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股関節の不調の鍼灸治療

金曜日, 6月 7th, 2019

股関節痛を引き起こす病気や怪我

・変形性股関節症

股関節の軟骨が摩耗や加齢によって擦り減ってしまうことで起こります。
子供の頃からの先天性股関節脱臼の後遺症や、股関節が浅い臼蓋形成不全などが原因になることも多いですが、加齢により軟骨が擦り減ってしまうことが原因になることもあります。

変形性股関節症を放置していると股関節や周囲の筋肉が硬くなり動かせる範囲が狭くなっていしまいます。靴下を履く、足の爪を切る動作などがしにくくなったり、長時間立ったり歩いたりすることが辛くなります。また、痛い足を無意識にかばって、歩き方が不安定になったり股関節を支える筋肉が弱るとその結果股関節にかかる負担が大きくなってしまいます。

症状としては、歩行時などに足の付け根(股関節)が痛み、股関節の動きが制限されるようになります。症状が進行するとその痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。

・大腿骨骨頭壊死症

大腿骨の骨頭部分の血流が悪くなり、骨の細胞が死んでしまう(壊死)病気です。他の病気の治療で、ステロイドを大量に服用されている方やアルコールの飲酒量が多い方の発生率が高くなりますが、

・大腿骨頸部骨折

股関節の大腿骨側の大腿骨頸部の骨折です。骨粗鬆症などで骨がもろくなった状態で転倒した際などに起こりやすく高齢者、特に女性に多くみられます。骨折のため腫れや痛みを伴い、歩行が困難になります。骨折の状態や位置により治療方法は異なりますが、多くの場合は骨接合術や人工骨頭置換術(人工関節置換術)などの手術を行います。

・関節リウマチ

関節リウマチとは、免疫異常によって関節の内膜を覆う滑膜という部分に炎症が起こる病気です。関節の痛みや腫れ、朝のこわばりが主の症状として現れますが、微熱やだるさ、食欲不振といった全身症状が伴うこともあります。関節リウマチは手足の関節に起こりやすいといわれていますが、頻度は少ないながら股関節にも発症します。

・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症

腰椎とは背骨の腰の部分を構成している5つの骨のことで、骨と骨とのクッションの役割を果たす軟骨があります。この椎間板が何らかの原因で正常の位置から外れて、後方の脊髄や神経根を圧迫する病気の事を腰椎椎間板ヘルニアといいます。症状として多くの場合腰痛の他におしりから足にかけて痛みやしびれが現れます。まれに排尿障害や排便障害が起こることもあります。

腰部脊柱管狭窄症は背骨の中にある脊髄が通る空間が狭くなる病気です。腰痛や足の痛み、しびれなどの症状を引き起こします。

どちらの場合も、腰の神経が刺激されて足の付け根に痛みが出ることもよくあります。

・鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れた時に鼠径部やその周辺に痛みが生じます。何らかの原因で体幹から股関節周囲の筋や関節の柔軟性の低下による拘縮が起こることや、骨盤を支える筋肉の低下による不安定性、体幹と下肢の連動性の低下などにより股関節周囲の機能障害が生じます。サッカー選手に多くみられ、一度なると治りにくいのが特徴です。

 

股関節の不調

 

原因不明の股関節の痛み

 

病院で検査をしても特に異常がなく、原因が見当たらない場合も意外に多いです。

当院には、そのような病院に行っても特に原因が特定されないという方が多くご来院されています。

病院で股関節の痛みの原因が特定されていない場合でもお気軽にご相談ください。

 

股関節の不調に対する鍼治療

股関節の不調に対する鍼治療では、股関節周りの筋緊張の緩和痛みを抑える鎮痛効果のつよい鍼通電療法も行っていきます。

股関節の不調の鍼治療

 

鍼治療のほかお灸施術も行い、筋緊張の緩和やストレッチ・マッサージなども行うことで症状改善をはかります。

 

その他、股関節の不調がある場合、歩行時それをかばうためには腰部や膝部にも負担が強くかかる場合もあります。股関節の施術に加えて膝や腰・臀部の施術も合わせて施術を行っていきます。

 

股関節の鍼通電治療

触診や簡易検査などによって腰部や膝部にも異常が見られた場合それらも緩和して股関節の不調の治癒を早めるような施術を行っていきます。

股関節の不調では、過度な鍼刺激やストレッチは症状を悪化させてしまう危険性もありますので股関節の不調が起きている原因に合わせてその方々に合わせた施術法を合わせて施術を行っていきます。

 

 

不妊症の鍼灸

木曜日, 5月 30th, 2019

不妊症の治療

不妊症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

WHOの適応疾患について←

①不妊に対する当院の施術

当院の不妊に対する施術は、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。当院のはり灸施術は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。自律神経のバランスを整えることにより、妊娠しやすい体をつくります。

不妊症の鍼灸治療

東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。また不妊は東洋医学的に診ると「」や「」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。

・妊娠力をつける
妊娠力をつけるためには、「腎精」が重要であり、それは先天的なものが多くを占めますが、日々の食生活や規則正しい生活によりある程度補うことが可能です。当治療院では、治療により正常に食事や運動ができる体づくりやアドバイスを行っていきます。

・冷えを改善する
東洋医学では、血流低下や血流の滞りによる体の冷えは健康に悪いだけでなく、妊娠しづらい体となってしまうと考えられています。当院独自のお灸を施すことにより、体全体を温め、血流改善を促します。それにより月経不順や子宮内膜症の改善・予防を期待できます。

冷え性改善のお灸

・全身のリラックス効果
ストレスは、交感神経を過亢進状態へと導き、体のあらゆる機能に悪影響を与えるのはもちろんこと妊娠にも大きな影響を与えてしまいます。ストレスを受けると特に視床下部というホルモン指令部に影響を与えます。視床下部はホルモン指令部の役割の他に自律神経調整の中枢でもあります。強いストレスを受けて自律神経が乱れた状態だとホルモンバランスの異常をも引き起こします。
心地よい刺激での治療により全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制してホルモンバランスを正常に戻します。
その他不妊症の患者さんでは日中の頭痛・慢性的な肩こり腰痛・のぼせ・めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった不定愁訴は身体にストレスを与え、妊娠に対してもよくないものです。当院では不定愁訴の改善を目的とした治療も並行して行っていきます。

 

不妊症の鍼灸治療

当院の不妊症に対する治療目的は、不妊で悩んでいる方の妊娠する確率を少しでもあげ、正常な妊娠・出産のサポートをすることです。妊娠するのはもちろん患者さん当人ですが、ご家族を含めた周りのサポートはとても重要なものとなっています。相談しやすい環境づくり、心地よい空間づくりを心掛け、日々診療しております。
また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも妊娠ができる機会を提供し、患者さんに少しでもお役にたてるよう尽力します。

 

②不妊症に対する東洋医学的考え

不妊症は、五臓六腑の「腎」と「肝」の働きが特に重要と東洋医学では考えられています。

<妊娠における「腎」の役割>
妊娠において特に重要なのが、腎で貯蔵される「精」というものがあります。それは、「腎精」とも呼ばれており、人体の生長・発育・生殖及び生命活動を維持する物質的な基礎です。これは、内分泌系全般の機能を指すものと考えられ、腎は妊娠に必要なホルモンバランスをつかさどっていると考えているのです。「腎精」が充実していると女性の場合、正常に月経が到来し、男性の場合は射精することができます。
また、「腎精」は、父母から先天的に受け継いだ要素が大きく、青年期に最も充実し、中年頃から次第に衰えて老化に向かいます。日々の偏った食生活やストレス・不摂生が続くいたりするとこの「腎精」が不足してしまい、ホルモン異常による排卵障害や着床障害、男性の場合ですと、造精機能障害を引き起こしてしまうのです。

<妊娠における「肝」の役割>
東洋医学でいう「肝」は血を蔵するとういう妊娠にとても重要な役割を持ちます。
「肝」は血を貯蔵し必要に応じて供給・消費します。血液循環の調節面では、自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させて体内各部の血流量を調整します。
女性の場合には、子宮に十分な血液を供給して子宮内膜や筋肉を順調に機能させ、またはホルモンバランスを調節して月経・妊娠・分娩が正常に行われるように調整することも含まれます。
このような「肝」の機能低下または過亢進が起きると、血が不足した状態やある場所で停滞してしまう状態を引き起こします。それは、月経不順や子宮内膜症・子宮および卵巣の妊娠力の低下につながります。また「肝」は精神的・身体的ストレスの影響を受けやすく、自律神経の過緊張を生させ、造精や精子の運動率低下に大きな影響をもたらします。

<「腎」と「肝」との関係>
東洋医学では「腎」と「肝」との関係は密接と言われており、両者の症状は同時にあらわれることが多く、「肝腎同源」ともいわれています。
「肝腎同源」は、女性の妊娠過程においてのホルモンバランスと自律神経系の関係を示しており、特に重要な関係となっています。

 

 

③不妊症の鍼灸治療症例

30代女性

現在不妊治療中で人工授精を行っている。原因は不明だがもともと卵子の量が少ないと医師から言われている。仕事が忙しく、運動不足や寝不足で身体の冷えやむくみ症状も強く、腰の痛みと時々下肢の痺れがある。

