腹部膨満感とはお腹が張って苦しい状態のことを指します。
一般的に腹部膨満感は大きく分けて2種類あります。
「お腹が張って苦しい」「お腹が重い」「お腹がゴロゴロする」などの消化器官にガスが溜まって生じるものと、「胃が重苦しい」「胃に不快感がある」などの胃の運動機能が低下して起こる腹部膨満感です。
その他、腹腔内の炎症、腫瘍、妊娠などが原因で腹部膨満感がみられる場合があります。
・便秘
便秘とは3日以上排便していない状態、もしくは毎日排泄していても残便感がある状態のことをいいます。便秘が長い期間続くと、腸内に溜まったガスが排出されずに膨満感を引き起こします。
・腸閉塞
腸閉塞は腸管の流れが途中で阻害されてしまう状態のことを言います。腹痛や膨満感、嘔吐などの症状を引き起こします。
・過敏性腸症候群(IBS)
ストレスによって自律神経が乱れ、大腸の蠕動運動が過剰に活発になった結果、膨満感や下痢が起こります。成人の5人に一人が過敏性腸症候群に悩んでいると言われており、どちらかというと女性に多い病気です。
・呑気症
呑気症とは、無意識に大量の空気を飲み込むことで、胃や食道、腸の中に空気が溜まり、腹部膨満感やげっぷ、おならが頻繁に出る症状のことを言います。
日本では20~50代の女性の患者が多い傾向にあります。呑気症の最大の原因はストレスといわれており、仕事や学業などでストレスを抱えやすい現代社会において増えてきている病気です。
<腹部膨満感のメカニズム>
人は食事をとると、必ず消化管でガスが発生します。そして定期的に溜まったガスは呼気(呼吸)や放屁(おなら)として排泄されていきます。
この時消化管内のガスの産生と排泄のバランスが崩れ、ガスが腸管内にたまった状態の時に腹部膨満感は起こります。
ガス過剰生産
・心因性
緊張したりストレスがかかると空気を異常に飲み込んでしまう呑気症や自律神経の機能異常があります。最近多くみられる過敏性腸症候群(IBS)による腹部膨満感や腹痛の原因にもなります。
・腸内ガス産生の過剰
腸内細菌叢の変化で悪玉菌が増えてくると、異常発酵による腐敗ガスが発生します。また、繊維質の多い食事や糖質を含む食べ物はガスを増やしやすく、吸収不良や腸内細菌叢の変化により過剰なガスが発生します。
・ガス排泄量低下
消化管の運動機能が低下すると、腸管にたまったガスが排泄されずに腹部膨満感が起こります。便秘や過敏性腸症候群がこの状態です。その他、腸閉塞では、腸内容物とともにガスも排泄できません。腸粘膜の炎症や循環障害では、ガスが体に吸収されて呼気として排泄できませんので腹部膨満感が起こります。
症状
消化器症状としてお腹の張り、吐き気、便秘、下痢などを伴います。
食べ過ぎない・飲みすぎない
食べ過ぎや飲みすぎなど不規則な食生活を続けると胃腸に負担がかかります。食事はバランスよく腹八分目を心掛け、規則正しい時間に食事を摂るようにしましょう。
ストレスを溜めない
ストレスは胃腸の働きを低下させます。ストレスを溜めすぎない生活を心がけ、趣味や運動などでストレスを上手に解消させることも大切です。
張りを解消する食べ物・飲み物を摂る
お腹の張りを解消してくれる食べ物や飲み物を積極的に摂取するのは有効な手段です。
①ヨーグルト・乳酸菌飲料
ヨーグルト、乳酸菌飲料には腸内環境を整えてくれる善玉菌が多く含まれています。ヨーグルトの他キムチや漬物、納豆などの発酵食品にも善玉菌が多く含まれています。
②生姜
生姜には消化不良による膨満感を和らげてくれる働きがあります。
③バナナ・アボガド
主に食塩として摂取されるナトリウムには細胞内に水分を引き込む作用があるため、摂取しすぎるとお腹の張りの原因となります。バナナやアボガドには過剰なナトリウムを排出し、体内の水分バランスを適切に保ってくれるカリウムが豊富に含まれています。
検査
問診、診察を通して原因を特定し必要に応じて血液検査、腹部超音波、胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査、レントゲン検査を行います。
治療
病気が原因の場合その治療を行います。
また、便秘や消化機能低下が原因の場合には下剤や消化管運動亢進薬による治療を行います。腸内フローラのバランスを改善するようプロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌、糖化菌、豆菌、酵母菌)も有効です。医師の判断で胃腸のガスや腹部膨満感を和らげる薬を処方することもあります。
胃は六腑の一つであり、飲食物を受け入れ(受納)、消化(腐熟)し食べたものを人体に有用な形(清)に変化させ、それを脾に渡し、その残りかす(濁)を下の小腸・大腸に降ろします(降濁)。
また、五臓の一つである脾は、清を吸収し肺に持ち上げ(昇清)気血を生成し全身に輸送(運化)します。
腹部膨満感はこの五臓六腑の脾胃の機能の失調が深く関わっていると考えられています。また五臓の肝の機能失調のよる肝気鬱滞も関わりが深いと考えられています。
当院では、内臓機能に深く関わる自律神経のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
自律神経系の調整施術を行うことで胃腸の機能を整える作用を促します。また、免疫機能、自然治癒力を高める作用も期待できます。東洋医学的観点から脾胃や肝の機能を整えるツボや気の巡りを整えるツボにも鍼やお灸で刺激を与えます。
また、冷えは胃腸の働きを低下させます。触診を行い冷えがみられる場合、腹部を中心にお灸の施術を行い冷えを取り除いていきます。
慢性胃炎の当院の治療はまず自律神経測定器で自律神経の状態を計測することから始めます。慢性胃炎でご来院される多くの方は、交感神経の活動が活発で逆に副交感神経の活動が弱い方がほとんどです。
まずは、自律神経の調整療法を行い、東洋医学的観点から『脾』や『胃』の機能を正常に戻すような施術をしていきます。
施術間隔の目安は、最初の1か月程度は週に1~2回程度でその後叙情に施術間隔を延ばしていきます。
慢性胃炎は東洋医学では、『脾』と『胃』が深い関わりがあると言われています。脾の『運化を主る』作用と胃の『受納と腐熟を主る』という働きは、飲食物の消化・吸収・排泄に関連しています。
よって『脾』と『胃』の働きが低下してしまうと消化・吸収の働きも鈍くなってしまうので慢性胃炎の原因となってしまいます。代表的な病証としましては、『脾陽虚』や『胃陽不足』などが挙げられます。
50代 男性
40代の頃から慢性的な胃炎に悩まされていた。発症当時は、胃潰瘍が発見されて胃潰瘍は薬など服用して治ったがその後も胃もたれ上腹部の違和感を感じるようになってしまった。その度に薬を飲んでいるが、最近仕事のストレスや家庭内のトラブルで薬の効果も薄れてきたように感じる。
外で接待など外食することも多く、接待の次の日は必ず胃の調子が悪くなり、仕事にも集中できない。
治療
まず自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術していきました。問診していくと接待以外にも暴飲暴食をすることがあり、特に仕事がうまくいかなかったときはストレス解消でついつい食べすぎたりお酒に頼ることがあるとのことでその習慣は少しずつ改善していただくように指導しました。
◇1~3回目◇
体全体の体調がよくなっていることを実感。まだまだ胃の不調を感じることはあるが、薬を飲むと落ち着くようになった。
◇4~6回目◇
症状に波があるが、胃の不快感を感じることが少なくなってきた。
◇7~10回目◇
徐々に薬に頼ることも少なくなってきた。さすがに接待などでお酒を飲みすぎると胃の不快感を感じるが半日ほどで不快感を感じなくなった。
慢性胃炎はその名の通り、何らかの原因により慢性的に胃に炎症がおきている状態です。
胃は飲食物の消化の第一段階と殺菌の重要な役割があります。胃の粘膜からは大量の胃液が分泌されて胃壁の保護や外来の細菌を殺す役割などを担っています。
胃酸は非常に強い酸性で、慢性胃炎を考えるうえで特に重要となるのが胃粘膜を覆っている粘液です。粘液が不足してしまうと非常に強い酸性を持つ胃酸によって胃壁は傷つけられてそれが慢性化してしまうと慢性胃炎となってしまうのです。
慢性胃炎の場合でも症状を呈さない方もいますが、慢性胃炎の代表的症状としまして
・上腹部に違和感
慢性胃炎の中で一番多い症状です。食事をしている時または食事をしていない時でも常に胃部や上腹部に不快感を感じます。上腹部が締めつけられる感じや重たいような感覚になることもあります。
・胃もたれ
慢性的に胃もたれを感じます。脂っこい食べ物などを食べた時には誰でも胃もたれを起こした経験があるかと思いますが、慢性胃炎となるとその他にも胃にそこまで負担とならない食べ物でも胃もたれを感じてその感覚が長く続いてしまいます。
・食欲不振
慢性胃炎となってしまうと胸やけを感じる事があったり、胃液の分泌が減少しているため食べ物の消化がされにくく、そのため食欲不振となってしまう場合もあります。
・嘔吐
食べ物がなかなか消化されずに胃の内容物が逆流して嘔吐してしまうこともあります。症状が重症化してしまうと吐血などの急性胃炎のような症状も呈します。
・口臭
胃の機能が低下して分泌液が減少すると食べ物がなかなか消化されないため、胃の中で食べ物が異常発酵してしまい、卵の腐ったような口臭となることが多いです。
・なにも症状が出ていない場合も
慢性胃炎の厄介なところは胃炎となっていてもほとんど無症状で少し不快感を感じる程度などで症状を自覚する頃には疾患が進行している場合もあることです。
慢性胃炎は胃壁の状態によって分類されます。
・表層性胃炎
表層性胃炎はその名の通り比較的表層の胃壁が軽い炎症を起こしてしまっている状態です。若い年代に多く発症し、空腹時に胃の痛みや腹部膨満感などを感じます。症状は比較的軽く、胃がんなどに進行する可能性は低いですが、胃壁の炎症と修復を繰り返していくうちに胃の運動機能も低下して症状が進行してしまうこともあります。
・萎縮性胃炎
萎縮性胃炎は表層性胃炎と違い、胃がんに進行してしまうリスクが高いと言われています。萎縮性胃炎を発症していない方の3.8倍も胃がんを発症するリスクがあると言われているほどです。
・肥厚性胃炎
