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視神経萎縮の鍼灸治療

視神経萎縮とは

 

視神経萎縮の原因

 

 

視神経萎縮とは、視神経に何らかの障害が起こった場合に、視神経が萎縮し、機能しなくなる状態のことをいいます。萎縮の度合いにより視力、視野に障害が発生します。

視神経萎縮の主な原因は、視神経の外傷、変性疾患、腫瘍など視神経の病変のみでなく、周囲組織から視神経への圧迫、視神経の血管病変、網膜疾患、緑内障、ぶどう膜炎、栄養障害、薬物中毒などさまざまで、症状や治療は原因によって多岐にわたります。

また、ごくまれに遺伝性、あるいは家族性のものもあります。

残念なことに、いったん視神経萎縮が進んでしまうと、視神経は元に戻らず、視力や視野障害の回復は難しくなります。

 

 

視神経萎縮の分類

 

 

視神経萎縮の分類

 

①単性視神経萎縮

球後神経の障害により、逆行性に視神経乳頭に変化が生じたもので、乳頭は陶白色、色調は鮮明で乳頭の混濁はなく、篩状板の透視は良好です。定型的なものとして視神経の外傷、切断、脊髄勞性視神経萎縮、圧迫や脳下垂体腫瘍、循環障害などがあります。

 

②炎性視神経萎縮

視神経乳頭部での浮腫性病変が生じた結果によるものです。

視神経乳頭の境界は不鮮明で、色調は灰白色~汚い白色。視神経乳頭組織のグリア細胞や葉性組織の増殖のため視神経乳頭の混濁が見られ、篩状板は透視できません。また、視神経乳頭上血管はグリア性白鞘で覆われていることが多いです。

覗視神経乳頭炎やうっ血乳頭など乳頭腫脹を起こす病変をきたした場合に起こります。

 

③網膜性視神経萎縮

網膜色素変性やその他の網膜病変によって、広範囲の網膜神経節細胞が障害されたことによる視神経萎縮で、網膜動脈の狭細化や網膜実質の変性や萎縮を伴い、視神経乳頭は黄白色を帯びて境界不鮮明となります。

 

④緑内障性視神経萎縮

原因は緑内障で、境界は鮮明、色調は蒼白。乳頭陥凹が認められます。視神経軸索の組織学的消失と網膜神経節細胞が障害されたことによる視神経萎縮です。網膜動脈の狭窄化、網膜実質の変性と萎縮を伴います。

 

⑤遺伝性視神経萎縮

遺伝性視神経症で遺伝子によるものです。常染色体優性視神経萎縮です。

 

視神経萎縮の症状

 

視神経萎縮が起こると主に視野が狭くなります。主な症状としては視野縮小、具体的には見える範囲が少しずつ減り、見えない部分は黒く映るといった現象が主体です。

視野中の見えなくなってくる部位については個人差があり、視野の真ん中から見えなくなってくる人もいれば、左右上下の周囲部分から見えなくなってくる人もおり様々です。また、これには高確率で色覚異常が伴います。

自覚症状として、視力障害や視野欠損がありますがその程度は、原因となる疾患によって様々です。

 

西洋医学的治療

 

検査

視力検査、眼底検査では、視神経乳頭の色が黄白色になっていたり、視覚誘発電位検査や蛍光眼底検査、中心フリッカー検査、MRIなどの検査により診断されます。また、脳神経外科的な検索や病気の原因を調べるために血液検査なども行います。

 

治療

原因が分かっている場合には、その原因疾患に対する治療を行います。
副腎皮質ステロイド薬やビタミン製剤などの投与を行う場合もありますがその効果は不明です。また、循環障害では循環を改善させるような薬物や高気圧酸素療法が用いられることがあります。一度視神経萎縮が進行してしまうと、視神経はもとに戻らず視力や視野傷害の回復は困難です。

 

視神経萎縮に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。

また東洋医学では『肝腎同源』といわれており、肝血と腎精は互いに補い合っています。加齢により腎精が減少して肝血にも影響を与えると考えられます。

 

当院の鍼灸治療

 

視神経萎縮に対する眼への電気鍼治療

 

鍼灸治療では主に、原発性(原因不明)の視神経萎縮と、炎症によって引き起こされた続発性の視神経萎縮を治療します。

眼科検査で視神経萎縮と診断された場合でも、比較的若い方で診断からの経過が短い場合には、鍼治療により視力、視野などが改善する症例があります。

これは、眼底検査などで視神経萎縮とされていても、実際の視機能は残存している場合もあるためです。

しかし、長期間が経過した視神経萎縮では大きな改善は難しいため、原因疾患の再発や進行を抑えて現状を維持することが鍼治療の目標となります。

 

当院ではまず、内臓機能、血液循環、免疫機能などを主る自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

まず、うつ伏せで首肩周りに鍼やお灸をすることで筋緊張を緩和し、顔面部の血液循環を促進します。

首肩周りへの鍼やお灸治療

 

 

次に仰向けで、目の周囲のツボ鍼やお灸で刺激を与え、血液循環を促進し眼の機能を高め、視中枢や視神経細胞を修復させる作用を促します。

東洋医学的観点から肝や腎をはじめとした五臓六腑の機能調整、生命維持に欠かせない気、血、水をの流れを整えるツボなどを用います。

さらに自律神経系の調整施術を行い、全身的な血液循環の促進と内臓機能や免疫機能を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えていきます。

 

 

パニック障害の鍼灸治療

パニック障害に対する当院の鍼灸治療

 

パニック障害の鍼灸治療方針

 

パニック障害に対する当院の治療は、まず第一に自律神経の状態を整えることです。

パニック障害の鍼灸治療

 

当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握してから治療していきます。
自律神経の状態を把握することはパニック障害の治療においてとても重要なことであり、自律神経の状態を把握することで高い治療効果が期待できます。

また、東洋医学的観点から身体全体のバランスを診ていきます。パニック障害においては、上記のような東洋医学でいう『』や『』の機能低下が起きている場合が多いです。そのような機能が低下している部分やまた逆に機能が亢進し過ぎている部分を調整していきます。

パニック障害は、仕事や学校に行くことができずに生活の質(QOL)を著しく低下させている方が多いです。そのような方が、社会復帰できるように全力でサポートしていきます。

 

パニック障害の方は、首横の筋肉の胸鎖乳突筋が過緊張状態の方が多く、当院ではその筋肉をほぐすために首横へも鍼灸治療を施していきます。

パニック障害の胸鎖乳突筋への鍼治療

 

 

 

パニック障害の東洋医学的考え

 

パニック障害は東洋医学では、五臓六腑の『』と『』が深く関係していると言われています。

・肝の重要な機能
東洋医学でいう『』の重要な機能として挙げられるのが『肝は疏泄を主る』『肝は血を蔵する』という機能です。
肝は、情緒を安定させて精神状態を正常に保つ役割や自律神経系の機能によって全身の各機能を円滑に働かせる機能があります。

また肝は、血を貯蔵して状況に応じてその量を調整しています。血管の収縮や弛緩などで全身の血流量も調整しているのです。

 

・心の重要な機能
東洋医学でいう『』の重要な機能として挙げられるのが、『心は血脈を主る』『心は神を主る』という機能です。
『心は血脈を主る』という機能は西洋医学の心臓と似たような働きです。心臓の拍動によって循環を正常に遂行させるというものです。それに加えて各部分の新陳代謝などの機能も担っています。

『心は神を主る』の『神』は思考や分析や判断にあたるもので、それらを主っているのが『心』だと考えられています。

 

・肝と心の関係
血の運行でとても深い関係にあります。循環系は『心』の血脈を主る作用と『肝』の血を蔵するという機能によって調整されています。

また、思考や精神状態の安定にも『心』と『肝』は深い関係にあり、『心血』や『肝血』によって正常に保たれています。よって『心』や『肝』の機能低下によって『心血』や『肝血』が不足してしまうとパニック障害などの精神疾患に罹ってしまうのです。

 

 

パニック障害の鍼灸治療症例

30代 女性

仕事が忙しく、夜は終電時間を超えてまで仕事をしていることも多い。土日も休まず働く日々が3か月ほど続いた。睡眠時間も一日5時間程度で食事も外食やコンビニ弁当ばかりでバランスよく取れていなかった。
ある日、仕事の会議中に激しい動悸と息苦しさ・手の痺れが出て、会議を途中で退席した。横になってしばらくすると症状は治まったが、それ以降その現象がいつ起こるのかという恐怖・不安感を持つようになってしまった。病院で検査をしたが、特に体の異常は見つからずに心療内科の受診を促されて受診をしたところパニック障害と診断された。
会議中はもちろんのこと電車や人混みの中でも強い恐怖感を感じるようになり、仕事にも行けなくなり、休職せざるおえなくなった。

当院の治療
自律神経測定器を用いて自律神経を測定したところ午後7時頃の測定だったにもかかわらず交感神経が過亢進状態でした。
まずは、自律神経の状態を整えて東洋医学的診断法に基づいて治療していきました。

治療経過
◇1回目◇
治療後、帰り道など恐怖感や不安感はまだ強い状態だったが、その夜はぐっすりと睡眠することができた。
治療に加えてバランスの良い食事と入浴後のストレッチをしてもらうようにしました。

◇2~4回目◇
電車や人混みではまだ恐怖感や不安感を感じる。休職前は手汗をすごくかいていたが、最近はあまりかかなくなった。

◇5~7回目◇
だんだんと恐怖心が薄らいできた。コンビニや本屋などは恐怖心を感じず、行けるようになった。

◇8回目◇
以前は電車や人混みで恐怖心が強く、心に余裕が持てなかったが少しずつ心にも余裕が持てるようになってきた。

◇9回目◇
職場に復帰。最初は、労働時間を短くしてもらい少しずつ体を慣れさせていった。恐怖感・不安感は多少感じるが以前ほどではない。

◇10回目◇
身体が仕事に慣れていくうちに徐々に恐怖感・不安感を感じなくなった。

 

