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めまいの原因とは

水曜日, 7月 23rd, 2025

 

めまいとは

めまいといっても様々な病態があり、生命の危険がある重症なものからちょっとした疲れや体の異常・はっきりと原因のわからないものまであります。
しかし全体的にみるとめまいを訴える方は年々増加しており、今や5人に1人以上の割合でめまいを慢性的に感じています。
めまいは高齢になるほど羅患率は増えてきますが、最近では比較的若い世代の働き盛りの男性や20代・30代の主婦などにも多くみられます。
めまいは様々な疾患を見分けるための重要な症状であり、身体にとっては異常事態を知らせる重要なシグナルでもあるので、まずは原因を究明し、体のどこに異常があるか知っておく必要があります。

◆どの科を受診すべきか◆
耳鼻咽喉科
めまいの多くは、耳鳴り耳塞感などの耳の症状も同時に現れる場合が多いのでそういった場合はまずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

内科
めまいの他に吐き気嘔吐冷や汗などの症状が強く出ている場合は内科を受診しましょう。

脳神経外科・神経内科
めまいに加えて手足の痺れ舌のもつれ物が二重に見える歩行困難意識低下などがみられる場合は早急に脳神経外科・神経内科を受診しましょう。

かかりつけ医
高血圧糖尿病高脂血症などの生活習慣病の治療を受けている場合は薬の影響によるめまいの可能性もあるのでまずはかかりつけ医に相談してみましょう。

大学病院・総合病院
様々な科が集まる大学病院や総合病院では、それぞれの科が連携しており、さらにめまい外来や神経耳科などさらに細かく分かれて診療科が設置されている病院もあります。

 

脳疲労への頭への鍼治療

めまいの種類

めまいといいましても感じ方は人それぞれであり、そのタイプだけで原因疾患を特定することはできませんが、一つの目安となります。めまいの感じ方は大きく分けると「回転性めまい」と「非回転性めまい」の二つに大別されます。さらに「非回転性めまい」ではそのほかいろいろなタイプがあります。

◆回転性めまい◆
回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐると回っているように感じます。激しいめまいである場合が多く、めまいの他に吐き気や歩行困難、難聴、耳鳴りなどの症状も併発する場合もあります。
座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。その場合メニエール病前庭神経炎などの可能性が高いですが、脳出血や一過性の脳虚血発作のような脳の病気の場合もあります。
また寝返りや起床時にめまいを感じる場合もあり、良性発作性頭位めまいと呼ばれています。
一般的に回転性めまいは、内耳などの平衡器官に血流障害や炎症・むくみが起きることが原因ですが脳の障害の場合もあるので注意が必要です。

メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回ると感じる回転性めまいを起こす代表的な疾患がメニエール病です。メニエール病は、40代~50代の方に多く発症し、肉体的・精神的ストレスが引き金になる場合が多いため、現代病とも都会病ともいわれ、近年は増加傾向にあります。
メニエール病の典型的な始まりは、ある日突然何も前触れなしに激しい回転せめまいが起こり、目も開けられずに吐き気がして嘔吐するといった症状が起きます。次いで耳鳴り難聴などの耳の症状があらわれます。めまいの発作は、数時間から半日程度でおさまっていくのが普通ですが、メニエール病が厄介なのは、定期的に発作を繰り返すということです。

メニエール病を引き起こす原因は、内リンパ液が増えすぎる内耳の内リンパ水腫であると考えられていますが、内リンパ水腫を引き起こす原因はいまだ詳しく解明されていません。しかし、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスや仕事や人間関係などからくる精神的ストレスが発症の誘因となることが多いとされており、心身症の一つとしてとらえられています。

 

◆非回転性めまい◆
自分や周囲がぐるぐると回っていると感じる回転性めまいと違い非回転性めまいは回っているとは感じません。非回転性めまいは、めまいの感じ方により「浮動性めまい」「動揺性めまい」「眼前暗黒感」に分類されます。
浮動性めまい
浮動性めまいの場合は、「体がふわふわと宙に浮いた感じがする」や「船に乗っている感じがする」などの身体の不安定感を呈します。両側の内耳の異常でも起こりますが、脳の障害でも浮動性めまいは起こりやすいです。
動揺性めまい
動揺性めまいでは、頭や首・体全体がぐらぐらと揺れているように感じます。実際に歩行してみるとふらつくこともあります。内耳の平衡器官が左右両側で侵されたり、運動をつかさどる小脳に病変が出た場合にあらわれやすくなります。

眼前暗黒感
眼前暗黒感はわかりやすくいうと「立ちくらみ」のことであり、立ち上がった瞬間にくらっと感じたり、長く立っていると眼の前が遠く真っ暗になるなどの症状を呈します。10歳以上の学童に多く見られる疾患でほとんどの場合は耳や脳には異常はありません。

 

※女性に多いめまい
女性の場合特に月経の前1週間ほど前の黄体期に体調が崩れやすく、めまい症状やイライラ感や抑うつ感などの精神的な症状もあらわれやすいとされます。特に現代社会では、女性の社会進出が進み、職場でのストレスや過重労働での体の疲労が男性と同様にかかりそれに加えて育児や家事、独身女性の場合将来への莫大な不安といった心身ともにストレスがかかりやすくなっています。
最初のうち、身体にエネルギーがあるときは何とかやり過ごせますが、それが許容量を超えてしまうと心身がSOSサインをだして心身に異常が出てしまうのです。

また、脳下垂体という女性ホルモンの分泌指令を送る器官は、視床下部という自律神経をコントロールしている器官のすぐ近くにあるため、女性ホルモンの変化が自律神経のバランスを崩れる原因となりがちです。
日常的にも心身のストレス過多状態でさらに黄体期で女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経のバランスが乱され、それがめまいの原因となってしまうのです。
自律神経バランスの乱れ以外にも女性は月経のたびに鉄分が失われるため、脳が虚血状態となり貧血によるめまいが起こりやすいので注意が必要です。それに加えて過度なダイエットで食生活が乱れて栄養が十分に摂取できていない状態ですとさらに月経時にめまいが起こりやすいです。

その他、閉経後に女性ホルモンの分泌低下の影響でカルシウムの吸収が低下して耳石がもろくなり剥がれやすい状態となります。すると耳石が剥がれ落ちてしまい体の平衡感覚をつかさどる三半規管のなかに落ちてしまってめまいが起こる良性発作性頭位めまい症という疾患もかかりすやすいとされます。

 

めまいと共に起きやすい症状

めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状意識障害運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。

・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない

めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。

耳鳴りや難聴が併発する
めまいと耳鳴り、難聴は同時に起こることが多いです。このような場合は脳の疾患の可能性は低くなります。
平衡感覚をつかさどる器官と聴覚をつかさどる器官は、もともと同じ器官から分化したもので両方とも内耳の中で隣り合っています。お互いは細い管で連結しているために密接に影響を及ぼし合います。
また内耳と脳をつなぐ神経は、平衡感覚器から出ている前庭神経と聴覚器から出ている蝸牛神経の2種類でどちらかの神経が障害されるともう一方にも影響を及ぼすためにめまいと耳鳴り・難聴が併発することが多くなるのです。

 

症例

症例 1

40代 男性

2年前から自転車の走行中や電車の中、片足立ちをするとフワフワするようなめまいを感じるようになった。

パソコン関係の仕事が忙しく、めまいが起こった2年前ぐらいから不眠が続いていて、今はめまいだけではなく動悸も感じる。毎日睡眠時間が2~3時間程のため、疲れが抜けきれない。

施術

お話を聞いていると、重度な自律神経失調症の症状であるため、自律神経測定器で計測してみたところ、予想通り交感神経が過活動していた。

まずは、自律神経調節のための施術を行い精神的リラックスを目的として頭のツボに電気パルス鍼を行った。

首肩のコリに関しては、デスクワークのためか非常に強い。首肩が硬くなると脳に対する血流量も下がってしまいめまいの原因の1つになるので、首肩の電気鍼の施術も行った。

長期的な治療になるため、まずは1週間に1回のペースで施術。

◇1回目◇

あまり大きな変化はないが、少しだけ軽くなった気がする。

◇2回目◇

1週間のうちに2日程夜に眠気を感じることが出来た。

めまいは前回から変化なし。

◇3回目◇

めまいはあまり変わらないが、睡眠の質は良くなってきている。

◇4回目◇

片足立ちの時はまだめまいがするが、それ以外の状態ではあまり気にならなくなってきた。

◇5回目◇

睡眠時間が平均5時間まで延びてきた。

◇6回目◇

めまいが少なくなってきた。睡眠時間も安定。

◇7回目~15回目◇

あまり変化はないが、状態は安定している。

◇16回目~25回目◇

仕事が忙しかったり、精神的なストレスがあると症状が酷くなる時もあるが、前ほど悪くならない。

◇26回目~30回目◇

気が付いたらいつの間にか、めまいを感じなくなっていた。

睡眠時間も6~7時間寝れるようになってきた。

現在も通院中。

 

症例 2
70代 女性

1週間前の就寝時に突然のめまい発作と嘔吐が起こり、救急搬送され入院した。画像検査では異常がなく、良性発作性頭位めまい症と診断された。退院後も、時々耳鳴りが起こり、低音域が聞こえにくい状態である。

施術

後頸部や肩に筋緊張がみられたため、筋緊張緩和を目的に鍼を行いました。自律神経測定器の結果、お身体の疲労が溜まっている状態であったため、全身の疲労回復と血流改善のため、自律神経調整施術を行いました。そして、内耳の血流やリンパ液の循環を改善するため、耳周りにも鍼とお灸を行いました。

夜間頻尿にも悩まされていたため、頻尿に効果的とされるツボも用いて施術を行っていきました。

一回目
めまいは起きていない。耳鳴りを感じることはある。

二回目

病院で処三方されている薬を服用していることもあり、めまいは一度も起こっていない。夜間頻尿の回数が減った。

三回目
めまいは起こっていない。耳鳴りも感じなくなった。聞こえの検査結果も改善し、低音域も聞こえている。夜間頻尿が3回から2回に減った。

四回目

薬の服用も止め、めまいは一度も起こっていない。

以降、お身体のメンテナンスのためご来院中。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

後鼻漏(後鼻漏症候群)の鍼灸治療

火曜日, 7月 22nd, 2025

後鼻漏とは

後鼻漏とは過剰に分泌された鼻水が喉の方へと流れ落ちてくる状態をいいます。
後鼻漏はいくら鼻をかんでも鼻水が前方から出ず、絶えず喉に流れ込んでしまいます。その結果、鼻水を口から吐き出し続けるか、飲み込み続けるしかありません

後鼻漏は鼻の不快感を生じさせるだけでなく、咳・痰の原因になったり、重症化すると食事や睡眠などの日常生活まで支障をきたすこともあります。

 

後鼻漏

 

鼻水の流れと働き

 

鼻腔、副鼻腔から分泌される鼻水は、一日に2~4リットルと言われており、分泌される鼻水は通常では違和感なく喉に流れていきます。

また、鼻腔内には「線毛機能」があり、粘液に付着した異物(花粉、ハウスダスト、細菌、ウイルス等)を排除する働きがあります。

ところが、鼻腔内の粘液が少なく乾燥したり、線毛機能が低下すると、細菌やウイルス感染を起こしやすくなるため、花粉などの異物に対しても過敏になってしまうのです。

 

