後頭下筋群とは、後頭部と首の境目にある筋肉の総称です。詳しくは大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の4つの小さな筋肉たちのことをいいます。
これらの後頭下筋群は、頭の骨と首の骨を繋いでいる筋肉です。働きは、頭を後ろに傾ける動き(後屈)や首を後ろにそらす動作(伸展)、顔を振り向く時の頭の動き(水平回旋)、頭を横に倒す動き(側屈)をサポートしています。また重要な動きの働きとして、頭が前にカクンと落ちないように後ろで引き留める働きがあります。そのためパソコンやスマホを長時間使う現代では常に働き続けている筋肉たちになります。
後頭下筋群は、首の筋肉の中で1番骨の近くにある筋肉です。後頭下部の皮膚の下の筋肉は、浅いところから僧帽筋、半棘筋があり、1番奥に後頭下筋群があります。そのため後頭下筋群が硬くなると首や頭の動きに直接影響を及ぼします。
また後頭下筋群は脊髄神経によって支配されています。加えて後頭下部の1番奥にあるため延髄に近い筋肉たちです。延髄とは生命を維持する上で重要な中枢が集まっている場所です。心臓や血管などの循環、呼吸、咳、嘔吐、嚥下、唾液分泌、発汗などの中枢が延髄にあります。循環や呼吸などの多くの調節を自律神経が行っております。
次に後頭下筋群の特徴として、筋紡錘とゴルジ腱器官が多数内在していることが分かっています。これらは筋肉の緊張(張力)や長さを感知します。よって後頭下筋群は頭の位置や傾きを敏感に感知して、頭の平衡を保ち、倒れないようにしています。
他にも眼球運動に伴って筋収縮を起こすことも特徴のひとつです。
〈眼の症状〉
眼の奥の鈍痛やだるさ
眼のかすみ
ピントがぼける
頻繁に眼を長時間使うことで眼の周りの筋肉(眼輪筋・雛眉筋)や眼を動かす筋肉(上斜筋や下直筋など)への血液の巡りが滞るため眼の症状が出てきます。眼を動かす筋肉と連動して筋収縮が起こる後頭下筋群にコリや痛みがあると眼の症状が出やすくなります。
〈頭の症状〉
後頭部の鈍痛
前頭部や眉あたりの痛み
頭皮の硬さ、薄毛
後頭下筋群の表層には僧帽筋があり、僧帽筋は後頭骨上項線で後頭筋に接します。後頭下筋群のコリや痛みが僧帽筋や後頭筋に影響することで後頭部の鈍痛を引き起こします。
後頭筋は帽状腱膜により、前頭筋・側頭頭頂筋と繋がっています。そのため慢性的に後頭下筋群のコリがある場合は影響が頭全体に及び、前頭部や側頭部の痛み、薄毛などの症状が現れます。
〈自律神経の症状〉
身体がだるい、疲れやすい
手足が火照る
胃膨満感、便秘下痢
後頭下筋群に多数存在する筋紡錘とゴルジ腱器官は、常に真っすぐ前を向けるよう頭の位置を感知しているとともに、筋の緊張も感知しています。そして筋紡錘は自律神経支配を受けているとされています。他の筋肉より筋紡錘が多い後頭下筋群が緊張していると、自律神経の働きが乱れやすくなります。また後頭下筋群の近くには延髄があり、内蔵や他の組織からも多くの自律神経が集まっている場所です。後頭下筋群の緊張は内蔵や血管、呼吸など全身の自律神経に影響を及ぼすため、全身のだるさや疲れやすさだけでなく、胃や腸の不調をきたします。
現代社会で最も後頭下筋群の過緊張を起こす原因は、パソコン・スマートフォンの使用です。パソコンやスマートフォンの操作では、頭頚部を動かさずに少ない眼球運動のみを長時間行っています。眼の筋肉に疲労が溜まって負担が掛かるとともに、後頭下筋群も眼に伴って収縮するので筋疲労を起こします。
またパソコンやスマートフォンを操作する時の姿勢にも問題がある場合が多いです。パソコンを使う多くの方が、首が前に出ており、肩が内に入って、背中が丸まっている状態で操作しています。この姿勢は首元が強制的に圧迫される姿勢のため、後頭下筋群に圧迫のストレスが掛かり続けます。またスマートフォンを使う姿勢では、首が常に下を向いている状態が続きます。この姿勢は後頭下筋群が引き伸ばされるストレスが掛かり続けます。
こうしたストレスが毎日何時間も掛かり続けることで慢性的に後頭下筋群にコリや過緊張を起こします。
後頭下筋群の鍼灸治療では、首の後ろの痛みだけでなく、眼の症状・頭の症状・自律神経の失調症状を伴うことが多いため、それぞれに合った鍼灸治療をしていきます。
始めに自律神経測定器を用いて自律神経の状態を計測していきます。
後頭下筋群に痛みがある方は交感神経が過活動になっている場合が多く、交感神経の過活動を抑えて副交感神経とのバランスを図ります。
東洋医学的な考え方では自律神経の乱れは全身の気の巡りに不調をきたすと起こると考えられるため、疏泄(気を巡らす働き)を司る「肝」の機能を補うツボを使って治療していきます。
「肝」は五行色体表では眼と繋がりが深く、眼の症状がある場合も「肝」を補うツボを使っていきます。眼の症状がある場合はさらに眼の周りにあるツボも使い、眼輪筋や眼を動かす筋肉の血行を促します。
頭に症状がある場合には首の後ろだけでなく、前後頭部・側頭部にも鍼を行い、頸部の胸鎖乳突筋や肩部の僧帽筋などにも施術していきます。
痛みが発生する原因が日常の生活にあるため、慢性的に症状がある場合が多く、定期的なケアが必要になります。
症例
40代 男性
何年も前から首のコリに悩まされており、特に頭と首の間の所が辛くてたまらない。
指で押しても患部に届いている感覚がなく、深部の筋肉が凝り固まっている感覚がある。
ひどくなるとこめかみから後頭部にかけて締め付けられるような痛みが数日続くこともある。
横を向いたり、上を向くと首の付け根で引っかかるような嫌な感覚があり可動域も制限されている。
マッサージやストレッチではどうする事も出来ないため、鍼灸に藁にすがる思いで来院した。
普段はデスクワークが中心で、1日に8時間以上はパソコンに向かって仕事をしている。
当院の施術
まず、仰向けの状態で自然治癒力や血流を促すために自律神経の調節を行いました。
自律神経が乱れてしまうと血流が悪くなりコリができやすくなります。
また、交感神経が過剰に働くと筋肉を収縮してしまうため、副交感神経を働かせ心身ともにリラックス状態にしてから後頭下筋群に対してアプローチをしていきました。
体位をうつ伏せの状態に変え、後頭下筋、首、肩と背部や腰部に刺鍼し筋緊張を緩めていきました。
とくに患部である後頭下筋群(大、小後頭直筋、上、下頭斜筋すべて)に対してはしっかり深部まで鍼を刺入し、深部のコリを刺激していきました。
経過
1回目
施術終了時からとてもすっきりして、すがすがしい気分になった。今まで手が届かなかった深部のコリを刺激してもらえたのでよかった。辛さも軽減した。
2回目
前回後からかなり辛さがなくなった。
忙しいとまた硬くなる。
3回目
ほとんど気にならない。
快適に過ごせている。
鍼灸治療では、肺の機能を高めることと、自律神経を整えて身体の免疫を上げることを目的にします。
喘息や咳の症状は東洋医学でも五臓六腑の『肺』が深く関係していると考えられています。肺には「気を主る」という体内で「気」を生成して全身のさまざまな機能を発動させる機能や「水道を通調する」などの機能があり、それらに機能低下が起こってしまうと喘息や咳の症状があらわれやすくなってしまうのです。
「肺気虚」
肺の陽気が不足してしまうことで呼吸器系の機能が低下してしまうことによって咳やぜんそくなどの呼吸器系の症状や水道を通調するという機能が弱くなることで痰が多量に出ます。咳やぜんそくの他にも疲れやすい・息切れ・風邪をひきやすい・風邪などの症状が出てしまいます。
「肺陰虚」
肺陰虚は、肺の陰液が不足してしまうことで慢性病に栄養障害などの他に陰液不足によって引き起こされる乾咳・無痰・ノドの乾燥感・口の渇きなどがおこります。咳やぜんそく症状の他にも慢性気管支炎や気管支拡張症・肺結核・肺炎にかかってしまう危険性があります。
その他上記の病証が2つ同時に起こる場合があり、それを「肺気陰両虚」といいます。どちらか一方の症状が治らず長引いてしまうとこの2つの病証が同時にあらわれてしまうことが多いため、注意が必要です。
当院の鍼灸治療では、東洋医学的観点である五臓六腑の肺の機能と乾燥による熱などを対象に治療します。身体の中の水や全身に送り届ける機能が弱まったために症状がでると考えますので、肺、脾、腎を中心に治療します。その他肺経は大腸経ととても深い関係があるため大腸経の経穴も用いて治療していきます。東洋医学では「肺」と「大腸」は表裏の関係にあると言われています。
主に使用する経穴は
肺兪・脾兪・腎兪・合谷・尺沢・二間・太谿・天突
などです。
自律神経治療では、当院の自律神経測定器により交感神経と副交感神経のバランスを調べます。自律神経はバランスがとれている状態で最大限の自然治癒力と免疫力が発揮されます。
自律神経を整えると全身の循環機能や代謝機能が高まり免疫力を向上させることができます。鍼灸治療はこの自律神経のバランスを整えるのに優れた治療です。
喘息をお持ちの方は他にも首、肩、腰などに痛みや不調を合わせもっていることが多いです。これは互いに関係していると考えて身体全体を調整する経穴を選び治療をしていきます。鍼とお灸を使い身体全身を小一時間治療する頃には効果を実感していただけると思います。
治療間隔は、症状の緩和と自律神経測定器による体質改善ができるまでは一週間に一度の来院頻度が理想です。症状の重さによっては来院頻度をもう少し詰めていただくこともあります。症状の緩和がみられた後は二週間に一度、一か月に一度と広げていきます。
喘息とは、気管支などの気道が炎症によって狭くなる病気です。喘息の人は症状がなくても常に炎症を起こしている状態で、正常な気道であれば刺激されない冷たい空気やタバコの煙、ホコリ、ストレスなどで敏感に反応して気道が狭くなる疾患です。
発作性にゼイゼイ音が聞こえるような喘鳴や咳を繰り返す疾患です。症状がひどくなると呼吸が苦しくなり座らなければ呼吸ができなくなる起坐呼吸になります。重症の場合は呼吸器症状が特に激しく発現し、死に至ることもあります。小児の喘息では、10万人に対して0.5人が亡くなる割合で思春期に起こる喘息のほうが死亡率が高くなることが言われています。
喘息は、炎症を放っておくと気道の粘膜に変化が起こる場合や気道の壁が肥厚するなどで狭くなった気道が元に戻らなくなってしまうため早期から治療をするのがいいです。
日本全国では気管支喘息をお持ちの小児が5~7%で成人は3~5%程いると言われています。小児では男女比が1.5対1と男子に多いもので、都会で南日本にお住いの方が割合は高いです。喘息は症状がなくなったから完治したとは言えず成人になって再発する可能性もあります。身体の成長により肺や気管支なども大きくなることから大人になるにつれて治ってしまうことが多いのですが、なかには一割程の人が成人になっても喘息が治らないことがあります。
咳喘息とは、乾いた咳などが長く続く症状のもので、特に呼吸が苦しくなるわけでもなく喘鳴もないです。気管支喘息は、気管支が細くなる病状ですが、咳喘息は気道が狭くなる疾患です。女性に多く風邪などから併発して発症することもあります。
咳喘息は慢性的に乾いた咳が続く病気で、長いと一年以上続くものもあります。咳が続いておかしいと思っても咳喘息の場合は熱や痰など風邪の症状がでないため不安感になりやすいです。気道が細くなる病状ですので、気道が敏感になりたばこの煙や飲酒、ストレス、ハウスダストなどが発作の原因になります。
咳喘息は夜から明け方に咳き込むことが特徴です。主な理由はわかっていませんが、寒暖差や自律神経の関係だと考えられています。
喘息がおこりやすいものとしてアレルギーや発作を引き起こす刺激にふれたとき、季節の変わり目や天候が悪い時、夜間から早朝にかけて、風邪を引いた時などにおこりやすい傾向があります。
喘息は重症度により症状はさまざまです。代表的なのは咳き込むことや息苦しさ、痰、喘鳴などです。呼吸困難がひどくなると前かがみにすわって呼吸をしなければならなくなります。重い症状の場合は意識消失やチアノーゼ、脱水症状をきたすこともあります。
喘鳴を伴いわい咳が続くことや痰などを伴わない空咳が特徴です。他の病気がなく数か月のように長期的に咳が続くことがあります。
一般所見・・・聴診で呼吸音や笛声音などで判断します。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)・・・一秒間で吐き出した空気の量で重症度を測ります。