肥厚性胃炎は炎症と修復を繰り返していくうちに胃の粘膜が厚くなってしまう疾患です。胃の粘膜が厚くなってしまうと何が問題かといいますと、胃液や胃酸の分泌が増えてしまって胃粘膜を傷つけやすくなってしまい胃の痛みや胃もたれに繋がりやすくなってしまいます。肥厚性胃炎も胃がんにかかるリスクが高くなると言われています。
慢性胃炎の原因は多岐にわたり、ストレスや老化、ピロリ菌感染などが挙げられます。
・ストレスによる自律神経の乱れ
自律神経は自分の意識とは無関係に働いている内臓や血液循環などを主っている神経です。胃の働きもこの自律神経と深い関わりがあります。胃腸の働きは主に自律神経の中の副交感神経が管理しています。副交感神経は、体を休めるリラックス神経です。食事をすると胃腸が働きだすことで副交感神経の活動も高まり、人によっては眠気を誘うのです。
また胃酸の分泌も自律神経が調整しています。
職場や家庭などでの過度なストレスは自律神経を乱します。それらのストレスは主に副交感神経の活動を弱られてしまい胃腸の働きを低下させてしまうために慢性胃炎の原因となってしまうのです。
・暴飲暴食や喫煙習慣
脂っこい物を多く食べ過ぎたりと偏った食生活を続けていると胃粘膜が傷つけやすくなってしまい慢性胃炎の原因となります。過度な飲酒も胃液を減少させて胃粘膜の炎症繋がります。喫煙は、血管を収縮させることが知られていますが、胃粘膜に対しても同様に血流を悪くさせて胃酸の分泌促進に繋がります。
・胃の老化現象
胃をはじめとした内臓も筋肉で出来ています。体の見える部分の筋肉と同じように内臓の筋肉も高齢となると年々筋力・働きが低下していってしまうのです。胃に関しても活動が年々低下していってしまう傾向にあり、消化不良を起こして慢性胃炎の原因となります。
・ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化も慢性胃炎の原因となります。特に更年期となると女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が異常を引き起こし、それを主っている自律神経にも影響を与えて自律神経の乱れに繋がってしまいます。
慢性胃炎は、胃壁が炎症を引き起こし、胃の機能が低下する疾患です。胃炎は食生活や生活習慣などが原因となって起こることが多く、予防には以下のようなポイントがあります。
胃炎のリスクが高まるのは、過剰なアルコールやカフェイン、辛い食べ物や脂質の多い食品を摂取することによって胃の粘膜がダメージを受けるためです。栄養バランスの良い食事を心がけ、消化の負荷が少なく、胃腸に刺激を与えない食物を摂取するようにしましょう。また、食事の間隔が長すぎるのも胃に負担をかける原因となるため、ある程度決まった時間に食事を摂ることも重要です。
喫煙は胃酸の分泌を促してしまい、胃炎を引き起こす原因の一つです。喫煙量が多ければ多いほどリスクは高くなりますので、完全に禁煙することが大切です。
ストレスがたまりすぎると胃に負荷がかかり、胃酸の分泌が亢進して胃炎を引き起こすことがあります。ストレスを軽減するためには、趣味や運動、スキルアップなど自分の好きなことに時間を使うことが良いでしょう。また、十分な睡眠をとることもストレス軽減につながります。
瞑想やヨガでのゆったりとして呼吸法も有効です。
過剰な非ステロイド性抗炎症薬の使用や、抗生物質の長期使用は胃炎の原因になります。薬剤師や医師の指導の下で正しく薬を使い、過剰な使用をしないよう注意しましょう。
胃炎の早期発見・治療は胃がんなど重い疾患を予防するためにも大切です。定期的な胃カメラ検査や腹部のエコー検査など、胃腸の健康状態を定期的にチェックしましょう。
以上により、健康的な生活習慣を心がけ、胃に負担をかけないような食生活の改善を行っていくことが、慢性胃炎の予防につながります。
まず初めに自律神経測定器で自律神経の状態を把握してから自律神経を整える治療を行っていきます。
自律神経が乱れている状態ですと血流が悪くなりやすかったり、筋肉も正常に働きにくい状態となってしまうのです。自律神経を整えることでふらつきの改善や筋力低下の早期回復を促します。
また東洋医学的観点より背部の肝に関連するツボを刺激したり、首肩の筋緊張を取るような施術を行っていきます。特に複視の状態が強く出ている方は首こりが強く出ている人が多いのでしっかりとコリをとっていきます。
そして、目の周りに鍼を刺してその鍼に電極を繋いで電気を流していくことで神経や筋肉に刺激を与えて複視の改善を図ります。
フィッシャー症候群の施術目的は、まず第一に回復を早めることです。また、重症化を防ぐことも重要です。東洋医学的観点や自律神経を整える、鍼灸施術により筋肉や神経に刺激を与えることでそのような効果が期待できます。
20代 男性
当院にご来院される1か月ほど前に物が二重に見えてしまうしまって足元もおぼつかずにめまいもひどかったため、すぐに病院に入院した。検査しても最初は原因がわからなかったが、フィッシャー症候群と判明。
1週間ほど入院してステロイド治療などを行った。
発症当初よりは見え方や身体の平衡感覚なども良かったが、まだまだ体調も万全とも言えず、何か他にアプローチ法がないかと当院にご来院される。
経過
発症当初、職場でのストレスも多く、自律神経の状態もあまりよくなかったご様子。首肩コリも強く、背面の筋緊張が強いような状態でした。
まず、うつ伏せ施術で自律神経のバランスを整えたり、首肩周りの筋緊張の緩和、背部兪穴で肝腎のツボを用いて鍼や電子温灸器などで施術していきました。
次に仰向けとなって目の周りは鍼通電治療を行い、手足やお腹は鍼やお灸の施術を行っていきます。
週に1~2回ほどのペースで施術を受けていただきました。施術3回程はあまり施術効果がみられず、目の疲れや肩こりが少し改善した程度、4回目の施術のあとで複視の幅が狭くなって少し物が見えやすくなったかもとのこと。
5回目の施術後では7~8割がた物の見え方が改善。6回目は2週間空けて施術を受けていただいたが、その後の病院では目の状態はほぼ治っていると言われた。ご本人的にも日常生活で複視で困ることはなくなったとのことでした。
目の疲れや首肩コリは仕事などで感じることもあって1~2か月に1回程のペースでお身体のメンテナンスのためご来院されています。
東洋医学では目と五臓六腑の『肝』は深い関係にあると言われています。肝の機能低下は目にあらわれやすく、フィッシャー症候群による複視の症状は東洋医学的には肝の機能病変と捉えることが多いです。
東洋医学の肝の機能は、西洋医学の肝とは少し異なります。東洋医学の肝の機能は、主に
・肝は疏泄を主る
気をすみずみまで行き渡らせる機能を肝はになっています。その作用としては、情緒を安定させたり、精神状態を正常に保つことです。また肝は自律神経系を介して体のそれぞれの機能を円滑に行われるように調整する重要な役割がります。
・肝は血を蔵する
肝は血の循環にも深く影響を与えています。肝は血を貯蔵して必要に応じて供給や消費を促します。自律神経系の血管を収縮や弛緩をさせて体内各部の血流量を調整する機能に似たものです。
・肝は筋を主る
肝は筋膜・腱の緊張を制御して関節運動を調整する機能を担っています。
フィッシャー症候群とは、自己免疫疾患の一つで難病指定されている疾患です。フィッシャー症候群に罹る確率は日本で200万人に1人という非常にまれな疾患で特にかかりやすい年齢や地域差などはありません。ただし、日本人における症例報告ではやや男性にかかりやすいことがわかっています。
フィッシャー症候群が発見されたのは1956年でミラー・フィッシャーという学者が発見してギランバレー症候群の亜型と位置付けることが提唱されました。フィッシャー症候群は難病指定こそされていますが、命の危険性が低い病気だと言われています。今までの多くの症例では発症して数ヶ月で治癒していくことが多いですが、稀に重症化してギランバレー症候群に移行することもあるので注意が必要です。
※ギランバレー症候群
ギランバレー症候群は、自己免疫疾患で難病指定されている疾患です。命の危険性の低いフィッシャー症候群とは違いギランバレー症候群は症状が進行すると命の危険性もあるとても怖い病気です。症状としまして手足に力が入らない・呼吸機能の低下・食べ物が飲み込みにくくなる・しゃべりにくい・顔面麻痺・複視などがあります。
フィッシャー症候群の症状は、フィッシャー症候群の3主候といわれる代表的なものが3つあります。
まず、ひとつは物が二重に見える複視の症状です。フィッシャー症候群にかかってしまうと初めに高い確率でこの複視の症状が出ます。これは、視神経が受ける自己免疫反応や眼筋が麻痺することで眼球を動かす筋肉が上手く働かなくなるため複視の症状を呈します。視神経が受ける自己免疫反応では視力の低下がみられたり、眼振による回転性のめまいが出ることもあります。
眼球運動は、外眼筋と言われる上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋・上斜筋・下斜筋の6つの働きによって複雑な運動を可能にしているのです。このどれかの筋肉に不具合が生じてしまいますとその筋肉の作用する方向の眼球運動が難しくなるため、左右の視点が合わなくなり複視の症状が起きてしまうのです。
また、常に目の焦点が合っていないような斜視の症状や機能していない筋肉を周りの筋肉がカバーしようとして目の筋肉の疲れが溜まりやすくなってしまうのです。
腱反射消失
腱反射とは身体の正常な反応の一つでわかりやすく言いますと、膝のお皿の下をたたくと足が自然と伸びるという反応です。これは腱の重要な反応であり、フィッシャー症候群の場合膝の腱反射消失が主に現れることで歩行が上手くできなくなり、歩行中にふらついたりつまづきやすくなってしまうのです。
運動失調
フィッシャー症候群は、運動ニューロンの障害によって筋肉が上手く動かせなくなったり、姿勢を保つことや四肢の痺れ、顔面神経麻痺などの症状も起きる可能性があります。
日常生活の中でもふらつきや筋力低下による歩行困難や自分で食事を摂れなくなるなど生活の質を大きく低下させてしまします。
