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近視の鍼灸治療

火曜日, 9月 23rd, 2025

近視に対する当院の鍼灸治療

当院の近視に対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリや電子温灸器を用いて刺激することで目の血行状態をよくします。仮性近視はピントを合わせる役割のある毛様体筋という筋肉が目の使い過ぎにより血流が滞り、うまく機能していない場合がほとんどです。

 

近視のはり灸治療

毛様体筋は自律神経によっても支配されており、自律神経の乱れがある場合は、うまく目のピントを合わせられません。そこで当院では自律神経測定器を用いることで自律神経の状態を把握し、その結果に応じて施術法を変えていきます。
また近視は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補って肝陽の抑制などを行います。肝血は脾の機能の影響を受けるので脾の経穴も用いたりします。また東洋医学の診断方法に基づき、全身のバランスを整えます。全身を診て施術することは東洋医学の重要な特徴の一つです。

近視の鍼灸治療

当院の施術により視力が回復された方も多くいらっしゃいますので、お気軽にご相談ください。

 

近視についての東洋医学的考え

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、精神的ストレスは肝気を滞らせて巡りを阻害します。

そのため眼の障害を引き起こします。五臓六腑でいう肝と脾には「」に関して密接な関連性があります。それは脾には栄養物質や水分を吸収して、「」、「血」などを生成して全身に輸送する機能があります。よって脾の機能が低下してしまうと肝血も不足してしまいます。近視を引き起こす原因になります。

 

 

近視の鍼灸治療症例

20代 女性
中学生までは視力は1.2で視力は良かったが、高校生になり視力が著しく低下し0.5程になってしまった。高校生になり、薄暗い場所で読書や勉強を長時間するよになり、それが原因で視力が低下してしまったかもとのこと。社会人となり、パソコンを主に使う仕事についてさらに視力が低下して、色までもぼやけて見えるよになり色覚も低下してきたしまい心配となって当院にご来院されました。

当院の治療
ピントを合わせる能力や色覚の異常も自律神経の乱れが原因の可能性があるので時間をかけて問診をした後、自律神経測定機を用いて自律神経の状態を計測しました。
自律神経を測定した結果、交感神経の活動が非常に高く、精神的ストレスの数値も高い状態でした。問診した結果、仕事上での人間関係でストレスを感じており、体が疲れてくる夕方や人間関係でのストレスを感じた際に目の調子も悪くなるとのことでした。

①自律神経調整治療
②首肩の筋緊張の緩和
③目の周りの筋緊張の緩和・血流改善
問診・検査結果よりこの3点を重点的に施術していきました。

治療経過
◇1回目◇
治療後目の調子はあまり変化が見られなかったが、首肩が軽くなり体が楽になったとのこと。

◇2回目◇
夕方いつも感じていた目の疲れ・かすみ目が少なくなってきた。

◇3~5回目◇
普段裸眼で見えにくかったが道路の標識がしっかりと見えるようになってきた。

◇6回目◇
仕事が忙しく、残業する日が増えて目のかすみを少し感じた。

◇7回目◇
前回治療後、目のかすみがとれて目が楽になった。

◇8回目◇
物の色がくっきりと見えるようになってきた。

◇9回目◇
会社の定期検診で視力を計測したところ、0.9となっていて前回計測(0.5)よりも改善が見られた。

 

症例 2

50代 女性

ずっと視力はよかったが、デスクワークやスマートフォンの使用頻度が増加したためかここ数年で視力が低下してしまった。現在の視力は左右とも0.1で、3週間後に運転免許の更新をするため、更新に必要な0.3以上の視力を戻したく当院を受診した。

空いている時間はほとんどスマートフォンを使用しており、デスクワークは1日6時間~8時間程度。

目の疲れやドライアイも気になり、忙しいと首肩のコリが酷くなり、整体やマッサージに通っている。

当院の施術

まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認していきました。そこまで大きくは乱れていなかったのですが、多少交感神経が優位になっていました。

施術は、まずうつ伏せで背部兪穴、首肩の筋緊張の強い部分に鍼で刺激し、次に仰向けで自律神経調節、眼の周りの経穴に刺鍼し、電気を流す低周波鍼通電法を行いました。

 

経過

◇1回目◇

施術後の帰り道はクリアに見えたが、また時間と共に戻ってしまった。

 

◇2回目◇

眼の疲れが取れ、見えやすい感じがある。

 

◇3回目◇

スマホを見続けると視力は悪くなる。

なるべく眼を使わないようにと注意。

 

◇4回目◇

眼の疲れは楽に感じる。

良い状態を保っているような気がする。

 

◇5回目◇

免許更新の前日に施術を受けた。

免許更新当日の検査では、両目とも0.4まで視力が上がっていた。

 

 

近視に対する鍼灸治療効果の臨床研究について

明治鍼灸大学では、若年性の近視に対して鍼灸治療がどの程度の効果があったかの研究が行われています。

「若年近視に対する鍼治療の効果」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/49/4/49_4_567/_article/-char/ja/

この研究では視力低下を訴えている13~25歳の200名の患者に足して2年間鍼治療を行っています。治療後では視力が平均右目0.33の改善、左目では0.31の改善が見られたとのことです。この研究では、基本的な目の周りのツボに鍼を刺してまた目に効果的とされる手の合谷というツボを持ちています。また、効果があまり芳しくない方に対しては目の周りの鍼通電治療も用いて施術したとされています。

この治療法は、当院でも用いている治療法です。当院ではその他首肩背中の施術や自律神経も整える全身のバランス調整施術も行っていきます。

 

 

近視とは

目の屈折異常のひとつで、目が調節を休ませたときに眼球内に入ってきた平行光線が網膜の前方に像を結ぶ状態をいいます。
近視になりますと近くはよく見えますが、遠くがぼやけたりして症状が強く出ると視力障害を引き起こします。現在近視は増加傾向にあり、小中学校でも近視の割合は徐々に高まっています

 

 

近視の原因

■近視は主に3つの種類があります。

 

ⅰ)屈折性近視
人の目はカメラと似たような構造をしていて、カメラのレンズが水晶体、フィルムが網膜に相当しています。人はピントを合わせる場合は眼球を伸ばしたり縮めたりすることは出来ないので、水晶体を膨らませたり、薄くしたりすることで網膜にピントを合わせようとします。
しかし、屈折性近視の場合は、角膜や水晶体の屈折力が強いので網膜よりもまえに焦点を結んでしまいます。

ⅱ)軸性近視
生まれた時は眼球も小さいので物を見ても焦点は網膜の後ろにいってしまいます。これを遠視といいます。成長するにつれてだんだん眼球も大きくなり大部分の人は調節しなくてもピントが合う状態(正視)になって、眼球の成長はとまります。
しかし何らかの原因で成長が止まらずに眼球が大きくなると焦点が網膜の前になってしまいます。そのことが近視の原因になります。軸性近視は眼球が通常よりも前後が長いために起こります。

ⅲ)仮性近視
目の疲労により一時的に近視のような状態になることを仮性近視といいます。テレビやパソコンなどで目を酷使した後は症状が強くなり、目を休めたり遠くをみたりすると症状が弱くなることが特徴です。
テレビやパソコンなど近くで作業を長時間行いますと、目の調節が緊張したまま近くにピントが合った状態で遠くにピントが戻らない場合があり、一時的に近視の症状になります。

■近視の原因は現在のところまだよくわかっていませんが、有力なものに遺伝説環境説などがあります。

1)遺伝による近視説
親が近視の場合に子供が近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が近視に複雑に関係すると考えられます。近視の発生率の民族間の違いが近視に遺伝が関係していることの証拠として挙げられています。
近視の遺伝説では何歳の時に近視になり始めて何歳までにどこまで進行するかが生まれつき決まっていると考えられます。近視はほとんどの場合に青年期までに徐々に症状が進行して成人なると症状は進行しません。

2)環境による近視説
統計的に長時間の勉強やパソコなどをする人に近視が多い傾向や途上国の農村部の人たちなど普段あまり長時間勉強やパソコンをする機会が少ない人に近視が少ないといわれています。そのことが近視の環境説の証拠として挙げられます。

3)栄養による近視説
幼年期の炭水化物の取りすぎが慢性の高インスリン血症を引き起こしてそれが近視の原因となる説があります。

 

 

近視にならないために

近視の原因は様々な説が挙げられています。もし遺伝と関係している場合は、予防は難しいと考えられます。しかし、近年のパソコンやスマホなど近くの物を見ることが増えた現代では、目の使い過ぎが原因の近視が増えていると感じます。近年は、子供でもスマートフォンをもっていて視力低下が著しい状態です。

近くの物を見るということは、ピント調節の毛様体筋が使われて長時間に及んでしまうと疲れが溜まってきます。そのようなことが続いてしまうと毛様体筋の働きが鈍くなり、ピントを合わせることが困難となってきます。
大人になってから視力を回復することは、とても苦労しますし、視力が良くならず逆にどんどん低下していってしまう方も少なくありません。
幼少期や20歳前までの環境がとても重要となってきます。

 

・スマホは30分以上続けてみないようにする。
・パソコンも60分以上続けてみない。
・勉強などの合間の休憩に5m先の物にピントを合わせて毛様体筋を休ませるようにする。
・目を酷使した時は、就寝前に目の周りに蒸れタオルをかけて温める
・目の周りを軽くマッサージして血行を促進させる
こういったことを日頃から気をつけて行ってみてください。近視

子供の近視化を防ぐには

 

近視

現代の日本では、子供の近視がより増えています。それは、統計的にみても明らかになっていて様々な要因が考えられています。

一番は、近くにものを見る時間が長くなっていることにあるかと思います。スマートフォンやゲーム機の普及などでいつでもどこにいてもゲームや動画が見ることができる環境で子供でも眼の酷使が鮮明になっています。人の目の構造上、本来は遠くのものが見えやすくなるようにできています。遠くのものを見ることができた方が身の危険から回避できたり、獲物を捕らえることができるからです。

近くのものを凝視するということは、人の目の構造にとってとても負担になっているのです。

眼の酷使によってピントを合わせる調節筋がうまく機能しなくなってしまったりすることで視力の低下が起きている場合が多いです。

また最近では、外に出て遊ぶ子が減っていることで子供の近視化が進んでしまっているということも言われています。
太陽光に含まれる紫外線は、身体に害があると一般的に思われがちですが、実際は害ばかりではありません。

子供の目にとって紫外線は害ばかりでなくプラスに働いてくれている場合もあるのです。

眼球を覆っている角膜や強膜には膠原繊維が多く存在します。紫外線を浴びることでこの膠原繊維同士が繋がって太く硬くなります。

すると、近視化の原因である眼軸の伸びを防いでくれるのです

眼軸が伸びるというのは、眼球の形が卵型のように楕円形になってしまうこと。すると、光の焦点が網膜よりも前に来てしまうため近視となります。

紫外線を浴びて膠原繊維が硬く繋がることで眼球の周りが強く保たれて卵型に変形してしまうことを防いでくれるわけです。

逆に太陽光を十分に浴びない場合は、眼球が柔らかすぎて眼圧で長く伸びやすくなってしまうのです。

子供の近視化防ぐためにも子供を室内ばかりで遊ばせるのではなく外で遊ばせることも重要のようです。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ふくらはぎの痛みの鍼灸治療

月曜日, 9月 22nd, 2025

ふくらはぎの痛みの原因

 

ふくらはぎの痛み

■筋肉の損傷が原因のふくらはぎの痛み

・筋肉痛

ふくらはぎの痛みで最も多い原因は筋肉痛です。筋肉痛とは、運動によって傷ついた筋繊維を修復しようとするときに起こります。主に運動量の増加、オーバーワークによって筋線維が耐え切れなくなって損傷します。
・筋肉痛の鍼灸治療について

 

・肉離れ

ふくらはぎの肉離れとは、急激な筋肉の引き伸ばしと収縮が同時に起こり、ふくらはぎの筋繊維が部分的に断裂してしまった状態です。まれに完全に断裂することもあります。
こむら返りと混同されやすいものの全くの別物です。肉離れは筋肉が伸縮性が乏しくなってしまっている状態では起こりやすくなります。

 

■病気や症状が原因のふくらはぎの痛み

・こむら返り

足がつる」と表現されるこむら返りは、主にふくらはぎに起こる筋肉けいれんの総称です。
自分の意志とは無関係に筋肉が持続的な攣縮(れんしゅく)を起こし、多くは激しい痛みを伴います。ふくらはぎの筋肉に起こることが多いですがその他、足の裏、太もも、上体を多く使う方では、指、首、肩などでも起こります。
睡眠中(明け方に多い)に見られるほか、激しい運動中や筋肉を使いすぎた後にも見られます。
どうして、こむら返りが起こるのか、その原因はよくわかっていませんが、一般的にカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質異常やそれらが不足する状態などが原因で起こるといわれていますが。しかし、原因が特定できない状況で起こることもあります。
・こむら返りの鍼灸治療について

 

・坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、お尻から脛、ふくらはぎといった下肢全体に痛みを生じさせることがある症状です。特定の病気を指す言葉ではなく、頭痛などと同じく痛みの総称を意味します。

坐骨神経痛を引き起こす原因は複数考えられます。
どの原因にも共通しているのが、腰椎の異常に伴う坐骨神経への強い刺激や圧迫です。例えば激しい運動や長時間同じ姿勢で座り続けるデスクワークなどが一因として挙げられます。症状としては、痺れを伴った痛みがお尻からふくらはぎのラインに走るケースが見受けられるのが坐骨神経痛の特徴です。
・坐骨神経痛の鍼灸治療について

 

・シンスプリント

シンスプリントは、過度なランニングや繰り返しのジャンプなどが原因で発症する骨膜の炎症です。
シンスプリントは脛(すね)の痛みを指す症状ですが、柔軟性が低下したふくらはぎの筋群(ヒラメ筋など)によって、脛の内側が引っ張られて痛みが生じると考えられています。
そのため、脛の裏側にあるふくらはぎにも痛みが起こることがあります。
・シンスプリントの鍼灸治療について

 

・下肢静脈瘤

足の動脈硬化が原因で、ふくらはぎに血流障害を引き起こしてします症状です。ふくらはぎの血管が狭くなったり、詰まったりし、何もしていなくても痛みが現れることがあります。

 

・閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は徐々に血管が詰まっていくため、初期はふくらはぎのしびれや冷えを訴えます。
進行すると痛みを伴うようになり、長い時間歩くことが困難になる場合もあるため、血管外科のある病院で治療の相談をしましょう。

 

ふくらはぎの痛みの種類

 

 

東洋医学的考え方

痛みは気・血(けつ)・津液(しんえき)など人体の構造成分の流れや量と深い関係にあると捉えています。気は生命エネルギーに近い概念、血は全身を滋養する血液や栄養、津液は体内の水分を指します。ふくらはぎの痛みに関係が深いのは血と津液です。

