胸鎖乳突筋とは、耳の後ろの乳様突起と呼ばれる部分から首の側面を通り鎖骨、胸骨にかけて繋がる筋肉で、顔を横に向けた時に浮き出る筋肉です。
首を上下左右に動かす、回す、傾ける動作などに使われます。胸鎖乳突筋の後ろには頸椎から分かれた細い神経が通っており、これらの神経は頚神経や腕神経と呼ばれ後頭部、耳、首、肩や腕、指先の感覚や運動を支配しています。
胸鎖乳突筋は物理的な疲労(頭を支えるなど)以外にも、自律神経の不調や精神的ストレスでも筋肉を緊張させ様々な不調の原因となる筋肉です。
胸鎖乳突筋が緊張すると
・首肩こり
・頭痛
・首や顔のむくみ
・めまい
・耳鳴り
・耳閉感
・不眠症
・動悸
・手の痺れ
・うつ病
・パニック障害
・自律神経失調
・更年期障害
などの様々な症状が現れることがあります。これまでも多くの疾患の元になるのが胸鎖乳突筋です。
胸鎖乳突筋のすぐ下には脳や耳などにつながる血管や腕の方へと伸びる神経・血管が通っているため胸鎖乳突筋が過緊張状態で固まってしまっているとその下を通過する神経や血管を圧迫することで循環が悪い状態となってしまいます。
循環の悪い状態が長く続いてしまいますと脳や耳、上肢などの器官に栄養ある血液を送り届けることができずに機能低下を起こしてしまうのです。
また、循環が悪くなることでブドウ糖が乳酸などの疲労物質や発痛物質に変化してしまい痛みやコリの原因にもなります。
胸鎖乳突筋の過緊張状態で起きる頭痛はこめかみなどの側頭部に締め付けられるような痛みが生じてしまうことが特徴です。一般に筋緊張性の頭痛と呼ばれますが、筋肉の緊張している部位によっても頭部の痛みが出る部分が変化してきます。
・筋緊張性頭痛の鍼灸治療について詳しくはこちら←
胸鎖乳突筋の過緊張状態は、耳への循環低下を起こしてしまうことで聴覚への影響や耳の内耳にある三半規管にも影響を与えてしまうためめまいや耳鳴りの原因にもなります。
・めまいに対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
・耳鳴りに対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
胸鎖乳突筋の過緊張によって腕の方へと伸びる血管や神経が圧迫されてしまうことで痛みや痺れの原因となります。特にデスクワークでパソコン作業が主な人に多く発症する症状です。
うつ病や自律神経失調症など自律神経の乱れが原因で症状が現れやすい方は、胸鎖乳突筋の過緊張がほとんどの方に診られます。
胸鎖乳突筋の過緊張による脳への栄養供給の滞りが原因で精神症状が現れるとも考えられています。
単なる首コリや肩こりだと放置したままですとこれら心療内科系疾患にかかってしまう危険性があるため注意が必要なのです。
・うつ病に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
・自律神経失調症に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
うつむき姿勢
胸鎖乳突筋の過緊張状態の原因で一番多いのが長時間のうつむき姿勢(PC作業、スマートフォンの操作、家事など)です。
うつむき姿勢の状態は、重い頭部が前に傾きそれを支えるために頸部の筋肉には通常時の何倍もの負担となってしまいます。
姿勢を保持する姿勢筋は、その耐久性に優れた筋肉であるため少しの疲労では、感じにくくなっています。パソコン作業で頸肩がこってしまうということは、相当にその筋肉に負担がかかっている証拠です。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れでも胸鎖乳突筋の過緊張状態が引き起こされます。主に交感神経の活動が活発になりすぎると胸鎖乳突筋が緊張しやすい状態となります。
交感神経とは活動的な神経で日中など仕事や勉強などしている時に主に働く神経で血管や筋肉などを緊張させて覚醒させる神経です。通常は夜なると活動を抑えて逆にリラックス神経である副交感神経の活動が活発となります。
しかし、夜遅くまで仕事やスマートフォン操作などをして交感神経の活動が活発のままですと自律神経が乱されやすいです。
夜になっても交感神経の活動が活発なので筋肉は休むことができずにコリや痛みの原因となってしまうのです。
喰いしばり
喰いしばりによる胸鎖乳突筋の緊張も多い原因です。意外と意識していなくても何か集中して作業している時に歯を食いしばっている方が多いです。
一度力強く食いしばってみると理解できるかと思いますが食いしばると頸の筋肉も引っ張られるように緊張していることがわかります。
喰いしばりの状態が長く続いてしまいますと胸鎖乳突筋のコリの原因となってしまうのです。
胸鎖乳突筋の鍼治療では、鍼をピンポイントに痛みやコリの原因となっている部分にアプローチをすることが可能です。
また、刺した鍼に電気刺激を加えて強制的に筋肉に収縮・弛緩のポンプ運動を起こさせることで血液循環の改善をして疲労物質や発痛物質を流してあげることで痛みやコリを取り除きます。
また、自律神経が乱れが胸鎖乳突筋のコリや痛みとなることもあるため全身的な調整鍼灸施術も行っていきます。
当院には自律神経測定器が常備されていますので自律神経の測定をしてその方に合わせたツボを用いたオーダーメイド鍼灸治療を行っております。
症例
20代 女性
10代から食いしばりが強いため顎の張り感に悩まされてきた。
酷い時は顎の痛みが数日続く事があり、マウスピース治療を受けている。
ここ最近になって顎の張りだけではなく、首の前側から耳の下あたりまで左右とも突っ張る症状が気になるようになってきた。今は顎の張りよりも首の張りや痛みの方が気になるようになり、当院に受診した。
ストレスはあまり感じる方ではないが、無意識に噛みしめたり、体の力が入ってしまう自覚は昔からあり、改善しようと意識はしているが難しい。
普段はデスクワークがメインだが重いものを持つこともあり、首に過剰な力が入っている感覚がある。ひどくなると、側頭部の重だるさや鈍痛が起こる。
首の側屈の可動域に制限がかかっている。
当院の施術
この方のような食いしばりによる胸鎖乳突筋の筋緊張は精神的ストレスが大きな原因になります。ストレスを感じなくても無意識に蓄積している場合があり、気がついたら慢性的な筋肉のコリが強くなっていることがあります。そのため、筋肉の緊張に対する施術だけではなく、自律神経の調節が根本的な治療になります。
まずうつ伏せで、背中、肩、肩甲骨、首の後面に刺鍼し筋緊張を緩和していきました。
