片頭痛は、東洋医学では五臓六腑の『肝』や『胆』『三焦』の症状としてとらえられています。
肝には、「疏泄を主る」という機能があり、気の推動作用に相当する機能をすみずみまで通行させる機能があります。肝が不調でその機能が低下してしまうと気血の滞りが起こり痛みの原因となったりしてしまいます。また、「肝気」や「肝火」は上行しやすく、頭の方へ昇って行ってしまいますと頭痛の原因となると考えられているのです。
そこに「胆」や「三焦」の病変が加わると、片頭痛となりやすくなってしまいます。「手の少陽三焦経」と「足の少陽胆経」の経絡のルートは、側頭部を通過します。胆や三焦の不具合で経絡の流れが滞ってしまいますと、片頭痛となります。
片頭痛に対する当院の鍼灸治療は、
・痛みの出ている個所に直接アプローチする
鍼灸治療には、鎮痛効果があります。その作用を利用して痛みの強く出ている患部やその周辺に鍼やお灸を施すことで痛みを抑えていきます。
・五臓六腑の『肝経』『胆経』『三焦経』のツボを用いる
上述したように片頭痛は東洋医学で「肝」「胆」「三焦」の病変と捉えます。それらを正常に機能するように関係するツボを用いて施術していきます。
・自律神経の乱れを整える
ストレスの蓄積や天候の急な変化によっても片頭痛が現れることが多いことから自律神経の乱れも片頭痛の発症要因として考えております。自律神経測定器で自律神経の状態を把握してその方に合わせた自律神経の調整治療を行っていきます。
・頭痛に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
50代 女性
もともと片頭痛もちで子供を産んでから片頭痛がひどい時が増えてきた。
特に子育てで忙しく眠れなかった時などにドクドクと拍動するような頭痛が出て何もできなかったことがあった。
近年は何とか片頭痛が起きても少し休めば治まっていたが、最近は症状が強く出てしまうことがあり、頭痛専門外来を受診して頭痛薬で治めることが多くなった。
初診時
自律神経測定器で自律神経のバランスを計測していったところ夕方の時間帯で交感神経の活動の割合が6で副交感神経の割合が4で交感神経の活動が副交感神経より高いことがわかった。
問診などで仕事のストレスで寝つきが悪い・眠りが浅い日が続いていたとのこと。
また、天気の変わり目特に天気が悪くなる前の日などに片頭痛が出ることが多い。首肩のコリもひどく感じることが多くなった。
経過
自律神経のバランスを整える調整施術と首肩周りの筋緊張を緩和させる電気鍼治療を取り入れて施術を行っていきました。また、頭部の刺鍼も軽く行い改善をはかった。
一回目の施術後、首肩周りのコリは自覚的にかなり解消されたとのこと。頭痛は少し経過してみてみないとわからない。
2回目の施術後普段の片頭痛の痛みのVASが10→3~4に軽減。眠りは途中で目覚めてしまうことがなくなったかもとのころ
3回目で痛みのVASは2~3程度。3回目以降の変化は少しずつで緩やかに改善していった。定期的に片頭痛が出てしまうのでその時に1~2回施術を受けると症状は改善される。頭痛薬を飲むことはほとんどない。
症例 2
20代 女性
高校生の時から偏頭痛に悩ませられていて、頭痛が起きたらその都度痛み止めを服用してやり過ごしていた。しかしここ1、2か月の間で痛み止めが効かなくなり、何とかしたいと思い鍼灸を受けることを決めた。
社会人になり環境が変わったことでひどくなったような気がする。とくに、天気が崩れると低気圧のためか痛み増悪する。
仕事はデスクワークで1日で8時間はパソコン作業をしている。そのため首肩コリもひどく、疲れがピークの時は首の痛みが出現する。
当院の施術
まずはじめに自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。
自律神経の交感神経が過剰に働いており、社会人になり環境の変化でストレスの影響が現れていました。交感神経は血管を収縮させる働きがあり、急激な強い収縮から弛緩され元の状態に戻る際に頭部の神経を刺激してしまうことで偏頭痛が起こります。そのためこの方は自律神経の乱れが大きな原因と考えられます。
また、首肩の筋緊張が非常に硬い状態なので、首肩のコリによって頭部の筋肉の収縮し、偏頭痛を助長していると考えられます。
①自律神経の調節
②首肩の筋緊張の緩和
③頭部の筋緊張の緩和、鎮痛
上記を目的とした施術を行いました。
経過
1回目
痛みが軽減された。
首肩も軽くなった。
2回目
少しまだ痛みがでるが、以前より頻度は少ない。
3回目
天気が悪いと頭痛が起きるが、それ以外はあまり気にならない。
脈拍に合わせたズキズキとした強い痛みを伴う頭痛です。片頭痛とは名前のごとく片側性で眼窩後部や前頭部、側頭部に頭痛を認めることが多いですが、中には発作の際に右や左に痛みが移動したり両側性に起こることもあります。音や光やにおいに敏感になったり、めまいや吐き気を伴うこともあります。
日本人で片頭痛がある人は約840万人と推計され、性差は女性ホルモンと関連があるため女性に多く見られます。年齢では20代~40代に比較的多く見られる疾患です。片頭痛には、発作前に前触れがあるものとないものがあり、前触れがある時は「閃輝暗点(せんきあんてん)」という視野の一部にキラキラした光が現れる事があります。家族歴があることも多くあり特に母から娘へと母系遺伝の例が多いとされています。
・めまいに対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
発生原因は現在の医学でもはっきりとは解明されていませんが、三叉神経血管説と脳血管拡張説が最も有力視されています。三叉神経とは顔面周囲の感覚を司る神経で、何らかの要因で三叉神経が刺激を受けると、それに伴い三叉神経の末端から神経伝達物質が分泌されます。その影響で血管が拡張し、炎症が発生することで、神経が刺激され痛みが発生すると考えられています。
脳血管拡張説は、血小板から「セロトニン」という物質が放出されると血管が一度収縮しますが、その後時間と共に血管が拡張していく際に頭痛が起こると考えられており、このセロトニンはストレスによって過剰分泌されることが確認されています。
・月経、排卵期
・出産後、更年期
・寝不足、寝すぎ
・空腹
・アルコール
・ストレス、疲労の蓄積
・天候や湿度の変化
・まぶしい光、強いにおい
・人混み、騒音
脳の視床下部は、女性ホルモンの分泌や、食欲、睡眠などを司っているため、月経や排卵、出産や更年期、寝不足や寝すぎ、空腹などが引き金になると考えられています。
また、視床下部は自律神経も司っているため、ストレスやストレスからの解放、疲労、天気や湿度の変化、アルコールの摂取、強い光やにおい、騒音などの外部環境のストレスなどから引き起こされることがあります。
その他にも頭部外傷、首の痛み、顎関節の病気(顎関節症)が片頭痛の引き金となったり、片頭痛を悪化させたりすることがあります。
・頭の片側あるいは両方が脈に合わせて強い痛みを感じます。また、歩行や階段昇降など日常的な動作で悪化してしまうことがあります。
・片頭痛の頻度は個人差があり、一度発作が起こると数時間から数日間症状が持続します。
・光、音、においなどの外部環境に敏感になり、それらの刺激でより強く頭痛を感じることがあります。
・吐き気を伴う事もあり実際に吐いてしまうこともあります。
・前兆として閃輝暗点、あくび、むくみ、疲労感、胃の不快感、空腹感、などが起こることがあります。また、それほど多くはありませんが平衡感覚の消失、腕や脚の脱力感、発話困難などの症状が生じることがあります。
※閃輝暗点とは:視界の中心辺りにチカチカと輝く点や、キラキラとした稲妻、ノコギリの歯やガラス片のような光が見えたり、景色が歪んで見え視野が欠けたりする現象です。これは何らかの原因でセロトニンが減少すると、大脳の中で視覚を司っている視中枢で血流量が減少し、それによって閃輝暗点が現れると考えられています。一般的に閃輝暗点は10~20分程で消失し大抵その後に頭痛が起こります。
片頭痛の発症の原因と考えられている血管の収縮、拡張や三叉神経の様子を検査で調べることはできません。そのため主に問診により診断されます。しかし、脳腫瘍や脳出血など脳組織自体の異常が認められる場合には、MRIなどの精密検査が行われます。詳しい症状や、持続時間、発作のタイミング、生活環境などの情報をもとに総合的に判断します。なお、片頭痛の診断として、国際頭痛学会の診断基準があります。
薬物療法と予防療法が基本となります。
片頭痛を誘発する要因として睡眠不足や睡眠過多など睡眠の質、極端な空腹、アルコールの過剰摂取(特に赤ワイン)などが挙げられます。
規則正しい生活を心がけましょう。チーズや赤ワイン、チョコレート、ナッツなど特定の食べ物や薬が刺激となる場合があります。それらが引き金となって頭痛が起こる方は摂り過ぎないか、避けた方が良いでしょう。
また、過労等による過度なストレス、長時間の一定姿勢の保持なども引き金になるため状況に合わせてそれらの改善を試みることが大切です。
片頭痛が起こってしまった場合、まず安静が第一です。刺激やストレスを避け暗い静かな部屋で休みましょう。
可能であれば少しの時間でも睡眠をとると痛みが和らぎやすいです。また、痛む部分を氷などで冷やすと炎症が和らぎます。揉んだり温めたりすると逆効果になります。
痛みが激しい時はお風呂で長時間身体を温めるのは血管の拡張、炎症が増すおそれがあるためシャワーですませるか、長時間の入浴は避けましょう。血管収縮作用のあるカフェインを含むコーヒーやお茶などの適量の摂取も有効といわれています。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
早期覚醒や目覚めの悪さに対する当院の治療方針はまず自律神経を整えることです。
早期覚醒や目覚めの悪さで悩んでいる方の多くは自律神経の日内リズムが乱れています。
通常、自律神経のバランスは、日中に活動的な神経である交感神経が高まり、夕方から夜にかけてリラックス神経である副交感神経が高まります。
しかし、早期覚醒や目覚めの悪さがある方は、この自律神経のリズムが崩れており、日中に副交感神経が高まり、夜にかけて交感神経が高まってしまってる方が多く、日中は倦怠感や眠気があり逆に夜になると頭がさえてきます。また、過労気味の方に多いのが常に交感神経の活動が高くなってしまっていることです。すると、寝つきの悪さや睡眠の質の低下などに繋がり早期覚醒や目覚めの悪さに繋がります。
そこで当院では自律神経測定器で自律神経のバランスを測定してその方の自律神経のバランスを把握することでその方に合った施術を選択して行っていきます。
その他、東洋医学的観点より最適なツボを選穴して五臓六腑の調子も整えていきます。快適な睡眠には五臓六腑の『心』と『腎』の働きが特に重要です。心と腎の働きを整え、睡眠の質上げる特効穴なども用いて施術していきます。
眠りの質上げるツボとして足の裏にある「失眠」というツボがあります。当院ではこの部分にお灸で刺激を入れていき、睡眠の質の改善をはかっていきます。
自律神経測定器
40代男性
半年ほど前から起床予定時刻よりも2~3時間早く目覚めてしまい、その後もなかなか眠りにつけない状態が続いている。発症以前は7時間程安定して眠れていたが、現在の睡眠時間は5時間程度。良くて6時間。病院で睡眠導入剤を処方されるも、日中の倦怠感が強く出てしまい飲むのをやめてしまった。
出来れば薬に頼らない治療法で治したいという事で、鍼灸治療を試してみようと来院される。
睡眠不足で疲れがとれない為か全身の疲労感があり、集中力も低下している。
主にPCを使う仕事に従事しており、眼精疲労の症状も現れている。
当院での治療
自律神経測定器の結果夜の時間帯にもかかわらず交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。睡眠の質を高めるためのホルモン分泌、概日リズムの正常化、全身的な血行の改善、内臓機能や免疫力の向上による疲労、眼精疲労の緩和を目的とし自律神経系の調整をメインに治療を行いました。
また、下肢の冷え、頭部ののぼせの症状も見られましたので、腹部や下肢を温め、頸部の筋肉の緊張を除き血の巡りを改善する施術と、眼精疲労の改善のため目周囲に鍼やお灸を施しました。
1回目
まだ変化ないが、施術後はリラックスできた感覚はあった。
2回目
疲労感、眼精疲労少し楽になった気がするが、睡眠の方はまだ変化感じられない。
3回目
施術当日はよく眠れたように思うが、やはり二時間ほど前に目が覚めてしまった。しかし、その後は30分程で寝付けることができた。
4回目
いつもより30分ほど長く眠れた日が二日ほどあった。疲労感と眼精疲労は少し和らいだ。
5回目
毎日ではないものの、6時間以上眠れる日が出てきている。首のコリが残っているが肩や腰の張りが取れてきた。眼精疲労も感じにくくなってきている。