これらの症状が重く出ている時は日常生活も一人ではままならない状態となってしまいますが、日本での症例報告によりますと日本人50人のフィッシャー症候群にかかった人の予後をみると運動失調は発症から平均1か月で消失、外眼筋麻痺は発症から平均3か月で消失したとの報告があります。トータルで見ると発症から6カ月時点で運動失調・外眼筋麻痺はほぼ消失しています。ただし、例外として軽度の複視が後遺症として残ってしまったという報告もあるようです。
フィッシャー症候群は、血清ガングリオシド抗体が増えすぎてしまい自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患と考えられています。しかし、まだまだ不明な点も多く、なぜ増えすぎてしまうことで自分の体までも攻撃してしまうのかということやそもそも血清ガングリオシドが増えておらず原因不明となっている方も10~20%はいるという症例もあります。
一般的には、フィッシャー症候群を発症する前に風邪や胃腸炎などの疾患に罹っている方が多く、そのウィルスや細菌を排除しようと身体は血清ガングリオシド抗体が体内に増えた状態でフィッシャー症候群にかかる方が多いようです。ただし、ウィルスや細菌を排除しようと体内に血清ガングリオシド抗体が増えることは異常ではなく、誰にでも起こる反応です。これがなぜ運動神経に悪さをして複視や運動失調などといったフィッシャー症候群の症状を発症するまでかははっきりとは解明されていないのです。
フィッシャー症候群は200万に1人というめずらしい疾患のため総合病院などの比較的大きな病院で発覚・治療することが多いです。
フィッシャー症候群は確立された治療法はありません。しかし、ほとんどの患者さんが半年以内に自然回復することから積極的な治療は必要ないとも言われています。
まれにギランバレー症候群に移行したり、重症化して複視などの後遺症が残る危険性もあり、注意が必要です。重症化した場合は、免疫ブログリンを大量投与することで進行を抑えたり、血漿浄化療法という血液を機械で取り出して不要物を取り除く人工透析のような治療法が行われることもあります。
自律神経失調症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。
当院の自律神経失調症に対する施術は、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。施術をする前に自律神経測定器を用いてその時の自律神経の状態を把握してから施術致します。そうすることで的確な施術ができて他にはない施術効果が期待できます。
東洋医学では症状を局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、自律神経失調症などの全身性の症状を施術するのに適しているといえます。
自律神経失調症は東洋医学的に見ると「気」の不足や「気」の作用不足、「気」流れの滞りが原因で発症すると考えられているので、ハリやお灸を用いてツボを刺激することで「気」を補ったり、「気」の流れの滞りを解消させるように促します。その他自律神経失調症の患者さんでは頭痛、肩こり、慢性的な痛み、めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛、肩こりやめまいの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。
当院の鍼灸治療による自律神経失調症の施術目的は、西洋医学とは異なる東洋医学の観点により少しでも自律神経失調症が回復できる機会を提供することです。自律神経失調症では、日常生活の活動が重要となってきます。施術後の日常生活の注意点などもしっかりとサポートして患者さんと共に症状改善に努めます。
自律神経測定器
30代 男性
3か月前より仕事が急に忙しくなり、期限などにも間に合わず上司や同僚にも冷たい目で見られるようになってきた。その頃より朝動悸がしたり、肩の痛みや目の痛み、寝つきが悪い・夜中急に目を覚ましてしまうといった症状が出てきた。痛みや眠れないせいか日中は仕事に身が入らなくなり、さらに仕事が溜まるようになってきた。身体の調子もどんどん悪化してきたので心療内科を受診したところ自律神経失調症と診断された。
病院では抗不安薬や抗うつ剤などが処方されたが、改善させず鍼灸治療やマッサージなども受けてみたが一向に改善されなかった。そうこうしているうちに会社にも行けなくなり1か月のお休みをもらうことになり、当院にご来院された。
治療経過
しっかりと時間をかけて問診をしたうえで自律神経測定器で現在の自律神経の状態を測定しました。この方の場合お昼頃にもかかわらず交感神経の数値が低く逆に副交感神経が高い状態でした。自律神経の状態はその日や時間によって変化していきます。日中は活動的な時間帯ですので、本来は交感神経が高く副交感神経が低い状態が理想的です。
しかしこの方の場合は逆で日中のだるさや夜なかなか寝付けないなどの症状がこれが一つの原因だと考えられます。
◇1回目◇
自律神経調整療法を中心に痛みの強い部分の鎮痛目的に治療しました。
治療後、痛みは軽減されたがだるさや睡眠は改善されない。
◇2~4回目◇
治療して数日すると痛みが戻り、治療をするとまた改善するという状態が続く。
◇5~8回目◇
痛みはだいぶ改善されてきた。日中少しずつ外に出て活動できるようになってきた。
◇9回目◇
夜しっかり睡眠がとれて朝も早く目覚めて本などを読めるようになって規則正しい生活ができるようになってきた。
◇10~12回目◇
一か月間の休養を終えて職場に復帰された。今のところ以前のような症状は出ていないが、仕事が忙しく時間に追われるようななると肩の痛みや多少の動悸がする。そのような症状を軽減させるため現在も通院中です。
自律神経失調症は、東洋医学でいう「虚証」が大きく関係していると考えられます。「虚」とは、人体にとって必要な物質や機能不足の事をいいます。虚証の中にもいろいろな種類があり、自律神経失調症は「気虚」と「陽虚」つまり中医学でいう「陽気」が不足している状態であると考えられています。
「気」は、体内を流動する精微物質のひとつであり、人体の各種の生理的機能に相当します。「気」は中医学でいう脾胃や肺によって生成され、心または肺の作用によって全身に行き渡ります。そして肝や腎の作用によって量を調節されます。「気」の基本的機能としては、生長、発育、代謝の推進、推動の維持及び体温の維持・調節、病邪の防御または排除などがあります。自律神経失調症はそういった作用を持った「気」が不足したり、流れが滞ったりすることで発症するものと考えられます。
・「気」の作用不足
「気」の作用不足による症候では臓腑の機能低下や抵抗力の減退などがあらわれ、元気が出ない、気力がない、無力感、声に力がない、動きたがらない、食欲不振、息切れなどの全身的な虚弱の症状が出ます。とりわけ心の気の不足(心気虚)では自律神経失調症の症状が出やすく、加えて不安感や胸苦しいなどの精神面または循環系の症候がよく見られます。
・「気」の流れの滞り
精神的ストレスなどにより「気」の流れが滞ると自律神経系の緊張や過亢進による症候があらわれると考えられています。とりわけ肝の気の流れが滞ると精神的な素因に関係する症状があらわれ、憂うつ感、怒りやすい、胸脇部の張った痛みなどの症状が見られます。また肝の流れが滞る状態が長く続くと、自律神経系の過亢進に伴って、頭痛、のぼせ、胸やけ、難聴、不眠などの症状をあらわします。
自律神経失調症は、うつ病に発展する場合も多く、早期の対応が求められます。
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神に様々な症状が現れる病気の総称です。器質的な疾患や顕著な精神障害が認められず、医学的な検査によって原因や悪い部分を特定することが困難な疾患です。
そのため、内科、耳鼻科など様々な科を受診し、ほとんど異常はないので原因がわからずにいろいろな病院を行ったり来たりする場合も少なくありません。自律神経失調症という病気は今では、最近よく耳にするようになった言葉ですが、医学的にもまだまだ確立されておらず、自律神経失調症は日本でしか使用されていない病名です。
日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。
自律神経とは、血管、リンパ腺、内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。自律神経は、交感神経と副交感神経からなっており、絶妙なバランスをとって相互に協力し合い安定した体調管理を行っています。
交感神経
主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。
副交感神経
主に夜に働く神経でリラックスした安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。
自律神経失調症の症状はあらゆる身体部位に多種多様な症状が現れてきます。自律神経は、体の各部位に分布しており、関わっている器官・機能が多岐にわたるために人によって症状に個人差が大きく、症状が単独で現れたり、2つ3つ同時に現れたりして何度も出たり消えたりします。
代表的な症状としては、体が疲れやすい・倦怠感がある・動悸や息切れがする・肩や頸部に張りを感じる・頭痛・眠れない・食欲不振・吐き気・めまいなどがあります。これらに伴い多くの場合は、精神的にも不安定になりやすく不安・緊張・過敏・抑うつなどを感じている方も少なくありません。
また自律神経失調症は女性に非常に多く発症しやすい病気で女性ホルモンのバランスの変化が大きく関係していると考えられています。
自律神経と免疫力との関係
自律神経と免疫力とは深い関係にあると言われています。精神的・肉体的ストレスなどによって自律神経のバランスに乱れが生じてしまうと免疫力が低下してしまい、外部からウィルスや細菌が容易に侵入しやすくなったり、内部ではがん細胞も増えやすくなるとも言われています。
体には、生まれたころから備わっている基本的な免疫力である自然免疫と病気に対する新しい抵抗力を身につけていく獲得免疫とがあります。それらの働きによって細菌やウィルスは容易に体内に侵入して悪さをすることができない仕組みとなっています。
