①眼と自律神経系の関係
自律神経失調症の症状の一つとして眼の疲れ・眼精疲労があると知られており、目と自律神経系との関係は深いといえます。
自律神経とは、血管・リンパ腺・内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。
交感神経・・・・・主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。
副交感神経・・・主に夜に働くリラックス神経。安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。
眼の組織と自律神経の作用効果
標的組織 | 交感神経刺激 | 副交感神経刺激 | |
眼球 | 瞳孔散大筋 | 収縮 | ― |
瞳孔括約筋 | ― | 収縮 | |
眼筋 | 毛様体筋 | 弛緩 | 収縮 |
ミュラー筋 | 収縮 | ― |
※自律神経の調整先
自律神経は脳の視床下部で調節されている。視床下部は、脳幹にある心拍数・血圧・呼吸・消化の自律神経中枢の活動も調節・統合している。
ここで注目していただきたいのが毛様体筋とミュラー筋です。
毛様体筋はカメラのレンズの役割をする水晶体に作用してピントを合わせる役割があります。近くの物を見る時は毛様体筋が緊張して水晶体を暑くしてピントを合わせます。遠くを見る時は逆に毛様体筋緩ん水晶体を薄くしてピントを合わせます。
パソコンやスマホが広く普及している現代の日本では、近くの物にピントを合わせることが多いため毛様体筋は常に緊張状態にあり疲労が蓄積されていきます。すると目の疲れに繋がるのです。
人間の目は本来長時間近くの物にピントを合わせるような構造はしていません。遠く物を見て敵から身を守ったり、獲物を見つけ出すために発達してきました。近くの物を多く見るということは、人間本来の構造とは逆行しているということです。
アフリカなどのまだパソコンやスマホなどが普及していない地域の人々の視力がいいのは、こういった人間本来の目の使い方をしているからです。
朝起きて夜眠るという人間本来の習慣からはずれ、夜勤など夜働き昼眠る方の自律神経が乱れやすいように、人間本来の働きと逆行すると自律神経は乱れやすくなります。
次はミュラー筋です。ミュラー筋はまぶたを上にあげる上眼瞼挙筋の働きの補助をします。目の酷使により上眼瞼挙筋が疲労してくるとその分をミュラー筋でカバーしようとします。
すると、どんどんミュラー筋への負担が重くなり、交感神経を刺激します。パソコンを多く使うお仕事をしており、目の疲れが強い方は、交感神経か緊張状態の方が多いです。
そういった方は、上眼瞼挙筋が疲弊してミュラー筋への負担が大きくなっていることがほとんどです。当院では、目の周りを刺激することでこういった目の周りの筋肉の疲労をとるような治療をしております。
眼精疲労とは目を使う仕事をするとき、普通の人では疲れない仕事でも容易に目が疲れて痛くなり物を見ているだけでも目のかすみ、まぶしさ、目の充血、ドライアイといった症状が現れる疾患です。
また目の症状以外にも首や肩の凝り、吐き気、便秘、全身倦怠感など全身症状がみられることも一つの特徴です。このような状態が続いてしまうとうつや不眠といった精神性疾患となることもしばしばみられます。
眼精疲労の原因は大きく分けて4つあります。
ⅰ)調節性眼精疲労
屈折異常や調節異常によっておこる眼精疲労です。とくに遠視、近視、乱視、老眼の場合で、物が適正にみることができないためピントがうまく合わず無理に調節しようとして眼精疲労が発生すると思われます。
ⅱ)筋性眼精疲労
眼筋麻痺・斜位・斜視など眼筋に異常がある場合に起こります。
ⅲ)症候性眼精疲労
角膜炎・結膜炎などによっておこります。最近ではドライアイも眼精疲労の原因として考えられています。緑内障の初期には目のピントを合わせる調節力が低下してくることがあり、眼精疲労の原因になります。
ⅳ)不等像性眼精疲労
両眼の網膜にうつる像の大きさや形が異なることを不等像視といい、これによりおこる眼精疲労をいいます。メガネやコンタクトレンズが合っていないためにおこることが多いです。
ⅴ)神経性眼精疲労
眼には異常はなく、全身衰弱、心身症、神経症などでおこる眼精疲労をいいます。仕事などでストレスが強くなると体に様々な悪影響を与えます。眼精疲労はその一種と考えられます。
目の疲労は、身体全体に影響を与えてしまう可能性があります。それは、筋肉の関係と自律神経の関係が理由に挙げられます。まずは、筋肉の観点から見ていきたいと思います。当院に眼の疾患で来院される方の多くは、肩こりや頸部痛及び自律神経失調症など心療内科系の疾患を同時に抱えて来院されます。
ⅰ)眼周囲の筋肉
眼周囲の筋肉の過緊張は、表情筋である前頭筋→帽状腱膜→後頭筋を通して頸部及び肩部の筋肉(僧帽筋・胸鎖乳突筋・板状筋群・棘筋群)にも影響を与え、肩こり・頸部痛を引き起こします。
表情筋群
筋名 | 起始 | 停止 | 作用 | 支配神経 |
前頭筋 | 帽状腱膜 | 眉部・鼻根の皮膚 | 眉を引き上げ、前頭部に皺を作る | 顔面神経 |
後頭筋 | 上項線 | 帽状腱膜 | 帽子状腱膜を後方に引く | 顔面神経 |
側頭筋 | 側頭窩 | 下顎骨の筋突起 | 口を閉じる・下顎骨を後方に引く | 三叉神経 |
眼輪筋 | 眼窩の内側縁 | 眼窩周囲の皮膚 | 閉眼 | 顔面神経 |
皺眉筋 | 前頭骨の鼻部 | 眉部 | 眉間に皺を作る | 顔面神経 |
上眼瞼挙筋 | 視神経管 | 上眼瞼 | 上眼瞼の挙上 | 動眼神経 |
※眼精疲労が自律神経失調の原因にもなります
眼精疲労の症状が長く続いてしまいますと自律神経失調へ繋がってしまう危険性があります。自律神経失調の症状はひとそれぞれで精神的な落ち込みなど精神的な症状から体の慢性的な痛み・耳鳴り・動悸・胃腸の不調・便秘・生理不順など多種多様です。人によっては複数の症状が出て日常生活の質を著しく低下させてしまいます。
場合によっては仕事ができなくなる・家事が手につかないなど生活のリズムがくるいさらに自律神経の状態を乱しかねません。
近年では仕事で一日中パソコンに向き合い、プライベートでもスマートフォンやパソコンを使い目を酷使する機会が増えています。
この近くのものを見続ける生活は、目の毛様体筋が緊張させて交感神経が長時間働きっぱなしとなります。特に夜は交感神経の活動が抑制されないといけませんが、夜遅くまで目を酷使していると著しく自律神経のバランスを乱します。
それが毎日のように続くと自律神経失調症となってしまうのです。
当院では、目の周囲に直接鍼やお灸を施すことで目の周囲の筋緊張の緩和をしていきます。顔の部分は感覚が鋭く、人間の構造上痛みを感じやすくなっています。
鍼やお灸の刺激量には細心の注意を払って施術していきます。眼精疲労が主な症状であっても首肩こりや自律神経の乱れがある場合が少なくありません。上述したように目と自律神経には深い関わりがあり、自律神経が乱れてしまうと目のピントを合わせる筋肉に影響が出たり、まぶたが開きづらくなってしまいます。
当院では、お腹や背中、手足のツボを用いて自律神経を整える施術を目の施術と並行して行っていきます。
症例
30代 男性
仕事はデスクワーク、趣味はゲームで1日平均で18時間は画面を見ている生活をしている。
20代の頃は短時間睡眠でも体力が回復したが、2ヶ月前から睡眠がおかしくなりはじめ眠気が全くこない時と、普段の3倍の睡眠時間を毎日取っても体力が回復しない身体になってしまった。
睡眠に問題がでてから眼精疲労も強くなり、眼の奥が痛みはじめた。仕事中も画面を続けて見ることができなくなった。
これ以上悪化すると、趣味はもちろん仕事もままならないのでネットで探していたら当院を見つけたので来院。
治療頻度は週2回からスタート
当院での治療
眼の周りの筋肉の固さはもちろん、頭皮が全体的に固くなっており、特に側頭筋の筋緊張が強くなっていた。
また、運動習慣がなく身体の上半身は筋肉が固く、下半身はむくんでおり血流が悪い状態だった。
そのため、眼の周り、首肩周りの局所治療と、全身の血流改善の治療、睡眠改善の自律神経調節治療を行った。
治療経過
◇1回目◇
治療中に寝れてスッキリした。
◇2回目◇
眼の奥の痛みは変わらないが、治療した日は良く寝れる。
◇3~7回目◇
回数を重ねていくと、眼の痛みが少しずつ楽になった。
◇8~12回目◇
治療頻度を週に1回にした。
睡眠も安定してきたからか、眼精疲労が気にならなくなった。
◇12~15回目◇
仕事の繫忙期で疲労とストレスが高くなり痛みが戻ったが、1回の治療でなくなった。
◇16回目◇
痛みがほぼ気にならなくなったので、治療頻度を月に1,2回にしてメンテナンスとして通っている。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の月経不順に対する鍼灸治療は、自律神経の乱れを整え、身体の冷えを取り除くことにより月経不順の改善を促します。
治療手順
1.問診
しっかりと問診をして原因のありそうな部分を特定していきます。
2.自律神経測定器
自律神経測定器を用いて現在の体の状態を把握します。
3.仰向け治療
冷えのある部分にお灸を施したり、全身治療により自律神経を調整します。
4.うつ伏せ治療
背部兪穴という五臓六腑の状態を調節するのにとても重要なツボがありますので、その部分を刺激していきます。
20代女性
学校や仕事などでストレスを感じる際に生理痛に悩まされていたが、1か月前から生理痛に加えて経血量も増えてきた。月経周期も遅れることが多い。生理前にはイライラ感や怒りっぽくなり、イライラしている自分に腹が立ちさらにイライラ感を増す悪循環を起こしている。
月経不順のほかに慢性的な肩こりや腰痛もあり、とくに月経前になると腰痛はひどくなって生活に支障をきたすほどとなる。
当院の治療
自律神経測定器の結果、交感神経が過亢進状態でしたので、自律神経で体全体の調子を整えた上で、肩や腰のこりや痛みを取り除いていきました。
◇1回目◇
治療後肩こりや腰の症状は楽になった。生理の痛みはあまり変わらず。
◇2回目◇
月経が終わり、生理の痛みは引いてきたが、前回治療後よくなった肩こりは仕事で忙しくて戻ってしまった。治療後は軽快。
◇3~5回目◇
月経前は、少し体がだるい感じが出たが、いつものような月経前のひどい腰痛はでなかった。生理痛もいくらかましになったとのこと
◇6~10回目◇
全体的な身体の調子が上がってきてイライラ感も減ってきた。肩こり・腰痛は減ってきた。
◇11回目◇
月経周期は2日だけ遅れたが生理痛がなくなり、経血量もだいぶ減ってきた。
症例2
40代 女性
30代半ばで子供出産。それを境に徐々に月経が遅れるようになってしまった。特にここ2~3年は子育ても少し落ち着き、新しく事務仕事のパートをやるようになるとさらに悪化。50日間も月経が来ない時もある。仕事もデスクワークが主で座ったままパソコン作業をしていてストレスも溜まっている。朝も子供も学校への支度など早く起きて準備するため睡眠時間も平均すると5時間ほどと身体の疲れも抜けきれない状態。
あまりに月経が遅く心配となったため産婦人科を受診。器質的疾患や内分泌系疾患などは発見されなかった。そこでは、月経を誘発する薬を処方されたが、多少改善された程度でまだまだ月経時期が安定せずに遅れがちだったため、ほかの改善策はないかと当院にご来院されました。
治療
腰部や下肢、特に足先の冷えが顕著にみられた。自律神経測定の結果も交感神経の活動が高い状態で副交感神経の活動は抑制された状態でした。自律神経の状態を整えることとお灸で腰部・下肢の冷えをとる施術、併せて東洋医学的なアプローチ(心・肝・腎の機能を整える)をしていきました。
経過
最初の10回程は週に1~2回程の治療間隔で治療。その後は2週間に1度ほどの治療間隔で施術していきました。
治療開始して徐々に体の疲労感も取れてきて睡眠の質が上がったような気がしたとのこと。なんとか以前よりも1時間早くベッドに入るようにしていただいたが、夜ぐっすり眠ることが出来る。治療開始てはじめての月経周期が35日とやや早まった。