6回目
二日に一回は6時間以上眠れている。その後の寝付きもよい。首のコリの範囲が狭くなった。
7回目
七時間ほど眠れた日が一日あった。久しぶりに熟睡出来た感覚。眼精疲労は今はほとんど感じない。首と肩の緊張があるが来院前に比べれば半減くらいはしている。
8回目
6~7時間眠れる日が週に2,3回あった。
9回目~10回目
7時間眠れる日が週の3,4日になってきた。疲労感も抜けてきた。仕事中も集中できるようになっている。
11回目
今は、疲労感、眼精疲労は無くなった。首と肩こりもずいぶん楽になって頭も軽い。睡眠は7時間安定して眠れるようになっている。週に1,2回は少し早く目覚めてしまうこともあるが、その後すぐに眠りにつけるので睡眠不足によるストレスはほとんど感じなくなった。
いい状態が続くようにもう少し治療続けていきたいと思う。
12回目
前回から治療間隔を伸ばしたが安定して眠れている。仕事が長時間の時は目が疲れたり、肩がこる時もあるが眠れば回復するので体調面も安定している。
症例2
30代 女性
出産後から子育てやホルモンバランスが崩れて眠れなくなったのかと最初は思っていたが、子供の夜泣きがなくなってもイマイチな睡眠しかとれなくなり、朝に起きようとすると身体がだるい。アラームは3〜4回目に気づくが起きれない。
薬など色々試したが徐々に効かなくなるので、別の方法を探して鍼灸を見つけたので試してみようと思い来院。鍼灸治療を受けるのは今回が初めて。
当院での治療
自律神経測定での結果から、かなり交感神経が優位になっており、精神的ストレスと疲労度も高く測定された。
問診時に話を聞くと、家族の生活リズムがバラバラでそれが気になり眠れなくなることも多いとのことだった。
身体は全体的に筋肉の緊張が強く、手足も冷えていたため自律神経調整の治療をメインに末端の血流改善の治療も行った。
治療頻度は週2回
1回目
治療中に眠れた。リラックスできた。
2回目
朝のだるさは変わらないが、治療後は身体から力が抜けて楽になる。1日で元に戻る。
3〜6回目
夜に途中で起きることが少なくなってきた。朝の感じも変化してきた。治療頻度を週に1回に変更。
7回目
起きたときにあった頭痛が暫くなくなっていることに気がついた。
8回目
3回目のアラームで起き上がることができた。
9〜13回目
睡眠も改善され、身体の調子がとても良い。2回目のアラームで起きれる日が増えてきた。
14回目
睡眠、体調ともに安定してきたので継続治療終了。
早期覚醒とは「本来起きたい時間よりも早く目覚めてしまう事」で睡眠障害の一つです。
予定していた起床時間よりも数時間早く起きてしまう日が続いたり、いったん起きてしまうと、予定より早い時間であっても再び就寝することが出来ない日々が続くことで十分な睡眠が得られず睡眠不足に陥ってしまったりします。
通常の早起きとして周囲からは大きな問題として扱ってもらえなかったり、年配の方の場合は年齢から起こる早寝早起きと勘違いされる場合もあり、医療機関への受診が遅れたり、症状が深刻化することもあります。
逆に寝起きが悪いという状態になるのは、脳が十分に覚醒状態へと切り替えることが出来ていないために起こります。これは、覚醒すべきタイミングに覚醒出来ない「睡眠慣性」という体の習性に起因しています。
睡眠慣性とは、目が覚めても眠気やだるさが残っているなど、身体が起きているにもかかわらず、脳がまだ眠っている状態の事を指します。睡眠慣性は睡眠の質が低かったり、脳が深い睡眠に入っている時にアラームで強制的に目覚めたりすると起こりやすいと言われています。
睡眠慣性になると脳が覚醒している状態に比べて認知機能が著しく低下した状態になり徹夜明けや、飲酒状態よりも脳機能が低下していると言われています。
朝目覚めてからもしばらくうとうとした状態が治らないのは睡眠慣性から十分に回復できていない為と考えられています。
・加齢によるもの
私たちの身体には夜になったら眠るという仕組みが備わっています。
これを体内時計と呼びますが、加齢とともに体内時計の針は進行しやすくなります。そのため高齢者には就寝時刻が早く朝早く目覚めるという人が多く見られます。加齢に伴って睡眠の質は変化し、睡眠に必要な時間も短くなっていきます。
60歳以上になれば6時間以上眠れる人の方が珍しいと言われるほどです。また、加齢により睡眠導入物質であるメラトニンの分泌量が少なくなることで眠りが浅くなり、睡眠を持続することが難しくなることも原因として挙げられます。
・体内時計の変調
夜更かしや夜勤、旅行の時差による活動時間の変化などが引き金になる事があります。
・精神的ストレスや自律神経の乱れ
睡眠は身体から分泌される「神経伝達物質」や「自律神経」などが影響を与えています。仕事や人間関係などで強い精神的ストレスを受ける事により、脳が活性化し脳内のドーパミンや乗るアドレナリンなどの覚醒物質が脳を覚醒させ睡眠の質の低下を招きます。
また、自律神経は自分の意志とは無関係に働く神経で、内臓、血管などの働きをコントロールし、体内環境を整えてくれています。自律神経は交感神経と副交感神経の二つで成り立っていますが、交感神経は日中活動時に活発に働く神経で心や体を活発にする働きを持っています。
副交感神経は夕方から夜にかけて主に働く神経で脳や身体をリラックスさせ、体を休ませる神経です。このうち眠るとき優位に立つのは副交感神経です。
何らかの原因によってこの自律神経に乱れが生じることで、体を休める働きをするはずの副交感神経が働きにくくなり睡眠障害を起こします。自律神経の乱れを起こす原因と考えられるものには、ストレスや疲労、環境の変化、温度や湿度の変化、生活リズムの乱れ、ホルモンの変化などが挙げられます。
・うつ病などの心の病による早期覚醒
早朝覚醒を含む睡眠の質の低下は、心の病の症状として現れることがあります。
うつ病患者の9割以上が何らかの不眠症状を自覚しているとも言われているほど、うつ病と不眠の関連性は強いです。物事に興味が無くなったり、やる気の低下、気分の落ち込みといった症状が現れてきた場合には早期覚醒の原因としてうつ病が潜んでいる可能性もあります。その他、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や統合失調症などでも不眠の症状が現れる事があります。
うつ病の鍼灸治療について
・アルコール、喫煙、コーヒーなどのカフェイン摂取過多
アルコールは脳を鎮静させることにより寝つきを良くする作用があるため、眠れない時に摂取する方もいます。
しかし、実はアルコールは寝つきは改善させますが、眠りの質は悪化させます。利尿作用やアルコールが体内から分解される時に離脱症状が生じる為、心身が不快を感じ目覚めてしまうこともあります。
ニコチンやカフェインも興奮作用があるため睡眠に質を下げる原因となります。
・女性ホルモンのバランス
黄体ホルモンのプロゲステロンが睡眠を浅くすることがあります。そのため、女性ホルモンのバランスが変化する生理前や妊娠中、更年期などは不眠の症状が現れたり、日中の眠気が生じやすくなることがあります。
・不眠症
寝つきが悪い「入眠障害」、夜間に何度も目が覚めて熟睡できない「中途覚醒」、朝早く目が覚めて眠れなくなる「早朝覚醒」などのタイプがあります。
不眠症の鍼灸治療
・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
眠っている時に呼吸が停止したり、喉の空気の流れが弱くなったりする病気です。多くの場合、舌や口蓋垂(のどちんこ)が空気の通り道である気道を塞ぐことで起こります。寝ている間に10秒間以上の無呼吸(呼吸が止まること)や低呼吸(呼吸による換気が50%以下に低下すること)が一時間に5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
・うつ病
うつ病の原因ははっきりと分かっていませんが、脳の神経伝達物質の働きが悪くなることと同時にストレスや身体の病気、環境の変化など様々な要因が重なって発病すると考えられています。うつ病が「不眠や食欲不振などを含めた特定の書状が2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」と診断基準が決まっており、気分の落ち込みの他にも精神的、身体的な症状を伴います。
睡眠障害の他にも食欲の低下または増加、疲労、倦怠感、ホルモン系の異常などの症状が現れることがあります。
また、精神症状として他にも喜びや興味の喪失、やる気の低下、抑うつ気分、自責感、気分が落ち込むなどの症状が2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出てくることがあります。
・起立性調節障害
自律神経失調症の一種です。若年層、特に中学生に全体の10%にみられ、思春期の女子に多い病気です。身体症状としてめまい、立ちくらみが一番多くみられ、その他にも息切れ、動悸、睡眠障害、食欲不振、腹痛、頭痛、倦怠感など人により様々な症状が現れます。
午前中に体調が優れず、午後になると改善する症状もあります。
起立性調節障害の鍼灸治療について
・睡眠相後退症候群
昼夜逆転の生活が要因となって体内時計がずれてホルモンの分泌のリズムや体温リズムが崩れてしまう病気です。心の病気とも呼ばれており無理に寝つく努力をして精神的に圧迫されたり、寝付けなくて鬱状態になる場合や登校や出社、家事や育児が出来ない自分を周囲も本人も追い込んでしまう事で余計に悪化させることがあります。
・低血圧
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
中耳炎の鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)でもその効果が認められている治療法の一つです。
東洋医学では、耳と五臓六腑の『腎』は深い関わりがあると言われています。東洋医学の腎は西洋医学でのそれとは違いますが、内分泌系・泌尿生殖器系・免疫監視機能など少し似ている部分もあります。
その中で腎は耳に開竅すると言われ、先天的に身体に備わられている腎精というものが十分に満たされていない状態ですと、生殖能力や脳の活動にも影響を与えて聴力も低下すると言われています。
そしてさらに腎の陰液不足の状態になると陽気の相対的亢進に伴って熱証となってしまい、炎症症状が出やすい状態となってしまうのです。これを腎陰虚の病態といいますが、東洋医学では腎と肝は『肝腎同源』と言われ、相互に依存した状態で、腎陰虚の状態が出ると合わせて肝陰虚という状態になりやすくなります。
肝陰虚は肝の陰液が不足した状態ですがその状態となってしまうと陽気は体の上へと昇りやすく耳や目の症状として現れやすくなってしまい、中耳炎の原因となります。
当院の鍼灸施術では、東洋医学的観点により五臓六腑の『肝』や『腎』の働きを正常に戻すようなツボを用いて鍼灸施術を施したり、自律神経のバランスを整えることで体の免疫力の向上や自然治癒力を上げる施術を行っていきます。
中耳炎ではストレス過多状態や睡眠不足で自律神経のバランスが崩れている方が多く、当院では、自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで自律神経を整え、身体全体の体調を良くしていきます。
また、耳の痛みが強い場合では、鍼通電療法なども用いて鎮痛効果の強い施術も行っていきます。
耳は、外耳と言われる外からでも見ることができる部分と聴覚や平衡感覚をつかさどる組織のある内耳、そして外耳と内耳をつなげる役割のある中耳という機能があります。
中耳炎は、その中耳という部分に細菌やウィルスが入り込んでしまい、炎症をきたすことで発症する疾患です。
中耳炎は、子供に多くかかる疾患ということは知られています。3歳までに一度は中耳炎にかかる子供の割合は約8割とも言われていますが、中耳炎は子供にだけかかる疾患ではありません。成人にもかかる危険性もあり、成人の場合重症化しやすく、難聴や耳鳴りなどの原因になったりするので注意が必要です。
中耳は、外耳と内耳をつなげる重要な役割があります。外耳は耳の最も外側に位置しており、目視で確認できる部位で、構造上前方に向かって立っていることや貝殻のような形で広がっていることから音を集めるために適した形をしています。
そして集められた音は、いわゆる耳の穴・外耳道を通って中耳に伝えられます。中耳は鼓膜と耳小骨と言われるツチ骨・キヌ骨・アブミ骨から構成されています。外耳道を伝わった音は鼓膜を振動させて鼓室内にある耳小骨に伝わり、内耳に伝わって内耳内で電気信号に変えられて蝸牛神経を通して脳へと伝わっていくのです。
