季節の変わり目や、激しい温度差により自律神経が乱れて、鼻の粘膜などの毛細血管がコントロールできなくなることで引き起こされる症状です。

アレルギーとなっていますが、実際にはアレルギー反応ではなく、自律神経の乱れに伴う反応です。医学的な病名としては「血管運動性鼻炎」と呼ばれています。鼻の粘膜が弱い人が発症しやすく、蓄膿症など他の病気との合併症が起こる場合もあります。
寒暖差アレルギーの原因は、温度に合わせて体を調整して適応させている自律神経の乱れです。自律神経は寒い場所では血管が収縮し、暖かい場所では血管が拡張します。

自律神経が適切な対応が出来るのは大体7℃以内と言われています。7℃以上の気温差で鼻粘膜の血管が拡張して、鼻粘膜が腫れることによりアレルギー様の反応が起こります。
春秋など季節の変わり目で朝夜と日中との寒暖差が激しい場合ですと体温調整機能の備わる自律神経のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
寒暖差アレルギーは春や秋などの寒暖差が強くなるときに出やすいです。
しかし、最近では夏に室内がクーラーで冷えていることや、冬は室内で暖房が効いているため、室内外の温度差が強い場所でも起こりやすくなります。
また、寒暖差の他にも、タバコや化粧品などの香り、飲酒、ストレス、妊娠などが引き金となって自律神経の異常興奮が起こり、症状を引き起こすことがあります。
寒暖差アレルギーの主な症状は
・鼻水
・鼻づまり
・くしゃみ
・咳
ですが、その他にも
・不眠
・イライラ
・倦怠感
・頭痛
・食欲低下
・皮膚の痒み
・湿疹
などが挙げられます。
※感染症やアレルギー性鼻炎との違い
感染症はのどの痛みや発熱、粘調性の鼻水、咳などを伴います。また、アレルギー性鼻炎は、スギやダニ、ハウスダスト等の原因物質が鼻粘膜に付着することで発症します。眼の痒み、充血、涙などの症状を伴うことが多いです。
東洋医学による鼻炎症状は水分代謝の滞りである「水毒(すいどく)」や老廃物の溜まった悪い血である「瘀血(おけつ)」と考えられています。

それらが引き起こされる原因としまして、呼吸に関係すると考えられている五臓の「肺」と「腎」の弱りや、消化や吸収に関わる「脾」「胃」の機能や、全身の気の流れを調整する「肝」の弱りが原因となって引き起こされると考えられています。
体の中の過剰な水分は、冷たい飲食物を摂り過ぎたり、過労やストレスが溜まったりすると胃腸の働きが衰え水分代謝が悪くなります。
すると消化吸収も低下するので、代謝されない水が体内に残留物として残るようになります。これらは病的な水分なので体の生理機能に影響を与え、肺の防衛力も低下するのです。
東洋医学では、肺は鼻や皮膚とつながっていると考えられています。そのため、肺の機能が弱くなると皮膚の防衛機能が弱まって邪気が入りやすくなり鼻水、鼻づまりなどの症状が起こりやすくなります。
また、過度なストレスや緊張などにより「肝」の機能が低下すると肝気鬱滞となり、気の流れが悪くなってしまいます。気の流れが悪いため体液の流れが鼻で滞り、鼻水や鼻づまりが生じてきやすくなります。
当院では免疫機能の司令塔である自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

自律神経の調整施術を行い内臓機能調整、免疫機能の調整や全身的な血行促進を促し症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えます。
東洋医学的概念から「肺」「腎」「脾」「胃」「肝」をはじめとした五臓六腑を整えるツボや水分代謝を促すツボ、血液循環を整えるツボなどを用いて治療を行います。
また、首肩周りの筋の緊張があると顔面部の血流が阻害される原因になるため頸肩周りの施術も取り入れていきます。

さらに、直接鼻の周囲のツボに刺激を与え、鼻まわりの血液循環を促進し、鼻粘膜の状態を整えます。また、鼻粘膜に存在する局所的な自律神経の興奮を抑える作用を促します。

・洋服をうまく調整して、寒暖差を減らす。
・マスクを使用して寒暖差を減らす。冷たい空気が鼻や喉に直接つかないようにするため。
・規則正しい生活とバランスのとれた食事を心がける
・適度な運動をして体力をつける
・夜寝るときに首が冷えるので、首回りの防寒対策を行う
・40℃前後のお湯で体を暖める
・ストレスや疲労をためない
検査は、問診、診察、家族歴などを確認した後にさらに詳しく行われます。鼻汁検査、血液検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストなどを行います。鼻汁検査では、鼻汁の中に好酸球という細胞の有無を調べ、アレルギー症状を調べます。血液検査では抗原抗体反応を起こす抗体が、血液中にどのくらい含まれているかを調べます。また、皮膚テストや鼻粘膜テストで反応を調べることが出来ます。
治療としては症状を抑える対処療法が基本となります。
内服薬として自律神経の働きを整える抗ヒスタミン薬、漢方薬などの内服や点鼻薬として血管収縮作用のあるものやステロイドが処方されます。
また、薬物療法に効果を示さない場合手術療法を行うこともあります。
鼻づまりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー治療、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、副交感神経を遮断する後鼻神経切除術が行われることもあります。
排尿時の痛みをはじめとする頻尿、残尿感、排尿困難などの症状を東洋医学では「淋証(りんしょう)」と呼びます。

尿は六腑の膀胱に貯蔵され、五臓の腎の作用によって排泄が調節され五臓の腎と六腑の膀胱は密接な関係にあり、両者の連携により排尿がコントロールされています。
また、体の全体の機能を調整する五臓の肝や、体液の調整をする肺の機能も関係してきます。人体の主な構成成分である気、血、津液の中では、人体に必要な正常な体液を意味する「津液」が最も関与します。
淋証の病因・病機
・膀胱湿熱
油っぽいものや辛いもの、甘いものの過度の摂取や飲酒過多は体内で湿熱を形成します。飲食物により生まれた湿熱は、当初は中焦といって腹部の辺りにありますが、湿の重い性質により下部へと移行して膀胱に入りこんでしまいます。
また、性器を不衛生にしていると性器を通じて、濁気が膀胱へ入り込み湿熱となります。
尿が体外に排泄されるのは膀胱の気化作用によるものですが、膀胱に入り込んだ湿熱はこの気化作用を失調させてしまいます。
・腎虚
腎と膀胱は表裏関係にあり、腎が虚すと膀胱の気化作用は失調します。腎陽虚は加齢、大病、妊娠、出産などにより、腎陽を消耗する結果、腎が膀胱の気化作用を抑制できなくなることや、外邪が虚の乗じて膀胱を侵しやすくなることで淋証を生じます。また、腎陰虚があると下焦に虚熱を生じ、膀胱の気化作用も失調するため湿熱を生じます。
・肝気鬱滞
悩みや怒りで肝が損傷されて気滞を生じ、気が鬱して火に転化したり、気と火が下焦に鬱し膀胱の気化を妨げたり、気虚による下焦の固摂機能の失調を生じます。
当院では、内臓機能や免疫機能、血液循環などの司令塔である自律神経のバランスを自律神経測定器で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経の調整施術を行い、全身的な血行促進と免疫力や内臓機能を高め、症状が治癒しやすい状態へとお身体を整えます。

また、東洋医学的観点から腎、膀胱、肝などをはじめとした五臓六腑の機能を高めるツボや、津液の流れを調整するツボも用います。さらに、膀胱炎の方は下半身の冷えがあることが多く、それが泌尿器の血行不良に繋がりその機能を低下させる一つの要因として考えられることから下半身の冷えを除く治療も取り入れていきます。

