イレウスの鍼灸治療

イレウスに対する東洋医学的考え方

 

胃腸の機能は五臓六腑の『』『』、ストレスの感受性は五臓の『』と深い関係にあります。

 

イレウスの東洋医学的病証

 

胃は飲食物を受け入れ(受納)、消化し(腐熟)、食べた物を人体に有用な形(清:せい)に変化させます。そしてその清を脾に渡した後、残りのかす()を下の小腸、大腸に降ろします。

脾は清を吸収して気血を生成し、全身に輸送していきます。(運化)。胃の降濁作用に対し、脾は清を肺に持ち上げ(昇清)、運化します。

肝は身体の諸機能を調節(疏泄:そせつ)します。
自律神経系や情緒の安定、気血の流れと深い関係があります。脾胃の消化吸収機能も肝が調節しています。

また、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えます。さらに、五行説の考えでは肺と大腸は表裏関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。

 

当院のイレウスに対する鍼灸治療

 

当院では腸の蠕動運動をつかさどる自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経測定

腸の蠕動運動は自律神経の特にリラックス神経である副交感神経と深いかかわりがあります。

自律神経系の調整施術を行い、腸の蠕動運動を促し、消化器系を中心とした内臓機能調整と、全身的な血行促進免疫機能を高め体全体のバランスを整えていきます。

また、東洋医学的観点から『脾胃』『』『』『』などをはじめとした五臓六腑の機能を整えるツボを用います。

イレウスの腹部への鍼灸治療

特に腹部や腰部にあるツボは腸運動異常に対して有効といわれていますので重点的に施術していきます。

イレウスの腰背部への鍼治療

 

イレウスとは

イレウス(腸閉塞)とは、様々な原因で腸管の内容物がつまり、肛門側に移動できなくなった状態のことをいいます。

イレウスは大きく分けると腸管の内容物が物理的に通過できなくなる機械性イレウスと、腸管の血流や神経の障害で通過ができなくなる機能性イレウスがあります。

 

機械性イレウス

腸が物理的に閉塞している状態で、閉塞性と絞扼性に分けられます。

①閉塞性イレウス(単純性イレウス)

単純性腸閉塞のほとんどは術後の腸管の癒着による癒着性の腸閉塞で主に小腸が閉塞します。また、大腸の閉塞は大腸がんによるものや便秘によるものが原因となって起こることがあります。

②絞扼性イレウス(複雑性イレウス)

複雑性腸閉塞は腸管が捻じれて血流が悪くなる絞扼性のイレウスのことをいいます。腸管が捻じれるため突然の腹部の激痛が出現し、時折ショック状態となります。時間が経つと腸管が壊死してしまうため緊急で治療が必要となります。

 

機能性イレウス

機能性イレウスとは腸管の正常な働きが悪くなって起こる麻痺性のイレウスと、腸管がけいれんして起きる痙攣性イレウスの2つに分類されます。

 

①麻痺性イレウス

閉塞の原因が明確ではなく腸管運動の障害によってお起こるものです。開腹手術、急性腹膜炎、薬剤の影響、腸間膜の血栓・塞栓(そくせん)などが原因で、腸管が麻痺することで起こります。

 

②痙攣性イレウス

中毒などで腸管の一部がけいれんして内容物の移動に障害が生じます。

このうち、鍼灸治療の適応になるのは麻痺性イレウスです。

 

麻痺性イレウスの原因

開腹手術、急性腹膜炎、脊髄損傷、精神疾患、薬剤、腸間膜の血栓・塞栓などが原因で腸管が麻痺することで起こります。

また、麻痺性イレウスはもともと腸に病気のある人や糖尿病、腸管運動が低下しやすい病気の人、高齢者などに起こりやすいといわれています。

医薬品の影響

鼻炎薬、あへん系鎮痛薬、免疫抑制剤、向精神薬、鎮痛薬、頻尿、尿失禁治療薬などのように自律神経系を介して腸管の運動機能を抑制するもの、抗がん剤のように腸管に障害を起こすもの、αーグルコシダーゼ阻害薬(糖尿病治療薬)などで起きるものがあります。

 

麻痺性イレウスの症状

腸管の内容物が停滞するため腹部膨満感、吃逆(きつぎゃく)、吐き気、嘔吐が起こります。また、排便、排ガスの停止、腹痛、脱水などがあります。

イレウスの予防

・暴飲暴食を避ける

・水分をこまめに摂って排便を促す

・消化の悪い物(山菜・キノコ類、海藻・こんにゃく等)を大量に摂取しない

・体調のすぐれない時は消化の良いものを心がける

・十分な休息をとる(疲労を溜めない)

・適度な運動をする

 

 

などが挙げられます。

 

 

西洋医学的治療

 

まず、病歴に関して問診が行われます。症状が現れた時期や腹痛の程度、腹部の手術歴の有無、がん、ヘルニア、クローン病などの病気の既往歴の有無、内服薬の有無などについて確認します。また、身体所見として腸蠕動(ちょうぜんどう)、腹部の膨らみ、腹膜刺激症状、腸雑音を確認したり、鼠径部を観察したりします。

問診によりイレウスが疑われたら、血液検査、X線検査、CT検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

治療

症状の重さによって治療内容は変わってきますが、大きく分けて保存治療と手術の2種類の治療法があります。

保存治療として、点滴治療で脱水や電解質異常に対する治療を行いながら、飲食を止め胃腸を休めるとともに、水分管理を厳重に行います。また、必要に応じて抗生物質の投与を行ったり、鼻腔から腸までチューブを挿入して腸の内容物を吸引して腸管内の圧力を下げたりします。

保存療法で効果が乏しい場合には手術が検討されます。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:26 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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