中耳の鼓室内は空洞となっており、そこの気圧の調整はとても重要で鼓室内の気圧調整が上手くいっていないと正確に音を振動させて内耳へ伝えることができません。この気圧の調整を任させるのが時間という部分で耳管は、中耳と鼻の奥とをつなげて空気を出し入れすることにより気圧を調整しています。
耳管は開いたり閉じたりして空気の出し入れをして調整していますが、耳管が開きっぱなしにより耳閉感や自分の声が響いて聞こえてしまうなどの症状が出る耳管開放症という疾患もあります
上述したように子供が中耳炎にかかりと言われていますが、それは免疫力が低いことや耳管の形状など大人との違いがあるからです。子供は3歳ころまでは免疫力が低く、少しの細菌やウィルスでも炎症を発症しやすく、また時間が大人にくらべて短くさらに太いために鼻から耳へと容易に細菌などが侵入しやすくい構造となっているのです。中耳炎が一番発症しやすい時期は生後6カ月から3歳までと言われており、小学生高学年以降は免疫力が備わり、耳管も大人に似た構造となるので徐々に中耳炎にかかりにくくなってきます。
子供の中耳炎で注意しなければならないのは、大人がその症状に気づき対処するということです。当たり前と思われるかもしれませんが、子供が中耳炎にかかっても多くの子供は症状を訴えないと言われているからです。子供に多い中耳炎は滲出性中耳炎と言われて痛み症状が出ることはあまりなく、聞こえが悪くなり、呼びかけても返事をしない・テレビの音を大きくしたがるなどの行動が出ます。
3歳ほどまでの音から入ってくる情報はとても重要で滲出性中耳炎のような症状を放っておくと子どもの発達にまで影響を与えてしまう危険性があり、言葉の発達や難聴・集中力の低下などにも影響を与えてしまいます。
・耳を引っ張る
・耳やその周囲をいじることが多い
・泣き止まない
・呼びかけへの返答が遅い
・テレビの音を大きくする
・集中力が低下している
・理由もなく不機嫌な状態が続く
など子どもの変化が見られた場合、耳だれや発熱症状が出ていなくても中耳炎にかかっている危険性があるのですぐに耳鼻科で診てもらう必要があります。
中耳炎は、主に風邪などの細菌やウィルスが中耳に至って感染して炎症を起こしてしまい発症します。中耳炎は、耳の病気で耳から細菌やウィルスが侵入すると思われがちですが、実はそういうわけではなく、鼻やのどから侵入して耳管を通って発症することが多いです。
中耳炎は、子供にかかりやすいですが大人にもかかることもあり、特に大人が中耳炎にかかる場合は
・ストレス過多状態
・睡眠不足
・過労
で免疫力の低下や自律神経のバランス乱れが原因となり、発症することが多いです。
すぐに生活を改善できれば良いですが、なかなか生活を改善することができずに大人が中耳炎にかかってしまうと、重症化して難聴やめまい・耳鳴り・頭痛などのその他の症状が出てしまう危険性もあります。決して中耳炎だからと言って侮ってはいけないのです。
大人が中耳炎にかかるとまず、耳が何となく痛む・頭痛・鼻水が出るなどといった急性中耳炎の症状が出てきます。中耳炎は主に急性中耳炎と3カ月以上中耳炎の状態が続いてしまう慢性中耳炎とがあります。
・急性中耳炎
急性中耳炎は中耳が炎症して膿が溜まることで耳の痛み・耳だれ・耳閉感・音が聞き取りづらい・頭痛などの症状が出ます。そして、子供の場合は発熱することも多いです。
そして、炎症が落ち着いてきてもまだ炎症が治まりきらない状態で鼓膜の粘膜から浸出液が分泌されてその浸出液が中耳に溜まってしまい耳が詰まったような感じや音の聴き取りづらさが続く状態を滲出性中耳炎といいます。
鼓膜から分泌された浸出液は通常、耳管を通って鼻から排出されますが、耳管の状態が悪い場合だとうまく排出されずに中耳に溜まってしまうのです。子供場合は耳管が平衡になっているため浸出液を鼻から排出することがしづらいために滲出性中耳炎にかかる危険性が高くなるのです。
・慢性中耳炎
中耳炎の状態が3か月以上続いてしまうことを慢性中耳炎と言い、中耳炎が慢性化してしまうと鼓膜に穴が開いて著しく聴力が低下してしまったり、あいた鼓膜の穴から細菌が侵入しやすくなってしまうので頻繁に炎症を起こしてしまい、膿が溜まりやすい状態となってしまうのです。
慢性中耳炎は耳の痛みを感じることは少なく、難聴や耳鳴り・めまい・頭痛症状が長く続きます。
症例
30代 女性
仕事の繁忙期が終わった直後に、子供から風邪をもらい高熱がでた。その後、耳に痛みを感じ病院へ行ったら中耳炎と診断された。
現在は熱もさがったのだが耳の痛みは消えず、数日前に耳の中に溜まっている膿をとってもらったがまだ痛みと違和感が残っている。
職業柄移動が多く、今の状態だと仕事ができないので数週間休職している。なるべく早く治して職場に復帰したいので土日で当日予約ができた治療院を探して来院。
当院の治療
お子様からの感染や中耳炎になる時点でかなり免疫力の低下が見られ、自律神経測定器での結果からもかなりの疲労が蓄積されているとの結果が出た。
うつ伏せでは自律神経の調整と慢性化している腰痛、疲労回復の治療を行い、仰向けでは、耳の周りの血行促進を促す治療をメインで行った。
お子様や病院のご予定もあり、来れる時に来院。
治療経過
◇1回目◇
治療直後に耳がスッキリした感覚があった。
◇2回目◇
耳の違和感が薄れて唾をのむときの耳の痛みが軽減した。
◇3回目◇
耳の痛みが気にならなくなった。
◇4回目◇
耳の痛みがなくなり、違和感もほぼなくなった。
◇5回目◇
日常生活に戻れる程回復したので、来週から職場復帰することとなった。今後は身体のメンテナンスで通うことになった。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院では、詳しく問診した後に自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきます。問診結果や自律神経の状態を知ったうえでその方にあった治療経穴や治療臓腑を決定していきます。
まず、胸やけや呑酸などのストレスで自律神経がさらに乱れていることも多いため自律神経の状態を整える自律神経調整療法を中心に特に逆流性食道炎の人に多い五臓六腑の『胃』と『肝』の状態を整えていきます。
当院の施術は、東洋医学の観点により少しでも逆流性食道炎を改善できる機会を提供することを心がけています。病院での処方されたお薬の服用と並行して施術を受けていただくことも可能です。
逆流性食道炎で東洋医学では五臓六腑の『胃』と『肝』の機能が低下してしまうことにより『胃気上逆』という症状が起きてしまって発症していると考えられています。
通常、『胃気』が下降しないといけないのに胃の機能が低下することで胃気が停滞または逆に上に昇ってしまうことで逆流性食道炎の主症状である胸やけや呑酸などの症状を呈してしまいます。
また、『肝気』は過度なストレス・イライラ感などで上昇しやすくそれが『胃気』にも影響を与えてしまい、『胃気上逆』症状を呈してしまいます。
脾
食べ物の消化吸収、輸送を調整して、吸収した栄養を全身へ振り分ける働き
脾の働きが低下すると水分代謝が低下して吐き気や胃もたれむくみなどが表れる
脾胃が弱ってしまう主な原因は、暴飲暴食や脂っこいもの、甘いもの、冷たいものの食べ過ぎなど食生活の乱れです。これらは消化に負担をかけるため消化器の働きに悪影響を及ぼします。
胃腸が弱くなると気や血の流れが滞り、元気がなくなります。
エネルギー不足を予防するには食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけること。そしてリラックスを心がけて生活するようにしましょう。
脾胃を元気にする食養生
暴飲暴食をさけ、消化の良い食べもので養生してください。
とくにおすすめはイモ類。
さつまいものお粥は脾胃にやさしい
ヨーグルトなどはお腹に良いとされがちですが、中医学では脾胃が弱っている時は避けるべきと考えられます。ネバネバ系の食材も消化には時間がかかるので注意してくださいね。
●深呼吸で気を巡らせる
●食後に足踏みをする
●少しでも早く寝る
このような点に注意して生活をして頂くと逆流性食道炎の回復が早いです
症例 1
40代 男性
仕事は主にデスクワークで終電近くまで働くことが多かった。仕事が忙しいと仕事が終わって帰宅してから暴飲暴食をすることが多々あった。暴飲暴食をしても30代の頃は特に体の調子は悪くならなかったが、40歳を境にして胃の不快感や全身の気怠さなどを感じるようになってしまった。
ある時、喉の違和感や胃の痛みを感じたため、病院で検査を受けたところ逆流性食道炎と診断された。薬を処方されたがあまり改善されずに当院にご来院された。
当院の施術
まず自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。仕事や家庭でストレスを抱えており、自律神経が乱れている状態だったのでまず自律神経を調整する治療を行い、それから東洋医学的観点から施術していきました。
食生活もあまり変えていなかったということで食生活の改善も指導していきました。
治療経過
◇1回目◇
治療後、リラックスできてよく眠れたとのこと。胃の不快感も少し軽減。
◇2回目◇
治療後は胃の不快感が軽減するが、2日後くらいにはまた戻ってしまう
◇3回目◇
全体的に体の調子が改善されている感じとのこと
◇4~5回目◇
胃の不快感は少しずつ軽減
◇6~8回目◇
食生活も見直して胃の不快感はほぼ感じなくなった。
症例 2
60代 女性
40代半ばから食後に胃の不快感やげっぷ、胃酸が逆流することがたびたびあった。他にも、子供のころから頭痛や便秘に悩まされている。
当院の施術
子供のころから便秘や頭痛に悩まされており、自律神経のバランスが乱れやすい体質だと考えられる。胃腸の働きが正常に行われるよう、自律神経の調整を行っていきました。また、触診では肩の筋緊張が強く、筋緊張を弛緩させるような施術も行いました。強い刺激が苦手なため、鍼とお灸で施術を行いました。
施術頻度は週に一回。
一回目
施術後は、身体の力がぬけリラックスできた。
二回目
胃腸の調子は悪くない。食事をなるべく野菜中心に変えた。
三~五回目
便秘もなく、胃腸の調子は良い。睡眠がしっかりとれるようになった。
六回目
自宅で台座灸を行うようになり、胃の不快感や逆流する症状はない。
逆流性食道炎は、近年増えてきている病気の一つです。以前は、高齢となり胃液や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋などの筋力低下などにより、比較的年配の方が患っていた病気ですが、近年では食生活の変化により20代・30代でも逆流性食道炎に悩まされていることも多くなっています。
逆流性食道炎は、食べ物を消化するための強い酸性をもっている胃酸や消化酵素を含んでいる胃液が逆流してくるため、食道を傷つけてしまいます。
症状としては胸やけや吐き気などが挙げられますが、これくらいの症状では治療を受けないという方もいらっしゃいますが、逆流性食道炎を放置したままにしておいてしまうと重症化してしまう場合もあり、食道がんや吐血などの原因もなってしまうため放置しておくと取り返しのつかない状態となってしまいます。
通常、胃に入った飲食物は逆流しないような体の仕組みが働いています。しかし、何らかの原因で胃の中の飲食物や胃液が逆流してしまうことにより、食道を傷つけて様々な症状を呈します。
・胸やけや吐き気、呑酸
胃の中で食べ物を消化するための強い酸性を持つ胃酸が逆流してしまい食道が炎症を起こしてしまい胸やけを引き起こしてしまいます。逆流性食道炎で一番多い症状です。
また、胃酸が口の中にまで昇ってくることもありその場合、酸っぱい胃酸の味がします。それが原因で吐き気が実際に吐いてしまう場合もあります。
・ノドや胸の違和感及び痛み
上がってきた胃液が食道やノドの部分を炎症させて傷つけてしまう場合もあります。その場合、ノドや胸に違和感や痛みを生じます。狭心症のような胸を締め付けられるような強い痛みを感じる場合もあります。
・声がれや咳症状
上がってきた胃液が声帯や周りの神経を刺激してしまうことで声がれや咳が止まらなくなってしまうこともあります。
上記のような症状が主な逆流性食道炎の症状です。このような症状ですと特に20代・30代などの若い年代では余程のことがない限り、病院を受診することはないかもしれません。
しかし、このような症状を放っておいてしまうと、病気が重症化してしまう可能性もあります。
逆流性食道炎を放置したままにしてしまうと下記のような症状が現れてしまう可能性があります。
・食道がん
逆流性食道炎が慢性化してしまい、食べ物を食べた後常に食道が炎症や潰瘍を起こした状態ですと、細胞の変異が起きやすくなってしまうため、食道がんにかかって今うリスクが高まってしまうと言われています。
・バレット食道