20代 女性
バイト中に急にめまいと動悸がして、このまま死んでしまうのではないかという恐怖感を感じた。その日はなんとかバイトを最後まで行った。テスト勉強も重なり、体が疲れていたからだと感じ、一晩多めの睡眠をとれば治ると考えていた。しかし、次の日もバイト中にめまいと動悸を感じて昨日よりもそれらが強く出て不安感や恐怖感も強く感じた。さすがにバイトを続けることができずに内科を病院に受診したところ特に検査で異常が見つからず、心療内科の受診を勧められた。

心療内科を受診したところパニック障害と診断されて抗不安薬や抗うつ剤を処方されて服用していたが、あまり改善されずに当院にご来院された。

 

治療経過
問診を詳しく行っていくと、症状が強く前にテスト勉強でほぼ徹夜状態が続き、テストが終わっても友人と飲みに行くその翌日に発作が起きたとのことでした。自律神経測定器で検査した結果、午前11時にもかかわらず副交感神経の活動が高く、正常な自律神経の反応とは違う結果が出ていました。
最近では、不安感を感じる場面が増えてきて電車の中や人込みでも恐怖感・不安感におそわれることもある。

◇1回目◇
治療を受けた直後から身体のだるさを感じてその夜は熟睡できたとのこと。電車の中ではまだ不安感を感じる。治療と並行して生活のリズムを整えて行き、睡眠時間の確保と早朝の散歩、規則正しい食事を心がけていただいた。

◇2回目◇
電車の中の不安感はいくらか和らいだ。しかし、まだ外に出る恐怖感が消えずに外出を控えているとのこと。大学もテスト後休みに入っており、バイトも今は休んでいる。

◇3回目◇
夜寝つきが悪い日があり、その次の日は不安感を感じやすい。よく眠れた日は不安感を感じにくく、外出する元気も出てきた。

◇4回目◇
前回よりも今回は睡眠が安定してきて電車の中での不安感は感じなくなった。

◇5回目◇
バイトに復帰。最初は、2時間程度から始めた。バイトに入る前は不安感を感じたとのことだが、始まると不安感は徐々に消えていった。

◇6回目◇
治療間隔も少しずつ伸ばしていった。前回までは3~4日に一回ほどだったが1週間に1度程度にした。バイトも続けているが問題なくやれているとのこと

◇7回目以降◇
治療を2週に1回、1カ月に1回と徐々に延ばしていき、疲れが少し溜まってきたら治療を受けるようになった。たまに不安感を感じることもあるが、以前のようにひどくなることも治まっていくとのこと。

 

 

パニック障害とは?

 

パニック障害とは、突然何も前触れもなく全身に汗をかいたり、動悸やめまい、息苦しさなどの異常を感じてこのままだと死んでしまうのではないか、気が狂ってしまうのではないかと恐怖に襲われることです。

この恐怖に襲われることをパニック発作といいます。大体は、10分~1時間程度でおさまることが多く、発作が起きて病院などで診てもらう時には治まっていることが多く、血液検査や心電図などの検査をしても何も異常が出ないのが特徴です。

パニック発作を繰り返していると、また発作が起きてしまうのではないかと不安に駆られて人混みや電車の中などあまり逃げ場のない場所に出ることが難しくなります。これを「予期不安」と言われ、代表的なものに広場に出ると恐怖感が出る「広場恐怖」などがあります。

パニック障害は日本人の100人に1人の割合で罹る病気と言われており、決して珍しい病気ではありません。

パニック障害は気持ちの問題というようなものではなく、脳の働きの変化が関わっていると最近では研究で明らかになってきました。決して一人で抱え込むものではなくて早期に適切な処置を受ける必要があるのです。早期に治療を開始するとそれだけ予後も良好な場合が多いです。

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パニック障害の主な症状

パニック障害は何も処置をせずに放っておくと「パニック発作」➡「予期不安」➡「広場恐怖」➡「うつ病」という経過をたどる場合が多いです。

 

パニック障害の症状

 

・パニック発作

パニック発作の症状や起きる状況は人によって様々です。

多くは、突然の激しい不安感動悸息苦しさ体の一部の痺れや震えめまいふらつき感などを感じます。体の状態としては、寝不足・炎天下での作業・風邪などで体が弱っている時に起きる場合が多いです。

パニック発作が起きやすい状況は、電車に乗っている時や多くの人の視線が集まる会議中やプレゼンの時、車を運転している時などです。

 

 

・予期不安

パニック発作が起きてしまうとそれと似た状況になった時などに、また発作が起きてしまうのではないかという不安感に駆られてその不安感が段々と大きくなり、日常生活でも不安感を感じやすくなります。

 

・広場恐怖

パニック発作が起きてしまうとパニック発作が起きてしまった状況を避けようとします。そのような発作が起きてしまうのではないかといった恐怖感を広場恐怖といい、広場恐怖を感じるとそれらの行動を避けようとします。多くは、公共の乗り物や高速道路での運転、会議中などその場から逃げ出せないような状況の時に恐怖感を感じやすいです。

 

 

・うつ病

パニック発作を適切な処置をせずに放っておくと、うつ病を併発してしまう場合があります。

パニック発作を繰り返しているうちに出掛けることが億劫になってきたり、仕事に支障が出てきたりと気分が落ち込みやすく、繰り返していくうちにうつ状態になりやすくなります。

 

パニック障害の診断基準

パニック障害の診断はよくアメリカで提唱されている基準が使用されています。

 

以下の13項目のうち4つ以上あてはまる場合は、パニック障害の可能性があると言われており、専門医の診断を受けた方が良いでしょう。

 

  • ・動悸や脈拍が早くなる
  • ・全身特に掌に多量の汗をかく
  • ・体や手足の一部分が震える
  • ・息切れや息苦しい感じがする
  • ・喉が詰まった感じがして苦しい
  • ・胸の痛みや圧迫感がある
  • ・吐き気、腹部の不快感がある
  • めまい、ふらつき、意識が遠くなる
  • ・自分が自分でなくなり不安を感じる
  • ・狂ってしまうのでないかという恐怖に襲われる
  • ・発作で死への恐怖を感じる
  • ・体の一部にしびれ感やうずくような感覚
  • ・手足の強い冷えやほてり

 

 

パニック障害の原因

パニック障害の原因は未だに詳しくは解明されていません。しかし、様々な研究で脳内の神経伝達物質の異常によって引き起こされるという原因が有力と言われています。

 

人間は恐怖を感じると逃避行動に出ます。それは脳内の偏桃体大脳皮質という部分が深く関係しています。特に偏桃体は、情動反応や記憶を処理する部分です。大昔では、外敵や動物から身を守るために危険がせまり、恐怖を感じると偏桃体が反応して血管など身体を収縮させて素早く逃げやすくさせる反応が起きます。

しかし現代ではそういった状況になることは、稀です。仕事や人間関係、家庭などでストレスが蓄積しやすい現代では、むしろ上記のような会議中や電車の中など逃げ場のない状況で恐怖を感じて偏桃体が反応してしまうのです。

偏桃体から恐怖感や不安感が発信されますが、その信号を抑制している物質セがロトニンやGABAです。しかし、パニック障害に罹ってしまう方の多くは何らかの原因でこのセロトニンやGABAという物質が少なくなっていることが明らかになっています。

 

また、パニック障害の方は恐怖を感じると、脳の青斑核という部分から排出されるストレスホルモンであるノルアドレナリンが多量に出てパニック障害の症状が出てしまうという説もあります。

 

 

パニック障害を患いやすい人

うつ病を始めパニック障害なども原因が明らかにされておらず、原因解明のために様々な研究が今も続けられています。様々な研究の中でどういった方がパニック障害に罹りやすいのかということがわかってきました

 

・遺伝の関係

親や兄弟などの親族がパニック障害を患っていると、パニック障害に罹りやすいという研究結果が多く報告されています。

ある研究によると親族にパニック障害に罹ったことがある方とそうでない方とではパニック障害に罹る確率が約8倍も増えたという結果もあります。

 

・養育環境や家庭環境

幼少期に虐待を受けたことがあるなどの養育環境に問題がある場合や親またはパートナーとの関係が上手くいっていない場合にパニック障害を患いやすいという研究結果が出ています。

 

・性格

厳密な研究結果は出ていませんが、パニック障害を患う人の性格的な特徴はあります。性格的に内気な人・引っ込み思案の人・悲観的な人・人見知りな人などの方に多い傾向にあります。

 

 

パニック発作が起きてしまった時

パニック障害は、正直なところすぐに治るような病気ではありません。治療期間中にも発作が起きてしまうことも少なくありません。起きてしまった時でも発作を抑えて起きても平気だと思えることが治癒への第一歩となります。

もしパニック発作が起きてしまった時にはまず呼吸に意識を向けることが重要です。呼吸が浅く速い呼吸となってしまうと交感神経の活動を高めてしまいさらに発作を助長してしまう危険性がります。呼吸法としましてはとにかくゆっくりと深く呼吸をすることが重要です。どうしても呼吸するときは吸うことを意識してしまいがちですが息を吐くことに意識を向けます。そして4秒間鼻から息を吸ってゆっくり口から6秒間息を吐くというように呼吸に意識を向けます。

また、その際に余裕があれば心を落ち着かせる手のツボ『神闕』というツボを押しながら行うと良いです。そのツボに関しましてご来院の際に場合によっては皮内鍼といって鍼のシールを貼って常に刺激させる治療を行うこともあります。

