当院では、自律神経を整えることを第一に治療しています。死の四重奏には自律神経が深く関係しています。死の四重奏は血管の病気を引き起こすもので自律神経は全身の血管をコントロールしているからです。
鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法です。交感神経と副交感神経のバランスを整えて本来のリズムに近づける作用があります。

現代は、ストレス社会と言われるように内面からの影響で身体を壊される方が多いです。鍼灸治療はストレス治療も同時に行えるので現代にあった治療法だといえます。
当院では、自律神経測定器により交感神経と副交感神経のバランスを測る事ができます。

バランス以外にも身体的ストレス、精神的ストレス、疲労度などをグラフ化してみることができ自分自身の状態を客観的にデータで知ることができます。
そのデータを元にその方その方に合ったオーダーメイドの治療法を行います。
また、東洋医学的な観点より五臓六腑のどの部分が弱っているのか診断してその部分を正常に働かせるようなツボを選定して施術していきます。合わせて肩腰など筋肉の張っている部分にもアプローチを行い筋肉をほぐしていくことで全身の循環を改善していきます。
小一時間程の治療時間の中で鍼とお灸をメインに身体を整えていきますので終わったころには効果を実感していただけると思います。
治療を続けて定期的に測定して体調面をサポートしていきたいと考えています。

免疫力と自律神経とは深い関係にあると言われています。
過度なストレスなどによって自律神経のバランスが乱されてしまいますと体の免疫力が下がることがわかっています。
免疫力とは具体的にいいますと体に侵入してきた細菌やウィルスなどの外敵や腫瘍などを排除するという体に備わっている機能のことです。
その免疫システムは、血液中にある白血球が大きな役割を受けており、白血球の中にもリンパ球や顆粒球・マクロファージなどといわれる免疫細胞があります。
その白血球の比率調整は自律神経が支配しており、例えば緊張する場面が続いたり、過労、寝不足状態などが続くとそのストレスに反応して脳からステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌されて免疫細胞の働きを低下させることがマウスの実験から明らかになっています。
よって自律神経の状態を整えることは体の免疫力を上昇させると言えます。
鍼灸治療は自律神経の状態を整えることが研究結果でも出てきています。鍼灸治療することで免疫力向上が期待できます。
死の四重奏を改善するには、生活習慣の改善がとても重要となってきます。その中でもやはり食事と運動が重要です。
・運動
運動には簡単に分けて重い負荷をかけて息を止めて行う筋トレのような無酸素運動と軽い負荷である程度の時間を継続して行う有酸素運動があります。生活習慣病の改善には、後者の有酸素運動が有効とされています。
有酸素運動には、ウォーキング・軽いジョギング・水泳・サイクリング・ヨガなどがあります。これらの運動を30分程度で息の切れない程度に行うことが有効です。通勤や買い物に行く時などに早足で少しいつもより歩幅を広げて姿勢に注意して歩行するとそれだけでも効果的です。
・食事
食事は、減塩・栄養バランスのとれた食事・一日のカロリー摂取量の制限が生活習慣の改善のキーポイントとなります。塩分の取り過ぎは、高血圧や糖尿病一番の原因となります。塩分摂取に気を付けて偏った食べ物ばかり食べずにバランスよく栄誉を摂取することが重要です。野菜などの食物繊維を摂ることも重要で肥満や脂質異常症などでは食物繊維の不足と関係していると言われています。
また、食べ過ぎ・早食いには注意して腹6~7分目を意識してよく噛んで食事を摂るようにしましょう。
・その他
食事や運動習慣の他にも禁煙することやしっかりと睡眠時間を確保すること、過度な飲酒をしない、ストレスを溜め込まないなどは死の四重奏の改善には重要です。
死の四重奏とは肥満・高脂血症・高血圧・糖尿病の4つを指すもので、これらが重なるほど病気の発症率が高くなるという意味で提唱された言葉です。
