PMS(月経前困難症)の鍼灸治療

月経前困難症に対する当院の鍼灸治療

 

 

鍼灸治療では、自律神経のバランスと女性ホルモンのバランスを両方整えていくためにそれぞれに対応したツボに鍼や灸をしていきます。また、五臓六腑の働きを整えるツボに鍼やお灸を用い施術することで体の免疫力を高めていきます。

 

月経前困難症の鍼灸治療

冷えを伴う場合は冷えている部分に温熱療法鍼灸で血流を改善し身体を温めます。そして下肢や、骨盤周囲に鍼と通電を行う事で骨盤内臓器の血流の循環改善を図り、子宮内膜を強く健康な状態に導くことでホルモンバランスを整えていきます。

 

月経前困難症のうつ伏せ鍼灸治療

 

また、月経前困難症の方の多くは足の冷えやむくみ症状が出ます。ホルモンバランスや自律神経のバランスの乱れによるためで足を温めることにより血流が改善されて全身的な症状の緩和に繋がります。

月経前困難症の下肢への鍼灸治療

 

月経前困難症の自律神経との関係

 

女性ホルモンの分泌をコントロールしているのは脳の視床下部で、自律神経も同じく視床下部でコントロールされています。同じ部分でコントロールされているだけでなく女性ホルモンと自律神経は互いに影響しあっている存在でもありますので、女性ホルモンのバランスが乱れると引きずられるように自律神経のバランスにも乱れが生じます。

その他にも疲労やストレスで免疫力が低下していたり、体の冷えから血管が収縮したり自律神経のバランスが乱れてもPMSの症状が重くなる原因になります。

 

 

PMS(月経前困難症)とは

 

PMS(月経前症候群)とは月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で月経が始まるとともに減ったり消えたりするものをいいますが、実は女性の中の80%が何らかのPMS症状を抱えているといわれています。

症状としまして

・気分の落ち込み
・イライラ感
不安感
・集中力の低下
易疲労
・眠さ
頭痛
腰痛
・下腹部痛
・腹部膨満感
・乳房の痛み
便秘や下痢
・食欲不振
・過食
めまい
・むくみ

など多岐にわたります。
年代によっても症状が現れる特徴があります。初めて月経が起きるのが小学生の高学年から中学生にかけてでその時期は月経周期も不安定になりがちです。そして、18歳ごろにかけてホルモンの働きが安定してきて月経周期も安定しやすくなります。

18歳から45歳ごろにかけて性成熟期と言われて月経周期も安定しやすく、女性が妊娠するのに適した時期だと言われています。この性成熟期にPMSが多く現れて悩まされている人が多く、20代では、乳房のはり感や腹痛・頭痛などの症状に悩まされることが多くなります。そして、30代に入るとそれに加えてイライラ感や不安感、集中力の低下など精神的な症状も出てきて多くの方がそれに悩まされます。

妊娠経験の有無でも症状が変わってくることが言われており、出産経験がある場合ですと身体症状が多く出て、逆に妊娠経験がある場合ですと精神症状が強く出ると言われています。

また、ホルモンバランスの微妙な変化により月経が起きるたびに違う症状になって身体や精神にあらわれることもあり、毎回毎回その対処に悩まされることもあります。

PMSの起こる原因はまだはっきりと解明されていませんが、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌や、排卵を境に変動する二つの女性ホルモンが影響してPMSを引き起こすと考えられています。
その二つのホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)という二種類の女性ホルモンです。エストロゲンの分泌量は排卵に向けて急上昇し、排卵以降は緩やかに低下します。

一方プロゲステロンの分泌量は黄体期に一気に上昇し月経が始まると急激に低下します。そしてPMSの症状はこの黄体期に現れます。PMSはストレスや体調によって重くなりやすいため、仕事や恋愛などでストレスを抱えやすい20代の方や、家事や育児、仕事で忙しい30代に圧倒的に多く見られます。

几帳面で神経質、完璧主義者、負けず嫌い、コーヒーや甘い物を好む、体力がない、急に仕事が忙しくなった人などもなりやすいと言われています。

月経前困難症

・卵胞ホルモン(エストロゲン)