バレット食道はロンドン大学の医師が発見した病変です。食事を摂る度に胃の内容物が逆流してしまい、食道を傷つけて食道の粘膜は傷つけられ回復してまた傷つけられるということを繰り返しすことにより、体が勘違いを起こしてしまい、食道の粘膜も胃の粘膜だと認識してしまいます。すると食道の粘膜が胃の粘膜に変化してしまうのです。
バレット食道に悩まされている逆流性食道炎の方は多く、腺がんなどの発がんの危険性があります。
・吐血
胃酸の逆流が強く、ひどく食道を炎症や潰瘍で傷つけてしまうと吐血することもあります。
・食べ物が飲み込みにくくなる
食道が炎症がおきて回復を繰り返すことにより、食道の内膜が硬くなり皮膚が引きつられて食道が狭くなってしまいます。食べ物を飲み込む時に痛みや飲み込みづらくなってしまいます。
・睡眠障害
横になるとさらに胃液が逆流しやすくなるために胸やけや口の中の不快感などにより睡眠を妨げたり、睡眠の質の低下につながります。
逆流性食道炎は元々欧米人に多い疾患でした。しかし、現代の日本では食生活の変化や過度なストレスなどにより増加傾向にあります。
通常、飲食物や胃液などの胃の内容物は食道に逆流しないように食道と胃の境目にある下部食道括約筋などの活動で逆流を防ぐ体の仕組みがあります。また、万が一食道に逆流してしまった場合でも唾液を飲み込んで胃の戻すことや唾液で胃液を薄めて炎症で傷つけられることを防いでいます。
これらの逆流を防ぐことが様々な原因でできなくなってしまったのが、逆流性食道炎です。主な原因としまして
・食生活の欧米化
以前の日本人は和食が食の中心であり、脂肪分の多い食事や肉類・乳製品はあまり食べませんでした。しかし、現代では洋食を食べる機会が増えて、脂っこい食事や脂肪・たんぱく質の多い食事を摂るようになり、消化に時間がかかるようになったり、脂肪分の多い食事を摂ったときに分泌されるコレシストキニンの作用によって下部食道括約筋が弛緩されやすくなってしまうことにより、逆流性食道炎の原因となってしまいます。
・暴飲暴食
暴飲暴食は、体にとって何一ついいことはありませんが、逆流性食道炎の場合でも例外ではありません。一度にたくさん食事を摂ってしまうと胃が拡張して下部食道括約筋が緩みやすくなってしまうため、逆流性食道炎にかかってしまう危険性が高まります。また、肥満の人ほど食べ物を多く食べたときに起きる一時的な下部食道括約筋の弛緩が大きいことがわかっているので注意が必要です。
アルコールの摂取も胃や食道によくありません。アルコールは胃酸の分泌を促進させますし、コレシストキニンの分泌を促進させるために下部食道括約筋が緩みやすくなってしまうのです。
・加齢による筋力低下
高齢となるとどうしても筋力が低下してしまいます。それは、内臓の筋肉も例外ではありません。飲食物を運ぶ食道や胃の蠕動運動も低下して下部食道括約筋の働きも悪くなってしまいます。また、唾液量も低下することから食道を傷つけやすくもなってしまいます。
・猫背姿勢
背中から腰かけて丸まった猫背姿勢となると胃の中の圧力が高くなってしまうために胃の内容物が逆流性食道炎しやすくなってしまいます。これは高齢者に多くみられます。
・過度なストレス
自律神経は胃腸などの飲食物の消化運動を主っています。過度なストレスで自律神経が乱れると消化運動にも支障をきたすため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。また、ストレスは食道粘膜の胃酸に対する感受性を高めてしまいます。
逆流性食道炎の検査では、主に内視鏡検査が中心となります。口か鼻から内視鏡を入れて食道の状態を検査します。いわゆる胃カメラといわれるものです。逆流性食道炎の症状は食道がんと似ている部分もあるため、上記のような逆流性食道炎の症状が出ている場合は一度病院での検査をお勧めします。
病院での逆流性食道炎の治療は、主に薬物療法が中心となります。胃酸分泌抑制剤や消化管運動機能改善薬が処方されます。
その他、食生活などの生活習慣改善の指導が行われます。
・食生活の改善
肉類中心の食事は避けて脂肪分やたんぱく質の多い食事は避けましょう。また、香辛料の多い食事やチョコレート・ケーキなどの甘いもの、ミカンやレモンなどの酸味の多い食事も控えるようにしましょう。
もちろん食べ過ぎも禁物です。
・アルコールやコーヒーも控える
アルコールは胃酸の分泌を促進させるので控えましょう。また、コーヒーに多く含まれるカフェインも胃酸の分泌を促進させてしまいます。
・適度な運動習慣
肥満は下部食道括約筋が緩みやすいことが知られていますので、運動習慣を持つことで肥満解消させましょう。また、適度な有酸素運動は、自律神経を整える役割もあります。
・普段の姿勢
猫背姿勢は胃を圧迫させて逆流性食道炎の原因となってしまう可能性があるため、長時間の猫背姿勢は避ける必要があります。
・食後の2時間は横にならない
食後の1~2時間は胃酸の分泌が活発に行われるためその時間に横になってしまうと胃液が逆流しやすくなってしまいます。食後の2時間は横になるのを避けましょう。
・お腹を締め付けない
ベルトやコルセットを強く巻いていると腹圧が上がることで胃液が逆流しやすくなってしまいます。特に食事中や食事後はベルトやコルセットは普段よりも緩めるようにしてください。
当院のドライアイに対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリやお灸の刺激を施し、目の血流改善を促します。涙は血液から作られており、血流が悪いと涙の量も減ってしまいます。
ハリ刺激がどうしても苦手という方は、お灸のみの施術を致します。お気軽にお申し付けください。お灸といっても決して痕の残らないものですのでご安心ください。
またドライアイは五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関するツボを用いたり、東洋医学の観点から全身の調整施術を施します。内臓とくに肝や脾がうまく働いていないと全身に栄養ある血液が行き渡りません。
そこで当院では、お腹や背部のツボを刺激することで内臓を活性化して全身に栄養ある血液を行き渡らせることができるベースができた上で目周囲の施術を致します。
そうすることで多くの過多のドライアイが改善しました。
中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。陰陽五行説で、涙は肝に影響すると考えられており、やはりドライアイは肝との関係が深いといえます。
症例1
20代 男性
パソコン関係のお仕事をしており、毎日長時間デスクワークをしており、夜12時ごろまで残業することも多かった。そんな日々が続き疲れ目や目の疲れを感じるようになってきた。だんだんとパソコン画面を見ることがつらくなり、₁時間もしないうちに目がつらくなってとても仕事ができるような状態ではなくなってしまった。1か月程仕事を休み、体を休養している時にちょうど当院にご来院された。
眼科の方では、目薬を処方してもらったがあまり効果は見られなかったとのこと。
当院の治療
慢性的な体の疲れや睡眠不足などもあったことから自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから治療に入りました。自律神経測定器の結果、交感神経が非常に高い状態で疲労度も高くあまり体を休めることができていない状態でした。視力は左右ともに1.5程と良く、普段は全く目に関して問題を感じていないとのことでした。触診の結果右頸肩部の筋肉の緊張が強く、目の症状も右目の方がつらいとのこと。
当院の治療として
1,自律神経の状態を整える
2,頸肩部の筋緊張を緩める
3,目の周りの筋緊張の緩和・血流改善
主にこの3点を重点的に施術しました。
治療経過
◇1回目◇
鍼灸治療を受けるのが初めてということもあり、弱い刺激の治療からしていき、体の反応をみた
◇2回目◇
一回目の治療により右肩のはり感や右目の症状が以前よりも良くなった。しかし、まだパソコン画面などを見るとすぐに辛くなってしまう
◇3回目◇
徐々にパソコン画面などを見ているのがつらくなくなってきた。ドライアイの目薬をする回数が減ってきた
◇4回目◇
仕事に復帰するため、少しずつパソコン作業にならそうと試しているが、目の状態がさほど気にならなくなった
◇5回目◇
無事、仕事に復帰。最初は身体を慣らすためにも残業をせずに目への負担も軽くしていただいた。頸肩部や目の症状はだいぶ良く、気持ちよく仕事に復帰できたとのこと
◇6回目~◇
どうしても目を酷使する仕事なので長時間作業をしていると目が疲れてくるが、以前のような辛さはなくなった。再発予防のためや体調管理のためにも2~3週間に1回程のペースで治療させていただいています。
症例2
40代 女性
パソコンを主に使う仕事をしており、仕事の日はパソコンを1日10時間以上は見るような生活をしていた。普段から目の渇きが気になっていたが、最近特に感じるようになって1時間もパソコン画面を見ていると目が乾いて痛みとゴロゴロ感に悩まされている。眼科で目薬を処方してもらって目薬をひどいと1時間ごとにさしている。
このままずっと目薬をさし続けるのは嫌だということで当院にご来院された。
治療
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を測定してから施術していきました。自律神経のバランスも悪く、手足の冷えなどもあり全身の血流が悪い状態でしたので自律神経を整えて首肩のコリも軽減させる施術を行ったうえで目の周りを施術していきました。
治療と並行して仕事場でも目を定期的に休めるようにしてもらい、家ではホットタオルで目を温めるようにしていただきました。治療の感覚は1週間に2回もしくは1回ほど
◇1回目◇
治療後目がすっきりしたのように感じた。次の日の仕事も比較的楽にできるようになった。
◇2回目◇
全身が疲れていたのがすっと楽になりよく眠れて身体が楽とのこと。目の調子も比較的良い
◇3~7回目◇
目の調子は段々とよく、目薬を使う回数が減ってきている。気を抜いて目を酷使するとたまに目の渇きを感じる。
◇8回目◇
目薬を1日10回以上指していたのが、3回程までになってきた。
◇9回目◇
仕事中は、あまり目の渇きを感じにくくなった。
症例3
40代 男性
ここ2週間前から、目薬がないと目が乾燥して痛くなってしまう。2、3年前から毎日ドラッグストアで買っている目薬を使っているが、頻度がどんどん多くなってきている。目の調子が悪い時は30分に1回のペースで目薬をさしている。
仕事が忙しくなると、パソコンを一日中凝視することが多く、そんな日は余計に目が辛い。
治療
自律神経測定器で計測したところ、かなりストレスと疲労が身体に蓄積されているという結果がでた。また、交感神経がかなり優位になっており、本人も常に緊張状態でいると自覚があるようだった。
このことを踏まえた上で当院では、眼の周りに鍼とお灸で刺激を与え血行を促進する事で涙の生成を促す治療を行う。また、全身の筋肉が緊張状態、疲労の蓄積が激しいので固くなっている筋肉を緩めると同時にリラックス効果も高めていく目的で自律神経の調整治療も行う。
治療頻度は週1回
◇1回目◇
治療後は視界が明るくなった気がする。
◇2~5回目◇
治療してからしばらくは眼は見やすいが、症状の変化は感じない
◇6回目◇
目薬をさす回数が減ってきた。身体全体が軽く動く感覚がある。
◇7回目◇
忙しくしていても、仕事中の眼の痛みが軽減したように感じる。
◇8~12回目◇
目薬を使う回数が明らかに減っているのを実感している。家族からも目薬を最近使わなくなったと言われた。
◇13回目以降◇
治療頻度を伸ばして経過観察、現在も来院中。
症例 4
50代 女性
20代の頃からドライアイだった。点眼薬を用いているが、まぶたがはりつくような感じがある。特に空気が乾燥する季節は症状がひどくなる。眼科の検査では、右の角膜に傷がついている。涙点プラグ治療を行ったが、効果がなく症状はより悪化した。右の肩のこりが気になる。
当院の施術
目周辺の血流をよくするために、目の周囲へ鍼とお灸を行いました。首肩には鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。また、全身的な血流の改善、筋緊張の緩和のため自律神経調整も行っていきました。
治療頻度は最初の二か月は週に一回、その後は二、三週間に一回。
一回目
目周りの鍼は少し恐怖心があった。
二回目
ドライアイが少し良くなった感じがある。
三回目
涙の量が増えて、目が潤っている感じがする。
四回目
眼科での検査の結果、右目の傷が良くなってきている。右肩のこりも少しずつ良くなっている。
五回目
まぶたがはりつく感じが少しずつ良くなっている。
六~九回目
ドライアイ、肩こりがほとんど気にならなくなった。
十回目
眼科での検査の結果、左目は傷がなく、右目はほんの少し傷がある。ドライアイ、肩のこりは気にならなくなった。
十一回目以降
季節的にも症状が気にならなくなったため、施術頻度を伸ばして経過観察、現在も来院中。