治療方針
まず自律神経測定器で自律神経のバランスを測定していきました。副交感神経が過亢進していたため、ホルモンバランスを整えるという観点から、まず自律神経のバランスを整える治療を行っていきました。同時に鍼と温灸器、灸を用いて下腹部を温め、ホルモンバランスを整える治療を行いました。その後うつ伏せで下肢のマッサージと冷えと浮腫みに対応する経穴に鍼と灸でアプローチし、仙骨部周囲の経穴に鍼と通電を行う事で、骨盤内の血流量を増加させる治療を行いました。下半身が全体的に冷えており筋肉の硬さが非常に強い状態で、関節の可動域制限が強かったため股関節と腰部のストレッチも行いました。

治療経過

◇1回目◇
まだまだむくみと冷えは強いが、治療後よく眠れたとの事。腰痛も少し軽減。

◇2回目◇
浮腫みは少し軽減した感覚はあるが、冷えがまだ取れない。腰痛は疲労が溜まると感じるが今は感じない。人工授精四回目を行ったが着床認められず。

◇3回目◇
足先の冷えは少しとれたが、医師から適度に運動した方が良いとの指示を受けたため、意識して歩くようにしているのだが少し歩き過ぎてしまったため下肢が筋肉痛。むくみは少し感じるが前ほど気にならない。

◇4回目◇
むくみが気にならなくなってきた。冷えも以前のように強くは無いがまだ感じるとの事。
人工授精を来週行う。

◇5回目◇
人工授精五回目行ったが着床認められなかった。下肢の循環は良くなっているように感じる。冷えと浮腫みも最初よりも半分ぐらいに軽減した感覚はある。

◇6回目◇
来週もう一度人工授精行う。それまでに体の状態を万全にしておきたいとの事。
体の調子は良いが少しむくみはある。

◇7回目◇
六回目の人工授精で着床成功。身体の状態も最初と比べると良くなっていると感じる。慢性の腰痛が軽減され、下肢の痺れもたまにしか出現しなくなった。下肢のむくみ、冷えは疲労が溜まると感じるが日常的に感じることは無くなった。

 

④不妊症とは

不妊とは、生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間性生活を行っているのにもかかわらず、妊娠しない場合をいいます。その一定期間については、アメリカや日本とは相違があり、日本では2年とされていますが、アメリカでは1年です。
女性・男性ともに年齢を重ねるに従って妊娠する確率が低下していきます。25歳以下の女性が妊娠するまでに要する期間が平均2~3カ月なのに対し、35歳以上の女性の場合は平均6カ月以上かかると言われています。
ある統計によると、生殖年齢の男女が避妊せずに性生活をおくった場合、一年で80%、二年で90%のカップルが妊娠するという結果が出ており、約10%のカップルが何らかの原因で不妊に悩んでいるとされているのです。
女性の社会進出や晩婚化、社会のストレス過多などにより不妊は現在でも増加傾向にあり、約100万組以上のカップルが不妊で悩まされているといわれています。
そういった状況下で早急に原因を検査することは重要なことであり、一年妊娠しなければ、病院へ行くタイミングの目安となるでしょう。

従来、不妊は女性側に原因があると考えられており家族から冷たい目で見られるなど、女性にとってとてもつらい思いをしてきましたが、現在では不妊の約半数は男性にも原因があるとされており、男性不妊という言葉も広く知れ渡ってきました。
WHOによる不妊の原因調査によると、女性のみの原因41%、男性原因のみ24%、男女に原因あり24%、原因不明11%という調査結果が出ています。

 

⑤妊娠するしくみ

妊娠しやすい性交のタイミングは、女性の生理周期によって決まっており、妊娠するしくみを知るということは、妊娠する確率をあげるためにとても重要なことでもあります。

女性の体は、初潮を迎えてから排卵と月経とを繰り返し妊娠に備えています。女性の卵子はすでに胎児の時から決まっており、それ以降増えることはなく、減っていく一方です。
月経が始まる頃に約20個の卵子からただ一つだけ卵子が選ばれ、排卵を迎えるまでに成熟していきます。この期間は個人差があり、もし低温期が長い場合はゆっくり成熟していることです。
そして、排卵を促す黄体化ホルモンが脳下垂体から大量に分泌され排卵がおこります。

 

卵巣から出た卵子は卵管へ移動し、受精が行われる卵管膨大部という場所に向かいます。
一方、射精された精子は子宮腔を通過し、卵管へと進出してきます。受精の行われる卵管膨大部にたどり着くまでに精子の数は100~200万分の1までに減少し、さらにその中で1個の精子だけが卵子と受精します。射精された精子は卵管内で4~7日くらい寿命があるといわれていますが、排卵された卵子は1日しか寿命がありません。しかも近年では、精子の数や運動率が低下しており、妊娠するためには性交のタイミングがとても重要となってきます。

また、卵子は年齢とともにダメージを受けて行き、体は健康そうに見えても卵子は老化しています。年とともに卵子の機能は低下しいき、一人目はすんなり妊娠したのに二人目の子供をもうけられないというのはこういった原因があるといわれてます。

よって10代後半~30代前半までが妊娠・出産の適齢期であり、40代になると能力は著しく低下し、50代以上ではほぼゼロに近くなり、50代以上の妊娠は非常に稀になるのです。

 

 

⑥不妊の原因(女性)

妊娠するためには、排卵・受精・着床と多くの行程をクリアしていかなければなりません。どこに不具合があっても妊娠することはできず、原因は多岐にわたります。
女性側に不妊の原因がある場合、子宮や卵巣など様々なことが考えられますが、複雑に絡み合い不妊を引き起こしている場合が少なくありません。

<排卵障害>
排卵障害とは、排卵が起こらないあるいは排卵が遅い状態のことをいいます。排卵障害は、不妊原因の15%をも占めるといわれています。
・視床下部や脳下垂体性による排卵障害
視床下部や脳下垂体に何らかの原因があり、卵子を成熟させるホルモン(卵胞刺激ホルモン)や排卵を促すホルモン(黄体化ホルモン)などが異常をきたし、排卵が起こりにくくなります。
その大きな原因が過度なストレスです。現代特有の社会のストレスやなかなか妊娠できないストレスまたはパートナーが不妊に無頓着という不満からくるストレスなど複雑です。そういったストレスを受けると特に視床下部というホルモン指令部に影響を与えます。視床下部はホルモン指令部の役割の他に自律神経の中枢でもあります。よって強いストレスを受けて自律神経が乱れた状態だとホルモンバランスの異常をも引き起こします。
ストレスによって月経リズムが崩れるのもこういった原因があるのです。

・高プロラクチン血症
乳汁を分泌するプロラクチンというホルモンがあります。その値が高くなると排卵を抑制することがあります。本来は、産後に多く分泌されて授乳中に次の妊娠を起こさせないようにするために排卵を抑制する役割があります。
胃潰瘍や心療内科系の薬の副作用として高プロラクチン血症となることもありますが、時間帯によって変化するホルモンであることから強いストレス不規則な睡眠冷えなどが関与している可能性があります。

 

多のう胞性卵巣症候群
卵巣周辺に多くののう胞が付着して卵胞が大きくなるに従って排卵しづらくなります。
原因は現代医学でも特定できていませんが、血中のホルモン値が高くなり、男性ホルモンの値も高くなるのが特徴で、ひげが生えたり、すねなどの毛が濃くなるといった男性徴候がみられるたり、肥満となることも多いようです。

 

・早発卵巣不全
ホルモンバランスが原因で排卵が起こらないのではなく、40歳よりも前に排卵すべき卵子がなくなってしまった状態をいいます。

 

<卵管障害>
卵管は卵巣と子宮をつなぐとても重要な器官です。射精された精子が通る部分でもあり、受精された受精卵が子宮に移動するために通過する部分です。この部分が閉塞すると精子や受精卵が通過出来ないため妊娠ができません。また、卵管の出口である卵管采が癒着すると、排卵された卵子がうまく卵管膨大部に移動できません。

・クラミジアなどの感染症
クラミジアや淋病などの感染症は、卵管に炎症を起こして卵管を狭くして通過させにくくします。

・先天性卵管障害
子宮や卵管の先天的な異常で構造的な障害が生じて卵管が閉塞することがあります。

 

 

<着床障害>
受精された受精卵は、卵管を通って子宮内に入り込み、受精卵は、子宮内膜としっかりとつながります。これを着床といい、これではれて妊娠成立となります。
この着床に原因があると妊娠できません。

・器質的着床障害
子宮内に腫瘍ポリープができているとその大きさや位置によって着床しづらくなります。子宮筋腫や先天的な子宮奇形などが知られています。

・ホルモンの問題による着床障害
厚くなった子宮内膜は、卵巣内の黄体から分泌される黄体ホルモンにより着床しやすい状態へ準備されます。しかしこの黄体の機能がうまく働かず、黄体ホルモンが十分に分泌されないと子宮内膜が準備不足となります。これを黄体機能不全といい、排卵日から次の月経までの日数が10日以下の場合に判断されます。

 

 

<抗精子抗体>
女性にとって精子は異物ですが、通常は精子に対する抗体がつくられることはありません。しかし、まれに精子に対する抗体ができてしまい、射精された精子が子宮に入ろうとしても抗体に攻撃されてしまい、動けなくなって受精が起こることがありません。