そして、パニック発作は永遠に続くことはないと思うことも重要です。必ず発作はいつかは治まるのです。そう自分に言い聞かせるのです。気の持ちようなのかと思われるかと思いますが、発作が起きている時にそう思えるだけで発作が意外と早く収まっていく方が多いです。

また、どうしても発作がコントロールできない何をしても収まらないと感じたら「逃げ場」を作っておくことも重要です。電車内で発作が起きやすいのであればドア近くにいたり、映画館であれば出口近くの座席に座るなどです。

 

強度の高い運動がパニックや不安を取り除く

運動習慣は、身体面の利点ばかりでなく、精神面での利点も様々な研究により明らかになってきています。運動は、身体だけでなく脳にもいい影響をもたらしてくれます。

2004年アメリカのサザンミシシッピだいがくで行われた研究です。
不安感受性が高く、全般性不安障害を抱えている運動不足気味の学生54名を対象とした研究で2つにランダムに分けて行われました。どちらのグループにも2週間の間に20分間の運動を6回させましたが、一方のグループは最大心拍数の60~90%の強度でランニングを行ってもらい、もう一方のグループには最大心拍数のおよそ半分ほどのゆったりとしたペースでランニングを行ってもらいました。

結果は、どちらのグループにも不安感受性の低下が認められましたが、運動強度の高いグループの方が大きな効果が出ました。
運動強度の高いグループでは運動によって鼓動が早くなり、一種のパニック発作のような感覚を身体に出現させて、そうした肉体的な現象が必ずしも不安の発作につながらないということを脳に教え込んだといえます。パニック発作はある種の体の興奮状態でそれを脳は恐怖と捉えるわけであり、運動によって体の興奮が気持ち良いものと捉えることで不安やパニックが解消されやすくなるのです。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

鼻涙管閉塞(涙目)の鍼灸治療

鼻涙管閉塞とは

 

目を潤し、またさまざまな病原から目を保護するために、目には涙液が流れています。涙液は涙腺と副涙腺で分泌されて上涙点と下涙点から吸い込まれ、細い管(上涙小管、下涙小管。2つが合流して総涙小管)を通って涙嚢に達し、鼻涙管を通過して鼻腔へと流れ込みます。

この鼻涙管が閉塞して、涙が鼻へとうまく排泄されなくなっている状態を鼻涙管閉塞といいます。

ご高齢の方がなりやすい病気ですが、生まれたばかりの赤ちゃんのうち10%は鼻涙管閉塞があるといわれています。ただ、生まれつきの場合は一歳になるまでにほとんどが自然に開通するといわれています。

 

 

鼻涙管閉塞(涙目が続く)原因

 

鼻涙管閉塞の原因

 

先天的な原因

生後間もなくは鼻涙管の発達が不十分なことも多く、先天的に鼻涙管が閉塞もしくは狭窄(狭くなる)していることがあります。成長とともに鼻涙管の発達も期待できますが、なかには発達が不十分になることもあります。

後天的な原因

後天性鼻涙管閉塞は多くは加齢現象としてみられており、中高年の女性に多くみられます。その原因の1つとして、もともと女性は涙道が狭いことが考えられます。また、女性では化粧品の流入などによる炎症などが原因で鼻涙管閉塞を引き起こすことがあります。

その他、後天的な要因から発症する場合、原因を目の疾患と鼻の疾患に大きく分けることができます。

 

目の疾患

結膜炎が代表的です。空間的につながりのある鼻涙管に炎症が広がってしまうことから鼻涙管閉塞を発症します。

鼻の疾患

鼻炎などの炎症が広がることがあります。蓄膿症やポリープなども鼻涙管閉塞の原因となることがあります。

 

鼻涙管閉塞の症状

 

鼻涙管閉塞になると片眼、または両眼から常に眼脂が出る、涙が出る、潤む、目やにが増える、涙で視界がぼやける、目の周りの皮膚がただれる、目頭が感染を起こし赤くなるなどの症状を引き起こします。

 

鼻涙管閉塞に対する西洋医学的治療

検査

涙道通水試験と呼ばれる検査をもとに診断を行います。これは涙点から生理食塩水を注入し、鼻から生理食塩水が排泄されてくるかどうかを確認する検査です。

本来であれば、涙は涙点から鼻涙管を介して鼻へと流れていきます。つまり、目と鼻は一つの空間として構成されています。そのため、健康な状態であれば、涙点に注入された生理食塩水が鼻の中へ排泄されることを確認することができます。しかし、鼻涙管閉塞では生理食塩水の排泄を鼻で確認することができません。

その他、原因となる疾患を検索する目的で、眼科的な検査や耳鼻科的な検査が併用されることもあります。

 

治療

基礎となっている病気に対するアプローチに加え、年齢や鼻涙管閉塞の症状に応じて治療方法が決定されます。

先天性の鼻涙管閉塞では、生長とともに鼻涙管閉塞が自然に改善することも多く、マッサージなどを行う程度で保存的に経過をみることもあります。具体的には目頭を一日のうちに数回定期的にマッサージする「涙嚢マッサージ」と呼ばれる方法がとられることがあります。

涙嚢マッサージを行いながら、抗生物質の点眼薬を併用することもあります。また、涙道通水試験を治療的な意味合いで併用することもあります。

保存的な治療で改善が見られない場合には、鼻涙管開放術(ブジー)を行います。鼻涙管開放術は、涙点から細い針金を鼻涙管に差し込み、物理的に涙の流れを阻害している部分の通過性を向上させる方法です。

鼻涙管開放術を行っても症状が改善しない場合には、鼻涙管にチューブを挿入、留置することもあります。さらに、涙嚢と鼻の通り道を形成する涙嚢鼻腔吻合術と呼ばれる手術が選択されることもあります。

 

涙目に対する東洋医学的考え方

 

蓄膿症の場合

炎症や、化膿、発熱、充血、疼痛、出血などの熱証

五臓の肺の機能低下、脾胃の機能低下などが考えられます。

結膜炎の場合

東洋医学では「肝は目に開竅する」という言葉があります。これは目と肝に密接な関係があることを示しています。肝は各器官に気・血・津液がすみずみまで流れるよう、量や配分を調整しています。このような働きを疏泄機能といいます。

血を主る肝が疲労などで消耗すると、目まで栄養を送ることが出来なくなり、目へと悪影響が及びます。また、肝は生命の源である「腎」と深い関わりがあります。肝血が不足すると、腎は腎精を血に変えて、肝血を補い、反対に腎精が不足すると肝は肝血を精に変えてお互い補い合うことで機能を維持しています。

 

当院の鼻涙管閉塞(涙目)に対する鍼灸治療

 

鼻涙管閉塞の鍼灸治療方針

 

当院では、全身の血流、内臓機能、涙の分泌などに深く関わる自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

まず、顔面部の血流を促進するため、うつ伏せで首や肩周りの筋緊張を緩める施術を行います。次に仰向けで鼻涙管周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え、閉塞部を刺激し鼻涙管の詰まりを和らげる作用を促します。

鼻涙管閉塞の鍼治療

 

また、東洋医学的観点から肝や腎を中心とした五臓六腑の機能調整を行います。さらに、自律神経の調整施術を行うことで内臓機能や免疫機能を高め本来お身体の持つ自然治癒力を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。

 

膝の痛みの鍼灸治療

 

膝痛の主な原因

変形性膝関節症(膝の痛み)の鍼灸治療

 

東洋医学からみた変形性膝関節症は気血両虚か『肝腎両虚』によるものだと考えます。

膝には肝、脾、腎の三経が通るため非常に重要な部位になるため障害が起こりやすいです。

三経の内、肝は筋を、脾は肌肉を、腎は骨に関係します。

この三経の状態を治していくことが変形性膝関節症の治療になります。

腫れがひどい場合には、湿熱や寒湿、熱毒、湿毒などの関係も調べて治療していきます。

変形性膝関節症の鍼灸治療

膝の状態が悪く痛みをかばったまま歩行をしていると腰部の筋緊張を招くことが多く、膝の治療に関しましても腰部や背部の筋緊張緩和を目的に施術を行っていきます。

変形性膝関節症の腰臀部への鍼灸治療

自律神経治療

当院では、自律神経を測る機械で自律神経のバランス状態を調べてから治療に入ります。

自律神経測定

交感神経や副交感神経のバランスが崩れていると血行状態がわるくなり回復が遅くなります。痛みはストレスからも引き起こされるため自律神経のバランスが悪いため免疫やストレス耐久力なども痛みの原因となります。

東洋医学から調べた肝、脾、腎に合わせて自律神経を整えることで、変形性膝関節症の治療速度を速めます。

 

膝の痛みに対する自律神経調整鍼灸

 

骨盤矯正

膝は骨盤からの影響を受けやすい部位です。骨盤が歪んでいるために膝に負担がかかり変形性膝関節症になる場合もあります。骨盤が前傾や後傾、左右の歪みにより下肢が正しく地面に着けなくなると間の膝が損傷しやすくなるためです。

当院では、関節の歪みを整える治療法がありますので、歪んでしまった骨盤や股関節、膝関節の矯正を行います。

関節の歯車を上手く整えることで関節内の関節液が出やすくする状態に治してあげることで、関節の動きをスムーズにしていくことができます。

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変形性膝関節症の痛みに対する鍼の有効性についての研究

 