この4つは生活習慣と深く関係しており、日頃の食生活や運動習慣、仕事状態で発症のリスクが高くなります。上記の4つは生活習慣病とも言われるものです。
食生活
偏食や不規則な食事を摂ることやお酒を飲み過ぎるなど
運動不足
運動は自分から行なわなければまずしない行動です。血圧や血糖値、コレステロール値などにも関係します。
仕事環境
睡眠不足や夜勤などの不規則な勤務状態では身体的疲労と精神ストレスが多くたまります。
飲酒・喫煙
このような生活を続けると生活習慣病になる確率が高くなります。
生活習慣病は動脈硬化を引き起こします。この状態だと血管壁にコレステロールなどが溜まりやすく詰まる原因になります。脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気のリスクが高まります。
生活習慣病が引き起こす病気はどれも怖いものばかりです。早めの生活習慣改善を行うべきです。健康だと思って生活していてもいきなり発症して生命に関わる状態になることからサイレントキラーと呼ばれることもあります。
肥満とは、身体の中に体脂肪が過剰に蓄積した状態と定義されます。食物から取り入れた脂質は小腸で消化されて種類ごとに体内に取り込まれます。この際に余った脂質が中性脂肪として体内に蓄積されて肥満に繋がっていきます。脂肪が蓄積されていくことで肥満を招き生活習慣病の原因となります。
日本肥満学会は肥満の定義をBMI25以上と決めています。
BMIは
BMI=体重kg/(身長m)2
で調べることができます。
肥満による健康障害は以下のものがあります。
・2型糖尿病
・脂質代謝異常
・高血圧
・高尿酸血症、痛風
・冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症
・脳梗塞、脳血栓、一過性脳虚血発作
・睡眠時無呼吸症候群
・脂肪肝
・変形性関節症、腰椎症
・月経異常
肥満に対する鍼灸について詳しくはコチラ
日本での高血圧患者は3000万人いると言われています。日本人の中年期以降では男性で6割、女性で4割だと計算されています。高血圧は心血管病を引き起こす主な原因であり重篤な病気に繋がる可能性を持った怖い病気です。
高血圧は、最大血圧140mmHg以上最小血圧が90mmHg以上を定義としています。
高血圧の合併症には、
などがあります。
以前までは、高脂血症と呼ばれていましたが、最近では脂質異常症と呼ばれることが多い病名です。血液中の脂肪分の濃度が高くなっている病気です。脂肪分の濃さはLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドが関係します。
血液中のLDLコレステロールとトリグリセライドが高く、HDLコレステロールが低くなる病気です。
この脂質異常の状態だと動脈硬化を起こしやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞のような重篤な病気に繋がる可能性が高くなります。重篤な病気は命の危険性もあり、命が助かっても後遺症が残りQOL(生活の質)を大きく低下させることもあります。
日本人の死因上位を占める脳血管障害や心疾患を引き起こす病気なため誰しもが注意して予防していきたい病気です。
脂質異常症の判断基準
LDLコレステロール値 140mg/dl以上
HDLコレステロール値 40mg/dl未満
トリグリセライド値 150mg/dl以上
脂質を改善する習慣
・偏った食事生活を改善する
・動物性脂肪の摂り過ぎの方は、食物繊維が多く入ったものや野菜や果物をよく摂る
・喫煙やお酒の飲み過ぎを控える
・運動不足の場合は週三回ほど有酸素運動を取り入れる
糖尿病は増加傾向にある病気で、2012年の調査で約950万人いるとされ、予備軍で約1100万人と言われており日本人の6人に1人は糖尿病か予備軍となる計算です。
糖尿病は血糖値が高くなりやすい体質になってしまうことが原因ですので、その体質になると一生血糖をコントロールする食生活や運動習慣を送らなければなりません。
糖尿病の診断基準は、
1 空腹時血糖値126mgdl以上
2 75gのブドウ糖を飲んで2時間後の血糖値が200mgdl以上
3 随時血糖200mgdl