ドライアイに対する鍼灸治療の効果について個人差はありますが、シンガポールの保健省による共同研究では、点眼薬と鍼灸治療を併用したグループで88%にドライアイが改善したという研究結果も出ています。
『Hardly a dry eye in the house thanks to new acupuncture technique』
オーストラリア・ウィーンの第一大学眼科学部の患者を対象に行われた研究もあります。対象は、ドライアイ症状が続いている期間が平均で19.3か月で年齢は31才~73才までの25人(女性22人・男性3人)です。涙量が著しく少なく、点眼薬では症状が消失しなかった患者に鍼治療が行われました。
治療期間は10週間で1回の治療時間は週当たり30分程度で目の周りのツボと手足のドライアイに関するツボも用いて施術してきました。
結果、鍼治療の1週間後には15人(60%)の患者で症状が消失しました。ドライアイ時に行われるシルマー試験の数値も改善が見られました。
鍼治療後の12か月後においても13人(52%)の患者で症状が消失しており、ドライアイの治療が必要がないほどになりました。
残念ながら5人(20%)の患者においては鍼治療によって改善は見られなかったと報告されています。
※参考文献 『鍼のエビデンス』 医道の日本社
ドライアイとは目を守る役割をする涙の量が足りなくなったり、涙の性質のバランスが崩れたりすることによって目の表面を潤す力が低下した状態をドライアイと呼びます。
日本では、約800万人ものドライアイの患者さんがいると言われています。女性の方が男性よりもドライアイになりやすいと言われており、また歳を重ねるとどうしても涙の分泌量や質が低下するので中年女性に多いと言われています。
ドライアイの症状として目の乾燥感だけではなく、異物感、目の痛み、まぶしさ、目の疲れ(眼精疲労など)など多彩な慢性の目の不快感を生じます。
目を使い続けることによる視力の低下も起こります。
パソコンやテレビゲーム、細かい作業によって目が乾いていると感じるときは、まばたきの回数が減少して涙の量が減っている場合があります。
まばたきの役割は、目の保護や目の休息時間の提供と様々挙げられますが、重要な役割としてまばたきをすることで涙を作れという指令の役割があります。集中して作業をしていると人間の本能的にまばたきの回数が減り、必然と涙の量が減ってしまいます。
そして、乾燥した目は目の表面の細胞に傷ができやすくなります。
涙は眼球の上外側にある涙腺で産生されています。
涙は弱アルカリ性の水性の液で、微生物を攻撃するリゾチームという酵素を含んでいます。
涙腺は1日約1mlの涙を産生しており、涙は眼球表面で油性のマイボーム腺などの分泌物と混じります。マイボーム腺などの分泌物は潤滑を助け、蒸発を遅らせる油膜を作ります。
涙はまだたきにより目の内側に集められ、涙点から涙小管へ排出されます。
またドライアイは、涙の量が減ってしまって目が乾燥するばかりではなく、涙がうまく排出できなくて状態の悪い涙があふれ出ている状態で角膜が傷ついてしまうドライアイもあります。これは高齢の方に多い原因です。
一見すると涙が今にも零れ落ちてしまいそうな状態でドライアイとは思えないほどですが、ドライアイと同じような症状を呈する場合もあります。
ドライアイの大きな原因は眼球表面の涙液が減ることですが、それには涙液の分泌の低下と涙液の蒸発が多くなることが影響しています。
ⅰ)空気の乾燥または汚れ
空気が乾燥していると目の表面から涙液が蒸発しやすくなります。このためドライアイの人の多くは秋から冬にかけての季節の変わり目やエアコン、ヒーターを使用している場所などで症状が強くなります。
ⅱ)まばたきが少ない
読書、コンピューターの使用、車の運転、テレビを見るなど目を集中的に使う場合にまばたきの回数は減ります。その結果涙液の蒸発が多くなり、分泌は減少して涙の膜は途切れてしまいます。最近は携帯電話やパソコンなどの普及によりドライアイの患者さんが増えています。
ⅲ)コンタクトレンズの装着
コンタクトレンズが水をはじくために、目が乾燥することがあります。また角膜が覆われていて感度が鈍くなることやまばたきが不完全になることで涙の分泌が低下します。
ⅳ)シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は中年女性に多い疾患で目や口、鼻などの粘膜が異常に乾燥する疾患です。涙はほとんど分泌されずに強いドライアイの症状が現れます。ドライアイのほか唾液の分泌が減少することにより味覚や嗅覚が鈍くなって、物を飲んだり食べたりすると痛みを生じます。また虫歯の原因にもなります。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患であり、自分の身体の成分に対して免疫反応を起こすことによる疾患です。(シェーグレン症候群について詳しくはこちら)
ⅴ)マイボーム腺の詰まり
マイボーム腺は油層の成分を分泌する所で、何らかの原因でそれが詰まると油膜の形成が不完全になって涙液の蒸発を防ぐことができません。
目が乾きやすいといって自分でドライアイと判断したり、眼科でドライアイと診断を受けたとしても、ただ単に目の表面が乾いているだけでそんなに重くない・目薬をさしていれば問題ないと考える方もいらっしゃいます。
しかし、ドライアイといいましてもさまざまな目の不調の原因になりえます。目の痛みや目やにの原因に、または光をまぶしく感じやすくなったり視力の低下までつながったりもします。
さらに目ばかりでなく慢性的な頭痛・首肩コリ・自律神経の乱れなどの根本的な原因にドライアイがなっている可能性もあります。
ドライアイの症状を感じると安易に良かれと思って市販の目薬をさして症状緩和させようと多くの方がするかと思いますが、それが余計に状態を悪化させてしまう場合もあります。
何回も目薬をさしてしまうことで目の表面をおおっている油分や栄養分・酸素が一緒に流されてしまうために涙本来の役割が果たせなくなってしまうこともあるのです。
また、市販の目薬には防腐剤が多く含まれている場合もあり、それによって眼の表面にアレルギー反応が出てしまったりすることもあるので目薬の使い過ぎに注意が必要です。
市販の目薬を使う場合でも防腐剤が入っていないものを選んだり、涙の性質に非常に近い涙液型の目薬を定められた回数さすようにしましょう。目が乾くと言って既定の回数以上に目薬をさすことは控える方がよろしいかと思います。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の嗅覚障害に対する治療の目的は、第一に鼻の周辺の経穴に鍼をさして鼻周囲の血行状態をよくします。お灸施術も並行して行っていきます。
また嗅覚障害は五臓六腑の『肺』に深く関係しているので肺に関する経穴を用いて肺機能を補うことや肺の陰液の巡りをよくします。
また腹部や背部の重要なツボをはりやお灸で刺激することで、自律神経を調整する治療を施します。
当院では、施術に入る前に自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術に入ります。自律神経の状態を把握することでそれに合わせた適切な施術が可能になります。鍼灸治療が比較的効果の高いとされるのは、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎によって生じる呼吸性嗅覚障害やストレスによって生じる心因性嗅覚障害です。
自律神経を整えることで身体の回復する力が高まり、嗅覚機能が正常に戻りやすくなると考えられます。 部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあります。
全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。中国では嗅覚障害に対する鍼灸治療は有効とされています。
東洋医学の五行学説五官で鼻は、『肺』に属すると考えられています。嗅覚障害は何等かの原因により肺が機能低下して生じると考えられます。
東洋医学の肺の役割として
・肺は気を主る
呼吸の機能に当てはまります。体内の濁気を派出して体外の清気を取り込む役割があります。
・肺は宣散・粛降を主り、水道を通調する
気や津液を全身のすみずみまで行き渡らせる役割があります。呼吸や汗によって体内の水分を外に排出する役割も担っています。また津液を全身に行き渡らせるばかりでなく、末梢血管の浸透圧のバランスを調整することで体液のバランスも調整しています。
・肺は皮毛を主り、鼻に開竅する
汗の分泌調整や立毛筋の調整など皮膚表面の温度や体液のバランスを調整しています。また病邪が侵入するのを防ぎ、侵入された場合は抵抗し排除する役割もあります。
・鼻水は肺液である
鼻水は鼻に開竅する肺との関係が深いと考えられています。
肺陰虚
肺の陰液が不足することで慢性の炎症や自律神経系の過亢進などが起こります。嗅覚障害や嗄声、口の渇きの原因となります。
症例 1
50代 女性
◇症状◇
7、8年前に風邪のため発熱を起こした。それと同時に副鼻腔炎が発症し、鼻水が止まらなくなり、徐々に臭いが感じられなくなった。鼻水はサラサラな状態。味覚の感覚も落ちている。耳鼻科には副鼻腔炎の症状が出ると通院しているが、嗅覚の異常までは改善しないため当院に来院した。
◇当院の治療◇
鼻粘膜にある嗅細胞が炎症によって機能不全に陥っているので鼻粘膜や副鼻腔への血液循環を向上させ炎症を回復させるために、鼻周りのや目の周りに刺激をして低周波電気を流していきました。
それに加えて自律神経の調節治療を行うことにより自己免疫力を向上させて回復力を高めていきました。また、頸肩のコリが強いため心臓から頭部への血流を阻害していることがわかり、同時に頸肩の治療も行っていきました。
・1回目
施術後まだ変化は見られなかった。
・2回目
頸肩のつらさは軽減されたが、鼻の症状はまだ変化は見られない。
・3回目
以前に比べると鼻の通りが良くなった感じがするとのこと。
・4回目
鼻水の状態が漿液性のものから粘液性のものに変化した。匂いはまだ感じられない。
・5回目
鼻水の量が少なくなってきた。鼻の調子はいいが、匂いはまだ改善されていない
・6回目
鼻水が出なくなり、匂いを感じられるが出てきた。
・7回目
鼻の調子が良く、いい匂いが少しずつではあるがはっきりと感じられるようになってきた。
・8回目
前回からあまり変化なし。いい匂いは感じるが、臭いにおいは感じられない。
・9回目
カビのにおいなどの臭いも少しずつ感じられるようになってきた。
・10回目
いい匂いは、意識しなくても自然と感じられるようになってきた。
症例 2
2ヶ月前に鼻風邪引き、風邪症状は3日ほどで落ち着いたが、嗅覚だけがもとにもどらない。
うすい匂いは全くわからず、コーヒーやカレー、ラベンダー系のアロマのみ、なんとなくわかる程度。
もともと鼻炎もちではあるが、風邪のあとにここまで匂いが感じなくなったのは初めてで原因がよくわからない。
匂いがわからないため食事も楽しくなく、体重は3キロ落ちた。
心身ともに疲れているので、嗅覚と身体のケアもしていきたい。
当院の治療
自律神経測定器で自律神経の状態を確認したところ、交感神経が優位で精神的ストレス値がかなり高い状態だった。
自律神経の乱れは身体に様々な不調をもたらし、特に目や耳、鼻などの感覚器は影響をうけやすい。
風邪を引く前は仕事が多忙でストレスが強かったことから、今回の嗅覚は自律神経の乱れが少なからず関与していると考えられる。
鼻周囲のツボを用いて機能の改善を図るとともに、自律神経の調整を行った。
◇1回目◇
特に変化なし
◇2回目◇
前回施術後、ローズマリーの香りがわかるようになった。
変化が出たことで気持ちがすこし楽になった。
◇5回目◇
アロマで少しずつ匂いの分かるものが増えてきた。
食事の際も毎回ではないが味が分かることもあって嬉しい
◇10回目◇
うすくではあるが、嗅覚が戻ってきた感じがする。
薄味のものはまだ難しいが、ほかは平気で食事も楽しめるようになった。
まだ完全に戻ったわけではないので今後も続けて様子をみたい。
症例 3
50代 男性
約1年ほど前から、匂いがわからないことに気がついた。嗅覚障害になる半年前にはコロナにかかった。咳がでたり、むせるような後遺症がある。鍼灸院に通われたが効果はなく、耳鼻科で手術を勧められたが抵抗があったため当院にご来院された。にんにくなどの強い匂いであれば、たまに感じることができる。
当院の施術
コロナ感染により、匂いを感じ取る嗅粘膜にある嗅神経がダメージを受け匂いを感じ取ることができなくなっている状態だと考えられるため、嗅神経への血流を促し回復を図るよう鼻周りに低周波電気を流していきました。また、自律神経測定器の結果、交感神経が過剰に優位であったため、自律神経調整や自己免疫力を高めていく施術を行いました。