しかし時に外敵がそれらの免疫を突破して体内に侵入して悪さをしようします。その際には、身体は非常事態と察知して、白血球という細胞が血液に乗って運ばれて外敵を排除する機能が働くのです。白血球には大きく分けてマクロファージ・顆粒球・リンパ球の3種類が存在してそれぞれに役割があります。
マクロファージは情報を収集しながらその他二つに指令を出して指揮をとります。顆粒球やリンパ球は、侵入してきた外敵やウィルス、がん細胞などを実際に退治する役割があります。正常に免疫を働かせて免疫力の高い状態を維持するためには白血球の3種類のバランス・比率が重要です。
マクロファージは司令部なのでそこまで多くなくてもよいですが、顆粒球やリンパ球の比率が落ちてしまいます。この白血球の比率を調整するのが自律神経の役割とも言われているため自律神経の乱れによる自律神経の不調は免疫力にも影響を与えてしまうのです。
自律神経失調症は自律神経の交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神のバランスが崩れて多種多様な症状が現れる病気です。
交感神経と副交感神経は、絶妙なバランスをとってお互いに協力し合って安定した体調や心理状態を維持しています。しかし、何らかの原因によりどちらかの神経が過剰に働いたり、働きが弱くなり過ぎることによって自律神経失調症の症状が現れてくることになります。
自律神経が乱れる原因や身体症状・精神症状などにより自律神経失調症は、4つのグループに分類されます。
ⅰ)本態性型自律神経失調症
遺伝的素因によって、幼少期から自律神経のバランスが崩れやすく、身体の調整機能が乱れやすいのが特徴です。発症の原因は、心因性・精神的なものではなく、生まれ持った体質に起因する自律神経失調症のタイプです。
ⅱ)神経症型自律神経失調症
自律神経そのものに異常がないのに自分の身体や精神に関して敏感な人や不安・恐怖・葛藤といった心理的要因に弱い人が神経質なためには発症する自律神経失調所のタイプです。
ⅲ)心身症型自律神経失調症
最も多い自律神経失調症のタイプで、感情の変化や肉体疲労など日常生活における心身への強いストレスが原因で発症し、身体と精神の両方に症状がでることが多くあります。
ⅳ)抑うつ型自律神経失調症
その人がおかれている環境や人間関係などから受ける慢性的なストレスの蓄積が原因で発症する自律神経失調症のタイプです。最終的にはうつ病へと発展してしまう場合も少なくありません。
自律神経失調症は、交感神経と副交感神経の調節が乱れて起こる症状で、ストレスや生活習慣の乱れなどが大きな原因となります。
自律神経失調症を患わないためには生活習慣の改善がとても重要になってきます。
自律神経失調症を予防するためには、適度な運動を心がけることが大切です。
有酸素運動やストレッチなどを行い、血流や代謝の促進を図ります。最初は運動強度を弱めて一番大事なのは続けられる強度で行うことです。
運動が習慣化できれば、運動強度は上がっていきます。
運動により筋肉が強くなれば、筋肉の収縮・緩和に役立つ副交感神経の働きも高まると言われています。また、筋肉量が増えることでストレス耐性も上がることがわかっています。
自律神経失調症の原因の一つに、睡眠不足が挙げられます。深い睡眠を促すためには、就寝時間や睡眠環境の整備が必要です。
また、安眠効果が期待できるハーブティーや、寝る前のリラックス効果のあるストレッチなども取り入れると良いでしょう。今一番多いのが寝る前のスマートフォン操作です。光によって脳が活動的になってリラックスできずに睡眠の質の低下につながります。
寝る前のスマホ操作はなくして寝る前の行動をルーチン化することがポイントです。
意外にも一番重要なのが、食事の改善です。
コンビニ弁当やファーストフードなど栄養の偏りの多い食生活を続けていると腸内環境が乱れてしまって自律神経のバランスが乱されやすくなってしまいます。
自律神経失調症の症状が改善するといわれている栄養素は、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンC、イノシトールなどです。これらの栄養素が多く含まれる、野菜や果物、豆類、ナッツ類などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、胃腸を刺激する刺激物やアルコール、カフェインの摂取は控えるようにします。
ストレスは自律神経失調症の大敵です。ストレスを減らすためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが必要です。ヨガや瞑想、アロマセラピーなどを活用する方も多く、自分にあった方法を見つけることが大切です。
趣味でもなんでも没頭できる時間を作ることもポイントです。没頭できる時間が長ければ長いほど人生の幸福度が上がるという研究結果もあります。
時間の確保も重要です。必要に応じて仕事量を減らす、家事代行サービスを利用するなど時間を確保するようにしましょう。
自律神経失調症を予防するためには、身体と心の休息が必要です。リラックスタイムを設け、趣味やマッサージ、温泉などでリラックスする時間を確保するようにしましょう。
以上のように、適度な運動、良質な睡眠、食生活の改善、ストレスの減少、リラックスタイムの確保などを意識することで、自律神経失調症の予防につながります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
令和5年5月1日(月)より
吉祥寺αはりきゅう院
が開院いたしました。4店舗目の分院となります。
吉祥寺駅から徒歩3分ほどに場所にありましてとてもアクセスが良い場所にあります。
施術内容は、他の院と特に変わりございませんのでお近くの方はお気軽にご利用ください。
吉祥寺αはりきゅう院
東京都武蔵野市南町1-11-11武蔵野ビル402
TEL:0422-29-9938
HP:https://kichijoji-shinkyu.com/
当院には、複視でお悩みの方が多くご来院されております。複視になってしまった原因も様々で神経麻痺や筋肉の異常、自己免疫疾患、また病院で精密検査を受けても特に原因が分からなかったという方もいらっしゃいます。効果には個人差もございますが、多くの方が複視の程度が軽減されて日常生活が楽になったというお声を頂いております。
発症して早期に施術を受けて頂くほどその効果は良いです。複視症状で悩まれている方は、一度試しにでも施術を受けてみることをお勧めします。
複視の鍼通電療法
複視のお灸治療
60代 女性
1か月ほど前に急に左目の痛みと圧迫感を感じるようになった。仕事や家事でストレスとなることがあり、その体の反応かなとおもい、体を休めれば良くなると思ってそのままにしておいた。すると2日後くらいから物が二重に見えるようになってしまい特に左側の物が強く二重に見えてしまう。病院を受診したところ左目の外転神経麻痺と診断された。しかし、特に何も処置を行ってもらえずに体を休めるように言われただけだった。目の症状が出てきて耳鳴りや左顔面部の痛み・頭痛も出るようになってきてしまった。
治療
触診の結果、頚部の筋緊張が強く出ていました。そのほか自律神経のバランスも悪く、症状が出てからは不安で眠りも浅いとのことでした。
まず、うつ伏せ施術で首肩の筋緊張の緩和と東洋医学の肝と腎の経穴を中心にはり灸施術を施していきました。次に仰向けとなり左目中心の施術と自律神経のバランス調整を行っていきました。
◇1回目◇
1回目の治療後、身体のだるさが強く出て家に帰ると直ぐ眠ってしまったとのこと。次の日身体は軽く、左首肩・頭痛症状は半分程度に軽減。左目の痛みや複視症状は改善は見られない
◇2回目◇
2回目治療後、左目の動きが少し良くなったと感じた。正面を凝らしてみると複視は起こらない。動いているものを見るとまだ複視状態。
◇3回目◇
耳鳴り症状が半減。寝つきが良くなったとのこと。目の症状は2回目以降変化なし
◇4回目◇
右目も何となくまぶたの重たさを感じたとのことで右目も施術。
◇5回目◇
頭痛薬を飲む回数が明らかに減少。以前は飲んでもう頭痛が治まらなかったが今は薬の効果も感じられる。
◇6回目◇
左目の動き改善。日常生活ではほぼ複視の症状で悩まされない。動きの速いものをみるとずれる時がある。病院でも左目の動きが良くなっていると言われたとのこと
◇7回目◇
早い動きの物にも目が慣れるようになってきた。しかし、注意してみるため、目の疲れは感じやすいとのこと。
◇8回目◇
右目のまぶたの重たさ軽減。視力も良くなったとのこと。
60代男性
2週間ほど前から新聞やパソコン画面がぼやけて見えるようになってきた。以前から遠くのものは見えづらく、視力の低下を感じていた。最近近くのものが見えづらくなってきたことから老眼の症状が始まったかなと感じていた。しかし、2週間ほど前から近くのものを見ることがつらくなってきて徐々に二重に物が見えるようになってしまった。
日常生活でも不自由を感じていてあまりに症状がひどくなってしまったので眼科を受診したところ、右目の動きが悪いため二重に物が見えていると言われた。確かに右側に視線をやると二重の幅が広がるとのこと。しかし、なぜそのような状態になってしまったのかという原因は眼科の検査でもわからずに経過観察と言われた。
治療
以前、交通事故に遭った時に頸部を損傷して常に首に違和感を感じているとのことでした。たまにひどい時は整形外科でけん引してもらっていた。触診してみると頸肩の筋緊張が強く、それも何かしら目に影響を与えていると考えられたのでまずうつ伏せ施術で頸肩に鍼通電療法を施した後に仰向けとなり自律神経の調整施術と右目を中心に目周囲に鍼通電療法を施していきました。
◇1~3回目◇
3回目までは目についてはあまり変化がみられなかった。頸肩の筋緊張はいくらかほぐれている。
◇4回目◇
4回目の施術終了後から真正面のものは二重に見えることがなくなった。普段複視症状がつらく、片眼で見るための眼帯をしていたが眼帯せずに過ごせるようになった。
◇5~8回目◇
徐々に右に視線をやっても複視になる範囲が狭くなってきた。8回目終了後には日常生活には支障なく過ごせるようになった。
◇9~12回目◇