変形性膝関節症の痛みに対する鍼治療の有効性を示す研究が海外でも行われています。

南スペインの公立プライマリーケアセンター疼痛治療班の研究では、変形性膝関節症患者に対する薬物療法の補助治療として鍼の有効性を確かめる試験が行われました。

変形性膝関節症の治療に通る患者97名を対象に試験が行われて、患者をランダムに2つの群に割り当てました。

一つ目の群は、非ステロイド性抗炎症薬の投与に加えて鍼治療を行った群(48名)で、2つ目の群は非ステロイド性抗炎症薬の投与と偽鍼治療群(49名)です。

鍼治療群では電気鍼治療も加えて治療期間は12週間行いました。

評価法は、疼痛・こわばり・身体機能に関するサブスケールと疼痛強(VAS)・生活の質プロフィールなども用いて変化を見ていきました。

結果は、鍼治療を行った群が疼痛・こわばり・生活の質全てにおいて偽鍼群よりも顕著に改善されたという結果が出ました。

膝の痛みに対する鍼灸治療症例

 

40代 男性
数か月前より右ひざに痛みが出るようになった。特に朝や座って立ち上がるときなどに痛みが強く出て症状が強く出るときは立ち上がり動作がつらくなり、すっと力がぬけてしまう感じがしていた。あまりに痛いので整形外科を受診したところ変形性膝関節症と診断されてしまった。その時は膝に注射を打って数日痛みが治まったが、数日経つとまた痛みが出てくるため整形外科では手術を勧められた。しかし、知人で同じような手術をした方がいてその方はあまり症状が改善されなかったため手術を何としても回避したいと考えて当院にご来院された。

 

治療
まず仰向けになっていただき、膝周囲に鍼通電療法とお灸療法を施し、次にうつ伏せで膝裏や腰部にも施術していきました。最後に下肢から腰部にかけて入念にストレッチと骨盤矯正を行っていきました。また、30代の時と比べると体重が20キロほども増えていたためそれが膝への負担を増加させていると考えられているため日々の生活で体重減少と下肢の筋肉のトレーニングを行っていただきました。

◇1回目◇
治療後、立ち上がり動作は楽になったと感じた。次の日の朝も以前よりは痛みを感にくくなった。

◇2~5回目◇
治療後は膝の調子はいいが、数日するとまたもどってしまう状態を繰り返していた。

◇6~10回目◇
体重も徐々に減少。膝への負担も軽減してきた。膝の痛みも感じることが減ってきて立ち上がり動作をしても痛みはほぼない。

 

 

 

変形性膝関節症(膝の痛み)とは

 

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減って、関節炎や変形を生じて痛みなどを引き起こす病気です。

変形性膝関節症は傾向として、肥満型の女性に多くなりやすい病気です。性別差では1:3の割合で女性の方が多いです。関節軟骨の退行性変性は体重による負荷が関係するため肥満体型の方がなりやすいと考えられています。

原因がはっきりしない加齢によって起こる変形性膝関節症と、何らかの原因により生じる二次性の変形性膝関節症に分類されます。

変形性膝関節症の約8割が膝関節の疾患がなく発症する一次性のものです。

二次性の疾患には、十字靭帯損傷半月板の外傷化膿性関節炎などの感染の後遺症、痛風骨折脱臼などが影響して起こるものです。

一次性変形性膝関節症は軟骨の退行性変性によって起こるものです。

一次性の変形性膝関節症では、その主因と考えられている膝関節の関節軟骨における退行性変性は40歳代から始まり、50歳代を過ぎると膝痛を中心とした症状の発症が起こってきます。

変形性膝関節症は、関節軟骨の退行性変性を原因とする疾患である。すなわち、加齢による膝関節の関節軟骨の変性によるもので、このため本疾患は高齢者に多くなります。

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成因

正常の膝関節の表面には、弾力性に富んだ軟骨に覆われています。この関節軟骨が衝撃や外力からのクッション材になることや、関節の動きを滑らかにする役割があります。

また周りを覆う滑膜からは膝関節がスムーズに動くための関節液がでます。この関節液には、関節の潤滑油と軟骨の栄養の役割があります。

変形性膝関節症の初期段階では、この関節軟骨が摩耗によりすり減り痛みを感じ始めます。膝に負担がかかる動きで感じやすいので、立ち上がり時や、階段昇降時などです。

 

この状態が続くと状態が進行して、軟骨部分が摩耗により下の骨が変形してくるようになります。この部分が骨棘となり擦れるたび強い痛みを生じるようになります。

この段階になると日常生活でも大きな障害になりますし、骨同士がぶつかり合うため関節の可動域も大きく制限されてきます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

脳卒中後遺症の鍼灸治療

脳卒中後遺症の東洋医学と鍼灸治療

 

中風七穴

 

東洋医学では脳卒中のことを『中風』または『卒中』といわれ、古くから中国の古書「内径」に記載されています。東洋医学では、歴代の医学家が数千年にわたって病因・治療・予防・療養の観点より総合的に研究して学説として形成されていて東洋医学の治療の中でもとても重要な位置づけがなされている疾患の一つです。

脳卒中麻痺のうつ伏せ鍼灸治療

当院の鍼灸施術では、古くから脳卒中の特効穴と知られる『中風七穴』を用いたり、1972年から石学敏教授を中心に開発された『醒脳開竅法』の治療理論、自律神経調整治療を用いて総合的に施術していきます。醒脳開竅法の研究では、脳血液供給量や血液年度の改善、脳波の改善等が見られており、治療効果が実証されています。

脳卒中麻痺の頭部への鍼灸治療

 

石学敏教授の研究によると、1972年~1988年の17年間に入院治療患者総数2959例の脳血管障害患者に対して醒脳開竅法を行ったところ、治癒1698例・著効542例・好転613例・無効47例・死亡59例という臨床結果が出ています。

また、麻痺が起こっている筋肉にマッサージやストレッチなどの手技療法も用いて麻痺などの改善をはかります。

感覚障害の場合、損傷を受けた感覚器に繰り返し刺激を与えているうちに感覚機能が回復する可能性があるため鍼通電療法を用いて継続的な電気刺激をあたえていきます。

脳卒中麻痺の腕への鍼灸治療

 

脳卒中後遺症への鍼灸治療の海外での研究動向

海外では、脳卒中後遺症に対してリハビリと併用して鍼灸治療が行われているところもあります。今回は、ノルウェーで行われた鍼治療の臨床研究をご紹介します。

一つは、ノルウェーのスンナス・リハビリテーション病院で行われた研究です。片側脳卒中発症後、約1か月入院して引き続きリハビリを受けた49例を対象に鍼治療群(26例)コントロール群(23例)に分けられました。すべての患者さんに各々に適合したリハビリを6週間にわたって受けていただき鍼治療群に対してはそれと併用して鍼治療を週に3~4回受けてもらい、コントロール群はこれらの追加治療を受けませんでした。

評価法はベッド上での寝返りなど運動能力項目を8個用意し、運動能力評価スケールをこの試験のことをまったく知らない理学療法士が評価しました。また日常生活の活動性を患者さん本人の自己申告に基づく評価法も用いて評価していきました。

主な結果は、6週間後に測定し、鍼治療群とコントロール群ともに運動能力評価スケール・自己申告での評価スケールの改善が見られましたが、鍼治療群がコントロール群よりも運動能力評価スケール・自己申告での評価スケールともに有意な改善を示しました。

この研究では鍼治療を加えることで脳卒中後遺症患者の回復が促進されると結論付けています。

 

脳卒中を予防する

脳卒中は、悪い生活習慣が原因で起こることが多く、生活習慣病の一種だと言われています。

生活習慣を改善して脳卒中の原因となる危険因子を一つでも減らすことはとても重要なのです。その他、脳卒中となる前には体の不調など前兆となる変化が体に起こることが多く、その前兆を見逃さずに軽い症状だとしても専門医に診てもらうことも脳卒中後遺症が重症化しないためにも重要なことです。

脳卒中の危険因子として高血圧糖尿病が挙げられます。これらは毎日の食生活や運動習慣でコントロールしていく必要があります。塩分摂取を控えて適度な運動をしましょう。

理想的な塩分摂取量は一日だいたい5~7g程度とされています。食べ過ぎや肥満は高血圧や糖尿病、高脂血症の原因となります。一日の摂取カロリーを意識して食べ過ぎには注意しなければいけません。

その他、食物繊維を十分に摂取することも重要です。食物繊維の働きは、コレステロールや胆汁酸を結合して悪玉コレステロールを排出する作用があります。食物繊維は、野菜や豆類、海藻類に豊富に含まれています。また、悪玉コレステロールを摂取しすぎてしまうと動脈硬化の原因となってしまったり、糖や脂質と結合して血管壁に付着してしまい血管内壁を狭めて血流が悪くなってしまいます。

付着したものが剥がれ落ちてしまい血栓となり血管をふさいでしまう心配もあります。バターやお肉の脂身の摂取を控えて植物性の油を用いたり、青魚を積極的摂るようにしてください。イワシやサンマなどの青魚は、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸といった不飽和脂肪酸が含まれ、中性脂肪濃度を低下させて血栓を溶かす役割があります。

運動は、筋トレなどの無酸素運動よりもウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動が脳卒中予防には有効です。
また、夏の時期などに多くの汗をかいたときや下痢・嘔吐が続いたときには水分摂取を多めにとるように心がけることが必要です。体に水分が少ない状態ですと血液の粘度が高くなり、脳卒中となる危険因子となります。

脳卒中特に脳梗塞が起こりやすい時期について真冬に多く発症して次いで真夏の暑い時期にも発症しやすいと言われています。特に真冬の脱衣所やトイレなど冷えている場所で体が冷えて血管が過度に収縮してしまうことで血管が詰まりやすくなってしまうのです。

夜に目覚めてトイレに行く際などにも注意が必要です。睡眠中は水分を取れないため血液の粘度が高くなっておりさらに体が冷やされるからです。寝る前に水分補給をして起きてトイレに行く際にも上着を一枚羽織るなどして体を冷やさないように注意しましょう。

 

 

脳卒中とは

 