胸部X線検査
喀痰検査
気道過敏性検査
アレルギー検査・・・皮膚反応テストや血液検査、吸入誘発テストで調べます。
気道の炎症と狭窄を治すことを目的とした薬を処方されると思います。
吸入薬には発作が起こらないように毎日使用する長期管理薬と発作が起こったときだけに使用する発作治療薬があります。
・吸入ステロイド薬
・β2刺激薬
・経口ステロイド薬
・抗アレルギー薬
・抗コリン薬
・テオフィリン製剤
症例
60代 女性
2か月前に風邪をひき、それがきっかけで咳が止まらなくなっている。
風邪自体は治まったが、咳の症状だけ残ってしまい、緩和と悪化を繰り返している。
夜になるとひどくなることが多く、咳が出はじめると止まらなくなり、睡眠の妨げになって寝不足がかなりつらい。
咳の種類は湿性咳嗽で、痰が絡む事もよくある。
病院で処方された薬で多少は改善したが、まだまだつらい状態なのでそれ以外の方法を試したいと思い当院を受診した。
当院の施術
風邪がきっかけで慢性化している症状は自然治癒力の低下が原因になりますので、まずは自律神経を整え自然治癒力を高める施術を行いました。
長く続いている咳のためか肩や肩甲骨周辺の筋肉も強く緊張していたため、首肩背中周りの筋緊張を緩めるために直接刺鍼し呼吸の負荷を少しでも軽減させる目的の施術も行いました。
最後に、喉周りの経穴に鍼で刺激し、抗炎症を促す施術も行いました。
施術間隔は、週に1~2回。
経過
1回目
呼吸がしやすくなり、少し喉がすっきりしたように感じる。
咳はまだ出る。
2回目
日中の咳は少し落ち着いてきた。
夜になるとひどくなる。
3回目
夜間の咳も以前よりは軽快してきた。
少しゆっくり眠る時間が増えてきた。
4回目
まだ咳は出るが、かなり落ち着いてきた。
よく眠れる。
5回目
咳が出る頻度が少なくなってきた。
6回目
咳はほとんど出ない。
快適に眠れるようになった。
当院の後頭神経痛に対する鍼灸治療はまず第一に痛みの強い部分に鍼灸施術を施して鎮痛効果を促します。
また痛みが慢性化している場合に自律神経も乱れている場合が多いので全身の緊張を緩めて自律神経を整えることによって精神を安定させる施術も施します。
首肩耳周囲のツボとして頸肩部周囲の筋肉への治療ツボとして僧帽筋や頭半棘筋部の「天柱」「風池」、胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部の「完骨」、耳周辺の「角孫」「翳風」、肩甲上部では僧帽筋上部線維上の「肩井」、肩甲間部では各筋が交差する「膏肓」などの経穴を主に使用します。
また後頭神経痛は、東洋医学的に考えると「腎」「肝」「脾」の不調により気血水がうまく身体に回らないことが原因で発症すると考えられているので、上肢や下肢にあるツボを用いて鍼灸治療を施すことで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。
東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全信を整えることによって自然治癒力を高めます。
全身を施術することにより、睡眠の質の向上・目の疲れの解消・便秘の解消・血圧の安定・倦怠感の消失など様々な効果が期待できます。
後頭神経痛は、痛みが慢性化してしまうと脳がそれを記憶して痛みをさらに悪化させてしまう可能性もあり、ひどくなると仕事や日常生活の活動に支障をきたす恐れのある侮れない疾患です。
早めの治療・対応をすることで慢性化させないことが特に重要といえます。
50代 女性
3年ほど前から後頭部から頭部上部にかけてチクチクとした痛みを感じていた。病院で診察を受けたところ大後頭神経痛と診断された。痛み止めのお薬を処方されて痛みの強い時にその場しのぎで服用していた。しかし、最近痛みが段々と強くなってきて薬の効き目の弱くなってきた。デスクワークを主な仕事としており、ひどい場合は頭を前に曲げる動作だけでもチクチクとした痛みが増幅して吐き気をもよおすこともあった。
なんとかこの痛みを和らげたいとのことで当院にご来院されました。
当院の治療
痛みで寝つきが悪く、浅い睡眠が続いたということで自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきました。測定した結果、交感神経が高い状態でした。そこでまず自律神経を整える全体施術を施した上で首や肩を重点的に治療していきました。頸部には鍼に電気を流して痛みを抑える施術をしました。
治療経過
◇1回目◇
一回目の治療後、後頭部の痛みは半減された。頭を前に倒すことができるようになった
◇2回目◇
治療効果は継続されている。まだ仕事などでデスクワークが長時間続くと痛みは出る
◇3回目◇
激しい痛みで夜目覚めることがなく、熟睡できるようになり、身体全体の調子は上向いている
◇4回目◇
たまに痛みが出る時もあるが直ぐ軽快してくる。痛み止めの薬を服用することがなくなってきた。
◇5回目◇
痛みがほぼ出なくなり、日常生活の中で痛みを気にすることがなくなり、体調も整ってきた。
症例2
50代女性
一週間前から左側の首から後頭部・頭頂部に激痛がはしり、日に日にひどくなっている。
痛み止めを飲むも一時的にしか楽にならず、夜は2時間おきに痛みで目が覚めてしまう。
既往歴として脳挫傷があるため、脳外科で検査をするも特に異常はなかった。
極寒地域への海外出張が続いていて全身の疲労、デスクワークによる肩こりが強くあった。
一週間ほどで落ち着くと病院で言われたが変化がないため当院へ来院された。
症例 3
20代 男性
1か月前から右の後頭部から耳の後ろにかけてチクチク刺すような痛みが起きるようになった。
痛みが続いたため、病院に受診したところ後頭神経痛と診断された。
病院で処方された薬を服用しているがあまり軽快されず、他の治療を試したいと思い当院に来院した。
首肩のコリが慢性的にあり頭全体を締め付けられるような緊張性頭痛も起こることがある。
仕事は基本的にデスクワークで、仕事以外もパソコンやスマートフォンを使用していることが多い。とても緊張しやすく、ストレスを溜めやすい。
当院の施術
まず、お身体全体の状態を触診で確認していきました。
首と頭の付け根がの筋肉が非常に強い緊張を起こしていました。また、肩や背中の筋肉も張っているため呼吸が浅くリラックスしにくい状態と感じました。
呼吸が浅くなると交感神経が活動的になりやすく、筋肉を緊張させてしまいます。
特に首肩の筋肉は交感神経の活動に影響されやすく、後頭神経痛の発症の要因になってきます。
そのため、まずは仰向けで自律神経を整える施術を行い、リラックスに関わる副交感神経の働きを高めていきました。
次に、うつぶせの状態で背中や首肩の筋緊張、特に右側の首と頭の付け根から後頭部にかけての筋肉に対してしっかり刺激を入れ緩めていきました。
経過
◇1回目◇
施術後から、少し痛みが軽減したように感じた。
時間が経つとまた痛みが戻ってきた。
◇2回目◇
大きくは変わらないが、初回より良くなってきているような気がする。
◇3回目◇
気が付いたら、痛みが気にならなくなっていた。
首肩のコリも軽くなっている。
◇4回目◇
日常生活に全く支障がなく過ごせている。
当院の施術
何日も激痛が続き、心身ともに疲弊している状態が見受けられた。まずは鎮痛を促す治療を第一とし、痛みが最も強い箇所への鍼治療を行った。神経が過敏になっており軽く触れるだけで痛みがでるため、浅い表面の筋肉から徐々に緩める。また、頭に鍼をしている間に、腹部や手足の副交感神経を高めるツボに鍼と灸を用い、リラックス作用が期待できる治療を行った。
大後頭神経痛のほとんどは、肩こり・首こりによって筋肉が硬くなり、その部位を通過している後頭神経(主に頭皮に分布する)が刺激されることが原因で痛みを生じる。
この患者様は極寒地域への海外出張で体全体がこわばっている状態にあり、デスクワークによる慢性的な肩こりも強いため、首肩の筋緊張の解消する施術も行った。
症状が強いため3日おきの治療を勧めた。
◇1回目◇
治療前の痛みを10とすると治療後の痛みは7まで低下。
鍼を刺している間はリラックスできた。
◇2回目◇
痛みは初回の半分くらいで、5まで低下。
表面が緩んできたので、すこし深めの筋肉を刺激しそこに微弱な電気を流す治療を行った。
◇3回目◇
痛みの程度は2まで低下。
睡眠がしっかりとれるようになった。仕事にも集中できる。
◇4回目◇
全く痛みが無い日と、軽く痛む日と、日により差がある。痛みの程度は2くらい。
◇5回目◇
ほぼ痛み無し。こめかみが重い感じがあったが、治療後にはなくなった。
後頭神経痛の東洋医学的考えは、痛みの出る部分によって問題となる経絡が違ってきます。
後頭部の痛み
後頭部の痛みは東洋医学では『太陽経頭痛』と言われます。太陽経頭痛の場合は後頭部の頭痛に加えて背部の痛みや肩甲骨周辺の筋肉の痛みも伴うこともあります。
側頭部の痛み
側頭部の痛みは東洋医学では、『少陽経頭痛』と言われます。少陽経頭痛の場合は、耳周りにも痛みが出ることもあります。ホルモンバランスの変化が原因で起きることもあります。
痛みについて東洋医学では、気・血・津液が滞ることによって滞っている部分が栄養不足となり痛みを発症すると考えられています。後頭神経痛の場合に関しましても後頭部あるいは側頭部を通る経絡の気・血・津液が滞ることによって神経痛の症状を起こしてしまっていると考えられます。
なぜ気・血・津液が滞ってしまうのかと言いますと天候や気温などの外部的環境と東洋医学でいう「肝」「腎」「脾」の病変による内部的環境が影響します。
ジメジメした湿度の高い日や急に寒くなった日・風の強い日などは特に滞りやすいです。またストレスや飲食物などによって「肝」「腎」「脾」が損傷を受けても滞りやすくなります。
後頭神経痛とは、耳の後ろや後頭部にズキズキとした痛みが発作性に起きる疾患です。
首や頭部の筋緊張によって起きる緊張性の締め付けられるような頭痛とは違い、後頭神経痛は神経痛独特のチクチクとした皮膚表面の痛みが特徴です。
後頭神経痛を起こす原因となる神経は主に3つあります。
・小後頭神経
小後頭神経は、第二頚神経と第三頚神経の前肢で構成されており、胸鎖乳突筋と僧帽筋との間を斜め上に頭頂に向かっていく神経です。
・大後頭神経
第二頚神経の後枝から起こり、僧帽筋の上から出て後頭部や頭頂部の皮膚に伸びていく神経です。
・大耳介神経
第二頚神経と第三頚神経から起こり胸鎖乳突筋と広頚筋の間を上に向かって進みます。耳下腺部の皮膚や耳介の後方部の皮膚に分布します。
後頭神経痛の痛みの感じ方は人それぞれでデスクワークなど首肩に負担がかかっている時だけに強く感じる人や横になっている時でさえも強い痛みで眠ることができずに悩んでいる方もいます。
痛みが突発的にあらわれて痛みが急に引くこともあります。後頭部や耳の周りがひどく痛むと目の奥が痛いと感じることや目の疲れも感じます。
また障害されている神経によって症状が出る部分にも変化が出ます。
大後頭神経が障害されると後頭部から頭のてっぺんに痛みが走り、前頭部まで痛みが達することがあります。
大耳介神経が障害されると耳の後ろが主に痛みが出て耳周辺全体が痛くなることもあります。
小後頭神経が障害されるとちょうど大後頭神経痛と大耳介神経痛に出る痛みの範囲の中間、側頭部分に痛みを生じます。
後頭神経痛と同じような痛みを生じさせて重篤な病気にくも膜下出血があります。
くも膜下出血とは、脳の外側から覆われている硬膜・くも膜・軟膜の3つの膜のうちくも膜の内側の脳脊髄液に出血が起こる病気です。
発症してすぐに適切な処置をしないと死に至る可能性の高い怖い病気です。くも膜下出血は、急に今までに経験したことのない激しい頭痛に襲われて吐き気や嘔吐、首のこりなども感じます。その場合はすぐにでも脳神経外科などを受診しなければいけません。
くも膜下出血は急に起こることが多いですが、前兆症状なども見られることもあります。前兆症状として
・めまい
・血圧の乱高下
・吐き気
・複視
・目の痛み
・まぶたが下がる(眼瞼下垂)
・ろれつが回りづらい
・急な頭痛
などがあります
そのような症状が見られたら念のため一度病院で検査をうけましょう。