痛みが出ている場合は下腹部に鍼通電治療を用いてより鎮痛効果を引き出すような施術も行っていく場合もございます。
膀胱は内面が柔らかい粘膜の袋で、尿を溜める器官です。その膀胱に炎症を起こすのが膀胱炎です。
圧倒的に女性に多い病気で、女性のうち2人に1人は経験する病気と言われており、女性には非常に身近な病気です。これは女性の体の構造として、肛門と膣が尿道に近いことや、尿道が男性に比べ4分の1ほどと短く、細菌が膀胱まで簡単に到達してしまいやすいためです。多くの場合、尿とともに最近は膀胱の外へ洗い流されますが、排尿を我慢したり、体調が悪かったりすると膀胱の中で細菌が繁殖し、膀胱炎を起こします。

・急性単純性膀胱炎
20~30歳代の若い女性に多く発症し、閉経前後の中高年期の女性にも比較的多い膀胱炎です。過労、睡眠不足、風邪、身体の冷え、排尿の我慢、性生活などが誘因となることが多いです。
・複雑性膀胱炎
尿路に尿停滞、異物、持続的細菌源、あるいは全身的抵抗力の低下などの基礎疾患を有する慢性膀胱炎です。複雑性膀胱炎はこれらの基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いといわれています。また、複雑性膀胱炎にはしばしば複数菌感染がみられます。
・間質性膀胱炎
何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起こり、筋肉が萎縮する病気です。
間質性膀胱炎では尿検査などで尿中の細菌の存在は認められません。この病気の原因は分かっておらず、自己免疫やアレルギー反応の関与があるのではないかという仮説がありあます。通常、膀胱には200~400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、間質性膀胱炎になると膀胱炎が膨らまないため、100ml以下でいっぱいになります。そして、尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレに行く回数がとても多くなります。
・嚢胞性膀胱炎
膀胱粘膜に袋状の病変が発生します。
・真菌性膀胱炎
真菌(かび)の感染によって膀胱が炎症を起こすものです。
急性膀胱炎の原因としては、大腸菌やぶどう球菌などの細菌が膀胱粘膜に感染して起こるものが最も多いです。膀胱は本来細菌に対する抵抗力、免疫力をもっていますが、病気や無理なダイエット、過労で体力が落ち、抵抗力が弱くなった場合に感染しやすくなります。
また、ストレスが溜まっている時や不潔な性交渉をすると膀胱炎にかかりやすくなります。さらに、月経の前後にきわめて雑菌が感染しやすく膀胱炎が起こりやすくなります。
その他、摂取した薬剤、食物による刺激などの物理化学的刺激が原因となるものや、膀胱の粘膜にアレルギー反応が起こることが原因となる膀胱炎があります。

<頻尿>
尿意を催してトイレに行く回数が増加します。症状の強い時には10分前後の感覚でトイレに行くことも少なくありません。1回で出る尿の量は少なくなります。残尿感もあることが多いです。
<排尿痛>
炎症を起こした膀胱が、排尿により急激に縮まり刺激されることで痛みを感じます。排尿の途中よりも、排尿の後半または排尿後に痛むことが多いようです。下腹部や尿道口の痛みとなります。
<尿混濁>
膀胱炎になると、細菌が尿の中で増殖し、白血球や炎症を起こした膀胱の粘膜が剥がれたりして尿が白濁します。尿に膿のようなドロッとしたものが混在します。
また、匂いもきつくなることが多いようです。
<血尿>
最近に膀胱粘膜が傷つけられて、目で見て分かるほどの血尿が出ることもあります。血尿は出始めから出終わりまで同じ濃さではなく、膀胱が空っぽになる最後に強くなる、排尿終末時血尿のことがほとんどです。
これらの症状があっても病院に行かないで我慢していると、排尿しない時にも下腹部が痛むようになってしまいます。膀胱炎では通常発熱はしませんが、発熱したり、腰痛があったりする場合は、細菌が腎臓の腎盂まで炎症が広がり、腎盂腎炎になっている恐れがあります。
検査・診断
基本的には尿検査で診断します。尿中の白血球や細菌数を調べて一定以上の値を認めれば膀胱炎と診断されます。
尿の細菌培養検査で原因となる細菌の同定を行いますが、診断までに一週間程度の時間がかかるため培養検査の結果が出るまでに治療も行い治ってしまう場合がほとんどです。
しかし、症状が改善しなかった場合には珍しい細菌による膀胱炎の可能性が高くなるため、初診時の培養検査をもとに治療を変更します。
治療
ほとんどの膀胱炎は細菌感染症であるため、抗菌薬治療を7~10日程度行うと完治します。また、症状は治療を始めて2、3日で良くなることがほとんどです。
東洋医学では、加齢や身体の疲労により「腎」の機能が低下した時、またストレスにより「肝」の機能が低下した時、胃腸の不調が原因で「脾」の機能が低下し、水分の巡りが悪くなった時などに耳の症状は起こりやすいと考えられています。
しかし、耳の痛みの原因は様々なため問診を行う中で考えられる器官に関わる臓腑や証のツボを用いて治療を行っていきます。

当院ではまず、内臓機能や免疫機能、血液循環を司る自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い、内臓機能や全身的な血液循環の促進と、免疫機能を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。
また、東洋医学的観点から腎、肝、脾に関係するツボや、耳周囲の血液循環が悪くなる大きな原因として首や肩周りの筋緊張がありますので、首肩周りの筋緊張を緩めるツボも用いていきます。
さらに、耳周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、炎症を抑える作用や耳周囲の血行を促進します。また、場合により鍼に電気を流すことで鎮痛作用を促します。

耳以外に原因があると考えられる場合、それぞれに対応した器官、臓腑や証に対応したツボを用いて治療を行います。
耳の痛みとは何らかの原因により耳が不随意に痛みを伴うことで、耳そのものの異常で起こる場合と、耳以外の部分の痛みが広がって耳の付近で感じるものがあります。
というのも耳の知覚神経支配は複雑で、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、頚神経(C2、C3)と多くの神経が関与しているからです。

