眼の下の痙攣の鍼灸治療

眼の下の痙攣の原因

眼の下の痙攣の原因

ストレスや病気が原因で起こるもの

・眼瞼ミキオネア

眼精疲労、疲れやストレス、栄養不足などにより眼輪筋の攣縮がが起こります。コーヒーなどの興奮性の食品や薬剤などの摂取も症状が強く出る傾向にあります。上眼瞼、もしくは下眼瞼がさざ波状に動く状態で通常片側に起こります。

痙攣も数秒程と短時間ですが、一日に何度も起こることが多いといわれています。通常数日から数週間で自然に治まります。

 

・眼瞼痙攣

瞼を開閉させる筋肉が勝手に痙攣を起こす病気です。40代~70代の中高年に多く男性よりも女性に多い病気で、原因がハッキリとは解明されていませんが、脳内の運動を制御するシステムが機能障害を起こすや他の眼病からの刺激、抗うつ剤の副作用などが考えられています。

・片側顔面痙攣

最初に下まぶたの引きつる感じから始まり目の周囲の痙攣、次第に上まぶたまで痙攣が広がります。そのうち頬に広がりさらに悪化するとまぶたが一時的に閉じた状態になります。緊張した時や、寝不足の時などは痙攣が増強する傾向にみられます。発症年齢は40歳から60歳代の女性に多いといわれています。

痙攣はほとんど片側ですが約1%の方は両側に起こります。

原因

顔面の運動を司るのは顔面神経ですが、耳の後ろのあたりの頭蓋内、小脳橋角部というところで顔面神経を動脈硬化などにより蛇行した動脈が接触し、その拍動性に圧迫刺激することによって、顔面神経が過敏な状態となり、顔面の筋肉を動かそうとしないのに活動電位の情報が伝わってしまい、痙攣を引き起こすと考えられています。

 

西洋医学的治療

検査、診断

①誘発検査

口をすぼめたり、まばたきなどの動作で痙攣が誘発されるかどうかを見ます。

②筋電図検査

健側顔面痙攣に特徴的な異常な筋電図反応や、顔面筋のF波の異常反応をとらえます。

③画像検査

CTやMRIにより血管の蛇行(動脈硬化)の有無や、痙攣を起こす他の病気(脳腫瘍など)が無いか調べます。

治療

薬物療法

内服

症状が初期で、痙攣が目の周囲に限られている場合、抗けいれん薬、抗不安薬などの内服治療がありますが、有効性は低く効果的な治療は現時点ではありません。

ボツリヌス毒素注射

ボツリヌス毒素を注射することで神経の伝達物質を抑えることで人為的に軽度の麻痺を起こし筋肉の収縮を抑える方法です。約90%の人に効果があるといわれています。しかし、効果は平均4カ月程度で、そのため年に数回繰り返し注射を行う必要があります。

神経ブロック注射

アルコールを顔面神経に注射し軽度の麻痺を起こして痙攣を抑えますが、数カ月経つと再発することがあります。

手術療法

血管の圧迫を外科的に取り除く手術で神経血管減圧術と呼ばれており、耳の後ろの頭蓋骨に穴をあけ、顕微鏡を使って行う手術です。根本的な治療で有効率は高いですが、手術後の後遺症で聴力低下が起こることがあります。これは、顔面神経と聴神経が近い位置にあり、血管と顔面神経を離す際に、聴神経に触れてしまうことで起こります。

眼の下の痙攣の鍼灸治療

眼の下のけれんに対する鍼灸治療は、眼の下の部分の血流改善と自律神経の調整治療、東洋医学的観点からの治療の3つが主となります。

・目の下の血流改善

筋肉は栄養が行き届かない状態ですと痙攣を起こしやすいです。たとえば、サッカーなど激しい運動を行った後は足が痙攣することがよくありますが、あれは乳酸などの老廃物が筋肉に溜まり筋肉の異常痙攣を起こしている状態です。

目を良く使う現代の社会では目が疲労しやすく、目の周りの循環が悪い状態にあります。

そこで、目の周りに鍼やお灸の施術を施すことで目の周りの循環を改善していきます。

また、必要であれば刺した鍼に電極を繋いで鍼通電療法を施していきます。筋肉は神経からの電気信号で動いているため電気の刺激を加えていくことで改善をはかっていきます。

 

目の下の痙攣に対する鍼治療

 

目の下の痙攣に対する鍼通電治療

 

・自律神経調整治療

ストレスなどの自律神経が乱れると筋肉に異常が起こりやすくなります。

自律神経は、血液循環を主っておりそれにより筋肉にも影響が出てきます。特に交感神経の活動が活発な時間が長い状態が続くと全身の血流は悪くなってしまい弱い部分の異常が起こりやすいとされます。

 

目の下の痙攣に対する自律神経調整治療

 

・東洋医学的観点からの治療

東洋医学では、目と筋肉に深い関係がある五臓六腑があるといわれています。

それは、『』です。

西洋医学の肝臓を思い浮かべてしまいますと、ピンと来ないかと思いますが、東洋医学では肝は目に開竅するといわれ、肝は肌肉をつかさどるとされているのです。
それは、肝の病変は目や筋肉に現れやすいということです。

当院では、目の治療に対して肝のツボを多く用いて施術していきます。また、東洋医学では肝と腎は深い関係にあるとされ、『肝腎同源』と言われています。これは、肝と腎は同じ源で補い合う関係で肝が異常の場合腎も異常をきたしている可能性が高いということを示しています。当院では、腎のツボも積極的に用いまして、施術を行っていきます。

肝・腎への鍼灸治療

 

 

症例

30代 男性

パソコン作業が多く、目の疲れを感じていた。ある日突然左目の下がピクピクと牽連する様になってしまった。今では、ほとんど一日中痙攣している。他人から見るとそこまで痙攣しているかのように見えないが、本人としては痙攣することによって仕事に集中できない状態。たまに右目も痙攣する様になってしまっている。

 

治療

目の周りの循環改善を主に自律神経の状態や腎・肝のツボを用いた全身調整の施術も行っていきました。初診時に自律神経測定器を用いて自律神経の状態も測定しました。

経過

7回ほどの治療でほぼ軽快。最初の3回目ほどは、痙攣が徐々に治まっていき、目が疲れた夕方以降に痙攣を感じるようになった。一進一退の状態がしばらく続いたが、7回目を終わったあとにはほぼ痙攣を感じなくなりました。

 

 

40代 女性

元々は、眼精疲労で夕方以降パソコン作業をしていると、目の疲れや痛みの治療に当院に通院されていました。

ある日、急に左目下がピクピクと痙攣するようになってしまってなかなか治らない。眼科でも特に異常なしとのことで目を休めるように言われたとのこと。

当院の治療

その方は、デスクワークがメインで一日に8時間以上はパソコン作業をするような仕事で目を酷使されています。

目ばかりでなく、自然と食いしばりをしているせいか顎周りの筋肉の緊張状態も強く、肩首コリもひどい状態なのでまずうつぶせで首肩回りの施術を行って首肩回りを緩めた状態から次に仰向けとなり、左目の下を中心に左右目の周りや顎周り、頭部の経穴を用いてお顔全体の血流量を上げていきます。

また、手足やお腹の経穴も用いて自律神経のバランス調整施術も合わせて行います。

左目下の痙攣の治療経過としまして、その方の場合定期的に施術を受けて頂いているおかげか2回目で左目下の痙攣は消失しました。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:27 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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