 

後鼻漏になる原因

 

後鼻漏の原因疾患

 

 

後鼻漏は喉の異常として自覚されることが多いようですが、実際には鼻の問題が多くみられます。鼻水が鼻腔の構造により喉の奥へと流れ込むことで起こります。後鼻漏の原因となる疾患としては以下のようなものが挙げられます。

・副鼻腔炎
顔や頭の骨の中に形成された副鼻腔と呼ばれる空洞に生じる炎症です。副鼻腔内に粘り気のある鼻水がたまり、喉へと鼻水が流れます。
副鼻腔炎に対する鍼灸治療について

 

・アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダストなどのアレルギーの原因物質に対する反応によって鼻水が多くなり、喉へ流れる鼻水の量も増えます。
アレルギー性鼻炎の鍼灸治療について

 

 

・風邪症候群
風邪のウイルスに感染し、鼻やのどの粘膜に炎症が起きると、鼻水の量が増え、喉にもたくさんの鼻水が落ちるようになります。発症時、透明でサラサラしていた鼻水は、時間の経過とともに粘り気のある鼻水に変わり、喉の奥ではりついて、痰の絡んだ咳が出るようになります。また、風邪を引いた後に後鼻漏が続く方もいます。そのような場合は慢性上咽頭炎の可能性があります。
風邪に対する鍼灸治療

 

 

・上咽頭炎
鼻の奥にある上咽頭で炎症が起こった状態です。細菌やウイルス感染などで起こり、後鼻漏の原因となります。

 

 

 

後鼻漏の症状

・鼻水が喉へ流れ込んでくる
・咳き込み・咳払い
・痰がからむ
・痰の吐き出し
・喉の引っかかり
・喉の違和感・不快感
・声がれ
・食事への支障
・睡眠障害

 

などが挙げられます。

 

 

西洋医学的治療

診断
後鼻漏の原因を特定するために内視鏡検査で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、あるいは上咽頭炎がないかを確認します。必要に応じて副鼻腔CT検査やアレルギー検査を行います。
後鼻漏の治療方法は鼻水を発生させている原因を治療することが第一です。

治療
◇アレルギー性鼻炎が原因の場合
・抗アレルギー薬の内服
・点鼻薬
・レーザー治療あるいは日帰り手術
・舌下免疫療法
など

◇副鼻腔炎が原因の場合
・抗菌薬などの内服
・ネブライザー治療
など

◇上咽頭炎が原因の場合
・消炎剤や抗菌薬の内服
・ネブライザー治療
・Bスポット療法(上咽頭擦過治療:EAT療法)
・漢方薬の処方
など

家庭でできる対応

 

加湿器

 

乾燥を防ぐため、マスクや加湿器で鼻やのどの保湿をしましょう。ウイルスや細菌感染の予防には、免疫力を高めておくことが大切ですから日ごろからバランスの良い食事と適度な運動を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。

また、アルコールやカフェインなどの脱水症状を引き起こす物質や、たばこや急激な温度変化もできるだけ避けた方が良いでしょう。口呼吸は喉の乾燥につながるため、鼻で呼吸を行うことも大切です。

さらに、後鼻漏の原因となるアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・上咽頭炎などの諸疾患に対して鼻うがい(鼻洗浄)は予防、症状緩和の効果が期待できると言われています。

 

 

後鼻漏に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では後鼻漏は「胃腸の弱り」が大きな原因として考えられています。東洋医学では痰や鼻水のような病理産物は胃腸で作られると考えています。胃腸の弱りには先天的なものと後天的なものがあり、胃腸が弱いことを自覚されていない方も多くいらっしゃいます。

胃腸には消化吸収することと、体に必要なもの・不必要なものを分ける2つの大きな仕事がありますが、胃腸が弱ってしまうと不必要なものを排泄する力も弱ってしまいます。その不必要なものの代表的なものが病理産物である「痰飲(たんいん)」です。

痰飲とは、人体の基本的な構成成分の一つである津液(しんえき:生命活動に必要な水液)が、水分代謝の失調などにより異常な水液と化したものです。痰飲が鼻の奥や喉に停滞すると、後鼻漏が生じると考えられています。

また、五臓の「」は呼吸をつかさどる臓腑ですが、「皮毛をつかさどる」機能もあり、皮膚や粘膜と深い関係にあります。また、「脾(胃腸)」は食物を消化し、「気血を生む源」である臓器です。五行学説では「脾は肺を生む」とされ母子関係にあたります。つまり、胃腸のエネルギー不足が肺のエネルギー不足を呼び、肺の機能が崩れ、そこから邪気の侵入を許すことで、鼻症状を引き起こします。

その他、「肝」機能低下による熱の上昇が肺の潤いを損傷することや、「腎」の機能低下が呼吸機能や水分代謝を低下させることも関与していると考えられています。

 

当院の治療

当院では、免疫機能や内臓機能、全身の血流などに大きく関与する自律神経のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経系のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へと整えます。

東洋医学的観点から、五臓六腑の機能を整えるツボや水分代謝を改善するツボ、冷えを除くツボなどを用います。

また、慢性的な後鼻漏のある方は背骨のゆがみや首(頸椎)に異常があることが多く、背骨に配置されている自律神経の乱れが後鼻漏の症状を悪化させたり、首を流れる血管は顔面にも繋がっているため、首の血流が低下することで鼻の血流も同時に低下させてしまうため、後鼻漏の症状を悪化させる原因になります。

そのため、骨盤から背骨の歪みを整え、首肩周りの筋緊張を緩和し、仰向けで鼻周囲のツボに施術を行うことにより自律神経の働きを整え、顔面部、鼻粘膜への血流を促進し鼻の機能を整えていきます。

 

首か茶の筋緊張緩和

症例報告

症例 1
50代 男性

1ヶ月前に風邪を患い、副鼻腔炎になった。2週間前から後鼻漏の症状が出るようになり、当院にご来院された。日中には黄緑色の鼻水が出たり、痰が絡んだ咳が出る。就寝中、後鼻漏の症状で寝苦しく、睡眠の質が悪い。慢性的な手足の冷えや倦怠感、首肩の凝りにも悩まされている。

施術

1年前から職場が変わり、忙しくなり睡眠時間は4時間と短く、慢性的に疲労を感じていた。慢性的な心身のストレスがあり、自律神経のバランスが乱れている状態であった。自律神経の乱れにより、手足の冷えや首肩コリ、免疫力が低下といった症状がでていたため、自律神経調整の施術を行っていきました。また、鼻の炎症を抑え血流改善のため、鼻周りのツボを用いました。

強い刺激は苦手であったため、浅めの鍼とお灸で施術を行いました。

来院頻度は1週間に1回。

一回目

施術後は身体が温まり、全身の力が抜けリラックスできた。

二回目

首肩こりが以前より軽くなった。

後鼻漏の症状が減り、就寝中に後鼻漏の症状で起きるのが1回だけになった。

三回目
後鼻漏の症状は治まった。

便秘症の鍼灸治療

火曜日, 7月 22nd, 2025

便秘症に対する当院での鍼灸治療

当院では、自律神経から体の自然治癒力を高めて、治療していきます

始めに自律神経測定器により身体のなかのバランスを測ります。
自律神経の状態はひとにより様々のため治療もその方その方に合ったオーダーメイドの施術が必要になります。
自律神経測定器により、交感神経と副交感神経の活動レベルとバランスを調べて、疲労度や、肉体的ストレス精神的ストレスなどを考慮したうえで治療を行うので、効果が高まりやすいです。

便秘症の鍼灸治療

腸内環境は自律神経が統括していますので、自律神経がストレスによって乱れるとすぐに腸内環境にも影響します。
自律神経を整えることが症状改善の早道だと言えます。鍼灸治療を1時間ほどのゆっくりした時間で受けると自律神経が整いやすいです。

自律神経を整えるには、施術だけではなく受けていただく方の生活習慣にもアドバイスをさせて頂きます。
睡眠不足や偏った食事、朝食の摂り方など、便秘を改善するための習慣を身に付けていただきます。

東洋医学アプローチ
便秘の鍼灸治療では胃や腸の調子を取り戻すようにします。胃、脾、大腸などが乱れているために便秘が引き起こされるので、これらの経絡経穴を用いて、体の不調を治していきます。

 

便秘症のはり灸治療

 

便秘改善のための指導
食物繊維が多く含まれたものをよく摂取してもらいます。

リンゴ
・サツマイモ
・カボチャ
・ニンジン
・ホウレンソウ

など
これらを一度に大量に摂ってもらうのではなく、一日に何回もとってもらうのがいいでうす。
運動
運動により腸の蠕動運動を促しますので、40分程のウォーキングがおすすめです。

 

水分の摂取
水分は柔らかい便にするために必要ですので、便秘の方は、今までよりも多くとってもらいます。

 

脂肪の摂取
脂肪は腸内を滑らかにしますので便の通りを良くします。

通院間隔は、始めの2回から3回ほどは3日置きに来ていただき、効果が出始めましたら1週間に一度、2週間に一度と空けていくのが理想です。症状が治まったあとは再発や予防のためにも月に一度は通われることお勧めします。
症状の度合いや個人差もありますので、上記の通院間隔は参考までに見てください。

 

便秘症の鍼灸治療症例

 

30代 女性
中学生頃から慢性的な便秘症に悩まされていた。3~4日出ないこともよくあった。社会人となり、仕事などでストレスを多く受けると便秘症がさらに悪化。ひどい時は1週間も排便できない時があった。ある時、お腹に強い違和感を感じたため、病院を受診。特に腸の障害は見られずに便秘症と診断されて整腸剤と便秘薬が処方された。薬を服用すると一時的には軽快するが、少しするとまた便秘となり、薬に頼ることを繰り返していた。
このままでは、一生薬を飲み続けないといけないと思い、ほかの対処法はないかと東洋医学に興味を持ち当院にご来院された。

治療
問診の結果、あまり日常生活で野菜や果物などの食物繊維を摂らずに運動習慣もほぼない状態でしたので日々の食生活に注意していただくこととウォーキングなどの運動習慣をもっていただきました。また自律神経の状態を計測したところ自律神経の状態も乱れており、交感神経の活動が異常に高い状態でした。自律神経の状態を整える治療と東洋医学的観点より胃や大腸などの重要な経穴を用いて治療していきました。

◇1~3回目◇
食後などお腹が動いていることを実感。今までにあまりなかった感覚とのこと。4日おきくらいに排便。おならはよく出る

◇4~8回目◇
便秘薬を使うことが少なくなってきた。調子が良いと2日に1回ほどの排便

◇9~12回目◇
毎朝朝食をとると排便したいと思うようになってきた。それでも出ない時もあるが平均すると2日に1回は排便できるようになった。

便秘で悩まれている方は、一度当院の鍼灸施術を受けてみてください。
ストレスにさらされると自律神経の働きが乱れるため、正常な腸の運動が行なわれなくなり、便秘につながることもあります。