4 ヘモグロビンA1c6.5以上
のいずれかが認められ場合です。
合併症として怖いものが
糖尿病性神経症
糖尿病網膜症
糖尿病腎症
があります。
症例
60代 男性
健康診断でここ数年再検査ばかりで、糖尿病の薬も長く飲んでいる。コロナの影響でリモートでの仕事が9割になり、3年ほど外出は週に1回ほどになってから体重が増加しはじめた。
動く事は減ったが、食べる量はむしろ増えているため良くない循環ができてしまっている。
仕事では常に座り仕事で、画面を見ているか、書類を整理しているかなので家の中しか歩かない。
妻と2人暮らしだが、生活の中で動くことがほぼなく買い物も全て任せているため全く家から出ない。
このままでは生活習慣病になってしまう危機感と、妻に強く進められて来院。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ、血管年齢がかなり高い結果がでました。
他にも、自律神経の乱れがありましたが、それに伴い心臓の安定度がかなり低いという結果がでました。
これを踏まえて自律神経を整えていくのと同時に、血流を良くしていくことで心臓の安定度を高めることで代謝を上げることや、睡眠の質の向上、免疫力の活性など身体に元々備わっている力を高める治療を行いました。
治療経過
◇1~8回目◇
変化なし
◇9回目◇
少し眠りが深くなった。家で動画を参考に見ながら運動をはじめた。
◇10~20回目◇
少しお腹周りが小さくなった気がする。妻が散歩や買い物に誘ってくれることがあり、外出と運動量が増えた。
◇21~30回目◇
外見に変化がでてきた。身体が軽くなってきたおかげか、動きやすくなった。前よりも運動が億劫ではない。
まず、自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランス、疲労度、ストレス度などを計測しお身体の状態を診ていきます。
自律神経は免疫力にも深く関係しており疲労の蓄積や過度なストレス、生活習慣の乱れなどからこのバランスが乱れると、免疫力が低下し細菌やウイルスなどに感染しやすくなります。また、自律神経は全身の血行や涙や油分の調節にも深い関わりがあります。
そのため、自律神経のバランスを調整し、首肩周囲の筋緊張は眼周囲に注ぐ血管が圧迫され眼の血液循環にも影響を与えるため首肩の治療も行います。

また、目の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え、抗炎症作用を促し自然治癒を促進します。

霰粒腫で炎症や腫れが見られない場合や麦粒腫で膿が出て炎症が治まっている場合目の周囲を温め血液循環を促進し脂肪分などの排出や、患部の組織の治癒を促進する治療も行っていきます。

そのほか、特効穴というものもらいに即効性のあるツボが『二間』というがあり、そのツボも用いて施術していきます。
東洋医学の観点では、膿などが体表に現れる状態は「痰湿(たんしつ)」といいます。
これは食物から作られた水分を全身に運搬する脾(ひ)の弱りや衰えにより体内の余分な水分が溜まることで発生すると考えられています。
また、中医学では五臓六腑の肝(かん)は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能の障害や低下が深く影響していると考えられています。
20代女性
3日程前から右目のまつ毛の根元に痒みと痛みを感じ、それから徐々に痛みが増し、まぶたの腫れと目の異物感も出てきた。眼科を受診したところ麦粒腫との診断を受け、抗菌点眼薬を処方されたがまだあまり効果が見られない。仕事はパソコンを主に使う仕事の為、痛みで集中出来ないのが困るので早く治したいとのことで退院される。目の症状の他にも慢性的な肩こりや、頭痛、倦怠感がある。
当院での治療
自律神経測定器の結果、副交感神経が過亢進状態で、肉体的ストレス、疲労度が非常に高い状態でした。まず、うつ伏せで触診したところ右首肩に強い筋緊張が見られたため首肩、背部の緊張を緩め、仰向けで目の周囲に鍼をし、炎症のある部位にお灸をする事で抗炎症作用を促しました。また、自律神経のバランス調整も合わせて行いました。
一回目