次に、仰向けで自律神経調節治療、患部である胸鎖乳突筋、関連する咬筋、側頭筋に低周波電気鍼療法を行ってきました。
鍼灸治療は未経験という事で少し緊張もされていたため、慣れるという意味でも初回は刺激量を落とし負担を最小限に抑えた施術を行いました。
経過
◇1回目◇
体全体の緊張がとれ、とてもリラックスできた。
首の緊張も少し柔らかくなった気がして楽になった。
◇2回目◇
首の張りが以前より気にならなくなってきた。
夜の睡眠の質も良くなったような気がする。
◇3回目◇
忙しい日は眠りが浅くなるためか、首の張りが気になる。
◇4回目◇
前回よりも張り感がとれ、気にならなくなってきた。
夜も熟睡している。
◇5回目◇
今はほとんど気にならない。
たまに辛くなることもあるが、鍼治療を受けるとすぐに緩和する。
・問診
生活習慣や東洋医学による体のどの部分が虚しているかを診断するため詳しく問診をして行きます。
・自律神経測定
慢性疲労症候群は自律神経とも深いかかわりがあると考えています。自律神経の日内変動のリズムが狂っていたり、副交感神経が優位すぎたりすると身体の倦怠感も感じやすくなります。
また体の免疫系と自律神経も深いかかわりがあることが知れており、自律神経を整えて免疫システムを正常に戻すことは慢性疲労症候群の治療においてとても重要となってきます。
・仰向け治療
お腹や手足の経穴を用いて自律神経の調整・全身の調整治療を行います。
・うつ伏せ治療
背部兪穴といって背部にも五臓六腑に重要な経穴が存在しています。
そういった経穴を刺激することで虚している五臓六腑を補います。
慢性疲労症候群は、単なる疲れと感じていたり、周りにはサボり症だと勘違いされやすく多くの方が悩まれています。
当院ではそういった方々のサポートを全力で行い、少しでもQOL(生活の質)が上がるように手助けをいたします。
慢性疲労症候群は、東洋医学では『虚証』に当てはまります。東洋医学では、『実証』『虚証』があり、正気の強さと病邪の勢いを表します。
基本的に体が虚している状態は、機能が低下している状態を指して、体が実している状態は機能が停滞あるいは、過亢進している状態を指します。
虚証にも様々な種類があります。虚証の種類としまして
・気虚
・血虚
・陰虚
・陽虚
などが挙げられます。慢性疲労症候群は、東洋医学のでいう『気』『血』『津液』などが不足している状態だといえます。
虚証が発症してしまう要因として
・先天的な体の問題
・慢性的な疾患による体の疲労
・過度のストレス
・食欲不振
・出血や激しい発汗
・病邪が体内に侵入することによる消耗
が挙げられます。
また五臓六腑のどの部分が虚している状態であるか見極めるのかも重要となってきます。
当院では、脈診や舌診など東洋医学的診断法に基づいてどこが虚しているのか見極めてから治療に移ります。
慢性疲労症候群の鍼灸治療症例
30代男性
いつも比較的仕事が忙しく、残業することもあったが、ここ1か月程は毎日残業の日々で、終電を逃してタクシーで帰宅することもあった。睡眠時間も3,4時間ほどで身体の疲れが取れにくい状態でした。仕事が通常に戻っても身体の疲れが取れずに寝ても寝ても日中眠たくなることが多くなり、気分も塞ぎがちで仕事に身が入らなくなってきた。
当院にご来院される3日ほど前、朝起きたら身体の節々が痛く微熱も出ていたため風邪かと思い内科でお薬を処方してもらい、服用したがなかなか改善されず当院を受診された。通勤することもままならず、少しの間会社も休むことにされた。
治療経過
一回目の治療後、久しぶりに深く眠ることができたとおっしゃっていました。5回目までの治療で微熱がひいたり出たりを繰り返していたが、その後は身体の状態も落ち着いてきました。
8回目の治療で全身の疲労感もだいぶ軽減されて、リハビリがてらジムで運動できるようになった。10回目の治療で終了し、会社に復帰されました。「このままの状態で会社に行かれなくなったらどうしようという不安から解放されてよかった」ととても喜ばれていました。
症例2
40代 男性
以前から仕事が忙しかったためか、体が重だるさが続いており、やる気も低下している。
治療に専念するため現在は休職しているが、なかなか改善されないため鍼灸治療を受けてみようと思い来院した。
主な症状は、倦怠感、やる気の低下といったうつ状態、体の冷え、肩こり、背中の張り感、睡眠の質の低下、入眠困難、頭が重い。
休職中にもかかわらず疲労感が強く感じる。病院で診てもらったが検査には異常がなく慢性疲労症候群と診断された。
もともと神経質でまじめな性格で責任感が強いため、嫌な頼み事でも引き受けてしまい疲弊することが多かった。気を抜く事が苦手でうまくストレスを発散できていない。
物事に過敏になり、少しの事でも気になってしまう。そのため、少しの物音のため眠れなくなる事がある。
当院の施術
まず、自律神経測定器で現在のストレス度、疲労度、自律神経の状態を確認しました。
ストレスと疲労度はやや高めの状態で、自律神経の交感神経が過剰に働いており、その代わり副交感神経の働きが少ない状態がという測定結果になりました。
自律神経の交感神経は心身を活動させ、副交感神経はリラックスさせる作用があります。
この2つの神経は必要に応じてバランスを保っておりますが、この方の場合は常に交感神経が過剰に働きすぎてしまっているため心身ともに休めない状態が要因の1つと考えました。
また、触診で首や肩、背中の筋緊張が強さ、呼吸の浅さ、手足や腹部の冷えを確認しました。
①自律神経の調節
②首肩や背中などの筋緊張緩和
③東洋医学的観点での経絡治療
この3つに注力して施術を行い、治療間隔は週に1回~2回のペースで通院していただきました。
経過
◇1回目◇
まだあまり変化はないが、施術中は気持ちよくリラックスできる。
◇2回目◇
体の冷えが気にならなくなってきた。
胃腸が正常に動いているような感覚がある。
まだ夜は眠れないことがある。
◇3回目◇
冷えはほとんど感じない。
夜も眠れる日が増えてきた。
◇4回目◇
最近はゆっくり眠れるようになってきたが、まだ首肩のコリは強く感じる。
◇5回目◇
筋緊張が強いため今回から低周波電気鍼を使用した。
施術終了後から効果を実感。
◇6回目◇
前回より筋緊張の緩和がみられ、コリの自覚も軽減した。
気分も落ち着き、夜もゆっくり眠れるようになっている。
疲労感も感じなくなってきた。
顔色も良くなってきた。
◇7回目◇
活動する意欲が湧いてきた。
◇8回目◇
体力をつけるため定期的にジムに通っている。
気分も良い。
現在もメンテナンスのため月に1回のペースで通院中。
このような症状でお悩みでありませんか?