 

40代 女性

以前から便秘に悩まされていて、ひどい時は1週間近く排便がない。

特に忙しい次期や、寝不足が続くと便秘になりやすく、症状改善を希望して当院に受診した。

普段はデスクワークで自宅で仕事をしているためほとんど動くことはない。最近は運動不足を解消するために、スポーツジムに通い始めて、運動を始めたら以前より便秘の症状が軽快してきた。

便秘が数日続くと便が固まってしまい、便意があっても便が硬くて出にくいため非常に苦しい。

毎回力いっぱいリキむためトイレに行くたびに疲弊してしまう。

もともとストレスも感じやすく、便秘以外にもデスクワークによる首肩の痛み、不眠、全身の体の疲れもある。

当院の施術

大腸の動きは自律神経がコントロールしており、自律神経の働きが乱れると大腸の蠕動運動が低下し便を運ぶ動きが弱くなってしまいます。また、大腸で便の余分な水分が吸収されるのですが、自律神経が乱れると過剰に水分が吸収されすぎてしまい、そのため便が硬くなりすぎて排便が難しくなります。

そのため、自律神経を整える施術をベースに腸の働きを促進さる経穴を組み合わせて施術を行っていきました。

 

経過

◇1回目◇

その日の夜、大量に排便できた。

久しぶりにスッキリした。

 

◇2回目◇

前回の施術から少しずつまた便秘に気味になってしまった。

今回も施術した日は快便になる。

 

便秘症とは

 

便秘とは3日以上排便が無い状態、または毎日排便があっても残便感がある状態と定義されています。

ですが、これは明確な定義ではないようです。健康な成人は一日に一回の排便をしますが、これも排便習慣により個人差が大きく分かれるため、毎日排便しても、排便困難を感じる場合もありますし、便が柔らかい状態で2日から3日に一度の排便の方でもなんら苦痛を感じない方もいます。下痢や柔らかい便であっても便秘になることはあります。

排便困難や残便感があって苦痛を感じる場合に便秘異常だとして、治療をお勧めします。

便秘になると腸内環境が悪くなりますので、全身の血行循環の悪さに繋がり、肩こり腰痛などを強くしたり、肌荒れなどの全身症状までに影響します。

 

食べ物が、排便となるまでには口から摂取して、長い道のりで大腸にたどり着きます。口から摂取したものが排泄されるまでにかかる時間は健康な人で、24時間から72時間だといわれています。

だいたい、大腸にたどり着くのは食後5時間前後だと言われています。

大腸では、小腸で吸収されなかった、水分や無機質の吸収を行います。ここで消化過程の最終働きが行なわれます。この大腸部分に便が何日もいると水分吸収がますます進み硬い便に変わってしまいます。

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便秘症に対する電気鍼治療の研究

日経メディカルの記事に電気鍼治療の慢性機能性便秘症の有効性に対する記事が掲載されています。

「電気鍼は慢性機能便秘の治療に有効」

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201701/549793.html

記事の内容は中国医科学院広安門医院の重症の慢性機能性便秘に行った臨床研究の内容が掲載されています。

研究では、便秘を引き起こす器質的な疾患が検査でも出なくて1週間当たりで排便回数が平均2回以下の状態が3か月以上継続していた18~75歳の患者1712人に対して行われています。その患者を電気鍼治療を行う群とシャム治療(鍼治療を行わない)群に分けて電気鍼治療に有効性があるのか研究されました。

結果は、治療開始から1週から8週目までの自然排便回数が週あたりで1・76回の増加がみられたとのことです。それはシャム治療群より0.9回の増加がみられ、9週から20週までの期間では1.96回の増加が見られました。また週に平均3回以上の自然排便があった割合では37.7%と鍼治療の有用性が認められています。

便秘症の原因

 

便秘には、続発性便秘と突発性便秘の二つに大別されます。

続発性便秘
続発性便秘とは、器質性便秘ともよばれます。薬などの副作用や病気が原因で起こるものです。病気としては、大腸癌イレウス腸管癒着などがあります。この種類は病気ですので、ただ排便ができないだけではなく、血便や激しい痛み、吐き気なども出る場合もあります。その場合はすぐに病院へいかれた方がいいです。

突発性便秘

突発性便秘とは、機能性便秘とも呼ばれます。大腸の運動や直腸の機能異常が原因で起こるものです。この中には食事性や直腸性、痙攣性、弛緩性などの便秘に細分類されます。
直腸性便秘は、高齢者や排便を我慢する方に多く、便が直腸に達しても排便反射が起こらずに便が滞ってしまう状態です。
痙攣性便秘は、ストレスや過敏性腸症候群が誘因となることが多く、腸管の緊張により便が上手く運ばれないために起こるものです。これは便秘と下痢を繰り返して起こすこともあります。
弛緩性便秘は、女性や高齢者に多く、極端なダイエットや運動不足、水分不足、食物繊維不足などが原因となって起こり、腸の蠕動運動が十分に行なわれないことにより起こるものです。

 

男性より女性に多い理由として、男性よりも腹筋などの筋力が低いためや、女性ホルモンの黄体ホルモンが水分を蓄積しようと働くため、排便に十分な水分がなくなり便秘になりやすい。このような理由から男性より女性の方が便秘になりやすいという科学的根拠があります。

 

症状の度合いや個人差もありますので、上記の通院間隔は参考までに見てください。

 

 

便秘を改善させる生活習慣や食材

 

便秘を解消するためには、以下の生活習慣を取り入れることが効果的です。

 

適切な食事

食物繊維を多く含む野菜、果物、穀物などをバランスよく摂取しましょう。食物繊維は腸の動きを促進し、便通を改善します。また、水分をしっかり摂取することも大切です。

 

運動

適度な運動を行うことで腸の動きが活発化し、便秘の解消に役立ちます。ウォーキングやストレッチなど、日常的に続けられる運動を取り入れましょう。

 

規則正しい生活リズム

規則正しい生活リズムを整えることで、体内時計が整い、腸の動きも安定します。食事、睡眠、排便などを一定の時間に行うように心がけましょう。

 

ストレス管理

ストレスが便秘を引き起こす要因の一つです。ストレスを溜めないように心がけ、リラックスする時間を取り入れることが大切です。

 

 

 

便秘解消に効果的な食材には、以下のものが含まれます。

〇食物繊維が豊富な食品

野菜(ほうれん草、レタス、キャベツなど)、果物(りんご、バナナ、イチゴなど)、穀物(オートミール、全粒穀物パンなど)は、腸の動きを促進し、便通を改善します。

〇水分を多く含む食品

水分を多く含む食品は便の柔軟性を高め、排便をスムーズにします。例えば、スープ、果物、野菜など水分を多く含む食品を摂取しましょう。

 

〇プロバイオティクス

ヨーグルトや発酵食品(キムチ、納豆など)に含まれる善玉菌は、腸内環境を整え、便秘を改善します。

 

〇オメガ-3脂肪酸

オメガ-3脂肪酸を含む食品(魚、亜麻仁油、チアシードなど)は、腸の健康をサポートし、便秘を緩和します。

 

〇マグネシウムを含む食品

マグネシウムは腸の収縮を促進し、便通を改善します。マグネシウムを多く含む食品には、ほうれん草、アーモンド、バナナなどがあります。

 

 

避けたい生活習慣や食材

便秘を解消するために、以下の食材や生活習慣は控えるか避けることが良いでしょう。

〇加工食品や精製された食品

高脂肪や高糖質の加工食品や精製された食品は消化が遅くなり、便秘を引き起こす可能性があります。これらの食品を避け、できるだけ自然な形での食事を心がけましょう。

 

〇低食物繊維の食品

食物繊維が少ない食品は腸の動きを促進しづらく、便秘を引き起こす可能性があります。白米や精製されたパンなどの低食物繊維の食品は避け、代わりに全粒穀物や野菜、果物を選びましょう。

 

〇過剰な乳製品の摂取

過剰な乳製品の摂取は一部の人にとって消化が難しくなり、便秘を引き起こすことがあります。乳製品に過敏な人は、摂取量を調整したり、代替品を探したりすることが良いでしょう。

 

〇運動不足

運動不足は腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす可能性があります。適度な運動を日常的に行い、体を動かすことで腸の健康を維持しましょう。

 

〇ストレスや不規則な生活リズム

ストレスや不規則な生活リズムは腸の動きを乱し、便秘を引き起こす可能性があります。ストレスを軽減し、規則正しい生活リズムを整えることで、便秘を予防することができます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ブシャール結節の鍼灸治療

土曜日, 7月 19th, 2025

ブシャール結節とは

ブシャール結節とは変形性指関節症の一種で指の第二関節(PIP関節)の軟骨が摩擦することで関節の変形、腫れ、痛みや動きの制限が生じる病気で、40代以上の女性に多く見られます。へバーデン結節(指の第一関節の変形性指関節症)と合併することもあります。

 

結節とは

関節内で骨と骨との摩擦により生じた骨の変形部分に骨組織が異常増殖する結果、その部位の骨が腫大したものです。

 

手指の写真

症状

指の第二関節の痛みや腫れ、こわばり、変形、水膨れ(ミューカシスト)などの症状を伴い、変形が進行すると、関節を動かすことが難しくなります。

また、雑巾が強く絞れなかったり、ペンや箸をうまく使えないなど、日常生活に支障をきたすような症状が現れることもあります。

 

 

原因

 

原因ははっきりと解明されていませんが、加齢による軟骨組織の減少と、過度な手指運動が発症に関与していると考えられています。

女性ホルモンとの関連も指摘されており、腱や滑膜(関越を包む膜)の腫れをとる抗浮腫作用のあるエストロゲンが減少することで、関節に炎症が起こりやすくなるとも考えられています。

エストロゲンの急激な減少は更年期や妊娠時、授乳期に起こりやすいといわれています。また、家族歴、肥満、手の外傷の既往、前腕の筋力が強い(関節負荷がかかりやすい)、関節の弛緩などが変形性手関節症のリスク因子として挙げられます。

 

 

西洋医学的治療

問診、視診、触診、画像検査などを行います。診断をするうえで最も重要な検査はレントゲン検査で骨と関節の状態(軟骨の擦り減りや骨棘の有無、関節裂隙の狭小化など)を確認します。また、関節リウマチや感染症などと鑑別するために、血液検査で炎症反応やリウマトイド因子などを調べることもあります。

治療は保存療法として患部の安静と消炎鎮痛剤の外用や内服、レーザー照射、温熱療法、テーピングや装具による固定、関節内へステロイド注射などがあります。

保存療法で症状が改善しない場合や関節の変形が強く日常生活に支障をきたす場合などには指を曲げる機能を担う「腱」を部分的に切除したり、指の第二関節を固定したり、人工関節に置き換える手術を行う場合があります。

東洋医学的考え方

中医学では筋、関節などの疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺証の「痺」は通じない、塞がるという意味を持っており、体の気血の流れ(神経、血液の流れ)が生体の弱りに乗じて風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの身体の外部からの因子によって妨げられて起こると考えられています。