目の症状は大きな変化はないが、施術後よく眠れた。肩こりは少し楽になった感覚があるが、仕事をしているうちに徐々に戻った。
二回目
痛み、腫れ共に少し軽減したが、まだ痛みがある。異物感はいまだに強い。肩こりは仕事中感じるが、いつもよりは強くない。
三回目
痛み、腫れ七割ほど改善した。異物感がややまだ気になる。肩こりは最近仕事時間が長く痛み感じるほど強い。
四回目
腫れは9割ほど引き、痛みが少しある。異物感はほぼ感じない。
肩こりもだいぶ楽になり頭痛も出ていない。倦怠感はあるが以前ほどではなくなった。
五回目
腫れは無くなったが少し痛みがある。異物感は消失した。肩こりも軽減し倦怠感も疲れた時は感じるが、日常生活で意識しない程度になっている。
六回目
麦粒腫は完治し、痛みも感じなくなった。肩こり、頭痛、倦怠感は時々あるが、症状が持続する時間が短くなり、以前よりだいぶ楽になった感覚。
症例2
30代 女性
以前からものもらいを繰り返し発症し、ここ最近もものもらいができてしまい体質から変えたいという思いで当院の受診した。
今回は右目の上瞼にできてしまい、病院で診断されたところ霰粒腫と言われた。
いつもは右目だけではなく左目にできることもあり上瞼、または下瞼にできることもある。
一番初めのきっかけは妊娠を境にできるようになり、そこから霰粒腫を繰り返すようになった。
患部は赤く腫れており痛みも少しある。
当院の施術
まずはお身体の状態を確認するために、自律神経測定器で自律神経やストレスの状態を確認しました。
日中にもかかわらず副交感神経が大きく活動しており、逆に交感神経の働きが低下していました。話をお聞きすると、お子さんはまだ0歳のため夜目覚めてお世話することが多く、寝不足になってしまっていました。霰粒腫は疲労や寝不足、自律神経の乱れによっても出来てしまう方もおり、自律神経を調節することが必須と考えております。
また、妊娠をきっかけに繰り返すようになったという事なので、女性ホルモンの変化が要因の1つと考えました。
当院で行った施術は、
①自律神経の調節
②ホルモンバランスの調節
③眼の周囲の経穴に鍼やお灸で刺激する
④手のものもらいの特効穴へのお灸
以上を中心に行いました。
経過
1回目
少し腫れが引いてきた。
2回目
少しずつ腫れが引いてきている。
3回目
順調に改善している。
4回目
だいぶ腫れが取れてきて、左右差がなくなってきている。
5回目
腫れはあまり気にならないが、少し赤みは残っている。
6回目
ほぼ完治した。
現在も体のメンテナンスのため定期的に通院中。
「ものもらい」などと呼ばれるものを大きく分けると「麦粒腫」と「霰粒腫」の2種類に分けられます。一般的に呼ばれる「ものもらい」は麦粒腫の方がほとんどです。この二つは混同されやすいのですが原因も症状も異なります。

まぶたにある小さな毛穴から化膿性疾患の代表的な病原菌である黄色ブドウ球菌が入り込み発症します。雑菌が付着した手で目をこすったり、触ったりしたことにより感染する病気です。さらに、麦粒腫は細かく分けると2種類に分けられます。
まぶたの縁にある目を保護する脂を分泌するマイボーム腺に不純物などが詰まることで発症します。別名「マイボーム腺梗塞」と呼ばれています。洗顔不足、過度なアイメイクや老化などで発症することが多いといわれています。細菌によるものではないため無菌性の炎症を起こします。
初期段階ではまつ毛の根元近の痒みを感じ始め、それが徐々に痛みを伴うようになり、時には耳たぶの付け根のリンパ節まで腫れる事があります。まぶたの一部が赤く腫れたり、瞬きをすると痛む、充血やゴロゴロとした異物感も症状として当てはまります。炎症が悪化すると腫れが強くなりまぶた全体が腫れてしまう事もあります。
まぶたの中にやや硬いしこりの様な白っぽい塊が出来ますがほとんどの場合痛みはありません。しこりの部分が腫れたり瞼が開けづらくなります。しかし、そこから細菌感染を起こす事があるため、最終的には麦粒腫と似た症状を起こす場合があります。
・まぶたの周辺を清潔に保つ
まぶたの周辺、まつ毛の根元には雑菌が溜まりやすいので、普段から丁寧に洗顔をしましょう。また、汚れた手指やタオルなどで目をこすらないようにしましょう。
・コンタクトレンズの使用に注意する