耳が原因の耳痛(原発性耳痛)
・急性中耳炎
風邪などをきっかけとしてウイルスが耳管を通って中耳にまで入り込むと、耳内で炎症が起こり、耳の痛み、発熱、耳だれなどの症状が現れます。
・航空性中耳炎
急性中耳炎の一種です。飛行機の離着時の際など、急激な気圧の変化によって耳管が閉じたままになり、鼓膜の内と外の圧力の差で耳に痛みを感じます。
軽度であれは痛みや耳閉感などの症状は数時間以内で治りますが、激しい痛みや耳鳴りが数日間続くことがあります。
・鼓膜炎
外耳と中耳の間にある鼓膜に炎症が生じた状態を鼓膜炎と呼びます。鼓膜炎は大きく「急性鼓膜炎(水疱性鼓膜炎)」と、「慢性鼓膜炎(肉芽腫性鼓膜炎)」に分けられます。急性鼓膜炎は、風邪をきっかけに発症することが多い鼓膜炎でウイルスが原因となって起こると言われていますがはっきりとは解明されていません。耳の激しい痛みが特徴で、聞こえの低下や耳閉感などの症状も伴うことがあります。
慢性鼓膜炎の原因は完全には明らかになっていません。慢性鼓膜炎では耳の痛みはさほど強く現れず、耳だれの症状が最も多くみられます。
・メニエール病
メニエール病は、内耳の中のリンパ液の量が増えすぎてしまうことで起こると考えられていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
しかし、その根底には、ストレスや睡眠不足、疲労、気圧の変化、緊張面な性格などがあると考えられています。耳の痛みの症状以外には回転性のめまい、吐き気、耳鳴り、難聴などの症状が現れます。
・耳管開放症
中耳にあり、鼻やのどに繋がっている耳管は、ときどき開閉することで中耳と外の気圧を調整しています。この耳管が開きっぱなしの状態になり、耳が塞がった感じや耳鳴り耳の痛みが生じる可能性があります。
・耳管狭窄症
耳管が閉じたままになってしまう状態です。のどや鼻に炎症が起きた時や飛行機に乗ったときの気圧の変化などで起こることがあります。中耳の気圧が外の気圧より低くなるため、鼓膜が内側に引っ張られ、音の振動を十分に伝えられなくなることで低音の耳鳴りや耳に痛みが起こります。
・外耳炎
耳の入り口付近から鼓膜までの間を外耳道と言いますが、この外耳道が細菌に感染すると起こる病気です。耳の痛み、腫れ、かゆみ、耳の詰まり、耳だれ、耳閉感などの症状が現れます。
・外耳道真菌症
イヤホンを長時間使用することで、耳の中の湿度が上がりカビが生えることがあります。外耳道真菌症は外耳炎の一種で、耳の痛みの他に閉塞感を感じたり、音が聞こえにくくなったりします。
その他、外傷や外耳道異物、腫瘍などでも痛みを起こす事があります。
耳以外が原因の耳痛(耳への放散痛、関連性耳痛、続発性耳痛)
・急性扁桃炎
扁桃にはさまざまな細菌が潜んでいます。この扁桃の細菌が風邪やウイルスに感染したり、疲労が溜まると口蓋(のどちんこ)の左右にひとつずつある口蓋扁桃に急性の炎症が起こります。発症すると発熱、喉の痛み、だるさ、悪寒、首のリンパの腫れ、耳の痛みなどがみられます。
・咽頭炎
ウイルスや細菌などによってのどの粘膜に炎症を起こす急性咽頭炎はのどの粘膜が赤く腫れ、喉のつかえの他、のどの痛みや発熱を伴い、痛みが耳の奥に広がることがあります。
・肩こりや首のこり
凝り固まった筋肉が頚神経を刺激すると耳の痛みを感じることがあります。
・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
ムンプスウイルスの感染によって、唾液腺の一つで、耳の付け根にある耳下腺が炎症を起こす疾患です。耳の痛みから始まり、高熱、食欲不振、頭痛、嘔吐などが現れます。
・智歯周囲炎
智歯(親知らず)により、周辺の歯ぐきが炎症を起こしている状態です。歯肉や顎のリンパが腫れるだけでなく、耳が痛くなることがあります。
・顎関節症
顎の筋肉や関節にトラブルがあると起こる病気です。通常は口を開け閉めする際にカクンと音がしたり、頭痛がしたりしますが、めまいや耳の痛みが生じることがあります。
・三叉(さんさ)神経痛
顔のこめかみから目、顎、頬と三本に枝分かれした三叉神経が支配する領域に起こる痛みを三叉神経痛といいます。多くは脳に流れる血管がこめかみで神経に触れたり、神経を圧迫することによって起こります。
目、顎、頬を中心に突然ピリピリとした痛みが現れ、痛みは耳の奥から頭に及ぶこともあります。
・耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)
帯状疱疹ウイルスが脳から耳に出ている聴神経や顔面神経に感染する疾患です。初めに耳たぶの痛みや頭痛が起こり、次いで耳の入り口の近くに痛みを伴う小さな赤い発疹や水ぶくれが多く現れます。そして、めまいと耳鳴り、難聴が起こり、さらに表情が乏しくなったり、目を開けたり閉じたりできなくなるなどの顔面神経麻痺が現れるのが特徴です。
・痛みが強い
・耳の中や奥が痛い
・耳の入り口が痛い
・ズキズキ、ズキンズキンといった響く痛みがある
・耳を触ると痛い
・痛みが数日間続いている
・発熱、耳だれ、顔面痛、めまい、耳閉感、難聴などの症状が見られる
耳の中に異常がないかを確認する一般的な耳鼻咽喉科的検査、内視鏡での視診、X線検査、CT、聴力検査、ティンパノメトリー(鼓膜の動きやすさを調べる検査)、細菌培養検査、血液検査などを必要に応じて行います。
治療は原因となる疾患で異なります。

東洋医学ではネフローゼ症候群という疾患は五臓における「腎」という概念の機能の異常ととらえられています。東洋医学の腎は、腎臓そのものも指してはいますが、もっと概念が広いもので、それは、免疫系、生殖系、泌尿器系、ホルモン代謝系、カルシウム代謝系、自律神経系など幅広いものです。
五臓は「肝、心、脾、肺、腎」で成り立っており、「腎」は生命エネルギーのもととなる「精」が蓄えられているため、腎に異常が生じると、身体のすべての働きに影響が及ぶと考えられています。
腎が弱ると、瘀血(おけつ)が発生して、血液の質が悪くなり、血管がもろくなり、破れたり、詰まったりします。(動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞など)また、腎が弱ると肺も弱くなり、肺は皮膚を司るため、皮膚や粘膜は弱くなり、細菌や真菌やウイルスによる感染症や皮膚炎にかかりやすくなります。
腎が弱ることを腎虚(じんきょ)といいます。腎虚とは簡単に言うと「老化」のことで、その症状は、頭、耳、下半身に現れやすいといいます。例えば、記憶力の低下、抜け毛、白髪の増加、聴力低下、耳鳴り、めまい、生殖機能の衰え、足腰のだるさ、腰痛などの症状が現れます。
また、むくみの治療に対し、腎から尿として水分の排泄を促すだけでなく、体液の調整を行う五臓六腑の三焦(さんしょう)、水分の流れ全体の調整を行う肝、消化吸収を司る脾、体表の機能や水分代謝をサポートする肺の機能を高めることも重要と考えられています。
当院ではまず、内臓機能や血液循環、免疫機能などをとつかさどる自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

自律神経の調整施術を行い、全身的な血液循環を促進し、内臓機能、免疫力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。

また、東洋医学的観点から腹部や背部、下肢などにある腎の機能を高めるツボをはじめ、五臓六腑の機能を整えるツボや水分代謝を高めるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。
また、筋緊張や冷えを除き全身的に血液やリンパの流れを改善していきます。

ネフローゼ症候群とは、高度のタンパク尿と血液中のタンパク質濃度の低下が起こる糸球体の病気で、原発性の糸球体そのものの病変が原因である「一次性ネフローゼ症候群」と、何か別の病気があって糸球体の病変が引き起こされる「二次性ネフローゼ症候群」に分けられます。
微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などが一次性ネフローゼ症候群の代表的な原因です。
また、糖尿病性腎症、全身性エリトマトーデスに伴うループス腎炎などが二次性ネフローゼ症候群の原因になります。子供でも大人でも一次性ネフローゼ症候群が多く、子どもで90%以上、大人で70~80%といわれています。

ネフローゼ症候群の症状の第一の特徴は、強いむくみで、まぶたのあたりや足のすねなどに出て、手で押すとへこむほどです。ひどくなると体中がむくんでお腹の中や肺のまわりに水がたまってしまいます。
尿量が少なくなり、食欲不振もみられますが、体重が著しく増加します。
ネフローゼ症候群では、間質に血液中の水分が漏れるため、体全体の体液量は増えているのに体を循環する血液量は減少します。その結果、腎臓に流入流出する血液量が減り、腎前性腎不全の状態になることがあります。これは大量発汗の後、水分の補給が不十分なときに腎不全を起こすのと同じようなことで、糸球体に流れ込む血液が不足してろ過が出来なくなる状態です。
このタイプの腎不全は適切な処置を行えば正常になりますが、なかには尿細管の一部が死んでしまい、腎不全が慢性化することもあります。
また、蛋白尿(尿の泡立ち)、高血圧、貧血、肺水腫(息苦しさや息切れ、疲れやすさなど)が見られます。
ネフローゼ症候群の診断基準は以下のように定められています。
(1)蛋白尿:3.5g/日以上が持続する。
(2)低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dⅬ以下。血清総蛋白量6.0g/dⅬ以下も参考になる。
(3)むくみ
(4)脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
上記の(1)と(2)を満たしている場合、ネフローゼ症候群と診断されます。この他むくみと脂質異常症が診断の補助となります。
まずは、尿検査と血液検査が行われ、上記の基準を用いて診断します。その後超音波検査やCTで腎臓の形態を評価し、原因疾患を特定するために、腎生検(細い針で腎臓の組織を一部採取する検査)が行われます。
ネフローゼ症候群は初期は入院による安静、臥床、薬物療法が治療の基本です。安静にするだけでたんぱく尿とむくみが軽くなることもあり、安静にする事により腎臓の働きを安定させます。
薬物療法はまず第一に選択されるのが副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)です。その他、利尿薬、抗凝固薬、抗血小板薬、免疫抑制薬などが用いられます。
また、食事療法として塩分の制限が必要になります。
当院のうつ病に対する施術は、第一に自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握した上でハリやお灸を施していきます。