一回目
施術中、お灸の匂いを少し感じた。
二回目
前回の施術後、身体が軽くなった。匂いの感じ方に変化はない。
三回目
前回より少し刺激のある匂いが感じられるようになってきた。
施術後、外に出ると色々な匂いを感じることができた。
四回目
匂いの感じ方は50パーセントぐらい戻った。匂いを感じることを思い出している。
五回目
日によって、匂いの感じ方が変わる。
六回目
だいぶ匂いが分かるようになった。
コロナ後遺症の咳やむせることがなくなった。
嗅覚障害とは、においを感じにくいまたはまったく感じないという嗅覚機能の低下あるいは、本来いいにおいとして自覚されるはずのにおいを悪臭だと感じたり、ちょっとしたにおいでも耐えられない嗅覚の異常が挙げられます。
また嗅覚は味覚をとても深い関係にあります。味覚は舌の味蕾という細胞で識別されて脳に送られて嗅覚の情報とともに脳で情報処理されるのです。嗅覚が障害されても苦みや甘味などの大雑把な味はわかりますが、複雑な味は嗅覚とともに脳で処理される必要があるため複雑な味覚はわからなくなるのです。
嗅覚が障害されると今までの食事の味の感覚も変わり、それがストレスとなり精神的な病気にかかる可能性もあります。
最近では、ストレスによる嗅覚障害発症が増えています。感覚器官は自律神経とも深くかかわっているため嗅覚もストレスによって自律神経が乱されると障害が起きるのです。
嗅覚障害には主に3種類あります。
・呼吸性嗅覚障害
臭細胞のある部分が慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などによる粘膜の腫れやできものなどにより塞がれて臭いの元となる分子がにおいを感じ取る部分に到達できない状態です。
先天的な鼻腔の形成異常や外傷などによって鼻中隔が湾曲することによっても起こります。
・末梢神経性嗅覚障害
鼻の粘膜が障害される場合と嗅神経が障害される場合とがあります。鼻粘膜が障害される原因としてインフルエンザウィルスなどのウィルスが鼻粘膜に炎症や萎縮を起こさせることで鼻粘膜が変性を起こしてにおいを感じ取りにくくするのです。
風邪を引いたり、インフルエンザに罹った時に臭いを感じにくくなるのはこのためです。嗅神経が障害される場合は、頭を打った時などの外傷性のものが多く、頭を打った衝撃で嗅神経が切れてしまうために起こります。
・中枢神経性嗅覚障害
大脳などの脳の部分が障害を受けることで起こる嗅覚障害です。頭部外傷・脳梗塞・脳腫瘍や初期のアルツハイマー病・パーキンソン病などによっても嗅覚障害が起こります。
鼻炎や風邪に罹ったわけでもなく、においの感じ方が普段と違うと感じた時はすぐに病院で検査を受ける必要があります。
主にこの3つが挙げられます。
嗅覚障害の原因として鼻道の異常や神経の異常・脳の異常があります。
慢性鼻炎などにより鼻がつまった状態だと鼻の内側にある嗅覚を感知する受容体に臭い分子が到達することができないためにおいを感じられません。風邪を引いて鼻炎になるとにおいを感じにくくなるのはそのためです。
またウィルス感染によって嗅覚受容体が障害されると数日から長いと数か月においを感じることができない場合もあります。
嗅覚障害が長く続く場合は、嗅神経という脳神経が障害を受けている可能性があります。嗅神経が障害される多くの原因は交通事故などでの頭部外傷や頭を打った時による骨折が原因となります。またアルツハイマー病やパーキンソン病でも嗅神経が変性を起こして障害されることがあります。
嗅覚障害では原因がはっきりとわからない場合もあります。多くは心因性と考えられます。
嗅覚が過敏に反応する嗅覚異常では、うつ病や副鼻腔の感染症などが原因となり、一般的には妊婦もにおいには敏感になります。
嗅覚障害はストレスなどとの関わりも深く、普段の日常生活を注意すると予防や症状が緩和されることが多くあります。
・十分な睡眠
十分な睡眠時間を確保して体の疲れをためないように注意しましょう。
・栄養バランスのとれた食事
栄養バランスのとれた食事をとって体の抵抗力や自然治癒力を高めることは重要です。
・鼻のケア
できるだけ鼻への刺激を避けて、鼻をかむ時でも勢いよくかむのはしないようにしましょう。風やインフルエンザにかかってしまうと嗅覚障害がさらに治りにくくなってしまうのでマスクなどして風邪予防や鼻部の保護をしましょう。
・ストレスを溜め込まない
ストレスをため込んでしまい自律神経が乱されると人間が本来持っている免疫力が低下して症状改善が難しくなります。有酸素運動などの適度な運動や趣味をする時間などを設けてリラックスできる時間をつくりましょう。
肘関節とは、上腕と前腕の間にある関節で、上腕骨と前腕の橈骨と尺骨の3つの骨によって形成されています。
3つの骨の間にはそれぞれ関節があるため、肘には3つの関節が含まれ、共通の関節包で覆われています。関節面は軟骨の層で隔てられており、関節のスムーズな動きは潤滑油の役割をする滑液によりもたらされています。
肘関節を形成する骨同士をつなぐ複数の靱帯があり、関節の安定性に関与しています。
また肘関節は曲げる(屈曲)、伸ばす(伸展)、内側にひねる(回内)、外側にひねる(回外)といった動きができますが、同時に手首を返して捻るなど、ほかの関節と連動して動くこともできます。
・上腕骨内側上顆炎
上腕骨内側上顆炎は一般的にリトルリーガー肘、ゴルフ肘とも呼ばれています。野球の投球動作やゴルフのダウンスイングを繰り返し行うことが原因です。その他仕事で毎日ハンマーを振るなど、手の動きを繰り返した結果、発症することもあります。
上腕骨内側上顆炎は肘の内側に沿って痛みが生じます。特に手首を手のひら側に曲げる動きや物を持つことが、痛みの引き金になることがあります。繰り返して首を曲げたり、指を握ったりして動かすことで上腕骨の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こすことが原因です。
治療は保存療法として安静、固定、氷冷、消炎鎮痛薬、湿布、注射、リハビリテーションなどが挙げられます。保存療法でも改善がみられない場合、手術療法を行います。
・上腕骨外側上顆炎
上腕骨外側上顆炎は、別名テニス肘と呼ばれます。ラケットを使いスポーツをしたり、またハンマーを打ち付けたりするなどの、ラケットを使ったスポーツと同じような動きをする特定の腕の動きを繰り返しているとこの症状を生じることがあります。
アスリート以外に、シェフ、大工、自動車修理工、配管工、音楽家なども上腕骨外側上顆炎を起こしやすいです。上腕骨外側上顆炎では肘の外側にある腱が影響を受けています。
肘の外側に沿って痛みや熱感などの症状が現れます。また、握ることに問題が生じることがあります。
治療は保存療法として安静、ストレッチ、薬物投与、装具着用などがあります。保存療法で改善しない場合手術が検討されます。
・変形性肘関節症
変形性肘関節症は、関節内に存在しクッションの役割を果たしている軟骨が侵される病気で、軟骨が摩耗する結果、クッションを失った関節が損傷を受けます。変形性肘関節症では、肘の怪我や関節炎などによって引き起こされる場合があります。
主に肘の内側では、骨棘と呼ばれる骨の過剰な突起物ができ、そのために肘の動きが制限されます。また、骨棘が折れてしまうと関節内で遊離体となり、関節の動きを止めてしまうこともあります。(ロッキング)
肘の痛み、肘の曲げ伸ばしが困難になる、肘の曲げ伸ばし動作が急に制限されてロックされる、肘を動かすときの異常な音、肘関節の腫れなどの症状を認めます。進行すると肘部管症候群と呼ばれる肘の内側にある尺骨神経が圧迫される状態になり、薬指と小指の感覚の力が入りにくくなり、感覚も鈍くなります。
治療は通常、固定具を用いた安静、消炎鎮痛薬の使用などの薬物療法、理学療法で治療を開始します。しかし、重症の場合は人工関節置換術を含む手術が行われます。
・肘頭滑液包炎
肘を曲げたときにできる肘の後方の出っ張りが肘頭ですが、この肘頭の皮下に存在するクッションの役割を果たしている滑液包に生じる炎症です。
肘への直接の打撃、長時間肘をついて肘に圧力をかけていた場合、感染症、リウマチなどの内科疾患などが原因となっています。
局所の腫れが最初の症状です。腫れが大きくなってくると、滑液包が大きくなり周囲の神経を刺激するために痛みを感じるようになります。感染症の場合、発赤や熱感が生じることがあります。適切に治療が行われないと徐々に肘を動かすことも難しくなってきます。
治療として感染症が原因であれば、抗菌薬の内服が必要です。滑液包の内部の液体が多い時は、注射により液体を抜きます。感染症が原因でない場合はアイシングや圧迫、非ステロイド性消炎鎮痛薬の内服で管理します。重症な場合は手術が必要になることもあります。
関節痛は東洋医学では「痺証(ひしょう)」として考えられます。「痺証」とは生気の弱りがあり、それに加え、外邪(風邪、寒邪、湿邪、熱邪など)が入ってくると、関節部や筋肉にしびれや痛み、こわばりが出ることをいいます。
肘の痛みもこの「痺証」にあたります。また、経絡的にいうと「肺経」「大腸経」「肝経」が関係が深いです。
肘周囲の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、肘関節周りの血流を良くして十分に血液が負傷部位に供給できるようにしていきます。そうすることで疼痛物質の吸収、代謝を高める作用や筋や靱帯の炎症を鎮静する作用、患部の修復作用を促し、症状を改善していきます。
鍼通電治療法なども用いましてより鎮痛効果を引き出す施術も行う場合があります。
また、東洋医学的観点から症状に対し重要な経絡のツボや気血の流れを整えるツボを用いて治療を行います。
症例
40代 女性
昔からテニスをしており、今も練習を週に3~4日ほど行っているが、2週間前から右ひじの内側に鈍痛が走るようになった。
整形外科に受診したところ、上腕骨内側上顆炎と診断された。練習の中止を指示されテーピングや湿布などの処置をされたが、なかなか改善されず当院を受診した。
きっかけは男性を相手にプレーを行い、相手の重いサーブや返球を受け続けたことで痛みが発症した。
当院の施術
まず触診や徒手テスト法でお身体の状態を確認していきました。
患部は若干熱感があり、腫れもみられたため、患部に直接お灸を行い抗炎症を促しました。また、前腕の筋肉は過剰に緊張しており肘に大きく負担しているため、腕の筋緊張も緩め痛みを軽減するために低周波鍼通電法を用いて施術を行っていきました。
その他に、首肩のコリに対する施術や自然治癒力を高めるために自律神経を調節する施術も加えました。
治療間隔は週に1~2回ペース。
経過
1回目
痛みは少し軽減したが、腫れや鈍痛はまだある。
2回目
腫れが引いてきた。安静時の痛みはなくなったが、動かすと痛い。
3回目
動かすだけなら痛くないがタオルを絞る動作や、重いものを持つと痛みを感じる。
4回目
タオルを絞る動作や重いものを持つ動作での痛みは軽減してきた。
5回目
軽くテニスボールを打ってみたが、痛みはあまり出なかった。
強く打つとまだ痛む。
6回目
日常生活ではほとんど気にならなくなったが、長時間練習すると痛みが出てくる。まだ無理ができない状態。
7回目
軽くラリーをしてみたが、痛みは気にならなくなった。
8回目
ほとんど気にならないまで改善した。
定期的にメンテナンスに通っている。
顎関節症に対する当院の鍼灸治療は、
・痛みの緩和
鍼を刺して通電療法を行うことで患部の痛みを緩和させること。その他、腕の顔面部の痛みを軽減させる効果のある「合谷」と「曲池」というツボも鍼通電を行うこともあります。患部との併用して行うことで鎮痛効果がさらに期待できます。
・筋緊張の緩和
物をかむ際に使われる側頭筋や咬筋などの咀嚼筋の筋緊張緩和。それらの筋肉が過緊張状態ですと、顎関節に負担が大きくかかるため顎関節症の原因ともなります。
・自律神経調整治療
心因性の顎関節症に代表されるように精神的なストレス、自律神経の乱れによっても顎関節の痛みとなって現れることもあります。特に交感神経が優位が続いてしまうと交感神経は筋や血管を収縮される作用があるため筋肉のコリや発痛物質が留まってしまうことによって痛みの原因となってしまうのです。また、過度にストレスが溜まっている状態ですと気付かないうちに喰いしばり状態となって顎関節症の原因となります。そこで当院では自律神経測定器で自律神経を計測してその人に合ったオーダーメイド施術を行うことで顎関節症にも効果が期待できます。
・頸肩の筋緊張の緩和
特に歯のかみ合わせが悪かったり、喰いしばり動作が多い状態ですと首や肩の筋緊張が強く出ている方が多いです。頸肩の筋緊張を施術によって緩和することで咬筋の筋緊張も緩和されやすくなります。