子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内腔しか存在しない子宮内膜が子宮内膜層以外の骨盤内臓器で増殖することをいいます。好発部位として卵巣、卵管、腹膜、直腸、膀胱などがあります。
主な症状は、月経時痛で子宮内膜症患者の約9割に認められる症状です。子宮内膜ができる場所によって症状は異なり、卵管采周辺にできると卵子の卵管内への取り込みがうまくできなかったり、卵巣にできると卵巣内に血液が溜まってチョコレートのう腫ができます。
30~50%の方に不妊が見られます。

 

⑦不妊の原因(男性)

以前は、不妊の原因が女性側にあると考えられていましたが、現在では約半数は男性側にも原因があるといわれています。不妊で悩んでいるカップルは、男性も検査を受け原因を明らかにする必要があるかもしれません。
その原因は、精子がつくられる過程で何らかの問題が生じている場合や精子を運ぶ個所に問題がある場合またはうまく性交できない勃起障害なども近年では増えてきています。

<造精機能障害>
精子をつくる機能がうまく機能せずに十分な精子がつくられない状態をいいます。原因としておたふくかぜの罹ったことにより精巣炎が起こって精子をつくる組織に影響を及ぼす場合や染色体及び遺伝子に問題があり先天的に精子をつくる機能に影響がある場合などがあります。
造精機能障害は、男性不妊の9割以上も占めているといわれており、精子の数が少なかったり精子の運動率の低下または重症となると全く精子がつくられない場合もあるのです。
近年では、食生活や生活環境の変化から成人男性の精子数が減少しているという研究結果がでており、運動率も低下してきています。また寝不足や過労が続いた状態で精液検査をすると結果は悪くなります。
よって現代特有のストレスは、精子をつくる機能に影響を与えて男性不妊の原因になるといえます。

 

<精路通過障害>
精子を運ぶ精管が部分的に欠けていたり、狭くなって詰まっていると精子が正常に通過することができず、うまく射精ができません。原因は、先天的に精管に異常がある場合や炎症によって精管が閉塞する場合などがあります。

 

⑧妊娠しやすい体づくり

妊娠しやすい体づくりをするためには、生活習慣の見直しがとても重要です。

バランスの良い食事と同じような時間帯に食事を摂る、有酸素運動を中心とした運動習慣、十分な睡眠が特に重要です。

その他、卵巣機能は血行不良によって妊娠機能の低下に繋がりかねませんので下腹部が冷えないように対応することも必要です。就寝の際に腹巻をする・日中は腹部をホッカイロで温めることも有効な手段です。

ストレスのよって自律神経が乱れてしまうと血流状態もわるくなってしまうためストレスによる自律神経の乱れも緩和させることが妊娠しやすい体づくりには重要です。

具体的には、趣味の時間をつくることや有酸素運動を中心とした運動習慣などが挙げられます。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

アキレス腱炎の鍼灸治療

月曜日, 5月 27th, 2019

 

①アキレス腱・周囲炎に対する当院の鍼灸治療

当院のアキレス腱炎・周囲炎に対する施術は、アキレス腱周囲のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血流改善・鎮痛作用を促します。腫れのひどい場合は、まずその腫れを引かすことを第一に考え、お灸なども施していきます。

アキレス腱炎・周囲炎は五臓六腑の「」と「」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことやアキレス腱の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要があります。

当院で施術させていただいても変わらずにランニングなどのトレーニングをしていては、正直改善は見込めません。当院では、どういったことに注意すればよいのかといった生活指導なども行い、早期回復を目指します。

②アキレス腱炎・周囲炎の中医学的考え

東洋医学ではアキレス腱炎は、アキレス腱周囲の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みや腫れの原因となると考えられています。寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間体力仕事をした時などに気血は滞り、それがアキレス腱周囲であった場合にアキレス腱炎・周囲炎を発症する可能性が高くなります。

 

 

③症例

・主訴
50代 男性 アキレス腱炎

・症状
一年ほど前ゴルフのコースを回っていた時に左足首からふくらはぎに違和感を感じた。
痛みはあまりなく歩けないほどではないので、我慢して生活をしていたら徐々に痛みが悪化してきた。
整形外科を受診したところアキレス腱炎と診断され、湿布薬と消炎鎮痛剤が処方されたが、変化なかった。
自分で靴底を高くして対策をしたが、痛みがさらに強くなり当院に来院されました。

・当院の治療
左の足首は、右の足首と比べて熱感があり、炎症が続いているようでした。アキレス腱の一部は硬く一部隆起しているような状態でした。
まずは、炎症と痛みを緩和する目的で鍼灸治療を施しました。
また、足首の不調で歩き方のバランスが崩れてしまったせいか腰部の筋肉が硬くなっていたので、あわせて腰部をほぐすような施術を行いました。

・経過
◇1回目◇
治療後、アキレス腱の痛みは少し軽減して歩くのも楽になったが、次の朝にはまた痛みが戻っていた。

 

◇2~5回目◇
鍼灸治療に鎮痛効果が継続する時間が段々と伸びてきた。

 

◇6~8回目◇
アキレス腱に痛みを感じることはほぼなくなったが、ためにふとした時に痛みが走る時がある。アキレス腱の隆起はなくなり、硬さも取れてきた

◇9~10回目◇
痛みもあまり感じなく、ゴルフのコースもまわることができた。

・考察
体重も重く、膝や足首にかかる負担は相当大きいものと考えられた。最初の2~3週間は、炎症をとるため運動を控えていただき、食事の方も過食にならないように気をつけてもらいました。アキレス腱炎でご来院される方は、ランナーの方など比較的オーバーユースの方が多いですが、中年の方に関しては、体重増加により足首にかかる負担が増えていってしまったことも一つの大きな要因です。
日常生活では、アキレス腱に負担をかけ過ぎないようにすることや下肢のストレッチ、食事制限がとても重要になってきます。

 

④症例2

20代 男性

週末に仲間内でフットサルを行うことが日課となっているが、1か月ほど前からフットサル中にふくらはぎからアキレス腱にかけて違和感を感じることがあった。フットサルは体育館で行う時も屋外の人工芝で行うこともあり、違和感が出て2週間後の体育館でのフットサル中にアキレス腱の痛みを感じるようになってしまった。
インターネットで運動の前後でしっかりストレッチをした方が良いということが書いてあったためしっかりと運動の前にはストレッチを行うようにしたが、あまり改善が見られないということで当院にご来院されました。今は、週末のフットサルは控えているとのこと

治療
腰部の硬さやもも裏のはりなども感じられたため、そちらのほうから筋肉を緩ますような鍼灸・手技の施術を行ってからアキレス腱周りの施術に入りました。

◇1回目◇
治療終了後、腰やもも裏は筋肉の緩みはあきらかであったがアキレス腱の痛みは特に変わらず

◇2~5回目◇
アキレス腱の痛みが段々と軽減してきたとのこと。

◇6回目◇
だいぶ足の調子が良くなってきたので週末にフットサルを軽くおこなったが痛みは感じなかった。人工芝で比較的フカフカしている地面だとフットサルを行えるが体育館ではまだ怖さがあるの事

◇7回目◇
体育館でフットサルを行ってみたが痛みは出なかった。

 

⑤アキレス腱炎・周囲炎とは?

アキレス腱炎とはアキレス腱自体が微細な部分断裂などによって炎症を起こした状態でアキレス腱周囲炎とは、アキレス腱を包む結合組織であるパラテノンという物質の炎症です。アキレス腱は、膝裏の内側・外側に2頭もち合わせて「ふくらはぎ」をつくる腓腹筋と腓腹筋の下にある平らなヒラメ筋の両筋を合してつくられています。
アキレス腱は、丈夫でほとんど弾力性がなく、ふくらはぎの筋肉の力をかかとに伝える役割をしており、足関節後方で皮膚を保っていることが容易に触知できます。
歩行、走行、跳躍などの際の足関節底屈に大きな役割を果たす他に停止時やジャンプの着地時にも大きな張力が働く部分です。
アキレス腱は筋肉と比べると血液の流れが悪いところで、老化も進みやすいため、体重が急に増えたり、運動しすぎたりして過度に負担がかかると炎症を起こして痛みが出やすい部分でもあります。

アキレス腱炎・周囲炎の症状として主に疼痛腫れ軋轢音があります。

ⅰ)疼痛
アキレス腱のかかとへの停止部よりも内くるぶしのやや上の部分に多く疼痛が発症します。疼痛が主症状で動き始めの時に最もひどく痛みます。
初期の段階では、運動開始時の疼痛が強いにもかかわらず、我慢して運動を続行していると次第に痛みが軽減してくる特徴があります。痛みを我慢して無理に運動し続けるとアキレス腱はさらに硬くなり、瘢痕組織で占められ、運動している間も絶えず痛むようになります。

ⅱ)腫れ
疼痛が強い場合では、疼痛部に一致して紡錘状のアキレス腱の腫れが見られることがあります。目で見て容易に判断でき、腫れている部分には局所熱感を伴う事が多いです。

ⅲ)軋轢音
アキレス腱周囲の炎症が顕著な場合には、足首を曲げ伸ばしすることによってギシギシするような軋轢音を聞くことができます。

※アキレス腱断裂となる前兆も
健康志向の高まりにより、マラソンブームなど特に中高年となってから運動をはじめるという方が増えております。冬のマラソンブームとなると当院にも初めてフルマラソンを走って膝やふくらはぎなど下腿の痛みなどでご来院される30~50代の方が多くなります。その中には、しっかりと準備をせずにフルマラソンに挑まれる方も多くいらっしゃいます。そんな時に注意しなければならないのがアキレス腱の断裂です。アキレス腱が断裂してしまうと完治するまで3カ月以上もかかってしまいます。