その後、徐々に腰部・下肢の冷えなども改善。その後月経周期が30日前後と安定するようになった。
症例3
20代 女性
10代の頃から月に2回月経がきていて、短くて10日間、長いと15日間ずっと出血している。思春期の頃はホルモンバランスも安定していないからと様子を見ていたが、今も変わらず月に2回月経があり、出血期間も長いので、出血のない日は月に10日もない。
生理痛も酷く、薬を飲めば楽になる日もあるが効かない日は何もできなくなってしまうので、なんとかしたいと思い来院。
日常的に貧血を起こしている。本人は慣れたと言っていたが、家族はこのままでは就職活動にも支障をきたしそうなので心配している。
当院の治療
自律神経測定機で計測したところ、血管の弾力性の低下、ストレス過多など自律神経の乱れがみられたことと、幼少期からアトピーや手足の冷えもあり体質改善が必要だと説明しました。
体質改善のための東洋医学的な内臓にアプローチする治療と、血行促進と自律神経を整える治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
特に変化なし
◇2~4回目◇
便通が良くなっている気がする。
◇5~10回目◇
月経不順に変化はないが、身体のだるさは軽くなっていく。
◇10~22回目◇
月経不順に変化はないが、手足の冷えが改善した。
◇23回目◇
月に2回月経はくるが、ほぼ10日間で終わるようになった。
◇24~37回目◇
月に2回月経はくるが、出血の日数が短くなっていった。
◇38回目◇
1回の月経が7日で終わるようになり、日常生活も快適に過ごせるようになったため治療を終了。
月経不順は東洋医学において「経乱」とよばれています。また月経異常は東洋医学でいう「心」と「脾」が深く関係していると言われています。気血は、脾胃の作用によって運ばれますが、脾の機能が低下して気血をうまく運べない状態となってしまうと月経異常が起きます。
また「心」の「血脈を主る」という心臓でいうポンプ作用が低下してしまうと細部に血液が回らなくなり、月経になりやすい状態となります。
これは、西洋医学でいう心臓のポンプ作用のことを指します。それ以外にも身体の細部にまでわたる新陳代謝や機能の発現なども指します。
思考や分析・判断処理などの意思決定や思想のことを「心」が主っていることを指します。
血液の成分である津液が汗に変化することを指します
脾と胃の作用により消化された栄養物質を全身に送り届かせたり、気・血・津液などの生成
を行います。
脾の運化作用で全身に気血や栄養物質を送り届かせるためにそのような物質を脈外に出さないようにする作用があります。
脾の機能によって運ばれた物質が四肢や筋肉を栄養することをあらわします。
脾が血の生成の元を供給して心は血を循環させてさせる役割があり、お互いが関係しあっています。よって脾の機能が低下すると心にも影響を及ぼし、また逆に心の機能が低下すると脾の機能が低下します。
月経が規則正しく来ないものです。月経の悩みで一番多いのが月経不順です。
月経は女性の生涯で35~40年間です。
月経周期は、だいたい30日前後で繰り返されます。前の月経がはじまった日から次の月経が来るまでの期間が月経周期になります。月経周期が25~38日の間であれば正常な周期と言えます。
24日以内と周期が短いと頻発月経と呼び、39日以上遅れるものを稀発月経と呼びます。
月経不順の原因を引き起こす病気には多嚢胞性卵巣や高プロラクチン血症があります。
子宮内膜が溶けて落ち、出血がおこるものです。
これは、子宮内膜は細胞や毛細血管、分泌腺などが含まれた組織です。この組織が次の月経に向けて、体内にある酵素が働き出血となって身体の外に出されるためです。
子宮内膜は子宮の内側を覆っている膜で、月経周期によって厚さを変えていきます。
この子宮内膜の厚さや月経周期は女性ホルモンによって作り出されています。
月経に異常がある時は多くの原因がホルモン分泌のアンバランスです。
月経は女性ホルモンによってコントロールされています。
脳の視床下部よりゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が脳下垂に指令をだして性腺刺激ホルモンのゴナドトロピンを放出します。
このゴナドトロピンは二種類あって、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
この二種類が排卵を促せたり、子宮内膜をコントロールします。排卵期には卵胞ホルモンが増えて排卵促すのと子宮内膜を増殖させて厚み作ります。排卵後は黄体ホルモンが増えてさらに子宮内膜を厚くさせる作用があります。
子宮内膜は妊娠しやすいようにするのと、妊娠後に受精卵に栄養が渡るように「新鮮な状態」を作り出さなければいけないため、月経に周期があります。
この女性ホルモンは脳によって管理されている場所です。この脳はストレスや精神状況によって影響を受けやすいものです。
その影響で月経周期に変動を起こすことがあります。
ストレスのよる無月経は全体の約10%にのぼると考えられております。心理的ストレスは、受験・入学・就職・転職など生活環境の変化が大きい時に特に感じることが多いかと思います。また職場や家庭で上手く物事が進まないときなど現代ではストレス感じそれを溜めこんでしまい発散できないという方が増えています。特に本人がストレスと感じていなくても症状が出る可能性もあります。
また体重の減少も月経異常の大きな原因となりえます。特に危険なのが本人に痩せすぎているという自覚がなく、正常な体重にしようとすることを拒むことで起こる神経性無食欲症という病態です。これは思春期に起こりやすく、月経が開始してから栄養不良から無月経となり、ホルモンの分泌が抑制されてしまい、成長していくにしたがって様々な身体の悪影響が出てしまうのです。
ストレス以外にも冷えや自律神経の乱れ、生活習慣などがあります。
病気や加齢なども原因として考えられます。
・ストレス
・ダイエットなどで体重が減少
・自律神経の乱れ
ストレスや過度なダイエットは自律神経の乱れを生みホルモンバランスが崩れて、月経周期が定まらないままにしておくと将来妊娠しにくくなる可能性があります。
月経不順を軽いものと考えていると将来的に妊娠の可能性だけでなくいろいろな不定愁訴から病気になることもありますので甘く考えてはいけません。
血をサラサラにする効果もあります。悪玉コレステロールを減少する作用があります。さらに血管の拡張作用もあるため、高血圧、動脈硬化、高脂血症、心筋梗塞などの病気にもなりにくくなります。
お肌の艶に関係する、コラーゲンとヒアルロン酸を増やしてくれます。
骨の破壊と再生の新陳代謝を調節してくれます。骨量のバランスが崩れると骨粗鬆症になります。
脳内の神経伝達物質のセロトニンやドーパミンを増やす作用がありますので、気分を明るく前向きな考え方になります。
どれも健康や女性には欠かせないものですので、月経不順とはストレスバロメーターだと思い、早めに改善したほうがいいです。
月経不順から引き起こされる病気には
子宮内膜は生理の時に剥がれ落ちます。この子宮内膜が何らかの原因で子宮の外にでてしまうのが子宮内膜症です。症状は月経痛・下腹部痛・過多月経・生理前の吐き気などです。
10人に1人かかると言われています。
女性の3~4人に1人は子宮筋腫を持っていると言われる程、多い病気です。
子宮の筋肉から発生する腫瘍です。
女性ホルモンの影響を受けて大きくなるため閉経後には小さくなっていきます。
生理の時の出血が多いことや、貧血、頻尿、排尿痛などの症状もありますが、自覚症状がない場合もあります。これは子宮筋腫ができる位置に関係していて、子宮の外側に筋腫がある場合は症状をあまり感じません。
誰でも起こる可能性があるもので、性交によってヒトパピローマウイルスに感染することで起こる病気です。
不正性性器出血が多く、おりものが多くなることもあります。進行するもので下腹部痛・血尿・血便・排尿障害が増えることもあります。
中医学では梨状筋症候群(坐骨神経痛)は、臀部付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間体力仕事をした時などに気血は滞り、それが臀部付近であった場合に梨状筋症候群(坐骨神経痛)を発症する可能性が高くなります。
また坐骨神経の通り道は、中医学の「膀胱経」の通り道と似ており、「膀胱経」が何らかの障害を受けると梨状筋症候群(坐骨神経痛)を発症しやすくなります。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると梨状筋症候群(坐骨神経痛)がおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
当院の梨状筋症候群(坐骨神経痛)に対する施術の目的は、臀部付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くして梨状筋の緊張を緩めることです。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。
電気の刺激が苦手な方には、鍼とお灸とストレッチやマッサージ等を併用して筋肉を緩めて坐骨神経の圧迫されている部分を取り除いていく施術も行っていきます。
梨状筋症候群(坐骨神経痛)は五臓六腑の「肝」と「腎」、「膀胱」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや臀部付近の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
東洋医学では痛みはその部位だけの問題ではなく、五臓六腑を含めた体全体の問題としてとらえます。梨状筋症候群(坐骨神経痛)は全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので梨状筋だけの部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高め、早期回復が見込めます。
当院では補助的施術としてストレッチや吸角を行い、はりやお灸の効果を一層高めます。
※坐骨神経痛の鍼灸治療の有効性についての研究
明治鍼灸大学の研究
『根性坐骨神経痛に対する神経根鍼通電療法の開発とその有効性』
www.meiji-u.ac.jp/research/files/shinkyuigaku30_1.pdf
では、神経根に鍼通電療法を施すことで神経根ブロック注射よりも効果が持続出来て症状も軽減されたという研究結果も出ています。また、薬物療法神経根ブロック注射に対して鍼灸治療で用いられる鍼は細く、神経を傷つける危険性の低下や薬物による副作用リスクの軽減なども示唆され、鍼通電療法ではブロック注射よりも簡便に行うことができる治療法になり得る可能性が考えられるとされています。
症例 1
30代 女性
仕事はデスクワークが主で一日中椅子に座って仕事をしていた。ある日座って仕事をしている最中に臀部に痛みを感じた。痛みの程度は軽かったためそのまま仕事をしていると仕事が終わったときには強い痛みに変わってしまっていた。次の日も臀部の痛みが強く出ていて1時間ほど座って作業をしていると足の方にも痺れの症状が出てきて座っていなれないほどになってしまった。整形外科を受診したところ、梨状筋症候群と診断されて痛み止めの薬と日常的に運動やストレッチを行うように言われた。
毎日、痛み止めの薬を飲んで薬の効果が出ている時は良いが、効果が切れてしまうと痛みが再現されて座っていられない。インターネットで調べて臀部のストレッチなども行ってみたがあまり効果が見られず、なんとか痛みを軽減させてほしいということで当院にご来院されました。
施術
まず、仰向け治療で鼠径部・前脛骨筋などの下腿部の固結部に鍼通電療法やお灸療法を施して筋緊張を緩和していきました。次にうつ伏せとなり、梨状筋をねらった鍼通電療法、腰部・下腿後面部にも鍼やお灸を施していき、最後にマッサージやストレッチで筋肉をほぐして痛みの緩和をはかりました。
◇1回目◇
その日は臀部が楽になったと感じた。以前は、痛み止めを飲まないと痛みで眠ることができなかったが治療後当日は眠ることができた。