エストロゲンは女性らしさを作るホルモンといわれています。乳房、子宮を発達させ女性らしい体を作り、子宮内膜を厚くさせる働きがあります。また、自律神経の働きを整えたりコラーゲンの合成を進め艶やハリのある肌を保つ働き、骨の形成や血管の収縮を抑制するなどの働きもあります。
最近になってエストロゲンが脳由来神経栄養因子(BDNF)の生産を促していることも確認されています。BDNFは減少すると抑うつ気分などに関係するセロトニンの生産を促すといわれています。

 

・黄体ホルモン(プロゲステロン)

プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンといわれています。子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にする働きや、乳腺の発達、食欲増進、体脂肪を減らす、ホルモンバランスを調整する、水分の保持、体温を上昇させるなどの働きがあります。

 

黄体期に分泌されるプロゲステロンは体の中で色々な現象を誘発します。
例えばホルモンの働きで水分が排出されにくくなってしまうとむくみの原因になります。それが乳房に溜まれば乳房の痛みに、頭であれば頭痛に、水分が体に溜まると身体全体がだるく感じることもあります。

また、エストロゲンの分泌量が減るのに伴いセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンは心や体の安定に深く関わっていることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。このセロトニンが減少することでうつ症状やネガティブ思考など気持ちが不安定になります。
また、セロトニンの減少は身体面にも大きな影響を与えます。片頭痛や肩こり、身体がだるくなる症状などが代表です。さらにインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が低下し血糖値が上がる為、この上がった血糖値を抑えるためにより多くのインスリンが必要になります。そのため食事後に2~3時間は低血糖を生じやすく甘い物を食べたくなることもあります。

 

自分でできる対策

PMSのセルフケア

 

・食事

PMSの改善には何よりもバランスのとれた食事が大切で特に良質のビタミンミネラルの摂取が有効です。低脂肪食も良いと言われています。月経前はホルモンの働きで甘い物が欲しくなりますが一度の大量の食べ物を摂取したり血糖値を急激に上昇させるジュースや洋菓子を取るとかえって疲れやすくなってしまいます。月経前は血糖値をゆるやかに上るいも類や玄米、果物などがお勧めです。また、浮腫みなどの症状がある時は塩分の摂取量を控えることも大切です。その他血糖値の急激な上昇を避けるために一日の食事回数を4~6回程度に小分けにして食事を摂ることも有効です。しかし、この際には1日摂取する食事量が増えすぎないように調整することが重要です。

その他、PMSの症状緩和につながる食材としまして、牛乳・ひじき・ゴマ・卵・イワシ・わかめ・さばなどがあります。

食事

・運動

身体に水分を溜めこみやすい月経前は有酸素運動で汗をかくのが一番です。一週間に三回程度30分から1時間程度のウォーキングや水泳、ストレッチなど軽い運動を行うと体に溜め込まれた余分な水分が排出されやすくなり血行も良くなります。また、ストレス解消の効果や安眠効果も期待できます。

1992年にデューク大学で行われた研究で運動によってPMSの精神面における症状が軽減されたという実験結果が出ています。

中年女性(閉経前)23人を2つのグループに分けて有酸素運動か筋トレを行ってもらいPMSへの影響を調べました。一つ目のグループは週三回1時間ほどの有酸素運動を行ってもらいます。内容は15分のウォーミングアップののちに最大有酸素運動能の70~85%の強度で30分間ランニングしてその後15分間のクールダウンを行った。
もう一つのグループは指導を受けながらウェイトマシンで筋トレを1時間ほど行った。
両グループとともに体のPMS症状は軽減されたが、精神面でかなり良い改善結果が出たのがランニングしたグループつまり有酸素運動群でした。とりわけ抑うつ気分やイライラ感、集中力の低下が顕著に改善されたという結果が出ています。
この結果は、PMSの体の症状は筋トレなどの無酸素運動でも改善される可能性があるが、精神面の改善を考慮すると有酸素運動がPMS症状改善に有効と示唆されます。

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・ストレスを溜めこまない

PMSには日常のストレスも大きく関係していると言われています。そろそろ体調に波が出てくる時期だと思ったら過度の仕事や無理なスケジュールを避けるなどストレスを溜めない工夫をしましょう。また、睡眠をたっぷりとる事も大切です。普段から基礎体温を測って不調になるサイクルを記録しておくと不調になる大体の時期を把握できるので便利です。

肩こりの鍼灸治療

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:08 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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