その間は、足首などをギプス固定されるため歩くこともままになりません。
アキレス腱断裂は、若い方にも起こりうるものですが、若い方がなるアキレス腱断裂が、運動のし過ぎいわゆるオーバーユースに対して中高年の方がなるアキレス腱断裂は腱の老化が原因となる場合が多いです。30代を過ぎると特に筋肉や腱も老化します。腱はコラーゲン線維からできているため段々とその弾力性や柔軟性が損なわれてしまうのです。

腱がしなやかであれば圧力を分散させることが可能ですが、硬くなってしまっているため圧力が集中して断裂しやすくなってしまうのです。

アキレス腱断裂の前には、アキレス腱炎が前兆となる場合が多く、アキレス腱に痛みや違和感を感じることがあります。そのような場合は一旦運動を休むか負荷を小さくしてしっかりと治癒させることが重要です。

 

⑥アキレス腱炎・周囲炎の一般的治療

急性期には安静休養を行い、保存療法を主とします。
消炎鎮痛剤の外用や内服はある程度有効であり、疼痛がひどい場合には腱周囲組織にステロイ注射を行う場合があります。またかかとの部分を高くする足底板を使用して腱への伸展力を軽減することや腱の捻じれを抑制する内側ソールウェッジ、テーピングも有効と考えられています。
疼痛軽減後もウォーミングアップ、クールダウン時のストレッチングアイシングなどを行い、局所の炎症を予防する必要があります。

 

アキレス腱炎・周囲炎にならないために

 

アキレス腱炎・周囲炎を予防するためには、運動前のストレッチが特に重要です。

アキレス腱を伸ばすストレッチ、足を前後に開脚して後ろに引いた膝を伸ばした状態でアキレス腱をゆっくりと伸ばすストレッチ法や足首周りのストレッチも行うようにしましょう。

足首が硬い状態ですと地面からの負荷を足首で散らすことができずに直にアキレス腱に負担が大きくかかってしまいます。運動前に足首を回したり、足首を前後・内側・外側にゆっくりと伸ばして足首のストレッチを行いましょう。

また、運動も徐々に強度を上げていくことがアキレス腱炎・周囲炎の予防に繋がります。例えば、運動開始直後から坂道ダッシュや高くジャンプするなどアキレス腱に負担の大きくかかる運動は避けて徐々に運動強度を上げるように意識してください。

その他、普段運動不足の方はお風呂上りなど体が暖まった状態のときにアキレス腱を伸ばすストレッチを日ごろから行っておくとアキレス腱の柔軟性が保たれてアキレス腱炎・周囲炎を予防することができます。

あとは、運動する際の靴が大きかったりするとアキレス腱に負担がかかりやすかったり、かかとのすり減りで思いがけずにアキレス腱に負担がかかることがありますので運動靴にも注意するようにしましょう。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

夜間頻尿の鍼灸治療

水曜日, 5月 22nd, 2019

夜間頻尿に対する当院の鍼灸治療

当院の頻尿に対する治療の目的は、第一に膀胱・腎に関するツボに鍼やお灸で気血の流れをよくします

夜間頻尿の鍼灸治療

 

 

また湿熱の邪気によって頻尿が引き起こされている場合は、それらを体外に出す治療が必要になってきます。また腎精を補う治療も行います。

頻尿は部分的に原因がある場合ばかりではなく、全身性の衰えや気血の滞りが原因の場合もあるので全身を診て治療していきます。それは東洋医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。頻尿の鍼灸治療は中国では有効とされています。

また、過度なストレスによる精神的なストレスも頻尿と深いかかわりがあると考えられます。普段でも緊張する場面、重要な会議の前やプレゼンテーションをする前などでトイレの回数が増えることがあります。それは、緊張状態により自律神経の状態が交感神経が優位の状態となっているからです。

日常生活でも交感神経が優位の状態が長く続いてしまうとトイレに行く回数が増えてしまうということです。そこで当院では、自律神経の状態を自律神経測定器で計測していき施術をしていきます。特に夜間頻尿によって睡眠時間が減っていたり、浅い睡眠となってしまっている場合は悪循環でさらに自律神経のバランスが乱れていることが予想されます。当院では、頻尿に対する施術でも自律神経調整治療で自律神経の状態も整えることも重要だと考えております。

 

また、膀胱も筋肉でできているため冷えている状態ですと筋肉が縮こまりやすくなってしまい、膀胱が蓄えることができる尿の量が減ってしまいます。そこで当院では、下腹部辺りの経穴にお灸をして温めることで膀胱が縮こまってしまう状態を防ぎます。

夜間頻尿に対する腹部のお灸治療

基本的にまず仰向けとなり、自律神経調整治療や下腹部を温めるお灸を施して次にうつ伏せとなり、背中にある東洋医学の「腎」や「膀胱」に関する経穴を刺激していきます。
当院の頻尿の治療目的は、トイレに行く回数を正常に戻して、日常生活への負担を少しでも減らすことです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも頻尿が回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。

夜間頻尿に対する下肢の鍼灸治療

 

 

頻尿の東洋医学的考え

東洋医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。

ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。

ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。

 

症例

 

70代 男性

一晩に2回から多いと4回も起きてトイレに行くとのこと。病院で検査したが前立腺肥大など器質的な原因は見つからずに何か治す方法はないかと鍼灸に興味を持ちご来院されました。

日中起きている時間も頻繁にトイレに行く。だいたい夜は11時に寝て朝6時に起床。よく夜中2時と4時ごろにトイレに行きたくなる。夜中起きてしまうため睡眠の質も低下。日中頭がさえないことも多い

治療

自律神経測定器で初診時に自律神経の状態を測定してそれを踏まえて治療を行っていきました。

膀胱経のツボやお腹周りの自律神経調整と頻尿に効果的とされるツボを用いて治療していきました。うつ伏せ時には、背部兪穴の膀胱兪と腎兪、肝兪、脾兪などを使用、下肢後面の膀胱経のツボも多く使用して治療していきました。

また、お腹が冷えてしまうと膀胱の容量が小さくなりがちなので緩い腹巻を寝る際につけてお腹をできるだけ冷やさないように指導しました。

5回目の治療後辺りから徐々に夜中トイレに行く回数が減り始め睡眠の質も向上していきました。
10回目の治療後には、一回も夜中トイレに行かない日も出てきました。

 

 

 

夜間頻尿とは


頻尿とは正常よりもトイレが近く尿の回数が多いことをいいます。膀胱の容量は成人で700mlの尿を蓄えることができ、排尿回数は4~7回、排尿量は1000ml~2000mlが正常とされています。
しかし、水を大量に飲めばそれだけトイレの回数も量も増えていきます。さらに老人になれば、腎臓の尿濃縮力が低下するので尿の回数は多くなりがちで特に夜間にトイレに行く回数が増えてきます。

よって頻尿は自分の普段の状態と比べて回数が多いか少ないかで判断しますが、目安として昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上合計で8~10回以上トイレに行く状態は頻尿といえるでしょう。厳密にいうと尿量も排尿回数も多い場合は頻尿ではなく多尿と言われ、尿崩症糖尿病慢性腎不全などが疑われます。頻尿というのは、尿量自体は普通ですが、排尿回数が増える場合です。頻尿の症状に加え、残尿感尿意亢進(尿が少し溜まってもトイレに行きたくなる)などが表れる場合もあります。

 

 

頻尿の原因

頻尿の起こる原因として膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に原因がある場合と精神的ストレスで起こる場合とがあります。尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手掛かりになります。
排尿時に痛み不快感残尿感を伴うようであれば膀胱炎や前立腺炎が疑われます。また中高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出ても少しずつしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。

何らかの精神的な緊張が原因となって頻尿となる場合もあります。これは高齢者には割と少なく、中年から若い人、子供に多い疾患です。

ⅰ)膀胱炎による頻尿

頻尿患者数で一番多いのが膀胱炎です。頻尿以外に排尿時の痛み残尿感血尿が特徴的です。腎臓で造られた尿は、膀胱に送られる間にほとんどが再吸収され、尿管を通り、膀胱に蓄えられます。尿を体外に出す際に通る管を尿道といい、男女で著しく異なります。女性の尿道は短く、男性の6分の1程度であるため、体外からの細菌が膀胱に達しやすく女性は膀胱炎を患いやすいといえます。

ⅱ)前立腺肥大症による頻尿

前立腺とは膀胱の出口付近から尿道を取り囲むようにあるクルミ大の実質臓器です。男性にしか存在しません。前立腺は乳白色の液を分泌するが、この液は射精の際に精巣から来た精子を薄めるとともに精子の運動を活発にする役割を果たしています。前立腺は尿道を取り囲むようにあるので前立腺が何らかの原因で肥大すると頻尿(特に夜間頻尿)や尿道を圧迫して尿が少しずつしか出なかったり、排尿しようと構えてから実際に尿が出るまでに時間がかかったりします。

ⅲ)神経性頻尿

誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。神経性頻尿精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や電車などでトイレを我慢した経験をきっかけに尿意に対する恐怖感が植え付けられてしまった結果、何度もトイレに行くようになります。神経性頻尿は比較的女性に多く、頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感や痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが検査しても尿の異常は認められません。