☑半年以上身体が疲れた状態である
☑ちょっとした動作でも体が疲れてしまう
☑睡眠をとってもすっきりしない
☑運動をしたというわけでもないのに筋肉痛になる
☑微熱が続いている
☑ノドが痛い状態が続いている
☑首のリンパ節の腫れた状態が続いている
☑気分が落ち込んでいる状態が続いている
☑寝つきが悪い状態が続いている
☑仕事や勉強の集中力・記憶力の低下
これらの状態があり、原因が特定されない場合は、『慢性疲労症候群』という病気かもしれません。
慢性疲労症候群とはあまり聞きなれない言葉ですが、日常生活に支障が出るほどに身体が6カ月以上にわたり疲弊した状態で、精密検査などをしても特に原因がわからない病気です。
アメリカでは、10万人に38人の割合で慢性疲労症候群が発症しており、1980年代後半にある地域で多発したことから注目されるようになった病気です。日本では慢性疲労症候群という病気があまり認識されていないことから罹患率はそれほど高くないと言われている病気ですが、現在も増え続けている病気です。実際には、日本人でももっと多くの人が慢性疲労症候群にかかっている可能性が大きいです。
慢性疲労症候群は20代から50代に多く発症すると言われており、男性よりも女性の方が1.5倍罹っている人が多いと言われています。
慢性疲労症候群はその名の通り長期間慢性的に体の疲労を感じる病気ですが、それだけではありません。身体の様々な部分に症状が出るのです。
・微熱
慢性疲労症候群の代表的な症状として微熱が挙げられます。微熱が出て、喉に痛みや頭痛も感じるため最初は風邪の症状と間違われがちです。微熱が6カ月以上続き、解熱剤などの薬を服用しても効果が出ないのが特徴です。
・筋肉痛
まったく運動した覚えがないのにもかかわらず、全身または局所的に筋肉痛の症状が現れて動くことさえも億劫になることがあります。
・リンパ節の腫れ
首や腋窩のリンパ節が腫れることがあり、押すと痛みが出る場合があります。
・睡眠障害
なかなか寝付けなかったり、寝つけてもすぐに目覚めてしまう中途覚醒や逆に寝すぎてしまったり、寝ても寝ても極度の睡魔に襲われる過眠症などの症状が現れる場合があります
・気分障害
うつ病のような症状が出る場合があります。慢性的な疲労のため気分が落ち込み、仕事や学校に支障が出るほどになる場合があり、怠けとも勘違いされやすいです。慢性疲労症候群の場合、身体が疲れてくるとそのような症状が顕著になるため午後の方が抑うつ症状が出やすくなってしまいます。
・記憶障害
物忘れがひどくなる認知症のような症状が出る場合があります。また、短期記憶の低下や思考力の低下、集中力の低下から仕事や学業に大きな支障が出る場合があります。
慢性疲労症候群は1980年代後半にアメリカで注目された疾患でまだ知られて久しい病気です。そのため、まだまだ研究が進んでおらず、いまだに原因は不明の疾患です。
様々な研究結果から慢性疲労症候群の起こる原因の仮説がたてられています。
・免疫システムの異常
肉体的・精神的な過剰なストレスは、免疫系の働きを弱めると言われています。免疫系の働きが弱まると潜伏していたウィルスが動き出して身体に様々な悪影響をもたらします。体は、それを防ごうとして免疫物質がつくられるのですが、慢性疲労症候群の方の場合この免疫物質が過剰に作られているのではないかといわれています。 過剰に作られて免疫物質は、脳の働きに影響を及ぼして、疲労感などの慢性疲労症候群による諸症状を引き起こすのです。
・脳内の炎症
脳内に何らかの原因で炎症が起きて慢性疲労症候群が発症するという説もあります。脳の炎症が強くなると脳の神経系にダメージを与えて、痛みや記憶障害などの原因にもなります。
また、脳の血流不足や脳の神経伝達物質が少なくなり、筋肉や関節の痛み、気分障害などを引き起こしていると考えられています。
僧帽筋は首の後ろから背中の上部、肩にかけて広がる、主に肩の動きを司る肩の筋肉の中で最も大きく、背部の一番表層にある筋肉です。後ろから見ると首、左右の肩、下の第12胸椎を結ぶ四角形に見えて、ちょうどカトリックの僧侶の付ける頭巾(フード)の形に似ていることから僧帽筋と呼ばれています。
僧帽筋は上部、中部、下部に分けることができ、それぞれ違った役割を担っています。
・僧帽筋上部
上部は後頭部の付け根(後頭骨)から鎖骨につながっており、鎖骨の引き上げに特に関与します。
・僧帽筋中部
中部は頸椎の下部(第7頸椎)と胸椎の上位(第1~第3胸椎)から肩の端(肩峰)や肩甲骨の上に出っ張り(肩甲棘)につながっており、肩甲骨を挙げたり内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする際に使います。
・僧帽筋下部
下部は胸椎の中程(第4胸椎)から、下(第12胸椎)にかけて始まり肩甲骨につながっており、肩甲骨を下げたり、内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする役割を果たします。
また、僧帽筋が一緒に動くと手を頭の上まで上げることが出来ます。僧帽筋の重要な働きは腕の上部外側にある三角筋の働きを助けるために肩甲骨を安定させる役割であるともいえます。この働きにより肩に物を担いで運ぶことが出来るのです。
僧帽筋の働きは主に肩甲骨の動きに深く関わっています。動作でいうと重い頭の角度を保ったり、腕の重さを支える、肩をすくめたり、肩を横に張る、重い荷物を持つときに腕が下に引っ張られないように支えたり、肩に物を担いで運ぶ時などに働いてくれます。
肩こりの原因になる筋肉は色々ありますが、その中でもこの僧帽筋は日常生活でも酷使傾向にあり、肩こりに最も関係が深い筋肉といわれています。
肩こりは主に僧帽筋に筋疲労が蓄積して凝り固まることで起こります。
僧帽筋が硬くなる原因は色々ありますが、肩甲骨を動かす僧帽筋は背骨や上肢と繋がっているためそのつながりのどこかに無理が生じることで間接的に影響を受けることもあります。
・同一姿勢、不良姿勢(なで肩、猫背、巻き肩)
重さが約5~6kgの頭部を支えるのは頸椎の後面にある僧帽筋を始めとする筋群です。そのため、まっすぐ前を向いているときは良いのですが、下を向くなどして頭が前に出て猫背になると首や肩の筋肉に2~3倍の負担がかかります。
また、「なで肩」の人は僧帽筋の筋肉量が少ないので肩に疲労がたまりやすくなります。特に筋力が弱い女性はなで肩で疲労がたまりやすく、肩こりが発生しやすくなります。
さらに「巻き肩」といって肩甲骨が正常な位置よりも外側に開き、通常よりも肩が前に出た状態は首から肩、背中にかけて大きく広がる僧帽筋が引き伸ばされ、筋肉が緊張した状態が続くので肩こりが起こりやすくなります。
最近では多くの方が一日中パソコンに向かったり、下を向いてスマートフォンを触っていることが多いといわれています。そういった方は全体的に僧帽筋が引き伸ばされて肩こりを起こしやすいのです。
僧帽筋は副神経という脳神経に支配されており、精神的ストレスや脳の疲労の影響を受けて緊張する特徴があります。
僧帽筋の過緊張は筋緊張性頭痛や、自律神経症状(吐き気、めまいなど)を引き起こす原因にもなります。
僧帽筋は首の付け根にも存在しているため、肩こりと同時に首が痛くなることもあります。
また、寝違えによる首の痛みにも僧帽筋の過緊張や炎症が関与している場合があります。
脊柱は頸椎、胸椎、腰椎というように続いており、頸椎と腰椎に挟まれた胸椎部の背面を一般的に「背中」といいます。
僧帽筋は頸椎、胸椎から肩甲骨というように広く背中に走行しており、長時間の同一姿勢や重い物を運ぶ、持ち上げるなどの重労働などが原因で筋疲労を起こし痛みを生じることがあります。