後頭神経痛の原因は、未だはっきりとした原因はわかっていません。有力な説として、ストレスやパソコン作業、スマートホン操作の姿勢によって首肩の筋緊張が強く出て後頭神経を圧迫することによって起きるといわれています。
また神経に潜伏していたヘルペスウィルスが体力や免疫力が弱まった時に活性化して神経に炎症を起こして痛みを誘発するという説もあります。
歯ぎしり「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」は、歯を擦り合わせたり、過度に歯を噛みしめたりする動作です。寝ている時に起こる場合と、目覚めている時に起こる場合とにより睡眠時ブラキシズムと、覚醒時ブラキシズムとに分けられます。
歯ぎしりや噛みしめは無意識に行っている人がほとんどで、睡眠中の歯ぎしりは一緒に寝ている人や暮らしている人の指摘で症状に気付くことが多いです。これは歯を噛みしめる力が強い場合に歯ぎしりをした音が周りに聞こえるためです。
しかし、実際は睡眠中の歯ぎしりは音を立てていない人の方が多く、音が出ないタイプも含めると日本人の約7割もの人が歯ぎしりをしているとも言われています。
通常、上下の歯の間には2mmくらいの隙間が空くのが安静時の正常な状態であり、一日の間で上下の歯の接触は生理的範囲で約17分といわれています。人間の噛む力は40~60kgと自分の体重ほどもあり歯ぎしりや噛みしめはその頻度や強さ、持続時間によっては歯や身体の病気の原因になります。
「噛み続け癖」と呼ばれることもあるこの癖は食べていない時にも不必要に上下の歯を接触させ続けてしまうというものです。
歯ぎしりや噛みしめと違い、意識せずに上下の歯が触れている状態の事を指します上下の歯の接触時間が長くなると、筋肉の緊張や疲労、顎関節の負担が増え、顎関節症や顎の疲労感、歯の違和感、口が開きにくいなどの症状を引き起こすことがあります。
また、頭痛、首肩こり、腰痛、顎の痛み、耳鳴り、めまい、息苦しさなど不定愁訴の原因になることがあります。
・グラインディング
上下の歯をこすり合わせる歯ぎしりのことです。多くの人がしてる歯ぎしりはこのグラインディングタイプの歯ぎしりになります。寝ている時に下顎を左右に動かす動作を繰り返すことで「ギリギリ」という嫌な音が出るのが特徴です。
・クレンチング
音が出ないタイプの歯ぎしりのことで、上下の歯を強く噛みしめる癖のことです。同位置で歯を強く食いしばるのが特徴です。
・タッピング
上下の歯を続けてぶつける歯ぎしりのことです。下顎をリズミカルに素早く動かし、上下の歯を噛みしめるため「カチカチ」といった音が出るのが特徴です。
歯ぎしりの原因は詳しくは解明されていませんが、メンタリティが関わってる場合が多いと言われており不安、緊張、心配などのストレス、遺伝や飲酒、喫煙、カフェイン摂取、交感神経活動の亢進、服薬、かみ合わせなどの関与が指摘されています。
歯ぎしりは浅い眠りの時に起こることが分かっています。
人間は深い眠りと浅い眠りを交互に繰り返しており、深い眠りの時には筋肉の動きは抑制されています。(副交感神経の亢進、交感神経の低下)
そして眠りが浅くなるとその抑制が解け(交感神経の亢進、副交感神経の低下)、その拍子に咬筋(頬の筋肉)が動き、歯ぎしりが起こると考えられています。
飲酒、喫煙、カフェイン摂取、ストレスなどは睡眠を浅くする要因であり、特にストレスは歯ぎしりの7~10%に関与していると考えられています。また、特定の遺伝子型の人は他の人の約5%歯ぎしりをしやすいことが分かっています。また、睡眠時無呼吸症候群、逆流性食道炎などの疾患も眠りが浅くなるため歯ぎしりが起こりやすいといわれています。
ストレスによる緊張や、何かに長時間集中している時、PCやスマートフォンなどの操作の少し俯き加減の姿勢などが考えられています。
・歯が擦り減る、割れる
歯ぎしりによって歯に非常に大きな力がかかります。個人差はあれど歯ぎしりの力は、ガムを噛む力の数倍~10倍といわれており大きな力がかかり続ける事で上下の歯が擦り減ってしまいます。
歯が擦り減るとエナメル質が破壊されて知覚過敏を起こします。また、詰め物が取れたり壊れたり、歯そのものが欠けたり割れたりする場合もあります。
・歯周病が発症、進行する
歯ぎしりによる過剰な力は、歯だけでなく歯茎にもダメージを与えます。歯茎が弱ると歯周病菌が繁殖しやすくなり、歯周病が発症、進行するリスクが高まります。
・歯の位置が移動する、歯並びが変化する
歯と歯が強く擦れあったりぶつかり合ったりすると歯が揺れ動きやすくなるため歯並びが悪くなったり、歯の位置が動くことがあります。
・顎関節症の発症
歯ぎしりをすることで、顎の関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症を発症することがあります。
顎関節症に対する鍼灸治療
・咬筋(顎のえらの部分)の肥大
咀嚼筋である咬筋に強い負荷がかかることで、咬筋の緊張状態が続くと咬筋が発達し肥大することがあります。
・その他
顎の痛みや疲労感、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、睡眠障害など様々な二次障害が歯ぎしりによって引き起こされているといわれています。
自宅で出来る予防法として節酒や禁煙、カフェイン飲料を飲むことを減らすなど睡眠が深くなるような生活を心がけましょう。
また、不必要な昼寝は避けて生活習慣を整えることや、寝る前にストレッチをしたりぬるめのお風呂にゆったり入るなどストレスを軽減する工夫も必要です。
一般的には歯科医院にて治療が行われます。
治療方法としてマウスピース(スプリント)、かみ合わせの調整、矯正治療、睡眠衛生、行動療法などが挙げられます。
歯ぎしりは東洋医学では噛歯(ごうし)といわれています。
歯ぎしりは心因的な感情が根底にあると捉えられ、五臓六腑の「肝」の不調に関わりがあると考えられています。「肝」は神経や感情をコントロールする役割があると考えられており、ストレスなどによりこの「肝」の働きが乱れると感情のコントロールがうまくいかなくなり、不眠、怒りっぽい、焦燥感などの症状が現れることがあります。精神的な緊張は筋肉が過緊張を起こす原因になります。
また、風、寒、湿、熱邪などの外邪などによって顎関節周囲を通る足の陽明胃経、手の少陽胆経、手の太陽小腸経の経絡の滞りなども原因となる場合があります。
当院では自律神測定器にて自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。
自律神経は交感神経、副交感神経の二つに分けられ、交感神経は日中活動時に活発に働く神経で、副交感神経は夕方から夜にかけて優位に働くリラックス神経です。この二つの神経がバランスをとりながら無意識下で全身の器官を調整しています。ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどからこのバランスが乱れると心身の不調をきたす原因になります。
自律神経は睡眠の質や筋肉の緊張にも大きく関わっており、特に交感神経の過亢進は精神の緊張、全身的な筋緊張を招きます。
そのため自律神経系のバランスを整えるツボや東洋医学的観点から肝、心に関わるツボに刺激を与えます。
また、歯ぎしりや噛みしめ影響による顎や首や肩の筋肉の過緊張を除き、顎関節へかかる負担を軽減する治療を行います。また、顎関節周囲の胃経、胆経、小腸経のツボも用います。状態によっては鍼に微弱な電気を流すことで鎮痛作用や筋緊張の緩和、血液循環を促します。
30代 女性
歯ぎしりがひどく、歯科でマウスピースを作ってそれを付けて夜は睡眠をとっていました。それでも朝になるとあご周りが痛く、首や肩にまで波及している状態でした。
普段からも気が付くと歯を噛みしめている場合もあり、それが原因で首回りも緊張しているのではないかとのことでした。
当院の自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動が異常に高く逆に副交感神経が低い状態で常に緊張状態が長く続いていてなかなかリラックスできていないことわかりました。
問診時にも仕事や家庭内でのトラブル最近ストレスが溜まっているとのこと
治療
首肩や肩甲骨周りの筋緊張を鍼灸施術で緩めてから仰向けとなり顎周りの施術で筋緊張を緩めてお腹手足のツボを用いて自律神経の状態を整えていきました。
治療した次の日の朝は顎周りが少し楽で日常的にも首肩が楽でしたが2~3日で元の状態と戻ってしまっていました。
数回の治療後は、治療効果も延びて朝目覚めもすっきり起きられてる様になっています。
自律神経測定器の結果も交感神経の活動が下がり良好の状態となりました。
症例2
50代 女性
睡眠時にかなり噛みしめていると歯医者で指摘され、マウスピースを作ったが顎周りの痛みは軽減しなかった。
顎の痛みで目覚めることが多く、数ヶ月間寝不足気味が続いている。
今も毎晩マウスピースをはめて眠っているが、擦り切れて穴が空きそうなくらい酷使されている。自分で顎の筋肉を触ると、ゴリゴリしているのが気になっている。
このままだと、顎以外のトラブルもおこりそうだと感じて来院。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、かなり交感神経が優位の数値がでた。精神的なストレスも高く自律神経の乱れがみられたので、自律神経を調節する治療をメインで行なった。また同時に顎の周りだけではなく、首肩の筋肉も筋緊張が強いため血行を促進させて筋肉を緩ませる治療も行った。
治療頻度は月に2回
治療経過
1回目
変化は感じない。
2,3回目
痛みはあるが、少し眠りやすくなった。
4~7回目
治療していくと、顎の筋肉のゴリゴリが小さくなっていくのを感じている。
7~15回目
朝になって起きた時の顎の疲れが少しずつ軽くなった。
16回目
痛みで眼が覚めることがほぼなくなった。
17回目
まだマウスピースを付けて寝ているが、マウスピースのすり減っていくスピードが遅くなった。
18回目
来院頻度を月に1回と少なくして経過観察をすることになった。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の乱視に対する施術は、目の周辺のツボにハリやお灸の刺激をすることで目の血行状態をよくします。
鍼がどうしても苦手という方には、お灸だけの施術もございますので、ご相談ください。
また乱視は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いたり、東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療を行います。乱視の患者さんは、頭痛やイライラ感・睡眠障害に悩まれる方が多いので、部分的な治療ではなく全身を施術することが重要だと考えております。全身施術を行うことにより人間の本来もっている自然治癒力を高めます。
当院による乱視の施術目的は、乱視に併発する目の疲れや眼精疲労の症状を軽減することです。角膜の屈折率などの問題で乱視が起きていた場合、乱視自体の回復は大変難しいものがありますが、それに併発する症状を抑えることで患者さんの日々の生活が充実し、よりよくなることが見込めます。
また中国では、はり灸施術での回復事例もあり、西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも乱視が回復できる機会を提供致します。
当院にご来院される1か月前から遠くも近くもぼやけて見えるようになってしまった。もともと視力は良いほうで眼鏡やコンタクトレンズもつけずに日常生活を送れていた。眼科で検診を受けたところ軽い乱視があると言われ、眼鏡を勧められたが今まで眼鏡をかけたことが無く抵抗があったため自力で治したいということで当院にご来院されました。
近く車の免許の更新もあるため眼鏡をかけなくてもいいように免許を更新したいという願望もあった。
当院の治療
最近、仕事やプライベートでもスマホなどを使う機会が多かったため、目が疲れているとのこと。また忙しさのあまり睡眠を充分をとれていないとのことからまず身体の状態・自律神経のバランスを測定していきました。その結果を踏まえて
・自律神経のバランスを整える
・首肩の筋緊張の緩和
・目の周りの筋疲労緩和と循環改善
を目的に施術していきました。
治療経過