◇2回目◇
ひどいと仕事開始して10分後に痛みを感じることがあったがそれがなくなった。痛み止めはまだ服用
◇3回目◇
痛み止めを飲まなくても何とか座って仕事をできる日が出てきた。しかし、まだ1時間ほどすると足のしびれや痛みが出ることもある
◇5~4回目◇
痛みがほぼ出ないようになってきて調子のよい日が増えてきた。痛み止めの薬も服用していない。
症例 2
20代 女性
半年ほど前から1時間以上座る姿勢を続けていると、左臀部の痛みと左太もも裏にしびれや痛みがでるようになった。
仕事は立ち仕事で、前かがみに下を向きながら作業することが多く、首から肩、背中、腰のコリや疲労は常に感じていた。臀部の痛みや足のしびれは、1時間以上の座り姿勢の時のみ生じ、普段は全く感じない。
映画館で長時間座り続けるのが辛くご来院された。
施術
後頸部や肩、腰、臀部に強い筋緊張がみられたため、筋緊張緩和を目的に鍼通電を行い、下肢の血行促進のため、左下肢にお灸と鍼を行いました。また、全身の疲労回復と血流改善のため、自律神経調整施術を行いました。
一回目
施術後は筋緊張がほぐれ、身体が軽くなった。
二~三回目
仕事をすると、また身体が凝ってくるが、以前よりは楽になった。
四回目
映画を見に行っても、臀部や太もも裏が痛んだりしびれることがなくなった。
梨状筋症候群は、臀部にある洋梨の形をした梨状筋が何らかの原因で坐骨神経を圧迫し、坐骨神経障害を引き起こす病気です。梨状筋は臀部中央にある仙骨から始まり足の付け根付近の大腿骨大転子という部分についている筋肉で足先を外側に向かせる働きがあります。
梨状筋は、中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋と並んで痛みが遠くの場所にも発生しやすい筋肉の一つであり、こじらせると厄介な筋肉でもあります。特に梨状筋は、坐骨神経が通過しているため、梨状筋の緊張は、そのまま坐骨神経にも影響を与えてももの裏側から足の裏にかけて痛みが放散することもあります。
ももを曲げる働きをする筋肉はすべて坐骨神経から出る神経に支配されており、坐骨神経は一般的に梨状筋の下孔を通って骨盤外に出ます。しかし、走行には個人差があり梨状筋の下を通っている場合もあり、まれなケースでは梨状筋を貫通していることもあります。そして、大腿後面中央をほぼ縦に垂直に通り、膝裏に向かいます。膝裏に入る直前に脛骨神経と総腓骨神経という神経に分かれ、足の方へ下っていきます。しかしその過程で坐骨神経の一部が梨状筋の間を通ったりする場合があるため、股関節を曲げたり伸ばしたり捻ったりすることで筋の柔軟性が失われると坐骨神経は梨状筋に絞扼され、坐骨神経痛を訴えます。
症状としては臀部から足先にかけて坐骨神経の経路に沿って広がる痛みや痺れです。一般的に梨状筋症候群では腰痛症状がなく、足先を外側に向ける動きや横座りで体重を患側にかけると痛みが増強します。
※梨状筋症候群だと疑うポイント
・ももの裏・ひざ裏・足裏に痛みが走り、坐骨神経痛のような症状が出る
・特にももの裏に痛みがある
・股関節の痛みがある。
・仰向けで寝ている時に足先が内側を向く
・内またで歩く癖がある
※坐骨神経痛
坐骨神経痛は症状の表現であり、病名ではありません。坐骨神経が圧迫されることによって生じる神経痛を総称して「坐骨神経痛」といいます。
坐骨神経痛の原因疾患で最も多いのが腰椎椎間板ヘルニアで、その他に腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・分離症、梨状筋症候群などがあります。基本的に梨状筋症候群の場合は腰痛を伴わず、臀部から下肢にかけての痛みおよび痺れがありますが、腰痛の所見がないからといって容易に梨状筋症候群と判断することはできません。そういった場合でも腰椎椎間板ヘルニアが痛みの原因である場合も多いからです。
※臀部の痛みの原因
臀部痛の原因となりやすい筋肉は、主に3つあります。人体の中で最大と言われる大殿筋、その大殿筋の上方に位置する中殿筋、それと梨状筋です。これらの臀部の筋肉は、人が歩行するにあたってとても重要な役割を担っています。中殿筋は、股関節の動きにとても重要な筋肉で中殿筋が委縮してしまうと歩行時に骨盤が斜めに下がってしまうトレンデレンブルグ徴候が起きてしまい、歩行が安定しません。中殿筋は、大殿筋よりも小さい筋肉で筋肉に刺激を与えないと比較的筋力低下が起こりやすい筋肉と言われていますので注意が必要です。特に病気で安静が必要となってしまったケースでは、筋肉が萎縮してしまわないように出来る範囲でトレーニングをしていないと歩行に支障が出てきてしまいます。
また、臀部に強い痛みが発生している場合は、臀部の表層筋である大殿筋が痛みを防御するために未意識に周囲の筋肉を固くしてしまい、梨状筋・小殿筋・中殿筋にも影響を与えてしまいます。
梨状筋症候群は坐骨神経が梨状筋間で絞扼され、仕事や運動でストレスが加わり発症します。外傷やスポーツ活動などで圧迫されて引き起こされることが多く、特にランニングのように股関節の屈伸を繰り返すスポーツでは、坐骨神経を摩擦し、絞扼するため神経炎を生じる原因となります。
また長時間、座位の姿勢を取ることによって圧迫され発症する事もあります。腰椎椎間板ヘルニアと症状が似ており、鑑別が必要となります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では、風邪は疲労やストレスで体の抵抗力が弱くなったところに、皮膚から「寒(冷え)」や「外邪(外から入り込む病因)」が侵入して起こると考えられています。
外邪は風邪、暑邪、熱邪、湿邪、燥邪、寒邪があり、この「外邪」の中で風邪の諸症状を引き起こすのに関係が深いのは「風邪(風が体に与える悪影響)」と「寒邪(寒さが体に与える悪影響)」といわれています。
風に当たり続ける事で体調の熱が奪われることや、皮膚や粘膜が乾燥することでウイルスや細菌が体に侵入しやすくなること、寒さにより体が冷える事で血行が悪くなり、免疫力が低下することが関係していると考えられています。
この「風邪」と「寒邪」はどこから侵入するかというと「口、鼻、皮膚、毛穴」などからです。この呼吸器や皮膚、毛穴と関係が深いのは「肺」といわれています。
東洋医学における「肺」は水分を全身に行き渡らせる働き、汗を調節する働きがあり、外からの外邪を防ぐ働きも肺が関係しています。肺は乾燥に弱い臓器とされていますので、空気が乾燥する時期には肺を病みやすくなり風邪をひきやすくなると考えられています。
肺気虚・・・肺の陽気が不足してしまうと呼吸器系の機能低下や咳、呼吸困難や水分代謝が障害されるために痰の量が増えてしまいます。その他、無力感や息切れなどの気虚の症候もあらわれることがあります。気虚の状態は、病態が長引くことが多く、肺気が持続的に衰える状態に陥りやすくなってしまいます。全身的な気虚としては脾肺気虚・心肺気虚・肺腎気虚が発生してしまうこともあります。
軽度な症状では、自汗・寒気・風邪をひきやすいなどがあります。
肺陰虚・・・肺の陰液の不足の病態で慢性病による栄養障害・炎症による津液消耗や乾燥した環境などによって生じます。症状として乾咳・血がにじまる粘痰、声が出ない、のどの乾燥感、顔面紅潮、微熱や寝汗などの熱症候があらわれます。肺陰虚は気管支の粘液分泌不足・慢性炎症や自律神経系の乱れなどが関連すると考えられています。
また、東洋医学では五臓六腑の『肺』は、『大腸』との関係が深いと考えられています。肺の下方に向かって機能を推し進める粛降という機能は、大腸の排便機能との関連が深いと言われています。肺の機能が低下してしまうと大腸の機能にも不調が起きやすく、逆のことも言えます。
・大根
大根は漢方の世界でも『除風寒』といって寒気から風邪を回復させる効能やの作用や『下気和中』といって気の巡りを促進させて胃腸の働きをよくするなどの効能があるとされています。現代の研究でも大根のアルコール抽出成分には、ブドウ球菌や真菌などの細菌に対する抗菌作用があることがわかっています。風邪の初期症状の場合、大根と白ネギを薄切りにしてお湯に入れて飲むと効果的です。その他にも大根の葉に豊富に含まれるビタミンCは抗酸化力があるとされ、血管の粘膜を強化する働きもあります。
・ショウガ
ショウガは、風邪に効果があると聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。漢方の政界でもショウガは、『解表散寒』といって寒気を追い払うことで風邪症状に効果があると言われています。胃腸の働きも回復させる『温中止嘔』や肺の機能を高めて咳を止める『温肺止咳』の効能もあります。現代の研究でも発熱しているマウスにショウガを与えると発汗を促すことで明らかな解熱作用が見られることがわかっています。
・ねぎ
ねぎも風邪症状に効果のある食材として知られている一つです。漢方の世界でも『発汗散寒通陽』といいまして節々の関節の痛みを伴う風邪に対して発汗作用で効果があると言われています。また、『消腫解毒』といって毒を解消させて炎症の腫れを引かせる作用があります。
東洋医学では風邪は身体の表面から入ってくると考えられており、特に後頚部から肩にかけては風邪が入ってきやすいところと考えられています。首や肩が凝り固まりそこへ冷たい風が当たると風邪を引きやすい状態になります。
当院ではまず、自律神経系のバランスを整える治療を行い、五臓六腑の働きを調整し冷えを除き、免疫力を高め自然治癒力を促進する治療を行います。また、東洋医学的観点から肺の働きを補うツボも取り入れていきます。
その後うつ伏せで後頚部から肩の筋緊張を緩め、風邪の治療穴や背部の五臓六腑の働きを調整するツボに鍼やお灸を用いて刺激を与えていきます。同時に腰部や下肢を遠赤外線やお灸で暖める事で、全身の血流を促進し冷えの緩和と、新陳代謝を促進し自然治癒力を高めていきます。
風邪の原因となるのは、約8割以上がウイルスで、残りは細菌や微生物が原因と言われています。同じ風邪でも症状の軽いもの~重いものまで様々です。
これは、風邪を引き起こすウイルスが多種存在し、ウイルスの種類やかかった人の状態によって症状に個人差が現れるためといわれています。風邪のウイルスは常に空気と接している鼻や口を通して体に侵入します。
しかし、健康な人の身体には細菌やウイルスなどの侵入を排除するための自己防衛機能(免疫システム)が働いています。風邪の諸症状はこれらの自分の体の免疫機能が働く事で起こる体の反応です。基本的にゆるやかに進行していき、微熱が徐々に上がってきます。熱は一般的に37~38度程度です。
くしゃみ、鼻水、咳
鼻の中には鼻毛や粘膜が空気清浄フィルターのような働きをし、ウイルスや細菌など異物の侵入を防いでいます。鼻の粘膜に風邪ウイルスが付着するとそれを追い出そうとしてくしゃみや鼻水が出ます。また、ウイルスがのどの粘膜に付着した場合は咳がでます。これらの反応はウイルスが侵入した初期段階に起こります。
発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、喉の痛み、違和感、咳、痰、倦怠感
ウイルスが鼻や口の粘膜を通過し、身体の中に侵入すると血液中の白血球がウイルスを排除しようとして働きます。白血球の中でも貪食細胞と呼ばれるマクロファージや好中球がその名の通りウイルスや細菌を飲み込み、酵素で分解し殺します。貪食細胞が飲み込みきれなかったウイルスに対しては、特定の病原体を排除する役割を持つタンパク質である抗体が免疫システムとして働きます。
抗体はある種の病原体が侵入した時に白血球のT細胞が指令を出しB細胞が抗体を作り始め、次に同じ病原体が侵入してきたときにブロックします。体内でこれらの免疫システムが働く事でその反応として炎症が起こります。この炎症が寒気、頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、喉の痛みや違和感、倦怠感、咳、痰、鼻水などとして現れます。ただしその症状は誰もが同じように現れるのではなく、個人の体力や体調などにより様々です。これらの炎症反応が強いことは、これまでに感染したことのないウイルスであること、ウイルスの性質が強いことや量が多いこと、ウイルスが深く侵入してしまうことなどが関係しています。