緊張型頭痛は側頭筋や後頸筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリによって痛みを感じる神経が刺激されて起こると考えられています。
また、頸部には自律神経が通っているため僧帽筋の筋緊張が自律神経を刺激し自律神経のバランスを乱し、偏頭痛を起こす原因になることがあります。
・長時間の同一姿勢(デスクワーク、スマホ操作、読書など)
・ストレスによる緊張(自律神経の乱れ)
・慢性的な運動不足
・エアコンなどによる冷え
・重いバッグを肩にかける
・不適切な枕
・歯ぎしりや食いしばり
などが挙げられます。
当院では治療の前に自律神経測定器にて、自律神経のバランスや血管の状態、ストレス度、疲労度などを測定しお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
全身の循環や内臓機能などを司る自律神経のバランスを整える治療を行い、体の自然治癒力を高めます。
肩こりは僧帽筋だけが悪くなるわけでなく、その周辺の筋肉も緊張されていることが多いです。僧帽筋への施術と並行にその周りの筋肉を緩めるアプローチをかけていきます。
症例
30代 女性
2週間前から肩から背中にかけてコリ感が強くなり、最近は鈍痛が走るようになってきた。
以前から慢性的な肩こりはあったが、痛みが走るのは初めて。首を前傾させると肩甲骨の内側の張りが強くなる。
以前はあまり感じなかった頭の重さや痛みも気になるようになってきた。
仕事はデスクワークで平均8時間、多い日には10時間以上パソコンに向かうこともある。運動をすると楽になるため、余裕がある時は軽いジョキングやウォーキング、ストレッチをするようにしている。
当院の治療
まずは、首の可動域の左右差や、筋肉の柔軟性を確認しました。また、神経、筋肉それぞれの鑑別のため徒手検査も行いました。
施術では首や肩、背中の僧帽筋に沿った筋緊張の強い硬結に低周波の電気鍼治療で刺激、さらに自然治癒力、全身の血流促進を目的として自律神経調節治療も行いました。
経過
◇1回目◇
身体がとても軽くなった。
首や肩、肩甲骨の痛みも軽減。
◇2回目◇
以前は仕事中に肩こりが辛くなることが多かったが、最近は気になることが少なくなってきた。痛みもほとんど気にならない。
◇3回目◇
忙しいと痛みが出ることがあるが、鍼をすると楽になる。
◇4回目◇
痛みはほとんど感じなくなった。
筋肉のコリも柔軟性が出てきている。
◇5回目◇
コリ感もあまり気にならない。
非常に安定している様子。
初回に比べて顔色も良くなって表情が明るい。
現在もメンテナンスで定期的に通院しています。
冷え性を根本的に改善させるには自律神経のバランスとホルモンのバランスを整える治療と
東洋医学による精気を補う治療をしていくことが必要です。
東洋医学と西洋医学のそれぞれの問題を解決していくことが
冷え性の改善となります。
当院では、特別な温灸器を使い身体の芯から温めて
下腹部から下肢までの血行を良くしていきます。
下半身を温めて女性ホルモンの調整を行い
全身の経絡治療をすることで自律神経のバランスを整えていきます。
全身の経絡経穴を用いて、身体の循環や気血を巡らせるよう
鍼と灸を用いて治療します。
治療が終わって帰られるころには、身体が温まったと実感していただけると思います。
冷え性改善には日々の生活習慣やお仕事の姿勢など
から引き起こされるものも多いので、これを機に生活を変えていかれるのも健康のために良いと思います。
陽気が弱い状態や水が多い状態でなるものと考えます。
主に
血の不足や停滞による血の問題
水分の停滞や水毒という水の問題
が考えられて、
・おけつ
・水毒
と東洋医学では表現します。
東洋医学での鍼灸治療としては、根本に精気が弱っているため起きるものですので、
この精気を補ってあげる治療をしていきます。
身体の体質改善ができていければ自然治癒の力で症状は改善されていきます。
40代 女性
冬は外気の気温低下、夏は室内のエアコンにより一年中冷え性に悩まされていた。運動やマッサージなど冷え性の冷え性に良いとされることは一通り行ったが、冷え性の解消までには繋がらなかった。
ほかに膝から下がむくみやすく、一日座って仕事をした後は足がとても重たく感じる。また、数日前より腰の重だるい痛みもひどくなってきてどうしようもなくなり当院にご来院された。
当院の治療
しっかりと問診をしたうえで自律神経の状態を計測しました。問診で一日中パソコンの前で座って作業していることが多く、夢中になると4・5時間はずっと座ったままの状態とのことでしたので、しっかりと1時間に1回は休憩をとって歩行してもらい、入浴後は軽くふくらはぎを下から上へ自分でマッサージしていただくようにしました。
また自律神経測定器の結果、交感神経が高い状態で自律神経も乱れている状態と判断されたため、当院の治療としましてはまず自律神経を整える治療をしたうえでお灸を中心にして腰から下を温める治療を施しました。
当院では、様々なお灸を用います。はりの上にもぐさを乗っけて火をつける灸頭鍼療法や直接もぐさを皮膚の上に乗せて火をつけ、焼き切れる前に火を消す透熱灸療法などその患者様に合わせたお灸療法用いて治療していきます。
◇1回目◇
治療後全身が温まるような感じがして腰の重だるい痛みがなくなった。
◇2回目◇
前回の治療から3週間空いても手足は以前ほどの冷たさは感じられなくなったとのこと。しかし、まだたまに手足が冷えて夜寝つくのに時間がかかる時がある。
◇3~5回目◇
3・4回目は冷えは膠着状態だったが、5回目が終わった後は日常的に手足の冷えを感じることが少なくなり夜もしっかり眠れるようになった。外気温などで冷えてもすぐ温まるようになった。
30代女性
数年前から冷え性に悩まされていた。友人がヨガをやって冷え性が改善されたということでヨガをやってみたがあまり改善されなかった。気温の下がる冬になると特に冷え性がきつくなり足先や手先がとても冷えて靴下を2重3重に履いたり、カイロなどで暖めてももまったく暖まらない。
夜も入浴を1時間入るとさすがに暖まるが、寝る頃になると体が冷えて眠れないこともある。
当院の治療
問診・自律神経測定器で測定後、お灸療法を中心に治療していきました。お灸は、直接灸・灸頭鍼・MT温灸・電子温灸器などさまざまな種類のお灸を用いました。
◇1回目◇
治療中、体が暖まっていく感覚が実感できた。
◇2回目◇
外に出ると体は冷えることは冷えるが、室内に入り体を暖めると体が早く暖まり、それが以前よりも持続するように感じた。
◇3回目◇
冷えがひどいと頭痛の症状が出ていたが、それがなくなってきた。
◇4回目◇
夜中、体の冷えで目覚めることがなくなり睡眠が快調に取れるようになってきた。
◇5回目◇
手先・足先の冷えの感覚が以前の半分ほどとなり、だいぶ軽快してきていると自覚されている。
20代女性
不妊治療を目的にご来院されました。
膝からしたが特に冷たく下腹部や手先も常に冷えているような状態でした。
仕事でのストレスも多く、睡眠も浅めでよく悪い夢をみて寝起きも悪い状態。中途覚醒もあり。
数年前から不妊症で悩んでいて生理不順でホルモンバランスの乱れも婦人科では指摘されていました。子供ができない状態が5年ほど続いており、何とか手段はないかとご主人と探していて当院にご来院されました。
自律神経測定器の結果、夜の時間帯にもかかわらず交感神経の活動が亢進状態にあって常に交感神経の状態が過亢進状態か日中夜の自律神経のバランスが逆転してしまっている状態が推察されます。
治療
下腹部や特にひざ下の冷えは東洋医学でも不妊症治療に対してとても重要でその部分を電子温灸器や灸頭鍼、点灸等を用いてしっかりと温めていきます。
全身施術では、手足の自律神経の状態を整えるツボであったり、四神窓といって睡眠や精神的な状態を改善させることに効果的なツボに鍼を刺して電気を流す鍼通電伝治療を用いていきます。