 

頻尿の中医学的考え

 

中医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。

ⅰ)膀胱湿熱

外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。

ⅱ)腎気不固

腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。

神経症(ノイローゼ)の鍼灸治療

月曜日, 5月 13th, 2019

神経症(ノイローゼ)の東洋医学

 

東洋医学ではもともと心(精神)と身体は別々ではなく互いに関係していると考えられてきました。中医学では古くから喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という七つの感情(七情)が体調に大きく影響すると考えられており、七情により五臓の機能が失調することや、気が虚する(不足する)、気の流れが滞ることより抑うつ、不安や無気力などの精神症状が現れると考えられています。

特に五臓の「肝」は感情をコントロールしているといわれておりストレスの影響を受けやすい臓器です。この肝の失調が起こる肝の持つ疏泄作用(気を全身に巡らす作用)が低下する事により気が上に上りやすく、憂鬱、イライラしやすい、不眠、背中の痛み、だるさ、足の冷え、のぼせなどが起こりやすくなります。肝の失調は他の臓腑へも影響し心・腎・脾などの機能も低下しやすくなります。

心血虚

動悸、息切れ、頻脈、不整脈、不安感、不眠症など

腎虚

マイナス思考、足腰のだるさ、手足の冷え、手足のほてり、忘れしやすい、集中力の低下、頻尿、めまい、耳鳴りなど

脾虚

疲れやすい、食欲がない、もたれやすい、気力の低下、下痢など

気虚

身体の重だるさ、気力の低下、食欲不振、動悸、めまい、日中の眠気、下痢や軟便、病気への抵抗力の低下など

気滞

怒りっぽい、イライラしやすい、憂鬱感、お腹や頭のつかえ感や膨満感、頭痛、耳鳴りなど

 

神経症(ノイローゼ)に対する当院での治療

当院では、まず自律神経測定器にて血管の状態と自律神経のバランスを測定した後、治療に移ります。神経症の方は自律神経のバランスに乱れがあることが多く、その乱れが精神や身体の症状として現れていると考えられるため自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

神経症(ノイローゼ)の自律神経調整鍼灸治療

また、東洋医学的観点から五臓六腑の肝、心、腎、脾を中心とした機能調整と気や血を補うツボを選穴していきます。

 

不安症(ノイローゼ)の鍼灸治療

 

神経症の方の多くは、刺激にも敏感である場合が多く、その方に合わせた鍼の深さや太さ、お灸の熱さ等を調整して細心の注意を払って施術しております。

 

 

神経症(ノイローゼ)とは

 

神経症とは強い不安などを原因とする不適応障害のことです。自分の住む社会にうまく適応できず、日常生活に制限が起こったり心身に様々な症状が現れます。以前はノイローゼと呼ばれていましたが、最近では不安障害とも呼ばれています。

神経症は心の病の中でも最も頻度の高いもので、人口の約10%を超えるともいわれており10代後半から40代までに発症するのが一般的です。

 

 

神経症の種類とその症状

 

神経症には様々な種類があります。その中でも代表的なものを挙げていきます。

 

・社会恐怖症(対人恐怖症、SAD)

人前で発言したり、字を書くときに手が震えるなど他人から注目され、批判されたり恥ずかしい思いをするのではないかというような恐れによってパニックを起こしてしまう状態です。社会恐怖はその症状から視線恐怖、表情恐怖、赤面恐怖など種々の状態により恐怖する内容が異なります。また、地震や雷、閉所、暗所、血液、蛇やクモなど特定の対象による恐怖もあります。

 

 

・パニック障害(不安発作、PD)

パニック発作の反復を特徴とし、「このまま死んでしまうのではないか」「気を失って倒れてしまうのではないか」など強い不安や恐怖と共に、動悸、胸痛、発汗、吐き気、めまい、呼吸困難など種々の自律神経症状が突然出現し、その状態が数分から数十分持続するものです。原因は未だはっきりとは解明されていませんが、心理的なものではなく脳機能の異常によるとされる説が有力です。過労や睡眠不足、風邪などの身体的な悪条件、日常生活上のストレスなども発症や発作のきっかけになるといわれています。
パニック障害の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・強迫性障害(OCD)

反復する強迫観念や強迫行為を主な症状とし、心に浮かぶ不快な考えやイメージで本人はそれが無意味であったり、過剰であるとわかっていてもそれを打ち消すことはできず、せきたてられるのが特徴です。強迫行為は、強迫観念に伴う不安を打ち消すため行う行動であり、例えば執拗な手洗いや入浴、鍵やガスの元栓を閉め忘れていないかなど何度もしつこく確認する、縁起等を何度も確認するなど、このような強迫症状が続いて日常生活、あるいは仕事不自由や支障をきたすような場合強迫性障害と診断されます。

 

 

・全般性不安障害

ある特定の状況の限定されない理由のない不安、心配が長期間続き、絶えず何か悪いことが起こるのではないか、失敗するのではないか、などという考えが浮かび常に緊張してリラックス出来ず、筋肉の緊張、頭痛、発汗、めまい、口の渇き、頭のふらつきなど多彩な身体症状を伴います。そのため慢性的に憂鬱になったり、億劫になったりすることがあります。
不安障害の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

・気分変調症(気分変調障害、抑うつ神経症、神経症性うつ病)

不安や恐怖など一般的な神経質症状とともに憂鬱な気分や心が晴れないなどの軽いうつ症状が続きます。社会や家庭への不適応感や罪責感、様々な刺激への過敏性、社会からの引きこもり、疲れやすさや活力の欠如などが特徴的です。うつ病との違いをうつの程度と持続期間に区分され、気分変調症の場合「二年以上に及ぶ慢性の軽うつ状態を示す」状態を呼びます。
うつ病の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

・解離性障害(転換性障害、ヒステリー)

心のまとまりや連続性に支障をきたす障害です。ある時の出来事がごっそりと抜けて思い出せなくなってしまう、予期せぬ場所へ記憶がないまま行ってしまうなどの症状がみられます。原因は様々で幼少期の外傷体験、衝撃的な出来事や事故、災害などの体験や目撃などの極度のストレスなどが引き金となって突発的に発症すると考えられています。

 

・心気症(ヒポコンドリー)

自分の健康状態や体の調子に異常にこだわり、重大な病気にかかっているのではないか、今後かかるのではないかなどと心配する病気です。医学的な検査や診察では明らかな器質的異常が無いのにも関わらず、過度な不安や恐怖にとらわれてしまいます。症状は様々で疲れやすさや睡眠障害などの全身症状、身体の痛みやしびれ、熱感、頭痛、めまい、動悸、呼吸困難、食欲不振、胃痛などが挙げられます。

 

・離人症性障害(離人症、現実感消失症候群)

自分が見たり感じたりする実感が薄れる障害です。具体的には見たり聞いたりしている周りの世界に対する生き生きとした実感が薄れ、自分自身に対して現実感が無くなり景色がベールを通して見えるような感じや、味やにおいが分からない、皮膚を触っても実感がないなどの症状が挙げられます。原因は未だはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要素に環境要因が加わって発症すると考えられています。

 

 

 

 

神経症(ノイローゼ)の原因

神経症の原因は災害や近親者の死去、病気などの急激な精神的衝撃、環境の変化、仕事の悩み、学校でのいじめ、受験など毎日の生活環境の中で取り除くことができないような慢性的なストレス、夫婦関係、家族関係がぎくしゃくしていることによる精神的葛藤、生まれ持った素因、幼少期まで遡る環境の中で徐々に形成された性格の偏りなど人によって様々です。

 

神経症になりやすいといわれている性格

・感受性が強い          ・自己中心的

・内向的、理知的、過敏症的な性格 ・潔癖症

・心配性             ・こだわりが強い

・完全主義            ・面倒見がいい

・自分に自信がない        ・執着性が強い

・引っ込み思案     

 

などが挙げられます。

 

神経症(ノイローゼ)の症状

神経症には不安感、イライラ、緊張感、恐怖感などの精神症状と、易疲労感、動悸、息苦しさ、不眠、めまい、頻尿、吐き気、食欲低下、頭痛などの身体症状があります。

神経症(ノイローゼ)にならないために

神経症(ノイローゼ)は、誰にでも患ってしまう疾患です。自分とは無関係と思っていても突然のアクシデントなど度重なるストレスの蓄積で精神症状は誰にでも出てしまう可能性があるのです。

自分の心身と対話をしてストレスの状態を把握していくことはとても重要です。

神経症(ノイローゼ)で悩まされている方の多くは、この自分の心身と向き合うことを忘れて自分のキャパをオーバーしてしまうほどに耐えてしまうことで発症します。

まず、ストレスを感じ取り時にはそのストレスから逃げてしまうことも重要です。仕事で多くのストレスを抱えているなら環境を変えたり、人間関係でストレスを抱えているのならその人から少し距離を取ってみるといった具合にです。どうしても変えられない場合は趣味や運動習慣などを取り組んだりして生活にオンとオフのメリハリを付けましょう。

その他、しっかりと時間を取った休息や睡眠時間栄養バランスのとれた食生活も不安症(ノイローゼ)にならないためにやはり重要となります。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