・花粉症
スギ花粉が飛散するのは2月~3月にかけての頃です。インフルエンザの流行の時期と重なっています。スギ花粉症がある方ではインフルエンザ、風邪ウイルス、花粉症のどれなのか鑑別が必要になります。見分け方として鼻や喉の症状は花粉症の場合でもなるので鑑別点となりません。
花粉症でも微熱が出ることがありますが、38度を超えるようなことは稀なので高熱の場合は鑑別点となります。しかし目の痒みはインフルエンザウイルスや風邪ウイルスでは通常起こりません。
・インフルエンザ
喉の痛み、鼻水、頭痛、悪寒、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。風邪との大きな違いは風邪が徐々に熱が上がるのに対して、インフルエンザは突然38℃台の高熱が出ることが挙げられます。重症化すると気管支炎や肺炎などを併発する事もあり、子供の場合は中耳炎や熱性けいれん、ときには急性脳症を起こす可能性があります。
気になる症状があればすぐに病院で検査を受けましょう。インフルエンザの場合は早期治療が非常に重要です。
・アレルギー性鼻炎
家のほこりやダニ、スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどの花粉によって起こります。くしゃみや水っぽい鼻水、鼻詰まりが特徴です。花粉が原因の場合には喉の痒みや発熱も見られます。春先に多いため、初めて発症した人は風邪と思い込みやすいと言われています。
アレルギー性鼻炎は鼻症状やくしゃみの他に目の痒みや涙、充血下痢や皮膚の痒みなどが起こることもあります。原因が花粉以外の場合は発熱は無いといわれています。
・急性気管支炎
多くはウイルスが原因となる病気で鼻水、喉の痛みの他、悪寒やふしぶしの痛み、咳、微熱など風邪そのものの症状が現れます。最初はコンコンと乾いた咳が出ますが、やがて少量の白いたんが、さらに進行すると緑や黄色のたんが絡むようになります。気道が狭くなり、咳の後ゼイゼイという音や、ヒューヒューという音がし始めます。重症化すると高熱が3~5日程続くといわれています。タバコを吸う人、ダイエット中の人、子供や高齢者などは発症しやすいため注意が必要です。
・肺炎
細菌やウイルスが鼻や口から侵入することで起こります。健康な人は喉で排除できますが、風邪を引いて喉に炎症が起こっていたり、慢性疾患などで体力や免疫力が弱っているなどに肺炎を起こしやすくなります。
体力の少ない子供や高齢者は特に注意が必要です。肺炎は、ガン、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3位となっている病気です。症状は肺炎を起こす病原体の種類や炎症を起こしている部位によって少しずつ異なります。たいてい38度以上の高熱がでますが、高齢者の場合は熱が出ない場合もあります。肺炎の特徴は激しい咳です。
たんを伴なわない乾いた咳が長く続くことが多いのですが、黄色や緑色の痰を伴なう湿った咳が出る事もあります。他にも悪寒、息苦しさ、胸痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振、倦怠感、頭痛などの症状がみられます。
炎症が肺を包む胸膜に及ぶと胸痛が起こったり、血液の中の成分が染み出して胸と胸壁の間の胸腔に水が溜まることで胸膜炎を起こすこともあります。また、悪化すると血液中の酸素不足からチアノーゼ(唇や顔が紫色になること)が現れ、呼吸数や脈が速くなることもあります。
・結核
結核菌という細菌が体内に入り、増殖することにより起こる病気です。結核菌に感染しても必ず発症するわけではなく、健康であれば菌を吸い込んだ後人の身体は免疫によって結核菌を抑え込んでしまいます。
しかし、体力が低下したり、病気になって免疫機能が働かなくなるなどして抵抗力が落ちると、抑え込まれていた結核菌が再び活動を始め、発病する可能性があります。日本では結核の約八割は肺結核です。結核菌が肺の内部で増え、結核に特有な様々な炎症が起こ
ります。続いて肺が破壊されていき、呼吸する力が低下します。肺以外の臓器が侵されることもあり、リンパ節、腎臓、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。初期の症状は風邪と似ており、倦怠感、咳やたん、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。ただしそれが2週間以上も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と異なります。
風邪にかからないためには、免疫機能を強化し、感染を予防するための生活習慣が重要です。以下は、風邪予防のための生活習慣の一部です。
大切な食習慣
症例1
50代 男性
季節の変わり目によく風邪を引く。熱は微熱程度で、咳や鼻水が続き喉が痛む。身体はだるく、一度風邪を引くと2週間ほど症状が続く。
中途覚醒があり、睡眠の質はあまり良くなく、日中に眠気を感じることが多い。
今回も風邪の症状が治らないため当院へご来院された。
施術
免疫機能は自律神経の影響を受け、自律神経の乱れが免疫力の低下を引き起こします。交感神経が優位な状態が続くと、顆粒球という白血球が増えます。顆粒球が発する物質にはリンパ球という白血球の働きを抑える作用があり、ウイルスなどに感染しやすくなります。また、交感神経が優位な状態は、コルチゾールというホルモンを分泌し、免疫細胞の働きを抑制してしまいます。
副交感神経を働かせ、免疫力の向上、睡眠の質の改善のため、自律神経調整の施術を行いました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
施術後は身体が軽くなった。咳が治まり、よく眠れた。
二回目
咳は完全に治まり、身体のだるさが楽になった。施術をした日はよく眠れる。
三回目
以前より身体が軽く感じる。風邪の症状は完全に治まっている。
以降、メンテナンスでご来院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
シェーグレン症候群に対する当院の治療はまず東洋医学的観点により、機能が低下している臓腑、主に『肺』『脾』『腎』の機能を補うような治療を施していきます。治療前に脈診・舌診・腹診などを用いて、特にどの部分が弱っている可能性があるか問診をいたします。
また、自己免疫疾患の場合でも自律神経の乱れが見られることが多いため自律神経の状態を自律神経測定器で計測してその結果をふまえて自律神経調整治療も行っていきます。
特にドライアイが強く出ている方の場合は、ドライアイの治療を積極的に行っていきます。あわせてドライマウスの施術も頬周辺のツボを使って行っていきます。
シェーグレン症候群の治療期間につきまして体質の変化などを目的に3か月ほどと比較的長めの治療スパンを見ていただいております。最初の一か月ほどは週に2回ほどの間隔で詰めて治療を行い、それから徐々に治療間隔を延ばしていくと効果的です。
シェーグレン症候群は、1930年にスウェーデンの眼科医(シェーグレン)によって報告されたのが最初と言われています。40代・50代の方に多く発症し、特に女性に多く男女比は1対14ほどといわれています。1993年度の政府による自己免疫疾患調査によるとシェーグレン症候群の有病率は10万に約15人程度の割合とされていますが、病院にかかっても疾患の特定に至っていない場合も多いと推察されています。
シェーグレン症候群は、自分の体を自分とは違うものと認識してしまい自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患だと考えられています。自己免疫疾患は、よく知られている病気では関節リウマチや全身性エリテマトーデスがあり、膠原病として一括りにされることもあります。人間の体には、ウィルスや細菌が体内に侵入してきた際にそれを認識して侵入者を攻撃して撃退する機能が備わっています。それを免疫機能と呼びますが、自己免疫疾患では自分の細胞も外からの侵入者も見分けがつかない状態に陥ってしまい見境なく攻撃してしまうのです。
その攻撃する場所が、違うことで疾患が分けられます。主に手の関節の節々を攻撃してしまうのが関節リウマチ、全身の各臓器が攻撃されてしまうのが全身性エリテマトーデスといった具合です。
そして、シェーグレン症候群では全身の分泌腺が攻撃を受けてしまう疾患です。
シェーグレン症候群は、主に2つの症候群に分類されます。
原発性シェーグレン症候群
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患を併発していない場合、原発性シェーグレン症候群と言われます。日常的にドライアイやドライマウスに悩まされているが、日常生活にまでも支障をきたしていないこともあります。
続発性シェーグレン症候群
原発性シェーグレン症候群とは逆にシェーグレン症候群の他に別の自己免疫疾患を患っている場合を続発性シェーグレン症候群といいます。自己免疫疾患でも様々な病気があるため、それらの診断が非常に難しくなり、病院でも疾患の特定が難しくなる原因となります。
シェーグレン症候群は、主に分泌腺を侵入者と判断して攻撃するため分泌腺のある目や口腔、鼻腔、呼吸器などに症状が出ることが特徴です。
・ドライアイや疲れ目
ドライアイや疲れ目は、パソコンやスマホ操作など目を酷使する現代では非常に多い病気です。それは、画面を集中的に見ることで瞬きが減少して自然と目の表面の涙の量が少なくなることが原因です。しかしシェーグレン症候群の場合はそういったことではなく涙の分泌腺自体が攻撃を受けてしまうため涙の量が減ってしまうのです。
よって日常的に排出される涙の量も減ってしまいますが、感情による涙や玉ねぎを切ったり、目の中にゴミが入ったときなどに出てくる涙も出なくなってしまっている状態なのです。
・ドライマウス
唾液腺も攻撃を受けてしまうため唾液の分泌量も減ってしまいます。唾液には、抗菌・殺菌作用や口腔粘膜の保護、食べ物を潤滑に食道に運ぶ作用などがあります。それらの作用が低下してしまうため、虫歯・口内炎・口腔内が傷つきやすくなる・味覚が低下する・唇がひび割れてしまう・パサつく食べ物が食べられなくなるなどの状態を招いてしまいます。
・呼吸器疾患
鼻や気管支などにも粘液腺という分泌腺があります。それらの機能は外からの侵入者を痰として体外に排出する役割があります。その機能が低下してしまうため肺感染症などの呼吸器感染症にかかりやすくなっていましまいます。
・頭痛
シェーグレン症候群で頭痛に悩まされる方は多いです。吐き気を伴ったり頭ががんがんと痛む激しい頭痛に悩まされてロキソニンなどの鎮痛剤も効果がなく、慢性的な頭痛となり集中力の低下やめまい、精神疾患と発展していくこともあるので注意が必要です。
・その他
自己免疫疾患の特徴でもある血管の壁を攻撃してしまうため気づかないうちに青あざができたり、レイノー現象(寒冷刺激で痺れ感や皮膚が紫に変色する)が起きることがあります。関節にも影響を与えて膝や手首などといった間接に痛みを感じる方は多いです。関節痛につきましてはシェーグレン症候群にかかっている人の半数以上が悩まされているとも言われています。
また、膣の分泌腺も攻撃してしまうため膣炎や性交時の痛みの原因となったり、腎臓にも影響を与えて頻尿をともなうこともあります。
シェーグレン症候群の診断は、主に唾液の分泌量・涙の分泌量・血液検査・生検組織検査などから診断されます。
シェーグレン症候群の診断は、その他自己免疫疾患が絡んでいる可能性があるため難しく慎重となります。下記のような症状が当てはまる場合は一度病院で診断を受けてみましょう。
・一日に3回以上ドライアイ用の目薬をさす
・感動する映画など見ても涙が流れなくなった
・目が特に最近疲れやすくなった
・目が赤く、常にゴロゴロしている
・口の中が乾燥していると感じる
・食事の際に水をよく飲むようになった