痺証の代表的な種類

・痛痺(寒痺)
寒邪が強い痺証で温めると良くなり、冷やすと悪化します。熱感や赤みが無く痛みが強い特徴があります。

・行痺(風痺)
風邪が一番強い痺証で風邪の性質である遊走性があり、痛いところが変わる遊走痛、冷風に当たると悪化する特徴があります。

・着痺(湿痺)
湿邪が強い痺証で、局所の腫脹、重だるさ、固定痛、雨天での痛みの増加、飲酒での悪化などが特徴です。

・熱痺

関節や筋肉が赤く腫れ熱感を持ちます。発熱、口喝、患部を冷やすと気持ちが良いなどの特徴的な症状が見られます。熱がこもっているため熱を消そうと体が冷たい物を欲します。全般的に熱をイメージする症状が多いことからこの名前が付けられています。リウマチなどの膠原病の活動期によく現れる病証です。

また、痺証は血虚、瘀血(おけつ)腎虚を伴うことが多く、血虚や瘀血は気虚から伸展して現れると考えられています。

東洋医学では「肝は筋を主り、腎は骨を主る」との言葉があります。そのため肝や腎の働きが弱れば筋や骨にトラブルが起こりやすくなるのです。また、腎と肝は支え合う関係にあり、どちらかが弱ればもう片方も弱りやすくなってしまいます。

 

 

尿閉のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

当院のブシャール結節に対する鍼灸治療

 

内臓機能や免疫機能、血液循環などを司る自律神経の調整やホルモンバランスの調整施術を行い、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。また、ブシャール結節の方は首肩周り、胸部、前腕の筋肉が緊張しやすいため、まずその部分の筋緊張を和らげ、手指の血液の循環を促進します。

東洋医学的観点から患部に関係する経絡の流れを整えるツボ、腎や肝の機能を高めるツボ、気血を補うツボも取り入れていきます。

患部である指先は感覚が鋭敏で痛みを感じやすいため、基本的にはお灸でアプローチしていきます。鍼を用いる場合は美容鍼など痛みを感じにくい非常に細い鍼を使用していきます。

全身的なバランスを整え、患部やその周囲の血流を良くすることで痛みや腫れを緩和する効果や関節可動域制限の改善、変形の進行を抑える効果が期待できます。

 

ストレスで過食気味・食欲不振

金曜日, 7月 18th, 2025

過度なストレスは食事にも影響が出ることがわかっています。それが、人によっては食べ過ぎてしまう場合と食欲があまりわかず食べることができない場合とがあります。

それらを総称して摂食障害といいます。

摂食障害とは

摂食障害とは心理的な問題が背景となり、食行動に異常をきたしてしまう疾患のことです。

食事をほとんど摂らなくなってしまう拒食症と、極端に大量に食べてしまう過食症があります。拒食症は10代で発症する人が多く、過食症は20代に多い傾向があります。いずれも90%が女性です。

 

神経性食欲不振症

神経性食欲不振症は、主に瘦せたいという願望の強い女性に多くみられる疾患です。その他にも心因性の過度なストレスからも神経性食欲不振症となるケースもあります。
身体的な異常が見られず、精神的な問題から食べることを拒んだり食べようとしても食事が喉を通らない状態です。
生活していくための必要な栄養素を身体に摂り込まないため栄養失調や過度な痩せ型となり、症状が進行してしまいますとうつ病や自傷行為に及ぶ危険性があります。

 

神経性過食症

過食症には食べた分だけ吐き出す過食嘔吐と全く吐かずに食べ続けるケースがあります。過食嘔吐は、食欲のコントロールが出来なくなり我を忘れて食べ過ぎてしまう症状です。その後、「なぜ食べてしまったんだろう」と罪悪感や嫌悪感を抱き、そのことをなかったことにしようと意図的に吐きます。

食べた分吐いてしまうため見た目には変わることがあまりなく、周囲からは気付かれにくいです。

また、次第に吐くこと慣れていき「多少食べ過ぎても吐ける」という意識から、過食がエスカレートすることも見受けられます。体内から食べ物を早く出すために下剤を使用するケースもみられます。吐くことが日常化すると胃酸により食道が荒れます。胃酸が口腔内まで逆流すると歯がぼろぼろになる危険性があります。下剤の使用も長引けば腸の蠕動運動を鈍くさせ、排便状態にも影響を与えてしまいます。

吐かずに食べるケースは、食欲のコントロールが出来なくなり我を忘れて食べ過ぎてしまいます。

短い期間で大量の食べ物を摂取してしまうことに対し精神的にも身体的にもストレスになり、それが引き金となってさらに過食をしてしまいます。

・特定不能の摂食障害

原因が分からない摂食障害も多いです。しかし、多くは強迫性障害やうつ病などの心療内科系疾患を患っている場合があり、その点から治療のアプローチしていきます。

原因

・社会的要因

モデルは痩せていて体型が美しい・テレビに出ている女優に憧れるなどのような社会的・文化的要因によって摂食障害が引き起こされる根本の考えがある場合が多いです。

・心理的要因

否定的な自己評価、あるいは低い自尊心(自己評価)が摂食障害の危険因子の一つとして考えられています。何気なく周囲から体系について指摘されたり一度ダイエットをして成功し周りから褒められたなどの体験があると過度な方向へ傾き摂食障害になってしまうこともあります。

また、完璧主義者は神経性食欲不振症に、抑うつ状態不安のある人は神経性過食症の発症と関連があると報告されています。

 

・家庭環境

両親の離婚や、摂食の貧しさ、あるいは親からの高い期待や偏った養育態度・幼少期の食習慣も発症の要因ともいわれています。
家族から食事内容や体重についての批判的コメントも発症に関与してる可能性があると考えられています。

 

・遺伝的要因

遺伝的な要因も摂食障害の発症に関係する場合もあります。

 

行動異常・身体症状

 

摂食障害では様々な行動異常身体的症状が出ます。

摂食行動異常

・拒食
・食事制限
・絶食
・隠れ食い
・盗み食い
・無茶食い

など

 

排出行動

・嘔吐
・下剤
・利尿薬の乱用

 

身体症状

・疲れやすい
・冷え性
・不眠
・無月経
・低体温
・低血圧
・不整脈
・便秘
・下肢のむくみ
・皮膚の乾燥
・抜け毛
・胃酸の逆流による虫歯
・食道の炎症とそれによる吐血

など

 

 

また、摂食障害は単なる食行動の異常というだけでは済まず、急激な体重の変化や嘔吐による身体へのダメージ、そして別の精神疾患の併発など様々な影響を及ぼします。

 

 

心理的症状

集中力の低下、仕事の能率低下、こだわりが強くなる、不安、抑うつ、イライラ、人との交流を避ける、性的興味がなくなるなど

 

西洋医学的治療

神経性食欲不振症そのものを治す特効薬は、現在のところありません。ただし、不安感や抑うつなどの二次症状を和らげるため、セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)や向精神薬が使用されることがあります。

過食症の場合も精神薬の処方や認知行動療法が行われます。

どちらの場合にも周りのパートナーや家族のサポートも重要になってきます。

 

当院の鍼灸治療

 

当院でははじめに内臓機能や自律神経のバランスを計測し、お体の状態を把握したうえで治療へ移ります。自律神経のバランスを整えていくことは摂食障害を改善させていくうえでとても重要になります。

また、東洋医学的観点から脾、胃、肝などを始めとした五臓六腑の機能調整と気血を補うツボを用いて五臓六腑の働きを正常に戻す治療を行っていきます。

貧血の自律神経調整鍼灸

その他、過食の場合満腹中枢を刺激するツボが耳にあるのでその部分に貼るタイプの鍼も施術して食欲を抑える施術を行っていくこともあります。

 

 

テレワークでも集中力を持続させる方法とは

木曜日, 7月 17th, 2025

緊急事態宣言による外出自粛で多くの企業が在宅ワークとなっています。

その環境の中で多くの人が職場よりも仕事が捗らない・集中力が続かないという悩みを抱えています。

なぜ集中力が続かないのか

集中力は生まれ持った才能や遺伝によって左右されると思いこまれている方も多いかもしれません。
しかし、集中力が続かない原因は環境であったり、習慣によって左右されるものだということが研究などからわかってきています。

逆を言えば集中力は生まれ持ったものでもなく集中力が続かないという方は、環境や習慣を変えれば集中力は獲得できるのです。

まず集中力を作り出す部分は、脳の前頭葉というおでこ辺りの部分がつかさどっています。

前頭葉は前頭前野という部分が大半を占めており、特に人間は他の動物と比べてこの前頭前野という部分が発達しています。

前頭前野には
・考える
・集中
・記憶
・感情のコントロール
・判断
・応用
・アイデアを出す

など、とても人間にとって重要な役割を担っています。前頭前野は人間の進化の過程で他の動物と比べて大きく進化していったということがわかっています。
この前頭前野が疲弊したり衰えてしまいますと

・集中力が続かない
・感情をコントロールできない
・物忘れが増える
・判断力が鈍る
・やる気が起きない

などの状態になってしまいます。

不眠症

人間の脳は多くのエネルギーを使うといわれ、エネルギー不足に陥れやすい部分でもあります。しかし、脳が疲れたとは自覚的に感じられずに集中力の低下やイライラしたりといった反応として身体にサインを出すのです。

前頭葉の思考や感情をコントロールしている力を「ウィルパワー」と呼びます。このウィルパワーの研究は大学でも研究されており、筑波大学教授の櫻井氏によりますとウィルパワーは高い意志力と定義され、ウィルパワーの失調はやる気の低下やうつ、引きこもりの原因になると考えられています。http://willdynamics.com/area/

 

やる気の低下の鍼灸治療について
うつ病の鍼灸治療について

ウィルパワーは前頭葉における体力のようなものと捉えると考えやすいかもしれません。

ウィルパワーには、一定量があり集中力を使ったり物事を選択する際などに消費すると考えられています。したがって集中力を持続させるにはこのウィルパワーの消耗・枯渇を防ぐことがカギとなります。
仕事の際中にあれこれと考え込んだり、どうしても決めないといけない重要な選択をしたあとに気疲れして仕事が手につかないという経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それは、このウィルパワーを消耗してしまって集中力や判断力が鈍ってしまった結果だと考えられます。

ウィルパワーを節約するには

ウィルパワーの出どころは、前頭葉ただ一つだけです。しかし、ウィルパワーを消耗してしまう部分は仕事以外にも数多くあります。
友人や家族との関係であったり、食事の選択などの日常生活での決定もウィルパワーを消費してしまいます。
これは、例えば家族や友人と喧嘩して考え込んでしまったり、趣味のスポーツでいい成績が上がらずに少し落ち込んだりして仕事に集中できないといったことです。仕事とプライベートを一緒にするなと思われるかもしれませんが、脳の構造上それは仕方の無いことなのです。

選択する機会を減らす

仕事でウィルパワーを発揮するためにまずは日常生活で「無駄な選択」を減らすことを心がけるが一番手っ取り早い方法です。いきなり家族関係を良くしようとかは無理な話かと思います。
しかし、何気ない日常生活での選択もウィルパワーを消耗することがわかっており、まずはその部分を減らしていくことが先決です。