東洋医学に「不通則通(ふつうそくつう)」という言葉があります。「通ざれば、すなわち痛む」と読みます。体内での気・血・津液の流れがスムーズでないと痛みが生じるという意味です。

量については「不栄則通(ふえいそくつう)」という言葉があり、これは「栄ざれば、すなわち痛む」と読みます。
人体にとって必要な気・血・津液が不足すると痛みが生じるという意味で、栄養や潤いが十分供給されないと、その部分が正常に機能できず、痛みが生じるのです。

また、筋肉や関節のしびれ、だるさ、痛みなどを特徴とした病気を「痺症(ひしょう)」といいます。「痺」という文字は通じない、塞がるといった意味で、体の気血(きけつ)の流れ(神経、血液の流れ)が何らかの原因によって障害を受けていることを指します。

これは、風、寒、湿、熱などの外邪が経絡に侵入し起こると考えられています。

 

 

ふくらはぎの痛みに対する当院の鍼灸治療

 

◇急性症状の場合

痛みの強い部分やその周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液循環を促進し、消炎作用、鎮痛作用を促します。また、必要であれば、鍼に電気を流して電気鍼治療をして痛みを感じる閾値を上げ、痛みを感じにくくする作用を促します。

さらに、ふくらはぎの筋肉の問題は腰背部や臀部、大腿部の筋肉の連動性が大きく関わっているため、その部分にも鍼やお灸をして、筋肉の緊張を緩和しバランスを整えていきます。

 

ふくらはぎの痛みに対する電気鍼治療

 

◇その他の症状の場合

骨盤のゆがみや筋肉のバランスを正常に戻して下肢の血液循環を改善していくことが重要になってきます。

なぜなら骨盤が歪むと足へと流れる神経伝達の乱れにより、筋肉の活動量が減ることで筋肉のバランスが崩れ、ふくらはぎや足の血液循環が悪くなることが多いからです。

腰背部や臀部、大腿部の筋肉の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え下肢の筋緊張を緩め、血行を促進します。また、東洋医学的観点から気・血・津液を補うツボや下肢を栄養する経絡である、腎経、脾経、胆経、膀胱経などの重要なツボも取り入れて施術を行います。

また、自律神経系の調整施術を行うことで、全身的な血行促進、内臓機能や免疫機能を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。

下肢の血流促進鍼灸

 

症例

 

40代 男性

昨日子供とキャッチボールをして、肉離れになった。歩くのもつらい、以前から運動習慣があり、痛めるのは決まって右足。今回も右を痛めた。

病院に行く前に少しでも痛みをとってほしくて来院。

 

当院の治療

うつ伏せでは右腰からふくらはぎ全体に電気治療で痛みの沈静化と筋緊張をとり、血行促進する治療、仰向けでは、常に痛みがある状態だと乱れやすくなってしまう自律神経を調節して自然治癒力を高める治療を行いました。

◇1回目◇

治療後は変化を感じない。

◇2回目◇

前回から3日後に治療を行い、かなり痛みがひき少し歩けるようになった。

◇3、4回目◇

腰から足まで感じていた痛みがふくらはぎのみになった。

◇5回目◇

日常生活も支障がでないほどに回復し、普通に歩けるようになった。

 

症例 2

40代 男性

スポーツを本格的にしており、今日練習中にブチッという感覚と共に左ふくらはぎに激痛が走った。
すぐに練習を中止し、アイシングなどのセルフケアを行い安静にし、鍼灸をチームメートに勧められ自宅から近い当院に受診した。

歩行は可能で動けなくはないが、歩行時に足を地面につけた時に痛みが走る。
今までふくらはぎが疲労により攣ることはあったが、大きな故障はなくメンテナンスはセルフケアで済ませていた。

当院の施術

まず足の状態を確認していきました。
ふくらはぎ全体的の筋肉の張りは強いが内出血は見られず、痛みがある部分は熱を感じられたため、軽度(Ⅰ度)の肉離れの可能性があると判断しました。
当日発症し炎症状態であったため、初日は炎症を抑える事を目的に施術を行っていき、炎症が治まったら患部に直接鍼通電療法を行い、痛みの緩和、筋損傷部の修復の促進、瘢痕治癒による瘢痕組織の形成を少しでも回避することを目的とした施術を続けていきました。

 

経過

◇1回目◇
まだまだ痛みがある。

◇2回目◇
炎症が治まったため、患部に直接鍼通電療法を行った。
筋緊張が緩和し、痛みが軽減した。

◇3回目◇
歩行時の痛みが気にならなくなってきた。
試しに数秒だけゆっくり走ってみたが、そうすると痛みを感じる。

◇4回目~6回目◇
歩行時は痛みをほとんど感じない。
まだ安静のため走ることはしていない。

◇7回目~10回目◇
軽く走ってみたが、張り感はあるが痛みは気にならなくなっていた。
練習はまだ参加していない。

◇11回目◇
まだ無理はできないが、軽くなら練習に参加できるようになった。

PMS(月経前困難症)の鍼灸治療

日曜日, 9月 21st, 2025

月経前困難症に対する当院の鍼灸治療

 

 

鍼灸治療では、自律神経のバランスと女性ホルモンのバランスを両方整えていくためにそれぞれに対応したツボに鍼や灸をしていきます。また、五臓六腑の働きを整えるツボに鍼やお灸を用い施術することで体の免疫力を高めていきます。

 

月経前困難症の鍼灸治療

冷えを伴う場合は冷えている部分に温熱療法鍼灸で血流を改善し身体を温めます。そして下肢や、骨盤周囲に鍼と通電を行う事で骨盤内臓器の血流の循環改善を図り、子宮内膜を強く健康な状態に導くことでホルモンバランスを整えていきます。

 

月経前困難症のうつ伏せ鍼灸治療

 

また、月経前困難症の方の多くは足の冷えやむくみ症状が出ます。ホルモンバランスや自律神経のバランスの乱れによるためで足を温めることにより血流が改善されて全身的な症状の緩和に繋がります。

月経前困難症の下肢への鍼灸治療

 

月経前困難症の自律神経との関係

 

女性ホルモンの分泌をコントロールしているのは脳の視床下部で、自律神経も同じく視床下部でコントロールされています。同じ部分でコントロールされているだけでなく女性ホルモンと自律神経は互いに影響しあっている存在でもありますので、女性ホルモンのバランスが乱れると引きずられるように自律神経のバランスにも乱れが生じます。

その他にも疲労やストレスで免疫力が低下していたり、体の冷えから血管が収縮したり自律神経のバランスが乱れてもPMSの症状が重くなる原因になります。

 

 

PMS(月経前困難症)とは

 

PMS(月経前症候群)とは月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で月経が始まるとともに減ったり消えたりするものをいいますが、実は女性の中の80%が何らかのPMS症状を抱えているといわれています。

症状としまして

・気分の落ち込み
・イライラ感
不安感
・集中力の低下
易疲労
・眠さ
頭痛
腰痛
・下腹部痛
・腹部膨満感
・乳房の痛み
便秘や下痢
・食欲不振
・過食
めまい
・むくみ

など多岐にわたります。
年代によっても症状が現れる特徴があります。初めて月経が起きるのが小学生の高学年から中学生にかけてでその時期は月経周期も不安定になりがちです。そして、18歳ごろにかけてホルモンの働きが安定してきて月経周期も安定しやすくなります。

18歳から45歳ごろにかけて性成熟期と言われて月経周期も安定しやすく、女性が妊娠するのに適した時期だと言われています。この性成熟期にPMSが多く現れて悩まされている人が多く、20代では、乳房のはり感や腹痛・頭痛などの症状に悩まされることが多くなります。そして、30代に入るとそれに加えてイライラ感や不安感、集中力の低下など精神的な症状も出てきて多くの方がそれに悩まされます。

妊娠経験の有無でも症状が変わってくることが言われており、出産経験がある場合ですと身体症状が多く出て、逆に妊娠経験がある場合ですと精神症状が強く出ると言われています。

また、ホルモンバランスの微妙な変化により月経が起きるたびに違う症状になって身体や精神にあらわれることもあり、毎回毎回その対処に悩まされることもあります。

PMSの起こる原因はまだはっきりと解明されていませんが、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌や、排卵を境に変動する二つの女性ホルモンが影響してPMSを引き起こすと考えられています。
その二つのホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)という二種類の女性ホルモンです。エストロゲンの分泌量は排卵に向けて急上昇し、排卵以降は緩やかに低下します。

一方プロゲステロンの分泌量は黄体期に一気に上昇し月経が始まると急激に低下します。そしてPMSの症状はこの黄体期に現れます。PMSはストレスや体調によって重くなりやすいため、仕事や恋愛などでストレスを抱えやすい20代の方や、家事や育児、仕事で忙しい30代に圧倒的に多く見られます。

几帳面で神経質、完璧主義者、負けず嫌い、コーヒーや甘い物を好む、体力がない、急に仕事が忙しくなった人などもなりやすいと言われています。

月経前困難症

・卵胞ホルモン(エストロゲン)

エストロゲンは女性らしさを作るホルモンといわれています。乳房、子宮を発達させ女性らしい体を作り、子宮内膜を厚くさせる働きがあります。また、自律神経の働きを整えたりコラーゲンの合成を進め艶やハリのある肌を保つ働き、骨の形成や血管の収縮を抑制するなどの働きもあります。
最近になってエストロゲンが脳由来神経栄養因子(BDNF)の生産を促していることも確認されています。BDNFは減少すると抑うつ気分などに関係するセロトニンの生産を促すといわれています。

 

・黄体ホルモン(プロゲステロン)

プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンといわれています。子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にする働きや、乳腺の発達、食欲増進、体脂肪を減らす、ホルモンバランスを調整する、水分の保持、体温を上昇させるなどの働きがあります。

 

黄体期に分泌されるプロゲステロンは体の中で色々な現象を誘発します。
例えばホルモンの働きで水分が排出されにくくなってしまうとむくみの原因になります。それが乳房に溜まれば乳房の痛みに、頭であれば頭痛に、水分が体に溜まると身体全体がだるく感じることもあります。

また、エストロゲンの分泌量が減るのに伴いセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンは心や体の安定に深く関わっていることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。このセロトニンが減少することでうつ症状やネガティブ思考など気持ちが不安定になります。
また、セロトニンの減少は身体面にも大きな影響を与えます。片頭痛や肩こり、身体がだるくなる症状などが代表です。さらにインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が低下し血糖値が上がる為、この上がった血糖値を抑えるためにより多くのインスリンが必要になります。そのため食事後に2~3時間は低血糖を生じやすく甘い物を食べたくなることもあります。

PMSに対する鍼灸症例

 

症例1

30代女性

20代半ばから生理前の精神的な落ち込みや焦燥感、胃の不快感、便秘、首肩のこり、頭痛に悩まされている。首肩のこりは慢性的に感じており、天気が悪い時には頭痛がよく起こる。婦人科にてPMSとの診断を受け、以前は漢方薬を服用していたが改善が見られず、現在は服用していない。頭痛がひどい時に鎮痛薬を飲んでいる。 

施術

自律神経測定器の結果では、交感神経が過剰に働いており、自律神経のバランスが大きく乱れている状態でした。自律神経のバランスの乱れは、ホルモンバランスの乱れに影響を及ぼします。就職した20代半ばから症状を感じるようになったことから、生活習慣の乱れや過労、ストレスが大きく影響していると考えられる。交感神経の過緊張は、筋緊張や血流の悪さを引き起こし、慢性的な首肩こりや頭痛を生じさせます。

全身のツボを用いた自律神経調整施術や婦人科のツボへの刺激、首肩の筋緊張緩和を目的に施術を行いました。

治療頻度は週に1回程度。

一~四回目

施術の回数を重ねるごとに、首肩のこりが気にならないようになってきた。頭痛が起こる頻度が減った。よく眠れるようになり、以前より身体の疲れが少なく感じる。

五~十回目

PMSの症状は施術を開始する前よりずいぶんと楽だった。慢性的な首肩こりや自律神経の乱れを感じなくなり、頭痛も起こっていない。

十一回目以降

週に一回の施術を隔週に伸ばした。季節の変わり目や天気が大きく崩れる時、生活の忙しさが続く時には症状が重く出るが、基本的には体調良く過ごすことが出来ており、以前よりPMSは楽になった。

 

自分でできる対策

PMSのセルフケア

 

・食事

PMSの改善には何よりもバランスのとれた食事が大切で特に良質のビタミンミネラルの摂取が有効です。低脂肪食も良いと言われています。月経前はホルモンの働きで甘い物が欲しくなりますが一度の大量の食べ物を摂取したり血糖値を急激に上昇させるジュースや洋菓子を取るとかえって疲れやすくなってしまいます。月経前は血糖値をゆるやかに上るいも類や玄米、果物などがお勧めです。また、浮腫みなどの症状がある時は塩分の摂取量を控えることも大切です。その他血糖値の急激な上昇を避けるために一日の食事回数を4~6回程度に小分けにして食事を摂ることも有効です。しかし、この際には1日摂取する食事量が増えすぎないように調整することが重要です。

その他、PMSの症状緩和につながる食材としまして、牛乳・ひじき・ゴマ・卵・イワシ・わかめ・さばなどがあります。

食事

・運動

身体に水分を溜めこみやすい月経前は有酸素運動で汗をかくのが一番です。一週間に三回程度30分から1時間程度のウォーキングや水泳、ストレッチなど軽い運動を行うと体に溜め込まれた余分な水分が排出されやすくなり血行も良くなります。また、ストレス解消の効果や安眠効果も期待できます。

1992年にデューク大学で行われた研究で運動によってPMSの精神面における症状が軽減されたという実験結果が出ています。

中年女性(閉経前)23人を2つのグループに分けて有酸素運動か筋トレを行ってもらいPMSへの影響を調べました。一つ目のグループは週三回1時間ほどの有酸素運動を行ってもらいます。内容は15分のウォーミングアップののちに最大有酸素運動能の70~85%の強度で30分間ランニングしてその後15分間のクールダウンを行った。
もう一つのグループは指導を受けながらウェイトマシンで筋トレを1時間ほど行った。
両グループとともに体のPMS症状は軽減されたが、精神面でかなり良い改善結果が出たのがランニングしたグループつまり有酸素運動群でした。とりわけ抑うつ気分やイライラ感、集中力の低下が顕著に改善されたという結果が出ています。
この結果は、PMSの体の症状は筋トレなどの無酸素運動でも改善される可能性があるが、精神面の改善を考慮すると有酸素運動がPMS症状改善に有効と示唆されます。

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・ストレスを溜めこまない

PMSには日常のストレスも大きく関係していると言われています。そろそろ体調に波が出てくる時期だと思ったら過度の仕事や無理なスケジュールを避けるなどストレスを溜めない工夫をしましょう。また、睡眠をたっぷりとる事も大切です。普段から基礎体温を測って不調になるサイクルを記録しておくと不調になる大体の時期を把握できるので便利です。