交感神経優位か副交感神経が優位かによって施術法が異なり、様々な施術により全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。うつ病にかかると首や肩に硬くなっている肩が多く、首肩部にハリを刺して微電流を流す場合もあります。

東洋医学では、症状を局所的に診るのではなく、全体的に診るということがとても重要な考えで全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。またうつ病は東洋医学的に見ると「気」の作用不足や「気」流れの滞りが原因で発症すると考えられているので、ハリやお灸を用いてツボを刺激することで「気」を補ったり、「気」の流れの滞りを解消させるように促します。

その他うつ病患者さんでは頭痛や肩こり、慢性的な痛みを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛や肩こりの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。
当院の鍼灸治療によるうつ病の施術目的は、西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもうつ病が回復できる機会を提供することです。患者さんが社会復帰ができるように一緒になってサポートしていきます。

うつ病の薬は、依存性があるものもありなかなか薬の服用を辞めることが出来ない場合があるため、うつ病に対する鍼灸治療の効果についての研究が国内外で行われています。
鈴鹿医療科学大学のラットによる研究
『水浸ストレスによるうつ病ラットにおける鍼刺激の影響』では、水に浸からせて軽度鬱状態をラットに作り、そのラットに頭部にある百会というツボと眉間にある印堂というツボを鍼刺激することで抗うつ薬と同じようにうつ状態が明確に改善されたという研究結果が出ています。
神奈川県立精神医療センターでの研究
また、神奈川県立精神医療センターでは東洋医学研究室というものがあり、そこでうつ病に対する鍼灸治療の研究が盛んにおこなわれています。海外の研究では、SSRIによる治療に鍼灸を追加することで抗うつ効果を高めてなおかつ薬の副作用を抑える可能性があることが分かっています。
参考サイト
『神奈川県立精神医療センター 東洋医学研究室』
ドイツのゲルセンキルヘン・プロテスタント病院心療科での研究
全般性不安障害や軽度うつ病患者56名を対象に行われた研究では、鍼治療を受ける群28名、偽鍼を受ける群28名にランダムに割り当てられて2週間で10回の治療を行い経過を見ていきました。
5回治療後・10回治療後にハミルトン不安尺度・ハミルトンうつ尺度・ゼルッセン不安リストなどの尺度を用いて検証していきました。
結果は5回後の施術効果に有意差は見られなかったが、10回後には87.5%の確率で鍼治療群の尺度が改善されて鍼治療が有効であると報告されています。
※参考文献
『鍼のエビデンス』 医道の日本社
うつ病は、東洋医学でいう「気」が大きく関係していると考えられています。「気」は、体内を流動する精微物質のひとつであり、人体の各種の生理的機能に相当します。「気」は中医学でいう脾胃や肺によって生成され、心または肺の作用によって全身に行き渡ります。