・口内炎や口の中が切れやすくなった
・最近味覚を感じにくくなった
シェーグレン症候群の原因はいまだ特定されるまでには至っておらず、根本的な治療法がないのが現状です。
ドライアイには目薬や涙液プラグを入れたり、ドライマウスには人口唾液を用いたりとあらわれている症状によって治療法が異なっています。
シェーグレン症候群の予後は、症状自体は寿命を縮めるというわけではなく、個々の症状に対してきちんと治療していけば重症化することは少ないといわれています。
しかし、間質性肺炎などのその他自己免疫疾患を併発した場合は死にも至る危険性のある怖い病気です。その他、症状が長く続くことで心身ともにストレスを感じて免疫力の低下に繋がったり、うつ病などの精神疾患を患うことがあるので症状に気づいたらすぐに治療を行っていくことが重要となります。最初は対処療法で個々の症状にアプローチしていくことで少しでも心身へのストレスを軽減させていくことはQOL(生活の質)の向上につながるのです。非ホジキンリンパ腫の悪性リンパ腫の発症リスクが高まることが言われており注意が必要です。
症例
50代 女性
一年前から口の渇きが気になり始め、病院へ受診したところシェーグレン症候群と診断された。
病院で処方された唾液の分泌を促す薬を服薬して何とかしのいできたが、他の方法も試してみたいという思いで鍼灸を受けることを決意した。
ドライマウス以外の症状は出ていないが口の渇きはひどく気になり、食事の際は水を飲みながらではないと食べづらさを感じる。特にパンやおせんべいは口の中にくっついてしまい、うまく飲み込めない。
口の渇きがひどいため常に飴をなめて口内を潤している。
緊張したり、精神的ストレスが強くなると口の渇きが一層強くなる。
当院の施術
まず自律神経測定器で、今のお身体の状態を確認していきました。
自律神経の交感神経が優位になっており、副交感神経の働きが弱い状態でした。
交感神経が高くなると唾液の分泌が減少してしまうため、自律神経調節を目的とした施術を行いました。
次に顎周辺の経穴に刺鍼し、そこに低周波の電気を流し唾液腺の分泌を促し、首肩の筋緊張を緩めていきました。
経過
1回目
大きな変化はないが、施術直後は唾液が出てきたような気がする。
2回目
少しずつ口の中が潤ってきた。
3回目
施術した日の食事は楽に喉を通るが、時間が経つと乾いてしまう。
4回目
低周波の周波数を変更した。
いつもより唾液の分泌が感じた。
5回目
パンでなければ、水分補給を全くしなくても食事ができるようになってきた。
6回目
食事が苦痛ではなくなってきた。
楽しく食事ができるようになるまで改善してきた。
・大臀筋
お尻を形成する大きな筋肉で、臀部の筋肉の最も表層部に位置します。大臀筋の作用は主に股関節の伸展動作に働き、その他に股関節を外旋させる作用もあります。歩行や走る動作など全ての日常動作に関与します。
・中臀筋
大臀筋の上部に位置し、一部は大殿筋に覆われている筋肉で、股関節の外転、屈曲、伸展、内旋、外旋といった動きに関与します。直立のとき、小臀筋と共に骨盤を支える筋肉で、例えば歩行中体重が片足にかかった時に逆側に骨盤が傾かないように保持する筋肉でもあります。もし、この筋肉に障害や機能不全が起こるとトレンデンブルグ徴候が見られるようになります。
※トレンデンブルグ徴候とは
立っているときや歩行の際に反対側の骨盤が下がってしまう現象で、股関節障害の検査法の一つです。骨盤が下がることで重心が左右に振られ、側方に揺れるような歩き方になってしまいます。
・小臀筋
小臀筋は臀部上部側面にあり、中殿筋の深部にある筋肉です。作用においては中臀筋とほぼ同じで主に股関節の外転や内旋などの動作に関与します。中臀筋と同じように片足に重心をのせたときの軸足の骨盤の安定にも関与しています。
深層外旋六筋(股関節の外旋動作に重要な働きをする筋肉群)
・梨状筋
大臀筋のさらに深層にある筋肉で、文字通り梨の様な形をした筋肉です。主に股関節の外旋に働く筋肉ですが、深層外旋六筋のうち上方に位置しており貢献度は低いものの股関節の外転にも関与しています。また、股関節の安定にも関わる筋肉です。日常動作では、歩行時に方向を転換する際や、立位など股関節を安定させる全ての動作に関与しています。
梨状筋下孔を通る坐骨神経は梨状筋の絞扼を受けやすいので、その影響で坐骨神経痛が出現する場合があります。これを梨状筋症候群といいます。
・内閉鎖筋
股関節の外旋動作に関わる深層外旋六筋の中で最も強力な筋肉で、日常動作では歩行の安定、歩行時の方向転換時、体の向きを変える際の軸足の動き、直立姿勢での骨盤の安定などに貢献しています。
・外閉鎖筋
外閉鎖筋は内閉鎖筋の裏側にあり、外旋深層六筋の中でも最も深部に位置する筋肉です。作用として股関節の外旋と股関節の内旋にもわずかに関わっています。日常動作には歩行時などの方向転換で体の向きを変える時に動きのサポートと制御に働きます。
臀部の痛みを引き起こす怪我や疾患
・腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨を繋ぎクッションの役割をしています。その一部が出てきて神経を圧迫すると腰部、臀部痛、下肢に痺れや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。椎間板が加齢などにより変性し繊維輪に亀裂が起こり断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙でヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
・梨状筋症候群
スポーツなどによる梨状筋を含む股関節周囲の筋肉が硬くなり臀部に痛みを生じる状態を指します。梨状筋の真下を通る坐骨神経を圧迫すると臀部痛、大腿後面痛などを引き起こします。
・腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は背骨の中央にあり、脊髄とそれに続く神経(馬尾神経)が通っています。この脊柱管が何らかの原因で狭くなり中を通る神経を圧迫するのが脊柱管狭窄症です。
臀部、下肢の痛み、痺れ、間欠性跛行などの歩行障害が見られます。脊柱管狭窄症の原因は加齢による椎間板の変性や後方の椎間関節の肥大と考えられています。
・仙腸関節障害
仙腸関節とは骨盤にある仙骨と、腸骨の間にある関節で、周囲の靭帯により強固に連結されています。仙腸関節は脊椎の根元にある関節で3~5mm程度の可動域しかありません。この関節では日常生活の身体を支える働きとして根元から脊椎のバランスをとっています。中腰での作業や不用意な動作、あるいはその繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ、周辺の靭帯や筋肉に痛みが発生してしまいます。
症状として片側の陽臀部痛、下肢痛が多く見られます。
・肉離れ
肉離れとは運動やその他日常生活の動作で、筋肉に急激な負荷がかかった際に起こりやすい症状です。筋肉が吸収できないほどの負荷が筋肉にかかると筋肉がダメージを受けて損傷し、患部が腫れたり内出血を起こすなどの症状を起こすこともあります。軽度、中度、重度とあり症状の度合いによっては歩行困難となるほど生活への支障も出やすいのが肉離れです。
臀部の痛みの原因は様々ですが、大きく分けて3つの原因が考えられます。
・肉離れ、打撲などの外傷
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰部の構造的な変形
・腰と臀部の筋肉との連携に機能不全が起きている状態
肉離れや打撲などの外傷による臀部痛は痛み出したきっかけを本人が自覚している場合が多く、損傷の程度が大きくなければ治癒までの期間を安静に過ごしていればその後長期にわたって痛みが続くことは通常ありません。
鍼灸治療では炎症による痛みでも、患部の血液循環を促進し炎症物質の代謝を早めたり、お灸による抗炎症作用により治癒を早める効果が期待できます。
腰部の構造的な変形の場合は臀部の知覚を支配している神経に圧迫や摩擦といった刺激が加わるとその神経の影響下に痛みや痺れが現れます。そのため腰や臀部、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液の循環を良くしたり筋肉の緊張を和らげることで神経の圧迫や摩擦を軽減させ症状を抑えるのが目的となります。
筋肉や筋膜、靭帯などの軟部組織に機能不全が起こる原因は様々で、お仕事などで長時間の座位、立位、反復的な負荷などによって臀部の筋肉が緊張していたり、姿勢不良による関節のバランスの崩れ、産後の骨盤の関節のねじれや歪み、スポーツによる使いすぎなどが挙げられます。
鍼灸治療では腰部、臀部、下肢の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液循環の促進と筋肉の過緊張を和らげ関節のバランスを整えます。また、必要であれば鍼に微弱な電気を流すことで痛みを抑制する効果を促していきます。
また、当院では自律神経調整の治療も合わせて行い、内臓機能を高めたり全身的な血行を促進し、免疫力を高めることで、全身的なバランスを整え症状が治癒しやすいお体の状態を整えていきます。
40代 女性
デスクワークで長時間座っていることが多く、1時間程座っていると右側のお尻の部分が痛く太とももの裏に軽いしびれが出るようになってしまった。
接骨院などでマッサージを受けていたがあまり改善されなくなって鍼灸治療に興味を持って当院にご来院されました。
治療
身体の筋肉が固まってしまっている所など触診をしていった結果、腰部と臀部の筋緊張、大腿外側部や鼠径部の筋緊張もみられました。
まずうつ伏せになって頂き腰部や臀部、大腿外側部の筋緊張の見られる部位に鍼を刺して電極を繋げる鍼通電療法を行っていきました。その後、大腿周りの筋肉をストレッチなどでもほぐしていきました。
次に仰向けとなって頂き、鼠径部にも鍼を刺してゆるめるほかに大腿前面と下腿前面の筋肉にもアプローチを行っていきました。
経過
毎週末に1回ほどの治療ペースで2ヶ月ほどご通院して頂きました。
30分~1時間ごとに立たないと臀部の痛みが耐えられない程でしたがだんだんと痛み始める時間が延びてきて最終的にはほぼ痛みやしびれを感じないようになりました
症例 2
40代 男性
もともと腰椎椎間板ヘルニアを患っておりだましだまし生活を送っていたが、ここ2,3週間前から臀部の痛みがひどくなってきた。痛みの感覚は痺れというよりも鈍痛で、少し長い時間の歩行や椅子に座っている時間が長いと痛みが増してくる。
職業は美容師で座位や中腰の姿勢で作業することが多く、コルセット無しでは仕事できない状態。
腰痛もあるが、臀部が辛すぎて腰の痛みは軽く感じる。
当院の施術
初回は仰向けとうつ伏せになると痛みが強くなるため、横向きで施術を行いました。
臀部を触診すると、大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋といった浅層の筋肉の緊張が強く感じられました。
臀部や腰周囲の筋緊張が強い場所や、トリガーポイントに鍼で刺激し低周波鍼通電で固まった筋肉を緩めていきました。
主訴に対して以外にも全身の血流の改善と自然治癒力を高める目的で自律神経の調節も同時に行いました。
痛みが軽減してきたら、首肩コリや他の症状に対する施術も同時に行っていきました。
経過
1回目
少し痛みが軽減した。
まだコルセットは不安で外せない。
2回目
少しずつ痛みが軽くなってきている。
3回目
徐々に痛みが軽減。施術後は楽になるが、仕事をしているとまた痛くなる。
4回目
痛みがかなり楽になってきた。
筋肉の張りも取れてきた様子。
5回目
ためしにコルセットを外して仕事を一日してみたが、問題なく過ごせた。
当院の視神経委縮に対する治療の目的は、目周辺のツボにハリやお灸を施すことにより目の血行状態をよくします。またハリに電極をつないで微電流を流す場合もあります。
お身体の状態によって目の周りに低周波電流を流します。また、首肩部にも低周波を流して板状筋群や胸鎖乳突筋などの過緊張状態を緩和させます。