コンタクトレンズをつけたり、はずしたりする際には、手指を石鹸で丁寧に洗い、雑菌がつかないようにしましょう。
・目をこすらない
眠い時や花粉症で痒い時など目をこすると雑菌が入りやすくなり、ものもらいが出来やすくなります。目をこすらず、きれいな水で洗い流したり、目薬を差すなどの工夫をしましょう。
・体調管理をしっかりとする
季節の変わり目や風邪などで体の抵抗力が弱っている時に出来やすい傾向があります。
普段から十分な睡眠時間をとる、バランスのとれた食事を摂る、適度に運動するなど健康管理に気を配り免疫力が低下しないようにしましょう。
・化粧に気を付ける
女性の場合は化粧が避けられないケースもありますが、目の周りはデリケートな部分です。過度なアイメイクやアイメイクがしっかり落とせていないことが原因になることもあるためなるべく薄化粧を心がけ、メイクの落とし残しが無いようにしましょう。
痛みがひどい、膿が出来ている場合、速やかに病院へ行く必要があります。しかし軽度のもの、初期の場合に自然治癒をサポートする自宅で出来る対策をご紹介します。
・麦粒腫の場合
赤みやかゆみがある場合、患部を清潔な濡れタオルや保冷剤などで冷やすと血管が収縮し痛みや炎症を抑制、緩和する効果が期待できます。ただし、冷やしすぎは逆効果の為冷やすのは一日10分ほどに留め、一日2回を目安に行うようにしましょう。
・霰粒腫の場合
目元を温める
霰粒腫はマイボーム腺から分泌される脂分が冷やされ固まることが原因として挙げられます。蒸しタオルなどで目元を温める事で血行や分泌腺の流れを良くすることで溜まった脂肪などが排出されやすくなります。また、入浴時や入浴後に清潔にした手で目の周りをマッサージする事も効果的です。しかし、マイボーム腺に炎症が起こって痛みがある時は温めると逆効果になるため痛みや炎症の無い場合にのみ温めましょう。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

当院のめまいに対する施術は、第一にハリやお灸を施すことにより全身の調整を図り、とで自律神経のバランスを整えることです。鍼灸治療は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。

また内耳の血流不足を改善するという点から頸肩部周辺や耳周辺の経穴に鍼を刺します。頸肩部周囲の筋肉への治療穴として僧帽筋や頭半棘筋部の「天柱」「風池」、胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部の「完骨」、耳周辺の治療穴として「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」などを用います。
めまいは東洋医学的に診ると「腎」や「肝」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。

過度な身体的・精神的ストレスは、自律神経を乱してめまいの原因となります。よって当院では自律神経測定器で自律神経の状態を知った上で施術することで的確な施術が可能になりました。
また東洋医学の特徴である全身を診て治療することにより全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制して過度なストレスを和らげます。
身体全体の調子が上がっていくことも期待でき、実際に当院でもめまいの治療で「目が疲れなくなった」「便秘が解消した」「ゆっくりと体が休められ、熟睡できた」などといった声が数多く聞かれます。東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることで自然治癒力を高めるといわれ、様々な効果が期待できます。
当院の施術目的は、めまいの回復程度を高め、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもめまいが回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。