前頭葉には、何かをやるやらないといった選択やなにを望むといった決断を担う領域があり、日常の些細の選択や決断でもウィルパワーは消費されていきます。

例えば、毎日着る服や食事です。出かける時に服を選ぶときにもウィルパワーは使われますし、今日何を食べるかという決断を下す際にもウィルパワーは使われます。
よく知られたことですが、元apple社のスティーブ・ジョブズは、毎日黒のタートルネックとジーンズにスニーカーという服装をしていました。あれはただ単にスティーブ・ジョブズがファッションに無頓着だったということではなく、意識的に余計な選択を避けていたからだと言われています。

食事に関しましても元プロ野球選手のイチローさんは、現役時代毎日奥様が作った同じカレーを食べていたという話があります。これは食事の選択を避けて余計な考えを避けることでウィルパワーの消耗を抑えてより試合に集中するためだったのです。

このお二人の話は、少し極端かもしれませんがその他スポーツ選手でもゲン担ぎで試合前は同じ食事を食べたり、試合の日は同じものを身に付けたりする話はよく聞きます。

これらは、同じルーティーンをすることで無駄な選択・決断を避けてウィルパワーを溜めて試合に集中力を発揮するためだと考えられます。

これを生かし日常生活でも季節によって一週間曜日で服装を決めたり、毎日同じものを食べると栄養が偏るので1週間単位で食事を決めることでウィルパワーの消耗を抑えることができるかと思います。

在宅ワークで選択・決断を減らして集中力を高める

在宅ワークでは、普段の職場よりもより自由度が増す方が多いかと思います。
自由度が高いということは、普段職場で仕事をしている時よりもより選択と決断する機会が増える可能性が高くなります。

例えば、職場で休憩する時は休憩する内容が限られてきますが、家ではテレビで息抜きや少し買い物したり、休憩の間に家事をしたりと選択肢が増えます。

仕事中も誰にも見られていないということで読みかけの本や漫画目が行ったり、スマートフォン、テレビやパソコンでのネットサーフィンなど集中をそらすものが視界に入ります。そういった環境で余程意志が強い人以外では、意志が仕事以外にそれても不思議ではありませんし、何をするかしないかの選択を迫られることでウィルパワーを消耗して集中力がそがれてしまう危険性が高くなります。

まずは在宅ワークでもルーティーンを決めることをお勧めします。朝は決まった時間に起床して食事をとり、出勤と気と同じように着替えて外を歩いて帰ってきて仕事に入る・休憩時間や食事内容もある程度決めて在宅ワークでのルーティーンをつくりましょう。

帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療

また、仕事スペースには仕事以外のものを置かないようにして仕事をしている時には、視界に仕事以外の物が入らないようにしましょう。できれば仕事部屋を設けてそこには仕事以外の物を持ち込まず集中できる環境づくりがベストです。物が少ない環境の方が仕事の集中力が増すという研究結果も出ています。

集中力を持続させることができる人は、なるべく余計なことにウィルパワーを消耗せずにより重要な仕事にウィルパワーを集中させてテレワークでも成果を上げているのです。

筋・筋膜性疼痛症候群に対する鍼灸治療

火曜日, 7月 15th, 2025

筋・筋膜性疼痛症候群とは

筋・筋膜性疼痛症候群とはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、1980年代にアメリカでJanet G. Travell 医師とDavid G.Simons医師によって発表された比較的新しい疾患です。

この病気に対するに一度は医師の間でも認知度が低く初期の段階で適切な治療を受けること自体が難しく治療の開始が遅れることで完治を難しくしている実情もあると言われています。

 

筋・筋膜性疼痛症候群は、筋や筋膜が原因で生じた痛みの総称であり、様々な痛みを生じさせる疾患に関与していると考えられています。

例えば

筋・筋膜性疼痛症候群

 

が挙げられます。

顎関節症の鍼灸治療について
筋緊張性頭痛の鍼灸治療について
頸部痛の鍼灸治療について
肩痛の鍼灸治療について
腰痛の鍼灸治療について

 

これらの痛みは、血液検査やMRI・CTなどを使って検査しても見つけることができません。原因が特定されず慢性的痛みに悩まされることが特徴です。近年では、筋・筋膜由来で痛みが発生していることが数多くの研究などで報告されており、慢性痛みの原因として筋・筋膜性疼痛症候群は注目されています。

筋・筋膜が注目されるようになった要因として、筋肉が体を動かす運動器としての役割以外に感覚器としての役割を持つことが明らかになりつつあるからです。

筋・筋膜性疼痛症候群の症状は、人によって痛みが出る部位や痛みの程度は異なります。ひどい場合ですと歩行時や立つ時などでもとても強い痛みを感じて日常生活に多大な支障をきたす場合もあります。

例えば激しい運動などで筋肉に大きな負荷をかけた場合に筋肉は損傷しますが、その際に筋肉は収縮して筋肉痛を引き起こします。その筋肉が収縮した状態が長く続くと筋肉がより強い収縮、筋拘縮状態となって痛みを出し続けます。それが、筋・筋膜性疼痛症候群の原因となるのです。例では、激しい運動ですが、それが日常的な無理な姿勢が続いていたり、転倒や打撲などで強い衝撃が筋肉に加わった場合でも筋

筋・筋膜性疼痛症候群とトリガーポイントの関係

筋・筋膜の痛みがでる部位をトリガーポイントといいます。近年では西洋医学でもトリガーポイント治療が注目されており、病院でも痛くて縮んでしまっている筋肉に局所麻酔を注入するトリガーポイント注射が行われているところもあります。

トリガーポイントとはその名の通り、いたみの引き金となる点のことです。トリガーポイントの特徴は、

トリガーポイント

などが挙げられます。

関連痛とは、痛みとなる原因部位とは異なる部位に実際では痛みを感じることです。トリガーポイントの考えでは、圧迫して痛みが出た部分が痛みの原因となっている部位とは限らないということです、例えば、筋緊張性頭痛で見られる側頭部の痛みでは、側頭部の筋肉の異常ばかりでなく頸肩部の筋肉に原因がある場合があるのです。
また、自律神経反応では、トリガーポイントを押したときに鳥肌がたったり汗が出ることがあります。これは、トリガーポイントに交感神経遮断剤を注入すると痛みが軽減されたという研究もあり、痛みを取り除くためには鍼灸治療で交感神経の活動を抑制させることが有効だと考えられます。

EDのうつ伏せ鍼灸治療

トリガーポイントの鍼治療

トリガーポイントの鍼治療では、まずトリガーポイントを探し出すことができるかがポイントとなります。それには、しっかりとした触診が重要です。

トリガーポイントを探し出す

この3つの探し出すポイントが2つ以上当てはまる部位がトリガーポイントととして推奨されています。

触診

トリガーポイントに鍼を刺すことで鍼治療の特徴である鎮痛効果筋弛緩作用、局所の血流改善によって発痛物質の除去などによって症状改善をはかります。

筋膜性疼痛の鍼治療

また鍼灸治療は自律神経系にも作用することが知られています。筋・筋膜性疼痛症候群では、交感神経遮断剤を注入することで症状改善がみられたという文献もあり、全身的な診療によって交感神経の活動を抑えて副交感神経の活動を高めることで症状を改善させます。

リモートワークによる首肩こりの不調に対する鍼灸治療

さらに当院では自律神経測定器が設備されており、初診時に自律神経の状態を測定していくことが可能です。

 

EDの鍼灸治療

月曜日, 7月 14th, 2025

EDに対する当院の鍼灸治療

 

EDは東洋医学では陽萎と言います。

先天の気である腎の(陽気)の弱り(萎える)と考えられています。

EDは古くから存在し、鍼灸や漢方などでも治療されていたと記されています。

東洋医学の腎(腎精≒生殖力)は年齢とともに弱くなってきます

腎精の力が低下する要因としては過度なセックス(房事過多)暴飲暴食(飲食不摂)過労(労倦)といったところが腎の気を消耗することに繋がります。

つまり、生活習慣や食生活、性習慣も含めた部分も見直す必要があると言えます。

 

当院では全身調整治療で自律神経のバランスを整えていきます。自律神経は自分の意思とは無関係に働く神経で、勃起するメカニズムにおいても自律神経の働きが大きく関係しています。

 

勃起することは交感神経が優位になると思われがちですが、これは逆で副交感神経が優位になることで勃起・射精ということがおこるのです。

 

つまり副交感神経の機能が低下していておこる場合や交感神経の機能亢進でEDが起こることがあるということです。ですから最初に自律神経のバランスを整えていくわけです。自律神経調整治療に加えて腎の陽気を補う(補腎)の治療も行います。

EDの腎を補う鍼灸治療

 

人によっては肝・心経にも反応があるため、反応点には施術していきます。それに加えて骨盤内動脈の血流量を増やすために下腹部と仙骨穴に置鍼+電気刺激を加えていきます。

EDの下腹部に対する鍼灸治療

 

EDのうつ伏せ鍼灸治療

 

EDの患者の治療効果は高く、鍼灸治療をうけた翌日の朝は勃起する感覚があるなどの声も耳にします。

 

 

EDの鍼灸治療症例

 

30代男性

当院にご来院される半年前に仕事環境の変化や仕事が多忙となり、睡眠時間も低下してしまった。夜寝る時間も遅く、奥さんとも寝る時間が合わなくなってきて自然と性交渉をおこわなくなってしまった。段々と仕事が落ち着いて時間ができるようになり、いざ性交渉をしようとしたところ全く勃起しなくなってしまった。
日を変えても同じ結果で、様々なサプリを試したがまったくよくならなかったため当院にご来院されました。

治療
まずは、しっかりと問診を行った上で自律神経測定器で自律神経の状態を把握していきました。睡眠時間も未だ短く、以前は出来ていた運動も時間がなくあまりやらなくなってしまったとのこと。自律神経の測定結果も交感神経の活動が高い状態で副交感神経の活動があまり見られない状態でした。

まず自律神経を整える治療を行ったうえで腰部・臀部の経穴(次リョウ・上リョウなど)に鍼通電を行っていきました。

治療経過

◇1回目◇
治療後、体はリラックスできたように感じたが、相変わらず勃起は起きなかった。

◇2回目◇
2回目の治療後も特に変化なし。

◇3回目◇
夜の反応は変わらないが、朝立ちはする日が出てきた

◇4回目◇
少しずつ性交渉の時にも勃起するようになってきて2~3割程度の確率で勃起するようになった。

◇5回目◇
性交渉時、半分くらいの確率で勃起して射精できるようになった。

◇6回目◇
ほぼ100%性交渉時に射精できるようになった。

◇7回目以降◇
また元の状態に戻る可能性もあるので身体のメンテナンスのためにも10回施術を行って終了した。

 

 

40代 男性

半年前から単身赴任となり、職場の環境の変化や日常生活で何でも自分でこなさないといけないというストレスもあり、睡眠の質の低下や倦怠感などを感じていた。少し時間に余裕が出来て久しぶりに家に帰って奥さんと性行為を行ったところ勃起することなく射精もできなかった。それからその出来事が頭に残り、性行為の際にまた同じようなことが起きてしまったらどうしようというプレッシャーを感じるようになり、さらに勃起することが難しくなってしまった。
病院を受診して薬を処方してもらったが、改善がみられなかったため、別の治療法がないか探していた際に当院のホームページを見てご来院された。