たまに集中して近くのものを見て目を使った時は複視症状が出る時もあるが以前のようなつらさはない。その日しっかりと睡眠をとると複視症状は回復できる。まだ電車内などで速く動いている物を目でとらえようとすると目が追い付かない感じがあるが普段は全然複視症状は気にならなくなった。
30代 男性
当院にご来院される2週間前から複視の症状が出た。複視は像が上下にずれてしまうタイプで近くが大きくずれてしまい、遠くの物を見ても少し像がずれてしまい車の運転に支障が出てしまう。仕事で車を運転するため3週間ほど仕事を休むことになった。
仕事は、朝早くから夜遅くまで長時間労働でたまに夜勤もあり、生活はかなり不規則だった。体の疲れもとても溜まっていて複視の症状が出た可能性があった。病院で脳の検査や重症筋無力症の検査を行ったが特に検査結果に異常はみられなかった。病院では治療は特に行われず安静を指示されたが、ご本人としては何か手はないのかと探していたところ当院のホームページを見つけてご来院されました。
治療
普段からの不規則の生活のせいか、自律神経のバランスも大きく崩れていた。首の付け根付近の筋緊張も強く出ていたのでまず初めにうつ伏せ治療で首肩の筋緊張の緩和、背部兪穴の肝・心を中心に施術していきました。次に仰向けとなり目の周りの施術と自律神経のバランス調整治療を行っていきました。
◇1回目◇
治療後、複視のずれ幅が少し改善。日常生活でのつらさが少なくなった。
◇2回目◇
以前は正面を見ても像がずれることが多かったが2回目の施術以降は正面は像が合うようになった。朝方はまだ日常生活でも辛さを感じる
◇3回目◇
視線を左右に動かすとピントがついていかずに像がずれるように感じる
◇4回目◇
4回目治療以降は日常生活で複視の症状が出る事はなくなった。ここで仕事への不安感などから夜寝つきが悪くなったり、突然胸の圧迫感や手足のしびれを感じるようになったとのことで心療内科系疾患への治療へ方針をシフトしていった。
◇5~8回目◇
夜寝つきもだんだんと改善。仕事へも無事に復帰することができたが、仕事している際中にたまに胸の圧迫感やわき腹当たりのはり感などが出ることがあり現在も通院加療中です。
50代 男性
当院にご来院される6ヶ月前に転倒して頭部を強打した。すぐに救急病院に行き、処置をしてもらったが、その時から2週間ほどかけて物が二重に見える症状が強くなっていってしまった。特に脳神経の異常は画像診断などで見られなかっため、経過観察となった。お医者さんには、3カ月ほどかけて徐々に良くなっていくと言われ、ビタミンB12が処方された。しかし、6カ月ほど経過しても複視の症状は一向に改善されずに何かほかに治療の手段はないかとインターネットで調べて当院にご来院されました。
ご本人の感覚としては、左目の動きが悪く物が二重に見えているような感覚とのこと。正視の状態では少し左目が内側を向いている。視界以外には、頭部を強打した後遺症は見られない。
治療
頸部の筋緊張が強く、特に後頭部付近の板状筋の硬直が見られたので、まず最初にうつ伏せとなり、背部や頸肩部の筋緊張を緩める鍼灸施術を行っていきました。次にうつ伏せとなり、左目中心に鍼を刺してさらに刺した鍼に電気の刺激を加えることで目周囲の筋肉や神経に刺激を与えて症状改善を図っていきました。近く地方に転勤するとのことで2日おきに集中的に治療していきました。
◇1回目◇
治療後若干、左目の動きが良くなったように感じるが、複視の状態は特に変化なし
◇2~5回目◇
左目の動きが徐々に良くなっていっている。以前感じていた頸肩こりも感じにくくなった
◇6~8回目◇
以前はどの方向を見ても物が二重に見えていたが、今は左下のほうだけが二重に見えている状態となった。それ以外は正常に見えている
◇9回目◇
大体正常に見えるようになった。少し左下方向を見ると複視の状態が出るが日常生活ではほぼ支障なく生活できる。しかし、目を凝らして物を見ているせいか目の疲労感を感じやすくなった。目を良く使った日の夜に複視の状態が出る時がたまにある。
治療9回目を終了したころに地方に転勤となったため、生活でのケアの方法などをアドバイスして治療を終了した。
70代 男性
1か月ほど前から物が二重に見える複視症状を発症。年齢も年齢なだけにすぐに病院で検査を受けて脳のMRIなどを受けても特に原因が特定されなかったとのこと。
図面など細かいものやパソコンなども仕事で見る機会が多く、目の疲れからくる一時的なものだと医師から言われた。
ビタミン剤を処方されて服用していたが、一向に良くなる気配がないため他に治療法がないかと検索したところ当院のホームページを見つけてご来院されました。
治療
図面やパソコンなどの近くの物を見るときも物が二重に見える・左側の視界はさらに二重の幅が大きく感じるとのこと。また、遠くの景色もさらに二重の幅が広くなって気持ち悪くなってしまう。
高齢であることから針の刺激量を少し抑えつつ調整しながら目の周りは電気鍼治療も行っていきました。
◇1回目◇
一回目の治療後、翌日の朝から効果が感じられたとのこと。まず、近くの物が見えやすくなってパソコン作業時や図面を見るときはしっかりと一つに見えるようになった。少し離れたテレビ画面などはまだ二重に見える
◇2回目◇
治療日から日数が経過するごとに状態が少し戻って行ってしまったが、2回目治療後も1回目同様に近くの物が見えやすい。
いくらか遠くの物も二重の幅が狭くなったように感じる
◇3回目◇
3~4メートルくらい離れた物だとほとんど正常に見えるようになった。家の中ではそこまで不憫を感じない。遠くの景色や階段を降りるときはやや少し怖さを感じる。
◇4回目◇
遠くの景色もほとんど一つに見えるが、夕方以降仕事で目を使っていると目の疲れを感じて物が二つに見えるときもあり。
目の疲れを感じた時などにメンテナンスのために通院加療。
80代 男性
当院にご来院される1か月ほど前から急に朝物が二重に見えてしまうようになってしまった。すぐに病院でMRIなどの検査をしたが、原因がわからずに動眼神経麻痺と診断を受けた。
医師からは経過観察で半年ほどかけて治っていく場合もあるとのことで、特に何も処方されなかったとのこと。
特に右眼の動きが悪く、真正面から左側の視界は物がひとつに見えるが、右側の視界は物が二重に見えてしまう。またテレビ画面を見るくらいの距離だと二重に見えてしまう、眼の前ほどに物を持っていくと正常に見える。
物が二重に見えてしまうため人との距離感がわからなくなって外で歩く際は、右眼のを隠す眼帯をして何とか歩行している状態。階段も恐々と手すりを持ちながら降りている
治療経過
初診時触診をしたところ、頸部の筋緊張も強いような状態でした。まずうつ伏せで首肩や背部兪穴を用いて首肩周りの筋緊張の緩和や五臓六腑の特に肝や腎に関するツボを刺激していきます。
次に目の周りに鍼をさして電気を流す鍼通電療法を用いて目の周りの筋肉や神経に直接刺激を与えていき改善をはかります。
5回目の施術終了後、だんだんとひとつに見える範囲が広がってきて、右側の視界もひとつに見えるようになってきた。ご家族にも眼球の動きが良くなっていると指摘されたとのこと。
施術8回目までだんだんと症状改善していったが、テレビを夜遅くまで見ることが多くなってしまって少し症状がぶり返した感覚。遠くの視界が複視
施術10回目以降また症状が改善してきた。以前は、人とすれ違う時が二重に見えてしまうためこわかったが、怖くなくなりテレビ画面もひとつに見えて遠くの視界もひとつに見えるようにだんだん変化していった。
日常生活に支障がない程度に回復。右側に視線をやると少し二重に見えるかなという程度。
耳がつまる感じとは、専門用語では耳閉感(じへいかん)といいます。耳閉感はごくありふれた症状で誰でも一度や二度は経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。
また、「耳がつまった感じ」、「塞がった感じ」、「耳の中に水が入った感じ」、「膜が張った感じ」など耳閉感の訴え方は様々です。
耳閉感は聴覚路のどこが原因でも起こります。代表的なものとして、耳垢や気圧の変動などで耳管が影響を受ける、中耳炎で水や膿がたまる、その他メニエール病や突発性難聴などがあります。
耳閉感を伴う主な疾患
・急性中耳炎
喉の奥から耳管を介してウイルスや細菌が中耳で炎症を起こしている状態です。風邪などをきっかけとして起こります。
・慢性中耳炎
鼓膜に穴が開いて中耳の炎症が慢性化した状態です。
・滲出性中耳炎
耳と鼻をつないでいる耳管の機能不全や副鼻腔炎、アデノイド増殖症などの鼻の病気が原因で鼓室に浸出液が持続的に溜まる病気です。幼児期、学童期前半までのお子さんに多い疾患です。
・好酸球性中耳炎
中耳の粘膜に血球の一つでアレルギー疾患と関連がある好酸球が浸潤し、にかわ状の浸出液が溜まる中耳炎です。
難治性であり慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息が合併していることがほとんどです。貯留液が中耳腔に溜まることで難聴や耳閉感、耳鳴りなどが生じます。
・耳管狭窄症
耳管の換気機能が低下して、鼻の奥から中耳(鼓膜の内側)に空気が通らない病気です。
・耳管開放症
正常な耳管の閉開が出来ず、耳管が常に開放、またはほとんどずっと開放されいている状態です。短期間での無理なダイエット、ストレス、手術などによって体重が大きく減少したときに、耳管近くの脂肪が落ちることが原因になります。耳閉感、自分の声が響く、めまい、難聴などの症状を伴います。
・突発性難聴
内耳障害により、突然聞こえの悪くなる病気です。はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレス、慢性疲労などが発症と関わっているのではないかと言われています。耳閉感、耳鳴り、めまい、吐き気などの症状を伴います。
・低音障害型感音難聴
低音の周波数の聞こえに支障が出るのと同時に耳閉感があるのが低音障害型感音障害です。
はっきりとした原因は不明ですが、大きなストレスを感じたり、睡眠不足や疲れ、体調不良などが続く度に何度も起こるようになります。
・メニエール病
内リンパ液が過剰にたまり、内耳が浮腫んだ状態です。はっきりとした原因はわかっていませんが、耳閉感、難聴、耳鳴り、めまいなどの症状を伴います。