めまいは、程度にもよりますが激しいめまいの場合は、仕事が手に着かずにストレスを溜め込んだり、症状がいつ起こるかわからないといった不安がストレスとなり、更に症状を悪化させかねません。
症状が慢性化する前に病院で診断を受けた上で早期の治療をお勧めします。
※めまいの予防
めまいはストレスや自律神経のバランスの乱れが深くかかわっている場合が多く、治療を受けていもそれらの問題を解決していかなければ長期的に改善が難しくなってきます。めまいが起きた場合はこれまでおくってきた生活習慣を改善するいい機会だと思って取り組んで行く必要があります。
生活習慣の基本はやはり規則正しい生活になります。その中でも食事・運動・睡眠というのはとても重要となってきます。
食事に関しまして栄養のバランスよく摂取することはもちろんでさらにめまい症状に対しましては鉄分とビタミンを意識的に摂取することが重要です。鉄分の多く含まれる食材としましてレバーやほうれん草や小松菜があります。その他にもカツオやマグロなどの魚類にも含まれていますのでバランスよく摂取していきましょう。ビタミンでは、ピーマンやブロッコリーなどの緑黄色野菜を意識的に摂取して不足しているビタミンを摂取していきましょう!その他、飲み物で注意しなければならないのはコーヒーや緑茶などのカフェインを多く含む飲料です。カフェインは神経の興奮を亢進させてめまいを増幅させてしまう原因にもなりかねません。
運動では、主に軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が重要です。それらの有酸素運動が、副交感神経優位の状態に持っていくことができて血流の改善や耳にある三半規管に運動による刺激を与えることによってめまい症状の予防となります。
そして十分な睡眠をとって体の疲労をためないこともやはりめまいを予防するうえで重要となってきます。

めまいは東洋医学では「水毒」といわれ、生体内を循環している津液が寒さや湿度などの外因の影響を受けたり、東洋医学での「肝」や「腎」などの内因の影響を受けて停滞して起こると考えられています。特に停滞している部分が耳である場合にめまいの症状としてあらわれます。
「津液」とは
津液とは、体内の生理的水液を意味して、例えば細胞内外の液・唾液・胃液・関節内腔・涙・リンパ液などすべてを含めた組織液に相当します。津液は、飲食物から脾胃で生成され、大部分は三焦という通路を運航して全身に送られます。この過程で、「肝の疏泄をつかさどる」という機能と「腎の水をつかさどるという機能」が重要になってきます。
肝は疏泄をつかさどる
肝の疏泄をつかさどるという機能は、すみずみまで機能を通行させるということを意味し、津液を全身に送る場合にも一役かっています。またその他に情緒を安定させ、精神状態を快適に保つ機能や自律神経機能によって全身の各機能が円滑に行われる機能にも影響を与えています。
よって過度な精神的ストレスや自律神経の不調は、肝の疏泄をつかさどるという機能にも影響を与え、めまいの原因となります。
腎は水をつかさどる
体液の代謝全般に対し、腎が根本的な調節作用を行うことを示しています。有用な津液を蒸気のように変えて三焦を通して全身に巡らせ、身体の水分代謝に供給すると同時に、不要な廃液を尿として適宜排泄するという機能を腎が担っているのです。
また東洋医学では、腎は耳と関係が深いと考えられ、腎の不調は耳の症状に反映されやすいといわれています。
腎の機能異常は、全身に津液を停滞させ、特に耳に停滞しやすく、内耳にリンパ液が溜まることで起きるめまいや耳鳴り・難聴を引き起こします。
「腎」と「肝」との関係
東洋医学では「腎」と「肝」との関係は密接と言われており、両者の症状は同時にあらわれることが多く、「肝腎同源」ともいわれています。
「肝腎同源」は、めまいの治療を行う場合でもとても重要な考えであり、双方の観点から治療していく必要があります。
70代女性
一か月ほど前に買い物帰りに歩いていると突然くらっとめまいがした。足元もおぼつかなかったため、近くに座って休憩した。しばらくするとめまいも取れてきたと感じたので再び歩き始めると先ほどよりは少しは楽だがめまい・ふらつきをいくらか感じてやっとのことで帰宅した。耳鼻科や脳外科などで様々な検査を受けたもののはっきりとした原因はわからずに処方された薬や自分で買ったサプリメントなどを摂るようにして対応したが症状はよくならなかった。