そして肝や腎の作用によって量を調節されます。「気」の基本的機能としては、生長、発育、代謝の推進、推動の維持及び体温の維持・調節、病邪の防御または排除などがあります。うつ病はそういった作用を持った「気」が不足したり、流れが滞ったりすることで発症するものと考えられます。
「気」の作用不足による症候では臓腑の機能低下や抵抗力の減退などがあらわれ、元気が出ない、気力がない、無力感、声に力がない、動きたがらない、食欲不振などの全身的な虚弱の症状が出ます。とりわけ心の気の不足(心気虚)ではうつ病の症状が出やすく、不安感や胸苦しいなどの精神面または循環系の症候がよく見られます。
精神的ストレスや飲食の不節制などにより「気」の流れが滞ると自律神経系の緊張や過亢進による症候があらわれると考えられています。とりわけ肝の気の流れが滞ると精神的な素因に関係する症状があらわれ、憂うつ感、怒りやすい、胸脇部の張った痛みなどの症状が見られます。また肝の流れが滞る状態が長く続くと、自律神経系の過亢進に伴って、頭痛、のぼせ、胸やけ、難聴、不眠などの症状をあらわします。
・うつ病に見られる主な病証
心脾両虚
過度な思い悩みは心や脾の気血を身体のすみずみまで行き渡らせようとする作用が低下して脳など身体のすみずみまで気血が行き渡らずに身体に様々な症状をもたらします。気分が落ち込みやすく、物忘れもひどくなります。その他の症状として寝つきが悪い・不安感・めまい・動悸などがみられます。
肝血虚
長期間の精神的ストレスにより肝の機能が弱まり、肝の血を蔵して排泄・排出する調整する作用が低下します。するとイライラ感が強く出たり、かすみ目・ドライアイ・手足の痺れ・毛髪異常などの症状が出やすくなります。
腎虚
腎精は先天の精と言われ、年を重ねるごとに腎精は減少します。それに加えて慢性疾患などが重なるとさらに腎精は不足します。すると物忘れが激しくなり、感情の変化も激しくなります。その他、耳鳴り・下肢や腰の重だるい痛み・脱毛などの症状が出やすくなります。
またうつ病を東洋医学的に見て行くと、大きく分けて「急性期」と「慢性期」にも分けられます。特にうつ病は、「気」というエネルギーや「血(けつ)」という栄養が全身を巡らずに停滞していたり、その「気血」が不足している事で様々な症状を引き起こすと考えられます。
東洋医学では、うつ病の急性期と慢性期とで不調の出ている五臓六腑が違ってきます。
急性期
その中でも急性期に関しては、「気」の巡りが悪く停滞し始めた時期を指します。そしてその「気」を巡らすのが、「肝」という臓器です。
この「肝」は体にかかる様々なストレス(肉体的なストレスや精神的なストレス)に対して敏感に察知し、ストレスに対して抵抗してくれます。
この時期に現れてくる症状として、
・肩や首のコリや張り
・情緒不安定
・怒りっぽい
・イライラしやすい
・ため息
・ゲップ
・わきや胸の張り
・お腹の張った痛みや膨満感
・胸焼け
・めまい
・耳鳴り
・頭痛
・喉の異物感
などがあります。
こういった症状を出す事で、身体の状態がこれ以上悪化しないようにアラームサインを出しているのです。そしてこの時期は急激に状態が悪化する可能性があり体調が変動しやすいので、特に注意が必要です。
体の状態によって治療に用いるツボは異なってきますが、基本的には「気」を巡らして全身の流れを改善するような治療を行なっていきます。
また「肝」に不調が起こると、「脾」や「腎」といった臓器にも影響を及ぼし、それぞれの不調を引き起こします。
慢性期
慢性期や慢性的にうつ症状が出ている場合、その背景に「肝」以外の臓器の不調が出ている事が多く見られます。
特に「脾」や「腎」の不調が関係しています。
(1)脾の不調
「脾」は食べ物を消化して、「気」や「血」を作り出しますが、「脾」が弱っていたり栄養不足が続くと、その「気血」が不足しうつ症状やそれに伴う様々な症状が出てきます。うつ病の原因の一つとされる、セロトニンというタンパク質の不足などもこの状態に含まれます。
そして先ほど出て来た「肝」の不調は「脾」の不調を引き起こします。「脾」の不調がもともとある時に「肝」の不調が重なる事で、うつ症状は慢性化していきます。
・浮腫
・倦怠感
・話すのが億劫
・食欲不振
・軟便
・息切れ
などの症状が出てきます。
この状態の場合、「肝」や「気を巡らす」治療だけでは改善していきません。
同時に「脾」の治療や「気血」を補う治療が必要になります。
(2)腎の不調
「腎」は体の生命エネルギーを蓄えている臓器で、歳を重ねるごとにそのエネルギーが低下し、「気血」の素が不足してうつ症状を引き起こします。また「肝」と共にホルモン分泌にも深く関与しています。栄養が偏っていたり、手術や服薬、炎症が起きていると腎のパワーは落ちていきます。
そこにストレスによる「肝」の不調が重なると「肝腎」ともに弱っていき、慢性化していきます。
副腎疲労と呼ばれる症状もここに当てはまります。
・精力減退
・耳鳴り
・難聴
・足腰の重だるさ
・頻尿
・免疫力低下
・不眠
・無気力
などの症状を伴います。
「脾」と同様に、「腎」の不調がある場合、やはり「腎」の治療や養生法が必要になっていきます。
40代 男性
10年ほど前から仕事での人間関係や過労からうつ症状が出ていたが、抗うつ剤を服用して仕事を何とかこなしていた。しかし当院にご来院する2週間前から仕事が忙しく、気分がふさぎ込んでうつ症状が強く出るようになった。特に朝がつらく、仕事に行こうと思っても身体が重たくなり、仕事に行けなくなってしまった。仕事を休職状態にすると症状はさらに悪化して睡眠が浅くなったり、買い物などで買い物をするのも億劫となってきた。
薬でもなかなか改善がみられず、仕事に早く復帰したいという思いから当院にご来院されました。
◇1回目◇
治療後、身体が楽になりその日は久しぶりに深い睡眠がとれた。治療後2日後辺りからまた以前と同じような状態。
◇2~4回目◇
治療をすると体調は良くなるが、2日経つとまた体調が悪化する状態を繰り返す。
◇5回目◇
睡眠が以前よりだいぶ改善されていると感じているとのこと。深い睡眠がとれている
◇6回目◇
睡眠時間が安定して確保できていることから日中も少しずつ活動ができるようになってきた
◇7回目◇
仕事復帰のめどが立ち、来週から仕事復帰予定
◇8回目◇
最初は仕事時間を短くしてもらっているが、ちゃんと仕事で来ているとのこと。身体のつらさはあまり感じない
◇9回目◇
仕事で張り切り過ぎたか少し風邪気味だが、その他は体調崩れていない
◇10回目◇
仕事の時間を休職前と同じようにしても身体の不調、憂うつ感は起きていない。
症例2
20代 女性
◇症状◇
3カ月前ぐらいから人間関係による強いストレスを受ける事が続き、原因不明の不安感や抑うつ状態が続いている。特に夜間に強くなる傾向があり、ワケも分からず泣き出してしまう事がある。動悸もして吐き気を催す時もある。食欲も出ず眠りも浅く感じる。肩こりがひどく頭痛もある。心療内科で処方されている薬を飲んでいるが改善されず、何とか今の状態を打破したいと思い当院に来院した。
◇当院の治療◇
まず、強いストレスを受け続けていたという事もあり、自律神経の乱れが気になったので自律神経計測器で今の身体の状態を調べた。測定した結果、交感神経が過剰に活動している事が分かった。日ごろから交感神経が過剰に働くと夜になっても副交感神経への切り替わりがうまくできなくなり、動悸や心の不安定の原因になる。また、うつは脳から分泌される神経伝達物質エストロゲンの減少が原因であり、首肩のコリは脳への血流の低下を起こし、エストロゲンの減少に結びついてしまう。
そのため、鍼とお灸を使って自律神経のバランスを整える治療と、首肩の緊張を緩める治療を行った。
・1回目
前回の治療終了後から気持ちが安定していて、ボランティア活動にも積極的に参加できた。動悸はまだ続いている。
・2回目
夜泣くことも減った。動悸を起こす事も少なくなり食欲も出てきた。睡眠の質も改善し良く眠ることが出来ている。
・3回目
動悸は無くなったが、パソコン作業が多くなったせいか目の疲れや肩こりがひどく、吐き気を伴なう頭痛がする。最近たまに夜になると涙が出ることがある。
・4回目
精神的な不安が治まってきた。
うつ病とは、抑うつ気分や趣味・喜びの消失、不安感、焦燥感、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする疾患です。人は誰でも生活の中で様々な出来事がきっかけで気持ちが落ち込んだり、憂うつな気分になったりすることがありますが、このような気持ちの落ち込みや憂うつな気分は、その原因となる事柄が解決したり、あるいは解決しなくても気分転換したり、時間が過ぎることで自然と回復に至ります。
ところがうつ病の場合は、原因が解決しても気分が回復せずに強い憂うつ感が長く続いて普段通りの生活を送るのが難しくなったり、重度の場合は自殺にまで追い込まれるケースも少なくありません。
うつ病やうつ状態と躁状態とをくり返す双極性障害を含む気分障害の患者数は、すべての年代で増加しています。特に就業世代については、長引く不況や経済状況の悪化、失業率の上昇などを背景にうつ病の原因となりうる要因が増加しており、近年大きな社会問題となっている高い自殺者数との関連が指摘されています。
ある調査によると日本人の15人に1人が一生のうちで一度はうつ病にかかると言われています。さらに最近ではうつ病とは無縁であった10代~30代など若い世代もうつ病にかかる人が目立つようになりました。また著しい高齢化社会の進展に伴ってうつ病の好発年代である高齢者層の人口増加や高齢者を介護する人がうつ病にかかってしまう介護うつなど、もはやうつ病は珍しい病気ではなく、誰もがかかる可能性のある病気です。
そういった意味合いで『うつ病は心の風邪』と表される場合があります。「誰でもかかる可能性がある」「患いやすい」といった意味であり、決して「うつ病は放っておけば簡単に治る」ということではありません。うつ病は風邪とは異なり、体の抵抗力により自然と治癒していくというものではなく、きちんと治療をしていくことが重要です。
うつ病の症状には大きく分けて「精神症状」と「身体症状」があります。気分の落ち込みや趣味・喜びの消失などといった精神症状だけではなく、身体の調子も悪くなるのがうつ病の特徴です。またこれらの症状が、朝方調子が悪く夕方には元気(日内変動)や季節的に春と秋に悪くなる(季節変動)もうつ病の症状の特徴です。
うつ病と聞きますと、気分の落ち込みや抑うつ感や不安感、気分の落ち込みなど精神面の症状が思い浮かぶかと思いますが、意外にも気分症状よりも体の不調を感じてそれからうつ病を発症するという方も少なくなありません。最初は、何となく腰痛や首肩こりを感じて、それから体が重だるく感じて体が動かせないと訴えます。
そして仕事や家事が手につかなくなり、精神的な症状も徐々に出てくるというケースです。本人としましては体の症状だと思っているので内科の病院などを受診して検査などしても異常な数値が出ないのでかかりつけ医が心療内科への受診を促してうつ病が発覚するということも多いです。うつ病の人の多くは責任感が強く完璧主義者も多く、体調不良や気力の低下の状態が続いて仕事や家事ができないと自分のせいだと考えて不安感が増幅してまたさらに気力の低下につながるという悪循環に陥りやすくなってしまいます。