肩こりの鍼灸治療

 

飛蚊症の鍼灸治療

土曜日, 9月 20th, 2025

①飛蚊症に対する当院の鍼灸施術

 

飛蚊症の鍼灸治療方針

 

 

当院の飛蚊症に対する施術は、目の周辺のツボにハリやお灸を施して、目の血行状態をよくします。目の血行状態をよくすることで線維化した硝子体内の物質を排出しやすくします

 

飛蚊症の鍼治療

当院では目にもお灸治療も積極的に取り入れてお灸による暖かさで血液循環の改善を図っていきます。

飛蚊症の鍼治療

また飛蚊症は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補って肝陽の抑制などを行います。東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。当院に飛蚊症でご来院される方は、忙しい日常を送っている方が多く、精神的・肉体的なストレス過多状態の人が少なくありません。

そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を検査してから施術することで自律神経のバランスを整える効果が期待できます。また部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあります。

全身施術を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めて様々な不定愁訴を取り除く効果が期待できます。

飛蚊症の全身調整鍼灸

当院では、飛蚊症の原因がわかった段階で施術します。飛蚊症は、失明に繋がる怖い病気の前兆の場合もあり、早急な対応が必要な場合があるからです。原因によっては当院で施術できない場合もありますので、ご相談ください。

 

 

②飛蚊症についての東洋医学的考え

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また肝の陰液不足のため肝陽を抑制できないためにおこる肝陽上亢や肝の陽気の過亢進による肝火上亢によって目の充血や炎症が起こります。目の充血や炎症は飛蚊症の原因になると考えられます。

※肝陰虚・肝陽上亢
肝の陰液不足によって、肝の陽を抑制できないため肝陽が上に昇っていってしまうために起こる病態です。上に昇っていくことで顔面部や頭部に熱証が見られます。具体的には、のぼせ・めまい・ふらつき感・頭痛・顔面紅潮・目の充血・耳鳴りなどが挙げられます。
また、『肝腎同源』と言われ、東洋医学では肝と腎はとても深い関係にあるため、肝の陰液不足は、腎陰不足にも繋がります。よって肝腎陰虚の症状もあらわれるのです。肝腎陰虚は、西洋医学でいう高血圧症・自律神経失調症・更年期障害・慢性腎炎・不眠症などの症状がみられます。

 

 

 

③飛蚊症の鍼灸治療症例

30代男性 飛蚊症

数年前から目の前を細かい浮遊物が飛んで見えるようになり、眼科を受診したところ生理的飛蚊症と診断された。眼科では、ドライアイの目薬を処方されて症状は昇降状態だったが、当院に来院される半年前頃から飛蚊症の症状がひどくなり始めた。仕事はデスクワークが主でパソコンの前に座って作業する時間が多く、夕方など目が疲れてくると、浮遊物が多くなり仕事に集中できないとのこと。

それに伴い首や肩にこりに痛みを感じてつらい。またずっと座っていると右腰もつらくなってきて、右足も重だるくなってくる。

 

治療
生理的飛蚊症の場合、パソコンを多く見る習慣や不規則な睡眠・食事、運動習慣の少なさなど生活習慣が多くかかわってきます。まず問診や自律神経側的でお体のバランスをしっかり把握したうえで施術にはいります。

この方の場合、お仕事が多忙で交感神経が過亢進状態で、寝つきも悪いことが週に2~3日あるとのことでした。また運動習慣も少なく、パソコン作業をすると6時間休憩を取らずにぶっ続けで行うこともあり、そういった習慣も改善していく必要があります。

治療ではまず全身の自律神経のバランスを整える自律神経調整療法を施し、首・肩・腰部の治療をしてから最後に目の周りの施術をしました。

 

治療経過
◇1回目◇
触診したところ首肩の筋肉に左右差があり、右が明らかに金の緊張がみられる状態でした。それらの筋肉をほぐすと共に以前に鍼治療を受けられており鍼治療に慣れているということで一回目から目の周りにの施術も少し強めで行いました。

◇2回目◇
目・首・肩・腰の症状にあまり変化が見られなかったが1回目の治療後お腹が動く感じがあり、胃腸の働きが良くなったと実感できたとのこと

◇3回目◇
以前たまに夜目覚めることがあったが、最近それがみられなくなったとのこと。

◇4回目◇
以前は右肩がつらかったが、それがとれて今度は左肩の不調を感じるようになった。目やにの量が少なくなった。

◇5回目◇
身体全体的な状態は楽になってきた。

◇6回目◇
飛蚊症の症状に変化が見られてきた。以前は目が疲れると浮遊物が増えて仕事に集中できなかったがそれがなくなった

◇7回目◇
以前の状態が続いている

◇8回目◇
日常生活の中で飛蚊症の症状が気になることは少なくなった。ただしまだ青空を見上げると浮遊物があると確認できる。

◇9回目◇
体の状態に変化見られず。

◇10回目◇
青空を見上げても浮遊物が見えなくなった。

 

 

 

症例2
60代 女性
当院にご来院された2か月ほど前から目の前に浮遊物の見える飛蚊症の症状が出てきた。眼科で検査を受けたが特に異常は見られなかった。眼科では特に治療は受けずに経過観察と言われて他に治療法はないかと探していたところ当院のホームページを見つけてご来院された。

 

当院の治療
普段からパソコンで仕事をしていて、それ以外にもスマホやテレビを見る機会が多く、目は相当酷使していたとのこと。普段から目の疲れは感じていた。
それに加えてここ最近は母の介護が加わり、体力的にも落ちていて胃の調子など体調を少し崩している状態でした。目の浮遊物は両方見えて特に右目に大きな黒い塊が見える。視力は左右ともに0.3でコンタクトレンズをつけている状態。

自律神経のバランスを測定したところ、自律神経のバランスが乱れている状態でしたのでバランスを整えつつ、目の周りの施術をしていきました。

 

治療経過
◇1回目◇
施術後、目の疲れはだいぶ軽減されたように感じた。飛蚊症はまだまだある。

◇2回目◇
仕事と介護でストレス。睡眠不足で目の調子も少し悪い

◇3回目◇
今回施術後から飛蚊症の細かい浮遊物は見えなくなってきた。まだ右目の大きな黒い塊はある

◇4~6回目◇
段々と飛蚊症も薄くなってきていると感じる。身体の疲れも良くなってきて睡眠の質も向上

◇7回目◇
飛蚊症、明るい所や天気の日に少し気になる程度になってきた

◇8回目◇
目が疲れてくると細かい浮遊物は多少見えるが、それ以外普段は浮遊物を見られなくなった

 

 

症例3
30代 男性

 

2年前から視界に糸くずのような物が飛んでいて気になるようになっていた。その後、前から視力が悪く気になっていたためレーシック手術を受けて視力の回復をする手術を受けた。手術を受けて視力は上がったように感じたが、飛蚊症がさらに気になるようになってしまった。

最初は、右目だけ気になるようだったが今では左目も糸くずのようなものが飛んでいるのが気になる。

 

パソコン作業が主な仕事のため、明るいデスクを見ると飛蚊症がさらに気になり、仕事にも集中できない。

飛蚊症が気になり始めると、頭痛や目の周りの痛みも感じることが多い。

 

飛蚊症の他に、ひざ痛や左坐骨神経痛もあり、ランニング中や趣味のテニスをしている時に痛みが強くなるとのことで目の施術と合わせて施術を行っていきました。

 

鍼灸治療

 

以前から鍼治療は良く受けており、受け慣れていたため刺激の量は若干はじめから強めに行ってしっかりと刺激量は入れていきました。

目の周りの鍼通電治療やお灸施術を中心にして膝周りや大腿四頭筋の筋緊張の緩和、頸部の板状筋・僧帽筋の筋緊張の緩和なども併せてはり灸施術を行いました。

 

■1回目

飛蚊症に対しては特に変化は見られない。ランニング中の膝の痛みは軽減された。VAS7→3

 

■2~6回目

あまり変化は見られない。飛蚊症は少し薄く見えるようになったかもとのこと。まだ仕事中もかなり気になる。天気のいい日の空を見上げるとはっきりと飛蚊症が見える

 

■7~15回目

治療開始8回目あたりから少しずつ飛蚊症の数が減少。以前は視界全体にバーっと拡がっていたが今はだいぶ少なくなってきた。パソコン作業の仕事も集中してできる時間が段々と増えてきた。

 

身体もだいぶ楽になってランニングやテニス時のひざ痛や坐骨神経痛はVAS8→2にまで痛みは軽減された。

 

症例4

50代 女性

1年前から飛蚊症が気になるようになった。半年ほど前から中心に濃く見えるようになり、パソコン作業中に特に気になるようになったためご来院された。眼科で検査の結果、生理的飛蚊症と診断された。

仕事はほぼ1日中パソコン作業を行っており、普段から目の疲れや、目から頭にかけてのおもだるさを感じている。また、全身の疲れや首肩のこりも慢性的にある。

治療

飛蚊症の原因となっている硝子体内の物質の排出を促すため、血流改善・新陳代謝の活性化を目的に、目の周りに鍼通電を行いました。また、全身的な血流の改善、筋緊張の緩和のため自律神経調整施術も行っていきました。

治療頻度は一週間に一回。

一〜五回目
目の周りや頭にかけての重さがとれた。飛蚊症は色が少し薄くなった。首肩のこりは依然気になる。

六〜十回目
飛蚊症は施術の回数を重ねるごとに段々と色が薄くなっていった。首肩のこりも以前より気にならなくなってきた。

十一〜二十回目

飛蚊は色がさらに薄くなり、中心から外側に移動した。身体の疲れが軽くなり、首肩のこりは気にならない。

二十五回目以降

飛蚊症の色は透明になり、輪郭がぼやけて見えている。パソコン作業では気にならなくなった。

 

④飛蚊症とは

飛蚊症とは、明るいところや白い壁などを見つめた時、目の前を小さな浮遊物が飛んでいるように見えます。その形状は虫や糸くずであったりします。視界からはずそうと視線を動かしても一緒に移動してきます。また、まばたきや目を擦っても一向にきえません。

眼球の内容の大部分は硝子体が占めています。硝子体は透明で粘稠な組織で血管や神経はありません。目から入ってきた光はこの硝子体を通過して網膜まで達します。ところがその硝子体になんらかの原因で濁りが生じると蚊や糸くずが飛んでいるように見えます。

 

 

 

⑤飛蚊症についての原因

 

飛蚊症の主な症状

 

飛蚊症の原因は大きく分けて5つあります。

ⅰ)生理的飛蚊症
母体内で胎児の眼球が作られる途中では、硝子体に血管が通っています。眼球が完成すると普通血管はなくなります。しかし、生後血管が残っていると飛蚊症として感じることがあります。このタイプの飛蚊症は生理的なもので健康な人にも起こりうるので症状が悪化しないかぎり心配する必要はありません。
成人の場合では、硝子体内の分質の変化により線維化した物質が浮遊物として見える場合があり、眼科で検査しても病的ではなく、原因がわからない場合が多いです。

ⅱ)硝子体剥離による飛蚊症
硝子体剥離は飛蚊症の原因としてもっとも多いと考えられています。高齢者に多くて、歳をとると硝子体はゼリー状から液状に変化し、硝子体は次第に網膜から剥がれます。この現象を硝子体剥離といい、飛蚊症の症状をもたらします。また若い人でも強度の近視の場合は硝子体剥離がおこります。

ⅲ)網膜裂孔、網膜剥離による飛蚊症
網膜裂孔は硝子体と網膜が癒着した部分があると、網膜が委縮した硝子体に引っ張られた際に破れて孔が開いてしまいます。その時に網膜の血管が切れて出血が起こり、硝子体が濁ることによって飛蚊症の症状が現れてきます。
網膜裂孔が起こる前に目の前を光が走るように感じられることがあります。それは、暗い場所でも目を閉じていても感じられます。網膜剥離は網膜裂孔を放置しておいた場合に起こる場合がほとんどです。網膜剥離が起こると剥がれた部分ではものを見ることができなくなります。また黄斑部という視力に深くかかわっている部分が剥離すると極端に視力が低下してしまいます。無症状でゆっくり進行するものもありますので、注意が必要です。

ⅳ)硝子体出血による飛蚊症
目の中に出血して血液が硝子体のなかに入ると飛蚊症として感じます。出血量が比較的少ない場合に飛蚊症の症状が現れます。
出血量が大量であると視力も落ちます。硝子体出血を起こすものとして糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症があります。どちらも眼底を走る血管の血流が阻害されることにより血管が破れて出血を起こします。
硝子体は血管がなく、血の循環が悪いところなのでなかなか血液を吸収せず、症状が改善するのに時間がかかります。

ⅴ)炎症による飛蚊症
眼球の炎症性の病気によって硝子体が混濁して飛蚊症の症状が現れることがあります。最も多いものが、ぶどう膜炎です。目に炎症が起こると血管から白血球や滲出液が硝子体に入り込み硝子体を混濁して飛蚊症の症状が現れます。この場合の飛蚊症は症状の軽いものから始まり、だんだん症状が悪化していき、やがては物を見るのに支障をきたす場合もありますので注意が必要です。

 

⑥飛蚊症の自分でできる対策

飛蚊症を予防・改善させる自分できる対策として目に発生した活性酸素を分解させる・なるべく活性酵素を発生しにくくさせるという対策があります。

硝子体や水晶体は紫外線を浴びると活性酸素が発生してしまいます。通常、その活性酸素を分解してくれる酵素が分泌されますが年齢を重ねていくとどうしてもその分泌量が減少していってしまうのです。
さらに、今は目を酷使している人が増えているため目の周りの循環も悪くなってしまい、わかくても活性酸素を分解してくれる酵素の分泌量が減っている人が多く、若くして飛蚊症で悩んでいる方も少なくあります。

 

よって飛蚊症となってしまう過程で活性酸素をできるだけ発生させない・活性酸素を分解してくれる酵素を出しやすい体の状態にするという事が重要となるわけです。

 

 

・サングラスをかける
紫外線を浴びると水晶体や硝子体に活性酸素が増えやすくなってしまいますので外に出る時はなるべくサングラスをかけるかUVカットのメガネを着用するようにしてください。

 

・パソコンやスマホ画面を長時間見ない
パソコンやスマホ画面を長時間見ると目の周りの筋肉が過緊張状態となり、血液循環が悪くなるので最低1時間に5~10分程は目を休める時間を取りましょう。

 

・蒸しタオルなどで目の周りを温める
目の周りを温めることで目の周りの血液循環が改善されて活性酸素が分解される酵素が分泌されやすくなります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

 

目の奥の痛みに対する鍼灸治療

木曜日, 9月 18th, 2025

パソコンやスマートフォンなどの普及によって目を酷使する時代になりましたが、それによって目に何かしらの不調を抱えている人が増加しています。目を使いすぎると目が痛くなることがありますが、目の奥が痛くなる事も目の奥の痛みは目だけが原因ではない場合もあります。