PMS(月経前症候群)の鍼灸症例

土曜日, 5月 11th, 2019

PMS(月経前症候群)の鍼灸治療

PMS(月経前症候群)は、生理前にイライラや気分の落ち込み、抑うつ状態などの精神的状態の変化や首肩こり・腰痛などの身体的変化が起こり、その症状は人によって様々です。
PMSは、たくさんの女性が悩まされており、主に20代~30代女性に発症しやすいとされます。PMSは、生理前のホルモンバランスの変化が身体に影響を与えるとも考えられていますが、はっきりとは原因は解明されていません。

しかし、ストレスの多い生活をしていると発症しやすいとも言われており、当院では自律神経の状態が影響を及ぼしているのではないかと考えております。

PMS(月経前症候群)のお腹への鍼灸治療

 

症状は人によって様々なものとなるため、初診時に問診でしっかりと症状を聞いていきます。そしてそれを踏まえましてその方に合った施術法をご提案させていただきます。

なお初診時に今の自律神経の状態を把握するため自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきます。当院にPMSでご来院される多くの方は、交感神経の活動が高く、逆に副交感神経が低い状態です。交感神経は活動的な神経、副交感神経はリラックス神経ですので、常に体が活動体制で身体をリラックスできていない休めていないという状態です。その状態が長時間続いてしまうとPMS(月経前症候群)にかかりやすいと考えております。

 

また、東洋医学では五臓六腑の『』や『』の状態が乱れてしまいますと精神状態が乱れやすく、肝は肌肉をつかさどるとも言われているため筋肉の状態にも影響を及ぼしてきます。東洋医学的観点より『心』と『肝』の状態を整えていくことも重要だと考えて経穴を選択して鍼灸施術を施していきます。

PMS(月経前症候群)の鍼灸治療

 

生理痛の鍼灸治療について詳しくはコチラ←

首コリの鍼灸治療について詳しくはコチラ←

肩こりの鍼灸治療について詳しくはコチラ←

うつ病の鍼灸治療について詳しくはコチラ←

 

 

 

 

その他、身体を良い状態にてPMSを改善させるためには、生活習慣も重要となってきます。当院では、その方に合わせた生活スタイルのアドバイスも行っていきます。共通して言えることですが、リラックスできる時間を一日に出来るだけ多く設けることが重要です。

有酸素運動やゆったりとぬるま湯に半身浴をしながら読書をする・好きな映画や音楽を聴くなど趣味の時間をもってリラックスできる時間をつくりましょう。規則正しい生活リズムも必要です。深夜遅くまで起きていたり、食事も栄養バランスが偏っていてはホルモンバランスや自律神経にもよくありません。

PMS(月経前症候群)の鍼灸治療症例

 

20代女性

半年ほど前から生理前の気分の落ち込み、緊張感、胃の不快感、吐き気、便秘、首肩のこり頭痛に悩まされている。生理前以外にも、首肩こりや緊張感は日常的に感じている。婦人科にてPMSとの診断を受け漢方薬を処方されて現在も服薬を続けているが、効果があまり感じられない。

 

治療内容
自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定したところ、交感神経が過亢進状態で精神的ストレスと肉体的ストレスが高く見られました。女性ホルモンと自律神経は脳の視床下部という同じ場所で指令を受けており片方が乱されるともう片方も乱されやすいという特徴がありますので、自律神経と女性ホルモンのバランスの両方を整える治療をメインに、内臓機能調整、首肩の筋緊張の緩和を治療として行いました。また、ご本人に自覚はありませんでしたが下肢の冷えが見られました。下

肢の冷えは骨盤内臓器の血流悪化による機能低下、ホルモンバランスの乱れに繋がると考えられるため遠赤外線やお灸をメインに下肢の冷えを除く施術も合わせて行いました。

 

 

1回目
現在生理前、施術後は体全体が温かく感じられてリラックスできた。首肩が軽くなり、頭痛が翌日から消失した。しかし段々と状態戻り頭痛はないが首肩こり感じる。他の症状現在は変化感じない。

 

2回目
大きな変化はないが、胃の不快感と吐き気、肩こり、頭痛は少し楽になっている。

 

3回目
日常的に感じていた肩こりや緊張感が和らいできたように感じる。現在は生理前ではないので体調は悪くないが、胃の不快感は食後に感じる。

 

4回目
仕事がハードで首肩こり徐々に戻ってしまった。現在生理前、落ち込み、緊張感強くはないが感じる。吐き気はないが胃の不快感はある。便秘気味でややおなかの張り感がある。しかし、排便が一日一回はある状態。以前は2日に一回程度だったため、状態良くなっていると感じる。

 

5回目
首肩こりが以前に比べると半減したように感じる。気分の落ち込みは感じることあるが、以前ほどではない。緊張感も徐々に和らいできている。胃の不快感は感じる頻度が以前より減った。しかし、食後のもたれ感有り。

 

6回目
そろそろ生理前だが、現在は体調が良い状態。胃の調子が良くなり、最近は胃の不快感はほとんど無い。肩こりも仕事が忙しいとそれなりに感じるが痛むことや不快感は無くなった。

 

7回目
現在生理前、約3日後位に生理が来ると思われる。今月は治療始めてから一番調子がよく、気分の落ち込み、緊張感、胃の不快感、吐き気、便秘、首肩こり、頭痛あまり感じなかった。状態が安定してきたので少し治療間隔を空けて通院する。

 

8回目
そろそろ生理前、一度首肩こり強く頭痛が出現した時があったが、現在は消失している。胃腸の調子現在は良く、緊張感も仕事中は感じるが、以前に比べればずっと楽になった。

 

9回目
現在生理前、気分の落ち込み、緊張感、首肩こり、全くないことはないがあまり気にならなくなった。頭痛は出現していない。排便は一日一回有るが、やや残便感ある日もある。胃の調子は良い状態続いている。症状が安定し日常生活に支障無くなったため、体調悪化した際にまた来院したいとのこと。

 

PMS(月経前症候群)のセルフケア

PMS(月経前症候群)をケアするには、ストレスを溜め込まないことや規則正しい食事や運動、睡眠などの生活習慣が重要です。

PMS(月経前症候群)は、ストレス過多の状態ですと症状が強く出る傾向があります。

ストレス過多の状態ですと自律神経が交感神経優位となっている場合が多いです。セルフケアでは、副交感神経の働き高めるようなリラックスできる空間づくりや習慣が必要です。

半身浴や趣味に没頭する、睡眠をしっかりとる、映画を見るなど副交感神経の働きを高める行動は千差万別なので自分にあるリラックス法を見つけ出しましょう。

また、誰でもできる副交感神経の活動高める方法として呼吸法があります。浅く速い呼吸ですと交感神経の活動が高まりやすいのでゆっくりと吐く息を意識してそのあと息を吸う深呼吸を意識的に行うことで副交感神経の活動が高まります。

基礎体温をつけて月経がいつ来るのか予測すると症状に対処しやすいこともあります。月経前には、塩分や糖分の多い食べ物は避けてビタミンB群やミネラルなどを意識的に接収すると良いでしょう。その他、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンを摂るのも良いです。
イソフラボンは大豆製品に多く含まれます。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

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中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

モートン病に効果のある鍼治療

金曜日, 5月 10th, 2019

モートン病の鍼灸治療

モートン病の方は足のアーチが崩れてしまっているケースが多くありますので、足の矯正も大きなポイントになります。

そのため腰部、臀部、大腿部、下腿部などの重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え骨盤や股関節、膝関節、足関節のバランスを整えたうえで患部の治療に移ります。

モートン病のうつ伏せ鍼灸治療

神経の圧迫の軽減や組織の回復を促進させるため足部の筋緊張の緩和と血液循環を促進させる施術を行います。また、場合によっては痛みの強い部分に鍼に微弱な電気を流すことで鎮痛効果を促していきます。

お灸には炎症を抑える抗炎症作用があることが特徴です。モートン病に対しましても痛みの強く出ている炎症部位にお灸を施すことで炎症を抑え症状を緩和させていきます。

モートン病の鍼通電治療

合わせて内臓機能免疫機能全身の血流などを司る自律神経を整える施術も取り入れ、体の自然治癒力を高め、体の全体的なバランスを整えます。

 

モートン病の東洋医学的考え方

中医学では関節痛や神経痛など体の痛みを総称して「痺証(ひしょう)」と呼びます。

「痺」は詰まって通じないという意味を持ち、体外の風や湿気、乾燥、寒さ、熱などの自然の変化でこれらに対応できなくなることや、貧血、過労、老化などにより代謝が落ち、血流が悪くなったり、ストレス、コレステロール、中性脂肪、高脂血症などの余分なものが体内に溜まって「痺」を起こすと考えられています。

足部の経絡として足の陽明胃経足の太陰脾経足の厥陰肝経足の太陽膀胱経などがあります。それらの経絡が弱っている可能性もありますので脈診や腹診から診断して弱っている経絡のツボを多く用いて施術を行っていきます。

 

モートン病とは

モートン病は、足の甲から足先もしくは足裏の足先端の方へ及ぶ神経痛のような疼痛知覚障害が生じる疾患です。

その病態は、足趾に行く神経が中足骨間を連結する靭帯(深横中足靭帯)のすぐ足底部を通過するため、この靭帯と地面の間で圧迫されて生じる神経障害で、圧迫部の近位には仮性神経腫という有痛性の神経腫が形成されます。