脳卒中とは、脳の血管がつまって症状の出る『脳梗塞』と脳の血管が出血してしまい症状の出る『脳出血』『くも膜下出血』とがあります。

脳卒中は、日本においてガン・心臓病に次いで第三位の死亡原因となっているとても怖い病気です。また、後遺症も多くの場合残ってしまい、寝たきりとなってしまう方の約3割程度が脳卒中患者という統計があります。脳卒中なかでも脳梗塞が大半を占めて脳内出血が続きます。

脳卒中後遺症

 

脳梗塞とは

脳梗塞は血管が狭くなってしまったり、血管に血栓が詰まることで脳に必要な酸素やエネルギーが十分に送れなくなることにより、脳の細胞が障害を受けて起こるものです。脳梗塞の危険因子となるものに高血圧・高脂血症・糖尿病などが挙げられます。

また脳梗塞には発症するメカニズムによってタイプが分けられます。

 

ラクナ梗塞

脳の細い血管が詰まって起こる脳梗塞です。脳内に入った血管は最初は太いですが、徐々に枝分かれすることで細くなっていきます。この細い血管がつまります。原因として高血圧が深く関係していると考えられています。

 

アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞は脳内の比較的太い動脈である大動脈・頸動脈などが動脈硬化によって狭くなることで血管が詰まる脳梗塞です。このアテローム血栓性脳梗塞は近年増加傾向にあると言われています。

 

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は心臓でできた血の塊・血栓が血管内を移動して脳に到達して動脈を塞いで起こる脳梗塞です。

 

脳出血とは

脳出血は脳内の血管が何らかの原因で破れてしまって、脳細胞に障害が生じる疾患です。脳出血の一番の危険因子は高血圧です。血圧が高い状態が長く続くと全身の臓器に悪影響を及ぼしますが、脳内血管にも影響を与えて少しずつ血管壁を傷つけてある日突然破れて出血を起こしてしまうのです。脳出血を起こすと障害された部位によって運動障害や感覚障害などを引き起こします。
・高血圧の予防法について

被殻出血

大脳基底核にある被殻問う部分が出血した場合を被殻出血といいます。ここの部分が出血した場合、片麻痺・感覚障害などの症状が出て進行すると意識障害が起きます。

 

視床出血

脳の間脳という部分の視床に出血が起きた場合を視床出血と言います。視床は嗅覚を除く視覚・聴覚・体性感覚などの感覚情報を大脳皮質へ送る際の中継地点となる重要な部分です。

視床出血が起きると手足や顔面部に感覚障害や麻痺が起きたり、言語障害や視覚障害などが起きてしまいます。

 

小脳出血

小脳は、後頭部あたりにあり、脳幹部の後方に位置しています。小脳は平衡機能や眼球運動の調整、身体の動きの調整に関わりがある器官です。そのため、小脳出血が起きると激しい後頭部痛とともに回転性のめまいや嘔吐が発症してその後歩行がうまくできない・眼振や視界の不調などの症状が表れます。症状に気づいた時点で早期に病院を受診して治療をすれば社会復帰が出来る可能性が高まりますので、激しい後頭部痛・回転性のめまいを感じたら救急で処置してもらうことが重要になります。

 

橋出血

橋は脳幹の中の一つの器官です。脳幹には意識中枢や呼吸中枢など生きていくためにとても重要な中枢があります。そのため橋出血となると他の脳出血と比べても重要化することが多いです。症状としましては、意識障害や呼吸障害、両手足の麻痺などがあります。また目の動きにも影響を与えて目の位置が固定されてしまう・左右別々の方向を向いてしまうなどの症状が出ます。

 

脳卒中後遺症の症状

脳卒中後遺症の症状はの脳のどの部分に障害を受けるかによって症状が異なってきますが、主なものとして意識障害・記憶障害・運動障害・感覚障害・言語障害・視覚障害などが挙げられます。

歩行障害

意識障害

脳卒中後に意識が戻らないという状態からそれまでにはいかず日時や場所などがはっきりとわからない、記憶がないなどの状態があらわれます。

 

運動障害

運動障害は脳の障害が起きた部分の反対側に現れることが特徴です。それは運動神経の経路によるものです。大脳皮質の運動野から末梢へと向かう神経路は、延髄にある錐体で交叉しています。そのため、右の脳で脳卒中が起きると左の手足の麻痺が起こり、逆に左の脳の場合ですと右側に麻痺が起こるのです。

麻痺の程度も様々で、まったく動かすことができない完全麻痺や部分的な麻痺の不全麻痺、筋肉が重たく感じて突っ張ったように感じる程度の痙縮などがあります。

 

感覚障害

脳卒中後遺症の感覚障害では、主に冷たい熱いといった温覚がわからなくなる・触っているか触っていないかといった触覚がわからなくなる・自分の手足の位置が分からなくなるといった位置覚がわからなくなるといったものがあります。その他痺れなどの異常感覚も現れることがあります。

感覚神経も運動神経同様に延髄の部分で交叉して反対の脳へ伝えられるため、右脳が脳卒中を起こした場合は左半身の感覚障害が起こり、逆に左脳が脳卒中を起こした場合は右半身の感覚障害としてあらわれます。感覚障害は視床と被殻に出血が起きると現れる場合が多いです。

上記のような感覚障害の他に後頭葉が障害されたときは視覚障害・側頭葉が障害されたときは味覚や聴覚、嗅覚の障害があらわれます。

 

言語障害

脳卒中後遺症の言語障害では主に失語症と構音障害とがあります。

さらに失語症には他人の言葉は理解できますが自分が何か発声しようとしてもうまく言葉が出ないまた話すことが不明瞭である運動性失語症と他人のことがが理解できなく発声はできても支離滅裂な内容になってしまう感覚性失語症があります。

構音障害は、発声するのに必要な筋肉や神経の異常で言葉を出しづらくろれつが回らない状態です。

 

視覚障害

上記の感覚障害の所でも書きましたが、脳卒中後遺症では視覚障害があらわれることがあります。それは、目で感じた光の情報は、脳神経である視神経を通って大脳に入り、側頭葉で処理されるためその過程で脳卒中により障害されてしまうと物が見なくなったり、物が見える範囲が狭くなる視野狭窄、物が二重に見えてしまう複視の症状が出てしまうのです。
複視の治療について

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

イレウスの鍼灸治療

イレウスに対する東洋医学的考え方

 

胃腸の機能は五臓六腑の『』『』、ストレスの感受性は五臓の『』と深い関係にあります。

 

イレウスの東洋医学的病証

 

胃は飲食物を受け入れ(受納)、消化し(腐熟)、食べた物を人体に有用な形(清:せい)に変化させます。そしてその清を脾に渡した後、残りのかす()を下の小腸、大腸に降ろします。

脾は清を吸収して気血を生成し、全身に輸送していきます。(運化)。胃の降濁作用に対し、脾は清を肺に持ち上げ(昇清)、運化します。

肝は身体の諸機能を調節(疏泄:そせつ)します。
自律神経系や情緒の安定、気血の流れと深い関係があります。脾胃の消化吸収機能も肝が調節しています。

また、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えます。さらに、五行説の考えでは肺と大腸は表裏関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。

 

当院のイレウスに対する鍼灸治療

 

当院では腸の蠕動運動をつかさどる自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経測定

腸の蠕動運動は自律神経の特にリラックス神経である副交感神経と深いかかわりがあります。

自律神経系の調整施術を行い、腸の蠕動運動を促し、消化器系を中心とした内臓機能調整と、全身的な血行促進免疫機能を高め体全体のバランスを整えていきます。

また、東洋医学的観点から『脾胃』『』『』『』などをはじめとした五臓六腑の機能を整えるツボを用います。

イレウスの腹部への鍼灸治療

特に腹部や腰部にあるツボは腸運動異常に対して有効といわれていますので重点的に施術していきます。

イレウスの腰背部への鍼治療

 

イレウスとは

イレウス(腸閉塞)とは、様々な原因で腸管の内容物がつまり、肛門側に移動できなくなった状態のことをいいます。

イレウスは大きく分けると腸管の内容物が物理的に通過できなくなる機械性イレウスと、腸管の血流や神経の障害で通過ができなくなる機能性イレウスがあります。

 

機械性イレウス

腸が物理的に閉塞している状態で、閉塞性と絞扼性に分けられます。

①閉塞性イレウス(単純性イレウス)

単純性腸閉塞のほとんどは術後の腸管の癒着による癒着性の腸閉塞で主に小腸が閉塞します。また、大腸の閉塞は大腸がんによるものや便秘によるものが原因となって起こることがあります。

②絞扼性イレウス(複雑性イレウス)

複雑性腸閉塞は腸管が捻じれて血流が悪くなる絞扼性のイレウスのことをいいます。腸管が捻じれるため突然の腹部の激痛が出現し、時折ショック状態となります。時間が経つと腸管が壊死してしまうため緊急で治療が必要となります。

 

機能性イレウス

機能性イレウスとは腸管の正常な働きが悪くなって起こる麻痺性のイレウスと、腸管がけいれんして起きる痙攣性イレウスの2つに分類されます。

 

①麻痺性イレウス

閉塞の原因が明確ではなく腸管運動の障害によってお起こるものです。開腹手術、急性腹膜炎、薬剤の影響、腸間膜の血栓・塞栓(そくせん)などが原因で、腸管が麻痺することで起こります。

 

②痙攣性イレウス

中毒などで腸管の一部がけいれんして内容物の移動に障害が生じます。

このうち、鍼灸治療の適応になるのは麻痺性イレウスです。

 