その他、背中の背部兪穴といいまして五臓六腑の関連した重要なツボがございますのでその部分にも鍼やお灸を施すことで特に重要な腎や生殖に関わる臓腑のツボを刺激していきます。
経過
施術後、徐々に睡眠の質が向上。仕事の忙しさなど日々のストレスに左右されることもあるがトータル的にみると深く眠れる日が増えていった。
下肢の冷えや下腹部は、最初は本人もそこまで自覚できなかったが他が温まるようになってきて本人も冷えを自覚してきて冷えないような対策をしていただきました。
3か月間くらいかけて徐々に冷えや睡眠が改善していき、体調も波はありますが改善傾向にありました。そんな中施術開始後、タイミング療法と並行して妊娠が確認できました。
流産の経験もあるためその後体調を整える目的で週一回はメンテナンスで鍼灸施術も受けています。
下肢や下腹部の冷えは、ほとんどなくなってきました。
体内のホルモン変動や自律神経のバランスが乱れるために引き起こる症状だと考えられています。
血流が豊富で身体を温める作用がある筋肉が男性に比べて女性の方が少ないです。
それに伴い女性は出産や月経など血が少なることもあり、男性よりも冷えを強く感じる方が多いと思われます。
女性の方が多いのですが、男性の方にも冷え症の症状を持った人もいます。
デスクワークや運動不足で下肢の筋肉が落ちてくることや、
不規則な生活習慣のため自律神経が乱れることによって起きやすいことから、
現代病といっても過言ではありません。
冷え性は病気としては見ませんので、お医者さんは専門的に診ているところは少ないと思います。
身体の中から変えていかなければなりませんので、
体質改善が必要です。
冷え性になると、
・肩こり
・腰痛
・下肢のむくみ
・下肢の感覚が鈍くなる
・下腹部の痛み
・頻尿
といった症状を伴いやすいです。
それ以外にも
・生理不順
・易疲労性
・肌荒れ
・不眠
などの症状も付随してでてきやすいもので。
お仕事や生活でも悩まされやすいものです。
すねの骨は、脛骨と腓骨の2つあります。2つの骨は骨間膜や靭帯で繋がれており、その前後外側には筋肉がついています。
すねの代表的な筋肉として前脛骨筋があります。前脛骨筋は足関節を上に曲げる筋肉です。また、前脛骨筋は足関節の硬さと深く関係しています。足関節が硬く、十分に曲がらないと前脛骨筋に常に伸張ストレスが掛かり痛みを起こします。他にも足の指を曲げる長趾屈筋や長母指屈筋、足の指を伸ばす長趾伸筋や長母指伸筋、足を外側に動かす腓骨筋、内側に動かす後脛骨筋、足関節を伸ばす下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)があります。ふくらはぎにある筋肉(長趾屈筋や長母指屈筋、後脛骨筋、下腿三頭筋)の柔軟性が不足すると、足関節は正常に曲がらないため、結果としてすねの痛みを引き起こします。
シンスプリント
ランニング動作や長時間立ち続けることで筋肉の使い過ぎ(オーバーユーズ)により、筋肉が付着している骨間膜で炎症が起きることで痛みが発生します。
履物やインソールによっても発症しやすくなり、硬い素材の上を走ると更に発症しやすくなります。
主な原因は後脛骨筋が固くなることで、後脛骨筋が付着する骨間膜を過度に引っ張ってしまうことで痛みが出ます。
脛骨疲労骨折
ランニング動作やジャンプ動作のオーバーワークにより発症します。ランニングのオーバーワークでは脛骨の上部と下部に疲労骨折が起きやすく、ジャンプ動作では脛骨の中央に疲労骨折を起こしやすいです。この疲労骨折では常に鈍い痛みを感じ、歩行中は踵を着いた時に痛みの増悪を認めます。
足底筋膜炎
足の裏の筋膜に過度な張力が反復的または長時間かかることで痛みを引き起こします。下腿三頭筋は足底の筋膜がかかと(踵骨)を経由して繋がっています。そのため下腿三頭筋の硬さも足底筋膜炎の要因となります。また、足底筋膜炎が長期間続くと骨棘を形成します。その場合、痛みが増悪する可能性があります。
コンパートメント症候群
急性と慢性があり、急性では骨折や激しい内出血により筋区画の内圧が上昇して中の神経や血管を圧迫して知覚麻痺や運動不全が起こります。神経や血管の圧迫が更に続くと末梢の組織に栄養や神経伝達が行かず筋壊死や神経障害を起こします。
慢性の場合は、急激な筋肥大や過度な運動による筋血流量の増加によって起こります。成長期や筋肥大を目的としてトレーニングをしている方、強度の高いスポーツを日常的に行っている方に見られます。慢性の場合も知覚麻痺や運動不全が見られます。ただし急性とは異なり
足関節捻挫
すねの痛みは足関節の硬さによっても起こります。そのため足関節捻挫後に適切な可動域訓練を行わないと足関節は硬いままとなり慢性的にすねの痛みを感じ続けます。
足関節捻挫は内側にひねる内反捻挫と、外側にひねる外反捻挫があります。足関節の捻挫ではその大半が内反捻挫です。足関節内反捻挫では関節の外側の靭帯が引き伸ばされ損傷します。更にすねの骨の脛骨と腓骨の間の靭帯損傷も合併しやすく、捻挫後は適切な治療と可動域訓練を行わないと足関節が硬くなります。
すねには、胃経と呼ばれる経脈(ツボの並び)があります。胃経とは、西洋医学的な臓器の胃と似た働きがあり、臓器の胃に問題がある場合にすねに痛みを感じることがあります。
原因として、
・暴飲暴食
・胃炎
・ストレス性胃潰瘍
・胃食道逆流症(GERD)
などがあります。
これらにより胃経の気血の疎通が滞ることで、すねに痛みが出ます。
すねの痛みに対する治療では、すね・足関節を中心に施術をしていきます。
治療の対象となる筋は主に前脛骨筋です。鍼やお灸で前脛骨筋の緊張を取り張痛を取ります。また、ふくらはぎの硬さがあればこちらにも鍼灸をしていきます。
東洋医学的観点から胃経のツボも合わせて使い、胃経の疎通を図ります。
主に使うツボ
・足三里
・豊隆
・中脘
下肢静脈瘤は、脚の表面を走行している静脈がこぶ状にボコボコと盛り上がってしまう症状で、年齢とともに増加し、女性特に妊娠を契機として発症することが多いのが特徴です。
また、長時間の立ち仕事、スポーツ選手、重い荷物を扱う職業の人に下肢静脈瘤は多い傾向があります。
好発部位は、膝裏、太もも、ふくらはぎで、75歳以上の75%の人が悩まされていると言われています。
静脈は動脈と同じ内膜、中膜、外膜の三層構造をしており、全身から血液を心臓に戻すため弾力性があり中膜が厚い動脈と違って、静脈は収縮の必要がないため血管壁は柔らかく中膜も薄くできています。
四肢の太い静脈には複数の静脈弁がついており、血液の逆流を防ぐ役割を担っています。
動脈は心臓から血液を全身に送り、いくつもの細動脈に分岐し毛細血管が酸素や栄養などの物質を組織に供給します。酸素や栄養などの供給を終えた血液はまた毛細血管を介して静脈へ流れ大静脈通り心臓に戻っていきます。
①伏在静脈瘤
下肢静脈瘤の中で一番多いものが伏在静脈瘤になります。
伏在静脈は下肢や太ももの内側を走行する大伏在静脈と、ふくらはぎの裏側から膝裏まで走行する小伏在静脈があります。これらの静脈の弁が壊れたりすることで機能しなくなり静脈瘤が発生します。
伏在静脈瘤の場合、ふくらはぎに起こることが多いです。
②側枝静脈瘤
側枝静脈は伏在静脈から枝分かれした静脈で、さらに分岐した先の枝の一部が膨らみ静脈瘤になったものをいいます。
これもふくらはぎに出現することが多いですが、側枝静脈瘤の場合は伏在型よりも細く範囲も狭いのが特徴です。そのため伏在型より症状も軽いことが多いです。
③網目状静脈瘤
皮下の浅い所を走行する静脈が拡張したものが網目状静脈瘤です。
網目状に見えるためこうのような名前で呼ばれています。