目の下のクマ

目の奥が痛い時疑われる疾患

 

・眼精疲労やVDT症候群
パソコン、テレビ、読書、ゲーム、運転などで目を酷使することや、屈折異常(近視や遠視、近視)や老眼に対してメガネやコンタクトレンズが合っていなかったり、過労や睡眠不足、ストレスによるものなど眼精疲労の原因は様々です。目の周囲の筋肉が緊張することで目の奥の痛み目のかすみ眩しさ充血まぶたの痙攣などの症状を引き起こします。休息や睡眠をとってもこういった症状が改善しない慢性的なものを眼精疲労と呼び、中でもVDT症候群というスマートフォンやパソコンの長時間使用で起こるものが最近増え続けています。

眼精疲労やVDT症候群では目だけではなく体全体や心にも悪影響が及ぶことがあります。目のコントロールを行っている自律神経が目の疲れによりバランスを崩し倦怠感や疲労感、肩こり、頭痛、イライラ、吐き気などの不定愁訴と呼ばれる不調が現れる事があります。

眼精疲労の鍼灸治療について

 

・ドライアイ
眼精疲労と共に目の奥が痛くなる原因として多くを占める病気がドライアイです。パソコンテレビスマホ、ゲーム、読書、運転などで現代社会は昔に比べてまばたきをする回数が異常なほどに減っており、その影響で目の表面を覆っている涙が乾いてしまいます。

涙には角膜の汚れを洗い流し栄養を補給してくれる役割があるため、涙が減少すると、目が傷つきやすくなったり、栄養分が足りず病気になりやすくなります。涙の成分のバランスも崩れてしまうため涙の質が低下してしまいます。涙は単なる水分ではなく、まぶたの淵に沿って並ぶマイボーム腺から分泌される油分、水分、涙が眼球に留まるためのムチンの三層からできています。涙の変質により油分が均一に広がらずにさらに乾きやすい状態になり、目の渇きや、異物感痛み充血疲労感視力低下などが起こります。眼精疲労と併発しやすく目の周囲の筋肉が緊張

ドライアイの鍼灸治療

 

・片頭痛
10代、20代の若い時期から起こり、男性より女性に多く見られます。命にかかわるような病気ではありませんが、日常生活への影響は大きいとされています。

片側性でズキズキと脈打つような拍動性の頭痛が典型的ですが、両側性や非拍動性の場合も多くあります。頭痛の他に目の奥の痛みや吐き気を伴う事があります。

頭痛の鍼灸治療について

 

・群発頭痛
片目だけの痛み、目を抉られるような痛み、痛みが1~2時間出現している。1~2ヶ月の間毎日痛みがあるなどの症状の場合群発頭痛を疑います。

はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、目の後ろには内頚動脈が走っています。その内頚動脈が拡張することにより眼の奥の痛みが出現するのではないかと言われています。

血管が拡張した時に右目であったり、左目であったりどちらかが強く痛みます。痛みが集中して続く時期を群発期といい、目を抉られるような痛みの為かなりの苦痛を伴います。夜間や明け方の特に痛みが出やすいとされています。

 

・自律神経失調症
目の奥が痛い原因は、自律神経の乱れが起こしている可能性があります。自律神経は交感神経と副交感神経の二つの事を指します。交感神経は主にストレスに対処する神経で活発な時はアドレナリンが分泌されています。このアドレナリンの作用により血管が収縮し筋肉も緊張状態になります。副交感神経はリラックスしている時に活発になります。副交感神経が優位だと血管が拡張して内臓に血液を巡らします。体にはこの二つのバランスが重要なのですが、このバランスが乱れを起こすと

常に緊張状態で血管が狭いままだと血流が滞ります。また、血管が収縮したままだと、血管や筋肉は硬くなりがちになり、急に交感神経が働き拡張すると血管が炎症を起こします。炎症時に痛みを引き起こす成分プロスタグランジンが発生し、結果目の奥の痛みが生じると考えられています。

自律神経失調症の鍼灸治療について

 

・ストレス、生活リズムの乱れ
仕事などで緊張していたり、残業が多かったりなどストレスの多い生活を続けている場合にも痛みが起こりやすくなる原因と言えます。

ストレスをため込むと身体は常に緊張状態に置かれています。体が興奮している状態だと筋肉も固まり血行が悪くなり、疲労物質が体内に溜まりやすくなります。慢性的にそのような状態が続くことで目の奥の筋肉も過緊張を起こし痛みを起こす原因になります。

 

・三叉神経痛
三叉神経とは顔面の痛みを伝える神経でこの神経が何らかの原因により圧迫をされると顔面の片方だけ激痛を感じます。その三叉神経の一つに眼窩下神経というのがありその神経が圧迫されると片目の奥が痛みます。三叉神経痛は自律神経の乱れや疲労が溜まった時などになる事が多いといわれています。

三叉神経痛の鍼灸治療について

 

・緑内障
緑内障は放置すると失明する恐れのある疾患です。必ずしも目が痛くなるとは限りませんが、急性の緑内障では急激な目の痛みに襲われる事があります。症状としては、急激な視力の低下と共に激しい頭痛や吐き気にも襲われることがあります。症状が現れたら迅速に診察を受ける必要があります。

緑内障の鍼灸治療について

 

・慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎は、蓄膿症とも呼ばれます。鼻汁が溜まり様々な症状が引き起こされます。その中に頭重寒、頭痛、目の奥の痛み、頬の痛みなどが挙げられます。鼻づまりによる呼吸苦だけでなく仕事や物事に集中できないなど、様々な弊害が起こります。

慢性副鼻腔炎の鍼灸治療について

 

 

目の奥が痛いのは危険な病気の可能性もあります

 

脳腫瘍
まず、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が見られます。脳腫瘍の位置によって目の奥が痛む場合があります。また、言葉をうまく話せない、意識障害、手足の麻痺症状が出たりなどの重篤な障害が出始めるのが特徴です。おかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。

 

くも膜下出血
一番の症状としてバットで殴られたような激しい頭痛に襲われます。しかし、痛みが全くない場合もあります。そのような場合くも膜下出血では目の症状から早期発見できる場合があります。片目だけ開かない、物が二重に見える、目の奥に痛みがあるなどの症状です。
また、言葉のろれつがまわらなくなったり、吐き気、嘔吐、進行すれば意識障害、呼吸障害などの症状が現れます。命に係わる重篤な疾患ですのでおかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。

 

目の奥の痛みに対する当院の鍼灸治療

 

当院の眼の奥の痛みに対する鍼灸治療は、まず第一に目の周りに鍼やお灸の施術を施すことにより痛みを軽減させます。鍼の施術効果として鎮痛効果というものがあります。鍼を刺すことで鎮痛物質であるオピオイドを作用させて痛みを抑える効果があると言われています。また、刺した鍼に電気を流す鍼通電療法を行うことでエンドルフィンやエンケファリンの物質を放出されてさらに鎮痛効果を持続させやすくなります。

目の奥の痛みに対する鍼通電治療

 

 

そのほか、目の周りをお灸で温めることで循環を改善してとどまっている発痛物質を流すことで痛みを取り除く効果が期待できます。

また、目の痛みを訴えてご来院される方の多くは、自律神経の乱れがあります。交感神経の高まりは血管や筋肉などを収縮させます。痛みによって交感神経の活動が活発となり、さらに痛みが続いてしまう要因となってしまいます。当院では、必要な場合初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定してからその方に合わせた自律神経調整施術を行っていきます。

目の奥の痛みに対する自律神経調整鍼灸治療

 

目の周りによる局所的な施術と自律神経を整える遠隔的な施術を合わせることでより効果が期待できるのです。

目の奥の痛みに対するうつ伏せの鍼灸治療

 

症例

45歳 男性

2か月前から眼精疲労がひどくなり、少しずつ目の奥の痛みが気になるようになってきた。

痛みが強く頭痛もひどくなってきたので、眼科で診てもらったところ異常はなく、眼精疲労が原因と診断された。点眼薬を処方されたが楽になるのは一次的で、まだすぐに戻ってしまうため他の治療を考え当院に来院した。

目の痛みや頭痛は朝は感じないが、お昼頃から夕方、夜にかけて増悪する事が多い。

それ以外にもドライアイ、入眠障害、肩こり等の慢性的な症状がある。

仕事ではパソコンを使用することがほとんどで、休日も暇さえあれば仕事をしているため目を酷使している。

当院の施術

まず、常に目を酷使している、休日も仕事をしている、入眠障害といった事で自律神経の乱れがあると考え、自律神経測定器で現在のお身体の状態を確認しました。

測定の結果、交感神経が副交感神経に比べ非常に高くなっていることが判明しました。

交感神経が働きすぎると、目の血流が低下し眼精疲労が酷くなり、目の奥の痛みが増悪します。

そのため、まずは自律神経調節を促す施術を行いました。

次に首肩の筋緊張の緩和、鎮痛や血流改善を目的として、眼の周囲に刺鍼しそこに電極をつないで低周波鍼療法を行いました。

治療間隔は週に1~2回。

 

施術経過 

◇1回目◇

痛みはまだ出るが、体や眼はかなりスッキリした。

◇2回目◇

いつも気持ちよくて寝てしまう。

◇3回目◇

眼精疲労が感じにくくなり、眼の奥の痛みも以前より軽快している。

◇4回目◇

目覚めが良くなってきている。眼の痛みも軽減。

◇5回目◇

ほとんど気にならない。

現在もメンテナンスのため定期的に来院中。

 

症例2

40代 女性

以前から緑内障を患っており、病院で処方されている点眼薬の治療を続けている。

眼圧は正常範囲内に安定し、進行も止まっているが時々目の奥や頭が痛くなることがある。

眼精疲労やドライアイも酷く、とくにデスクワークで眼を酷使した時はより痛みが強くなることが多い。

首肩コリは慢性的で麻痺しているためかあまり感じないが、他の人に触られると硬いとよく言われる。

眼の奥は重だるさのある鈍痛で、頭はこめかみ付近が締め付けられるように痛みがある。

当院の施術

お話をお聞きすると、最近測定した眼圧の数値は右目が13,左目は14と正常範囲内でしたが、疲れてくると眼の奥が痛くなるという事でした。

仕事の忙しは波があり、忙しい時だと10時間はパソコンに向き合っているというう事でした。また、仕事に追われストレスも感じており、あまりリラックス出来るときが少ないという事でしたので、まずは自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきました。

現在の自律神経の状態は、交感神経が過剰に働いており、逆に副交感神経の働きが弱かったため、心身ともに緊張していることが分かりました。

交感神経が働きすぎてしまうと血管が収縮し血流が悪くなってしまい疲労回復の妨げになってしまいます。また、筋肉も収縮してしまうので血管を圧迫させてしまいより血流が悪くなってしまいます。

自律神経の乱れも一つの要因と考え、

①自律神経の調節

②首肩の筋緊張緩和

③眼の血液循環の促進

以上を中心とした施術を進めていきました。

経過

◇1回目◇

あまり変化はない。

少しだるさが出た。

 

◇2回目◇

少し軽くなったような気がする。

 

◇3回目◇

痛みが軽減して楽に日常生活が送れるようになってきた。

しかし、忙しいと痛くなる時がある。

◇4回目◇

あまり気にならなくなってきた。

定期的にメンテナンスを続ける。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

お灸で冷え症対策

土曜日, 9月 13th, 2025

 

お灸の冷え性への効果

 

毛細血管や細動静脈の微小循環は全身の各組織細胞に対する生活物資の供給と代謝産物の除去にありますので、微小循環の改善を目的として、お灸治療をします。

冷え性のお灸治療

お灸は、皮下の毛細血管を拡張させて血流を改善できることと、温熱刺激による治療の方が患者さんが心地良いと感じるため冷え性治療に良く使います。

背部の冷え性治療

 

 

 

MT式温灸器
MT温灸器

全身や下半身の冷えなどの範囲が大きいときにはMT式温灸器を使います。

これは先端が丸くなっていて、滑らせながら効率よく広範囲を温めていくことができます。

灸頭鍼

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皮膚に刺した鍼の先端にもぐさをのせて火をつけて温めていきます。鍼の効果とお灸の効果が期待でき、当院でもよく使われる施術法です。

 

点灸
施術風景5

冷えに効く経穴に施すことで体内循環を整えて身体の内から温めていきます。

 

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器械によりお灸と同じ効果がだせるもので、お腹や手足の末梢に効率良く温度を伝えていくことができるものです。

 

自律神経調整法

自律神経測定器により自律神経のバランス確認後

自律神経調節法を行います。これにより体内のバランスを取り戻し、自律神経を正常に働かせることでその人が本来持っている自然治癒力を最大限まで高めることができますので

自律神経由来の冷え症をかなり改善させることができます。

 

冷え症とは

冷え性の定義ははっきりと決まっていませんが

中枢温と末梢温の温度較差がみられ、暖かい環境下でも末梢体温の回復が遅い病態であり、多くの場合、冷えの自覚を有している状態」や「通常の人が苦痛を感じない程度の温度環境下において、腰背部、手足末梢、両下肢、あるいは全身的に異常な感冷感を自覚し、この異常を一般的には年余にわたって持ち続ける病態で多くの場合、この異常に関する病識を有する」とも言われています。

両方共に言えるのは本人の自覚症状による病態であると考えられています。

ですので、他人が触って冷たくても本人が訴えなければ冷え性ではないことになります。

冷え症

原因

原因はさまざまで自律神経の異常からくるものや、男女差環境生活習慣心臓血管障害リンパなどがあります。冷え性の方は体の血液循環が悪く肩こり腰痛膝痛の原因となったり、体のあらゆる部分に悪影響を与えます。

 

  • ・自律神経の乱れタイプ

交感神経が働き過ぎて冷え性になります。

交感神経は血管を収縮させて体温を外に逃がさないようにします。内臓の働きは生命にとって大事ですので、中心部には優先的に血液が供給されますが、末梢には血液量が少なくなります。末梢に温かい血液が回らなくなると手足に冷えを感じるようになります。

 

交感神経により血管が締められている状態ですと外側から温めても効きません。

このような状態には、温かい身体の中心部をさらに温めてあげることで、温度を下げようと末梢の血管が拡張して末梢血流量を上げることができます。

自律神経失調症について

 

交感神経は人がストレスを感じると強く働きますので、お仕事や生活でストレスを多く感じる方はこのタイプの冷え性が多いと思われます。

 

に副交感神経が働き過ぎて冷え性になることもあります。
熱が外に逃げすぎてしまう場合です。

寒いときには血管が収縮して体表に流れる血液から温度が逃げないようにしますが、交感神経が弱い方は、血管の収縮が上手くできないために体表から温度が逃げてしまい冷えを感じるようになる場合もあります。

