできるだけ見続けない・合間に遠くを眺めたり目を温めるなどして目の保養時間を作る、ルテインゼアキサンチンなどの栄養素を摂取するなどの対策を行っていけば、段々とスマホ老眼は回復していく可能性が高いです。

逆にスマホ老眼の状態を放っておいてしまいますと、毛様体筋や水晶体周囲にも血流の悪化などで影響が及ぶ危険性があります。

スマホ老眼には眼科鍼灸

老眼と遠視の違い

老眼と遠視はともに近くのものが見えづらくなるということでは同じですが、原因がまるっきり違ってきます。

老眼は先ほども記述した通り、水晶体の硬化や毛様体筋の機能低下により近くのものが見えづらくなる現象ですが、遠視は、眼軸が原因となってきます。眼軸とは角膜から光の焦点が合う網膜までの距離のことをいいます。遠視とは、この眼軸の長さが短いために網膜よりも後ろで焦点が合ってしまい網膜に映る画像がぼやけてしまうのです。

逆に眼軸が長い場合もあります。その場合は、光の焦点が網膜よりも前に来てしまうため遠くのものが見えづらくなってしまうのです。このような近視も近年若い世代中心に増加傾向にあります。目の周りの筋疲労などで眼球が圧迫されることで眼軸が伸びてしまうタイプです。

・近視について詳しくはコチラ

 

 

老眼となる前兆

体の老化は、人間にとって避けられないものです。老化は進行を遅らせたりと予防は十分に可能です。特に目は視覚情報が人間の情報の6~8割も占めると言われ、特に老化現象を身にしみて感じやすいと言えます。ここでは老眼の前兆となる症状をしっかりと把握して、目の衰えを感じたらすぐに対処していきましょう。

 

・細かい作業をしているとすぐに目が疲れる

・以前に比べると新聞の字が見えにくくなってきた

・目の疲れのほかに肩こり、頭痛もする(眼精疲労

・うす暗い所で視力が低下したと感じる

・普段何気ないときに目がかすんで見える

・物が二重に見える(複視

スマホ老眼

 

これらの症状は老眼のサインと考えられます。一度眼科で調べてもらう必要があります。

 

日常生活での注意点

目に負担のかかる生活を続けていると老眼の進行は早まってしまいます。老眼を予防・症状を軽くするためには治療のほかにも日常生活で目に負担のかかる生活をしないように心がけることが必要です

 

・近くのものを長時間見ない(1時間に10分は休憩を挟む)
・パソコン作業の合間に遠くのものに焦点を合わせて目の筋肉を休める
・温めた濡れタオルを目にかけて目を温める
・有酸素運動を習慣化して体全体の血行を良くする

このような日常生活での注意点を頭に入れておきましょう。

早期老眼にならないために

 

症例

 

40代 女性

症状

最近暗い所で仕事をすることが多くなり、少し気になっていた老眼が一気に酷くなった。もともと視力が悪く眼の疲れも感じやすかったが、最近は特に疲れを感じている。

仕事でも困っているが生活で特に困るのが朝のメイクの時、眼鏡をかけることもできないからなんとかしたくて来院。

 

当院の施術

目の周りの筋肉だけではなく、首肩、背中周りまで広く筋肉の緊張があったため、目の周り、筋緊張が強く出ている箇所に鍼で刺激を与えました。また、血行促進と緊張を緩めるための自律神経を整える治療をも仰向けで行い、相乗効果でお身体の改善を早めていきました。

鍼が初めてとのことなので軽めの刺激から筋肉に届くしっかりめの刺激に増やしていきました。

治療頻度は週に2回です。

 

経過

◇1回目◇

視界が明るくなってきた。眼の周りが軽い気がする。

◇2回目◇

治療後は良かったが次の日には戻ってしまった。

◇3回目◇

の調子がよくなり、メイクする時も少し見え方が変わってきた。

◇4~6回目◇

眼の調子も良いが、周りから肌や髪の毛の調子が良い、きれいになったと言われた。

◇7~10回目◇

眼の疲れが出にくくなってきた。

治療を週に1回にし、現在も通院中

 

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