他のタイプの静脈瘤と違いボコボコした血管の隆起は無く、青色に浮き上がっているように見えるのが特徴です。
④くもの巣状静脈瘤
くもの巣状静脈瘤は別名スパイダースキンと呼ばれており、皮膚の浅い部分にある直径1㎜以下の非常に細い真皮内静脈や毛細血管が拡張し、くもの巣のように放射状に拡がって見えます。青白く見えたり、赤紫色に見えることもあります。
下肢静脈瘤の原因は足の静脈の働きが低下し、血液の流れが停留することで起こります。
人間のふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、筋肉を動かすことでポンプのように下肢の血液を下から上へ心臓に流し戻す働きがあります。しかし、加齢での筋量低下、長時間の立ち仕事や座り仕事で足の筋肉を動かさない事が続くと筋ポンプ作用が働かないため血液が流れず下肢に溜まってしまいます。血液が溜まって静脈が拡張することでコブができてしまいます。
また、静脈の中には血液の逆流を防止する弁が存在します。この静脈弁は八の字をしており下から上へは流れますが、上から下へは流れない一方通行の仕組みをしています。
しかし、この弁が何かしらの原因により壊れてしまうと血液が逆流してしまい静脈瘤になってしまいます。この静脈弁は一度壊れたら再生することはできません。
静脈弁が壊れる原因はまだはっきりと解明されていませんが、妊娠経験者や中高年の女性に多いため女性ホルモンの変動が関係しているのではないかという意見もあります。
また肥満や長時間の立ち仕事、加齢、家族性に発生することも多いため何らかの遺伝的要因の可能性も示唆されています。
下肢静脈瘤の症状は、血管がボコボコと腫れ上がる事や網目状やくもの巣状に浮き出る以外にも、足のだるさ、足のむくみ、足の痛みや重たさ、足がつる、足の冷え、足のほてり等があります。
これらの症状は、夕方から夜間にかけて起こりやすく、左右の足でもそれぞれ違う症状が出ることも少なくありません。
また、足の傷が治癒が遅くなる、足の湿疹ができやすい、虫刺されのような痕が長く残る、色素沈着という症状が起こる事もあります。
網目状静脈瘤と、くもの巣状静脈瘤はこれらの症状を伴わない事が多いです。
東洋医学では下肢静脈瘤のような水分代謝の低下を湿邪が原因と考えられています。
湿邪は雨や曇りの気候により体外から侵す外湿と、暴飲暴食により体内から侵す内湿があります。
五臓六腑の脾は水分代謝や消化吸収といった胃腸機能を担っているのですが、この脾は湿に侵されやすい臓器のため、低気圧や暴飲暴食で湿邪が体内に増加すると脾に負担がかかり水分代謝や消化機能が低下してしまうのです。
この湿邪の特性の1つは重く沈着性があるという事です。そのため湿邪に侵された部位は重だるさといった症状が現れます。
また、その重さのため下降して流れ込む特徴もあり、足にその影響が受けやすいのはそのためと考えられています。
湿邪は粘膩性という粘り気があるものとも考えられており、ジメジメした雨の日や湿度が高い日に悪化するのはこのためと言われています。
その粘り気の強さのため一度体内に入ると定着してしまい、慢性化し病気が長引いてしまうという特徴もあります。
まず、血流をコントロールしている自律神経の調節を目的とした施術を行います。
自律神経を整えることで全身の血液循環を促進させていきます。
次に下肢の筋肉に刺鍼し低周波の電気で刺激します。鍼に低周波を流すことにより筋肉を収縮させ筋ポンプ作用を起こすことにより、下肢の静脈にうっ滞した血液の流れを促していきます。
胃腸炎とは、胃・小腸・大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢や腹痛を起こす疾患の総称です。
その原因には、感染性・非感染性に区分できる他、症状の経過によって急性と慢性に分けられます。
感染性胃腸炎とは、細菌やウィルスなどを原因とする胃腸炎をいいます。一般的には、夏季には細菌性腸炎が、冬から春にかけてはウイルス性腸炎が多く発生します。
また、非感染性胃腸炎とは、薬剤や暴飲暴食、刺激物の摂りすぎ(脂肪分、アルコール、カフェイン、辛いものなど)、ストレス、自己免疫や炎症性腸疾患(IBD)などによるものなど、多くの原因があります。
胃腸炎の症状は、急性と慢性によって大きく異なります。
急性胃腸炎
ウイルスや細菌などへの感染が原因となること(感染性胃腸炎)が多く、突然発症し発熱、吐き気・嘔吐、下痢、腹痛、お腹の張りなどの症状を引き起こします。また、感染性胃腸炎は重症化すると、高熱、下痢・嘔吐によって水分不足の状態に陥り、疲労感や脱力、喉の渇き、めまい、立ちくらみ、動悸などの症状を引き起こすことがあります。
慢性胃腸炎
慢性胃腸炎の場合には、長期的な胃痛や胃の不快感、胃のムカムカ、お腹の張りや痛み、不快感のほか、食欲不振、下痢などがみられることもあります。
感染性胃腸炎を予防するには飛沫感染・接触感染を防ぐため、手洗い、うがい、手指消毒、マスク着用などを徹底することが大切です。特に、高齢者や子どもなど感染性胃腸炎を発症すると重症化しやすい方は、できるだけ生ものや生焼けのものを避け、しっかり火が通った食事を選ぶようにしましょう。
非感染性胃腸の場合は、ストレスや暴飲暴食など日常生活の習慣によって引き起こされるため、ストレスを溜めすぎないようにご自身の発散方法やリラックス・リフレッシュ方法を見つけ、食べすぎ・飲みすぎに気をつけましょう。
※現代の社会環境からは、ストレスを完全になくすことは困難ですが、自分なりの工夫でストレスの原因から上手に間を置く工夫をし、ストレスをためないよう心がけましょう。
また、気になる症状が続く場合は、早めに内科や胃腸科、消化器科を受診し、検査と治療を受けるようにしてください。
東洋医学では、『胃』は『脾』と深い関わりがあると考えられています。胃の『受納と腐熟を主る』働きと、脾の『運化を主る』作用は、飲食物の消化・吸収・排泄に関与しています。
その為、飲食の不節制やストレスなどにより『脾胃』を損傷し、働きが低下してしまうと、消化・吸収の働きも悪化してしまうので胃腸炎の原因となってしまいます。
東洋医学では、『気・血・水』を上手に巡らすために『肝』『心』『脾』『肺』『腎』という『五臓』が働いていると考えられています。
健康には、五臓の働きを穏やかに整えて、十分に『気』を養うことが大切です。
五臓のそれぞれは、西洋医学でいうところの臓器の名称とは必ずしも一致しているわけではなく、『脾』は西洋医学で言う胃腸機能の他に消化吸収の働き全てを指します。体質的に『脾』(胃腸)が弱い人もいますが、現代のストレス社会では、『肝』(自律神経)の乱れから『脾』の乱れを招くケースも少なくありません。
胃や腸は、ストレスによってトラブルを起こしやすい臓器です。これは、胃の働きが自律神経によってコントロールされていることと関係しています。自律神経には活動的な時や緊張時に働く『交感神経系』と、リラックス時に働く『副交感神経系』の2つがあります。
通常はこの2つがバランスを取りながら働いているのですが、ストレスや過労などを受けるとバランスが崩れ、胃腸の働きにも乱れが生じます。
その結果胃の症状として起こるのが、胃もたれ、食欲不振、胃痛、胸やけといった様々な胃のトラブルです。
人は、ストレスを感じたり過労が続くと、自律神経のバランスがくずれてしまい、自律神経の乱れから、倦怠感や動悸、不眠、めまい、しびれ、手足の冷えなどの様々な症状が現れます。
そのため、当院では、治療の前にしっかりと問診を行い、自律神経の状態を機械で測定し、症状や状態を把握した上で治療を行っていきます。