神経は電気信号によって情報を伝達しますが、視神経の委縮が起きるとその電気信号は途絶えて周りの神経細胞などにも波及しかねません。低周波はそのような波及を防ぐ目的に繋がります。
また目の周りの筋肉を刺激することで周りの組織の血流改善を促し、萎縮した視神経にアプローチします。
はり治療の有効性としては、内因性オピオイドによる鎮痛効果・自律神経の調整作用による血流・神経系・内分泌系・免疫系の改善が挙げられ、眼科疾患の改善につながると考えられます。ただし、強い炎症性のものや外傷性で間もないものに関しては症状を悪化させる可能性があるので刺激量を調節しながら施術致します。
目の周りで主に使用する経穴は、太陽・攅竹・四白などを使用します。その他はその日の身体の状態を診て使用経穴を判断致します。
また、東洋医学の観点により、視神経委縮は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。
その他に当院では、東洋医学の診断方法と自律神経測定器に基づき全身の調整施術も行っていきます。部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあり、全身を施術することにより人間が本来持っている自然治癒力を回復します。
当院の視神経委縮の施術目的は、まず視神経委縮の進行を止めて、それから症状を少しずつ回復に向かわせるということです。視神経委縮は進行性の疾患であり、それを食い止めることが最も重要です。眼科と並行して通院していただき、少しでも患者さんのお役にたてるよう努めます。
東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。視覚の異常や運動系の異常などは肝血との関係が深く不足するとそれらの症状が見られるようになります。
また肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、精神的ストレスは肝気を滞らせて巡りを阻害します。
肝血不足や肝気の停滞は眼の障害を引き起こします。それは視神経委縮の原因となります。
40代男性
突然右目の視界が靄がかかったように見えにくくなり、視力が低下して病院に行ったところ視神経萎縮と診断された。様々な病院で様々な検査を受けたが特に原因は分からずに経過観察と言われた。視力の低下の他に視野が狭くなったり色覚の異常も感じられるようになり、病気の進行を止めて少しでも改善をしたいということで当院にご来院されました。
施術
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を把握してから施術していきました。この方の場合、交感神経の活動が活発で常に筋や血管が緊張状態にあることが考えられ、それが目にも悪影響を与えてしまっている可能性があったので自律神経の状態も整える施術も並行して行っていきました。その他、東洋医学で視神経の重要な経穴が頸部に存在することや背部兪穴と言いまして、背部にも五臓六腑の重要な経穴が存在することからまずうつぶせの施術で頸部と背部兪穴の経穴を主に施術したのち、仰向け姿勢となり、目の周りの経穴と自律神経系の調整経穴を用いて施術していきました。
施術の間隔としましては、最初の10回ほどは週に2回ほどの施術でそれ以降は週に1回ほどでした。施術開始して1カ月ほどは特に変化が見られず症状が悪くなるということも見られませんでした。それから2か月後の眼科の検診では、一番悪い時の視力が0.07だったの対して0.3までに回復。日常生活ではまだまだ生活しにくい状態でしたが、発症時に比べるとだいぶ楽とのことで施術間隔のペースを落として通院加療中です。
症例2
30代 男性
視界が悪くなり、左目の痛みが発症したため眼科を受診したところ炎症性の視神経萎縮と診断された。発症してから徐々に進行し、色覚の減少や視界の狭窄がみられ少しでも進行を止めたいと思い来院した。
仕事はデスクワークで、もともと慢性的な眼精疲労とドライアイが気になっていた。
目の症状以外には、頭痛や肩こりがあり夜眠れないこともある。
当院の施術
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認していきました。
交感神経が副交感神経に比べ高くなっており、自律神経の乱れを確認できました。
交感神経の過剰な働きは血管を収縮するため眼の血流を阻害し、萎縮の進行を促進してしまいます。
そのため、まずは自律神経を整える施術を行い、次に首肩の筋緊張を緩めるためにコリに対してしっかり刺激を入れていきました。
最後に目の周囲にあるツボに刺鍼し低周波の電気を流していきました。
また、お灸も同時に行い、炎症を抑えていきました。
施術間隔は週に1~2回。
鍼が初めてで少し不安ということもあり、序盤はあまり刺激を入れず、慣れてきたら徐々に刺激量を上げていきました。
経過
1回目
まだ大きな変化はないが、首肩が軽くなった。
2回目
眼の痛みが軽快した。
3回目
眼の状態はあまり変わらないが、頭痛が取れてよく眠れるようになってきた。
4回目
眼の痛みは気にならなくなってきた。
5回目
病院に受診したら炎症は消え、萎縮の進行は抑えられている。
現在も通院中。
視神経委縮とは視神経を侵すいろいろな疾患が進行して、部分的ないし完全に視神経が侵されて視覚が部分的にまたは完全に失われる状態を指しています。
網膜の視細胞から伸びた神経線維は、眼底の視神経乳頭に集まって視神経となり、ここから眼球外に出て頭蓋内に入り、大脳半球の後極に近い視覚領に情報を伝えます。視神経は視覚情報を伝える100万本以上の神経線維を含んでいます。
視神経は網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達するという役割を担っているので、視神経が障害されると当然視機能は果たせなくなり、視力の減退や視野の縮小などが主な症状として現れます。
視神経委縮は様々な原因で視神経に障害がおこりその後の変化として現れる疾患です。視神経委縮には単純性視神経委縮、炎症性視神経委縮、緑内障性視神経委縮、遺伝性視神経委縮があります。またその発生原因がわからない場合も少なくありません。
ⅰ)単純性視神経委縮
単純性視神経委縮とは梅毒、頭蓋底骨折、脳腫瘍、内頸動脈瘤、外傷による視神経管骨折などが原因で起こる視神経委縮をいいます。
ⅱ)炎症性視神経委縮
炎症性視神経委縮はうっ血乳頭や乳頭炎、視神経炎の経過の末期であり、それらが原因で起こる視神経委縮をいいます。
ⅲ)緑内障性視神経委縮
緑内障性視神経委縮は緑内障で眼球の中の圧力が高い時に視神経が圧迫されて起こる視神経委縮で視神経乳頭の陥没が見られます。
ⅳ)遺伝性視神経委縮
遺伝性視神経委縮は視神経が正常に発達しなかった場合にみられる視神経委縮です。思春期の男子に多く発症して、両眼性で高度の視力障害が急激に起こるレーベル病のほかに常染色体優性遺伝や劣性遺伝の視神経委縮があります。
橈骨神経とは、頸椎から鎖骨の下部を通り、腋の下を通って上腕骨の外側を回り込み、前腕の筋肉である伸筋に通じる神経で、正中神経や尺骨神経と並び、腕を走る大きな神経の一つで、手首を反らしたり、指を伸ばしたりする神経です。
感覚領域は手の背部で親指、人指し指とそれぞれの水かき部を支配しています。橈骨神経麻痺とはこの橈骨神経が何らかの原因で障害されることを指します。
長時間上腕部に圧迫をかけることで発症することもあって腕枕の状態で発症することもあるため「土曜日の麻痺」や「腕枕症候群」「ハネムーン麻痺」といった通称名も存在します。
上腕部での麻痺の原因は開放創や挫傷(ケガ)、上腕骨骨折や上腕骨外側上顆などの骨折、圧迫などにより生じます。
肘での麻痺の原因はガングリオンなどの腫瘤、腫瘍、骨折などの外傷、神経炎、運動のし過ぎなどによる絞扼性障害によって橈骨神経麻痺の症状が出現します。
しかし、原因が無いのにもかかわらず発症する場合もあります。
橈骨神経は手首や指先の動作に関連した筋肉支配に関与しているため手指や手首を反らしたり伸ばしにくくなります。(下垂手)また、障害部位に応じて親指、人指し指、中指の手の甲から前腕の親指側の感覚が障害されます。
感覚障害の有無や、運動障害をもとにしてなされます。
下垂手や下垂指の所見は重要な判定項目になります。また、神経麻痺では神経が障害を受けた部位を外部から叩くと支配領域に痛みが出現することがあります。
これを「ティネル兆候」といいますが、この所見も診断には重要です。その他、麻痺を生じるようになった原因検索や症状の程度の評価を目的として、レントゲン写真やMRI,エコーなどの画像検査、筋電図検査などが必要に応じて行われます。
外傷や腫瘍などがきっかけとなり発症した場合、観血的な処置(手術など出血を伴う処置)を行うことで原因を排除します。
また、局所の安静のために固定をしたり、ビタミンB12や消炎鎮痛剤の投与などの保存的治療で経過観察を行うこともあります。
また、拘縮(関節可動域制限を起こした状態)を予防するためのリハビリテーションも大切です。保存療法を行っても症状の改善が見られない場合には手術療法が行われることになります。橈骨神経麻痺が進行すると神経障害が持続し、最終的には筋力の低下を呈する危険性もあります。
そのため神経損傷があるものであれば神経剥離、神経縫合、神経移植などが行われます。筋肉の障害が強く、筋力の回復が見込めない場合腱移行手術が選択されることになります。
橈骨神経の走行は、東洋医学で考えられている経絡の走行上で『手の陽明大腸経』や『手の太陰肺経』の走行上と似ています。
東洋医学では、大腸経や肺経の気血が滞ってしまうことでその走行上に痛みや痺れが出てしまうことで橈骨神経麻痺のような症状が出てしまいます。
橈骨神経麻痺走行上の筋肉に鍼を刺して電気を流すことで刺激を与えることで回復を図ります。特に上腕部や肘中央部に橈骨神経の絞扼部があることが多いためその部分の筋緊張を取り除いて神経や血管の滞りを解消させていきます。
筋肉や神経は電気信号で動いています。その筋肉や神経に直接鍼通電療法を施すことによって麻痺の解消を促していくのです。
また東洋医学的観点より、五臓六腑の『肺』や『大腸』のツボを用いて治療をしていきます。その他、頸部や胸部の筋緊張が原因で神経麻痺が起きることもあるためその部分の筋緊張も取り除いていきます。
症例1
50代 男性
経過
6週間ほどまえに左手を下に寝てしまったことで橈骨神経麻痺を発症。整形外科に通院してマッサージや電気治療、ビタミン剤などの処方を受けたがなかなか改善されなかった。普段から手首が垂れないように添木をして対応。左手の背屈動作がほぼできずに親指辺りのしびれも出ている様な状態。
当院の治療
まずうつ伏せで首肩回りの筋緊張を見ていきました。頸部の硬さや左肩甲骨外側の筋緊張が強い状態でした。
うつ伏せの施術ではそれらの筋緊張の緩和やその他腰痛の症状もあり、併せて鍼灸施術を行っていきました。
次に仰向けとなり左上肢を中心に施術。左上腕部や前腕部、肘部外側に特に強い固結があり、それらの部分と左手親指の痺れが強く出ている部分と左タバコかの部分にも鍼を刺して電気を流す鍼通電治療を行っていました。
治療経過
一回目の治療後から少しずつ背屈動作ができるようになってきました。鍼通電治療時にも最初は電気を流しても筋肉の収縮反応が全く見られませんでしたが、少しずつ腕橈骨筋などの筋腫縮反応が見えてきました。5回目の施術後には電気鍼治療時に親指が動く反応が初めて見えました。
日常生活で徐々にですが添木を外せる時間も出てきて上腕部の筋肉痛を感じられるようになってきました。10回の施術で病院で8割ほどに橈骨神経麻痺が回復していると言われある程度の動きが出来るようになってきましたが、まだ力入り具合はよくなく右と比べると握力が明らかに低下していました。
13回目の施術後ほぼ橈骨神経麻痺の症状は完治。まだ筋力は少し低下していましたが後は日常生活をこなしていくことで筋力をつけていくということで施術を終了しました。
症例2
40代 男性
1週間前に、飲酒後左手を枕にし机に突っ伏して3時間ほど寝てしまい、橈骨神経麻痺になった。下垂手と水かき辺りの痺れの症状が出ている。