精神症状
ⅰ)感情面
気分が憂うつになる、理由もなく悲しい・寂しい、なんも希望がない、不安や焦りを感じてイライラする、無感動になる、死にたいと思うなど色々な感じ方があります。これらの感情が一時的なものではなく、2週間以上続くのが特徴です。うつ病の一番厄介な症状はこの感情面の症状だと考えれれています。好きなことも手につかず何事にも無気力な状態となってしまいます。様々な感情、喜び・気分・意欲・興味など心のすべての働きが低下して何もできなくなってしまうのです。
ⅱ)思考面
考えが進まない、頭がさえない、集中できない、決断力や判断力が低下するなど頭が呆けてしまったと感じる場合があります。さらに自分は悪い事をしたので罰を受けなければならないと信じ込んだり、不治の病にかかったとなどと信じ込んだりするというのが特徴です。
身体症状
ⅰ)睡眠障害
睡眠障害には不眠と過眠があり、うつ病の症状としては一般的に不眠がほとんどです。しかしなかには異常な眠気で1日中寝て過ごすということもあります。不眠では寝つきが悪い、途中で目が覚める、熟睡できないなどがあります。
ⅱ)食欲異常
うつ病では腹痛や胃部不快感などにより食欲不振に陥ったり、または過食となる場合もあります。
ⅲ)易疲労
うつ病では、何か作業をしているとすぐに疲れてしまうということがあります。仕事や勉強に全く身が入らず、抑うつ感も感じてさらに症状が悪化してしまう場合もあります。
ⅳ)頭痛や肩こり
うつ病では頭痛や肩こりを訴える患者さんが少なくありません。一般的な頭痛や肩こりとは少し異なり、頭を鈍く締めつけられているような頭痛や頭から背中にかけての重だるさを訴える人が多いようです。最近では、頚部や肩部の筋の過緊張が脳血流量を低下させてうつ病の原因となるとも言われており、当院ではうつ病の治療と並行して頚部・肩背部の治療も行っていきます。
ⅴ)眼科症状
目の症状でも様々な検査を受けても原因が特定できない場合、うつ病が隠れている場合も少なくありません。目の痛みや物が歪んで見える、急激な視力の低下などで眼科で検査を受けても特に原因が特定できないこともしばしばです。そのような場合、うつ病の身体症状である、体重の変化(1か月で5%以上の変化)・睡眠障害(特に不眠)・疲れやすさなどが併発していたり、うつ病の精神症状である抑うつ感・不適切な自責感・興味の喪失などがあれば、うつ病が疑われます。目の不調があっても眼科で原因が特定できない場合、一度心療内科を受診してみても良いかもしれません。
また、目は自律神経の影響を受けやすい器官と言われています。瞳孔の開閉は自律神経が担っていますし、まぶたを上げる役割のあるミュラー筋は交感神経支配です。うつ病で自律神経の状態が乱れていると視力の低下が顕著になったり、まぶたの下がりが気になる眼瞼下垂の症状が出現する場合もあります。パソコンやスマートフォンを夜遅い時間まで使っていると明るい光を目から受けることで交感神経の活動が高まり、不眠となってそれがうつ病の原因となることも多いので注意が必要です。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の変形性膝関節症に対する治療の目的は、第一に膝付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くし、筋肉や骨に栄養が行き渡るようにします。また鍼を刺し電気を流すことにより筋肉を動かして老廃物を排出させることや、患部付近を刺激することで痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

また膝の痛みで周りの筋肉が委縮してしまっている場合は、ストレットなどを行うことにより徐々に筋肉を伸ばしていきます。
筋肉は、萎縮してしまった状態では筋力がつきません。はり・お灸・ストレッチなどで筋の萎縮を取り除くことができたら第二段階として筋力をつけるトレーニングを施します。大腿部やふくらはぎの筋力をつけることは、膝への負担を軽減し施術効果の持続性に繋がります。

変形性膝関節症は五臓六腑の「肝」と「腎」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや膝付近の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
また当院では、スポーツなどの外傷で半月板損傷や靭帯損傷などの疑いがある場合は、すぐに整形外科などの他院への通院を勧めます。そういった外傷では、当院がお役にたてるのはリハビリの段階だと考えがあるからです。
決して当院の都合で適応疾患以外の外傷や病気を診ることは致しません。常に最善の治療法をお勧めして患者さんが健康な体を取り戻すにはどうしたらよいかということを考えて施術にあたっています。

変形性膝関節症に対する鍼治療の論文は多く発表されています。
2007年に発表されたものでは、本当の鍼群と偽鍼を用いた群とで治療効果に有意差がでるか調べた研究で、治療終了後8週間以内で偽鍼群よりも本当の鍼を使って治療を行った群のほうが効果が大きかったという結果が出ています。
さらに長期効果にたいしても治療終了後6か月後においても疼痛及び膝の機能に対して本当の鍼群の方が有意に効果が高かったという結果が出ています。
驚くべきはドイツで大規模臨床試験において、西洋医学に比べても鍼治療の方が効果が大きかったということで変形性膝関節症に対して鍼治療を保険適用させることを決定しました。
鍼灸治療では、鎮痛効果が第一として考えられており、変形性膝関節症の主症状である運動痛を軽減させると考えられます。また、変形性膝関節症では大腿四頭筋の委縮が膝を伸ばす力を弱めて関節に大きな負担がかかることが言われています。変形性膝関節症では大腿四頭筋の筋力を上げることで膝関節への負担を減らすことが重要です。しかし、大腿四頭筋が委縮して収縮できづらい状態ですと筋肉はうまく機能せず筋力も低下します。鍼治療によって筋肉の過緊張状態を取り除くことで筋肉が動きやすくなることで筋力がアップするものと考えられています。
参考文献
『鍼灸臨床 最新科学』
医歯薬出版株式会社
東洋医学では変形性膝関節症は体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。特に骨を生産させる役割を持つ「腎精」は青年期には最も充実して維持され、中年期頃から次第に衰え始めます。
変形性膝関節症は軟骨の擦り減りや加齢などが原因の場合が多く、「腎精」との関係が深いと考えられます。そういった原因で膝関節付近の気血が滞り、それが痛みや関節可動域制限の原因となると考えられています。
体の外からの邪気として一番変形性膝関節症が発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。
また膝に負担のかかる作業などをした際に気血は滞り、それが膝関節付近であった場合に変形性膝関節症を発症する可能性が高くなります。
中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると変形性膝関節症がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨の擦り減りや筋力低下、肥満、加齢などのきっかけで膝関節の機能が低下し、膝関節に炎症がおきたり、関節が変形したりして痛みが生じる疾患です。
高齢者で最も多い骨または関節疾患は、腰背部痛と膝関節症です。近年の高齢者人口の増加に伴い、変形性膝関節症に代表される膝の変性疾患が急増しています。40歳未満では、ケガなどが原因で変形性膝関節症が女性よりも男性に多く発症しますが、40歳以降では体が重い女性に多く発症します。
・変形性膝関節症の症状
症状の現れ方や進み方は人によって様々で、X線検査では変形が相当進んでいるのに症状がほとんどない人、逆にひどく痛むのにX線検査ではほとんど変形が見られない人もいます。
ⅰ)初期の症状
変形性膝関節症の初期症状として、膝関節のこわばる感じを訴える場合が多く、朝起きて歩き始めた時や長く正座したり、あぐらをかいた後で立ち上がる際に膝に痛みを感じます。通常、痛みは長続きせずしばらく歩いたり、休んだりすると痛みがなくなる場合がほとんどです。初期では、関節の動く範囲はあまり制限されません。
ⅱ)中期の症状
初期症状を放置しておくと、徐々に症状が進行していき、痛みがはっきりと自覚できるようになります。痛みは膝関節の内側、あるいは膝の皿周辺に出て、膝裏に張りを訴える場合もあります。
初期では関節の動く範囲は制限されないですが、中期では完全に膝が曲がりきらない、伸びきらない状態に進みます。そして膝の痛みで正座や階段の上り下りがつらくなっていきます。また膝に炎症が起きてくるため、膝周辺が腫れたり、熱感を持ってきます。
ⅲ)末期の症状
歩行時や仕事・家事などの時に膝に強い痛みを訴えて、日常生活に支障が起こるほどになります。そのため、どうしても活動範囲が狭まって活動意欲も減って行き、ストレスがたまりやすく、うつ病などの精神的疾患を患う場合も少なくありません。