 

 

 

自律神経は互いのバランスが取れている状態が一番正常に働きます。

どちらかが優位の状態ですと身体のバランスを上手く取れないために冷え症へと繋がってしまします。

 

  • ・リンパや静脈系タイプ

リンパ管系は組織液やリンパ液を回収してくれる働きがあります。このリンパ管系の運搬障害が生じると、皮下組織に過剰に水分が溜まりやすく、冷え症に繋がります。

静脈は老廃物を含んだ体内の水分の内約9割を回収しているため、静脈に障害がでると冷え性に繋がります

重力により身体の中の水分は下半身へと流れていきやすいので、リンパや静脈が原因で冷えを感じる方はリンパ浮腫などのむくみなども一緒に悩まれていることが多いです。

 

熱産生力が低いタイプ

ダイエットなどをしている方に多いのですが、

身体は熱を食事や運動から作ります。ダイエットなどをしている方は食事量も減っているため食事からの熱エネルギーが少なくなっています。さらに筋肉は熱を作るためダイエットなどで筋肉量が落ちていくと熱産生量も少なくなってさらに熱を生み出さない体になります。

皮下組織にある脂肪は保温材の役割があります。この皮膚と血管の間にある保温材が少ないと外に熱が逃げやすくなってため身体が冷えやすくなります

 

この熱産生量が低い冷えは10代~30代の女性に多いタイプです。

 

体温や血圧をコントロールしている自律神経のバランスを崩しやすいのも女性です。

冷え性の灸治療症例

 

50代女性

足先の冷えが強く、夜眠れないため来院された。

靴下をはいていても寒さを感じる。

足元以外の冷えは特に気にならない。

冷たい飲み物が好きで、がぶ飲みしてしまう。

慢性的に腰痛もあり、冷えと腰痛治療を希望したい。

 

 

当院の治療

触診したところ、足首からつま先までの冷えがとても強かった。

手は問題なく、お腹は下腹部あたりに冷えがあり、腰は仙骨のあたりに冷えがある。

もともと腰痛もちであるため、腰の血行不良から足の冷えが強くでてしまっていると推測した。また、冷たいものを好むことから内蔵にも冷えがあると考えられる。

腰から臀部は圧痛も多かったため、まずはうつ伏せで腰まわりの施術を行う。

その次にお腹を電子温灸器で温めながら、足に灸頭鍼と点灸を行う。

内蔵の機能低下も考えられるため、自律神経系の調節もあわせて行った。

経過

◇1回目◇

お灸を足にしているとぽかぽかする感じが気持ちよかった。

◇2〜9回目◇

施術のあとは足が温かく夜もぐっすり眠れる。

自宅でもできるセルフ灸を朝晩してもらうことにした。

◇10回目◇

足の冷えはかなり改善。

まだ冷たくなるときもあるが、毎日ではない。

 

 

症例②

20代 女性

 

幼い頃から冷え性に悩まされている。

特に手足の冷えは年中感じており、夏は冷房で、冬は外気で身体がどんどん冷えてしまう。常にホッカイロや腹巻きやヒートテックなどで対策をしても気休め程度にしかならないが、それがないと体調を崩してしまうため手放せない。

お腹も体調が良いと暖かいが、冷たい日の方が多い。内臓が冷えてるからなのか生理も重くてつらいし、便秘で悩んでいる。

食生活や睡眠時間には気を付けているので、ほかに何か効果的なものはないかと探していたらここのホームページを見つけて来院。

 

当院の施術

 

触診してみると腹部と手足が特に冷えていました。

足はふくらはぎと足首から下の部分が別人レベルで冷たくなっていました。末端の冷えと内臓の冷えでかなり身体に影響が出ているようすでした。

当院の治療としては、血流改善をしていくことで末端の手足の冷えを改善していくことと、自律神経を整えていくことで内臓機能を活性化し、内臓の冷えを改善していきます。

 

治療経過

◇1回目◇

お灸を沢山やってもらい、身体がぽかぽかする。

◇2回目◇

治療後は身体がぽかぽかするが、帰り道で冷えて行くのがわかる。

◇3~6回目◇

大きな変化はなし

◇7回目◇

家に帰った後も身体が冷えなくなった。

◇8~10回目◇

平熱35度台だったが、36度台になった便秘もかなり解消された。

これからは来院回数を少し減らして様子を見る。

 

 

生活習慣

規則正しい生活を送るとともに冷飲食をなるべく避けてもらい適度な運動をしてもらうことが大切です。本人の冷えに対する取り組みで冷え症を大きく改善できますので養生法も大事です。

患者とともに冷えに対する問題意識を持ち、それを改善していけるように治療と養生法を的確にアドバイスしていくことが当院の治療方針です。

 

西洋医学では冷え性は病気として認識されていません。東洋医学では寒熱は重要な要素として捉えていますので、冷え性の治療は東洋医学が有効的な疾患だと思っています。

肩こりの鍼灸治療

身体を冷やしてしまう食べ物

漢方医学では、体を温めるショウガなどの食べ物と身体を冷やしてしまう食べ物があると考えられています。体を冷やす食べ物は熱症状が出ている時などに食すると非常に有効な場合もありますが、冷え性の方が食べてしまうと体の冷えをさらに加速させてしまい逆効果です。知らず知らずのうちに身体を冷やしてしまう食べ物を多く摂取してそれが冷え性の原因となっている場合もあるのです。
身体を冷やしてしまう食べ物として代表的なものとして

熱いところでよく取れるの食べ物
・バナナ
・レモン
・みかん
・パイナップル
・トマト
・きゅうり
・スイカ
・なす

などがあります。熱い地域で住む人たちは元来から体を冷やす食べ物を多くとるようになっているため熱い地域で多く取れる野菜や果物は体を冷やす作用のものが多いです。
その他、水分を多くとりすぎていたり、白砂糖や化学調味料も身体を冷やしてしまうものとして知られています。生野菜も身体を冷やしてしまうためなるべく火を通して食べることが好ましいです。
また、食べすぎも身体を冷やすもととなります。飲食物が胃の中に入り消化が行われると多量の血液が胃腸の壁に集まります。胃腸を働かせて消化活動を行う必要があるため、体のあらゆる器官から血液が運ばれるため体の熱は低下してしまうのです。

睡眠障害の鍼灸

日曜日, 9月 7th, 2025

 

①睡眠障害に対する当院の鍼灸治療

当院の睡眠障害に対する施術は、まず第一にハリや温熱刺激を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。睡眠と自律神経の関係は深く、当院では自律神経測定器で計測した上で施術に入らせていただいております。

睡眠障害の鍼治療

 

鍼灸は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています

睡眠障害は東洋医学的に診ると「」の不調や「心腎不交」が原因で発症すると考えられているので、鍼灸施術を用いてツボを刺激することで「心」の機能を活性化させたり、「心」と「腎」の相互関係を整えます。また、お灸の治療も積極的に取り入れています。足裏にある『失眠』というツボは睡眠障害に即効性のあるツボだと知られています。

 

睡眠障害のお灸治療

 

その他睡眠障害の患者さんでは日中の頭痛肩こり・慢性的な痛み・のぼせ・めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには不定愁訴の改善を目的とした治療も並行して行っていきます。
当院の鍼灸治療による睡眠障害の施術目的は、睡眠障害の回復程度を高め、ストレスを取り除くことにより患者さんがより快適に日常生活送れるようにサポートすることです。睡眠障害では日々の睡眠環境が特に重要であり、快適な睡眠をとっていただけるよう睡眠対する基本的なアドバイスも行っていきます。

 

 

 

②睡眠障害の鍼灸治療症例

20代女性

不眠、不安感、手の震え、動悸、吐き気、手足のほてり、冷えで来院される。症状は一か月ほど前から、一か月程前に転職され職場のストレスや環境の変化によるストレスが原因ではないかと仰っていた。
睡眠時間帯が大きく変化した為なかなか眠りにつけず、体の疲れもあまりとれない。それがまたストレスになっている。

 

治療

まず、自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきました。交感神経が過亢進しており副交感神経の働きが抑えられている状態でしたので、最初に自律神経を調整する治療を行い、それから東洋医学的観点から施術していきました。また、頚部から背部まで筋肉の強い緊張がみられたため、マッサージと鍼通電、灸を用い筋肉の緊張を緩める施術を行いました。

 

治療経過

一回目

前回よりは良い。たまに眠れない日もあるが手の震えや吐き気、冷えは今は感じない。

二回目

前回とあまり変化は無い。まだ、不眠とほてりが気になる。しかし、鍼をした日はよく眠れたとの事。

 三回目

最近はベッドに入ってから寝付くのが早くなってきた。不安感も軽減された気がする。ほてり以外の症状は感じない。

四回目

少し寝つきが悪いなという日が1週間の内に2~3日になってきた。

五回目

かなり眠れるようになってきた。ほてりもそれほど感じなくなっている。

 

 

 

・40代男性

4年前より子供ができ一緒に眠るようになってから寝つきが悪く、寝ても2~3時間ごとに目覚めるようになってしまった。朝も早く目覚めてしまい、日中も疲労感や倦怠感を常に感じるようになってしまった。仕事は立って接客業に従事しており、仕事にも支障をきたしてしまうようになり、心療内科を受診。睡眠薬を処方され服用すると眠ることができるが次の日の疲れや倦怠感はあまり変化を感じられなかった。自己判断で薬を服用しなくなり、睡眠もうまく取れなくなり当院にご来院されました。

 

治療

仕事では役職も上がり過度な精神的なプレッシャーも感じてしまっている状態に合わせて家庭でもまだ子供が小さく家でも常に世話をしている状態で気が休まる状態ではないとのことでした。自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動レベルが高く常に緊張状態である印象を受けました。
治療では、副交感神経の活動を上げられるようなリラックスできる施術を心がけ、ツボは五臓六腑の心と腎を中心に施術していきました。睡眠の不具合のほかにも頭痛や首肩こりも感じており合わせて施術していきました。

 

治療経過

 

・1回目
治療後はリラックスできた感覚があったが、その日の睡眠はまだよくなかった。

・2回目
首肩こりは少し楽なり、仕事もいつも以上のつらさは感じられなかった。

・3~5回目
5回目の治療後その日は何年かぶりにぐっすりと睡眠がとれたような気がしたとのこと。その日は体調も良く仕事も快調に行うことができた。

・6~10回目
一週間に半分は睡眠を取れるようになってきた。どうしても眠れない時は睡眠薬を服用。身体の調子はかなり良くなってきたとのこと。治療間隔を延ばしていき定期的に体のメンテナンスを行っていきたいとのこと。

 

 

 

50代 女性

 

仕事で大きなトラブルがあり、その後始末で数か月間毎日残業していた。気が付いたら眠ることができなくなり、眠気もやってこない。トラブルに対処している時は気が常に張り詰めており、自分でも昼夜関係なく脳が働いていたのではと思っている。

今は落ち着いて半年ほどたったが、いまだに眠れていない。

入眠にも時間がかかるのに、1時間もしないで起きてしまう。寝てはすぐに起きてを繰り返しているので、全く疲れが取れない。

夜間も眠れていないが、日中眠くもならないため睡眠欲がなくなってしまったのではないかと思うくらい眠くない。

 

当院の施術

自律神経測定器で測定したところ、副交感神経が優位になっておりました。

お昼ごろに測定したので、正常な状態ですと交感神経が優位な結果が出ます。

お昼の時間に副交感神経が優位な状態になっている方ですと、だるさや眠気を感じている傾向があるのですが、眠気は全く無いとのことと、自律神経調節の数値がかなり低めの結果が出ていましたので、自律神経がかなり乱れている状態にあるようでした。

当院の施術としては、自律神経調節の治療をメインで行い、また、触診したところ肩から頭皮にかけての筋緊張が強く見られたので血流改善の治療も同時に行いました。

 

経過

 

◇1回目◇

変化なし

◇2〜5回目◇

身体は軽くなっているが睡眠に変化はない

◇6回目◇

仕事帰りの電車の中で少しウトウトできた。眠りはしなかったが、久しぶりに眠たくなったことに驚いてせっかくの眠気が飛んでしまった。

◇7〜9回目◇

夕方以降に眠気を感じるようになり、入眠時間も短くなった。

◇10回目◇

前よりもまとまった時間で眠れるようになった。

 

③睡眠障害の原因

睡眠障害の原因として様々な原因が考えられますが、一番はやはりストレスです。精神的ストレスが高まると一時的に眠れなくなるということは誰しもご経験があるのではないでしょうか。
多くの方は、原因となる精神ストレスがなくなると、睡眠障害が解消される場合が多いですが、睡眠障害に対する不安が強すぎる人などは、睡眠自体を強く意識してしまう場合があります。そういった方は、ベッドに入ると眠らないといけないと強く意識してしまって、寝ようとする行為自体をストレスと感じ精神的に緊張します。

この睡眠に対するストレスはさらに睡眠障害を増悪させ、悪循環になります。

ストレスの原因は様々なものが考えられます。以前は見られなかった会社や学校での人間関係によるストレスや家庭内環境によるストレス、騒音やパソコン・テレビなどの環境ストレスまたは体の病気や痛みなどによる身体的ストレスも睡眠障害の原因となります。
こういったストレスは睡眠障害の原因になるばかりではなく、高血圧心臓病胃腸疾患免疫機能疾患うつ病などの精神疾患など様々な疾患の原因になることが知られています。

 

 

 

⓸睡眠不足が続いてしまうと

睡眠の一番の重要な役割は、『心身の疲労回復』にあります。

もう50年以上も前にスタンフォード大学のデマント氏が提唱したもので「睡眠負債」という言葉があります。睡眠負債は今でもその考えが臨床試験でも多くな影響を与えています。

睡眠負債とは、睡眠時間の少なさ量を借金にたとえた造語です。睡眠負債の怖いのは、気づかないうちにどんどんと借金が積みあがっていくことです。

1日30分ずつの睡眠負債であってもそれが、1年・2年と続いた場合に借金は返せないほどになり身体の病気となってあらわれます。

スタンフォード大学が行った系統的レビューで過去に出たあらゆる睡眠研究をまとめたものがあります。

その中で専門家の意見が一致した「良質な睡眠」のサインは下記の通りです。

 

・眠りに落ちるまでの時間が30分以内

・夜中に目覚めるのは一回以内

・もし夜中に目が覚めてしまった場合でも20分以内に再び眠ることができる

・そう睡眠時間の85%以上を寝床で寝ている

 

この4つの条件をすべて満たしていることが良質な睡眠の最低条件だと考えられています。

そして睡眠時間は7~9時間以内におさめることがあらゆる研究から結果が出ています。

 

⑤快適な睡眠を取るための準備

快適な睡眠を取るためには、自律神経のリラックス神経である副交感神経の活動が優位になることが重要です。

 