1回目の治療後は目の見え方の変化はわからなかったが首肩は楽になったとのこと。治療回数を重ねていくごとに体が楽になってきたと感じてそれに伴い目も見えやすくなってきた。
5回目の治療終了後に車の免許の更新があったが、無事に眼鏡なしで免許更新ができた。
中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。
肝は精神情緒の安定・自律神経系を介した機能調節もおこなっており、それらの機能低下は身体に様々な影響を与え、さらに肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
ⅰ)正しい姿勢での勉強や読書を心掛けましょう。目と本の距離は30cmほどは離しましょう。
ⅱ)運動や散歩などをして遠くを見る習慣をつけて目に負担をかからない生活を心掛けましょう。
ⅲ)パソコンなどでの長時間作業は避けましょう
ⅳ)目を細めて物を見ないようにしましょう。
乱視とは角膜や水晶体が歪んでいることにより光が網膜に届くまでの間に乱れてしまい、焦点が合わなくなる目の屈折異常です。
正常の場合、屈折した光が眼球後ろの網膜上のある一点に焦点が合い、像を結んで物が見えるのです。遠視や近視の場合は像を結ぶ位置がずれているものの、必ずどこかに焦点があります。
しかし乱視の場合は焦点が無いので、遠くも近くもはっきり見えず、また物の一部が霞んで見えたり、歪んで見えたりします。理論上、眼球が完璧な球体であれば、乱視は生じませんが、人間の目は大なり小なり歪みがあるのが普通で、そうなると角膜や水晶体を通過する光の屈折が光の入ってくる方向によって均一ではなくなります。年齢が若く、軽度の乱視では自覚症状がありませんが、ある程度以上の乱視や軽度でも年齢を重ねるにしたがって、症状が徐々に現れてきます。
乱視の症状として遠い所も近い所もみえにくいなどの視力障害や眼精疲労を伴うこともあります。乱視は調節に努力がいることから物を普通に見ているだけなのに疲れ目になったり、頭痛がしたり、集中力が続かないなど普段の生活でも影響が現れます。
乱視は子供のうちから生じている場合もあり、なかなか気づきにくいものです。子供が頭を傾けて物をみる、目を細めて物をみる、目の疲れや頭痛などを訴えるといったことがあれば早めに対処する必要があります。
乱視には角膜の球面が歪んでいる角膜乱視と水晶体が一定方向に歪んでしまい元に戻らなくなった水晶体乱視があります。ともに先天的なものと後天的なものの二種類があります。先天的な場合の原因として胎児の状態や出産時の対処にも影響されます。また遺伝的なものもあります。さらに乳幼児期の肥満も関係してくると考えられています。
後天性の角膜乱視の原因で、最も多いのは目を細めることで眼球にかかる圧迫と考えられています。近視の初期に遠くを見る際、目を細めたりすると目の周りの筋肉が角膜に余計な圧迫を加え、角膜や眼球が歪んでしまう場合があります。
このため、近視だと無意識に目を細めて見てしまう人も多いですが、角膜乱視を予防するためにも目を細めることを避けるようにする必要があります。
後天性の水晶体乱視の原因として考えられるのは偏った目の使い方で水晶体が歪んでしまうことです。例えば仕事などで長時間パソコン画面などをみていると、水晶体が下に引っ張られて元に戻らなくなる状態になってしまい、乱視の原因となります。
このため水晶体乱視を予防するためにも長時間パソコンなどの作業をしないようにする必要があります。
ⅰ)正乱視
角膜のカーブが均一でないものが正乱視で、これは先天的な原因が大抵ですが、角膜の病気が原因となることもあります。また、近視や遠視が誘因となる場合も多く見られます。
ⅱ)不正乱視
屈折面での屈折が不規則で、円柱レンズでの補正ができない乱視が不正乱視です。原因としては円錐角膜、翼状片などによる角膜の非対称な歪みや外傷による水晶体の亜脱臼、加齢性変化による白内障やまれに円錐水晶体などの水晶体疾患などです。
一般に角膜の歪みによる正乱視は、円柱レンズまたはハードコンタクトレンズによる矯正が適しています。不正乱視の治療はその原因が角膜の形状異常によるものであれば、ハードコンタクトによる矯正が適していますが、水晶体が原因である不正乱視は、正乱視と同じくコンタクトレンズによる矯正はできません。
現在は乱視はエキシマレーザーによる角膜の屈折矯正手術によりある程度は補正できるようです。
症例
30代 男性
元々視力が悪かったが、最近仕事の部署が変わりデスクワークになり、眼の負担が増えた。それが原因か分からないが、1か月ほど前に通勤電車で読書していたら文字が隣の行にはみ出しているように見えはじめた。
はじめは気にしていなかったが、どんどん悪化していき最近は仕事にも支障をきたすのではと思いネットで色々検索していたらここの院のホームページを見て来院。
鍼は学生時代にスポーツをやっていて、一度受けたことがあるが痛かった思い出があり少なめの刺激を希望。
当院の治療
眼の周りの筋肉だけではなく、首、肩、背中の広い範囲で筋肉が硬くなっていた。
首肩コリは本人は自覚がなく、慢性的に腰痛があるとのことだった。目の周りの局所治療だけではなく、上半身の筋肉を緩めて血行を促進していくことと、自律神経の乱れを整えることで身体の自然治癒力を高める治療を行っていく。
治療頻度は週1回
治療経過
◇1回目◇
思ったより痛くなくリラックスした感じはある。
◇2~5回目◇
見え方は特に変化はないが、首肩周りの身体は楽になってきた事を感じる。
◇6回目◇
見え方に変化がないので、電気鍼に挑戦。治療後は少しだるさがでた。
◇7~12回目◇
電気鍼で治療後にだるくはなるが、眼がかなり楽になる感じがある。
◇13~18回目◇
回数を重ねると視界のブレが小さくなっていた。
◇19回目以降◇
乱視はほぼ改善し、治療頻度を少なくしてメンテナンスとして通っている。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では「気・血・水」という概念があり、貧血はこの「血」の不足や働きの低下を現す「血虚」という状態ととらえます。血は全身を巡り栄養や酸素や潤いを届け身体を温めたり精神を安定させるといった働きを担っています。
五臓六腑のうち血に深く関わる臓器として肝、脾、心が挙げられ、肝は血貯蔵や循環量の調節を行い、心は血を流す原動力になっています。脾は飲食物を消化吸収し血の材料を作っていると考えられています。
自律神経測定器で血管年齢と自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を診させて頂いてから治療に移ります。東洋医学的観点より五臓六腑の肝、脾、心のツボを中心に用い、血液の産生を促します。
また、内臓機能、心臓の動きや血管の動きを主る自律神経系の調整を行うことで血液循環を促進し、貧血の症状の軽減を図ります。
その他貧血の方は身体の倦怠感や首や肩、腰などの筋緊張を伴なうことが多いため、そちらの治療も合わせて行っていきます。
基本的にまず仰向けでお腹や手足のツボを用いて自律神経調整治療を行った後にうつ伏せとなり、頸肩や腰部の筋緊張の緩和・背部兪穴といわれる五臓六腑の重要なツボを用いて五臓六腑の働きを調整していきます。
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が正常より少なくなる事です。血中のヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると貧血と診断されます。血液の働きで最も重要な仕事は酸素を全身に運搬することで、この働きを司っているのは血液中のヘモグロビンです。そのため、貧血になると全身の細胞に酸素の運搬が十分に行われなくなり、頭痛やだるさ、肩こりなど様々な症状を引き起こします。
貧血は女性に多く10人に1人が貧血ともいわれています。
貧血の主な症状
・めまい
・立ちくらみ
・顔面蒼白
・動悸
・息切れ
・耳鳴り
・頭痛
・眠気
・食欲不振
・倦怠感
・疲労感
・不安や緊張感
・首や肩のこり
・爪の変形
など
・鉄欠乏性貧血
日本の貧血患者の約7割、女性全体の約一割が該当するといわれているのが鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンの主な材料である鉄が不足し、ヘモグロビンが作られなくなるために起こる貧血です。
欠食、偏食、無理なダイエットや、インスタント食品などの食生活の乱れ、特に女性では妊娠中や授乳期、月経などで鉄が不足しやすくこの貧血に陥りやすい傾向があるといわれています。その他にも子宮内膜症や子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど婦人科疾患に伴う過多月経や潰瘍、痔、ガンなどによる消化管からの出血なども原因の一つとして挙げられます。
・再生不良性貧血
骨髄中の造血細胞が何らかの原因によって障害されることで、赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減少する疾患です。再生不良性貧血は生まれつきこの病気になる先天性と何らかのきっかけがあってこの病気が起こる後天性のものがあります。
再生不良性貧血は特定疾患(難病)に指定されており、後天性のものは原因がはっきりとしない特発性と、ウイルス感染や薬剤の使用など原因の分かっている続発性に分けられます。
・悪性貧血(巨赤芽球貧血)
赤血球の合成に必要なビタミンB12、葉酸が不足して赤血球が減少することによって起こる貧血です。この場合は、赤血球の形が大きくなるため、巨赤芽球貧血とも呼ばれます。
不足している成分ごとにビタミンB12欠乏症貧血や葉酸欠乏性貧血に分類されます。
・ビタミンB12欠乏性貧血
本来ビタミンB12は胃で吸収され赤血球生成の材料になりますが、胃や腸を手術で切除した場合などにはビタミンB12が吸収される機会が失われてしまいます。ビタミンB12は極端な偏食でなければ不足は起こりにくいのですが、ビタミンB12の吸収に問題がある人、動物性食品をあまり食べない人、菜食主義の人は不足する可能性があるため注意が必要です。
・溶血性貧血
健康な人の赤血球の寿命は120日程といわれていますが、赤血球が正常の寿命より早く血管内や脾臓、肝臓や骨髄内などで破壊される事で起こる貧血です。先天性の原因として遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症などがあり、後天性のもの自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、薬の副作用、不適合な輸血、ウイルス感染などが挙げられます。
・二次性貧血(続発性貧血)
骨髄や赤血球の異常ではなく、他の病気が原因となって起こる貧血で、感染症や膠原病、慢性炎症、癌など血液の病気とは異なる病気が原因となる貧血です。
症例
40代 女性
子宮筋腫による不正出血のため以前から貧血症状に苦しんできた。
月経過多になることが多く、ひどい時は鉄剤を服用しても貧血症状がおさまらず、めまいや立ちくらみ、少し動いただけで息切れをする。
もともと末端冷え性でもあり、とくに足先からふくらはぎにかけて冷たくなるため、全身のの血流が悪いことも自覚している。
仕事は忙しく、睡眠の眠りは浅いため疲れがとれない。
当院の施術
この方の貧血の原因は子宮筋腫によるもののため、子宮筋腫に対する施術で貧血症状を改善していきました。
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認したところ、交感神経の働きが強くなっており、逆に副交感神経の働きが弱くなっていました。
このような自律神経の乱れは血流の妨げになることが多く、貧血症状の悪化につながります。また足の冷えが非常に強く、下肢の冷えは骨盤血流量を低下させ女性ホルモンに大きな影響を及ぼします。
今回は女性ホルモンと自律神経のバランス調節、骨盤血流量の促進を目的とした施術を行いました。
経過
◇1回目◇
施術後は身体が暖かくなり、夜も気持ちよく寝れた。
◇2回目◇
出血量はまだ変化が見られないが、体調は整っているように思える。
体が軽い。
◇3回目◇
出血量が少し減った気がする。
ふらつく様なめまいが気にならなくなってきた。