この4点を主な柱として施術していきます。痛みの強く出ている時期では3~7日ほどの間隔で集中的な施術を行って痛みが軽減してきたところで施術間隔を延ばしていきます。
※顎関節症に対する鍼灸治療の効果について
外傷性のものなど器質的な原因で起きている顎関節症では、あまり有効性はみられないが、特に器質的に異常が見られない場合、鍼灸治療の有効性が著効にあらわれたという研究結果も出ています。
全日本鍼灸学会
『顎関節症に対する鍼灸治療』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/36/4/36_4_250/_article/-char/ja/
この研究では、顎関節症の鍼灸治療で有効率が75%あったという報告がされています。
顎関節症は、嚙み合わせや咀嚼筋の疲労、精神的なストレスが溜まって起こるなど多岐にわたります。鎮痛薬でその場だけ凌いでもそれまでと変わらない生活を続けているとまた同じような痛みやその他の首こり・肩こり・精神的な症状などさまざまな症状に波及しかねません。まずは顎関節症の原因となりやすい生活習慣を見直して改善していきましょう。
・急性期は患部を冷やす
顎関節症で痛みが強く出て間もない時期は、炎症を拡大させないためにも痛みが出ている患部を氷水などで冷やすようにすると良いです。痛みが出てもそのままにしておいてしまうと症状が長く続いてしまう危険性があります。すると、痛みが慢性的となってしまいさらに咀嚼筋などの周囲の筋肉が緊張しやすい状態となり回復も遅くなってしまいます。
・日中の食いしばりに注意する
何気ないパソコン作業での仕事中などでも自然と食いしばることがあり、それが顎関節症の原因となり得ると考えられています。集中してしまうとどうしても自分が食いしばっているか気が向かないかと思いますので仕事中など目のつく場所にメモ書きを貼っておいて自分が食いしばっているか確認すると良いでしょう。
・硬いものや咀嚼回数の多いものは控える
顎関節症の症状が出ている場合は、硬い食べ物が咀嚼回数の増える食物はなるべく控えるようにしましょう。顎関節に負担をかけてしまうと回復も遅くなります。痛みが出いる時はなるべく負担をかけないように注意しましょう。
・ストレスの軽減
ストレスが溜まって自律神経が乱れている状態ですと血流や筋肉の状態も悪くなってしまうためストレスを溜め込まないということは顎関節症の改善にもとても重要です。
顎関節症とは咀嚼したり、口の開閉をする際に、咀嚼筋(顎を動かす筋肉)に痛みや違和感を感じる咀嚼筋群の機能障害と顎関節に伴う痛みや雑音を伴う可動域制限の総称です。
顎の痛みの他に咀嚼や大きな口を開ける時にカックンとかガリガリといった関節音が生じたり、顎の関節が変形して下顎頭と直接、または間接的に擦れ合うとシャリシャリ、グニュといった軋轢音が生じる事もあります。また、顎の痛みの他にも長い間喋ったり食べ物を噛んだりすると顎がだるく疲れたり、顎が引っ掛かったようになり動かなくなる、
顎関節症の原因は様々で、
・かみ合わせの異常(不正咬合)
・頸椎の異常
・筋肉の緊張
・外傷
・精神的ストレス
・疲れ
を蓄積させる生活習慣などが挙げられますが直接的には歯ぎしりや食いしばりによる影響が最も大きいと考えられます。歯ぎしりや食いしばりがあると咀嚼筋に疲労が蓄積すると顎関節にも過剰な負担がかかり咀嚼筋や顎関節の機能障害(口を大きく開けられない、硬いものが噛めないなど)が現れます。顎関節症の発生頻度は歯科受診患者総数の約10%で20代~40代の女性が多いと言われていますが最近では若年者の患者が増加しています。
このような顎関節に直接かかわる症状の他に身体の各部位に様々な症状が見られる場合もあります。
鼻と喉
鼻閉感、喉の閉塞感、鼻やのどの圧迫感など
目
充血、涙目、視力低下など
その他
肩こり、頭痛、全身のだるさ、疲労感、頸椎ヘルニア、手足のしびれや痛みなど
顎関節症は障害を受け入ている部位によって四つに分類されます。
・顎関節円板(がくかんせつえんばん)障害
顎の関節である関節円板がずれてしまっている状態です。顎関節症患者の6~7割がこの顎関節円板障害だといわれています。
・咀嚼筋痛(そしゃくきんつう)障害
咀嚼筋という筋肉が噛みしめなどによってダメージを受ける事によって起こります。
咀嚼筋とは何かを嚙むために下顎を動かす筋肉の総称で、側頭部にある「側頭筋」や顎関節の外側にある「咬筋」などが含まれます。咀嚼筋は大きな筋肉で頭部、肩や首につながっているため、咀嚼筋痛障害になると首や肩の痛みやこり、頭痛などを感じる事があります。
・顎関節痛障害
顎関節に強い力が加わり、顎関節がねじれている状態です。主に歯のかみ合わせが悪い状態で食事を行う事により起こります。顎を動かすと顎関節に強い痛みを感じます。
・変形性顎関節症
長期間あごの骨に負担がかかり続ける事によって、下顎の骨が変形してしまった状態です。変形性顎関節症は長い間顎関節症を患っている人が多いため年齢層が高い傾向にあります。
外側翼突筋の障害
就寝時の歯ぎしりなどにより外側翼突筋が断続的に強く収縮し筋肉が強く疲労することで障害を受けることがあります。軽症の段階では筋肉疲労の状態ですが、重症化すると腱鞘炎に移行する事があります。
変形性顎関節症
顎関節を構成する軟骨や骨の変性性疾患で診断はX線写真により、関節結節が擦り減ったり、骨が刺激により増殖する骨棘の形成、軟部組織の骨化などが認められるとこの疾患名が付けられます。主に対症療法が中心で予後は良くないといわれています。
心因性の顎関節症
顎関節症の症状があるのにかかわらず、診断することが出来ない場合、この疾患名が付けられることがあります。心理的、精神的原因によりものとされるため、一般的に精神科医へ診察を依頼する事になります。うつ病や自律神経失調症も併発している危険性があります。
症例
20代 女性
一か月前から硬いものを食べるとあごに痛みが生じるようになり、最近は痛くて口が開けなくなった。開口時には、軋むような音が鳴る。
仕事でのストレスの影響で睡眠時の食いしばりが強く、朝起きたらあごの筋肉が痛い。日中も気が付いたら食いしばっているため夕方になるとあごの痛みが強くなる。
強度の肩こりがあり、酷い時は頭痛も出る。
当院の施術
営業のお仕事をされていて、慢性的な強いストレスを感じるという事でしたので、自律神経測定器でお身体の状態を確認したところ、交感神経が非常に高く、休日にもかかわらずリラックス出来ていない様子でした。
運動習慣もなく、休日は日頃の仕事の疲れで寝ていることが多いという事でした。
まず自律神経、とくに副交感神経を働かせる施術を行い、首肩の筋肉にも刺鍼をし、筋緊張緊張緩和を目的とした施術を行いました。
顎の患部に関しては、「カクッ」というクリック音ではないため関節円盤の障害というよりも、顎周りの咬筋の緊張による障害と判断し、顎や首の前面にある胸鎖乳突筋、こめかみの筋肉といった顎の動作に関わる筋肉の硬結に電気鍼療法を行いました。
治療間隔は1週間に1回のペースで、一回一回状態に合わせて刺激量を変えていきました。
1回目
鍼灸治療は初めてで、緊張されていた様子だったので、初回は鍼に慣れて頂く事も踏まえてソフトな刺激量で行った
2回目
痛みや開口障害にまだ大きな変化はないが、心身共にリラックスできた
3回目
鍼に慣れてきたので、少し刺激量を上げた
4回目
少し痛みが軽減し、口も開けるようになってきたが、硬さはまだある
5回目
口がスムーズに開きやすくなってきた。
6回目
口は開くが、痛みは変わらず。
今回から同様の施術に加え、さらなる鎮痛作用上昇を目的とした鍼麻酔方式を取り入れた。
7回目
痛みが軽減。大きく口も開くようになった。以前の様な軋む音も頻度が減少
8回目
硬いもの食べると多少痛みはあるが、それ以外ではほとんど気にならない
9回目
ほぼ気にならなくなって、日常生活に支障がないまでに改善
症例2
20代 男性
1ヶ月前から口を開くと顎に痛みが出るようになり病院の診察を受けた結果、顎関節症と診断された。
もともと食いしばりがあり、歯が欠けることもあった。
顎の痛みに加え、開口時のパキッというクリック音やギシギシ軋む音が聞こえる。
普段はシステムエンジニアとして1日中パソコンに向かっていることが多く、精神的ストレスや肩こり、慢性的な疲労を感じている。
施術
患部は右顎で食いしばりのためか、右の顎のほうが少し筋肉の盛り上がりが目立ち、触診しても過剰な筋緊張がみられました。
側頭部もかなり硬さがあり、首肩の筋緊張も強い食いしばりが原因の一つと感じました。
まずうつ伏せで首肩の筋緊張を緩和を目的とした施術を行い、次に横向きで顎や顎周辺の筋緊張と痛みの緩和を目的とした施術を行いました。
施術の頻度は週1〜2回のペース。
状態に合わせて電気鍼も行いました。
経過
1回目
まだ大きな変化はない
2回目
顎筋緊張が取れた感じがする。痛みが少し軽減した
3回目
以前より大きく口を開くことができるようになってきた
4回目
口を開くと音はまだなるが、痛みは軽くなってきている
5回目
痛みはほぼなく、音も出なくなった。
日常生活で気にならない程度まで改善した
症例3
20代 女性
2か月前から起床時に顎の張りが気になるようになり、日が経つにつれて痛みに変わってきた。放っておけばそのうち治ると思い最初は気にしていなかったが、徐々に痛みが強くなり口が開けないほどに悪化してきている。開口時のクリック音は無いが、筋肉がガチガチに硬直して顎の部分が盛り上がっている。日中の食いしばる感覚はないが、就寝中の食いしばりの自覚はある。
顎の筋緊張から側頭部や首肩のコリも強く感じるようになってきた。
当院の施術
転職して環境が変わってストレスを感じていたということだったため、問診、触診に加え自律神経測定器で現在の状態を確認していきました。
測定の結果、交感神経が8、副交感神経が2の割合になっており、交感神経の働きが過剰になっていることが分かりました。
この方の根本的な原因が交感神経の過剰な高まりによるものと考え、当院では
①自律神経の調節治療
②顎周辺の筋緊張や疼痛を軽減する目的で低周波鍼通電療法
③首肩コリの緩和
以上を中心とした施術を行いました。
週に1~2回の感覚で通院していただきました。
経過
1回目
顎の痛みが少し軽減した。
口も開きやすくなったが時間が経つと元に戻ってしまう。
2回目
顎の痛みが和らいできた。押すとまだ痛みが出る。
食事も以前より楽になってきた。
3回目
顎の硬さはまだ感じられるが、痛みはほとんど気にならない。
4回目~6回目
口も以前のように開けられるようになり、痛みも気にならない。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
夏の疲れの原因は発汗による気の流出、暑さによる睡眠不足、冷房による陽気の不足、冷たいものの摂り過ぎによる脾胃の不調など様々ですが、東洋医学では夏バテは気虚、陰虚、湿邪の三つのタイプに分類されます。
気虚
暑さによって体力が消耗し、力が出ない状態
食欲の低下、元気が出ない、だるさ、めまいなど
陰虚
汗など体内の水分を失い、脱水症状に近い状態
手足のほてり、のぼせ、イライラ、口の渇き、食欲不振、頭痛など
湿邪
冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎで胃腸の消化吸収や水分代謝が悪いことが原因になりあます。新陳代謝が悪くなることで、体内に水分が溜まり、夏太りやむくみを引き起こします。
だるさ、むくみ、下痢など
当院の夏バテに対する鍼灸治療は、まず第一に自律神経を整えることです。自律神経の状態を正常に機能させることで、睡眠の質の向上や胃腸の機能回復、免疫力のアップなどにつながります。
そこで当院では、自律神経測定器で自律神経の状態をチェックして一人一人の自律神経の状態・体質などを見極めてその方に合った施術を行っていきます。
また東洋医学的観点より、特に気虚・陰虚・湿邪の病態を改善していきます。その他夏に多いむくみ症状や足の冷え、頭痛・肩こりに対してもその症状に合わせた独自のツボを用いて施術していきます。
50代女性
暑くなり始めた7月中旬辺りから徐々に体調不良に。朝の通勤時の電車や社内は冷房がきいていて寒さも感じて胃の辺りがキリキリと痛むことがある。足周りの冷えは感じるが、頭は火照った感じで額や頭からよく汗は出る。
何となく日中体のだるさを感じて仕事のやる気がおきづらく、夜も寝つきが悪くなってきた。食欲はあり。
漢方など普段から服用することもあり、東洋医学に興味があり、鍼灸治療を受けてみたいということで当院にご来院されました
施術
自律神経測定器では、日中の測定にも関わらず副交感神経の状態が優位で日中夜が逆転しているような自律神経のバランスでした。夜の寝つきも悪いとのことでおそらく夜は交感神経の活動が上がってしまうタイプだと考えられ、自律神経のバランスは良くない状態です。