中年以降の女性に多く発症し、足の指の第3趾(し) 、4趾に好発します。

第3、4趾間には内側足底神経と外側足底神経が合流しているためストレスがかかりやすく神経の肥厚神経腫が出来やすいという解剖学的特性が原因と考えられています。

モートン病の原因

 

モートン病の本質的な原因はまだはっきりとは解明されていませんが、普段の生活で足に繰り返し生じる負担が主な原因と考えられています。

・ハイヒールの常用
・幅の狭い靴や底が薄くて硬い靴
・硬い地面や床の上での運動
・中腰やつま先立ちが多い作業

 

などが原因になることがあります。槌趾変形(マレット指)がある場合にも同様な姿勢で生じやすくなります。

また、足のアーチの崩れや、体の重心の歪み(股関節や膝関節の歪み)なども(扁平足)ふくらはぎの筋肉が過度の緊張状態となり、足底のアーチが低下しモートン病に繋がる一つの原因と考えられています。

 

症状

体重をかけると足の第3趾~4足趾間や第2~3足趾間の刺すような痛み、灼熱感、しびれ、けいれんなどが趾の間や足底の盛り上がった部分に起こり、歩くと強くなります。

痛みは強いことも少なくなく、時には下腿まで及ぶこともあります。また、障害部位は2-3、4-5足趾間に及ぶこともあります。立ち止まったり、靴を脱いだりすることで痛みは軽減します。

 

西洋医学的治療

 

診断は障害神経の足趾間に感覚障害があり、中足骨頭間足底に腫瘤とティネルサイン(神経障害部位をたたくとその支配領域に疼痛が放散する)があれば診断は確定できます。

また、足趾を背屈するか、つま先立ちをさせると痛みが強くなります。確定診断としてX線(レントゲン)検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

治療として一般的に保存療法が基本となります。自分に合ったインソールや中足骨パッドを作り足にかかる負担を軽減したり、炎症を抑えるためにステロイド注射を行うことがあります。

保存療法で改善しない場合は手術療法が選択されます。痛みのある神経の近くの靭帯を切り、神経にかかる圧力を軽減させます。また、神経腫が大きい場合は取り除くという方法もあります。

 

頚椎ヘルニアの鍼治療

日曜日, 5月 5th, 2019

 

頚椎椎間板ヘルニアの鍼治療

 

鍼灸では患部周りの経穴を使い鎮静目的で鍼をしたり、お灸などで炎症をひかせます。

鍼灸治療を行うことで周りの筋緊張が緩和されて症状が改善されることが期待できます。頚椎椎間板ヘルニアでは頸部の筋緊張によって頚椎が圧迫されて神経根症状が誘発されることがあり、鍼灸治療では筋緊張を緩めることにより解消していきます。

お灸はその部分を火傷を負ったと脳が感じ取ります。するとそれを修復させようと白血球などの修復細胞や貪食細胞が集まってきます。すると、飛び出したヘルニアの部分を貪食細胞が除去することによってヘルニア症状が軽減されることが期待できます。

 

頸椎ヘルニアの鍼治療

 

 

当院では、温熱療法や電気鍼療法などの物理療法を行ったり、関節を整えて患部の負担を減らして改善させていく方法も行います。

首のマッサージ

 

 

 

一般的治療法では、外科的治療法保存療法があります。

外科的治療法とは手術のことで、手術を選択されて症状が改善することが多いですが、症状が全くされない・悪化してしまうというケースも稀に見られます。

保存療法は、激痛後は安静していただいて、落ち着いてからお薬や注射をする場合と、牽引療法温熱療法などの理学療法を行う場合もあります。

 

頚椎椎間板ヘルニアの治療

 

 

 

頚椎椎間板ヘルニア

 

頚椎椎間板ヘルニアは交通事故のむち打ちなどで多く見られる症状の一つです。

これは頚椎の骨と骨の間にあるクッション作用のある椎間板が後ろの脊髄神経を圧迫させてしまうものです。

このクッションとは骨と骨の連結部で動きを滑らかにすることや重力や衝撃に対してのクッション材になります。このクッション材は加齢とともに水分が減り柔軟性が乏しく変化していくものです。

繰り返し同じ方向の力が加わるとこのクッションが変性してしまい、若い人でもこの頚椎椎間板ヘルニアになることもあります。

このクッション材が交通事故の衝撃により変性して後ろの脊柱管にある脊髄や神経根を圧迫させることで椎間板ヘルニアになります。

ちなみにヘルニアとは本来あるべき部位から脱出した状態をいいます。俗に言うヘルニアですが、これは頚椎や腰椎の椎間板ヘルニアのことになります。

その他にも腹部の内臓が脱出する鼠径ヘルニア食道裂孔ヘルニアなど多くのヘルニアがあります。

 

スマートフォンやパソコン作業が多くなっている現代では、その首に負担のかかる姿勢からストレートネックとなってしまい頚椎椎間板ヘルニアになってしまう危険性があります。

頸部は生理的な湾曲といって少し前側に曲がっています。それは、頭の重さを分散させるためですが、その湾曲がなくなってしまった状態ですと頭の重さが直に頸部にかかってしまうことで椎間板を圧迫してしまい頚椎椎間板ヘルニアになってしまうことがあります。

 

 

 

頚椎椎間板ヘルニアの症状

 

これは脊髄症状を伴う重い症状から神経根症状を伴う軽度のものまであります。

脊髄障害は、人間の中枢神経になります。この中枢神経が障害されると、幅広い範囲で症状が現れたり、生活する上で重篤な症状になることもあります。

排尿困難、膀胱障害や直腸障害など内臓系の異常もあります。

その他にも

・四肢の痺れや感覚異常

・四肢の運動機能が低下する

があります。

症状が片側でしたら神経根の症状が考えられます。

内蔵系や両側に症状がでた場合は脊髄障害などが考えられますので、お早めに近くの病院でMRIやレントゲンなどの検査を受けていただいた方がいいです。

 

頚椎椎間板ヘルニアにならないために

 

頚椎椎間板ヘルニアになってしまう大きな要因は、普段の姿勢にあります。パソコンやスマートフォンが普及した現代では、前傾姿勢で背中は猫背となってしまい頸の負担は増加の一途をたどってします。

この姿勢を長時間続けてしまいますと、首や肩の筋肉に負担が大きくかかってしまうことで血流が悪くなってしまい乳酸などの疲労物質が溜まってしまうことでコリや痛みの原因となってしまいます。

長時間のそういった姿勢は避けて、細めに休憩を取る必要があります。休憩の合間に背筋を伸ばすストレッチや頸部の筋緊張緩和のためにゆっくりと頸部を回すようなストレッチを行いますと筋緊張緩和が見込まれて頚椎椎間板ヘルニアの予防に繋がります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

低血圧症の鍼灸治療

土曜日, 5月 4th, 2019

低血圧の東洋医学

低血圧は東洋医学的にみると主に虚弱体質や飲食不節や過労などと密接な関係があるとされ、身体のエネルギーとされる「」や「」の不足が症状を引き起こしていると捉えられます。特に女性は生理や出産、授乳などで血液を失う量も多く、血の量が不足しやすいです。

また、「気」や「血」が足りていてもストレスなどの影響で巡りが悪くなっている「気滞・瘀血」も原因の一つとして考えられます。

その他、五臓六腑の中で飲食物から栄養を吸収して血液に変える過程において関わりの深い臓器である「脾」「胃」や血液を貯蔵する「肝」、五臓六腑と関連し身体の要といわれている「腎」や心臓を指す「心」の弱りや不調が考えられます。

 

低血圧に対する当院での鍼灸治療

 

血圧は血液量と血管径により決まります。この血圧を正常に調節する機能として最も深い関わりを持っているのが自律神経です。

自律神経とは私たちの意思とは無関係に働く神経で全身の血管や内臓の働き、呼吸、脈拍、血圧、体温、消化、免疫、ホルモンをはじめ生命維持に関わるあらゆる働きを支配しており、心身を緊張、興奮させる「交感神経」と心身を休息、リラックスさせる「副交感神経」に分類され、この二つが拮抗してバランスをとることで身体の恒常性を保っています。

しかし、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどで「交感神経」「副交感神経」この二つのバランスが乱されてしまうと、あらゆる不調や病気を招きやすくなります。

当院では、まず初めに自律神経測定器により血管の状態や自律神経のバランスを測定し治療に入ります。

鍼やお灸を用いて自律神経のバランスを整える治療を行い、血液の循環を適正化する作用を促すことで症状の軽減や体質の改善を図ります。

低血圧の自律神経調整鍼灸

 

 

また、東洋医学的観点から「気」や「血」を補い気血の流れを良くする治療や血液の生成、循環に関わる五臓六腑の働きを整える治療も合わせて行います。

低血圧のうつ伏せ鍼灸治療

 

また、低血圧の方は肩こり頭痛などの不定愁訴を抱えられている方が多くそれぞれの症状に合わせた治療も行っていきます。

肩こりに対する鍼灸治療について

頭痛に対する鍼灸治療について

 

 

低血圧とは

血圧が通常よりも低い低血圧により、何かしらの症状が現れる状態です。低血圧に確定的な定義はありませんが、現在WHOでは、世界共通の基準として収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)60mmHg以下を低血圧としています。収縮期血圧とは、心臓が収縮して全身に血液を送り出す際に、心臓にかかる圧力のことです。