当院には自律神経測定器があり、この測定器では交感神経と副交感神経のバランス、肉体的ストレスや精神的ストレスなどの数値も測る事ができます。測定結果を元に、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。そして、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることで、より治療効果を高めることができます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴や胃腸のトラブルやストレスに対する特効穴を用いて症状改善を目指します。
また、自律神経のバランスを整える事で心身の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、再発や悪化を防ぎます。
胃腸炎の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。
側頭部が痛む場合、まずは締め付け感を伴っていたら緊張型頭痛の可能性がありますが、やや前の方のこめかみ辺りがズキンズキンと脈打つように痛い場合は片頭痛かもしれません。
高齢者の片方の側頭部の痛みであれば、側頭部動脈炎などの可能性もありますので、専門医の診察を受けましょう。
その他、片方の頭痛であれば神経痛や帯状疱疹なども考えておく必要があります。
痛みの性質はどうか
・ズキンズキンと痛む
ズキンズキンとした拍動性の頭痛は、血管由来の頭痛を示唆する症状です。典型的には片頭痛などです。痛い時とそうでないときが明瞭で、頭痛が数時間から4日程度続いて治まるような頭痛を繰り返す場合は片頭痛の可能性が高いと思われます。
・締め付け感
締め付け感は、筋肉の緊張を示唆するような症状です。ストレスや首こりなどが背景にあるかもしれません。
・頭の重たい感じ
頭が重たく感じるのは、頭を支えている背骨と首の筋肉が疲れている証拠です。頭は4~5kgもありますから首の筋肉が疲れると、頭が重く感じるのです。首の筋肉に慢性的に力が入っているのかもしれません。
・割れるように痛い
初めて経験する激しい痛みの場合、くも膜下出血などの重篤な症状な頭痛かもしれません。すぐに病院を受診することをお勧めします。しかし、我慢できるような頭痛でも初めて感じる頭痛であれば必ずしもくも膜下出血ではないとは言い切れないので、頭痛の程度だけでは判断できません。
片方の激しい頭痛が連日のように生じる場合、群発頭痛かもしれません。群発頭痛は中年の男性に多いものです。
危険な頭痛かどうかの一つの物差しは、それが以前から日常的にあって変わりないものかどうかです。「これまでと違う頭痛」は、危険な頭痛の可能性もある重要なキーワードです。
その他、頭痛に何らかの随伴する症状がある場合、その症状が診断の手掛かりになるかもしれません。例えば、頭痛の前に短時間の視野異常を伴う場合には片頭痛の疑いがあります。また、頭痛の前の倦怠感、あくび、感覚過敏なども片頭痛でしばしば認められる症状です。
一時的ではなく持続的に視野異常や脱力、言語障害、歩行障害、発熱などを伴う場合にはぜひとも専門機関での精密検査を受けることをお勧めします。
なお、吐き気については、頭痛がとても強い時には感じてもおかしくないものです。しかし、頭痛で実際に吐いてしまう場合はかなり強い頭痛の証拠です。
重度の片頭痛でも起こりますが、片頭痛ではない場合には、頭蓋内の病変により頭の中の圧力が極めて高くなってるケースもありますので要注意です。
・側頭筋
側頭筋は噛む際に使うものなので、食事の時に硬いものをたくさん食べる、ガムを長時間噛み続ける、片方の歯のみで噛むということなどで疲労がたまります。その他ストレスや無意識のかみしめや食いしばり、睡眠時の歯ぎしりなどにも関係すると言われています。併せて目の奥に放散痛や鈍痛が現れることがあります。
・後頭下筋群
後頭下筋群(こうとうかきんぐん)という頭痛に関連する代表的な筋肉は目や頭の動きに合わせて、顔の角度や向きを微調整している筋肉で頭痛の代表的な原因筋でもあります。
例えば資料を見ながらパソコン入力をするなど、無意識のうちに顔を前後左右に細かく動かす動作が多い方はこの筋肉を酷使している可能性が高いです。
・僧帽筋の上部線維
猫背や肩をすくませた姿勢が要注意です。パソコン作業やデスクワーク時に悪い姿勢が続くと僧帽筋への負担がかかります。
また、精神的な緊張や不安があると無意識に肩甲骨周辺に力が入ってしまうため、慢性的に肩が上がった状態で凝り固まってしまいます。痛みの特徴として、こめかみ~頭部の痛み、首の脇の痛み、下あごの角も痛み、肩甲骨周りが硬い などが挙げられます。
側頭部痛は、頭部の側頭部に発生する痛みを指します。この種の頭痛はさまざまな原因によるもので、その原因に応じて西洋医学的な治療が異なります。
側頭部痛に対する東洋医学的な考え方では、側頭部周辺を流れる経絡である三焦経や胆経の気血の滞りとして扱われる場合が多いです。
また、そのほか脈診や腹診などで弱っている経絡や強まっている経絡を探し当てて正常に戻すような経穴が用いられます。
当院では頭痛の原因となるストレス、筋緊張や全身の血流などに大きく関与する自律神経系のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
もともと鍼灸には自律神経系のバランスを整える作用がありますが、当院独自の自律神経調整施術を行うことでその効果をさらに高め、免疫力や自己治癒力を高め症状が治癒しやすいお体の状態へと整えます。
また、側頭部の痛みに関与すると考えられている筋肉の緊張を緩めるツボや東洋医学的観点から肝や胆・三焦経のツボを用いて施術を行っていきます。
その他頸部や肩甲骨周辺の筋肉の過緊張状態が側頭部痛を引き起こしている場合もあるためそのあたりも入念に緩めていきます。
心身症と言うと心の病気と思われがちですが、これは病名ではなく病態の総称をいい、身体疾患の中で、その発症や経過に心理・社会的因子(本人の性格、家族や職場の環境や対人関係などによるストレス)が密接に関与しており、器質的ないし機能的な障害が認められる病態です。
様々な心理社会的要因の影響で症状が出現したり、寛解または悪化することもあるため、心理社会的な要因が治療の妨げになることもあります。
代表的な心身症としては、気管支喘息、頭痛、高血圧、過敏性腸症候群、摂食障害、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、腰痛症、月経前症候群、月経異常などがあります。
主な症状としては、頭痛や、腹痛などの痛みに関する症状、息苦しいなどの呼吸に関する症状、皮膚に関する症状、胃のむかつきや、便通など消化管に関する症状などです。
片頭痛や高血圧のように診断がつくものもあれば、病院で検査を受けても、「身体の異常はみられません」となる場合もあり、検査結果で異常がないのは一つの安心材料ではありますが、実際に症状が出ている患者さんにとっては、原因がわからない不安を抱え続け、余計に辛くなる方も多くいらっしゃいます。
そして、心理社会的要因が原因となり、腹痛や過換気症候群のような症状を経験すると、「また症状が出るかもしれない」という不安を抱く様になり、そのせいで体調に対してより過敏になってしまい、症状の頻度が増えてしまうという悪循環に陥ってしまう事もあります。
その為、症状を和らげながら、症状へ対しての捉え方を軽くして行くことが治療の第一歩となります。
うつ病、自律神経失調症、パニック症・パニック障害、は区別が難しいとされています。
まず、うつ病は、抗うつ気分や意欲の低下などメンタル症状以外に、食欲低下や痛みなどの身体の症状を伴うことがあります。
次に、パニック症・パニック障害においても、動悸や発汗、息苦しさ、めまい、胸の痛み、など様々な身体の症状を伴います。