東洋医学では、気虚・湿邪タイプだと考えられ特に五臓六腑の『腎』や『肝』に異常が出ていると考えれます。
鍼灸治療では、自律神経のバランスを整え、腎や肝のツボで気を補いつつ湿邪を体外に排出するようなツボを用いて治療していきました。
経過
合計4回ほど施術を受けていただきました。治療のペースは3~4日に一回ほどです。
徐々に睡眠が改善されてきて日中のだるさと冷えも感じづらくなっていきました。
日常生活では、運動習慣がなかったため血行改善や日中の交感神経の活動を高めるためにも朝に軽いジョギングの有酸素運動と日中にスクワットの無酸素系の運動を行うようにしていただきました。
症例2
20代 男性
10代のころに比べて夏のだるさが気になるようになってきた。特に今年の夏は今までで1番だるさを強く感じる。だるさ以外にも、食欲不振、不眠や、頻度は少ないが下痢をすることもある。
社会人になってから環境が変わり、生活習慣の乱れやストレスによって自律神経の乱れが気になっていた。
ここ最近夏場の平均睡眠時間は5時間程度で、長い日は6時間、短い時は4時間しか眠ることができない日もある。
身体のだるさや疲労感から仕事に集中することが難しくなってきており、体調を整えて今年の夏を乗り切りたいと思い来院した。
当院の施術
問診、触診に加え、自律神経測定器で現在の自律神経やストレスの状態を確認していきました。
測定の結果、交感神経の働きが弱く、副交感神経の働きが強くなっていました。
測定した時間は日中のため、交感神経が優位になっているのが正常ですが、副交感神経の働きが強いので、自律神経の働きが乱れていることを確認できました。
まずは仰向けで腹部、腕、足、頭部の経穴に鍼で刺激し、自律神経の調節を促す施術を行いました。
次にうつぶせになり、背中や首肩の筋緊張を緩める施術を行いました。
経過
1回目
施術した日はよく眠れた。
次の日からまた眠れなくなったため、まだだるさは取れない。
2回目
徐々に眠れる日が多くなってきた。
3回目
熟睡できるようになってきて、身体の疲れも軽快してきたような気がする。
4回目
睡眠の質、時間共に改善傾向。
だるさも軽くなった。
夏の暑さに身体が対応できなくて不調が出ている状態の事を、夏バテといいますが具体的な定義はありませんし、「夏バテ」=病名ではありません。室内外の急激な温度変化や日中の暑さから体温調節中枢である自律神経のバランスが崩れることで様々な症状が現れます。夏バテの代表的な症状は全身のだるさと疲労感です。何となく体がだるく、疲れが取れにくい日が続きます。暑さによって睡眠不足になる事も少なくありません。
また、日中の暑さによって体の中の温度が高くなると胃腸への血流が少なくなったり冷たいものの飲食が増える事で胃腸に負担がかかり胃腸の働きが低下し、食欲不振や便秘や下痢を引き起こす事もあります。睡眠不足で疲労が回復されない事での疲労の蓄積や、食欲不振での栄養不足、これらが引き金となってなんとなくだるいといった全身の倦怠感に繋がります。
夏バテは体力や免疫力の低下を起こすので、そこから風邪に繋がることもあります。
・自律神経の乱れ
自律神経とは自分の意思とは関係なく、無意識のうちに働いている神経で交感神経、副交感神経の二つの神経が心臓や血流、呼吸、消化、代謝などの働きを活動、抑制しバランスよく機能する事で私たちの身体を調節しています。しかし、高温多湿の環境が続く事や、室内外の温度差、冷房での体の冷やし過ぎなどで体温調節や発汗中枢の役割である自律神経を酷使する事でバランスが乱れたり、うまく機能しなくなる事で胃腸の不調や全身の倦怠感、食欲不振、のぼせ、めまい、頭痛など様々な症状を引き起こします。
・下痢や便秘などの胃腸の不調
冷たい飲食物の摂りすぎなどによって胃腸に負担がかかり、胃腸の機能が弱まる事で消化機能の低下や下痢、便秘、食欲不振などを引き起こします。
・睡眠不足
熱帯夜など特に夏は寝苦しい日が続くことがあります。睡眠が十分にとれない日が続いてしまうと体の疲労が取れずに日中の疲労感を感じやすくなってしまいます。また、夜に交感神経が高まりやすく逆に日中に副交感神経が働いてしまい通常の自律神経のバランスと真逆になってしまう危険性もあり、それが原因で自律神経の乱れに繋がることもあります。
・食欲の低下
胃腸の不調にも関係しますが、暑いとどうしても冷たい飲み物や食べ物を多く摂取してしまい、胃腸が正常に機能しなくなってしまうことが原因で食べ物を体が受け入れづらくなってしまいます。また胃腸の働きは自律神経の活動がつかさどっているため自律神経の乱れは食欲の低下にもつながります。
・免疫力の低下
免疫機能は自律神経が司っているため、自律神経が乱れることによって免疫機能が低下して普段は排除できるウィルスや細菌なども体が防御することができずに風邪などをひきやすくなってしまいます。また、夏風邪は長引きやすいと言われますが、免疫力の低下も一因として挙げられます。
・熱中症の初期
吐き気、下痢、めまい、頭痛などといった症状は熱中症の初期症状でも見られます。熱中症は暑さによって体内の水分や塩分バランスが崩れて起こります。夏バテと熱中症の症状は似ていますが熱中症は重症化すると命の危険性もあります。
熱中症はⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中等度)Ⅲ度(重度)に分類されており、めまいはⅠ度に含まれ、立ちくらみが起こる状態で「熱失神」とも呼ばれます。運動を終えた直後に起こりやすく顔面蒼白、脈が弱くなって速くなる、呼吸の回数が増えるなどの症状が見られます。
吐き気、頭痛、下痢はⅡ度に含まれ他にも倦怠感、虚脱感、判断力や集中力の低下などがみられます。Ⅱ度は従来「熱疲労」と呼ばれていた状態で放置したり対処が適切でない場合などは重症化する危険性があります。
Ⅲ度に分類されるのは意識障害やけいれん、ショック症状、過呼吸、手足の運動障害などです。
最近では夏バテ外来を設ける病院も増えてきましたがまだまだその数は少ないようです。夏バテをそのまま放置しておいてしまうと免疫力なども低下して体に隠れていた思わぬ疾患が出てくる危険性もあります。
内科などで行われる夏バテ治療としまして夏に不足しがちなミネラルやビタミンを補給する注射やニンニク注射などが行われたり、または最近は漢方薬を処方するところもあるようです。
食事の工夫
暑いからと言って麺類などあっさりしたものばかり食べいては、体力がなくなってしまいます。肉や魚、野菜、果物など良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルを補給しましょう。栄養バランスのとれた食事が大切です。
また、ショウガやワサビ、コショウなどの薬味や香辛料や、しそ、ねぎ、みょうがなどの香味野菜には食欲を増進させる効果がありますから上手く食事に取り入れるのも良いでしょう。決してたくさん食べる必要はありませんので、少量でも栄養価の高い食品を一日三回の食事で摂りましょう。
適度な運動
ウォーキングや軽いジョギングなど適度な運動を行うと自律神経の働きが整えられて夏バテが解消されやすくなります。朝や夕方の日差しが弱い涼しい時間帯に行い無理なく続けられるようにすると良いでしょう。
外で運動する時間がなかなか取れないという方はストレッチやスクワットなど室内で出来る運動を取り入れてみましょう。
十分な睡眠
夜遅くまで起きていると一日の疲れが残ってしまいます。早めに就寝して睡眠時間を十分にとり一日の疲れはその日のうちにとるようにしましょう。
竹素材やゴザのシーツを使ったり除湿を行うなど出来るだけ涼しく寝られるよう配慮しましょう。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
一般的にみぞおちの痛みは、胃の問題が考えられます。みぞおちの奥には外腹斜筋、腹直筋、腹横筋の三層の筋肉があります。さらに奥に腹膜、胃が存在します。心窩部深くにある胃で異常が起こるとお腹の筋肉は緊張し硬くなり表面が張っていきます。また胃の容積が増えて膨らむことでもみぞおちが張ります。
呼吸は、胸部が膨らむ胸式呼吸と腹部が膨らむ腹式呼吸があります。胸部が膨らむ為には肋骨がよく動く必要があります。首・胸・背中・ウエスト周りの筋肉の柔軟性が必要です。
また、浅い呼吸になっている状態では交感神経が過剰に活動します。交感神経が過活動的になると筋肉は緊張し、さらに呼吸が浅くなる悪循環に陥ります。加えて交感神経過活動では、胃痛・動悸・発汗・持続的な疲労感や倦怠感を起こします。
東洋医学では臍から上の腹部を胃脘といいます。そして胃脘で起こる痛みを胃脘痛といいます。胃脘痛の原因には食滞、肝気犯胃、脾胃虚寒の3つがあります。
○食滞による胃脘痛・・・暴飲暴食などで胃に重く負担がかかった場合に、胃脘部に気が滞り痛みをおこします。食滞では胃脘痛の膨満感、食欲低下、げっぷ、嘔吐、呑酸などを伴う場合があります。
○肝気犯胃による胃脘痛・・・精神的ストレスにより気持ちが不安定になることで肝の作用(気を巡らす作用)に異常をおこし、胃の気が滞ってしまうことで痛みをおこします。肝気犯胃では季肋部(肋骨とお腹の境)が張る、食欲不振、呑酸、溜息、げっぷを伴う場合があります。
○脾胃虚寒による胃脘痛・・・過労や睡眠不足、不摂生な生活により、脾胃(胃腸の機能)を損傷することで痛みをおこします。脾胃虚寒では喜温喜按(温めたり手で押さえたりすると軽快する)、手足お腹の冷え、空腹時痛、疲労感、倦怠感、気力の減少を伴う場合があります。
呼吸は呼気と吸気に分かれ、呼気は「肺」、吸気は「腎」が司っているため、肺と腎の機能低下によるものと考えられます。肺は身体の中で一番始めに外部環境の影響を受けるとされています。季節の変わり目に風邪をひきやすいのは、冷えや乾燥によって肺を損傷するためです。腎は生命活動において根源的な役割を持ちます。吸気で息を吸い、酸素を充分に取り込むために腎の働きが欠かせません。
始めに起きている症状、それによって仕事や日常生活で困っていることなどを包括的に伺います。
みぞおち(上腹部)の痛みと呼吸が浅く感じる場合、自律神経の交感神経と副交感神経が不均衡になっている場合が多いため自律神経測定を行います。
当院では自律神経測定器を導入しており、指先に測定器を装着しておよそ3分間安静にしていただき測定します。自律神経の過活動が見られれば抑制させるように、反対に低活動であれば働きを促進させるように治療していきます。より患者様の困り事、悩み事を最善の形で解決できるようご相談し、治療方針を決めます。
治療内容は、まずうつ伏せになり背部兪穴の「肺」や「腎」に関係するツボ、首から腰の筋肉の硬結に鍼灸を行います。特に首・肩・背中の筋肉の緊張が緩和すると呼吸が深くなります。
次に仰向けになり、手足にある肺や腎の要穴、腹部の痛みを緩和させる鍼灸を行います。胸部には鍼をすると気胸になる可能性がある部位があるのでお灸を主体に施術します。
・胃炎
・胃十二指腸潰瘍
・急性膵炎、慢性膵炎
・胃がん
・膵癌
・狭心症
・心筋梗塞
・心膜炎
・気道内異物
・喘息
・気管支炎
・気胸
・肺線維症
・鉄欠乏性貧血
・過換気症候群
急に痛み出した、急に呼吸がしづらくなったなどの急性症状は医療機関を受診ください。
症例
20代 女性
学生の頃から呼吸が浅く、体育の授業等で走るとすぐに息が切れてしまう。数ヶ月前から急にみぞおちが痛くなりはじめた。最初は数秒間ほどで治まっていた痛みが、今では平均10分間続いている。長い時で20分間続く時もある。
病院に行って検査をしたが原因不明と言われ、痛み止めしかもらえなかった。
日常生活や仕事は辛うじてこなせるが、今よりも痛みが強くなるか、時間が長引くと生活に支障が出てきてしまうので、その前に改善するために来院。
当院の治療
脈診、腹診をしたところ、かなり緊張が強い状態が続いていることがわかった。緊張状態が続くと交感神経が優位になり、自律神経の乱れにつながるため自律神経調整治療をメインで行う。これと同時に身体全体の筋肉が緊張し、硬くなっていたので血行促進治療も行った。
鍼は初めてとのことで、痛みに対して抵抗感があり、刺激量はかなり抑えての治療を提案した。
回数を重ねて慣れてきたら少しずつ刺激量を上げる。
治療間隔は週2回
治療経過
◇1回目◇
特に変化は感じない。
◇2回目◇
来院前に痛みがでた、痛みの強さや時間に変化は感じない。
◇3回目◇
痛みが少し弱く感じる時が数回あった。
◇4~7回目◇
治療を受けるたび痛みが軽くなっていった。
◇8~12回目◇
仕事の繁忙期に入り症状が強くでる日が増えた。だが、以前より痛みがある時間が短くなったとのこと。
◇13回目◇
仕事が落ち着いたら症状も落ち着いてきた。治療頻度を週に1回に変えて経過観察することにした。
◇14回目◇
日常生活のなかでほぼ痛みがでることはなくなった。
◇15回目以降◇
みぞおちの痛みから首肩回りのコリを目的として治療を継続することになった。