整形外科ではビタミン剤が処方された。
普段から鍼灸院に通われており、鍼灸治療で症状を改善したいと思い、当院にご来院された。
施術
麻痺が出ている橈骨神経走行上の筋肉に鍼通電を行いました。左手の動きの悪さから、首肩周りの筋緊張が強く見られたため、首肩へも鍼通電を行いました。
また、症状に対する不安感により、眠りが浅い状態が続いていた。自律神経測定器の結果、交感神経優位、疲労度、肉体的ストレスが高い状態が見られた。副交感神経を働かせ睡眠の質の改善、全身の血流改善を目的に自律神経調整も同時に行なっていきました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
施術後は、首肩周りが軽くなった。
二回目
手首の動きに変化なし。眠れるようになった。
三~五回目
以前よりは手首が動くようになっている。
六回目
手首の動きはほとんど回復した。
痺れの感覚も弱くなり、日常生活で回復していくのを待つ。
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の片側顔面けいれんに対する当院の治療は、第一に顔面部・頭部の筋肉の緊張を和らげます。目の周りや顔の筋肉を緩めることで症状緩和につながります。
また、自律神経を整えることにより、疲労やストレスの緩和もはかります。
片側顔面けいれんとは、顔の片側の筋肉が自分の意思に反してピクピクとけいれんを起こす病気です。
はじめは目のまわりのけいれんから始まることが多く、徐々に額や頬、口、あごにまで広がるのが特徴的です。
症状の進行はゆるやかですが、放置して自然に治ることはありません。
症状が強くでると顔がキューッと突っ張って歪んだ状態になったり、筋肉の麻痺が生じることもあります。
特に50〜70歳の中高齢者の女性に多く発症します。
また、仕事などで緊張やストレスがかかる場面で症状が強く出ることが多く、日常生活にも支障をきたします。
片側顔面けいれんは神経血管圧迫症候群のひとつであり、脳の深部で顔面神経が血管の圧迫を受けることが原因であると言われています。
多くの場合、高血圧や動脈硬化により脳の血管が神経を圧迫することで神経に興奮がおこり、顔のけいれんやゆがみとして現れます。
また、ストレス過多な状態は交感神経が活発になりますので、神経が興奮し、よりけいれんを引き起こしやすくなります。
症状の悪化を防ぐ方法としては、
・顔に冷気が当たらないようにする(冷やさない)
・十分な睡眠をとる
・ストレスを避ける
・禁酒
・禁煙
などが挙げられます。
50代男性
15年前に右目の下あたりがピクピク痙攣するようになった。範囲は徐々に頬や口まで広がり現在は右側全体に痙攣がある。脳神経外科で顔面神経の圧迫箇所が見つかりボトックス注射をするも特に変化はない。手術も提案されたが抵抗があるため鍼灸治療を試してみたいとのことで来院された。
1日8時間ほどデスクワークをしており首・肩こり(特に右側)が慢性化している。
首の付け根は雨の日など気圧の変化があるときは頭痛が出る。
人前で話すときに症状が出てしまうことがストレスになっている。
当院の治療
自律神経測定器の結果によると交感神経がかなり優位な状態であることが分かった。
常に神経が過敏になっているため、副交感神経を高め、リラックスできる治療を行う。
側頭筋や胸鎖乳突筋も右側のみ硬結があるため筋緊張の緩和を目的に鍼と灸を行った。
また、慢性的な首・肩こりも症状の原因になるため、全身治療によって症状緩和をはかった。
経過
◇1回目◇
治療後、痙攣の引きつり方が弱まった。
3日後にはもとに戻った。
右肩のこりは軽減した。
◇2回目◇
1回目同様、引きつりが弱くなり5日ほど調子がよかった。
◇5回目◇
痙攣はあるが引きつる感じの痙攣はなくなった。
肩こりも気にならない。
◇8回目◇
回数を重ねるごとに痙攣の回数も減っている。
家族からもかなり減ったと言われた。
◇15回目◇
雨の日など体調を崩しやすいときは痙攣が出るが、普段はあまり気にならない程度にまで回復。
今後は施術間隔をあけて治療を続ける。
40代女性
右目下から頬の部分にかけてピクピクと痙攣する症状でご来院。発症して3ヶ月ほど。病院ではMRIの検査を受けたが、特に脳の障害はみられなかったとのこと。
健康診断では、血圧は高くなく、脂質異常は指摘される程度でいつも健康と診断されていました。
3ヶ月ほど前から主に右目下のピクピクとした痙攣が気になり始めて今では1時間に4〜5回程度の頻度で5分間ほど継続する痙攣に悩まされている。病院では、特に治療法は提示されずに葛根湯を処方されて目の酷使を避けるように指導されたのみ。
なにか他に対処法はないかと検索をかけてみたところちょうど当院のホームページを見つけて鍼灸治療で以前腰痛が軽快したことがるので、鍼灸治療には抵抗がなかったため当院にご来院されました。
痙攣は仕事中など集中状態のときはあまり気にならないが家族との食事中や下を向いて顔を洗うときやお風呂に入っているときに必ず発症していた。
問診では仕事や家庭でのストレスも多く、自律神経も乱れがちではとご本人的にも感じておられたため自律神経測定器で測定の上、全身の自律神経のバランスを整える調整施術も行っていき、主に右目周りや右頬中心に鍼やお灸の施術を行っていきました。
経過
1回目の施術後、当日と翌日は痙攣の回数が激減。あまり気にならない状態だったが、時間とともに徐々に痙攣の回数が増えていってしまった。施術3回目辺りまではそのような状態で施術後数日は状態良くなるが戻ってしまう。
4回目以降右目周り中心に鍼通電治療を導入。鍼通電治療を開始して2回ほどで痙攣の回数が1日に2〜3回ほどになるまでに改善。日を追うごとに良くなっていきました。
8回目の施術後、仕事にも支障をきたすことなく、日常生活も普通に過ごすことができるようになったので治療を終了した。
40代 女性
1ヶ月ほど前から左顔面部の痙攣がでるようになった。慢性的な舌の痛みと左側頭部痛にも悩まされている。
顔面部は左のほうれい線から鼻の横、目頭にかけて、時々ピクピクと痙攣する。側頭部は、触れるとピリピリと痛む時がある。右側の舌は違和感とジンジンするような痛みがある。側頭部と舌の痛みは、意識をしなければ、気にならない。
病院の検査の結果、特に問題は見つからなかった。歯医者も受診したが、口腔内の問題もなかった。
不安感が強く、自律神経の乱れも気になるため、当院へご来院された。
施術
1ヶ月前に引っ越しや職場が変わるといった、環境の変化があり、普段よりストレスを感じやすく、心身ともに緊張状態が続いていた。
環境の変化により、自律神経のバランスを乱し、交感神経が優位な状態が続き、顔面の筋肉のけいれんを引き起こしたと考えられる。そのため、自律神経を整え、副交感神経を働かせる施術を行いました。また、側頭部や舌の痛みも、時期によって気になる時と気にならない時があることから、自律神経の乱れによる血行不良や神経伝達の不具合によるものと考えられる。
全身的な自律神経調整施術と、顔面部の血流改善を目的に顔面部の経穴に鍼とお灸を行った。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
施術後は、身体が緩む感覚があり、リラックスできた。
二回目
顔面の痙攣の回数が減った。
三回目
仕事で緊張するような場面以外では、顔面が痙攣することはなくなった。
四~六回目
顔面の痙攣は1日1回程度に減った。側頭部と舌の痛みも程度がマシになってきた。不安感が軽くなり、以前より気持ちが明るくなった。
七回目
顔面の痙攣の症状はでなくなった。側頭部や舌の痛みはまだ少し気になる時があるが、以前より楽になった。
・肝うつ
東洋医学ではストレスを発散させるのは五臓の「肝」(肝臓)の働きと考えます。
過剰なストレスで肝が弱ると、ストレスを発散できずけいれんが起こりやすくなります。
また、筋肉は肝が蓄える「血(けつ)」の栄養によって養われるため、肝機能が低下すると筋肉の状態が悪くなりけいれんを起こすこともあります。
・血虚
けいれんは無意識に筋肉の収縮が続いている状態です。
筋肉は「血(けつ)」の栄養によって養われるため、体内の血が不足すると筋肉の状態も悪くなり、けいれんを引き起こします。
また、血には気持ちを落ち着かせる鎮静の働きがあります。
そのため血が不足すると精神のたかぶりを抑えにくくイライラやストレスからけいれんを起こしやすくなることもあります。
・瘀血
片側顔面けいれんは動脈硬化により顔面神経が圧迫されて起こるとされています。
東洋医学では動脈硬化につながる要因を「瘀血」と考えます。
瘀血の原因は食の不摂生、ストレス過多、疲労だと言われています。
瘀血改善には十分な休息とストレス発散が大切です。
・眼瞼けいれん
まぶたがけいれんする、眩しくて目が開けられないなどの症状がみられます。
両目のまぶたにのみ発症し、範囲は広がりません。
・チック症
頻繁なまばたきやしかめっ面などの症状がみられます。
小児期や青年期に多く、自分の意思で一時的に症状を抑えることができます。
部位は移動します。
・眼瞼ミオキミア
片目のまぶたが一部ピクピクけいれんする症状がみられます。
数日から数週間で自然に消えます。
私たちの体内の環境を一定に保つ働きをするのが、自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、私たちの意思と関係なく呼吸や心臓の拍動・血圧・体温などを調整しています。
この2つのバランスが崩れると、全身疲労感・頭痛・肩こり・めまい・便秘・下痢・動機・食欲不振・異常発汗などのさまざまな症状があらわれます。
片側顔面けいれんの特徴である目の周りや顔の筋肉の不快症状も、自律神経が乱れることででることがあります。
過度なストレスは自律神経が乱れる原因にもなりますので、日頃のストレスケアが重要です。
・趣味の時間をつくる
・しっかり休息をとる
・湯舟につかる
・深呼吸をする
・適度な運動をする(軽いジョギングなど)
などリフレッシュすることを心がけましょう。
・のみ薬
症状が軽度の場合、薬で経過をみます。緊張がきっかけで起こることもあるため、鎮静薬や抗不安薬を内服します。
・ボツリヌス毒素治療
けいれんのある部位に注射をし、一時的に筋肉を麻痺させてけいれんを和らげる治療です。効果は3~4か月持続し、症状が出現したら再度うつ必要があります。
・手術
薬物療法がうまくいかないときは、異常な動脈と神経との間に小さなスポンジをおく手術が行われます。
スポンジをおくことで神経の圧迫がなくなり徐々に症状が改善しますが、治癒率は100%ではなく、わずかなけいれんが残る場合もあります。
当院の複視に対する施術は、第一に目周囲のツボにハリやお灸を施して、目の血流量を上げて眼筋の疲労を回復するように促します。
眼筋の麻痺によって複視が出ている場合は、当院独自の電気ハリを用いて麻痺している筋肉に刺激を与える場合もございます。
また複視は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。複視は、体の疲労度が強い時に症状が悪化しやすいため全身の調整施術も行っていきます。そうすることで、人間本来の自然治癒力で高い施術効果が期待できます。
複視の方は、日々忙しい時を過ごしており、自律神経のバランスが悪い方が多いです。当院では、自律神経の状態をはかった上で自律神経調整療法を行うことで複視との相乗効果が期待できます。お悩みの方はご相談ください。
その他、複視患者さんの場合頸肩の筋が緊張しすぎている場合が多く、頸肩の筋緊張の緩和をすることで複視の治療にも繋がります。
中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
そのほか肝は運動神経系の調節に関係があると考えられています。複視は、目を動かす筋肉の麻痺によっても引き起こされるので、そのことからも複視は肝に深く関係していることがわかります。
30代 女性