・聴神経腫瘍
聴神経を包む細胞から発生する良性腫瘍です。平均して一年間で直径で約2mm弱大きくなるといわれています。増大してくると聴神経のすぐ隣の顔面神経の圧迫により難聴、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺が起こってくるようになります。
・耳垢栓塞
耳垢が完全につまってしまい、鼓膜が見えない状態です。
・外耳炎
鼓膜の手前を指す外耳(外耳道)と呼ばれる部位に炎症が起こる病気のことです。耳かきや耳の中をかくことなどで外耳に傷ができ、最近が感染することで発症します。
問診では聞こえ方や最近の体調、ストレスの有無などについて確認します。外耳や中耳は、顕微鏡または内視鏡で診ることで状態が把握でき、そこで異常がなければ内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎の場合は鼻の中も確認します。
検査
・鼓膜所見
耳垢などがあれば視診で分かります。
・聴力検査・ティンパノメトリー
中耳や内耳の評価を行います。
耳閉塞感の治療は、原因となる疾患の治療を行うことで改善されます。
外耳道の異物や耳垢栓塞の場合、異物や耳垢を取り除きます。外耳炎は炎症を抑える処置や内服治療、滲出性中耳炎は鼓室の中の貯留液を取り除いていくための鼓膜切開またはチュービングが必要になります。
好酸球性中耳炎はそれらに加えて中耳に直接ステロイドを注入します。鼻や副鼻腔の炎症を抑えるため、鼻処置やネブライザー療法も必要となる場合が多いです。その他、マクロライドの少量長期療法、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。
また、内耳疾患から耳閉感がある場合、内リンパ水腫という病態を取り除くことが必要なので、日常生活ではなるべくストレスを溜めないようにしつつ、高浸透圧利尿剤を内服します。ビタミンB12やアデホスなどを内服し、内耳の代謝を助けることも有効です。
耳閉感を東洋医学的に考えると、気滞血瘀(きたいけつお)、腎虚、水滞が挙げられます。
この気滞血瘀は首周辺の筋肉のコリなどで血行をはじめとする代謝が低下して気や血が滞った状態を指します。
五臓の腎は「腎は耳に開竅する」と言われ、泌尿器以外に免疫、生殖、骨、耳、髪、成長に関係すると考えられています。年齢を重ねるごとに腎の機能は低下し骨や歯は弱くなり、耳が弱くなると耳鳴りや難聴をはじめとした耳の異常を起こしやすくなります。
また、体質の虚弱や慢性疲労などで腎虚を生じる場合もあります。
水滞は水毒とも呼ばれ、いわゆる浮腫みに起因するもので、水分の取りすぎ、お酒の飲みすぎ、内臓機能の低下、自律神経のバランスの乱れなどから体の中の水分の巡りが悪くなると耳にも余分な水が溜まりやすく、それが原因でめまいや難聴、耳閉感などの症状を引き起こすことがあります。
当院では、内耳の血液循環やストレスなどに関わる自律神経のバランスを機械で測定し、お体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い免疫機能、内臓機能、血液循環を整え症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。
東洋医学的観点から腎を補うツボや気・血・水の流れを整えるツボを取り入れます。また、腎と関係の深い肝のツボなどにも刺激を与えます。
また、首や肩周りの筋緊張は耳への血流に大きく影響を及ぼします。そのため首や肩の筋緊張を緩める施術も行います。
さらに、直接耳の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、血行を促進し耳の機能を整えていきます。
肝機能障害に対する鍼灸治療はWHOが定める鍼灸治療が有効とされる疾患の一つとして挙げられています。
鍼灸治療は自律神経のバランスを整えて内臓の機能を高めることであまり認知されてはいませんが、肝機能障害に対しても有効とされているのです。そこで今回は肝機能障害に対する鍼灸治療ということで書かせていただきます。
肝機能障害に対する鍼灸治療は、まず第一に東洋医学的観点より症状を判別して肝機能を高める施術を行うことです。
主に五臓六腑の肝の機能を正常に戻す施術施しますが、その他にも症状によっては「腎」や「胆」にも異常が見られる場合もありますのでそれらの箇所も東洋医学的に施術していきます。
また、内臓の臓器は自律神経の支配を受けており自律神経が乱された状態ですと機能も低下して肝臓の場合でも機能低下をきたしやすいと言えます。そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握したうえで自律神経を正常な状態へと戻すような施術も行っていきます。
自律神経の状態を整えることは肝機能を正常に回復させる方法としてとても重要なものとなります。
その他施術以外にも積極的に生活指導も行っております。それは施術を受けても飲酒習慣が続いたりするとどうしても症状の回復は見込めないからです。本気で肝機能を正常に戻すには治療の他にも生活習慣を見直す必要があるのです。
※生活上の注意点
肝機能障害を回復させるためには日常生活での食事や運動などが重要となってきます。いくら肝機能障害の治療を受けていても暴飲暴食を続けていたのなら回復する可能性は低くなります。
・お酒の飲む量を調節する
アルコールやアセトアルデヒドなどの毒素分解の役割を肝臓が担っているため過度な飲酒は肝臓に負担をかけて肝細胞が死滅する原因となってしまいます。症状がだいぶ進行した人であるならば断酒する必要もあります。
しかし、肝臓の状態がそれほど悪くない方の場合は、飲酒量を減らす・アルコール度数の低いお酒にする・休肝日をつくるなどして制限すれば決して断酒する必要もありません。
厚生労働省の研究によると日本酒で約7合を毎日10年以上飲み続けた場合では、約20%の人が肝硬変を発症するというデータがあります。さらに15年以上飲み続けた場合では半分の方が肝硬変を発症しています。これだけ高いデータがあるのでまだ肝機能に異常がない方でも飲酒の量は考えて飲む必要があります
・食べ過ぎない
食べ過ぎで毎日栄養過多の人は、栄養代謝で肝臓への負担は大きくなり、肝機能障害を発症しやすいと言えます。また、太りすぎの方は肝臓への負担が大きくかかることもわかっています。毎日原6~7分目を心がけて決して食べ過ぎないように注意しましょう。
・肝臓によい食事
破壊された肝細胞を修復するのに良い栄養素としてタウリン・ビタミンB・セサミン・アラニンなどが知られています。それら肝臓にいいとされる食材としてブロッコリー・ニンニク・玉ねぎ・リンゴ・グレープフルーツなどがあります。バランスよくそれらの食材を毎日の食事に取り入れていきましょう。
・運動習慣
運動習慣特にウォーキングや体操などの有酸素運動の習慣があると自律神経も整いやすいですし、体脂肪を落とすにはやはり運動は必要となってきます。運動すことで自律神経が整えられて太りすぎ状態を防ぐことで肝機能障害になりにくくなります。
東洋医学での「肝」の働きは西洋医学での肝臓の働きと似ている部分もありますが、全然似ていない部分もかなりあります。
東洋医学での肝は、肝臓の部分機能や血液循環の調節機能の他に自律神経系・情動活動に関連する中枢神経系・運動神経系・視覚系の一部もつかさどっているという考えがあります。
・肝は疏泄をつかさどる
肝は気を体の隅々にまで行き渡らせる機能があります。これは、情緒を安定させて精神状態を安定的に保つこと、視床下部や自律神経系の機能によって全身の各機能を円滑に行われ
るように保つことにあたります。
・肝は血を蔵する
肝は血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能があります。自律神経系を介して血管を収縮・弛緩させて体内の血液量を調節することにあたります。
・肝は筋をつかさどる
肝は運動神経系の調節をつかさどっています。筋膜や腱の緊張・運動を弛緩・制御することことで肝は筋をつかさどっています。
・肝は目に開竅する
肝は自律神経系の調節などの作用によって視覚の一部をつかさどっています。よって肝の機能異常は視覚・目にも影響が出やすいと考えられています。
30代女性
ここ半年で体重が10㎏増加し、病院で肝機能に障害があると診断された。
肝臓の数値をよくするために漢方薬を処方されて1か月飲んだところ数値が少し改善。
漢方と併用して鍼治療を行えばさらに回復が見込めるのではとのことで来院された。
もともとアトピー体質で、肝機能が低下するとアトピーもひどくでる。
症状が強いときはかゆみで夜眠れない日もある。
肝臓の数値と、アトピー肌の改善を鍼治療で行い体質改善をしたい。
当院の治療
これまでの生活習慣をきいたところ、昼夜逆転の生活や目の酷使、ストレスをためやすい、生理痛が重いなど「肝」に負担がかかる状態にあった。日常の積み重ねで今回の症状が現れたと推測できる。鍼灸治療では「肝」の経絡を中心に刺激をいれ、自律神経の調節も行った。また、1時~3時は東洋医学では肝の時間なので、その時間に睡眠をとり肝を休めるようアドバイスをした。
アトピー症状も強くでていたので、皮膚の熱をさげターンオーバーを促進するツボを用いて鍼とお灸施した。
◇1回目◇
施術当日は夜かゆみもなくぐっすり眠れた。
初めての鍼で緊張もしていたが痛みはほとんどなくリラックスできた。
◇2回目◇
初回から1週間だが効果は持続しているように感じる。
かゆみもゼロではないが落ち着いている。
夜12時には布団にはいるようにしてから調子がよくなっている実感がある。
◇3回目◇
生理があり体調が崩れた。かゆみも少し強め。
婦人科系のツボも使って前回同様に全身の調節を行った。
◇4回目◇
一時的に症状悪化したがそのあとすぐに改善。
アトピーの薬はのまなくても過ごせるようになった。
体重はまだ減ってないが、以前より疲れを感じにくくなったいし変化はしている気がする。
次の検査までは週一のペースで通って経過をみていきたい。
肝機能障害について知るうえでまずは肝臓の役割を抑えておく必要があります。