◇4回目◇
出血が減り、身体の調子が良い。
階段を登っても以前のような息切れがしなくなってきた。
◇5回目◇
調子が良い日が続いている。
気持ちも前向きになってきた。
症例2
20代 女性
職場の健康診断で貧血の数値でひっかかり、再検査を受けることになった。貧血の自覚はなかったが、ネットで調べたら貧血からくる体調不良が多く当てはまっており、根本から改善したくて来院。
昔から偏食の為、食べられる食材が少ないのも原因と医者に言われ、食生活は少しずつ見直している。平熱35.7度
治療頻度は月に2,3回
当院の施術
食生活に偏りがあるせいか、自律神経測定器での測定で血管年齢が25歳ほど高い数値がでた。自律神経も乱れ気味だったので、血行促進、自律神経の乱れを整える治療と同時に内蔵機能を亢進させる治療も行うことで、食事の栄養が吸収しやすい身体をつくっていく。
治療経過
◇1回目◇
いつも手足が冷たいが治療後は温かくなった。
◇2回目◇
劇的な変化はないが治療後の体調は良い。しかし、数日したら元に戻ってしまう。
◇3回目◇
日中のだるさや無気力感がなくなってきた。
◇4~8回目◇
回数を重ねていくと、立つたび目の前が真っ白になるような目眩があったが、なくなっていった。
◇9、10回目◇
目眩はほぼなくなった。
◇11回目◇
体温が高くなり、平熱が36.2度になった。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院のメニエール病に対する施術は、第一にハリやお灸を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。当院のはり灸施術は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。当院では自律神経測定器で自律神経脳状態を知った上で施術致します。
また内耳の血流不足によるむくみを改善するという点から頸肩部周辺や耳周辺の経穴に鍼を刺します。頸肩部周囲の筋肉への治療穴として僧帽筋や頭半棘筋部の「天柱」「風池」、胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部の「完骨」、耳周辺の治療穴として「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」などを用います。
メニエール病は東洋医学的に診ると「腎」や「肝」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。
過度な身体的・精神的ストレスは、自律神経を乱してメニエール病の原因となります。東洋医学の特徴である全身を診て治療することにより全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制して過度なストレスを和らげます。
また身体全体の調子が上がっていくことも期待でき、実際に当院でもめまいの治療で「目が疲れなくなった」「便秘が解消した」「ゆっくりと体が休められ、熟睡できた」などといった声が数多く聞かれます。東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることで自然治癒力を高めるといわれ、様々な効果が期待できます。
当院の施術目的は、メニエール病の回復程度を高め、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもメニエール病が回復できる機会を提供することです。
メニエール病の発作時の激しいめまいは、仕事が手に着かずにストレスを溜め込んだり、症状がいつ起こるかわからないといった不安がストレスとなり、更に症状を悪化させかねません。
症状が慢性化する前に病院で診断を受けた上で早期の治療をお勧めします。
メニエール病において東洋医学では特に「肝」と「腎」が深く関係していると考えられています。
めまいは東洋医学では「水毒」といわれ、生体内を循環している津液が寒さや湿度などの外因の影響を受けたり、東洋医学での「肝」や「腎」などの内因の影響を受けて停滞して起こると考えられています。特に停滞している部分が耳である場合にめまいの症状としてあらわれます。
また、「腎は耳に開竅する」といわれ、腎精が不十分だと耳鳴りや聴力の減退・排尿異常・生殖能力の低下や・白髪・毛髪脱落などが発生するといわれています。
「津液」とは
津液とは、体内の生理的水液を意味して、例えば細胞内外の液・唾液・胃液・関節内腔・涙・リンパ液などすべてを含めた組織液に相当します。
津液は、飲食物から脾胃で生成され、大部分は三焦という通路を運航して全身に送られます。この過程で、「肝の疏泄をつかさどる」という機能と「腎の水をつかさどるという機能」が重要になってきます。
肝は疏泄をつかさどる
肝の疏泄をつかさどるという機能は、すみずみまで機能を通行させるということを意味し、津液を全身に送る場合にも一役かっています。またその他に情緒を安定させ、精神状態を快適に保つ機能や自律神経機能によって全身の各機能が円滑に行われる機能にも影響を与えています。
よって過度な精神的ストレスや自律神経の不調は、肝の疏泄をつかさどるという機能にも影響を与え、めまいの原因となります。
腎は水をつかさどる
体液の代謝全般に対し、腎が根本的な調節作用を行うことを示しています。有用な津液を蒸気のように変えて三焦を通して全身に巡らせ、身体の水分代謝に供給すると同時に、不要な廃液を尿として適宜排泄するという機能を腎が担っているのです。
また東洋医学では、腎は耳と関係が深いと考えられ、腎の不調は耳の症状に反映されやすいといわれています。
腎の機能異常は、全身に津液を停滞させ、特に耳に停滞しやすく、内耳にリンパ液が溜まることで起きるめまいや耳鳴り・難聴を引き起こすメニエール病の症状としてあらわれやすくなります。
腎精とは
腎が貯蔵する精は、人体の生長・発育・生殖及び生命活動を維持する物質的な基礎です。父母から受け継いだ「先天の精」は絶え間なく腎に注ぎ、成人を迎えるころには自然と減少していきます。
この不足した部分を飲食物で得られた「後天の精」で補おうとするのですが、それが間に合わなくなると身体は様々な老化現象を引き起こします。
「腎」と「肝」との関係
東洋医学では「腎」と「肝」との関係は密接と言われており、両者の症状は同時にあらわれることが多く、「肝腎同源」ともいわれています。
精が不足すると肝の血は、精に変化してそれを補い、血が不足すると腎の精は血に変化してそれを補います。精は高齢になると減少傾向にあり、それは同時に肝の血も減少傾向にあると考えられます。
日本鍼灸医学会の研究によりますと、メニエール病に対する鍼灸治療の効果の科学的根拠は、まだまだ研究段階ではありますが、30症例のうちめまい症状が減退したのは、1~10回の治療でほぼ全員でメニエール病に対して鍼灸治療を認めざる得ないだろうとされています。
その他難聴は47%で有効、耳鳴りは80%で有効であったという結果が出ています。この研究では、鍼灸治療が自律神経系統やリンパ循環系などに作用して病的状態を正常な状態へと転向させて人間本来の持っている恒常性を高める作用があるのでないかとされています。
日本鍼灸医学会
「メニエール病の鍼灸治療」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1948/24/1/24_1_26/_article/-char/ja/
メニエール病とは、自分や周りがグルグルと回る回転性めまいの突然発作を繰り返しながら、だんだんと聴力の異常を引き起こす疾患です。それまで何も徴候がなかったのにある日突然激しい回転性のめまいに襲われ、目も開けられず立つこともできないためパニック状態に陥る場合もあります。これが、メニエール病発端の典型であり、徐々に耳塞感や耳鳴りを感じるようになって難聴へと至ります。
メニエール病の発症には、現代特有の身体的・精神的ストレスが関係しているといわれており、現代病とも都会病ともいわれています。
近年、メニエール病は増加傾向にあり、男女差は特にありませんが、仕事や家庭でストレスの多くかかる30~50代に多い疾患です。代表的な症状と共に嘔吐・冷汗・睡眠障害・呼吸の乱れなど自律神経症状を伴うことも一つの特徴です。
■吐き気を伴う回転性のめまい■
自分や周囲がグルグルと回る回転めまいを感じ、症状が激しいために吐き気を伴います。座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。
■耳鳴り・耳塞感・難聴■
めまい・耳鳴り・難聴はメニエール病の典型的な症状であり、初期の発作は激しいめまいのため耳の症状に気付かない場合が多いですが、発作を繰り返していくうちに耳の症状を感じるようになってきます。両側の耳に現れることはまれで片側の場合がほとんどです。
■発作は数分から数時間■
めまい発作は数分から数時間、長くても半日で徐々におさまっていきます。難聴や耳鳴りも軽くなりますが完全に消失しないことも多いです。また回転性めまいがおさまっても体がフワフワ浮いているような感じが残ることもあります。
■不定期に発作を繰り返す■
発作がおさまれば立つことや歩行が可能になり日常生活にあまり支障なく過ごすことができますが、しばらく経つとまた同じような発作に襲われ、早いと数日か数週間、長ければ数カ月から数年後に発作を繰り返します。そして発作を繰り返していくうちにたとえめまいがおさまっても耳鳴りや難聴の症状が強く出てきます。
■随伴症状■
めまい・耳鳴り・難聴に伴って吐き気・嘔吐・顔面蒼白・冷や汗・動悸・寒気・熱感などの自律神経症状も呈する場合があります。
※
また、めまい・耳鳴り・難聴という三徴候を満たさないケースもあり、回転性めまいを欠く蝸牛型メニエール病や耳鳴り・難聴を欠く前庭型メニエール病があります。
メニエール病と似たような症状を起こす病気として、突発性難聴・聴神経腫瘍・中耳炎などがあります。
めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状や意識障害、運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。
・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ(複視)
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない
めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。
メニエール病を引き起こす原因は、内耳の内リンパ液水腫であると考えられています。
耳は、音を聞くための聴覚器官であることは周知の事実ですが、体のバランスを保つための平衡器官でもあります。耳の中の「内耳」という器官は、カタツムリのような形をした蝸牛という器官(聴覚をつかさどる)と平衡感覚をつかさどる前庭という器官とがあります。内耳には、外リンパ液と内リンパ液があり、何らかの原因で内リンパ液が増えすぎると内耳全体は膨れ上がり、水ぶくれのような状態になってしまいます。この状態を内リンパ水腫といいます。
内リンパ水腫の状態になると、内リンパ液と外リンパ液を隔てている膜が破裂して二つのリンパ液が混ざりあい、前庭の平衡機能や蝸牛の聴覚機能などに混乱が起こります。するとめまいや耳鳴り・難聴などが症状としてあらわれるのです。内外のリンパ液を隔てている膜は、短時間で閉鎖されますが、また破裂するといった状態を繰り返します。
また平衡感覚の異常を伝える前庭神経が自律神経にも影響を及ぼして吐き気や嘔吐などの自律神経症状を併発する場合があります。
内リンパ水腫を起こす原因はいまだ詳しく解明されていませんが、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスあるいは、人間関係や仕事などでの精神的ストレスが発症の原因となることが多いとされています。よって、メニエール病の発作は、過労や睡眠不足からくるストレスが多い時、季節の変わり目あるいは、天気の変動による激しい気圧の変化などの時に多いです。
※
内リンパ水腫が発見されずにメニエール病の徴候であるめまい・耳鳴り・難聴がそろった場合は「メニエール病」とは診断されず、「メニエール症候群」といわれます。