変形性膝関節症の原因は、「一次性」と「二次性」とに大別されます。一次性変形性膝関節症は、明らかな原因が認められないが、老化や肥満・動脈硬化・性ホルモンなどの影響により膝の痛みや運動障害、膝に水がたまるなどの症状を訴えます。二次性変形性膝関節症は、外傷や先天的異常・代謝性疾患・関節リウマチなどに続発して、原因が明らかである変形性膝関節症です。
一次性膝関節症の危険因子
・加齢
・女性
・筋力低下
・肥満
・膝に負担のかかるスポーツ
・O脚や偏平足
・足に合わない靴やハイヒール
二次性膝関節症の危険因子
・半月板損傷
・靭帯損傷
・骨折
・関節リウマチ
・化膿性関節炎
・膝関節の捻挫
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
頭鳴りは、その背景に脳の障害や精神病などが潜んでいる場合もございます。まずは、自己判断せずに耳鼻科や脳神経外科などを受診してどのような背景で頭鳴りが起こっているのか検査を受けてください。脳の障害が見られない場合、基本的に鍼灸治療の対象となります。
頭鳴りに対する当院の施術ポイントは3つあります。

頭鳴りでは、病院で検査しても異常は見られず原因不明と診断される場合が少なくありません。
そういった方に多いのが特に交感神経の活動が過亢進気味による脳の過剰興奮状態です。当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握することが可能です。
自律神経測定器

自律神経の状態を測定したうえでお腹手足や背部のツボを用いて自律神経の調整施術を行います。

頭鳴りは筋緊張性の頭痛の随伴症状の可能性も高いです。筋緊張性の頭痛は、頸部や後頭部の筋緊張が引き起こす頭痛で基本的に締め付けられるような鈍痛が頭部に起こります。
それらを解消するために頸部や背部などに鍼灸施術を行うことで筋緊張の緩和を目的とします。

頭鳴りは耳鳴り症状も併発している場合がほとんどです。耳鳴りが解消されることで頭鳴りも解消される場合が多いため耳周りの施術をすることで耳鳴り治療の施術も行います。

頭の中や頭の周辺で音が鳴っているように感じる症状のことで、頭鳴(ずめい)や頭鳴症(ずめいしょう)とも言われます。頭鳴りの音は「キーン」という金属音や「ジージー」とセミの鳴くような音、「ガンガン」「ザー」などの雑音など様々です。頭鳴りの症状は静かな環境でより気になること、耳をふさぐと増長すること、また、他人には聞くことができない音であることが「耳鳴り」とよく似ています。
患者は60歳以上の男性に多く、正確な患者数は不明ですが日本の耳鳴りの患者数1300万~1500万人のうち2割程度が頭鳴り症状を持っていると考えられています。
頭鳴りのがなぜ発生するのか完全には解明されていませんが、「慢性的な耳鳴り」「脳の血虚」「めまい」「頭痛」が関係しているのではないかと考えられています。
耳鳴りは空気の振動を電気信号に変えること過程での異常によって起こりますが、その乱れた電気信号により、側頭葉などの脳に慢性的に異常が起こって頭鳴りが起こるという考え方や、ストレスや脳血管障害などにより、脳が血虚状態となることで脳が異常興奮したり、栄養不足になったりして起こるという考え方、また、生活習慣の乱れや過度のストレスなどによる自律神経の乱れ、変形性頚椎症、片頭痛、緊張型頭痛の随伴症状(耳小骨の異常緊張に伴う状態)などが考えられています。
頭鳴りになりやすい方の特徴は、
・糖尿病を罹患している方
・高血圧の方
・喫煙歴がある人
・夜勤などで不規則な生活をしている人
・騒音にさらされている人
・難聴の人
などです。また、脳の興奮を抑える薬を長期間使用してる人も頭鳴りを起こしやすいことがわかっています。
その他、頭鳴りでは脳の障害が隠されている場合もございますので一度病院などで検査を受けられることをお勧めします。
頭鳴りの主な症状は頭全体に耐えがたい雑音が響くことです。周りがうるさかったり、自分が何かに集中している間は気にならないことが多いですが、寝る前や静かな部屋に移ったりすると急にこうした雑音が気になりはじめます。
頭鳴りのする場所は後頭部や頭頂部、こめかみや額(おでこ)など様々です。頭鳴りの音は一時的に鳴る場合と持続的に鳴る場合があり、あまりに長く症状が続くと不眠や食欲不振などに陥る場合もあります。
また、頭鳴りが発症すると、頭全体もしくは頭の片側だけが重く感じることがあったり、頭痛やめまいを生じることもあります。
頭鳴には脳神経の興奮を抑える抗てんかん薬や片頭痛の薬が有効の場合が多く、当院では鍼灸治療と並行してそれらの治療を受けられることを薦めております。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙や有害なガスなどの持続的な吸入が原因で、気管支の炎症などに加えて肺胞の破壊によって呼吸機能が低下を起こした状態です。
症状としましては
・呼吸困難
・運動した時の息切れ
・痰
・咳
が挙げられます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺胞と気道に慢性的な炎症が生じてしまうことで肺に溜まった空気を吐き出しにくくなります。
そして次第に肺の中に空気が留まってしまうことで空気の交換ができなくなり息苦しさや息切れを起こすのです。
日本において慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、40歳以上の人口の8.5%を占めるともいわれ、ほとんどの原因はタバコの煙に含まれる有害物質だと考えられています。ちなみに日本では男性の方が女性よりも約2.5倍の有病率があるとされています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患ってしまいますと、歩行をはじめとして食事や入浴、衣服の着脱などの日常生活も制限されてしまうこともあり、重症となると生活の質が著しく低下してしまうため、生活意欲の減退による精神的なダメージは計り知れないものとなる危険性もあるのです。
慢性閉塞性肺疾患(COPDにおける)鍼灸治療の目的は、薬物治療などの西洋医学の補完的役割が大きいです。
よって当院では、病院と並行して鍼灸治療を受けられることを推奨しています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、咳を多くしたり、息苦しさから呼吸するために働く呼吸筋が疲労しやすくなってしまいます。
それら呼吸筋の疲労は、呼吸困難を増悪させる大きな要因になる可能性が大きく、鍼治療で呼吸筋へのアプローチをすることで筋疲労を改善させることで症状改善をはかっていきます。