肝臓は臓器の中で一番大きい臓器で重さも1.2~3kgもあるもい臓器です。場所は、みぞおちの右側に位置しており、外側に肋骨がある事で外部からの衝撃から守られるような場所にあります。肝臓には右葉と左葉があり右葉が全体の65%、左葉が全体の35%をしめて全体的にみると三角形の形をしています。
肝臓は他の臓器に比べて血液量が多い臓器の一つです。肝臓には主に門脈と肝動脈という二つの血管が出入りしています。門脈は腸や脾臓から栄養素の多く含んだ血液を運んでおり、肝動脈は大動脈から流れる酸素を多く含んだ血液を直接肝臓に運んでいます。それらの栄養素や酸素を多く含んだ血液により、肝臓は様々な働きができるのです。
肝臓は、細かく分ければ500以上もの身体の働きを担っていますが、その働きがなかなか感知されにくいため、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
肝臓の役割としてまだまだ解明されていない部分もありますが、分かっている範囲で大まかに分けて3つあります。
解毒・分解作用
アルコールが解毒される場所は、肝臓であるということはよく知られているかと思います。アルコールばかりでなく、その他の毒素、アンモニア・有害なウィルスや細菌なども無害なものに解毒・分解する作用が肝臓にはあります。 しかしこの肝臓の解毒・分解作用にも限界があります。アルコールの多量摂取や薬物の過剰な摂取は肝臓を傷めつけて気付いたときには肝臓機能が再起不能状態となってしまい解毒作用が出来ない状態ですでに手遅れという状態となる危険性があるので注意しなければいけません。
栄養素の代謝・貯蔵
肝臓は、取り込んだ栄養素をエネルギーに変える重要な役割があります。タンパク質や脂質、タンパク質などの栄養素は体に取り込んだだけでは何の役にも立ちません。そのような栄養素は肝臓でほかの物質に変えられて初めて体内に吸収することができてエネルギーとなるのです。この栄養素を化学反応によって体内に吸収させる物質に変化させることから肝臓は「体内の化学工場」とも言われます。
栄養素としてよく知られているタンパク質・糖・脂質・ビタミds8ン・ミネラルなどの代謝は肝臓で行われているのです。 そしてそれら体内に吸収されるようになった物質は、肝臓内に貯蔵して必要に応じて体に送り出す機能も担っているのです。その肝臓の機能が低下した状態となってしまうと体はエネルギー不足となってしまいすぐに疲労してしまいます。
胆汁の生成
胆汁は、脂肪の消化吸収を手助けしている液体ですが、胆汁も肝臓で生成されていて間接的に脂肪の消化吸収の役割も担っているのです。肝臓では一日に700~1000ccほどの胆汁が生成されており、胆汁の生成が十分な状態に陥ってしまうと、消化吸収の機能が低下してエネルギーが十分に確保できなくなってしまったり、消化不良を起こしやすく便秘にもなりやすくなってしまうのです。
肝機能障害といいましても一つというわけではありません。肝機能は様々な役割があるため症状の出方もそれによって異なってきます。下記の症状が続くようでしたら、肝臓の異変も考えられますので一度病院で検査を受ける必要があります。
☑何をしてもすぐに疲れる
☑常に身体が重だるい
☑食欲がわかない
☑身体のむくみが取れない
☑尿の色が濃い状態が続いている
☑お腹がパンパンに張る
☑眼球の白めの部分や皮膚が黄色味がかる
☑全身がかゆい
肝臓の異常は、なかなか体に現れにくいため上記の症状が出たら症状が進行している危険性もあるので早急な対応が必要となります。肝臓にはもともと再生能力が備わっています。
それは臓器の中で肝臓だけに備わっている能力でたとえ肝細胞の一部が壊されたとしてもすぐに再生したり、再生の間でも別の肝細胞が活動を補うことが可能なためなかなか症状として体に現れにくく、現れた時には症状がかなり進行しているということが往々にしてあります。
肝機能障害の代表的なものとして
脂肪肝
脂肪肝は一度は耳にしたことがあるかと思いますが、その名の通り肝臓に脂肪がたまりすぎている状態です。正常時の10倍以上も脂肪が肝臓に溜まっている状態ですが。脂肪肝の症状はほとんどありません。脂肪肝が進行すると肝炎や肝硬変となってしまう危険性があります。
上記にもある通り肝臓には取り込んだ脂肪を代謝して貯蔵して必要に応じて各器官に送る機能がありますが、脂肪摂取の多い暴飲暴食やアルコール摂取が多いと肝臓内に貯蔵される脂肪が増えて脂肪肝となってしまいます。
脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝とがあります。アルコール性脂肪肝は、アルコール摂取が多くアルコールの解毒の過程で肝臓の働きが低下することで肝臓内の中性脂肪がたまっていきます。非アルコール性脂肪肝は、肥満や糖尿病の人でインスリンの働きが鈍くなり糖の代謝が鈍ることで肝臓に脂肪がたまりやすい状況となります。
肝炎
肝炎にはウィルス性のものとアルコール性のものとがあります。 ウィルス性肝炎にはA型・B型・D型・E型があり、日本ではB型肝炎とC型肝炎が大半を占めます。B型とC型は血液を介して感染します。A型とE型は水や食べ物を介して感染しますが、現代では衛生環境が整っているため減少傾向にあります。
アルコール性肝炎は脂肪肝の状態でもアルコール摂取量を減らさない状態を続けていると約2割の人はアルコール性肝炎を発症すると言われています。アルコール性肝炎は脂肪肝とは異なり、発熱やわき腹痛、食欲不振、むくみなどの症状が出ます。この状態でも禁酒をすれば肝臓の機能は改善する見込みがあります。しかしこの状態でもアルコール摂取を控えないと肝硬変となってしまい、肝機能は禁酒をしても効果がえられなくなってしまいます。
肝硬変
肝硬変は、その名の通り肝臓が固くなってしまった状態です。肝炎が進行して肝細胞が傷ついて修復する過程でだんだんと細胞が線維化して硬くなってしまいます。
肝硬変が重症化してしまうと肝臓がんとなり、最悪の場合生命の危険にさらされます。肝硬変となると肝臓の栄養の消化吸収作用や解毒作用がうまく機能せずに倦怠感や体重の減少、便秘、筋肉の痙攣などが症状として出ます。また肝機能が衰えることで血液を固める血小板が十分に作られなくなるためちょっとした刺激で内出血が起こりやすくなったり、鼻血が出やすくなってしまいます。
定期検診や人間ドッグなどで肝臓の検査が良く行われますが、簡単な基準値を頭に入れておくと良いでしょう。
・GOTとGPT
GOTとGPTは主に肝臓内にある肝細胞で働いている酵素で体の中の重要な構成要素であるアミノ酸の生成する役割があります。肝臓が正常に働いている状態ではGOTとGPTも正常に働きますが臓器が損傷することで分量が増加するため血液中のGOTとGPTの数値は高くなってしまいます。GOTは肝臓の他にも心筋や骨格筋にも多く存在しているため数値が高くなると、肝臓の病変以外にも心筋梗塞や筋ジストロフィーなども疑われます。
基準値は30IU/L以下と定められています。基準値を下回っていればほぼ問題ないと言えます。数値が50IU/Lが越えてしまった場合は注意が必要で肝臓に何らかの異常がある可能性があります。さらに100IU/Lを超えた場合は、ウィルス性肝炎や肝硬変の疑いがあります。
・γ-GTP
γ-GTPは肝臓や腎臓などで生成されて肝臓の解毒作用に関与している酵素です。また、エネルギー代謝を助けてたんぱく質を分解・合成する酵素でもあります。肝臓や胆管の細胞が破壊されると血液中にあふれ出すことから数値が基準値を超えると注意が必要です。
数値が上がっても身体に何か症状が出るわけではありませんが、数値が高いと脂肪肝や胆石などの疑いがあるので注意が必要です。 γ-GTPはアルコール性の脂肪肝や肝炎に反応してアルコールを飲みすぎると短期的に数値が上昇します。基準値は50IU/L以下で、それを超える100IU/L以上となってしまった場合は脂肪肝が進行している可能性があります。200IU/L以上となった場合、アルコール性肝炎や肝硬変、胆石や胆道がんなどの疑いも出てきますのでさらに詳しい検査が必要となってきます。
が整えられて太りすぎ状態を防ぐことで肝機能障害になりにくくなります。
眼精疲労の主な症状は、目の疲れに伴う痛みやピントが合わせづらい、視力の低下などの目の症状に加えて首肩こりや頭痛、全身の倦怠感などの全身症状も呈します。目は、人間の外部から得られる情報の中の約8割をも占めるといわれるとても重要な臓器の一つです。その視覚情報に不具合や不快感が生じてしまいますと全身にも影響を及ぼしてしまうのです。
現代社会では、パソコン作業やスマートフォン操作の増大によって近くの物を注視する機会が増えたことによって目に負担がかかり、目に関するトラブルが急増しています。人間の目は本来遠くのもが見えやすいように構造されています。それは、昔は目によって獲物を捕らえて狩りをしていたり、天候の変化を見極めて身を守っていたことに由来します。それが現代では、そういった機会少なく逆に近くの物を見る機会が増えており、それが目の構造とは真逆となって目に負担をかけているのです。
近くの物にピントを合わせようとすると目のピント合わせる毛様体筋に負担がかかり、その周りの眼輪筋などにも波及してしまいます。また、視線を動かすことが少なくなり、目を動かす6つの筋肉(外直筋・内直筋・上斜筋・下斜筋・上直筋・下直筋)が衰えてしまうことで物が二重に見えてしまう複視症状にもつながりかねません。
当院の眼精疲労に対する鍼治療では、目の周りに鍼を刺して疲労している筋肉に直接アプローチすることで目の循環を改善して疲労物質を排出してあげて栄養ある血液を行き届かせるように施術していきます。また、目の周りに温かいお灸を施すことで凝り固まった筋肉を緩ませる施術も行っていきます。
その他、眼精疲労を東洋医学で考えますと、五臓六腑の『肝』が深く関係しています。目にとって肝はとても重要な五臓の一つで肝の機能が低下してしまうと目に気血が十分に行き届かなかったり、逆に肝火が上炎してしまって充血や目の痛みに繋がってしまうと考えられています。当院では、肝のツボも用いて肝の状態を正常に戻すような施術も行っていきます。