麻痺性イレウスの原因

開腹手術、急性腹膜炎、脊髄損傷、精神疾患、薬剤、腸間膜の血栓・塞栓などが原因で腸管が麻痺することで起こります。

また、麻痺性イレウスはもともと腸に病気のある人や糖尿病、腸管運動が低下しやすい病気の人、高齢者などに起こりやすいといわれています。

医薬品の影響

鼻炎薬、あへん系鎮痛薬、免疫抑制剤、向精神薬、鎮痛薬、頻尿、尿失禁治療薬などのように自律神経系を介して腸管の運動機能を抑制するもの、抗がん剤のように腸管に障害を起こすもの、αーグルコシダーゼ阻害薬(糖尿病治療薬)などで起きるものがあります。

 

麻痺性イレウスの症状

腸管の内容物が停滞するため腹部膨満感、吃逆(きつぎゃく)、吐き気、嘔吐が起こります。また、排便、排ガスの停止、腹痛、脱水などがあります。

イレウスの予防

・暴飲暴食を避ける

・水分をこまめに摂って排便を促す

・消化の悪い物(山菜・キノコ類、海藻・こんにゃく等)を大量に摂取しない

・体調のすぐれない時は消化の良いものを心がける

・十分な休息をとる(疲労を溜めない)

・適度な運動をする

 

 

などが挙げられます。

 

 

西洋医学的治療

 

まず、病歴に関して問診が行われます。症状が現れた時期や腹痛の程度、腹部の手術歴の有無、がん、ヘルニア、クローン病などの病気の既往歴の有無、内服薬の有無などについて確認します。また、身体所見として腸蠕動(ちょうぜんどう)、腹部の膨らみ、腹膜刺激症状、腸雑音を確認したり、鼠径部を観察したりします。

問診によりイレウスが疑われたら、血液検査、X線検査、CT検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

治療

症状の重さによって治療内容は変わってきますが、大きく分けて保存治療と手術の2種類の治療法があります。

保存治療として、点滴治療で脱水や電解質異常に対する治療を行いながら、飲食を止め胃腸を休めるとともに、水分管理を厳重に行います。また、必要に応じて抗生物質の投与を行ったり、鼻腔から腸までチューブを挿入して腸の内容物を吸引して腸管内の圧力を下げたりします。

保存療法で効果が乏しい場合には手術が検討されます。

 

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)の対処法とは

寒暖差アレルギーとは

季節の変わり目や、激しい温度差により自律神経が乱れて、鼻の粘膜などの毛細血管がコントロールできなくなることで引き起こされる症状です。

寒暖差アレルギーでの鼻炎

アレルギーとなっていますが、実際にはアレルギー反応ではなく、自律神経の乱れに伴う反応です。医学的な病名としては「血管運動性鼻炎」と呼ばれています。鼻の粘膜が弱い人が発症しやすく、蓄膿症など他の病気との合併症が起こる場合もあります。

 

寒暖差アレルギーの考えられる原因

 

寒暖差アレルギーの原因は、温度に合わせて体を調整して適応させている自律神経の乱れです。自律神経は寒い場所では血管が収縮し、暖かい場所では血管が拡張します。

寒暖差によって自律神経のバランスが乱れる

自律神経が適切な対応が出来るのは大体7℃以内と言われています。7℃以上の気温差で鼻粘膜の血管が拡張して、鼻粘膜が腫れることによりアレルギー様の反応が起こります。

春秋など季節の変わり目で朝夜と日中との寒暖差が激しい場合ですと体温調整機能の備わる自律神経のバランスが崩れやすくなってしまうのです。

寒暖差アレルギーは春や秋などの寒暖差が強くなるときに出やすいです。
しかし、最近では夏に室内がクーラーで冷えていることや、冬は室内で暖房が効いているため、室内外の温度差が強い場所でも起こりやすくなります。

また、寒暖差の他にも、タバコや化粧品などの香り、飲酒、ストレス、妊娠などが引き金となって自律神経の異常興奮が起こり、症状を引き起こすことがあります。

 

寒暖差アレルギーの一般的な症状

寒暖差アレルギーの主な症状は

・鼻水
・鼻づまり
・くしゃみ
・咳

ですが、その他にも

・不眠
・イライラ
・倦怠感
・頭痛
・食欲低下
・皮膚の痒み
・湿疹

などが挙げられます。

 

感染症やアレルギー性鼻炎との違い

感染症はのどの痛みや発熱、粘調性の鼻水、咳などを伴います。また、アレルギー性鼻炎は、スギやダニ、ハウスダスト等の原因物質が鼻粘膜に付着することで発症します。眼の痒み、充血、涙などの症状を伴うことが多いです。

 

寒暖差アレルギーに対する東洋医学的考え方

東洋医学による鼻炎症状は水分代謝の滞りである「水毒(すいどく)」や老廃物の溜まった悪い血である「瘀血(おけつ)」と考えられています。

 

鼻炎の東洋医学

 

それらが引き起こされる原因としまして、呼吸に関係すると考えられている五臓の「」と「」の弱りや、消化や吸収に関わる「」「」の機能や、全身の気の流れを調整する「」の弱りが原因となって引き起こされると考えられています。

体の中の過剰な水分は、冷たい飲食物を摂り過ぎたり、過労やストレスが溜まったりすると胃腸の働きが衰え水分代謝が悪くなります。
すると消化吸収も低下するので、代謝されない水が体内に残留物として残るようになります。これらは病的な水分なので体の生理機能に影響を与え、肺の防衛力も低下するのです。

東洋医学では、肺は鼻や皮膚とつながっていると考えられています。そのため、肺の機能が弱くなると皮膚の防衛機能が弱まって邪気が入りやすくなり鼻水、鼻づまりなどの症状が起こりやすくなります。

また、過度なストレスや緊張などにより「肝」の機能が低下すると肝気鬱滞となり、気の流れが悪くなってしまいます。気の流れが悪いため体液の流れが鼻で滞り、鼻水や鼻づまりが生じてきやすくなります。

 

寒暖差アレルギーに対する当院の治療

当院では免疫機能の司令塔である自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

自律神経測定

自律神経の調整施術を行い内臓機能調整免疫機能の調整全身的な血行促進を促し症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えます。

東洋医学的概念から「肺」「腎」「脾」「胃」「肝」をはじめとした五臓六腑を整えるツボや水分代謝を促すツボ、血液循環を整えるツボなどを用いて治療を行います。

また、首肩周りの筋の緊張があると顔面部の血流が阻害される原因になるため頸肩周りの施術も取り入れていきます。

 

寒暖差アレルギーでも首肩の筋緊張は緩和させます

 

さらに、直接鼻の周囲のツボに刺激を与え、鼻まわりの血液循環を促進し、鼻粘膜の状態を整えます。また、鼻粘膜に存在する局所的な自律神経の興奮を抑える作用を促します。

寒暖差アレルギー鼻炎鍼治療

寒暖差アレルギーの一般的な対策

 

・洋服をうまく調整して、寒暖差を減らす。

・マスクを使用して寒暖差を減らす。冷たい空気が鼻や喉に直接つかないようにするため。

・規則正しい生活とバランスのとれた食事を心がける

・適度な運動をして体力をつける

・夜寝るときに首が冷えるので、首回りの防寒対策を行う

・40℃前後のお湯で体を暖める

・ストレスや疲労をためない

 

 

西洋医学的治療

検査は、問診、診察、家族歴などを確認した後にさらに詳しく行われます。鼻汁検査、血液検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストなどを行います。鼻汁検査では、鼻汁の中に好酸球という細胞の有無を調べ、アレルギー症状を調べます。血液検査では抗原抗体反応を起こす抗体が、血液中にどのくらい含まれているかを調べます。また、皮膚テストや鼻粘膜テストで反応を調べることが出来ます。

治療としては症状を抑える対処療法が基本となります。

内服薬として自律神経の働きを整える抗ヒスタミン薬、漢方薬などの内服や点鼻薬として血管収縮作用のあるものやステロイドが処方されます。

また、薬物療法に効果を示さない場合手術療法を行うこともあります。

鼻づまりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー治療、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、副交感神経を遮断する後鼻神経切除術が行われることもあります。

 

膀胱炎の鍼灸治療

膀胱炎の東洋医学的考え方

 

排尿時の痛みをはじめとする頻尿、残尿感、排尿困難などの症状を東洋医学では「淋証(りんしょう)」と呼びます。

淋証(膀胱炎)の病証

尿は六腑の膀胱に貯蔵され、五臓の腎の作用によって排泄が調節され五臓の腎と六腑の膀胱は密接な関係にあり、両者の連携により排尿がコントロールされています。

また、体の全体の機能を調整する五臓の肝や、体液の調整をする肺の機能も関係してきます。人体の主な構成成分である気、血、津液の中では、人体に必要な正常な体液を意味する「津液」が最も関与します。

 

淋証の病因・病機

・膀胱湿熱

油っぽいものや辛いもの、甘いものの過度の摂取や飲酒過多は体内で湿熱を形成します。飲食物により生まれた湿熱は、当初は中焦といって腹部の辺りにありますが、湿の重い性質により下部へと移行して膀胱に入りこんでしまいます。
また、性器を不衛生にしていると性器を通じて、濁気が膀胱へ入り込み湿熱となります。
尿が体外に排泄されるのは膀胱の気化作用によるものですが、膀胱に入り込んだ湿熱はこの気化作用を失調させてしまいます。

 

・腎虚

腎と膀胱は表裏関係にあり、腎が虚すと膀胱の気化作用は失調します。腎陽虚は加齢、大病、妊娠、出産などにより、腎陽を消耗する結果、腎が膀胱の気化作用を抑制できなくなることや、外邪が虚の乗じて膀胱を侵しやすくなることで淋証を生じます。また、腎陰虚があると下焦に虚熱を生じ、膀胱の気化作用も失調するため湿熱を生じます。

 