幼少時代から読書など長時間するため視力が悪く強度の近視で、眼鏡やコンタクトで過ごしていた。社会人となり、パソコン作業をする機会が増えて、近視のほかドライアイなどの症状で悩まされていた。3年ほど前から仕事の量が増えて複視の症状が出るようになってきた。最初は特に目の疲れを感じ始める夕方に複視の症状が出ていたが、最近朝から複視の症状が出るため眼科を受診。
眼科では、様々な検査をしたが、はっきりとした原因はわからず目が軽い内斜視になっているため斜視となっているのではないかと言われた。
内斜視で複視になっている可能性があるためそれを矯正するプリズム眼鏡を眼科医から勧められたが、眼位が安定されていないためプリズム眼鏡は作ることができないといわれたとのこと。薬も処方されず、経過観察と言われて何か治療法はないかと探していたところ当院のホームページをたまたま見つけてご来院された。
当院の治療
・問診
目の疲れに繋がる生活習慣などもあるため詳しく問診していきました。
・自律神経測定
目の動きは、自分の意思とは無関係に働いている自律神経の役割も大きいため自律神経の状態を測定しました。
測定した結果交感神経が高く、精神的ストレスも高い状態という検査結果が出ました。
・治療
まず、仰向けにて自律神経調整治療を行い、うつ伏せで首肩の筋の緊張緩和・五臓六腑の重要なツボを刺激しました。そして最後に仰向けにて目の周りの施術をしました。
・治療経過
◇1回目◇
治療後、すぐに効果を実感したとのこと。普段二重に見えているものが二重に見えずに何か月ぶりかの視界になったと言っておられた。
◇2回目◇
1回目の治療後から2日経つと複視の症状が段々戻ってきてしまったが、悪い時と比べると断然いい状態とのこと。
◇3~6回目◇
治療をして症状が経過して仕事が忙しくなるとまた少し複視の症状が出てくるという状態を繰り返していた。
◇7~10回目◇
段々と複視の状態となることが少なくなってきて、10回目終えたころには、日常生活でほぼ複視を感じなくなった。
症例2
50代男性
外国に出張中にいきなり外の景色が二重に見えるようになった。少し疲れが出て寝れば治ると思っていたが、寝ても複視は消えなかった。帰国後、総合病院で検査を受けて左目の滑車神経麻痺と診断された。病院ではビタミンB12を処方されて経過観察と言われただけで、特に治療されなかった。
インターネットで複視の治療を検索していたところちょうど当院のホームページにたどり着いてご来院されました。
・当院の治療
複視の症状が出る前は、仕事が多忙かつ外国ということでとてもストレスを感じていた。睡眠もあまりとれておらず、身体の疲れは溜まっていく一方だったとのこと。自律神経測定器の結果も夜の測定だったのにもかかわらず交感神経の活動が高ぶっていて逆に副交感神経の活動は弱くなっていた。
また、慢性的な肩こりや腰痛もあるということで自律神経を調整する治療の他に首肩腰の筋緊張を緩めてから目の周りの治療を中心に施術していきました。
・治療経過
◇1回目◇
鍼刺激にそれほど敏感ではなかったので、自律神経調整治療・首肩腰の筋緊張の緩和の後、1回目の治療から左目中心に電気鍼療法を行った。
◇2回目◇
まだまだ複視の症状は改善されてはいないが、本人の感覚としては目・身体全体が少し楽になったと感じた。
◇3回目◇
2回目治療後一点を見つめて10秒ほど経つと複視の幅が狭まってくるようになった。
◇4回目◇
3回目治療後5秒ほどで複視のズレが修正されるようになった。
◇5・6回目◇
調子が良くなっていると実感するが、目の症状は4回目からあまり変化が見られない。
◇7回目◇
外出する際はもちろん家の中でもテレビを見る時などは眼帯をつけていたが、家の中では眼帯をつけなくても複視が気にならなくなった。
◇8回目◇
外出していてもあまり怖さは感じなくなり、眼帯をしなくてもよくなった。まだ左右に視線を動かすと少し複視が出る。
◇9回目◇
視線を左右に動かしても複視の症状が出なくなり、日常生活でほぼ不自由を感じなくなった。
症例3
50代女性
当院にご来院される8か月前より複視の症状に悩まされていた。眼科で様々な検査を受けたが、原因は特に特定されずにドライアイを緩和する点眼薬とビタミンB12が処方された。服用していると少し良くなったが、まだ複視の症状がつらく、仕事にも支障をきたしていたため当院にご来院された。
30代より肩こりに悩まされており、肩こりが強く出ると後頭部から左右の側頭部にかけて締めつけられるような頭痛が出ていた。肩こり・頭痛が強く出ていると複視の幅も広くなり、とてもつらいとのこと。特に仕事でパソコンを長時間使った後の夕方以降に症状が強く出る傾向にある。
・当院の治療
治療に入る前に自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ、交感神経の活動が強く出て自律神経の乱れがみられた。治療方針として、
1.自律神経の状態を整えること
2.首肩の筋緊張の緩和
3.目の周りの筋疲労の緩和と血流改善
この3点を重点的に治療していきました。
・治療経過
◇1回目◇
治療後、久しぶりに深い睡眠をとることができて次の日めがすっきりしたとのこと。治療をした次の日は複視の症状が出なかったが、2日目の夜から複視の症状がまた出始めた。
◇2回目◇
治療後、また複視の症状がなくなった。次の治療日までふくしの症状出ていない。目が気にならなくなると首・肩のコリが以前より気になるようになりはじめた。
◇3回目◇
前回治療後から複視にはなっていないが、1回だけ複視になりそうな時があった。
◇4回目◇
仕事が忙しく、こめかみが締め付けられるような頭痛が出た。
◇5回目◇
頭痛と複視の症状は出ないようになってきて、症状落ち着いている
症例4
60代男性
当院にご来院される1年前から複視の症状が徐々に出ていた。パソコンの仕事が中心で目の疲れかと思い、目を休めながらだましだまし過ごしていたがここ1カ月ほど前から物が二重に見える症状が強く出ていた。眼帯をして片目で見ないとつらくて外を出歩けないとのこと。右下を見ると二重の幅がひろくなり、階段を下りるのがこわい。
眼科を受診したところ最初は原因が分からなかったが、検査をしていくうちに眼性重症筋無力症と診断された。
治療経過
◇1~3回目◇
身体は少しずつ楽になっていると感じるが、複視の程度は変わらない。
◇4回目◇
今までは何となく右目が動かしづらいと感じていたが右下の奥の方が動かしづらいことがはっきりとしてきた。
◇5回目◇
ご本人の感覚としては複視の幅がひどい時と比べると半分程度にまでなってきた
◇6~8回目◇
複視の幅が8割程度まで回復。右下を向くと少しぶれる
◇9回目◇
複視の症状はほぼ回復。目が疲れてくると二重に見えるというよりも少しぼやける感じ
◇10回目◇
少し目のピントを合わせづらい感覚はあるがほぼ日常生活には支障はない。
◇11回目◇
目よりも首肩のコリや頭の疲れを感じるようになってきた
◇12回目◇
首肩や頭の疲れも軽減。
◇13回目以降◇
お身体のメンテナンスのために定期的に通院中
症例5
30代 女性
1か月前に軽い脳出血を起こして半身のしびれと軽い麻痺が出ていたが、徐々に回復。物が二重に見える状態も出ていて脳出血の後遺症で右目外転神経が麻痺していると診断された。
当院にご来院されたときには、右目が外側に向かない状態でした。
病院ではまだ見え方に変化がみられているため3~6か月で回復する場合もあるので様子を見ましょうと言われ、早く少しでも治す方法はないかとインターネットで検索されて当院にご来院されました。
初診時、問診を行ったところ飲食業で働いており、夜遅くまで忙しい日が続いて疲れが溜まっていたということでしたので念のために自律神経測定器で自律神経の状態も確認させていただき、施術を行っていきました。
治療方針は右目の電気鍼の刺激量を上げて集中的に眼の周りの施術を行っていきました。その他、交感神経の活動が高い状態でしたので全身調整も並行して行っていきました。
◇1~3回目◇
3回目までは見え方にあまり変化がみられませんでした
◇4回目◇
4回目以降に見え方に段々と変化が見え始め、最初は目に近づけないとスマートフォンの画面が見られない状態でしたが、少し距離をとってもスマートフォン画面が一つに見えるようになってきた。
◇5回目◇
まだ右方向を向くと二重に見えることがあるが部屋の中では眼帯をせずに過ごすことができるようになってきた
◇6回目◇
外の景色や動くものに焦点がまだ合いづらい状態。右目が外側に動くようになってきた。正面時の内斜視気味も改善
◇7回目◇
外でも眼帯せずに過ごすことができるようになった。多少はピントが合いづらかったり、合うまでに時間がかかったりするが日常生活ではほぼ支障を感じない
症例6
40代 男性
3ヶ月ほど前からモノが二重に見える複視の症状が出るようになった。複視の症状が出る前は、仕事が忙しくストレスが多く、睡眠不足な日々が続いていた。仕事はほどんどがパソコン作業で、慢性的に目の疲れを感じている。複視の症状により、細かい文字を読むことや、車の運転に支障が出ている。
病院では画像検査を行なったが、血管や神経に異常は見られず、眼精疲労によるものであると診断された。
施術
複視の原因が慢性的な目の疲れによるものであったため、目の周りの筋肉の疲労緩和と血流改善を目的に、目の周りに鍼通電を行いました。
慢性的な首肩こりにも悩まされており、首肩周りにも鍼通電を行い筋緊張を緩めていきました。
全身的な疲労が溜まり自律神経のバランスの乱し、血流の悪さや中途覚醒の症状が出ていたため、自律神経調節治療も行いました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
複視の症状に変化はないが、目の奥の痛みがなくなった。久しぶりに中途覚醒せずしっかり眠れた。
二回目
複視の程度が軽い時間が増えた。しかし、1日仕事をした後はスマホなど小さい文字は見えにくい。
三回目
いっそう複視の程度はマシになった。睡眠はしっかりとれるようになった。
四〜六回目
日によって複視の程度が変わる。首肩こりが楽になってきた。
七〜十二回目
目を使い過ぎて、疲れが溜まると二重に見える時もあるが、ほとんど気にならなくなってきた。
十一回目
複視の症状は治った。
複視とは一つしかないものが二つに見える状態のことです。複視には片目で見ると一つに見えるのに両目で見ると二つにみえる両眼複視と片目で見ても二つに見える片眼複視があります。
・複視と乱視との違い
物が二重が見える原因は様々なものがありますが、大きく分けて片眼で見ると物が二重に見える片眼複視と両目で見ると複視となる両眼複視とがあります。
片眼複視の場合、白内障など目の病気が隠されている場合もありますが、多くの原因は乱視です。一方、両眼複視の場合は、脳神経の障害や眼筋麻痺、眼筋性の重症筋無力症などがありますが、眼科では原因不明と診断されて当院にご来院される方が多くいらっしゃいます。原因不明ということで眼科では特に治療をされずにビタミン剤などの栄養剤を処方されたという方もいます。
複視の症状は、脳神経の障害などこわい病気が隠れている場合もあるのですぐに眼科や脳神経外科などを受診するようにしてください。その際に複視の症状が出たらまず両目で見て複視となるのか片目だけで見ても複視となるのか自分自身でチェックしてみてください。
両眼複視の原因は目を動かす筋が麻痺する眼筋麻痺で起こる場合がほとんどです。眼球には6つの筋肉が付着しています。この両眼の筋肉の動きのバランスが保たれることによって、私たちはあらゆる方向に目を動かし、焦点を合わせることができるのです。
6つの筋肉はそれぞれ脳神経(動眼神経、滑車神経、外転神経)の支配を受けています。外傷、腫瘍、炎症などの眼の疾患や脳梗塞・脳内出血などによりそれらの脳神経に障害が生じると眼筋麻痺を起こします。眼筋麻痺を起こすと目の動きが悪くなり、斜視の状態となって複視が起こります。
片眼複視の原因は白内障、乱視や水晶体が正常の位置からずれている水晶体脱臼、虹彩離断などがあります。
複視は、片側性・両側性・持続性・ずれの方向により原因がことなります。時間帯や体の疲労度によっても症状の出方が異なる場合があります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院