拡張期血圧とは、心臓が拡張して全身から心臓に血液が戻ってくる際に、心臓にかかる圧力の事です。低血圧は高血圧と違い症状が無ければ原則として治療の必要はないとされますが、低血圧が疾患として問題となるのは血圧の低下により各臓器を送られる血液量が減少し、種々の自覚症状や機能低下が発現した場合になります。

症状

・立ちくらみ
・めまい
・ふらつき
・頭痛
・不眠
・倦怠感
・眠気
・肩こり
・動悸
・息切れ
・胸痛
・胸部圧迫感
・食欲不振
・悪心
・チアノーゼ(唇や顔が青ざめる)
・手足が冷たくなる
・手足のしびれ

など

低血圧の分類

・本能性(一次性)低血圧

「低血圧症」の約8割を占め、特別な原因疾患を伴なわずに血圧が慢性的に低い状態で、同じ家系に低血圧症の人がいることも多く、遺伝による影響も大きいとされています。また、筋肉量が少なく痩せている、冷え性、疲れやすい、内臓下垂があるなどの体格的な特徴があり、体質的な場合が多いといわれています。

また、本能性低血圧は女性に多く、これは女性ホルモンの影響があると考えられています。女性ホルモンには血管を拡張する作用があるため男性よりも血圧が下がりやすくなります。

 

 

・症候性(二次性)低血圧

低血圧を引き起こす病気や薬剤などの原因があり、低血圧を引き起こすものを言います。二次性低血圧の原因となるものとして、循環器疾患、内分泌、代謝疾患、胃腸障害による栄養不良、ガンの末期、降圧剤、利尿剤、強心剤、睡眠薬、抗うつ剤などの副作用などがあります。

 

・起立性低血圧

横になった状態や座った状態から立ち上がった時に急激な血圧低下が起こり、めまいや立ちくらみ、失神などの症状を起こします。

起立性低血圧では臥位や座位の状態から立位になった時に収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上低下します。これは臥位や座位の状態から立位になった時に足の方へ流れていた血液が心臓にうまく戻れないことにより心臓から拍出する血液量が減るために低血圧が生じます。自律神経の調整機能が乱れやすい子供や高齢者、若い女性に多い傾向があります。

 

・食後低血圧

食事を摂った後に腸などの消化管に血流が増えて、その分血圧が下がってしまう現象です。食後に血流が腸に偏らないよう調整する自律神経の働きが衰えやすい高齢者に多いといわれています。

 

低血圧を改善する生活習慣

明かな病的低血圧以外の場合で低血圧を改善させていくためには、生活習慣の見直しが特に重要です。

その中でも食事と運動、ストレスを溜め込まないことが重要です。

 

・食事について
低血圧気味の方は、塩分とタンパク質をバランスよく摂取していく必要があります。
高血圧の人は、塩分を控えることが指導されることが多いですが、低血圧はその逆です。塩分には血管を収縮させることで血圧を上げる作用があります。もちろんの塩分の摂り過ぎはよくありませんが、低血圧で悩まされている方の多くは、塩分が足りていない場合が多いためバランスよく塩分を摂ることが必要です。

また、お肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質も血圧を上げることに有効です。アルコールは一時的に血圧を降下させてしまうのでなるべく飲酒は控えることをお勧めします。

その他低血圧の方は、1日3食食べなかったり、栄養バランスも偏りがある場合が多く、一日3食だいたい決まった時間に食事を摂ることも改善させていくためには重要です。

 

・運動について
低血圧の人は、一般的に手足の末端部分の血管の収縮力が弱く、心臓に血液が戻りにくい状態のことが多いです。
特に下半身の血液の戻りが弱いため下半身の運動が必要となります。ふくらはぎの筋肉は第二の心臓とも言われ、ふくらはぎのヒラメ筋と腓腹筋の収縮弛緩の働きが血液やリンパ液のポンプ作用となって体幹へと戻っていきます。

ふくらはぎの運動には、ウォーキングや階段の昇降運動が効果的です。ふくらはぎの運動自体で下肢の血液循環が改善され、さらにヒラメ筋・腓腹筋の筋力が付き大きくなることで多少の運動でも血液が戻りやすくなるのです。

 

しかし、ふらつきやめまいなどあって体調のすぐれない場合は転倒する危険性もありますので無理をして運動はしないようにしましょう。自分の体と相談しながら行いましょう。

ポスナーシュロスマン症候群の鍼治療

土曜日, 5月 4th, 2019

ポスナーシュロスマン症候群に対する鍼灸治療

 

ポスナーシュロスマン症候群の鍼灸治療では、鍼治療の効果の一つの鎮痛効果循環改善による房水内の流れを改善することで眼圧の降下を目的に施術を行っていきます。

鎮痛効果による鍼刺激では、鍼通電治療を行うこともあります。鍼通電治療を行うことで単独の鍼刺激よりもより一層鎮痛効果が期待できます。

ポスナーシュロスマン症候群に対する鍼通電治療

また、お灸治療には、炎症を抑える抗炎症効果があります。お灸を施すことによって脳はその部分が火傷を負ったと認識します。するとその部分を修復させようとして修復細胞である白血球を集めて、ついでにその周りの炎症部位を修復してくれるのです。よってお灸刺激では少しチクッとするような熱刺激を目の周りに加えていきます。

ポスナーシュロスマン症候群のお灸治療

その他、東洋医学的観点自律神経の状態把握からの全身調整施術を行っていきます。

東洋医学では目の異常は五臓六腑の『』の異常と捉えることが多いです。そのため、ポスナーシュロスマン症候群では肝に関するツボを多く用いて治療していきます。

また、ポスナーシュロスマン症候群では、ストレス疲労が原因で起こるという説もあるため自律神経の状態が影響を与えているとも考えられます。自律神経は、交感神経と副交感神経の活動のバランスによって免疫機能にも深く関わりがあります。

ポスナーシュロスマン症候群の全身調整治療

自律神経のバランスが崩れた状態で免疫機能が低下してしまっていると炎症が起こりやすくなると考えられます。

当院では自律神経測定器で今の自律神経の状態を測定することが可能です。その結果をふまえてお腹や手足・背部などのツボを用いて自律神経を整える施術も行います。

自律神経を測定する

ポスナーシュロスマン症候群とは

ポスナーシュロスマン症候群は、1948年にアメリカ人のポスナーとシュロスマンによって報告された眼の発作性炎症疾患の一種です。

発作的に眼が炎症を起こしてしまうため眼圧が急に上昇してしまい、視神経を圧迫してしまうことで緑内障のような視野狭窄障害が起きてしまいます。

眼圧の正常範囲は一般的に10~21mgといわれていますが突然40mg以上に上昇してしまいます。

 

ポスナーシュロスマン症候群の症状

ポスナーシュロスマン症候群の特徴は突然に眼圧が上昇してしまうことと炎症性の疾患ということです。そのため主に下記のような症状を呈します。

・目の痛み
・かすみ目
・視界が霧がかかったようになる
・目の充血
・頭痛

ポスナーシュロスマン症候群では、炎症が治まったりつよくでたりすることで症状が軽くなったり重くなったりを繰り返すことが多いです。症状が出ても数時間で症状が治まる場合もありますし、数週間で治まるケースもあります。

比較的予後は良好なことが多く、寛解しても後遺症が少ないとされていますが、長期的に眼圧が上がった状態ですと、視神経が圧迫を受けることで視神経細胞が壊死を起こし、視野狭窄が進むことで緑内障へ移行してしまう場合もあるようです。

・目の痛みに対する鍼灸治療
・目の充血に対する鍼灸治療
・緑内障に対する鍼灸治療
・頭痛に対する鍼灸治療

ポスナーシュロスマン症候群の原因

 

ポスナーシュロスマン症候群はいまだ解明されていません。
しかし、発症年齢は若い男性に多く、働き盛りの20~40代の男性に多く発症することからストレス疲労によって引き起こされているのではないかという説もあります。

その他、ヘルペスによるウィルス説もあります。ヘルペスウイルスは一度感染してしまうと、現代の医学では完璧に除去することが難しいとされ、一生涯神経節に規制し続けると言われています。ストレスや疲労、寒冷刺激などによって体の免疫力が低下した時にヘルペスウイルスの動きが活性化してしまい何回も同じ場所で炎症症状を起こすと言われています。

ヘルペスウイルスが起こす代表的な疾患に帯状疱疹や口唇に炎症を起こす口唇ヘルペスが知られています。

・帯状疱疹に対する鍼灸治療

 

ポスナーシュロスマンの西洋治療

ポスナーシュロスマン症候群では、長期間眼圧が上がった状態が特に危険です。眼圧が上がった状態が長く続いてしまいますと視神経細胞に影響を与えて視野狭窄障害起きてしまうリスクがあります。
そのため眼圧を下げる目薬などが処方されたり、炎症を抑える抗炎症剤が処方されます。

ポスナーシュロスマン症候群は、炎症が治まったり出たりを繰り返すため症状が治まったとしても継続的状態をみていく必要があります。

鍼灸治療は痛みを軽減させたり、抗炎症効果や循環改善による眼圧の低下させる効果が期待できるため、ポスナーシュロスマン症候群では、医師の方に処方される薬や医師に状態をみてもらうことと並行して鍼灸治療を受けていただくことを推奨しております。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

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