そして自律神経失調症は、倦怠感や動悸、自律神経が司っている、循環器系や呼吸、体温調節、消化器系、発汗などのバランスが崩れ、不眠、動悸、息苦しさ、だるさ、めまい、しびれ、手足の冷えなどの様々な症状が現れます。
心身症の場合でも、不眠や気持ちの落ち込みや、心身の痛みに対して、睡眠やうつのお薬を使うことで改善する事もあります。
このように、心身症とうつ病、パニック症・パニック障害、自律神経失調症などの症状についても、こころとからだを切り離して考えず、【心身一如】【全人的】な観点から見て行く事が大事になってきます。
【薬物療法】
心身の緊張、不安、抑うつといった精神症状が見られることも多い為、その緩和には、抗不安薬(安定剤)や抗うつ薬の投与を行います。(専門的な治療を受けるには、心療内科や精神科を受診する事が必要です。)
【生活習慣の見直し】
心身症は、慢性の身体疾患である事が多く、生活習慣病と言われる疾患とかなり似てきます。そして、ストレスの多い生活を送っていると、食事・運動・休養といった生活習慣は乱れがちになり、それらが、さらに病態を悪化させてしまいます。
例えば、高血圧であれば塩分を控えめにする。過敏性腸症候群であれば、刺激物(辛いもの・コーヒーなどのカフェインを含む飲食物など)を避けるなどの取り組みが症状の改善につながります。
また、直接治療と関係しなくても、生活習慣を規則正しくする事は、ストレスに対する心身の免疫力を高めることに繋がるので、心身症の治療にはとても大切です。
【リラクゼーション法】
ストレスは慢性の心身の緊張状態を作り出し、それらが身体に様々な障害をもたらすと考えられています。その影響を緩和するためには、リラクゼーション法(呼吸法)がとても効果的です。毎日習慣づけて行う事により、ストレスに対する身体の反応自体が変わっていきます。また、深い呼吸を行う事により全身の巡りが良くなり、心身共にリラックスができ、自立神経の副交感神経が刺激され、身体の緊張が和らぎ、自律神経が整っていきます。
心身症の多くは、症状の程度や場所が移動する・曜日や時間によって症状の程度が変わる・学校や仕事を休むと症状が軽減するなど、ストレスから離れると症状が軽くなる ということもあり、様々な心理社会的なストレスが主な原因と考えられます。
人はストレスを感じたり、過労が続くと、自律神経のバランスがくずれてしまい、自律神経の乱れから、倦怠感や動悸、不眠、めまい、しびれ、手足の冷えなどの様々な症状が現れます。
そのため、当院では、治療の前にしっかりと問診を行い、自律神経の状態を機械で測定し、症状や状態を把握した上で治療を行っていきます。
当院には自律神経測定器があり、この測定器では交感神経と副交感神経のバランスや肉体的ストレスや精神的ストレスなども測る事ができます。測定結果を元に、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。そして、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることでより治療効果を高めることができます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴やストレス解消の特効穴を用いて症状改善を目指します。
また、自律神経のバランスを整える事で心身の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、体が本来持つ自然治癒力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へと整えていきます。
心身症の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。
足の親指は母趾と呼ばれ、その付け根にあたる丸いふくらみを母趾球(ぼしきゅう)と呼びます。手にも同様に母指球が存在し、漢字を分けて使う場合が多いです。
人間が立っているときに足は唯一地面に接する部分であり、歩行や走行ではその衝撃を吸収する必要があります。
そのため足には3つのアーチ構造が備わっています。母指球とかかとを結ぶ内側縦アーチと母趾球を結ぶ横アーチは衝撃吸収に重要な役割を担っています。
・種子骨障害
歩いたり走ったり踏み込んだ時などに母趾球部に痛みが出現します。また、その部分を指で押したり足の親指を強制的に手で反らすと痛みが出ます。症状が進行すると足を地面につけただけでも痛みがあり、歩行が困難になってきます。
陸上競技やバスケットボールなどよく走るスポーツに多いとされています。
その他空手や剣道などの踏み込み動作の多い格闘技にもよく見られます。種子骨障害は小学生~中学生に多く発生し、大学生以上になると減少する傾向があります。
種子骨障害の種類
・骨折
強く母趾球を衝いたり、繰り返しの衝撃により種子骨が割れたり、不全骨折(ヒビ)を起こしたりします。内出血と腫れが大きくなることが多いです。
・疲労骨折
微力な外力を受けることで起こる骨損傷。発生機転は骨折とほぼ同じです。内出血や腫れも起こりますが急性の骨折よりも少なめです。
・分離種子骨
生まれつき種子骨が分裂している。骨折と異なり割れた線はなだらかになります。基本的に分裂していることでも障害は少ない。実際には結合組織でつながっているものもあります。
種子骨の周りには筋肉や腱が集まっています。こういった筋肉や腱がよく動く手助けをしているのが種子骨ですが、この種子骨が炎症を起こすのが種子骨障害です。ときには種子骨が骨折したり、骨壊死することもあります。
ランニング動作時に地面を蹴り出すとき、足底筋は緊張して種子骨には引っ張られる力が加わります。この牽引力により種子骨が炎症を起こし痛みが発生します。
また、踏み込み動作による地面からに衝撃が種子骨に繰り返し加わり発生することもあります。
その他先天的な問題で種子骨が二つに分裂している場合(分裂種子骨)があり、これが痛みの原因になっているケースもあります。また、土踏まずがしっかりし過ぎている甲高の足(ハイアーチ)は種子骨障害になりやすい傾向があるため注意が必要です。
痛みが強いうちは運動を一時休止し、足を安静にします。足の裏にかかる負担を軽減するために柔らかい素材でできた耐久性にあるパッドを靴の中に入れて使用します。
パッドは母趾球部をくり抜いてあり、体重をかけた際に圧力がかからないようにします。また、母趾にテーピングを施すこともあります。
足底筋に硬さがみられる場合には柔軟性を取り戻すリハビリテーションを行います。ほとんどの場合このような治療でよくなりますが、保存療法で効果がみられない場合には手術で内側の種子骨を摘出することがあります。
東洋医学では神経痛など身体の痛みを総称して「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺には「つまって通じない」という意味があり、これは何らかの原因で気、血の流れが悪くなるとそれが「痛み」となって現れるのです。
気や血の流れが悪くなる原因として風、寒、湿、熱などの邪が侵入して起こると考えられています。
また、五臓六腑の「肝」と「脾」の機能低下が筋肉痛になりやすい状態へとつながると言われています。
鍼灸治療の効果として、炎症を早く治めることや鎮痛効果、血流促進効果などが期待できます。痛みの強い部分へ直接アプローチして炎症や痛みを早く取り除いたり、周りの筋肉の過緊張を和らげることで痛みからの回復を早めます。
また東洋医学的観点から肝、脾を整えるツボや気や血の流れを整えるツボなども取り入れることで体が本来持つ自然治癒力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へと整えていきます。