症例1
20代男性
耳鳴りとめまいがするため病院へ行ったらメニエール病と診断された。
そのまま病院の帰りに当院へ予約し、翌日に来院した。
普段ストレスはあまり感じないが、自律神経測定器で測定してみた結果ストレス度が高く、本人の自覚がない所でストレスが蓄積していた様子。
また、普段ウエートトレーニングを行っており、汗を大量にかくことがあるが喉が渇かない為水分補給が不足していたとのが原因と考えた。水分不足になると、体内に水分を溜め込もうとしてリンパ液が内耳から排出されなくなる。
当院の治療
まずは体質改善を目的とした自律神経調節治療を行った。
次に、耳周りのツボに刺鍼して電気を流す事によって、内耳の血液循環を促進し、溜まったリンパ液の排出を目的とした施術を行い、それと同時に首肩へのアプローチもした。
◇1回目◇
めまい、耳鳴り共に改善。
◇2回目◇
1週間後に2回目の来院。
ほぼ症状は出ていない。
◇3回目◇
状態を確認するため2週間空けて来院。
この時はすでに正常化。
◇4回目◇
最近少し耳鳴りがするという事で、半年後に来院された。
◇5回目◇
今は症状は落ち着いて、安定している。
症例2
70代 女性
当院にご来院される1年前くらいから歩くとフワフワとしためまいを感じるようになった。脳神経外科にて脳のMRIをとってが、異常なしと診断をうけた。
めまい症状の他にも身体の疲労が溜まってくると右耳がエレベーターや山の上に行った時のようなつまったような感覚。自分の呼吸音も聞こえて気になる。
あらためて耳鼻科を受診したところ、耳管開放症・メニエール病と診断を受けてお薬を処方してもらって服用。しかし、服用しても一向に症状が軽快されないために当院にご通院されたことのある方の紹介を受けて鍼灸治療を試してみたいとのことでご来院されました。
耳症状の他にも腰部脊柱管狭窄症で右足の痺れや痛み・むくみも併発。歩行時に足裏とくに親指裏あたりの感覚が鈍く一枚何か挟まったいるような感覚。
当院の治療
自律神経測定器にて自律神経の状態を測定。自律神経のバランスを整える全身的な調整施術と右の耳周りの特効穴を中心に施術を行っていきました。それと並行して腰回りの筋緊張の緩和や坐骨神経に沿ったツボも使用していきました。
経過
◇1回目◇
施術後特に変化なく、めまいや耳症状まだまだつらい。特に夜になると症状が強くなる感覚。
◇2回目◇
2回目施術後の1週間はめまい症状が日中は消えていた。夜になると少し出てくる。耳症状は特に変わりなし。腰がいくらか軽くなったように感じる
◇3回目◇
3回目終わってから1週間めまい症状が出なくなった。耳の詰まったような症状も出にくくなってきた。足裏の感覚異常は相変わらず
◇4回目◇
今まで週に一回だった治療ペースを2週に1度にして治療間隔を延ばしていった。めまい・耳症状は出ていない。1年間かなり悩まされていた症状だったので症状がほぼなくなったことで大変うれしいとのことだった。
5回目以降治療間隔を少しずつ伸ばしつつ経過観察。少しずつ腰部脊柱管狭窄症への比重を増やしてアプローチ
症例3
60代 男性
3ヶ月ほど前からめまいや耳鳴りの症状がでるようになった。症状がでる前は仕事が忙しく精神的な負担を強く感じていた。めまいは回転するような感じがありふらつくことがある。ひどいと、頭痛や吐き気がある。耳鳴りは常に鳴っているが、ひどいときには他の音が聞こえなくなる。
耳鼻科でメニエールと診断され、循環を改善する薬を服用している。
首肩こりは慢性的にあり、特に首は痛みを感じている。
施術
自律神経測定器の結果、交感神経が過剰に優位で、精神的なストレスが高い状態であった。副交感神経の働きを高め、全身的な血流改善を目的に自律神経調整の施術を行った。また、内耳のリンパ液の排出を目的に症状のある右耳の周囲に鍼通電とお灸を行った。首肩にも鍼通電を行い筋緊張を緩めていった。
一週間に一回のペースでご来院。
一回目
鍼灸を受け慣れていたため、初回から首肩と耳に鍼通電を行った。施術後、来院時にあったふらつきがなくなり、首の痛みが改善された。
二回目
前回の次の日は調子が良く、耳鳴り、めまいの症状はほとんどなかった。
三回目
前回以来、めまいはなかった。
四〜六回目
耳鳴りの音が小さくなった。めまいが少しでる時がある。
七回目
耳鳴りの症状はなくなった。めまいが1日に1回はある。
現在もさらに症状改善のためご来院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の手根管症候群に対する治療の目的は、第一に手首付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くします。手のひらは痛点が多く存在するためはり施術に伴う痛みを感じやすく、お灸刺激で対応する場合が多いです。
橈側手根屈筋の腱は手根管を通るので橈側手根屈筋に圧痛が出る場合が多く橈側手根屈筋をねらって鍼をさします。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。
手根管症候群は五臓六腑の「肝」と「腎」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや手首の気血の流れをよくします。
また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
手根管症候群を患っている方は、仕事や家事を多く抱えており、過度な精神的なストレスを抱えている方がほとんどです。また、50歳代女性では、親の介護が加わったり、女性ホルモンの変化により自律神経が乱れやすくなっています。
そこで当院では、自律神経測定器で自律神経の状態を測定して患者さんに合った的確な施術が可能です。他にはない効果が生み出せるのです。
中医学では手根管症候群は、手首付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間手首を使う仕事をした時などに気血は滞り、それが手根管付近であった場合に手根管症候群を発症する可能性が高くなります。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わると手根管症候群がおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
■肝血虚
肝血虚とは中医学でいう「肝」が血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能と自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させ、体内各部の血流量を調整する機能が異常をおこして発症します。
筋のけいれん・手足のしびれ・目の乾燥感や女性では、月経のおくれ・月経血の過少・無月経などがみられることが特徴です。
症例1
50代 女性
数日前から右手の親指から人差し指にかけて痺れを感じるようになってきた。常に痺れるというわけではなく、パートでのパソコン作業や介護でのちょっとした動作で痺れと痛みを感じる。朝起きてから30分ほどしびれが強く感じる。整形外科を受診したところ手根管症候群と診断され、湿布薬と飲み薬を処方されたが、改善されずに当院にご来院されました。 最近、パートでの仕事と母の介護が加わり、とても多忙な生活を送っていたことが一つの原因と考えられるとのこと。
当院の治療
自律神経測定器の結果自律神経の乱れ・特に交感神経の過亢進状態でしたので最初に自律神経を整える施術をしてから頸部・肩部・右手首を中心に施術いたしました。親指のしびれが特に強い状態でしたが、首や肩のこりも症状として強く出ており、そちらのほうのアプローチも重要だと感じました。
また、仕事や介護でストレスが溜まり、体の回復力も低下しており、本題の治療に入る前に自律神経を調整する施術を行ってからの方が治療効果が上がると考えます。
治療経過
◇1回目◇
治療後手のしびれは、さほど症状に変化がなく、逆に少ししびれを強く感じた。血流が良くなった好転反応と考えられる。
◇2回目◇
前回と同様の体が起こった。
◇3回目◇
首や肩のこりを感じにくくなった。痺れもいくらか落ち着いてきた様子。
◇4回目◇
体に元気がとり戻ってきた自分自身感じ、手のしびれもそこまで気にならない。
◇5回目◇
日常生活でほぼ支障なく生活できる。
◇6回目◇
前回の状況とは変わって、気温低下とストレスによって痺れ症状が強く出た。
◇7回目◇
痺れの辛い症状は治療後すぐに消えてきて、体が軽くなった。
◇8回目◇
日常生活でほぼしびれを感じなくなった。首・肩こりも楽になった。
症例2
30代女性
妊娠6か月でのご来院。ホルモンバランスの変化やむくみやすくなっているせいか右手首の痛みや指先のしびれを感じるようになって整形外科を受診したところ手根管症候群の診断を受けた。
妊娠中のため薬は処方されることなかったため、インターネットで鍼治療で良くなることがあるとのことで当院で鍼治療を受けにご来院されました。
午前中に一番症状が強く、痺れや痛みで日常生活でも支障が出てしまう。
治療
仕事や家事で右手首をよく使う・手首をかばって作業をしているせいか肘周りや肩周りもコリを感じて痛む時があるとのことで右上側臥位でまず首肩回りや肩甲骨周りの筋緊張を緩和させていきました。
鍼治療が初めてということもあり、刺激量は抑えつつ治療回数を重ねるごとに段々と鍼通電療法などを使うなどして刺激量をあげていきました。
一回目の治療後、首肩回りなどが軽くなり、なんとなく身体が楽に。しかしまだ右手首は変化がみられない状態。
2回目・3回目も身体は楽になるが手首の変化はまだ見られませんでした。
4回目以降、手首の鍼通電治療なども用いて刺激の量を上げていき、徐々に右手首の痛みが緩和。痛みが取れてきて段々と痺れ症状も良くなっていきました。
最後指先だけ少し痺れが残りましたが日常生活では全然気にならなくなってとのことで治療を終了。
症例3
30代 女性
1週間ほど前から右の示指と中指にしびれを感じるようになってきた。整形外科を受診したところ手根管症候群と診断され、ビタミン剤が処方された。特に痛みは感じないが、しびれが気になるため当院にご来院された。仕事はパソコン作業が長く、腕から手首、手の疲れやこりを日常的に感じる。首肩のこりも気になり、忙しいと痛むこともある。
施術
触診では、首から肩、右腕の筋緊張が強くみられたため、鍼通電療法を用いて筋肉を弛緩させるような施術を行いました。手関節には血行促進のためお灸を行いました。また、仕事の忙しさから疲労や眠りが浅いといった症状も出ていたため、体を休ませ全身的な血流改善を目的に自律神経調整の施術所も行なっていきました。
一〜二回目
あまり変化を感じない。
三回目
しびれの場所は同じだが、軽くなっている。深く眠れるようになった。
四~五回目
しびれの度合いはだいぶマシになってきた。ただ、仕事で腕を使うことが多いため、肩や腕の疲れは感じている。
六回目
手のしびれは消失した。深く眠れるようになったため、身体も以前よりは疲れは感じない。
手根管症候群とは、手首を通っている正中神経が手根管という部位で炎症・骨折・奇形・腫瘍などにより圧迫されて痛みを生じる病気です。
正中神経は、上腕動脈とともに上腕の深い所を通って前腕を経て手根管に入って、手に至ります。手首を曲げる動作や腕を内側に捻る動作、手指を曲げる動作の筋肉を支配して、皮膚感覚としては手のひらで薬指を境として親指側を支配しています。
手根管とは、手首の手のひら側で、骨と靭帯に囲まれたトンネル状の部位のことをいいます。手首の骨は凹のアーチ形に並んでおり、その表面を幅2~3cmの屈筋支帯という靭帯が橋渡しをして、その下に手根管をつくります。
その手根管の中を手首を曲げたり親指側に倒す橈側手根屈筋の腱や親指を曲げる長母指屈筋の腱と親指以外の指を曲げる浅・深指屈筋の腱が通ります。手根管の中を走る腱は摩擦が少なく円滑に動くことができるように滑液鞘で包まれています。
また手根管の狭い管内を多くの腱とともに神経(正中神経)が通過します。主に手根管症候群とはこの正中神経が何らかの理由で圧迫されて発症する神経障害の一種です。
知覚障害