・肝気鬱滞

悩みや怒りで肝が損傷されて気滞を生じ、気が鬱して火に転化したり、気と火が下焦に鬱し膀胱の気化を妨げたり、気虚による下焦の固摂機能の失調を生じます。

 

当院の膀胱炎に対する治療

 

当院では、内臓機能や免疫機能、血液循環などの司令塔である自律神経のバランスを自律神経測定器で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

膀胱炎の自律神経測定

自律神経の調整施術を行い、全身的な血行促進と免疫力や内臓機能を高め、症状が治癒しやすい状態へとお身体を整えます。

膀胱炎に対する腹部への鍼治療

また、東洋医学的観点から腎、膀胱、肝などをはじめとした五臓六腑の機能を高めるツボや、津液の流れを調整するツボも用います。さらに、膀胱炎の方は下半身の冷えがあることが多く、それが泌尿器の血行不良に繋がりその機能を低下させる一つの要因として考えられることから下半身の冷えを除く治療も取り入れていきます。

膀胱経への温灸治療

 

痛みが出ている場合は下腹部に鍼通電治療を用いてより鎮痛効果を引き出すような施術も行っていく場合もございます。

 

 

 

膀胱炎とは

 

膀胱は内面が柔らかい粘膜の袋で、尿を溜める器官です。その膀胱に炎症を起こすのが膀胱炎です。

圧倒的に女性に多い病気で、女性のうち2人に1人は経験する病気と言われており、女性には非常に身近な病気です。これは女性の体の構造として、肛門と膣が尿道に近いことや、尿道が男性に比べ4分の1ほどと短く、細菌が膀胱まで簡単に到達してしまいやすいためです。多くの場合、尿とともに最近は膀胱の外へ洗い流されますが、排尿を我慢したり、体調が悪かったりすると膀胱の中で細菌が繁殖し、膀胱炎を起こします。

膀胱炎の種類

 

・急性単純性膀胱炎

20~30歳代の若い女性に多く発症し、閉経前後の中高年期の女性にも比較的多い膀胱炎です。過労、睡眠不足、風邪、身体の冷え、排尿の我慢、性生活などが誘因となることが多いです。

 

・複雑性膀胱炎

尿路に尿停滞、異物、持続的細菌源、あるいは全身的抵抗力の低下などの基礎疾患を有する慢性膀胱炎です。複雑性膀胱炎はこれらの基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いといわれています。また、複雑性膀胱炎にはしばしば複数菌感染がみられます。

 

・間質性膀胱炎

何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起こり、筋肉が萎縮する病気です。
間質性膀胱炎では尿検査などで尿中の細菌の存在は認められません。この病気の原因は分かっておらず、自己免疫アレルギー反応の関与があるのではないかという仮説がありあます。通常、膀胱には200~400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、間質性膀胱炎になると膀胱炎が膨らまないため、100ml以下でいっぱいになります。そして、尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレに行く回数がとても多くなります。

 

・嚢胞性膀胱炎

膀胱粘膜に袋状の病変が発生します。

 

・真菌性膀胱炎

真菌(かび)の感染によって膀胱が炎症を起こすものです。

 

膀胱炎の原因

急性膀胱炎の原因としては、大腸菌やぶどう球菌などの細菌が膀胱粘膜に感染して起こるものが最も多いです。膀胱は本来細菌に対する抵抗力、免疫力をもっていますが、病気や無理なダイエット、過労で体力が落ち、抵抗力が弱くなった場合に感染しやすくなります。

また、ストレスが溜まっている時や不潔な性交渉をすると膀胱炎にかかりやすくなります。さらに、月経の前後にきわめて雑菌が感染しやすく膀胱炎が起こりやすくなります。

その他、摂取した薬剤、食物による刺激などの物理化学的刺激が原因となるものや、膀胱の粘膜にアレルギー反応が起こることが原因となる膀胱炎があります。

 

 

膀胱炎の症状

 

膀胱炎の症状

<頻尿>

尿意を催してトイレに行く回数が増加します。症状の強い時には10分前後の感覚でトイレに行くことも少なくありません。1回で出る尿の量は少なくなります。残尿感もあることが多いです。

<排尿痛>

炎症を起こした膀胱が、排尿により急激に縮まり刺激されることで痛みを感じます。排尿の途中よりも、排尿の後半または排尿後に痛むことが多いようです。下腹部や尿道口の痛みとなります。

<尿混濁>

膀胱炎になると、細菌が尿の中で増殖し、白血球や炎症を起こした膀胱の粘膜が剥がれたりして尿が白濁します。尿に膿のようなドロッとしたものが混在します。
また、匂いもきつくなることが多いようです。

<血尿>

最近に膀胱粘膜が傷つけられて、目で見て分かるほどの血尿が出ることもあります。血尿は出始めから出終わりまで同じ濃さではなく、膀胱が空っぽになる最後に強くなる、排尿終末時血尿のことがほとんどです。

これらの症状があっても病院に行かないで我慢していると、排尿しない時にも下腹部が痛むようになってしまいます。膀胱炎では通常発熱はしませんが、発熱したり、腰痛があったりする場合は、細菌が腎臓の腎盂まで炎症が広がり、腎盂腎炎になっている恐れがあります。

 

西洋医学的治療

検査・診断

基本的には尿検査で診断します。尿中の白血球や細菌数を調べて一定以上の値を認めれば膀胱炎と診断されます。

尿の細菌培養検査で原因となる細菌の同定を行いますが、診断までに一週間程度の時間がかかるため培養検査の結果が出るまでに治療も行い治ってしまう場合がほとんどです。

しかし、症状が改善しなかった場合には珍しい細菌による膀胱炎の可能性が高くなるため、初診時の培養検査をもとに治療を変更します。

 

治療

ほとんどの膀胱炎は細菌感染症であるため、抗菌薬治療を7~10日程度行うと完治します。また、症状は治療を始めて2、3日で良くなることがほとんどです。

 

予定日超過・陣痛促進の鍼灸治療

当院の陣痛促進に対する鍼灸治療

陣痛促進の鍼灸治療方針

 

陣痛促進の施術では、腹部や腰部に負担がかかりにくい横向きの姿勢で鍼灸施術を行っていきます。

鍼灸治療では陣痛促進に効果の期待できるツボ(特効穴)があり、下肢や肩部、骨盤周囲などを鍼やお灸で刺激していきます。

陣痛促進する三陰交への温灸器

また、陣痛が起こる機序の一つとして自律神経が関係しているといわれています。

自律神経とは内臓機能やホルモン分泌、血液循環などを司る自分の意志とは無関係に働く神経です。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経は緊張したり活動している時に、副交感神経はリラックスした時に働きます。

出産や陣痛はこのうちの副交感神経が優位になったときに始まり、副交感神経は、身体や気持ちを緩ませるホルモンの分泌が活発になり身体が出産に適した状態になりやすいのです。

陣痛促進の腰臀部のツボ

そのため当院では、自律神経の調整施術も取り入れて治療を行います。血液の巡りを良くして、内臓の働きを活性化させ、鍼やお灸の刺激により胎児が動き、子宮の働きが活発になって産気を催させる作用が期待できます。

また、全身特に足首周りのツボを刺激することで全身の血液循環を良くしたり、副交感神経を優位にさせることで陣痛促進の効果があると言われています。

陣痛促進の灸頭鍼治療

出産予定日超過とは

出産予定日を1週間~10日過ぎても陣痛が起こらないことがあります。陣痛が始まりいよいよ出産かという状況にもかかわらず、なかなか本格的な陣痛に至らないこともあり、このような場合西洋医学では「陣痛促進剤」の使用を考えることになります。

しかし、促進剤を使用した場合誘発された陣痛は自然な陣痛の子宮収縮に比べて回数が多く、より強烈な痛みになりやすいことが知られています。

 

そもそも陣痛とは

出産時は胎児を押し出そうとして子宮が収縮しますが、その時に感じる痛みが陣痛です。陣痛は出産の準備段階として不規則な痛みが現れる「前駆陣痛」といよいよ出産のときが近づき痛みが本格的になる「本陣痛」の二段階に分けられます。

本陣痛が始まると自分の意志でコントロールできず、どんどん間隔が短くなり、痛みが強くなっていくのが特徴です。

 

過期妊娠・過期産に伴なうリスク

医学的には、妊娠37週~41週6日までの出産を「正期産」としています。

42週に入っても分娩に至らないものを「過期妊娠」といい、妊娠42週0日以降に分娩することを「過期産」といいます。

・羊水過少

予定日を過ぎてくると胎盤の血流量が減り胎児への栄養供給が減り、おしっこの量も減少するため羊水の量が減少します。
羊水は分娩時のクッションとしての働きもあり、羊水過少になるとへその緒が圧迫される状態が起きやすく、胎児が子宮内で低酸素状態になる頻度が増え、健康状態が危険にさらされるケースがあります。

・胎便吸収症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)

通常、胎児は子宮内では排尿しますが、排便はしません。胎児に何らかのストレスが加わると便を失禁してしまうことがあります。
胎児が羊水中に胎便(胎児の便)を排泄すると、分娩後の第一呼吸の際に口の中にあった胎便を吸引してしまうと肺が胎便まみれになり、重篤な呼吸障害を引き起こす可能性があります。過期妊娠ではこの病態が非常に起こりやすくなり、また重症化しやすいのが特徴です。

・巨大児

週数にかかわらず、出生体重が4000gを超えると巨大児をいいますが、過期産では巨大児となりやすくなります。
巨大児となると、出産のときに胎児の肩や頭がなかなか出てこなかったり、生まれてくるときに鎖骨を骨折してしまうなどの外傷を引き起こす恐れがあります。
また、母体の子宮頚管や会陰に深い傷を作ることがあります。