・睡眠前の準備

睡眠前に仕事などでパソコン作業をする・スマートフォン操作をする・強度の強い運動をするなどは脳が覚醒状態となり交感神経の活動が優位になってしまいます。するとなかなか寝付くことが出来なかったり、深い睡眠がとれない状態になってしまいます。睡眠に入る2時間ほど前には脳が覚醒してしまうような行動は避けて静かな音楽や読書をしたりゆったりと過ごすことが重要です。

 

・アイマスクと耳せんを使う
快適な睡眠のためには寝室はできるだけ暗くする必要があります。特に都会では外からのちょっとした光でも睡眠の妨げになると言われています。一級の遮光カーテンを使うのが理想的ですが、難しい場合はアイマスクを用意しましょう。
そして耳せんも同時に用意をしてアイマスクと耳せんを同時に使用すると睡眠中のストレスホルモンの数値が下がって逆にメラトニン量が増えるという研究結果もあります。

 

・体温の状態

人間は体温が下がり始めると自然な眠気が来るようになっています。体温を下げさせるには、その前に一時的に体温を上げてあげる、38℃ほどのぬるま湯にゆっくりと半身浴をする・温かい飲み物を飲むなどをして体温を一時的に上げることでその後自然と眠気が起こることが期待できます。

 

・体内時計

体内時計を整えることは夜にしっかりと睡眠を取ることにとても重要になります。体内時計が乱れてしまっている状態ですと夜間のメラトニンの分泌量が減少してしまい、睡眠のリズムが崩れてしまい睡眠障害となってしまいます。

体内時計を整えるのには、朝日を浴びることがいいと言われています。朝に光を浴びることで体内時計がリセットされて睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌が止まります。
そして、メラトニンの分泌はリセットされてから14~16時間後くらいに脳からの指令でまた分泌されるような仕組みになっています。

⑥定期的にキャンプをしてみる

 

定期的なキャンプで睡眠改善

睡眠の改善において一番重要なのが『自然』ということがわかってきました。

人類は太古の昔から豊富な自然の中で木々などに囲まれた生活をしてそこで眠っていました。

人類の歴史から見ると現代のような睡眠環境になったのは本当につい最近です。

人間は、自然の中にいるだけで睡眠の質が上がるようになっているのです。

2016年コロラド大学が行ったおもしろい研究があります。被験者に光もないような冬山で寝起きするように指示をしました。すると、被験者は2日後には、被験者全員のメラトニン量が増加する結果が得られました。

メラトニンとは体内時計をコントロールすることで私たちを自然の睡眠につかせてくれるホルモンです。

人工照明で夜も明るい部屋で過ごしている現代人ではメラトニンの分泌量が少ないと言われています。

それが、たった2日そういった生活を離れるだけで回復したのです。

太陽の光・いわゆる自然光を浴びるのも体内時計を正常に戻すために重要です。

 

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

低音性難聴(低音障害型難聴)の鍼灸治療

木曜日, 9月 4th, 2025

低音性難聴(低音障害型難聴)とは

 

低音性難聴

突発性難聴と似ており難聴を引き起こす病気ですが、低音部の音が聞こえにくくなることに特徴があり、難聴の程度も比較的軽い傾向があります。

耳閉感(耳がふさがった、耳がこもった、水が入ったような感じなど)で気がつくことが多く、反復することが多く、女性(20~40代くらい)に多い病気です。比較的若い世代に多いと言われていた低音性難聴ですが、近年では50代や60代のかたの低音性難聴も増えています。

低音性難聴の症状

 

また、将来めまいや耳鳴りもともなうようになり、メニエール症候群になっていくこともあります。

※メニエール病とは

体の平衡感覚を司る耳の奥の内耳のリンパ液が溜まることで生じる病気のことです。30~50歳代で発症することが多く、症状として耳閉感や聴力低下、回転性のめまい、耳鳴りなどの症状を引き起こします。
発症後1~2年で軽快することが多いですが、数年にわたって続くこともあります。発作を繰り返すことで慢性化したり、難聴が進むこともあります。

メニエール病の鍼灸治療について詳しくはコチラ⇨https://alfashinkyu-tokyo.com/column/index-494.html

 

低音性難聴になる原因

内耳の内リンパ水腫(内耳の内リンパ腔に水ぶくれのようにリンパ液が溜まってしまう)が起こることにより、特に低音が聞こえにくくなる障害が起こるという説が考えられています。

では、なぜリンパ液が溜まってしまうのかというと、内耳のリンパ液の状態を正常に保っているのは自律神経ですが、自律神経は細かい血管を介してリンパ液を供給、排泄の調整を行っています。

しかし、何らかの原因で自律神経系の機能が低下すると内耳のリンパ液の調整ができなくなってしまいリンパ液が溜まってしまうことが起こるのではないかといわれています。自律神経の機能低下を起こす要因として次のようなことが挙げられます。

(要因)

・ストレス

・疲労

・睡眠不足

・気圧の変化

・風邪などによる体調不良

これらの要因はメニエール病とほぼ同じです。

低音性難聴は内耳の音を聞く器官である蝸牛という場所で起こるため「蝸牛型メニエール」と呼ばれることもあります。

その他、同じような自律神経の乱れで内耳の血流の流れが悪くなることによっても内耳の音を聞く細胞の働きが低下してしまうことによって低音性難聴が起きてしまうこともあります。

 

低音性難聴の症状

主に「耳が詰まった感じがする」「低い音の耳鳴りがする」「自分の声が大きく聞こえる」という症状を訴える方が多いです。

通常の会話や生活で急激に聴き取れなくなることはないので、気付かないうちに進行してしまう人も多いといわれています。

似たような症状を起こす病気としてメニエール病がありますが、こちらは耳鳴りだけでなくめまいも引き起こします。

西洋医学的治療

聴力検査で低音部(1,000Hz以下)の難聴が見られるのが特徴で、片側や両側のこともあります。

治療法は薬物療法が中心となります。突発性難聴と同じ、循環改善薬、ビタミンB12などの他に、内耳のむくみをとるため、利尿剤を使用します。緊張やストレスを和らげるため、安定剤を使用することもあります。

多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合は入院が必要になることもあります。

治療期間は1~2週間程度が多いです。数時間や2、3日での自然治癒もあります。治っていれば聴力検査も元に戻ります。

(注意)

自然治癒もありといえ完治するのは6~7割といわれています。治っても再発が多いこと、メニエール病に移行した場合にめまいと難聴の進行を招いたりすることもあることを考えておかねばならないでしょう。

低音性難聴の東洋医学的考え方

東洋医学で難聴、耳鳴りなどの症状は、耳と関係する臓器である「腎」の気の不足や、「肝」の気のたかぶりによるものと捉えます。

腎の気の不足を腎虚(じんきょ)といいますが、腎虚に陥ると血液循環が悪くなり、体内に余分な水分や老廃物が溜まる「むくみ体質」になります。

腎虚となるとむくみ体質となるために耳の機能が衰え何らかの異常が起こることは珍しくありません。耳鳴りや難聴、めまいなどのトラブルは腎虚の典型的な症状です。腎虚の原因として、加齢、ストレス、過労などが考えられています。

また、「肝」は情緒、ストレスを司り自律神経のバランスと深い関わりがあります。肝の働きが過度なストレスや緊張で乱れると、自律神経の緊張が高まり、難聴や耳鳴りを引き起こす原因となると考えられています。

また、生命活動に欠かせない気・血・水のバランスを整えるツボや、経絡的に耳を栄養していると考えられている小陽胆経の流れを整るツボなども用いて治療を行います。

 

低音性難聴に対する当院の鍼灸治療

 

当院では、リンパの循環、血液循環、内臓機能、免疫機能などを主る自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

低音性難聴の鍼治療

 

まず、うつ伏せで首や肩周りの筋緊張を和らげ耳周りの血行を促進し、次に仰向けで耳周りのツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

また、東洋医学的観点から「腎」「肝」をはじめとした五臓六腑の機能調整のツボや気・血・水を補うツボなどを取り入れます。

さらに、自律神経の調整施術を行うことで内耳リンパ液の循環を促進し、全身的な血行促進と内臓機能や免疫機能を整え、症状が治癒しやすいお体の状態へ整えていきます。

低音性難聴の鍼通電治療

 

日常生活で気をつけること

低音性難聴における日常での注意点

低音性難聴ではストレスとの関係が指摘されていますので、あまりストレスをためないようにしましょう。

そのためには、睡眠はしっかりとり、不摂生な食事を控え適度な運動を行いましょう。

また、脱水症状は症状を悪化させる原因にもなりますので、水分補給はこまめにしましょう。

 

症例

 

症例 1

50代女性

 

当院にご来院される3週間前に左耳が聞こえづらくなって耳鼻科を受診したところ低音性難聴と診断を受けた。左耳のみで聴力の低下と耳が詰まっている感覚が顕著に出ている。

発症当初は、頭痛やめまいがあったが、行きつけの整体でほぐしてもらったところ頭痛は軽減されたが、めまいや耳の症状は改善されなかったため鍼灸治療も難聴には効果的と知人から知って当院にご来院された。

病院でも、ステロイド薬と血流促進剤が処方されており服用しているが全く改善がみられなかった。

 

鍼灸施術

 

低音性難聴では自律神経の状態や首肩周りの筋緊張の状態・耳周りや側頭部の血液循環も重要になってきます。

まず問診時に自律神経の状態が乱されるようなストレスが最近あったか、睡眠状態や食欲・仕事や家庭での事情などを聞いていきます。自律神経測定器でも自律神経の状態を把握して施術に入ります。

触診では首肩周りの状態や頬部や側頭部周囲のこりを診たり、全身のむくみの状態も触診していきます。

この方は、自律神経測定器の結果、交感神経の活動が高く常に身体が緊張状態にあってなかなか心身ともに休めていない状態だと推察されます。

首肩周りや背中のコリもつよく、側頭部のむくみもあるような状態でした。

 

施術としましてはまずうつ伏せ施術で首肩周りの筋緊張の緩和や背部兪穴を使って低音性難聴と関連の深い五臓六腑の肺・肝・腎等のツボを用いて状態を整えていきます。鍼やお灸を併用してマッサージ等でも軽くほぐします。

 

その後仰向けとなり、耳周りのツボに低周波鍼通電治療を行っていきます。また手足やお腹周りにのツボを使用することで自律神経の乱れも整えていきます。

 

経過

3~4日に1回程度で鍼灸施術を受けていただきました。

4回の施術期間中は症状に波がかなりあって調子のいい日は耳のこもる感覚はあまりなく、耳の聞こえも順調。めまいもほぼなし。

しかし、天候の悪い日など体調が悪く、耳の状態も悪い日はピアノの音などがダブって聞こえてしまう時もある。

4回目の施術後に病院にて聴力検査をうけてもらったところ数値的には改善傾向がみられました。医師にも回復傾向なのでもう少しで完治するかもと言われたとのこと。

その後3回程施術を受けたあとにほぼ聞こえ方が安定してきて音がこもって聞こえることがもなくなった。聴力検査の数値も右耳とほぼ遜色ない数値にまで回復しました。

 

症例 2

50代男性

3〜4週間前から左耳の聞こえが悪くなってしまって病院を受診したところ低音性難聴と診断を受けた。耳鳴りも多少あるが、日常生活では特に支障なく過ごすことができている。

日常的には音が割れて聞こえたり、テレビを見ていると少し聞き取りづらい部分がある。

受診した耳鼻科ではステロイドでの治療をして少し聴力が回復したが、ここ1週間は聴力検査をしても変化が見られなかったとのことです。

以前にも突発性難聴を患ったことがあったが、その時は1〜2週間で軽快したのでそのような感じで治っていくと思っていたらあまり変化が見られなかったため鍼灸治療も試してみたいと当院にご来院されました。

 

施術経過

自律神経の状態を測定する自律神経測定器では、その際は特に異常は見られなかったが、お酒を毎晩飲んでおり、特に深酒をしてしまった翌朝は特に耳の状態が悪いことが多かったとのことで施術したあとは飲酒を控えてもらった。

触診では、頸部の筋の過緊張状態や側頭部あたりのむくみが見られ、それらが難聴の原因となっている可能性もあるためそれらを改善させるツボなどを用いまして施術を行っていきます。

また、背部の筋緊張の緩和や耳周りのツボに直接鍼を刺して電気を流す鍼通電治療を用いて刺激を入れていきました。

施術後は、翌日までは聞き取りやすく、音が割れないことが多くなったが、その日によってまだ耳の状態が悪いと感じるときがある。

施術10回ほどまでは症状は一進一退といった感じで、聴力検査をしても多少改善傾向にあるがそこまで大きな変化は見られませんでした。

16回目を過ぎたころに急に以前のような耳のつまりや聞き取りづらさ、音が割れる感じが改善されていった。実際に病院で聴力検査を行ったところ聴力はほぼ正常値に戻るまでに改善された。

 

症例 3
40代 女性

1ヶ月ほど前に低音障害型難聴を発症した。耳鼻科での検査の結果、低音の聴力低下がみられた。耳閉感や自声強調、耳鳴り症状もみられる。慢性的な首肩こり、側頭部痛にも悩まされており、週に1回は頭痛薬を服用している。症状が出始める以前は、半年ほど仕事が忙しく、休みがあまり取れていない状況だった。耳鼻科で処方されたステロイドとビタミン剤を服用している。

施術

自律神経測定器の結果、交感神経が過剰に優位な状態であった。過労による慢性的な疲労で自律神経が乱れ、内耳の血流の悪さが起こっていると考えられる。デスクワークによる慢性的な首肩こり、それにともなう頭部の筋緊張がみられた。

全身の血液循環の改善、ストレス緩和のため副交感神経を働かせるように自律神経調整施術を行いました。そして、内耳の循環を良くするために、耳周りのツボを用いました。首肩の筋緊張は自律神経を乱すだけでなく頭部の血流にも重要なため、首肩や頭の筋緊張緩和を目的に首肩周りに鍼通電を行いました。

来院頻度は1週間に1回。

一回目

首肩こりが軽くなった。

二回目 

耳閉感や自声強調、耳鳴りが改善し気にならなくなった。

三回目
8割ほど聴力は改善し、耳鼻科の通院を終えた。耳閉感や自声強調、耳鳴りはほとんど感じていない。

頭痛も起こる頻度が減ってきた。

以降メンテナンスとしてご来院。

 

症例 4
40代 女性

3週間ほど前に低音障害型難聴を発症。耳鼻科での検査の結果、低音の聴力低下がみられた。両耳に症状がみられ、耳閉感や音の反響、耳鳴り症状もある。慢性的な首肩こり、腰痛がある。発症前は、仕事が忙しく睡眠不足が続いており、風邪を引いたことをきっかけに発症。耳鼻科で処方されたステロイドとビタミン剤を服用している。