初期には人差し指や中指がしびれて痛みがでて、最終的には親指から薬指の親指側半面の3本がしびれます。症状は明け方強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みがありますが手を振ったり指を曲げ伸ばしすると楽になります。
運動障害
進行すると親指の付け根の母指球筋という筋肉が痩せてきて、細かい作業が困難になります。母指球があることでできていた親指が他の指と向き合う運動(対立運動)ができにくくなり、鉛筆を落としたり、OKサインのような指の形などもできにくくなります。またつまみ動作がしにくい、ボタンをかけにくい、箸が扱いにくいなどの細かい作業もできにくくなり、日常生活に支障が出てきます。
通常、手根管症候群は利き腕の片側性に発症しますが、50%の方には両側性にも同疾患があり、発症年齢は20~90歳代にわたります。50歳代の女性に一番発症しやすく、女性ホルモンの乱れが原因とも考えられています。
簡単な診断法として手根管症候群の方は手首を打鍵器などでたたくとしびれや痛みが指先にひびきます。また手首を直角に曲げて手の甲を合わせて保持し、1分間以内にしびれや痛みがが出るかどうか見ます。
手根管症候群は特別な原因が見当たらないことが多いのですが、手の使い過ぎや肥満、妊娠などの他に糖尿病、甲状腺機能低下症、痛風、それに慢性関節リウマチなどの全身疾患が原因と考えられています。近年では、長期血液透析に伴う患者が増えています。
ⅰ)手の過度の使用による手根管症候群:手を酷使する人の腱消炎
ⅱ)むくみなどによる手根管症候群:妊娠や肥満
ⅲ)圧迫による手根管症候群:骨折や腫瘍による手根管の圧迫
ⅳ)アミロイド沈着による手根管症候群:血液透析によるアミロイドという物質の沈着
※日常生活上での注意点
手根管症候群で炎症症状が強く出ている場合はまず安静にして炎症を引かせることが重要です。さらに炎症が強い急性期の場合では、氷水で炎症部位を冷やしてアイシング治療を行うことも早く炎症を冷やすのに効果的です。何もしてなくても手首が痛む場合や夜間痛がひどい場合では炎症が強く出ている危険性があるのでアイシング治療が有効です。
痛みの強く出る急性期が過ぎたら手指や腕にかけての筋肉をほぐしていきましょう。ストレッチや軽く自分で筋肉をもみほぐすことで手根管内の圧力を軽減させる効果が期待できます。注意点としまして痛みが出ない程度に行うことで、痛みの出ている周囲の筋肉をほぐすことです。
あまり過度に揉んだりストレッチでほぐしたりしてしまうと周りの組織が傷ついてしまい、炎症が起きる危険性があります。
その他日常生活では手根管に負担をあまりかけないように心がけましょう。手首にサポーターを巻いたり、片手で重いものを持たないようにしましょう。それに加え現代はパソコン作業による手首への負担で手根管症候群かかる人も多いです。パソコンの打ち込み作業では、手首の下に丸めたタオルをかませて手首をまっすぐにするようにすると手首への負担が軽減されます。
当院では、睡眠障害に関しまして自律神経の乱れが深く関係していると考えております。そのため、初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定したうえで鍼灸治療していきます。そしてその方々に合わせた治療を行い、自律神経の状態を整えていきます。また睡眠障害で即効性のあるツボ「失眠」や腎経のツボなどを用いて症状の改善をはかっていきます。
失眠へのお灸治療
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。睡眠障害はただ単に夜眠れないというばかりではなく、日中の耐えられない眠気や途中で目覚めてしまう中途覚醒、寝つきが悪い入眠障害などがあります。
また、こむら返りや最近知られるようになってきたむずむず脚症候群、睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連障害も問題視されるようになってきました。
日本で成人を対象として行われた「睡眠障害に関する疫学調査」では、不眠を訴える人が21.4%、日中の眠気で悩んでいる人が14.9%もいました。
睡眠障害による重大な交通事故や労働生産性の低下は、莫大な経済的損失を生みだしており、睡眠障害への理解や治療は年々重要性が増してきているのです。
<睡眠障害と交通事故>
自動車設備の発展に伴い交通事故による死者は減ってきてはいるのですが、今だに交通事故自体はとても多いです。その中で、居眠り運転によるものと明らかに特定できる事故は全体の3%程度ですが、眠気による反応の遅れや運転ミスを加えるとさらに増えることが予想されます。
現在は、飲酒運転の罰則が厳しくされ、飲酒運転の危険性が知られるようになりましたが、飲酒運転と同じくらいに睡眠不足による運転は危険性が高いのです。睡眠制限した人とアルコール摂取した人との実験では、通常8時間睡眠をとっている人がたった2時間睡眠を削っただけでほろ酔い状態のアルコールを摂取した人と同じ眠気が起こることがわかりました。
飲酒運転は、厳しく取り締まる必要がありますが、睡眠不足での運転も同じように危険であるわけですから取り締まる必要があるともいえます。
<睡眠障害による日本経済の損失>
日本大学精神科の内山教授は、日本での睡眠障害による経済的損失を推計しています。その推計のよると眠気が原因の作業効率低下が3兆665億円と最も多く、次いで眠気による交通事故が2413億円、欠勤731億円、遅刻810億円、早退75億円と試算され、合計すると年間3兆4694億円にも達すると考えられます。これは、国内総生産(GDP)の0.7%が失われたこととなります。
莫大な金額ですよね。睡眠障害を一人一人理解し、症状が重くなる前に予防・治療していくことは日本経済を活性化させる重要なファクターとも言えるのです。
また睡眠障害は、昇進の機会を失ったり、減給の対象となる可能性が高く、働く人個人個人から見ても大きな損失を受けかねません。
現在、標準的な睡眠障害の分類として用いられている「睡眠障害国際分類」というものがあり、「不眠症」のほか「過眠症」や「睡眠関連呼吸障害」「睡眠関連運動障害」など様々な睡眠障害に分類されています。
<不眠症>
眠れない期間が1週間以内の不眠を一過性不眠と呼びます。この状態ではまだ病気とはいい切れず、睡眠環境を整えれば再び十分に睡眠をとれるようになります。
重症なのが3週間を超える慢性不眠症です。睡眠時間の適正は、人それぞれで5時間のみで足りる人もいれば8時間眠らないといけない人もいます。夜眠れないことも問題ですが、本来活動的である昼間の時間帯に眠気を感じて日常生活に支障をきたすことが問題であり、どれかが一つの指標となります。
<過眠症>
過眠症の代表と知られているものとしてナルコレプシーがあります。ナルコレプシーは日本人に比較的多く1万人に16人~18人の割合で発症しているといわれており、欧米と比較しても8倍ほど割合が高いです。
ナルコレプシーの症状は、危険な作業や大事な会議など緊張感を要する通常眠気を感じない場面でも眠気を感じ、突然眠り込んでしまいます。また寝つく時に幻覚を見たり、金縛りが起きて中途覚醒してしまいます。通常は、90~120分してから現れるレム睡眠が寝ついてすぐ起き、体は休んでいますが脳は活動した状態であるため、脳が起きても体は動かせない金縛り状態を感じる場合があるのです。
<睡眠不足症候群>
慢性的に睡眠が不足しているのにかかわらずに本人が気づいておらず、およそ3カ月以上も昼間の深刻な眠気や寝つきの悪さに悩んでいることが特徴的です。
睡眠不足のために脳活動の低下がみられ、強い疲労感や倦怠感・意欲の低下・記憶力の低下・注意力散漫などによる仕事上のミスなどが目立つようになります。
<睡眠相後退症候群>
明け方にならないと眠りにつけず、朝は目覚まし時計pをかけても起きられない、起きるといつも昼過ぎという生活を長い休みの間に続けてしまい、休みが終わってももとの睡眠パターンに戻れない症状を睡眠相後退症候群と呼びます。
休み明けの出社や恋人とのデートがある時でも本人の強い意志にもかかわらず、朝起きられず自信をなくし、うつ状態になる場合もあります。
無理して早くに起きると頭痛や頭重感、疲労感や食欲の減退などの症状が現れます。こういった症状が続くと重症な精神疾患に発展する場合も少なくありません。
<睡眠相前進症候群>
睡眠の時間帯が早い時刻に固定されてしまい極端な早寝早起きが1週間以上続くことを睡眠相前進症候群といいます
睡眠相前進症候群は子供や若い人に少なく、年齢を重ねるごとに頻度が増えて高齢者に多い睡眠障害の一つです。高齢の方には午後8時には寝ついてしまい、朝3時頃に目覚めてしまうという方も多いのではないでしょうか。夕方の強い眠気や早朝覚醒は、他人が考える以上に強い精神的ストレスを抱えます。
<こむら返り>
こむら返りとは、夜中寝ている最中、主にふくらはぎがつってしまう事で痛さにより目が覚めてしまい、それが連続すると睡眠不足となってしまうことが多いです。筋肉のつりは、数秒~数分間続いて大抵消失しますがその後痛みや不快感・疲労感が残ることがあり、睡眠の妨げになります。
年を重ねるごとにこむら返ることが多くなり、60歳以上では6%もの方が毎晩経験しているとも言われています。妊婦の方にも多く発症し、40%の方がこむら返りを経験し、ほとんどの方が出産後は軽快しています。
こむら返りの後の痛みは主に筋肉に老廃物が溜まっていたり、血流が悪くなっていることが原因ですが、こむら返りを起こす原因として糖尿病や肝臓疾、患内分泌障害などが知られており、病気の重要なサインの場合があるので注意が必要です。
・こむら返りの鍼灸治療について詳しくはこちら←
<むずむず脚症候群>
むずむず脚症候群とは、あまり普段耳にしない言葉ですが、最近は増えている睡眠障害の一つで夕方から夜にかけて脚がむずむずして眠れないというのが特徴です。
日中でも症状を感じますが、特に夜寝床に入った時にふくらはぎや足の裏・甲に不快感や痛みなどの異常感覚を感じます。異常感覚のために足を動かしており、本人が気付かない場合も多いです。
脳の中のドーパミンがうまく造ることができないのが原因ではないかと言われており、鉄欠乏性貧血・糖尿病・慢性腎不全・パーキンソン病・関節リウマチ・下肢静脈瘤・高コレステロール血症などが原因疾患として知られています。
症例 1
40代 男性
一日中パソコン作業のお仕事を長年続けていて、約5年前から不眠の症状に苦しんでいる。その後から徐々に多汗やめまい、耳鳴りという自律神経症状が出始めた。
仕事での強い精神的ストレスや疲労感があり、不眠症を発症した頃はほとんど休みがない状態だった。
日中の眠気も強く、仕事に集中できない。一日の睡眠時間は3~6時間と安定していない。
当院での施術
自律神経測定器で測定した結果、交感神経の過剰な働きがみられ、リラックス神経の副交感神経はあまり働いていない状態でした。
そのため、まずは自律神経調節治療を行い精神面での異常な高ぶりを抑えるために副交感神経を高める施術を行いました。
次に触診で首や肩、肩甲骨周りの硬さが異常に強かったため、それらの筋肉のツボにも鍼をうち緊張の緩和を目的とした施術を行いました。首肩や肩甲骨周りの緊張は深い呼吸が
困難になり副交感神経の働きを低下させる原因にもなります。
また、その他にも腎のツボや、安眠穴に鍼やお灸で刺激をしていきました。
1回目
あまり変化は見られない。
2回目
まだ寝つきが悪いが、施術後は何となく体がリラックスできている。
3回目
施術した当日、久しぶりに7時間以上熟睡できた。
4回目
最近寝つきが良くなっている。
5回目
仕事が忙しくなり寝つきが悪い時もあるが、途中で目が覚めることも減ってきた。
6回目
週の3~4日は6時間寝れるようになってきた。
7回目~9回目
仕事で忙しい時以外は6時間~7時間寝れるようになり。疲れも残りにくい。
日中の眠気も減ってきた。
症例 2
40代 男性
半年ほど前から、眠りが浅く十分な睡眠をとれなくなった。1ヶ月後に心療内科を受診し自律神経失調症と診断され、睡眠薬が処方された。睡眠薬を服用すると眠ることができた。また1ヶ月後にはストレス性の胃腸炎になり、その1ヶ月後からは眼精疲労や首肩コリが気になり、疲れがたまるようになった。
施術
