咽頭炎の鍼灸

東洋医学的考え方

 

東洋医学では風邪は疲労やストレスなどで体の抵抗力(正気)が弱くなったところへ風邪、寒邪などの外邪(気候の変化、湿気や乾燥、寒冷などの温度変化)が侵入することで発症すると考えられていますが、この風邪の種類を大別すると悪寒の強い「風寒型」と、発熱や炎症の強い「風熱型」に分けられます。

上気道の炎症は「風熱型」で風熱の邪が何らかの理由で身体に侵入して起こると考えられています。

いわゆる体内に熱がこもっている状態で、口の渇き、発熱などがみられます。

また、東洋医学で五臓六腑の「」は呼吸器系の機能の他、皮膚や鼻、喉、気管支などの働きも含んでおり、体温調整機能や免疫機能も含みます。そのため何らかの理由により「肺」の機能が低下すると喉の炎症が起こりやすくなると考えられています。

経絡では「肺」と「大腸」は表裏関係にあり互いに影響しあっているため、肺の機能が低下すると便秘やお腹の張りなどの大腸のトラブルが起こりやすくなるといわれています。

咽頭炎に対する当院の鍼灸

 

当院ではまず自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。

過度なストレスや疲労などにより自律神経のバランスが崩れると免疫力の低下が起こり、咽頭の免疫システムにも影響を及ぼします。また、咽頭には自律神経が数多く存在するため、炎症が起こることで自律神経が刺激を受け、頭痛、肩こりなどの自律神経症状が起こりやすいといわれています。

頭痛の鍼灸について
肩こりの鍼灸について

内臓機能、免疫機能、血液循環などを司る自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、免疫力、自然治癒力を高め全体的な身体のバランスを整えます。

咽頭炎の鍼灸

また、東洋医学的観点から、「肺」や「大腸」の経絡の重要なツボや、体内にこもった余分な熱を除くツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

それに加え喉の周囲のツボを用いて咽頭周囲の血液循環を促進し炎症を抑える効果を促します。

 

咽頭炎の自律神経調整治療

 

咽頭炎とは

 

鼻や口の奥を咽頭といいますが、ここには咽頭扁桃、口蓋扁桃、口蓋垂などが存在しています。咽頭炎とは咽頭の粘膜とリンパ組織に炎症が起こる疾患です。ただし、口蓋扁桃炎に強い炎症がある場合には扁桃炎という別の病名で呼びます。

大きな意味で風邪として扱われることが多い疾患でもあります。咽頭は鼻や口を通して直接、外と接するところなので感染を起こしやすい所です。

様々な咽頭炎がありますが、大きく急性咽頭炎、慢性咽頭炎、咽頭特殊感染症に分けられます。

 

 

 

咽頭炎の原因

 

急性咽頭炎はアデノウイルスやコクサッキーウイルス感染や、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)、インフルエンザ菌などの細菌の感染によるものが一般的です。その他にも花粉や、刺激性の強いガスなどが原因となるものもあります。

慢性咽頭炎は急性咽頭炎を繰り返したり、タバコの煙、飲酒、ほこりなどが慢性的に咽頭を刺激したり、声を使いすぎることなどにより起こります。

咽頭特殊感染症はクラミジア、梅毒トレポネーマ、結核菌、ジフテリア菌などの特殊な病原体が原因となります。これらの感染症は社会環境の変化などにより近年増加の傾向にあります。

咽頭炎は気温の変化、寝不足や疲れなどから抵抗力がおちたときに発症しやすいといわれています。

 

 

※溶連菌感染症
溶連菌とは正式にはA群β溶血性連鎖球菌という細菌です。感染する場所は鼻の粘膜や喉の粘膜、扁桃腺などが一般的です。症状として38℃~39℃くらいの発熱と喉の痛みが現れます。しかし、3歳未満はあまり熱が上がらないといわれています。風邪と違い咳や鼻水などの症状はほとんどみられません。また、頭痛や腹痛、頸のリンパの腫れ、手足などに発疹が出たり、イチゴ舌(舌がイチゴの表面のように赤くブツブツした状態になる)がみられることがあります。子供に多い疾患ですがどの年代の方でも溶連菌感染症にかかる可能性はあります。

治療は抗生物質の服薬が主になりますが、溶連菌感染症は急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの後遺症を残すことがありますので症状が無くなっても最後まで薬を飲み続けることが重要になります。

 

咽頭炎の症状

急性咽頭炎では咽頭の痛みが急激に現れ、その他喉の違和感(不快な感じ、乾燥した感じ、つまった感じなど)、ものを飲み込んだときの痛み、咳、痰、声のかすれなどが挙げられます。

このような喉の症状に加えて全身症状として発熱、倦怠感、首のリンパ節の腫れ、筋肉痛、頭痛、吐き気、食欲不振、腹痛などを引き起こすことがあります。溶連菌感染の場合全身に発疹が現れることがあり、猩紅熱と呼ばれています。

慢性咽頭炎では咽頭の不快感、違和感などが慢性的にあり、それに伴って咳払いも増えます。

咽頭特殊感染症では、症状は普通の急性、慢性咽頭炎に似ているため、症状だけで鑑別するのは困難です。

 

 

西洋医学的治療

咽頭炎はいわゆる風邪として発症するため、診断は喉の状態を詳しく診察することで診断されます。視診により赤みや白苔の有無を確認し、インフルエンザや溶連菌が病原菌として疑わる場合には綿棒を使用してのどや鼻から検体を採取し迅速検査を行うことがあります。また、咽頭の細菌培養、血液検査などを行うこともあります。

細菌性の場合適切な抗菌剤を処方し、ウイルス性の場合は対処療法を行い自然治癒を期待します。

溶連菌による急性咽頭炎の場合、全身疾患の合併も考慮し、必要に応じてレントゲン検査、心電図、心臓の超音波検査などを行います。

薬物療法として喉の炎症を抑えるような内服薬や解熱鎮痛剤、うがい薬などを処方されます。また、痛みにより食事がとれない場合が点滴による水分補給が行われます。

ネブライザー治療

霧状の薬剤を鼻や口から吸入することによって患部に直接薬を当てていきます。ネブライザーを行うことにより患部に効率よく薬を作用させることができます。つまった鼻の通りを改善し、鼻水を出やすくしたり、鼻腔粘膜の腫れなどを鎮める効果があります。

副鼻腔炎などほかの病気が関与しているときはその病気の治療も行います。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 00:40 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

お問い合わせはこちらから
ここをタッチするとすぐにお電話が出来ます
メールでのお問い合わせはこちらから