肺は呼吸をするたびに拡張したり縮んだりしますが、じつは肺自身でそのような動きはできません。肺の周りを取り囲む筋肉によって肺は拡張したり、縮んだりするのです。
呼吸に関係する筋肉は主に肋間筋と横隔膜です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)となってしまうと呼吸をより活発に行おうとするため呼吸筋は通常時よりもより活動的となり、特に肋間筋や横隔膜に疲労が溜まりやすくなります。
その他、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で呼吸がしづらい状態が続くと呼吸筋の他にも頸部や背部の筋肉にも応援を求めてそれらの筋肉も動員して呼吸をしようとします。
呼吸筋の作用はまだまだ解明されていない部分も多いですが、これら呼吸筋の機能を保つことは呼吸をしやすくするために重要だと考えられています。
鍼治療では、鍼を刺すことでそれらの筋肉に直接的にアプローチをしていきます。
鍼灸治療は、昔から様々な呼吸器疾患に対して行われてきました。近年では、その効果・有効性について臨床試験が行われるようになってきました。
1986年はじめて呼吸器疾患に対しての鍼治療のランダム化比較試験が行われており、偽鍼群と真の鍼治療群とに分けて、比較試験を行ったところ、鍼治療群の方が偽鍼群よりも自覚する呼吸困難の改善や6分間できるだけ長い距離を歩かせるテストでは運動後の呼吸困難感が改善されたという報告があります。
また、日本における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の鍼治療の臨床研究では、いくつかの報告で有効性が示されています。
62例のCOPD患者を対象に現代医学の治療に加えて週1回のペースで12週間の鍼治療群(30例)と偽鍼群(32例)に分けた報告があります。
結果は、軽い運動時の呼吸困難が鍼治療群では有意な改善がみられました。
COPDの重症度に応じた鍼治療の有効性についての研究もあり、呼吸困難が強い重症患者にも効果があるとの報告もされています。
これらの報告では薬物治療や在宅酸素療法を受けている患者に対して鍼治療を併用するような形で行われており、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して鍼治療は標準的な治療の補完的役割が示唆されています。
まだまだ慢性閉塞性肺疾患(COPD)における鍼灸治療の論文数は少ないのが現状でエビデンスの構築段階ではあり、更なる臨床試験が期待されます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)では様々な要因から呼吸困難が起きていると報告されていることから鍼灸治療の有効性のメカニズムは推察されています。
・呼吸筋等の筋緊張緩和
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、呼吸筋の疲労による過緊張状態で胸郭の可動域が制限されることで肺が拡張しづらい状態となっていることが認められます。肺が拡張しづらい状態ですので自然と呼吸はしにくくなります。
鍼治療を行うことで筋緊張の緩和が起こり、胸郭可動域が改善することが考えられています。
・中枢を介した呼吸困難抑制
呼吸困難時には、情動や自律神経に関与する帯状回や偏桃体などが亢進するという報告がなされています。
鍼刺激時の脳のfMRIを調べた研究では、帯状回や偏桃体など様々な領域での抑制が報告されており、それらが作用することで呼吸困難が改善されたと推察されています。
・鎮痛効果による呼吸困難の抑制
鍼灸治療は脳にモルヒネ様物質を排出させることで強い鎮痛効果が得られることがわかっています。
呼吸困難時には、モルヒネの効果が示されており、鍼治療によって排出されたモルヒネ様物質によって呼吸困難が改善されると推察されています。

当院では東京都が推奨する新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインに基づき感染拡大防止対策を行っております。



適応障害という名前は一度は耳にしたころがあるかと思いますが、どういったものかピンとこない方も多いかと思います。
適応障害とはある特定の状況や出来事がそのひとにとってとても耐えがたく感じられてしまって情緒不安定になったり、行動にも影響が出てしまう症状です。
このコロナ禍で
・職場に出勤できない
・会社が存続できるか不安だ
・学校に行けない
・友人や家族とも会えない
・外出ができない
・普段楽しみにしていた趣味ができない
・テレビを見ていると暗い情報ばかりで気が滅入る
などなど多くの方は普段の日常よりもストレスに感じることがこのコロナ禍では多いです。
このストレスが原因で普段の生活がままならないほど抑うつ気分となったり、漠然とした不安感や怒り感情、軽いパニック状態などに陥ってしまいます。
ストレスの原因は人によって多種多様で災害が原因になったり引っ越しやクラス替えなどちょっとした生活環境の変化でも適応障害になる可能性もあります。このコロナ禍では多くの人が今までの生活環境が一変してストレスに感じており、なおかつ長期化することによって適応障害で悩まされる方が長期的に増えることが予想されます。

適応障害とうつ病の違いは、例えばうつ病の場合持続的なうつ状態が続きます。一方、適応障害の場合は一時的なものや環境を変えると症状が改善するということです。職場では鬱々とした心境なのに休みの日となるとアクティブに行動出来たり、人事異動などで自分と合わない人との接点がなくなると症状がほぼ消失するといった時には適応障害に当てはまります。
下記のような症状が1か月ほど続いている場合ですとうつ病や不安神経症などの疾患に移行して本格的な薬物療法やカウンセリングなどを受けて症状軽快を図る必要が出てくる可能性がありますので注意が必要です。
□仕事や家事のやる気が起こらない
□今まで楽しかった趣味に楽しみを感じない
□ネガティブな感情になることがいつも以上に多い
□不安感がある
□イライラして怒りっぽくなった
□寝つきが悪い
□緊張感が続く
□食欲がわかないまたは過食気味
適応障害の場合、コロナ禍というストレス因が終わればまた正常な精神状態に戻る可能性が高いですが、それが長期化することによってうつ病などの精神疾患に移行してしまう危険性があるのです。
心の状態はなかなか他覚的に把握することが難しいです。明らかに普段より行動的でない・表情がすぐれないなど他人が見てわかるものは別ですが、ちょっとした心境の変化は他社から見てもわかりません。また多くの人はそれを悟られないようにします。
上記のような症状は、自分の心からの叫びです。自分が自分の主治医という感覚をもってその心からの叫びを受け止めて対処していく必要があるのです。
適応障害と言われてると身構えてしまいますが、実は古くからある珍しくない症状です。ただ昔ではただ単に心の問題であまり気にすることはないと片付けられていました。
しかし、適応障害が悪化するとうつ病などに移行する危険性があることから心の状態を把握して自分自身をコントロールするセルフコントロールが重要です。
適応障害の対処法は、特に難しいことはありません。健康的な生活と言われることを実践して行けばよいのです。このコロナ禍では、その健康的な普通の生活を続けるのが難しい環境ではありますが、特に食事・睡眠・運動に目を向けることが重要です。
基本的に挙げられるものとして早寝早起き・栄養バランスに注意して一日3食決まった時間に摂る・室内でできるヨガや体操などの有酸素運動を取り入れるなどです。
また、このコロナ禍ではネガティブな情報ばかりに目を向けないということも重要です。現実から目を背けろということでなく、ネガティブな情報ばかりに目を向けていると気分がどうしても落ち込み適応障害になりやすかったり、自律神経の状態にも影響を与えてしまい免疫にも悪影響を及ぼします。
自分を守るためにあえてネガティブな情報から遠ざかる必要があるのです。
またストレスの許容度は人それぞれです。ここまでのストレスなら何とか耐えられるがこれ以上となってしまうと心身が持たないといったことです。それぞれストレス許容度を把握して対処していくそういったことが重要なのです。
適応障害になりやすい人
適応障害になりやすい人には、多くの共通点があります。基本的に真面目で勤勉、現状を容認しようとする日本人気質では、適応障害になりやすいともいわれています。
□勤勉な人
□責任感が強い人
□人に頼まれると断れない人
□他人の目を気にしすぎてしまう人
□完璧主義者の人
□何事も気にしすぎる人
□心配性の人
これらの特徴は、適応障害になりやすいと言われています。こう挙げられると一つは誰しも当てはまるのではないかと思われるかもしれません。しかし、これを認知して自分の気持ちを認識し、行動や習慣に歯止めをかけたりすることで対処ができてくるかと思います。
近年では、精神疾患に鍼灸治療を用いられることに注目が集まってきています。精神疾患の薬は、依存性が高く副作用が強い薬もあります。どうしても薬を体が受け付けないということもあります。
先日、NHKでイギリスではうつ病に対する鍼治療が注目を集めているということが紹介されていました。
鍼灸によるうつ病の治療 心に効く「ツボ」の存在
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1132.html
実は鍼灸大国の一つであるイギリス、うつ病患者に対して鍼灸治療を行った大規模研究では、カウンセリングと鍼灸治療の効果を比較したところ同等の効果が得られたとのことです。
専門かが行うカウンセリングは、精神疾患の患者さんに病院では積極的に取り入れられています。研究を率いたヨーク大学のヒュー・マクファーソン教授は鍼灸はうつ病治療の新たな選択肢になると考えています。
鍼灸の効果はまだまだはっきりとは解明されていませんが、鍼によって脳にも変化が起こることが最新の研究でわかりつつあります。
北里大学や東京大学の病院でも鍼灸が取り入れられています。世界的にみても今後さらに鍼灸が様々な疾患の治療に取り入れられていくかもしれません。

当院では、自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで適応障害に対する施術を行っていきます。使い捨ての鍼や使い捨てのベッドシーツ、消毒もこまめに行い衛生環境を整えて施術を行っております。
鍼が初めてという方でも最初は痛みを感じにくい細い鍼を使用して刺激量を調整していきます。