 

治療
普段の生活でもストレスを感じることが多く、自律神経の状態が乱れていることが考えられることからまず最初に自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。自律神経測定器の結果は交感神経の活動が非常に高く、逆に副交感神経の活動が低すぎるというものでした。
まず自律神経の状態を整えたうえで東洋医学的観点より施術していきました。

 

治療経過
施術を受けると体は楽になると感じていたが、EDに関しては5回目までは特に変化は見られなかった。
5回目治療後、性行為時に射精まではいかないまでも勃起するようになってきた。施術8回目後には治療開始して初めて勃起して射精することができるようになってきた。でも、まだ2回に1回ほどの割合。
12回目施術をしたところほぼ性行為時に勃起をして射精できるようになった。

 

症例3

40代 男性

40代になってから、以前の様な勃起ができなくなってきた。

前から飲酒や精神的緊張で十分な勃起ができないこともあったが、ここ最近立ちが悪いのが気になる。とくに睡眠不足や仕事が忙しい状態が続くと不全になる。

1日の平均睡眠時間は6時間程度だが、短い時は3時間程の事もあり、なかなか疲労感が取れない事もある。

当院の施術

年齢的にもまだまだ十分勃起力は保たれても問題はないなく、疲労や睡眠など状況によって波があるというお話から、自律神経の乱れによるものが大きな要因と考えらます。

そのため、まず自律神経測定器で自律神経の状態を確認していきました。

夕方に測定したにも関わらず、交感神経が過剰に働いており、逆に副交感神経の働きが弱い状態でした。勃起をコントロールしているのはこの副交感神経で、この神経の働きが弱いと勃起不全になってしまいます。

当院では、

①自律神経、特に副交感神経の働きを高める

②骨盤血流の促進

③低周波鍼通電で骨盤神経を刺激

を中心に行っていきました。

経過

1回目

まだあまり変化はないが、前回後よく眠ることができた。

2回目

立ち、硬さ共に少し改善してきた。

3回目

疲れていると、立ちが悪い。焦ってしまうとだめ。

4回目

立ちが長続きしてきた。自信もついてきた。

5回目

あまり気にならなくなってきた。

 

現在も定期的に通院中。

 

 

症例 4

50代 男性

50歳過ぎてから、以前のように十分に勃起できなくなり、まだまだ元気なままでいたいと強く思い鍼灸治療を試そうと決意した。

性行為では、以前の半分までは勃起するが、長続きせず挿入しても中折れしてしまう。

そのため以前は感じる事がなかった不安や焦りが生じ、ますます悪影響になっているように感じる。

仕事は何件か掛け持ちしており、睡眠時間を削って働いている。そのため慢性的な疲労感が強く、常に体が重だるい。

肩こりや腰痛もひどくそちらも改善したい。

当院の施術

糖尿病や心疾患の既往歴はないが、加齢、思うように勃起できなくなった性行為への不安や睡眠不足からくる自律神経の乱れが大きな原因と感じました。また、臀部の筋緊張が強く、本人の自覚はないが足の冷えも気になりました。足の冷えや臀部の筋緊張は陰茎への血流の低下につながります。

そのため、自律神経を整える施術、神経への低周波鍼通電法、臀部の筋緊張を弛緩させ血流の促進を目的に施術を進めていきました。

 

経過

1回目

まだ大きな変化はないが、心身ともに疲れが少しだけ取れた気がする。

 

2回目

まだはっきりと効果は分からない。

 

3回目

少し良いような気がするが、まだ試してないのでわからない。

 

4回目

朝の立ちがいつもより良いことに気が付いた。

 

5回目

まだ完全ではないが、施術前より硬さが戻ってきている。

 

 

 

EDとは

EDとはErectile Dysfunction;の略式で日本語では勃起不全と訳されています。またインポテンツという言い方をすることもあります。

性交渉時に十分な勃起が得られないため、または十分な勃起が維持できないため、満足な性交渉が行えないことを言います。

妊娠を望む夫婦にとっては、EDは軽視できるものではないといえます。

成人男性のおおよそ4人に1人が中等度以上のEDの症状であると言われていますから、軽度の人も含めると症状で悩んでいる方は数多くいるということになりますね。

ED

 

EDの原因

まずEDの原因を考える前に、勃起がどのようにして起きるかを理解するとEDの原因もよりわかりやすくなりなります。

勃起は性的刺激が加わってペニスの海綿体に血液ながれでることでおこります。EDの原因は、要するに何らかの原因によって海綿体に血液が流れにくい状態ということになります。

海綿体に血液が流れにくくなる原因としまして

 

・加齢によるもの

年齢があがるとEDになる確率もあがります。

40代以降では生活習慣病のリスクも高まりますから、年齢を重ねることでもEDになりやすいといえるでしょう。

 

・心理的な要因

ストレス・うつ・不安など日常で誰しもが起こりうるものが心因性によるものです。

仕事や日常生活で精神的なストレスが蓄積しておこることが多いようです。また幼児期の体験や性的トラウマなどが要因になっていることもあります。仕事や家庭などで精神的ストレスを抱えることの多い30代・40代に多いと原因と言われています。

 

・生活習慣により起こるもの

高血圧・高脂血症・糖尿病の半分以上の患者はEDと言われています。そのくらい密接に生活習慣病と関係しています。この三つの疾患では、何らかの形で末梢の神経や血管に障害がおこることにもより勃起不全の症状がおこるのです。

 

・病気や怪我によるもの

脳出血や脳梗塞や脳腫瘍、アルツハイマー病でもEDになりえます。

また交通事故や脊髄損傷でも起こることがあります。

 

・複合型

多くの場合、EDとなってしまう原因が特定できません。前述のように加齢や生活習慣または心理的要因などが複雑に関わりあってEDとなってしまう場合が多いようです。

 

EDとストレスとの関係

今は20代の方でもEDで悩まされている方が増えていると言われています。その一因としてストレス社会と食事の関係が注目されています。上述したように心理的な要因でEDとなってしまうことがあり、それを心因性EDといいます。20代から30代は生活環境の変化が激しく特に男性は仕事でのストレスを多く受けやすい時期と言えます。体がストレスを受けると脳が男性ホルモンの分泌を減らすように指令を出して精巣からのホルモン分泌量が減ってしまうと言われています。その他、ストレスから自律神経のバランスが乱されてEDとなってしまう危険性もあります。ストレスを受けると主に交感神経が優位となりがちで交感神経の過亢進状態が続くことで勃起不全の状態となってしまうのです。

ストレスの原因として現実心因と言われる日常生活での仕事や家庭環境・パートナーとの関係からくるストレスと深層心因といわれる幼少期や思春期のトラウマからくるストレスとがあります。

そういったストレスを取り除くことは、言葉では簡単でもなかなか簡単にできるものではありませんが、適度な有酸素運動・十分な睡眠・趣味の時間を作るなどはストレス解消の問題を解決するうえでやはり重要です。

諦めずに習慣化することにより、少しずつ体への変化が現れて症状の回復へとつながることが期待できます。

 

EDの西洋医学的治療

 

西洋医学では、ED治療薬の内服が一般的です。一般的に多く使われているのは、

バイアグラ・シアリス・レビトラなどが多いです。血管を広げる作用があったり、勃起を促す酵素の働きを手助けしたりする作用があります。EDの治療薬は多かれ少なかれ副作用がありますから、専門医に相談していただくとよいです。他にも手術療法やホルモン療法、心理療法などもあります。

 

 

EDを根本から改善する

EDとなってしまったのには必ず何かしらの原因があります。脳梗塞やアルツハイマー型のEDを除いては、詳しく問診を取っていくと生活習慣の乱れがある方がほとんどです。食生活の乱れや睡眠不足、ストレス過多状態は特にEDの改善の妨げとなってしまいます。
せっかく治療を受けても生活習慣を改善していかなければ、治療でよくなったとしてもまた症状が戻ってしまう可能性もあります。EDを根本的に改善させるには治療と並行して生活習慣の改善をしていく必要があるのです。
当院では、治療と並行して下記のような生活習慣の改善をお願いする場合がございます。

 

食生活の改善
高脂血症や中性脂肪が高い状態だと血液がドロドロとなり、血行不良になりやすくなります。すると陰茎部分にも血流が行き届きづらい状態となってしまうため、食生活を改めて血液はサラサラ状態にしていく必要があります。
具体的に摂った方が良い食材として、魚類・海藻・納豆・酢・きのこ類・野菜類などがあり、洋食中心の食生活の方は和食中心に切り替えることが好ましいです。

 

運動習慣
運動不足となると全身の血流も悪くなり、自律神経の状態を悪くなってしまいます。特に交感神経が過亢進状態の方が多く、交感神経は血管を収縮させる作用が働くため、交感神経亢進状態が続いてしまうと血流が悪くなってしまいます。
特にウォーキングや軽いランニングなどの有酸素運動はリラックス神経である副交感神経を働かやすくなります。
またED症状の場合、下半身の筋力をつけることも重要でスクワット運動はED改善には効果的ということが分かっています。

 

タンパク質やビタミンを摂る
食生活の改善にも当てはまりますが、タンパク質とビタミンを摂取するというのは体内で精液をつくるのにとても重要となってきます。体内で精液を生成するにはタンパク質・ビタミン・ミネラルが必要な栄養素となります。
具体的には、レバー・オクラ・納豆・ヤマイモ・大豆食品・野菜類を意識的に多めに摂るようにしましょう。

 

東洋医学で効果のあるとされる食材
・くるみ
くるみは、縄文時代の遺跡からクルミの殻が発見されており、かなり昔から食べられていたと考えられています。くるみには、『補腎固精』という体を補強してインポテンツや早漏に効果があると言われています。生クルミを毎日60グラムほど2か月間食べ続けると効果が出てきやすいです。しかし、くるみは油分が多く含まれているため下痢傾向のある人はさらに下しやすくなってしまうので控えめに摂るようにしましょう。

 

・なまこ
なまこには、『補腎益精』と言われる作用があり、五臓六腑の腎を補うことで勢力を高める効能があると言われています。なまこは、90%が水分で残りはコラーゲンからできているため、お腹を下しやすかったり、痰を発生しやすいので注意しましょう。その他なまこには、便通の改善や頻尿の改善にも効果があるとされています。

 

・ドジョウ
ドジョウの効能は、漢方の世界では『補中益気』といわれ、胃腸を丈夫にして消化吸収力を高めて体力をつけると言われています。日本ではそこまで食する機会の少ない食材ですが、中国では古くから体力がつくと知られています。子供の栄養不良や黄疸性肝炎、インポテンツなどの治療に用いられています、また、ドジョウには多くのカルシウムが含まれており骨や歯の状態を良くしたい方にもおすすめです。
エビにもインポテンツの改善に薬効があるといわれ、ドジョウとエビを一緒に煮て摂取するとより効果が期待できます。

 

まとめ

 