また、全身施術として自律神経調整治療も行っていきます。目と自律神経も深い関係にあります。目のピントを調整する機能であったりまぶたの開閉、血液循環は自律神経が関係しています。目の不調は自律神経の乱れにつながりかねません。自律神経の乱れを整えることで目にもいい作用が働くと考えて施術していきます。
初診時に必要であれば自律神経測定器を用いて自律神経測定も行ってその方に合わせた自律神経調整治療を行っていきます。
・眼精疲労の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・視力低下の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・複視の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・首コリの鍼灸治療について詳しくはコチラ←
症例①
30代女性
社会人となって事務職に就いてからパソコン作業の時間が増えてそれに伴い5年ほど前から目の疲れや目の奥の痛みを定期的に感じるようになった。夜遅くまで仕事などもある時があり、なかなか寝付けない・全身の倦怠感・頭痛などの全身症状も最近出てきた。
眼科を受診したところ、少しドライアイ気味だが特に大きな病気は見つからず、目薬が処方されて点眼をしているがあまり良くならなかったため鍼治療を受けてみようと思ったとのこと。
鍼治療
特に目の奥の痛みが左側に現れることが多く、それに伴って左首肩にも痛みが波及していくとのことで、左目と左首肩に比重を置いて施術していきました。また、問診時に自律神経の乱れもあると考えられたため、自律神経測定を行い自律神経のバランスも調整する自律神経調整治療も合わせて行っていきました。
まず、うつ伏せとなり首肩の筋緊張の強い部分に鍼をしてその他背中にあるツボも施術していき、次に仰向けで目の周り特に左目の鍼の本数を増やして治療しました。左目にはさらに鎮痛効果が期待できる鍼通電を行い、症状の緩和をはかりました。
自律神経調整治療ではお腹手足のツボを用いて鍼やお灸療法も行っていきました。
・1~2回目
一回目の治療後、一番つらい状態が10(VAS)だとすると3~4程度に症状は落ち着いた。下肢の冷え症状も強く出ていたため、下肢にお灸を多く行って全身の巡りを良くしていきました。
・3回目
日常的に左目の痛みを感じることはなくなった。違和感程度。左目のVASは1~2ほどで、左首肩はまだVAS3~4ほど。
・4~5回目
仕事が忙しい時でも以前よりは寝つきが良くなってきた。左目と左首肩のVASは1~2ほど。でも、どうしても無理して体を酷使すると痛みが少し出る時もあるため、症状が出そうになった時だけ不定期に来院。
症例②
20代男性
美容師の仕事をしており、細かい作業が多く目をよく使う。また、髪を切る姿勢は頸肩に負担が多くかかるため常に首肩こりに悩まされていた。忙しい時は、ほぼ休みなく一日中カットをしている時もあり、そのような日は夕方くらいから目の周りに痛みが出てひどい場合には頭痛やめまいを起こすようになってしまった。
病院を受診して薬を処方してもらっていくらか症状は抑えられているが完璧な状態までいかずに何とかもう少し体が楽に仕事ができるようになりたいということで当院にご来院された。
鍼治療
まず頸肩の筋緊張の緩和と立って仕事をする機会が多く腰部の筋肉も過緊張状態であったためうつ伏せでそれらの筋肉をほぐしていきました。つぎに仰向けとなり、目の周りの筋緊張の緩和と自律神経の調整施術を行っていきました。また、眠りも浅く寝ても疲れが取れないという状態だったことから睡眠に関するツボも用いて鍼とお灸の施術を行っていきました。
・1回目
治療後、頸肩は楽になり、いつもよりも睡眠が深く取れたように感じたとのこと。目の状態はまだ夕方ごろになると疲れを感じてくる
・2回目
以前よりも目の状態は良くなったように感じるが、まだ夕方以降に調子が崩れてしまう
・3回目
夕方以降の目の状態は、VAS4程度と徐々に改善が見られるようになってきた
・8回目
7回目まではいい状態と悪い状態を繰り返す調子の波があったが、8回目以降は体も安定。夕方以降となっても目の疲れを感じにくくなった。
症例③
30代男性
半年前から目の奥の痛みや乾きが気になるようになった。
目薬をさしてもその場はよくなるがすぐもとに戻ってしまう。
1日10時間以上パソコンを使用している。
細かい作業が多く、長時間続けると頭痛がでることもある
目を温めると調子はいい。
当院の治療
目の周りの筋緊張の緩和を目的として、目のまわりに鍼を行い低周波治療器で電気を流した。
温めると症状が緩和されるとのことだったので、電子温灸器で目の周りを温め、血液循環がよくなるように治療した。
デスクワークによる首や肩のこりもあったためうつ伏せで背部の治療も行った。
経過
1回目
施術後視界がクリアになり、目の奥の痛みがなくなった。
2回目
目の痛みが軽減し、目薬も効くようになった。
頭痛も以前より回数が減っている。
5回目
仕事をしていると疲れるが、目のまわりを押したり温めると目の奥の痛みはとれるようになった。
頭痛も2週間出ていない。
今後も定期的な治療を続ける。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
大腿四頭筋は、大腿(太もも)の前面に位置する四つの筋群で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)から構成されています。この4つの筋肉はすべて膝関節をまたいでついており、膝を伸展させるのが主な役割ですが、大腿直筋は唯一股関節もまたぐため、股関節の屈曲にも貢献しています。
大腿四頭筋は、筋繊維が鳥の羽のように斜めに並ぶ「羽状筋」というタイプの筋肉で、強い力を発揮することができます。
・大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
大腿四頭筋の過緊張により膝のお皿の上側に痛みが発生します。膝蓋靱帯炎と原因は同じですが場所は違います。ジャンプ動作はもちろんダッシュなどの動作でも痛みが伴います。繰り返しの動作が続くほど受傷する可能性が高くなります。
・オスグッド病
10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをしすぎると発生します。大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由し膝を伸展させる力として働きます。
オスグッド病は膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。
・大腿四頭筋損傷
大腿四頭筋のうち損傷しやすいのが大腿直筋と中間広筋の二つです。大腿直筋は股関節と膝関節の二つの関節にまたがっているため特に損傷しやすいです。この筋肉に何らかの急激な牽引力が加わることで肉離れを起こしたり、外力が筋肉に加わることにより損傷します。
特に急激なストップとスタートを行うランニング動作を必要とするスポーツで起きやすい障害の一つです。筋肉が損傷すると発赤、腫脹、内出血、患部を押した痛みを伴います。受傷直後には、まずRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を的確に行うことが必要です。
・大腿四頭筋炎
大腿四頭筋炎とは、太ももの付け根や膝の2,3cm手前あたりに痛みや腫れを生じる疾患です。体を動かしているときや長時間立ったままの時に痛みが現れます。
椅子に座ったりして太ももをしばらく安静にしていると痛みが軽減するという特徴もあります。原因として加齢による太ももの筋肉の衰えや、バランスの悪い姿勢での長時間の立ち仕事、ハイヒール、外反母趾、偏平足、ハイアーチなど、足の骨の疾患を持っている人は、大腿四頭筋炎を起こしやすいです。
また、バレーボールなど、ジャンプを多く使う習慣のある人もこの疾患を起こしやすいことが知られています。
・変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の変形と痛みを主症状とした進行性の病気です。40歳以上の中高年の女性に多く、その原因は様々で、加齢による膝関節の老化や体重増加(肥満)、外傷、素因(遺伝子)、生活習慣なども関与しています。
大腿四頭筋は歩行の際の蹴り出しと着地の際に、膝関節に加わる衝撃を吸収する役目を担っています。膝関節に加わる衝撃は普通に歩くだけでも自分の体重の1.5倍~2倍掛かると言われ、また階段昇降では2倍~3倍とも言われており膝関節と大腿四頭筋は切っても切れない関係です。
この大腿四頭筋が筋力低下を起こすとその衝撃をうまく吸収することが出来ず膝への負担がより一層掛かってしまいます。衝撃を受けた膝は時間の経過とともに変形していき、最終的には変形性膝関節症になってしまうということです。
東洋医学では人体には14本のエネルギーの流れがあると考えられていますが、大腿四頭筋は「小腸経」と関係のある筋肉です。
また、東洋医学では痛みを「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺は「流れが悪く通じない」という意味で、身体の気や血の流れが悪くなり痛みを引き起こしていると考えます。また、これらの流れを妨害する原因としては風・寒・湿・熱・などの邪が侵入して起こると考えられています。
つまり何らかの原因で経脈(けいみゃく・・気血の流れる通路)が悪くなり気血が滞るためと考えるのです。
また、必要な気血などが足りない場合にも、筋肉が正常に働けずに痛みが出ると考えられています。
頭筋の筋緊張や膝の痛みに関与する場所に鍼やお灸を施します。
鍼灸は人間が持つ傷の修復作用を利用して、痛みにより固まった筋肉の緊張を緩和させます。
人間が体に傷を負うと血液循環が促進されるのですが、鍼灸では鍼やお灸を使用しあえて微細な傷を作り出すことで、血液循環を促し筋肉の緊張を緩和させます。
筋緊張が緩和され、血液循環が促進されると炎症物質や発痛物質の代謝を促し消炎・鎮痛効果、治癒促進の効果、関節可動域の拡大などが期待できます。
また、症状によって急性期には安静が必要な時期もあり、局所への治療はある程度炎症が治まってから行うのが無難ですが、この時期も経絡を応用した遠隔部よりのアプローチも消炎効果が期待できます。