実は二年ほど前にも同じようなことがあって、一週間ほどでよくなったので今回も同じようだろうと思っていたが、一週間を過ぎても症状は改善されずに軽いめまいとふらつきを常に感じるような状態が一か月ほど続いている。週に2回ほどパートのお仕事をしているが、仕事や家事が忙しいと症状が強く出る。
治療
まずしっかり問診したうえで自律神経測定器で自律神経の状態を計測しました。
結果は、交感神経が活発に活動している状態で副交感神経が抑制されている状態でした。身体全体の治療で自律神経を整えてその後に首肩の筋緊張も見られたのでその部分を重点的にほぐすように鍼灸施術を施しました。
経過
◇1回目◇
鍼灸施術に慣れており、最初から比較的強い刺激で治療しました。治療後、重かった首肩が軽く感じ、それに伴い身体全体も軽くなったように感じたとのこと
◇2回目◇
前回治療後少し気怠さが出たが、横になって休憩するとけだるさは取れた。めまい・ふらつきは若干良くなったように感じた
◇3回目◇
前回治療後、足は軽くなって歩行などが楽になってめまい・ふらつきもだいぶ楽になったが上半身が非常に重く感じて上下のバランスが取れなくてたまにふらつく。
◇4回目◇
背中・首肩を中心に治療。
◇5回目◇
上下のバランスもよくなってきた感じ、めまい・ふらつきもほぼ感じなくなった。
症例2
40代女性
普段は眼精疲労で通っているが、最近疲れがひどいせいかめまいが気になる。
以前も回転性のめまいを発症したことがあり、今回もそれに似た歩行時や体を動かすと目が回るような感覚に襲われる。
吐き気や難聴はないが、ストレスを感じると耳鳴りがする。
仕事は一日中パソコンを使用し、常に納期に追われていて精神的、肉体的ストレスが強い。
特に仕事が忙しいと症状がひどくなり、仕事に集中できなきないためさらにストレスが溜まる。
また、デスクワークのせいか首肩のコリがかなり強い。運動はあまりしなくて、休みも週一。
疲労が蓄積している印象。
当院の治療
以前測定した自律神経は交感神経が過剰に働いており、今回もストレスからくる自律神経の乱れが原因と考え、自律神経の調節治療をベースとして行いました。
また、回転性のめまいは内耳に異常をきたしているため、耳周りのツボに刺鍼し、低周波電気鍼療法を行いました。
また、首肩のコリが強いと耳の血流も低下していまうので、首肩のコリに対する刺鍼を行いました。
経過
1回目
普段は眼の治療は行っているが、耳周りの刺鍼は初めてなので、初回はソフトな低刺激で行いました。
2回目
あまり変化はないが、よく眠れるようになってきた。前回より少し刺激を強くしました。
3回目
ふらつく頻度が減ってきた。
4回目
疲れるとまだめまいが感じるが、あまり気にならなくなってきた。
5回目
今はほとんど気にならない
症例3
50代 女性
1年半前から時々めまいの症状が出るようになった。右後ろを振り返る頭の動きや、長時間のパソコン作業でめまいが生じる。半年ほど前から月に1、2回就寝中にめまい発作が起こり、発作が起こった日はほぼ1日中めまいと吐き気があり、ベットから起き上がることが出来ず仕事を休んでいた。耳鼻科や脳神経外科を受診したが原因は不明で、メニエール治療の薬や漢方薬を試したが効果がなかった。1ヶ月前に、気圧の変化がめまいの原因となることを知り、気圧の変化が予測される時に酔い止め薬を服用したところ、めまいの症状がマシになった。時々耳鳴りもする。めまいが起こる不安から睡眠が浅く、中途覚醒がある。首肩のコリがひどく、首が後ろに回らない。
施術
めまいが生じるきっかけから、良性発作性頭位めまい症が疑われた。自律神経測定器の結果は交感神経が過剰に優位な状態であった。自律神経の乱れもめまいの要因となっていると考えられる。交感神経優位な状態による全身的な血液循環の悪さや、首肩の筋緊張は、耳の循環が悪くなり、耳石の吸収が阻害されやすくなる。
耳の循環改善を目的に耳周りに鍼とお灸を行いました。また、全身的な循環改善や筋緊張緩和のため、自律神経調整施術を行いました。鍼通電は行わず、全て置鍼とお灸で施術しました。
一回目