施術

過労や睡眠不足による慢性的な疲労による自律神経の乱れがあり、風邪を引いたことをきっかけに内耳の循環不良が起きていると考えられる。首肩から腰にかけての強い筋緊張がみられた。内耳の循環改善のため耳周りのツボに鍼通電を行い、身体の回復力を高め疲労やストレス緩和のため、全身のツボを用いた自律神経調整施術を行っていきました。

一回目

首肩のこりや腰痛が軽減した。

二回目 

音の反響がなくなった。耳鳴りも以前より治まったが、耳閉感は残っている。

三〜十回目

耳鳴り、音の反響は起こっていない。疲れているときや天気が良くない日は耳閉感が強くあるが、身体の調子が良いと耳閉感はない。

十一回目

聴力検査では聴力の改善がみられ、耳閉感も解消された。首肩こりや、腰痛もなく身体の調子が良い。

 

目の痛みの鍼灸治療

火曜日, 9月 2nd, 2025

当院の目の痛みに対する鍼灸治療

・問診

しっかりと時間をかけて問診をすることで症状にアプローチしていけばよいのか患者様とともに話し合います。どんな些細なお身体のお悩みもお話し下さい。それが原因の可能性があったり、治療効果の促進にもつながります。

また症状の程度にとりましては、専門医の診察を勧める場合もございます。

 

丁寧な問診

 

・自律神経測定

痛みは自律神経を乱します。それは長い間痛みに悩まされていた方ほど顕著に現れます。

痛みは交感神経の活動を促進させて、血流低下に繋がったり、睡眠の質の低下、ひどい場合には自律神経失調症なども合併してしまう可能性もあります。

当院では、治療を始める前に患者様の今の健康状態をしっかり把握したうえで治療していきます。

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・鍼灸治療

まずは、仰向け治療で自律神経調整治療を施してその後うつ伏せで首肩や背腰部の筋緊張を和らげていきます。

目の痛みに対する頸肩鍼灸治療

目の痛みに限らず『痛み』は、交感神経を高ぶらせてそれが長時間続いてしまうと自律神経が乱されてしまうのです。痛みが出ると筋肉は緊張して体は力が入った状態です。まさにその状態は交感神経が強く働いているのです。逆にリラックス神経である副交感神経は働きが鈍くなってしまいます。

 

そしてさらにその自律神経の乱れが血液循環を悪化させることで痛みの源である発痛物質や疲労物質は停滞しやすくなってしまい更なる痛みをまねいてしまうのです。自律神経のバランスを整えるということはこの負のスパイラルを断ち切り、身体を回復方向へと導きやすくさせるのです。
また、目の痛みがある患者さんの多くは耳の後ろの筋肉が凝り固まっている方が多いです。そのようなコリの強く出ている箇所をしっかりとほぐしていきます。

最後に仰向け治療にて目の周りの施術を行い、鎮痛作用や抗炎症作用の期待できる鍼やお灸の施術を行います。

目の痛みに対する鍼灸治療

 

回数を重ねるごとに徐々に刺激量を増やしていき、鍼通電療法を施す場合もあります。鍼刺激と並行して低周波の電気刺激を与えることで鍼の鎮痛効果がより一層見込めます。電気の刺激がどうしても苦手という方は遠慮なくお申し付けください。別の施術法でアプローチしていきます。

 

 

症例

40代女性

パソコン作業を主な仕事にしており、労働時間は長く一日12時間働くこともある。当院ご来院一年ほど前からさらに仕事が忙しくなり、明け方まで仕事をすることもあった。だんだんと身体に疲れが溜まってきて最初身体が重く感じてまぶたも重たいと感じるようになった。その状態で仕事を続けていると、目の奥に痛み・首肩のこりや痛みを感じ、仕事もスムーズにはかどらなくなってしまった。かすみ目がひどく視力の低下を感じていたため眼科を受診したところドライアイと眼精疲労と診断され、目薬を処方された。目薬をしてもあまり改善がみられないため当院にご来院された。

 

治療
・自律神経調整治療

・首肩の筋緊張の緩和

・目の周りの血流及び筋疲労の改善

の3点を目的に治療していきました。

 

治療経過
◇1回目◇
1回目の治療で首肩のコリ・痛みはだいぶ軽減した。眼精疲労・眼精疲労は変化なし

◇2回目◇
治療終了後、身体の重さがとれて体が軽くなった。

◇3回目◇
目の疲労・かすみが前は朝からあったが、夕方から夜だけに感じるようになった

◇4~6回目◇
仕事のペースが上がるようになりはかどるようになったが、今までの遅れを取り戻そうと体に無理をきかせたため目の調子は良くなったり悪くなったりを繰り返した。

◇7回目◇
仕事も落ち着いて行うようになり、目の調子もよくなってきた。以前感じていたようなまぶたの重たさは感じなくなった。

◇8回目◇
かすみ目が改善されて遠くの物が以前よりも良く見えるようになったとのこと。

◇9回目◇
身体全体・目の調子はよく、ほぼ仕事に支障は出なくなった。

◇現在も通院中◇
集中的な治療は終了して現在も目の症状の予防または仕事の疲れを取りに2~3週間のペースで来院中。

 

例2

50代 女性
ある朝顔を洗おうと水を顔にかけたところ、目の周りから頬にかけて激しい痛みが走った。それ以来風に当たった時などふとした時に痛みが走るようになってしまった。病院を受診したところ三叉神経痛と診断されて痛み止めなどが処方された。最初は弱い薬を処方してもらったが、薬の効果もだんだんと薄れてきてどんどん強い薬へと変わっていった。薬がいくらか効いている時は、痛みを感じにくいが薬の効果が切れてしまうとまた激しい痛みが襲ってしまう。また薬の副作用のせいか体が常に重だるく感じて胃腸の調子もすぐれない。
どんどん強い薬にかわっていってしまうのがこわくてどうにかして薬に頼らずに痛みを軽減させたいということで当院にご来院された。

治療
自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ交感神経の活動が高く、ご本人の感覚としましても常に体が緊張状態でリラックスできていない日が続いているとのこと。睡眠の質の低下している状態。
まず頸肩に鍼を刺して通電気療法をほどこした後に仰向けとなり、痛みの強く出ている顔面部周囲に鍼治療を行っていきました。それと並行して腹部などのツボを用いて自律神経の状態を整えていきました。顔面部の刺鍼になれてきたところで通電気療法も行っていきました。

◇1回目◇
施術が終わった直後はうそのように痛みが消えた。触れても痛みが出ない。しかし、次の日の朝にはまた痛みが出た。しかしその日はぐっすりと睡眠がとれた

◇2~5回目◇
施術回数を重ねていくたびに体の状態は良好。痛みはたまに感じるがひどい時の半分程度。

◇6回目◇
夜遅くまで仕事をしていて疲れが溜まっている時にまた激しい痛みを感じたがそれっきり感じない

◇7回目◇
朝こわごわと顔を洗っていたが痛みが軽減したためこわごわと洗う感じは消えてきた

◇8回目◇
痛みというよりもピリピリという痺れに近い感覚に変わっていった。痛みよりは日常生活を送るうえで楽とのこと

◇9~12回目◇
痺れの感覚も消失。顔面部に痛み・痺れ感覚は感じなくなった。

 

症例3

30代 男性

以前から眼精疲労やドライアイが気になっていたが、2週間前から眼の奥が重だるくなり、次第に痛みに変わってきた。

普段はデスクワークで1日に10時間以上使用使用しているためかなり眼を酷使しており、首肩コリが強く感じる。疲労が蓄積してくる週末は必ず頭痛が起こる。

眼の痛みは温めると軽くなるが、また仕事すると痛みが強くなる。最近は霞もひどくなってきた。

緑内障の症状と似ていたため、念のため眼科に受診をしたがそちらの問題はなく、重度な眼精疲労と診断された。

当院の施術

当院では、①眼の血流促進 ②自律神経調節 ③首肩の筋緊張の緩和 ④肝や腎の経絡を使用した東洋医学的な施術を中心に行いました。

まずうつ伏せで、眼に関わる肝や腎の経絡に鍼で刺激し、首肩の硬結にも刺鍼し緩めていきました。次に仰向けで自律神経の調節を目的とした施術、眼の周囲にある「攅竹」「魚腰」「太陽」「四白」に刺鍼し、そこに低周波を流す「電気鍼療法」で眼の痛みを抑制しさらに血液循環も促しました。

経過

◇1回目◇

眼の痛みはまだ変わらないが、身体がポカポカして気持ちよかった。リラックスできた。

◇2回目◇

眼精疲労が軽くなり、眼の痛みも少し軽減したような気がする。

しかし、1日経つとすぐ戻る。

◇3回目◇

睡眠がしっかりとれているような気がする。疲労感が薄れてきた。

◇4回目◇

眼の痛みが軽減してきて、楽に生活できるようになってきた。

◇5回目◇

仕事中に気にならない日が増えてきた。

◇6回目◇

ほぼ痛みは感じない。

現在、眼精疲労やお身体のメンテナンスのため通院中

 

症例4

30代 男性

仕事を独立してから数か月忙しくしていたら、眼の上が常に痛くなった。一日のほとんどの時間をパソコンやスマホの画面を凝視しており、眩しさにも以前より敏感に反応するようになった。家ではなるべくスマホを触らない様にしているが、仕事の連絡が来るとどうしても触ってしまう。

仕事の繁忙期がこれから来るので、このままの体調の状態で取引先に迷惑をかける事態になることは回避したい。

妻からのすすめで鍼灸を受けに来たが少し緊張している。注射も苦手なため、できる限り痛みは少なく治療して欲しい。

 

当院の施術

自律神経を測定したところ、交感神経がかなり高い結果がでました。

仕事中ではなくてもお仕事のことを考えることが多く、夜遅くまで作業する日や在宅ワークが増えるなどがあり、リラックスする時間がかなり少なくなっておりました。

当院の治療としては、硬くなっている眼の周りの筋肉を緩めて血液循環を改善していくことと、自律神経を整えていき、身体全体の緊張を緩める施術を行いました。

 

経過

◇1回目◇

想像よりも鍼に痛みがなくて安心した。

◇2~4回目◇

担当の先生には筋肉が柔らかくなっているといわれるが、自分では変わっている自覚がない。

◇5回目◇

スマホのライトで眼が痛くなっていないと先日気が付いた。

◇6~9回目◇

治療の回数を増やすごとに眼の痛みが軽くなっていく気がする。

◇10回目◇

来院頻度を減らしてメンテナンスとして継続して通う。

 

 

目の痛みについて

当院にご来院される患者さんは、肩こりや腰痛など一般的に鍼灸治療に効果があると認識されている疾患も多いですが、目の症状で悩まされてご来院される患者さんも多いです。その中でも「目の奥が痛い」「目がゴロゴロして異物感があり痛い」などと言われる方も多いです。

今回は、「目の痛みの治療」について書かせていただきます。

自律神経の乱れ

 

目が痛いと感じたことがある方は、非常に多いかと思います。目の痛みの原因と言いましても様々な疾患があります。眼は人体の中でもとても敏感な器官ですので、痛みを感じる神経が数多くあります。

目の痛みにも種類があります。

 

目の表面の痛みや異物感

眼瞼や眼球の表面の結膜または角膜に異常がある場合が多いです。

ものもらい

ものもらいは目の周囲が赤く腫れて痛みやかゆみを伴います。比較的罹患率が高く、一度は罹ったことのある方も多いかと思います。

また目の周囲が不衛生であったり、体の抵抗力が弱まった時に再発する可能性が高くなります。

 

 

角膜炎

眼球外壁は、強膜・角膜に覆われています。角膜炎は角膜がコンタクトレンズの装着や花粉症などにより角膜が炎症や潰瘍を起こしてしまう疾患です。目の痛みや異物感で涙が多く出たり、視力低下や光が異常にまぶしく感じます。

 

など

目の奥の痛み

 

三叉神経痛

三叉神経は12対ある脳神経の一つで、その名の通り3つに枝分かれしている神経で額・頬・顎に枝分かれしています。この3つの神経のどれかに異常を生じて数秒から数分続く発作性の激しい痛みが起きます。

三叉神経痛は、三叉神経がその周囲の血管に圧迫されることによって起きると言われており、それが額や目の周囲に伸びる神経に起きると目の奥の痛みとなって感じる場合があります。

 

ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は、眼球の外壁の外側から2番目の膜のぶどう膜が炎症を起こしてしまう疾患です。ぶどう膜は、網膜や強膜とは違い血管に富んでいるため、炎症を起こしやすい組織です。目の痛みの他に視力低下やかすみ目、目の充血や光に対して過敏に反応してしまうなどの症状がでます。

緑内障や白内障を合併する場合もあるので注意が必要です。

 

視神経炎

視神経炎とは、網膜から得た視覚情報を電気信号に変えて脳に送る役割のある視神経が炎症を起こしてしまう疾患です。

視神経に炎症が生じると、視覚情報が脳に上手く伝達されずに視力障碍が起きてしまいます。また急性の症状に関しては目を動かすと痛みの生じる眼球運動痛や目の奥の痛みが生じることもあります。

 

群発性頭痛

群発性頭痛は、激しい頭痛症状の他に目の奥の激しい痛みを感じることが多いです。緊張性頭痛や片頭痛と比べると比較的罹る人が少ない症状ですが、一番症状としてはつらいものです。激しい痛みのためじっとしていられず、動き回ったり頭を壁に打ちつけることで痛みを緩和させようとする人も多いです。

はっきりとした原因はわかっていませんが、20代から40代の働き盛りの男性に多いと言われています。

・急性緑内障

急性緑内障は、急激に眼圧が上がってしまうことで激しい目の痛みや目の充血・視力低下症状が出ます。目の症状の他にも頭痛や嘔吐、腹痛などの症状もていします。急性緑内障の場合、すぐに検査を行い処置をしなければ失明する危険性があります。
緑内障にかかってしまう多くの方は慢性緑内障といって徐々に症状が進行して視野欠損や視力の低下が起こり、自覚症状が出てしまった時点ではかなり症状の進行度は高いです。急性緑内障の場合は硝子体の中にある房水を排出する隅角が狭くなってしまうことで排出することができずらくなり、硝子体の中に房水が急激に増えてしまって症状も急激に現れます。急性緑内障は40代以上の女性に発症しやすく、原因は精神的なストレスや睡眠時にうつ伏せ姿勢を長時間続けていたなどです。普段から冷え性や低体温の人に発症リスクが高いことが知られており、それらをお持ちの方は普段から体を温めたりして体の循環を良くするように努める必要があります。
鍼灸治療は眼圧を下げることに効果があるという研究結果も出ています。一般的には鍼灸治療は、血液循環などの循環系に作用すると考えられていますが、自律神経にも作用することがわかっており、毛様体上皮での房水産生能力や隅角から房水が流出することに関係する副交感神経に鍼灸治療が何かしら関与して眼圧が下がっているとの報告もあります。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