・胎盤機能不全

妊娠42週を過ぎると、胎盤が老化して胎盤の機能が低下します。するとお腹の中の胎児の栄養供給や酸素供給が低下し、胎児に対してストレスが増加します。

・過熟児

過熟児とは未熟児とは反対の言葉で、子宮内で成長しすぎて、正産期の新生児と比較して胎児仮死などを起こしやすいと言われてきました。しかし、最近の新生児医療の進歩で予後は良くなっているようです。

 

西洋医学的治療

・出産予定日が正しいかどうか再確認する

妊娠初期のCRLまたはBPD、最終月経開始日、基礎体温など改めてチェックし、出産予定日が正しく計算されているかチェックします。

・胎児の体調が良好かどうか定期的に検査をする

また、超音波検査やNST(胎児の元気さがわかるノンストレステスト)などで胎児の体調を細かく確認します。このような検査を週に1~2回行い、状態によっては管理入院になることもあります。

・分娩誘発を行う

子宮頚管の軟らかさ(熟化)の状態を確認し、それに応じて分娩誘発や熟化の促進などを行います。子宮頚管が軟らかくなって開いてこないと、胎児が出てこられません。

ですので硬い場合は、ラミナリアと呼ばれる海藻で出来た棒(徐々に水分を吸収して2~3倍になる)や、バルーン、メトロと呼ばれる風船を入れて刺激し熟化を試みます。
熟化がうまくいけば、誘発剤を使用し分娩までつなげることが出来ます。

また、卵膜を人工的に破ることで陣痛がきて分娩につながることもあります。しかしこうした試みがうまくいかなかった場合や、胎児の状態が悪くなった場合に、帝王切開になります。

陣痛促進

 

耳の痛み(耳痛)の鍼灸治療

耳痛の東洋医学的考え方

 

東洋医学では、加齢や身体の疲労により「」の機能が低下した時、またストレスにより「」の機能が低下した時、胃腸の不調が原因で「脾」の機能が低下し、水分の巡りが悪くなった時などに耳の症状は起こりやすいと考えられています。

しかし、耳の痛みの原因は様々なため問診を行う中で考えられる器官に関わる臓腑や証のツボを用いて治療を行っていきます。

 

当院の耳の痛みに対する鍼灸治療

 

耳の痛みに対する鍼灸治療

当院ではまず、内臓機能や免疫機能、血液循環を司る自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

自律神経の調整施術を行い、内臓機能や全身的な血液循環の促進と、免疫機能を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。

 

また、東洋医学的観点から腎、肝、脾に関係するツボや、耳周囲の血液循環が悪くなる大きな原因として首や肩周りの筋緊張がありますので、首肩周りの筋緊張を緩めるツボも用いていきます。

さらに、耳周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、炎症を抑える作用や耳周囲の血行を促進します。また、場合により鍼に電気を流すことで鎮痛作用を促します。

耳の痛みに対する鍼通電治療

 

耳以外に原因があると考えられる場合、それぞれに対応した器官、臓腑や証に対応したツボを用いて治療を行います。

 

耳の痛み(耳痛)とは

耳の痛みとは何らかの原因により耳が不随意に痛みを伴うことで、耳そのものの異常で起こる場合と、耳以外の部分の痛みが広がって耳の付近で感じるものがあります。

というのも耳の知覚神経支配は複雑で、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、頚神経(C2、C3)と多くの神経が関与しているからです。

 

耳の痛みの原因

 

耳痛の主な原因

耳が原因の耳痛(原発性耳痛)

・急性中耳炎

風邪などをきっかけとしてウイルスが耳管を通って中耳にまで入り込むと、耳内で炎症が起こり、耳の痛み、発熱、耳だれなどの症状が現れます。

 

・航空性中耳炎

急性中耳炎の一種です。飛行機の離着時の際など、急激な気圧の変化によって耳管が閉じたままになり、鼓膜の内と外の圧力の差で耳に痛みを感じます。
軽度であれは痛みや耳閉感などの症状は数時間以内で治りますが、激しい痛みや耳鳴りが数日間続くことがあります。

 

・鼓膜炎

外耳と中耳の間にある鼓膜に炎症が生じた状態を鼓膜炎と呼びます。鼓膜炎は大きく「急性鼓膜炎(水疱性鼓膜炎)」と、「慢性鼓膜炎(肉芽腫性鼓膜炎)」に分けられます。急性鼓膜炎は、風邪をきっかけに発症することが多い鼓膜炎でウイルスが原因となって起こると言われていますがはっきりとは解明されていません。耳の激しい痛みが特徴で、聞こえの低下や耳閉感などの症状も伴うことがあります。

慢性鼓膜炎の原因は完全には明らかになっていません。慢性鼓膜炎では耳の痛みはさほど強く現れず、耳だれの症状が最も多くみられます。

 

・メニエール病

メニエール病は、内耳の中のリンパ液の量が増えすぎてしまうことで起こると考えられていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
しかし、その根底には、ストレスや睡眠不足、疲労、気圧の変化、緊張面な性格などがあると考えられています。耳の痛みの症状以外には回転性のめまい、吐き気、耳鳴り、難聴などの症状が現れます。

メニエール病の鍼灸治療について

 

・耳管開放症

中耳にあり、鼻やのどに繋がっている耳管は、ときどき開閉することで中耳と外の気圧を調整しています。この耳管が開きっぱなしの状態になり、耳が塞がった感じや耳鳴り耳の痛みが生じる可能性があります。

耳管開放症の鍼灸治療について

 

・耳管狭窄症

耳管が閉じたままになってしまう状態です。のどや鼻に炎症が起きた時や飛行機に乗ったときの気圧の変化などで起こることがあります。中耳の気圧が外の気圧より低くなるため、鼓膜が内側に引っ張られ、音の振動を十分に伝えられなくなることで低音の耳鳴りや耳に痛みが起こります。

 

・外耳炎

耳の入り口付近から鼓膜までの間を外耳道と言いますが、この外耳道が細菌に感染すると起こる病気です。耳の痛み、腫れ、かゆみ、耳の詰まり、耳だれ、耳閉感などの症状が現れます。

 

・外耳道真菌症

イヤホンを長時間使用することで、耳の中の湿度が上がりカビが生えることがあります。外耳道真菌症は外耳炎の一種で、耳の痛みの他に閉塞感を感じたり、音が聞こえにくくなったりします。

その他、外傷や外耳道異物、腫瘍などでも痛みを起こす事があります。

 

耳以外が原因の耳痛(耳への放散痛、関連性耳痛、続発性耳痛)

・急性扁桃炎

扁桃にはさまざまな細菌が潜んでいます。この扁桃の細菌が風邪やウイルスに感染したり、疲労が溜まると口蓋(のどちんこ)の左右にひとつずつある口蓋扁桃に急性の炎症が起こります。発症すると発熱、喉の痛み、だるさ、悪寒、首のリンパの腫れ、耳の痛みなどがみられます。

急性扁桃炎の鍼灸治療について

 

・咽頭炎

ウイルスや細菌などによってのどの粘膜に炎症を起こす急性咽頭炎はのどの粘膜が赤く腫れ、喉のつかえの他、のどの痛みや発熱を伴い、痛みが耳の奥に広がることがあります。

咽頭炎の鍼灸治療について

 

・肩こりや首のこり

凝り固まった筋肉が頚神経を刺激すると耳の痛みを感じることがあります。

肩こりの鍼灸治療について
首こりの鍼灸治療について

 

・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

ムンプスウイルスの感染によって、唾液腺の一つで、耳の付け根にある耳下腺が炎症を起こす疾患です。耳の痛みから始まり、高熱、食欲不振、頭痛、嘔吐などが現れます。

 

・智歯周囲炎

智歯(親知らず)により、周辺の歯ぐきが炎症を起こしている状態です。歯肉や顎のリンパが腫れるだけでなく、耳が痛くなることがあります。

 

・顎関節症

顎の筋肉や関節にトラブルがあると起こる病気です。通常は口を開け閉めする際にカクンと音がしたり、頭痛がしたりしますが、めまいや耳の痛みが生じることがあります。

顎関節症の鍼灸治療について

 

・三叉(さんさ)神経痛

顔のこめかみから目、顎、頬と三本に枝分かれした三叉神経が支配する領域に起こる痛みを三叉神経痛といいます。多くは脳に流れる血管がこめかみで神経に触れたり、神経を圧迫することによって起こります。
目、顎、頬を中心に突然ピリピリとした痛みが現れ、痛みは耳の奥から頭に及ぶこともあります。

三叉神経痛の鍼灸治療について

 

・耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

帯状疱疹ウイルスが脳から耳に出ている聴神経や顔面神経に感染する疾患です。初めに耳たぶの痛みや頭痛が起こり、次いで耳の入り口の近くに痛みを伴う小さな赤い発疹や水ぶくれが多く現れます。そして、めまいと耳鳴り、難聴が起こり、さらに表情が乏しくなったり、目を開けたり閉じたりできなくなるなどの顔面神経麻痺が現れるのが特徴です。

帯状疱疹の鍼灸治療について

 

症状

・痛みが強い

・耳の中や奥が痛い

・耳の入り口が痛い

・ズキズキ、ズキンズキンといった響く痛みがある

・耳を触ると痛い

・痛みが数日間続いている

・発熱、耳だれ、顔面痛、めまい、耳閉感、難聴などの症状が見られる

 

西洋医学的治療

耳の中に異常がないかを確認する一般的な耳鼻咽喉科的検査、内視鏡での視診、X線検査、CT、聴力検査、ティンパノメトリー(鼓膜の動きやすさを調べる検査)、細菌培養検査、血液検査などを必要に応じて行います。

治療は原因となる疾患で異なります。