仕事が忙しく心身の疲労から自律神経のバランスを乱し、交感神経が過活動状態になっていたため、身体を休ませる働きのある副交感神経を高める施術を行っていきました。また、首肩の筋緊張の緩和を目的に、鍼通電を行いました。目の疲労には、目の周りに鍼を行い血液循環の改善を図りました。
一ヶ月
来院頻度は一週間に1,2回。
施術後2、3日は身体の調子が良い。
二ヶ月
来院頻度は一週間に1回。
睡眠薬を飲む頻度が減ってきた。目の疲れや自律神経のバランスの良い日が多くなったが、仕事が忙しいと調子が悪くなる。
三~十二ヶ月
来院頻度は一週間に1回。
睡眠には波があり、薬の量と頻度は半分に減っている。
十三ヶ月~二十ヶ月
来院頻度は一ヶ月に2、3回程度。
睡眠薬はたまに飲むぐらいに安定している。
仕事が忙しいと調子が悪い時もあるが、以前より身体の調子が良くなった。
二一~二九回目
来院頻度は一ヶ月に1、2回程度。
眠りが浅く中途覚醒する日もあるが、以前より眠れるようになった。
睡眠薬は飲んでいない。
当院の歯痛に対する治療は、鎮痛目的の鍼治療と痛みによって乱れている自律神経のバランスを整える自律神経調整療法です。
以前、中国では鍼で麻酔の効果を引き出して手術が行われたことがあるほど痛みを抑制させるのに鍼は有効です。歯痛に対する鎮痛治療で有効なツボは、頬にある『頬車』『地倉』や上肢にある『合谷』や『曲池』です。それらのツボに鍼を刺してさらに鍼に電極を繋いで低周波を流すことでさらに鎮痛効果が望めます。
また、施術に入る前に自律神経測定器で自律神経の状態を把握した上で施術に入ります。痛みは交感神経を過亢進状態に導き、自律神経の乱れの原因にもなります。それを放置していくと不眠症やうつ病も併発しかねませんので、しっかり治療して行く必要があります。
その他にも交感神経過亢進状態が続いてしまうと、筋肉や血管は収縮して血流が悪くなり、痛みの物質はそこに留まりやすく、痛みが継続する原因ともなってしまうのです。痛みはさらに交感神経を過亢進状態にもっていくため、痛みの悪循環を引き起こしてしまっている可能性があるのです。
自律神経の状態を整えることでそれらの痛みの悪循環を断ち切る必要があるのです。
歯痛に対する治療ですのでもちろん頬や側頭部など歯周囲の施術を中心に行いますが、自律神経の状態を整えることや首肩の筋緊張を取り除くなど全身的な施術も行っていきます。
東洋医学では、五臓六腑の『胃』『大腸』『腎』が深く関係していると言われています。特に『胃』の機能が低下してしまうと上の歯が、『大腸』の機能が低下してしまうと下の歯に影響を及ぼすと考えられています。
また、東洋医学では歯を『骨余り』と呼びます。骨の成長に携わるのが『腎』ですので、『腎』の機能低下は直結して歯に現れることが多いのです。
しかしながら、腎は先天の精と言われ、年を重ねるごとに年々機能は低下傾向にあるのは仕方ないことです。『肝腎同源』という言葉もあることから肝の機能低下は腎にも影響を与えるので、注意が必要です。
40代 女性
数ケ月前から歯の痛みを感じて歯科を受診したが、虫歯などは見つからなかった。痛みがあまりにもひどい場合は痛み止めを飲むように処方されたが、それでも痛みは引かなかった。噛み合わせが悪いということも指摘されて夜寝る間にマウスピースをつけて寝るように指導されたが、それをしても歯の痛みは軽減されなかった。歯の痛みがひどい場合は、その痛みが波及するように頬やこめかみ辺りが痛くなり、肩も凝ったように感じて仕事に集中できなくなってしまった。
どうにかして痛みを軽減させたいということで当院にご来院されました。
当院の治療
痛みを感じる少し前から職場環境の変化による人間関係のストレスを感じていたということで自律神経もなにかしら痛みに関係している可能性があるので自律神経測定器を用いて自律神経のバランスもチェックしていきました。また、触診の結果首肩の筋肉にもはりがみられた。
自律神経測定器の結果、交感神経の活動が過亢進気味でバランスも乱れていたので自律神経のバランスを整える治療、首肩のコリをとる治療、歯周囲の痛みが強く出てる部分に鎮痛目的の鍼通電療法を行っていきました。
◇1回目◇
治療後、歯の痛みは少し軽減したかのように感じたが、半日ほどするとまた痛みが戻ってしまった。
◇2回目◇
歯の痛みはまだ強いがこめかみなどの周りの組織の痛みは軽減された
◇3~5回目◇
首肩のコリもだいぶ取れたように感じた。以前は歯の痛みを常に感じていたが、気にならない時も出てきた
◇6~8回目◇
痛みが徐々に軽減されて8回目の治療が終了後、ほぼ痛みが消失されたということで治療を終了した。
症例②
40代 男性
30代の頃に虫歯になってその原因が親知らずということで親知らずを抜いた。その後から右の奥歯の方が常に鈍痛がするようになってしまった。歯医者でみてもらっても特に異常がないということでずっと放っておいた。その痛みが最近変わり始めてズキッと鋭い痛みがふとした時に走るようになってしまった。
病院で痛み止めを処方してもらったが、効果がなくふとした時に痛みが走る。
治療
歯の痛みのため頬や頸部の筋肉はとても緊張していて硬くなっていました。自律神経の状態も交感神経の活動が高く、体から力が常に抜けない状態でした。まず自律神経の調整治療を行った後に頸肩の筋緊張をとってから次に頬部に鍼通電療法を行っていきました。
◇1回目◇
治療後は痛みが軽減。次の日には痛みがまた戻ってしまった
◇2回目◇
2回目の施術の後は痛みの軽減が3日ほど続いた。
◇3回目◇
鋭いズキッとした痛みは感じなくなった。体の力も抜けたように感じて睡眠の質も良好
◇4回目◇
鋭い痛みが消えて前から感じていた鈍痛を感じるようになった。
◇5回目◇
5回目治療後から鈍痛も感じなくなってほぼ痛みを感じることはなくなった。
症例③
30代 女性
2ヶ月くらい前から左下の歯が痛み始め、最初は気にしていなかったが、1週間前から急激に痛みが激しくなってきた。
特に夜間痛が酷く、夜眠れない程痛む。食事をするときも痛みのせいで常に緊張しており飲みこむのもつらい。
歯医者にも行ったが、異常なしと言われて痛み止めをもらったが、もうすぐなくなってしまうし、昨日飲んだときは効きめが薄くなってきたので、解決する方法を探していたらここのホームページを見つけた。
鍼は初めてだが、改善するなら多少痛くても耐えられる。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ交感神経が優位の状態になっており、ストレス値も高い測定結果がでました。
痛みのため無意識で常に嚙みしめており咬筋も緊張していましたので、顎、頬周りの局所治療と、自律神経調節治療をおこないました。
治療頻度は週2回
治療経過
◇1回目◇
リラックス効果はあったが痛みは変わらない。
◇2~5回目◇
回数を重ねるごとに顎周りの筋肉が柔らかくなっているのを感じる。
◇6回目◇
痛みで夜に起きる回数が減った。治療頻度を週1回に変更した。
◇7~10回目◇
激しい痛みがほぼ出なくなり、少し響くような痛みが残っているが最初に比べてかなり楽になった。
◇11回目◇
日常生活に支障が出ないくらいに回復した。
非定型歯痛とは、虫歯や歯の損傷がないにもかかわらず、歯の痛みを引き越してしまう疾患です。歯科に行っても原因が特定されずに持続的な歯の痛みに悩まされます。
いろいろな歯科をまわり、原因が特定されないため精神的ストレスも大きく特に40代女性に多く発症します。
痛みの程度は人によって様々で場所も局所的なものからそれが波及して顔全体に痛みを感じる場合もあります。
下記のような症状がある方は非定型歯痛かもしれません。
・虫歯の治療をしたのに歯がまだ痛み
・冷たい物が歯にあたっても痛みが増強しない
・CTやMRIの検査を受けたが原因が特定されない
・痛みが持続的で数週間や数カ月にわたって痛む
・歯周囲の痛みが波及して顔全体が痛む
・麻酔やロキソニンなどの痛み止め薬が効かない
・いくつかの歯科で治療を行ったが痛みが軽減しない
・痛みが歯から違う歯へと転々とする
このような特徴があります。非定型歯痛は、専門医が少なく非特定歯痛の診断はかなり難しいのが特徴です。
歯痛を起こす原因は、虫歯か歯周病が原因ですが、その他にも様々なものがあります。
歯根膜痛
歯ぎしりや日々の食いしばりによって歯を支える歯根膜という組織が炎症を起こしてしまいます。現代は、パソコン作業中などで集中している時に自然と歯を食いしばっていたりと歯根膜痛で悩まされている方も増えています。
三叉神経は顔面部や歯の感覚を司っているため三叉神経の異常が歯の痛みとしてあらわれる場合もあります。痛みの特徴として電気が走ったかのように鋭くズキッと痛みます。
歯周囲の筋肉異常による歯痛
食事などで歯をかみしめる際に働く筋肉として左右の耳の上にある側頭筋や左右の頬に分布する咬筋などがありますが、それらの筋肉が原因で歯痛となる場合もあります。側頭筋や咬筋が原因によって起きるは三叉神経の痛みと違って鈍い痛みで比較的持続的な痛みをていします。
偏頭痛・群発性頭痛からの歯痛
偏頭痛や群発性頭痛から歯痛に波及する場合もあります。頭痛により三叉神経や顔面神経が過敏となって異常をきたしている場合に歯痛が起こりやすくなります。
心疾患による歯痛
関連痛といって心臓に疾患がある場合に肩や背中に痛みが出ることはよく知られていますが、心疾患の関連痛は歯にも痛みを発生させてしまう場合もあります。
腫瘍による歯痛
顔面部などに腫瘍や動脈瘤ができている状態で歯に痛みを発生させてしまう場合があります。
ストレスによる歯痛
痛みの経路はまだ科学的にすべて解明されているわけではありません。ストレスがどのように身体に影響を与えて痛みを引き起こしてしまっているのか、わかっていない部分も多いですが、肉体的及び精神的ストレスによっても歯痛の原因となる場合もあります。
非特定歯痛の原因はいまだ解明されておらず、原因不明とされていますが、精神的ストレスと脳の中で起こっている痛みの伝わるメカニズムの障害という説があります。
精神的ストレス
精神的ストレスによって自律神経が乱れて痛みの物質が歯に溜まって滞っている状態によって歯痛が引き起こされている場合があります。ストレスを感じると血中のカテコールアミンの量が増加しては周囲の血管が充血して歯痛が引き起こされるという説もあります。
また、現代では精神的ストレスによって自然と歯の食いしばりが多いということが知られています。歯を食いしばる事で頬や側頭部の筋肉が過緊張状態となりそれが影響して歯痛の原因となる場合もあります。
歯痛に限らず近年では、歯科領域の症状と精神症状との相関関係が注目されており、歯科心身症とも呼ばれています。日本歯科医師会では6つの症状を歯科心身症と定義しています。
・歯科恐怖症
過去に歯医者で受けた痛みなどのトラウマにより、治療を受けないといけない状態にもかかわらずに治療を受けないで放っておいてさらに状態が悪化してしまいます。実際に無理して歯医者で治療を受けようとすると、過呼吸やパニック発作を起こしてしまうこともあります。
・かみ合わせの異常
実際にはのかみ合わせに異常がないのにもかかわらずにかみ合わせが悪いために体にさまざまな悪影響が出ていると思い込んでしまいます。歯には特に異常が見られないため歯医者では治療が施されずに体の状態がさらに悪化することもあるようです。
・顎関節症
精神的ストレスや疲労感から歯を食いしばったり、寝ている最中に歯ぎしりを起こしてしまい、顎にある歯を食いしばる筋肉に異常をきたして痛みなどの症状が出てきます。
・口腔内セネストパチー
口の中に特に異常が見られないのにもかかわらずに口の中の異常感や痛みを訴えます。口腔内セネストパチーでも精神的ストレスなどのこころの状態が関係していると言われています。
脳内の痛みの伝達障害
歯の痛みが脳に伝わり、脳が痛みを感じる間に何かしらの異常が生じて歯痛が継続して感じられる場合があります。
そこで重要な脳内物質として挙げられるのがセロトニンです。脳内セロトニンの役割は多岐にわたり、生体リズムや睡眠、体温調節や不安感の抑制などがあります。脳内のセロトニンが不足するとうつ病や睡眠障害に患いやすいということは広く知られていますが、脳内セロトニンは痛みの伝達にも影響を与えます。
脳内セロトニンは疼痛を抑制させたり、または疼痛を促進させたりします。その過程で脳内セロトニンの痛みの伝達に何かしらの不具合が生じて痛みを持続的に感じている可能性もあります。