突発性難聴の鍼灸治療

火曜日, 8月 26th, 2025

①突発性難聴に対する当院の鍼灸治療

当院の突発性難聴に対する治療目的は、まず第一に耳の周りを鍼灸治療で刺激することにより内耳の血液循環を改善することです。

突発性難聴の鍼通電治療

 

また全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることで人間が本来持っている自然治癒力を高めます。鍼灸治療は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。また内耳の血流不足を改善するという点から頸肩部周辺や耳周辺の経穴に鍼を刺して電気を流します。当院独自の治療選穴により高い治療効果が出ております。

突発性難聴の鍼治療

 

耳周辺の治療穴として「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」などの経穴を用いてその方の状態に合わせて首や頭の経穴を決めます。
また背部にある腎や肝の重要なツボを刺激することで、腎肝の機能回復を促します。

突発性難聴の頸肩鍼灸治療

 

また突発性難聴の患者さんの場合は、日常生活の中で精神的ストレスを抱えている方がほとんどです。そこで当院では、東洋医学の特徴である全身を診て治療することにより全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制して過度なストレスを和らげます

また身体全体の調子が上がっていくことも期待でき、実際に当院でも突発性難聴の治療で「目が疲れなくなった」「便秘が解消した」「ゆっくりと体が休められ、熟睡できた」などといった声が数多く聞かれます。東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることで自然治癒力を高めるといわれ、様々な効果が期待できます。

 

②突発性難聴に対する東洋医学的考え

東洋医学では、五臓六腑の「」と耳が深い関係にあると言われています。「腎は耳に開竅する」と言われており、聴覚が東洋医学でいう腎臓と深いかかわりがあるということを示しています。

東洋医学の「腎」は、西洋医学でいうそれとは違った役割を持っています。東洋医学の「腎」の役割は、主に生長・発育・生殖・水液代謝を主ることです。
その中でも腎の精気は、聴覚と関係が深く、多ければ聴覚機能は正常に働き、逆に少なければ聴覚機能は減退してしまいます。腎の精気は、年を重ねるごとに減少していく傾向にあり、高齢者の聴覚は衰えていきます。また、東洋医学では、「腎」と「肝」はとても深い関係にあり、「肝腎同源」といわれています。

腎の機能が低下すると、それを補おうとして肝の機能も低下します。肝の機能低下は、血流にも悪影響を及ぼして、それが聴覚の重要機関である内耳の場合ですと突発性難聴にかかってしまいます。

 

③突発性難聴の鍼灸治療症例

 

突発性難聴 目黒区 女性  50代
6日前より突然の聞こえづらさ・耳の詰まり感を感じて、耳鼻科を受診。ステロイド剤・血流改善薬・筋弛緩剤などを処方され、少し改善が見られたがまだまだ症状が残っている。当院来院当初は、耳鳴りの症状も訴えていた。

◆経過◆
◆1~3回目
耳の聞こえづらさ・耳塞感は、治療後少し良くなった感じがするが、翌日には症状が戻った。

◆4回目
耳鳴りがおさまり、耳の聞こえづらさがだいぶ軽減した。

◆6回目~8回目
耳塞感・耳鳴りが消えて耳の聞こえが良くなった

◆現在も体調管理のため2週に1回のペースで来院中

・考察
仕事や家事での忙しさで突発性難聴を発症する前に体調を崩していたとのこと。
仕事場や家族との人間関係でも相当神経を使っており精神的ストレスがたまりにたまっていた。当院の自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経が優位な状態でした。耳周りの血流改善、首肩の筋肉の緊張の緩和、全身の自律神経を整える治療を施しまし、効果が見られた症例でした。

 

症例2

突発性難聴 横浜市 50代女性
平成26年10月中旬頃に急に右耳の耳が聞こえづらくなってしまい耳鼻科を受診したところ突発性難聴と診断された。仕事が多忙で精神的ストレスや肉体的疲労があったとのこと。難聴の症状に伴い、右耳後ろから首の付け根の痺れや血の気が引いてくる感じもある。 病院ではステロイド剤とビタミン剤を処方されたがあまり効果が見られず、難聴治療で有名な鍼灸院を受診したが、こちらも効果が見られなかった。そして突発性難聴発症から2週間後に当院にご来院されました。

治療
問診より精神的ストレスや肉体的疲労が溜まっているとのことで、自律神経測定器で自律神経の状態を測定しました。結果では、交感神経が過亢進状態で、常に体がオン状態で休まっていない状態でした。
まず自律神経の状態を整える自律神経調整療法を施してから首肩の筋の緊張をとって最後に右の耳の経穴にはりを刺してそれに電極を繋いで電気を流しました。 3~4日おきに治療を施して週に2回のペースで施術しました。

治療経過
◇1回目◇
治療後はそこまで変化が見られなかったが、次の日から右の耳の聞こえが良くなったと実感された。

◇2~5回目◇
回を重ねるごとに聞こえが良くなってきて身体の疲れなども取れてきた。

◇6~8回目◇
耳鼻科で検査をしたら正常な左耳とほぼかわらないほどに耳の聞こえは改善された。

 

◇9~10回目◇
再発予防の意味も含め、全身の調整治療を行い、終了しました。

 

症例3

40代 男性
当院ご来院の3日前から右耳からの音の聞こえが悪くなり、ザーという耳鳴りも感じるようになった。朝起きた時、今までにないふらつきもあったため、耳鼻科を受診したところ突発性難聴と診断された。耳鼻科ではステロイド剤の飲み薬を2週間程処方された。病院では、免疫力の低下やストレスが原因かもしれないと言われて以前腰の症状で当院で施術を受けられたことがあり、免疫力の低下の緩和とストレスの軽減・自律神経の調整を目的にご来院された。
以前より緊張しやすい性格で、仕事のストレスなどが身体にあらわれやすかったとの事。

 

治療
現在のお体の状態・血管の状態・自律神経の状態を計測してから施術に入りました。施術ではまず仰向けで自律神経調整治療を行った後、うつぶせとなり胸鎖乳突筋や斜角筋の筋緊張の緩和治療、そして最後に右上で横向きとなり耳周りの集中施術を行っていきます。治療開始予後が比較的良いとされる2週間以内に集中的に治療することがベストですがご本人も忙しいとのことで週に1~2回のペースで施術していきました。

◇1回目◇
治療後すぐに耳鳴り症状は消えたように感じたとの事。聞こえづらさは少しある

◇2回目◇
調子の悪いといい日を繰り返す状態。調子が良いと難聴や耳鳴りはほぼ感じない

◇3回目◇
3回目以降の治療後はほぼ難聴・耳鳴りを感じない。ふらつきも起きていない

◇4回目◇
耳鼻科で計測したところ左耳とほぼ同じ聴力

◇5回目◇
ほぼ耳の症状は良くなったが、最後にもう一度耳を集中的に治療してほしいとのことでご来院。

 

症例4

40代 女性

半年前に急に右耳が聞こえにくくなり、急いで耳鼻科に受診したところ突発性難聴と診断された。

病院での治療と他の鍼灸院を通い続け、当初の症状である難聴、耳鳴りは改善したが耳のつまり感は残ってしまい、他の鍼灸も試そうと思い当院に受診した。

耳のつまり感は常に起こっており、とくに寒暖差や雨が降る低気圧、寝不足、疲労によって強くなる。

仕事はデスクワークのため耳のつまり以外に、肩や首コリ、頭痛も辛く、そちらの症状の改善も希望している。

 

当院の施術

まず自律神経測定機により現在の自律神経の状態を確認していきました。

普段ストレスも慢性的に感じるためか、交感神経が過剰に高い状態で、逆に副交感神経が働いていないため常に緊張状態のなか生活を送っているような印象を感じました。交感神経が過剰に働いてしまうと血管が収縮し耳の血流が悪くなるため突発性難聴の症状が改善されにくくなります。

そのため、耳の自然治癒力を促進するため耳の周囲に低周波鍼通電法で刺激し血流を促す施術と合わせ、自律神経調節を目的とした施術も行っていきました。

また首肩や頭の筋緊張を緩めるために直接筋肉の硬結に鍼で刺激していきました。

経過

◇1回目◇

施術後から数日は耳閉感が軽減され、首肩や頭もすっきりし軽くなった。

しかし、時間とともにまた戻ってきてしまった。

 

◇2回目◇

耳閉感の軽減は前回よりも長く続いた。

 

◇3回目◇

今のところ気にならない所まで改善している。

 

◇4回目◇

油断して少し間を空けてしまったせいか、また調子が少し悪くなってしまった。

 

◇5回目◇

また調子が良くなってきた。

最近は頭痛や肩こりも気にならない。

 

 

突発性難聴の鍼灸の効果について

中国では、以前より突発性難聴の鍼灸治療が広く行われてきました。中国の突発性難聴の鍼灸治療の12のランダム化比較研究では、西洋医学での治療のみの場合、421人中274人が聴覚の改善が見られたのに対して、鍼治療と西洋医学での治療を併用した場合で442人中387人が改善が見られたとのことです。鍼灸治療は効能に個人差がありますが、多くの方が突発性難聴を改善させています。
中国での論文

Acupuncture therapy for sudden sensorineural hearing loss: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.

 

④突発性難聴とは?

 

突発性難聴は、そのとき何をしていて耳が聞こえづらくなったかと明確に話せるほどに発症します。徐々に難聴が進行してしまったケースは突発性難聴とは言いません。
突発性難聴は、内耳に何らかの障害が出て、原因が特定できない症状の総称であり、一つの疾患名というわけではなく、症状の条件を備えた一種の症候群だと言えます。病名からは突然片耳の音が聞こえづらくなるということがわかりますが、もっと狭い定義で内耳の障害によって突発性に生じた感音難聴が突発性難聴なのです。突発性難聴の原因は前述通り、原因不明ですが内耳の障害が疑われ、1回限りの難聴の場合はウィルス感染型の突発性難聴が疑われます。

2001年の調査では全国受療者数は、年間3万5千人もいると言われており、近年のストレス社会により、ますます突発性難聴の患者さんは増えていることが予想されています
男女比で見るとそんなに差がなく、10代20代でも突発性難聴で悩んでいる方も多くいて男性女性・年齢関係なく誰にでも発症する可能性があると言えます。

突発性難聴は、難聴の他に耳鳴りめまいも共に発症する場合が多く、メニエール病の初期症状と間違われる場合も多いようですが、突発性難聴の場合はほぼ一度しか起こらず、何度も何度も症状が発症するメニエール病との区別はつきます。

 

突発性難聴の主な症状としまして

突発せ難聴の主な症状は突然片耳の音が聞こえづらくなることの他にもめまいや耳鳴りも起こる場合もあります。突発性難聴を患った本人は、耳鳴りや耳閉塞感として感じることもあるので注意が必要です。めまいを伴う場合は、音の伝達に重要な蝸牛が障害されているばかりでなく、その隣にある器官・平衡感覚を主る前庭や三半規管にも障害が及んでいると考えられます。めまいは主に回転性のめまいとなり、前庭・三半規管への障害が軽度の場合はふわふわと浮いているような軽いめまいとして症状が出ることもあります。

  • 突然の難聴

多くは、片側性に発症します。「朝目覚めたとき」「テレビを見ている時」「仕事をしている時」など何事もなく過ごしていて急に難聴が起きます。急激な変化のため突発性難聴にかかった瞬間を明確に覚えてる方が多いようです。

  • めまいや耳鳴りを伴うことがある

内耳には聴覚機能平衡機能も存在するため、突然耳が聞こえづらくなる他にめまい耳鳴り、嘔吐などの症状も併発して起こることがあります。
また耳が詰まっているような耳塞感であったり、以上に音が耳の中で響き苦痛に感じることもあります。

  • 発作は繰り返し起こらない

またすぐ聞こえるようになったり、時間が経ってまた聞こえづらくなったりといった変化はありません。一定の耳の聞こえづらさがあります。

 

このような場合は注意が必要です!

突発性難聴が原因で突然聴力が低下することがありますが、それと同じように聴神経腫瘍によっても突然の軟調に襲われる場合があります。これは聴神経腫瘍にできる良性腫瘍ですが、急なめまいや難聴を呈することが特徴です。腫瘍はゆっくりと大きくなることが多く、聴神経の周りの膜から大きくなって圧迫するため聴力が低下してしまいます。徐々に腫瘍が大きくなるため初期段階では、本人が気づかないことが多く、電話での声が聞こえづらくなったなどの変化がだんだんと出てきます。

耳症状やめまい症状のほかにも、顔面神経を圧迫することもあって顔面のしびれや顔面神経のマヒ・嚥下障害なども起きる場合もあります。聴神経腫瘍は自然と小さくなっていく場合もある腫瘍ですが、酷くなると顔面神経麻痺や脳幹部を圧迫して重篤な状態となる危険性もありますので注意が必要です。

 

 

⑤突発性難聴の原因

 

突発性難聴の原因は、未だに明らかにはなっていませんが、以下の二つの説が有力とされています。

  • 内耳の循環障害説

内耳の毛細血管に血栓や塞栓が詰まって内耳に十分に血液が循環せずに聴覚の機能不全を引き起こす可能性があると言われています。

若年層や中年層などの健常な人にも突発性難聴が起こることからストレスにより自律神経が乱れて血液循環が障害されて発症するとも考えられています。実際に突発性難聴にかかった人の多くは、かかる前に過労や精神的ストレスを多く抱えていました

 

  • ウィルス性内耳炎説

突発性難聴の発症する前にちょうど風邪を引いていたという方が結構多いものです。
突発性難聴と症状が似ている疾患としましてムンプスウィルスやヘルペスウィルス感染による難聴があり、ウィルス感染により難聴が発症するのではないかと考えられています。

耳鳴り・難聴 鍼灸治療

 

突発性難聴以外にも・・
突発性難聴以外にも今多く見られるのが、低音障害型感音難聴で突発性難聴よりは症状の程度は低くく、低音だけ音が聞き取りづらくなる症状です。低音障害型感音難聴の特徴は低音が聞き取りづらく、耳が塞がったような感覚となり、ときにボワーンといった耳鳴りもします。低音障害型感音難聴では蝸牛内にリンパ液が増えすぎることから起こるとされており、平衡感覚を主る前庭部分には障害が起こらないことからめまいなどの症状は起こりません。

低音障害型感音難聴は20代~40代の女性に発症しやすく、突発性難聴よりも症状の程度が低いことから発症してから症状が落ち着きやすいですが、またストレスや生活環境の変化などからまた症状が出てくるといったことが多く、少女の再発を繰り返すこともしばしばですので注意が必要です。なぜ、蝸牛内のリンパ液が増えてしまうのかという原因は詳しく解明されていませんが、ストレス疲労の蓄積自律神経バランスの乱れ睡眠障害などといったことが原因で発症しているとも言われていますので、ストレス解消や自律神経バランスの整え、しっかりと睡眠を取るなどといった健康的な生活習慣を持つことが重要です。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

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