適応障害という名前は一度は耳にしたころがあるかと思いますが、どういったものかピンとこない方も多いかと思います。
適応障害とはある特定の状況や出来事がそのひとにとってとても耐えがたく感じられてしまって情緒不安定になったり、行動にも影響が出てしまう症状です。
このコロナ禍で
・職場に出勤できない
・会社が存続できるか不安だ
・学校に行けない
・友人や家族とも会えない
・外出ができない
・普段楽しみにしていた趣味ができない
・テレビを見ていると暗い情報ばかりで気が滅入る
などなど多くの方は普段の日常よりもストレスに感じることがこのコロナ禍では多いです。
このストレスが原因で普段の生活がままならないほど抑うつ気分となったり、漠然とした不安感や怒り感情、軽いパニック状態などに陥ってしまいます。
ストレスの原因は人によって多種多様で災害が原因になったり引っ越しやクラス替えなどちょっとした生活環境の変化でも適応障害になる可能性もあります。このコロナ禍では多くの人が今までの生活環境が一変してストレスに感じており、なおかつ長期化することによって適応障害で悩まされる方が長期的に増えることが予想されます。
適応障害とうつ病の違いは、例えばうつ病の場合持続的なうつ状態が続きます。一方、適応障害の場合は一時的なものや環境を変えると症状が改善するということです。職場では鬱々とした心境なのに休みの日となるとアクティブに行動出来たり、人事異動などで自分と合わない人との接点がなくなると症状がほぼ消失するといった時には適応障害に当てはまります。
下記のような症状が1か月ほど続いている場合ですとうつ病や不安神経症などの疾患に移行して本格的な薬物療法やカウンセリングなどを受けて症状軽快を図る必要が出てくる可能性がありますので注意が必要です。
□仕事や家事のやる気が起こらない
□今まで楽しかった趣味に楽しみを感じない
□ネガティブな感情になることがいつも以上に多い
□不安感がある
□イライラして怒りっぽくなった
□寝つきが悪い
□緊張感が続く
□食欲がわかないまたは過食気味
適応障害の場合、コロナ禍というストレス因が終わればまた正常な精神状態に戻る可能性が高いですが、それが長期化することによってうつ病などの精神疾患に移行してしまう危険性があるのです。
心の状態はなかなか他覚的に把握することが難しいです。明らかに普段より行動的でない・表情がすぐれないなど他人が見てわかるものは別ですが、ちょっとした心境の変化は他社から見てもわかりません。また多くの人はそれを悟られないようにします。
上記のような症状は、自分の心からの叫びです。自分が自分の主治医という感覚をもってその心からの叫びを受け止めて対処していく必要があるのです。
適応障害と言われてると身構えてしまいますが、実は古くからある珍しくない症状です。ただ昔ではただ単に心の問題であまり気にすることはないと片付けられていました。
しかし、適応障害が悪化するとうつ病などに移行する危険性があることから心の状態を把握して自分自身をコントロールするセルフコントロールが重要です。
適応障害の対処法は、特に難しいことはありません。健康的な生活と言われることを実践して行けばよいのです。このコロナ禍では、その健康的な普通の生活を続けるのが難しい環境ではありますが、特に食事・睡眠・運動に目を向けることが重要です。
基本的に挙げられるものとして早寝早起き・栄養バランスに注意して一日3食決まった時間に摂る・室内でできるヨガや体操などの有酸素運動を取り入れるなどです。
また、このコロナ禍ではネガティブな情報ばかりに目を向けないということも重要です。現実から目を背けろということでなく、ネガティブな情報ばかりに目を向けていると気分がどうしても落ち込み適応障害になりやすかったり、自律神経の状態にも影響を与えてしまい免疫にも悪影響を及ぼします。
自分を守るためにあえてネガティブな情報から遠ざかる必要があるのです。
またストレスの許容度は人それぞれです。ここまでのストレスなら何とか耐えられるがこれ以上となってしまうと心身が持たないといったことです。それぞれストレス許容度を把握して対処していくそういったことが重要なのです。
適応障害になりやすい人
適応障害になりやすい人には、多くの共通点があります。基本的に真面目で勤勉、現状を容認しようとする日本人気質では、適応障害になりやすいともいわれています。
□勤勉な人
□責任感が強い人
□人に頼まれると断れない人
□他人の目を気にしすぎてしまう人
□完璧主義者の人
□何事も気にしすぎる人
□心配性の人
これらの特徴は、適応障害になりやすいと言われています。こう挙げられると一つは誰しも当てはまるのではないかと思われるかもしれません。しかし、これを認知して自分の気持ちを認識し、行動や習慣に歯止めをかけたりすることで対処ができてくるかと思います。
近年では、精神疾患に鍼灸治療を用いられることに注目が集まってきています。精神疾患の薬は、依存性が高く副作用が強い薬もあります。どうしても薬を体が受け付けないということもあります。
先日、NHKでイギリスではうつ病に対する鍼治療が注目を集めているということが紹介されていました。
鍼灸によるうつ病の治療 心に効く「ツボ」の存在
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1132.html
実は鍼灸大国の一つであるイギリス、うつ病患者に対して鍼灸治療を行った大規模研究では、カウンセリングと鍼灸治療の効果を比較したところ同等の効果が得られたとのことです。
専門かが行うカウンセリングは、精神疾患の患者さんに病院では積極的に取り入れられています。研究を率いたヨーク大学のヒュー・マクファーソン教授は鍼灸はうつ病治療の新たな選択肢になると考えています。
鍼灸の効果はまだまだはっきりとは解明されていませんが、鍼によって脳にも変化が起こることが最新の研究でわかりつつあります。
北里大学や東京大学の病院でも鍼灸が取り入れられています。世界的にみても今後さらに鍼灸が様々な疾患の治療に取り入れられていくかもしれません。
当院では、自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで適応障害に対する施術を行っていきます。使い捨ての鍼や使い捨てのベッドシーツ、消毒もこまめに行い衛生環境を整えて施術を行っております。
鍼が初めてという方でも最初は痛みを感じにくい細い鍼を使用して刺激量を調整していきます。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 16:00 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)