EDの治療においては生活習慣も含めた上で改善していく必要性があると言えます。

特に睡眠不足や栄養不足は大敵といえます。寝る時間や充分な栄養がないと、精子の量や勃起時の膨張率にも関係してきますし、セックスやマスターベーションのしすぎもセーブすることが大切といえます。

また適度な運動習慣をするようにすることや飲酒・喫煙習慣を見直すことも重要です。

身体をリラックスさせストレスを溜めないように心がけるだけでも軽度の場合であれば改善されます。

まずは生活習慣の改善を見直すことが重要です。

それでもなかなかうまくいかない・・・

薬は副作用が心配だからあまり頼りたくない・・・

そうであれば当院の鍼灸治療を一度受けてみてください。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

おりもの(帯下)の異常の鍼灸治療

月曜日, 7月 14th, 2025

おりもの異常に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では、生殖に関わるのは五臓六腑の『』、『』、『』の機能低下と経絡では衝脈任脈の流れが滞ることで帯下の異常が引き起こされると考えられています。

当院の鍼灸治療

 

当院には女性鍼灸師が在籍しております。女性鍼灸師をご希望の場合にはご予約時にお気軽にお問い合わせください。渋谷院・三軒茶屋院にも女性鍼灸師は在籍しております。

女性鍼灸師も在籍

当院では女性ホルモンの分泌や免疫機能などに大きく関与する自律神経のバランスを機械で測定し治療へ移ります。

自律神経測定

 

 

自律神経の調整施術を行い、全身的な血行を促進し、内臓機能や免疫力を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。

また、女性ホルモンは骨盤内の卵巣から出ますので骨盤内血流量が大きく関係します。

過活動膀胱・頻尿の鍼治療

骨盤のゆがみや、腰部、臀部の筋緊張が骨盤周りのバランスが骨盤内血流量に大きく影響します。下半身の状態も女性ホルモンに影響しやすいので腰部から下肢に鍼やお灸で刺激を与え、筋緊張を緩め血液循環を促進します。また、東洋医学的観点から脾、腎、肝をはじめとした内臓機能の調整、衝脈、任脈の経穴を取り入れて治療を行います。

おりもの異常の鍼灸治療

 

おりもの(帯下)とは

 

おりもの(帯下)とは女性の性器からでる様々な分泌液の集合体で、子宮内膜の粘液子宮頚管の粘液膣粘膜の分泌物や剥がれ落ちた古い細胞皮脂腺や汗腺からの分泌液などで出来たものです。通常、発育成熟期、月経前後、妊娠初期に量が多くなりますが、このような場合は病として扱いません。

帯下量が多くそのにおいに異常があり、あるいは全身症状を伴うものを帯下病といいます。

正常なおりものとは

エストロゲン濃度の正常な変化によっておりものが生じることがあります。

・月経周期中の排卵数日前

・新生児の出生後1~2週間(出生前に母体からエストロゲンを吸収するため)

・女児が最初の月経を迎える前の数か月

・妊娠中

・エストロゲンを含有する薬剤またはエストロゲンの産生を増加させる薬剤(一部の排卵誘発薬など)

 

一般に正常なおりものは匂いがなく、通常は乳白色またはサラサラした透明の液体です。妊娠可能な年齢にある女性では、おりものの量や性状は月経周期とともに変化することがあります。例えば、卵子が放出される月経周期の中頃(排卵期)には、子宮頸管から分泌される粘液が多くなり、サラサラになります。
また、妊娠、経口避妊薬の使用や性的興奮によってもおりものの量や性状は変わります。閉経後はエストロゲン濃度の低下に伴い、多くの場合、正常なおりものの量は減少します。

 

異常なおりものとは

以下のようなおりものは異常とみなされます。

・普通より量が多い(量は個人差が大きいため、普段の自分と比較)

・普通より濃い

・膿のような状態である

・白い塊のような状態である(カッテージチーズ状)

・灰色、緑色、黄色味を帯びた色、血液が混じった色をしている

・いやな匂いがする(生臭い)

・かゆみや灼熱感、発疹、ヒリヒリとする痛みを伴う

 

症状

かゆみ、灼熱感、刺激感、発赤、排尿時や性交時の痛みなど

 

原因

妊娠可能年齢の間は、おりものの原因は膣感染症であるのが通常で最も多いのは以下の3つです。

おりもの異常の原因疾患

 

 

・細菌性膣症

膣内を正常に保つ最近のバランスの崩れや膣内環境の乱れにより発症する疾患です。細菌性膣症に特定の原因細菌は無く、カンジダやトリコモナス以外の複数細菌の異常繁殖が原因で引き起こされます。

 

・カンジダ膣炎

過労や妊娠などによって体力や抵抗力が低下した時に膣に棲んでいるカンジダ菌が異常に増殖して起こります。また、性交渉によっても感染することがあります。
性器が赤く腫れあがり、ただれを起こすこともあります。強い痒みを感じ、チーズや酒かすのような白いおりものが出ることが特徴です。

 

・膣トリコモナス症

寄生虫の一種であるトリコモナスが、主に性交渉によって膣に感染する炎症疾患です。下着やタオル、浴室、便座などを介して感染することもあります。
女性が感染するとまずおりものの量が増えて性器に激しいかゆみを感じます。そのうち、黄色がかっていて泡立った臭いのきついおりものが出るようになります。

 

また、性感染症(淋菌感染症やクラミジア感染症)子宮頸がん、子宮頸管ポリープ、子宮頸管炎、子宮膣部びらんなどの疾患が原因でおりものが生じることもあります。

 

・淋菌感染症

淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状が現れることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度なので、感染に気付かず慢性化することがあります。まれにおりものの色が黄色っぽくなることもあります。
また、妊婦が感染すると、新生児の結膜炎を招き、最悪は失明の危険もあります。見過ごすと炎症が尿道や膀胱に広がり、排尿時に痛みを感じるようになります。

 

・性器クラミジア感染症

クラミジアという細菌による感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患ですが、黄色のおりものが多少増える程度の軽い症状のため感染に気付かない場合も多くあります。進行すると下腹部痛や性交痛が現れます。
また、不妊の原因となったり、妊婦の場合は胎児が産道を通過するときに感染し、重篤な肺炎や結膜炎を起こすこともあるため注意が必要です。

 

・子宮膣部びらん

子宮の入り口がただれるのが子宮膣部びらんです。おりものが増えたり、性行為の後に少し出血したりします。多くは自覚症状がありません。
びらんがあると細菌に感染しやすくなるため、子宮頸管炎などの原因になることがあります。また、子宮頸がんの初期と症状が似ているので、子宮膣部びらんに似た症状が見られたときには必ず婦人科を受診しましょう。

 

※おりものは女性の健康バロメーター

おりものの状態は健康状態によっても大きく変化するので自分では気づいていない体の不調のサインをチェックするのに役立ちます。
水っぽくて白いおりものが多く出るときは、胃腸が弱っており体がむくんでいる状態で、おりものに透明感がなく足腰がだるい時は、腎臓が弱っている状態。黄色でねばねばとしていて、臭いやかゆみがあるのは、免疫力が弱り雑菌が増殖しているから。赤っぽくて若干臭いが強いときはストレスが溜まっている証拠。また、水気も量も極端に少ないおりもののときは、体内の水分が足りずに乾燥していることが原因です。

 

性感染症のリスク因子

 

通常、膣は常在細菌によって感染症から守られています。これらの細菌は膣内の酸性度を正常範囲に維持しています。膣の酸性度が低下すると、膣内の防御機能をもつ細菌が減少し、有害な細菌が増加します。以下のような場合では有害な細菌が増殖しやすくなり、膣感染症のリスクが上昇します。

・抗菌薬の使用(防御機能を持つ細菌を減少させることがあるため)

・膣内に経血、または精液がある(膣内の酸性度を低下させるため)

・衛生状態が悪い

・頻繁な膣洗浄(膣内の酸性度を低下させるため)

・妊娠

・糖尿病

・取り忘れたタンポンなどの異物

 

などがあります。

 

 

西洋医学的治療

検査として、おりものを顕微鏡で確認したり、性感染症の菌やウイルスについて検査を行い、必要があれば消毒や薬を使用して治療を行います。

 

不眠症の鍼灸治療

月曜日, 7月 14th, 2025

 

当院の不眠症に対する鍼灸治療

 

不眠の原因の一つに自律神経の乱れがあります。交感神経と副交感神経のバランスが乱れているために脳にある睡眠のスイッチが作動しづらくなるというものです。

当院では、自律神経のバランスを測る器械があります。交感神経と副交感神経のバランスを調べることや身体的ストレス、精神的ストレスなども測れます。

自律神経測定器

 

このデータを元にその方その方にあった治療方法で施術していきます。

 

不眠症の自律神経調整鍼灸治療

 

鍼灸治療は自律神経のバランスを整えるのに優れた治療法です。

また、不眠に効果のあるとされるツボも刺激していきます。例えば、『百会』や『失眠』というツボは、不眠症に効果があると良く知られたツボの一つです。

百会への鍼治療
百会への鍼

 

失眠へのお灸
失眠ツボへのお灸

 

 

その他、背部兪穴と言われる五臓六腑の調子を整えるツボも用い施術していきます。
不眠症の背部兪穴への鍼灸治療

 

 

それらの治療を組み合わせて鍼とお灸を使い小一時間程の施術後には効果を実感していただけると思います。

 

不眠症の東洋医学

東洋医学では不眠と五臓六腑の『』が深い関係にあると言われています。五臓六腑の『心』は西洋医学の心臓の機能と似ている部分もありますが、異なる点も多くあります。似ている点では、「心は血脈を主る」という点です。

「血脈を主る」とは心臓の拍動による循環の維持を意味しています。心臓のポンプ作用による血液の運搬と人体各部の新陳代謝をを指します。

その他、東洋医学の心では、「心は神を主る」と言われ、思考や分析、判断力や脳の情報処理能力などの意識や思慮活動などの西洋医学でいう大脳皮質の高次脳機能も心が役割を担っています。この部分が、不眠と深い関係にあり、心の機能が低下してしまうと不眠にかかりやすくなってしまうのです。寝つきが悪くてなおかつ眠りが浅い、夢をよく見る場合は、『心血虚』という状態が考えられます。

また、東洋医学で『心』と『腎』は深い関係にあり、『心腎相交』と言われます。心と腎はお互いに助け合って、活動の元となる心火と腎水を活性化しあってその役割を担っているのです。その心と腎の関係が悪くなり、お互いの活動ができない状態を『心腎不交』といい、この状態となってしまうと不眠は重症化しやすくなってしまいます。

不眠の東洋医学的治療では、まず脈診や舌診などで心の状態を見て正常に活動できているか診ていきます。そして、次に腎の状態も診て正常に戻させるようなツボを選定していきます。

 

 

不眠症の鍼灸治療症例

 

40代 男性
仕事で夜勤があり、夜通し働いて一日休んでまた夜通し働くというサイクルを繰り返していた。夜勤中は仮眠をとれることもあるが、もちろん深い眠りにつくことができずに仕事から帰ってから寝るという生活をしていたとのこと。30代の頃はそういった生活でもなんとか体は健康で持ちこたえていたが、最近重労働の作業なども加わり、腰痛や肩の痛みがひどくなってからなかなか寝付くことができなくなってきた。
一日寝つくことができずにまた仕事に行くということもあったとのこと。するとめまいや立ちくらみ、目の痛みなどの症状が出て仕事にも支障が出るようになってしまっていた。病院を受診したところ、特に検査では異常が見られなかったため、現在も仕事を続けている。

腰痛・肩の痛み・睡眠を改善したいという目的で当院にご来院されました。

当院の治療
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を把握していきました。検査の結果や張り自律神経が乱れている状態で体の疲れや精神的ストレスも高い状態でした。自律神経を整える治療を中心に首・肩・目の症状改善を目的に治療していきました。

治療経過
◇1回目◇
治療後いくらか体がすっきりしてその日はよく眠ることができた。その次の日からまたあまり寝つきがよくなかったとのこと。

◇2回目◇
腰や肩の痛みは一番つらかった時と比べると4割くらいは楽になったとのこと。

◇3回目◇
治療に専念するとのことで会社に2週間の休みをもらって治療に専念した。

◇4回目◇
仕事のストレスから解放されたからか嘘のように腰・肩・目は楽になり睡眠の質もよくなっていると感じた。

◇5~8回目◇
休職中、体は楽で症状はほぼ改善された。

◇9回目◇
職場に復帰し、また元の生活に戻ったが睡眠の質は悪くなっていないとのこと

 

60代 女性

更年期症状の一つとして不眠症になり、1年前に食道がんが見つかり全摘手術をしたことでより症状が強くなった。

現在の平均睡眠時間は2〜3時間程度。睡眠導入剤を飲んでようやく眠れるが、2時間ほどで目が覚めてしまう。

一度目が覚めると眠れなくなる。

食道がないため食べるものに制限がかかり、好きなものが食べられないストレスもある。

せめて5〜6時間は眠れるようになりたい。

睡眠不足と栄養不足による体力・免疫力低下で身体のあちこちが痒くなるのも合わせて改善したい。

 

当院の治療

自律神経測定器の結果で交感神経が優位であることがわかった。人間関係のストレスが強く、考え込んだり不安になることが多い。

何も考えずゆっくりする時間が少ないため、副交感神経に働きかけるツボを用いてリラックスできる治療を行った。

首肩の慢性的なコリがあるとそれだけで眠りの質は低下するため、首肩の治療も併せて行う。

治療経過

◇1回目◇

鍼灸治療は初めてだったので弱めの刺激で治療した。

施術後は眠気がつよくふらつく感じがあった。

 

◇2回目〜6回目◇

施術当日は、2時間ごとに起きて合計で6時間眠れるようになった。

首肩のコリを感じられるようになったたるめ、首肩の筋肉を緩める治療を追加した。身体の痒みが落ち着いてきた。

 

◇7回目〜9回目◇

施術当日は一度も起きず5時間眠れるようになった。

肩の痛みはとれた。首コリは以前よりは楽になった。

調子が悪い時は身体の痒みがでるが、それ以外は痒くならなくなった。

 

◇10回目◇

まだ波があるが、1週間のうち5時間以上眠れる日が2〜3日はある。今後も継続して経過を観察する。

 

 

50代 女性

幼いころからぐっすり眠れた経験が少なく、毎日平均すると4時間前後くらいしか眠れない。

仕事が忙しい時はあくびがでず、眠気も来ないことが数か月続く、その時は1時間眠れたら良い方で、薬を飲んでも何をしても改善しないので本当になんとかしたいと思いネットの検索でここの鍼灸院がでてきたので来院。

今までは外国で仕事をしていたが、しばらく日本にいる事になり、この機会に少しでも改善したいと思っている。

鍼灸には慣れていて、色々な院に施術を受けにまわっている。

 

当院の治療

自律神経測定器で計測したところ夕方以降に測定したのですが、交感神経が優位になっている結果がでました。夕方以降の測定では副交感神経が優位の状態が理想です。

また、首肩周りの筋肉がかなり緊張状態にありました。交感神経が優位の状態になっている方に多くみられます。特に睡眠に影響が出ている方は頭皮も固くなっている事もあるのですが、患者様も頭の全体の頭皮が固くなっている事をお伝えしました。

筋肉が固くなっている所はもちろんですが、身体の全体が常に緊張状態でしたので、自律神経を整え、リラックスできる治療をおこないました。

 

治療経過

 

◇1回目◇

治療中に眠れて嬉しい。

◇2~4回目◇

治療中は毎回眠れるが、家での睡眠に変化がない。あくびもでない。

◇5回目◇

治療後に久しぶりにあくびがでた。

◇6~9回目◇

あくびが出るようになってから睡眠時間は変わらないが途中で起きる事がなくなったので朝の辛さが軽減した。

不眠症とは

不眠症とは、寝ようと思ってもなかなか寝付けなかったり、睡眠してもすぐに起きてしまい睡眠を維持できない状態を言います。
昼と夜が逆転して日中に眠気に襲われる集中できない疲れが取れない食欲低下などの不調が起きます。

日本では、5人に1人が良質な睡眠を得られていないという調査結果があります。不眠症は、若い人より中年期以降の方に多い症状です。加齢とともに増加するので60歳以上では、3人に1人の割合になるそうです。男女差では、男性よりも女性に多いと言われています。

季節では、梅雨や季節の変わり目に不眠になる方が多いようです。気温差や日照時間などの影響で、体温調節が難しくなることや睡眠リズムが変動するためだと言われています。

睡眠不足になると体内の疲労物質などが上手く除去できないため疲労が溜まりやすく日中に身体や頭が重だるく感じます。人の身体は、睡眠時に血圧や血糖が下がるため、寝ていない身体や睡眠障害の方は、糖尿病高血圧などの原因になります。

不眠には、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害があります。

 

入眠障害・・・寝付きが1時間以上など長く寝付けないのが入眠困難のタイプが入眠障害です。

中途覚醒・・・眠りついても途中に何度も目が覚めて熟睡できないのが中途覚醒です。

早朝覚醒・・・早朝に目が覚めてしまうことや、予定する時刻よりも早く目が覚めて寝られなくなるのが早朝覚醒です。

熟眠障害・・・起きてもぐっすり寝た感じがないのが熟眠障害です。

 

不眠症

 

 

不眠症の原因

不眠症の原因には、環境身体精神状態生活習慣などが主な原因としてあげられます。

生活習慣では、昼夜が逆転することや寝るタイミングが1週間の中でバラバラなど毎日のリズムが違う人は体内リズムも乱れるため不眠症にかかりやすいです。

 

心の病気には不眠を伴うものが多いです。悩み事精神的ストレスも不眠の原因として多いです。ストレスを多く感じると脳内の自律神経中枢に影響がでて不眠になります。

身体的要因では、頻尿慢性的な痛み、男性より女性、加齢によるものがあげられます。

暑くなったり急に寒くなると身体の体温中枢が上手く機能しないため不眠になりやすいです。季節の変わり目や寒暖差によっても起こります。時差や場所によっても原因となります。

 

上記以外にも睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群うつ病など病気や症候群によっても不眠になります。これらは、二次性の不眠症となります。原発性は医学的にも薬にも影響されずにおこるものを言います。

 

不眠症の対策

朝日を浴びる・・・朝に太陽の光を浴びると体内時計がリセットされて夜に眠気がくるようになります。

運動習慣をつけましょう・・・適度な運動は疲労感がでて睡眠を誘います。全身の筋肉が柔軟になるほど血液循環は良くなり体調を整えやすくなります。

睡眠にこだわらない・・・寝よう!寝よう!と思う程寝つきが悪くなる時があります。睡眠は人によって変わるものですが、1日動けるものであれば必要最低限の睡眠は取れていることにもなりますので、寝るときはなるべく考えないようにしましょう。

寝る前はリラックスして目に刺激的なものは控える・・・寝る前に緊張するようなことやスマホを長時間使うなどの脳が興奮するようなことは控えましょう。寝る前にお酒を飲むのは止めたほうがいいです。脳が興奮しやすく深い眠りがへるため翌日に身体が重くなりやすいです。

寝る前はしっかり寝る準備を・・・眠りやすい環境を作ることも大切です。身体をストレッチして全身の血の巡りをよくしたり、眠る1~2時間前から部屋の照明を暗くする、温度や湿度にも注意すると眠りにつきやすいです。

 

睡眠と体温の関係

近年の睡眠の研究で深部体温を下げれば眠くなるということがわかっています。さらに皮膚温度と深部体温の差が縮まると眠りやすくなるという研究データがあります。皮膚温度と深部の体温との差を縮めるためには、皮膚温度を上げて熱を放散させて深部体温を下げる必要があるのです。そのためにできることは、まず入浴時間を調整することが挙げられます。ある実験では、40℃のお風呂に15分入った後だと入浴前よりも深部体温がおよそ0.5度上がったという結果が出ています。

深部体温は上がった分だけその後に下げようとする体の性質があります。それは自律神経の働きでホメオスタシスと呼ばれ、体外の温度に左右されることなく体温を一定の状態に保とうとする力が働くのです。よって入浴により、一時的にあげられた体温はその後下げようとする力が働き、その働きを利用してスムーズに入眠できるようになるのです。入浴によっておよそ0.5℃上がった深部体温が元に戻るまで約90分かかり、入浴前よりさらに下がっていくのは90分よりもあとになります。

そのように考えますと、入眠する前の90分前にはお風呂を済ませておくとその後さらに深部体温が下がって皮膚温度との差も縮まることで入眠がスムーズになるのです。

 

 

自己評価

世界共通で使われているアテネ不眠尺度(AIS)という、不眠症判定法のチェックシートがあります。

過去1か月以内の状態で、週3回以上あてはまるものにチェックをして判定する方法です。

A.寝つきにどれくらい時間がかかったか?

0 寝つきは良かった。

1 少し時間がかかった。

2 かなり時間がかかった。

3 非常に時間がかかった。または全く眠れなかった。

B.夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか?

0 問題になるほどではない

1 少し困ることがある

2 かなり困っている

3 深刻な状態か、全く眠れなかった。

C.希望する起床時間より早く目が覚めて以降眠れない

0 そのようなことはなかった。

1 少し早かった。

2 かなり早かった。

3 非常に早かった。または全く眠れなかった。

D.睡眠時間は足りていますか?

0  充分である。

1少し足りていない。

2 かなり足りない。

3 全く足りていない。または全く眠れなかった。

E.日中の気分はどうですか?

0 いつも通り

1 少し滅入った。

2 かなり滅入った。

3 非常に滅入った。

F.睡眠の質についてどうですか?

0 満足している。

1 少し不満。

2 かなり不満。

3 非常に不満。または全く眠れなかった。

G.日中の眠気はどうですか?

0 全くない。

1 少しある。

2 かなりある。

3 激しい。

H.日中の身体や精神の活動状態はどうですか?

0 いつも通り。

1 少し低下した。

2 かなり低下した。

3 非常に低下した。

 

以上の項目の数字を合計したもので判断します。

1~3点・・・睡眠がとれています

4~5点・・・不眠症の疑いが少しあります

6点以上・・・不眠症の可能性が高いです。

 

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

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