めまいの程度がマシになった。パソコン作業1時間でめまいが起きていたが、1時間半続けられるようになった。首肩の筋緊張がとれ、首が後ろに回るようになった。
二回目
施術後数日間はめまいがしなかった。
三~四回目
めまいの頻度が減った。首肩のこりが以前より軽くなった。
五~六回目
2、3週間めまいがしなかった。めまいがしても、以前は1日中続いていたが、半日で治まった。耳鳴りも治まっている。
七回目
気圧が下がる時に軽いめまいがあった。一度起床時にめまい発作があったが、休まずに仕事に行けた。
八~九回目
めまいが一度も起こらなかった。めまいの不安がなくなり、夜も眠れるようになった。
メンテナンスとしてご来院中。
めまいには、平衡感覚をつかさどる内耳の障害が原因で起こる「末梢性めまい」と、脳の病気が原因で起こる「中枢性めまい」とがあります。
人間の体はバランスを保つために目や耳、手足から入ってくる情報を脳で統合し、姿勢や動きを微妙に調節しています。
この仕組みに不具合を生じると自分は動いていないのにも関わらずにまるで動いているかのような錯覚を起こしてしまい、めまいとして感じるのです。
「末梢性めまい」
耳は、音を聞くための聴覚器官であり、なおかつ体のバランスを保つための平衡器官でもあります。めまいは耳の中でも聴覚や平衡感覚をつかさどる「内耳」という部分と関係が深いです。内耳は、カタツムリのような形をした蝸牛という器官が聴覚をつかさどり、前庭(三半規管と耳石器)という器官が平衡感覚をつかさどっています。
三半規管の内側は、リンパ液で満たされており、体や頭の動きによりリンパ液に流れが生じて前庭神経がそれを察知して脳幹に伝えます。
また、三半規管の根元には耳石器という器官があり、水平・垂直方向の動きと速さ、体の傾きといった動きを感知しています。こうした情報が脳に届けられてすばやく目や耳や手足が反応することで体のバランスが保たれているのです。
しかしこういった一連のネットワークが障害されると「末梢性めまい」として感じられます。たとえば、疲労やストレスにより交感神経が過亢進して三半規管に栄養を送っている血管が収縮すると三半規管の働きは弱くなり、誤った情報が小脳に送られめまいを感じます。
また、何らかの原因でリンパ液が必要以上に生産されたり、ウィルス感染などにより内耳炎や前庭神経炎などが起こった場合にもめまいを感じます。
「中枢性めまい」
めまいを生じさせるもう一つ大きな原因は小脳の働きの低下です。
内耳などの知覚器官から集められた情報は、脳幹を経て小脳に伝えられます。脳幹は、運動神経や感覚神経の通り道で生命を維持するための神経が集中している器官で小脳は、知覚器官から得た情報を統合し、体のバランスを保つために全身に指示を出す役割をしています。こういった過程が障害されると「中枢性めまい」症状を呈します。
小脳働きが悪くなる主な原因は、脳の血流不足といわれています。ストレス・体調不良や動脈硬化などによって脳に栄養を送っている血管が収縮すると、血流が一時的に悪くなり、小脳の働きが低下してしまいます。
また、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍で脳の働きが障害されてめまいの症状が現れる場合があります。こういった場合は、早急に病院で受診する必要があります。

内耳の障害でめまいや耳鳴り、難聴などが起きると同時に吐き気や嘔吐、動悸や冷や汗などの自律神経症状を多く呈します。また反対に自律神経失調症の症状の一つとしてめまいや耳鳴り、難聴などが現れる場合も多くあります。
それは、内耳と自律神経との関係が非常に密接であるとのことのあらわれであり、実際に日常生活で一番よく起こるめまいの原因は自律神経の乱れと考えられています。
自律神経とは、血管、リンパ腺、内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係に作用します。環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、互いに絶妙なバランスをとって協力し合っています。自律神経は過剰なストレスによりバランスを崩しやすく、特に交感神経が過亢進してしまいます。
交感神経の過亢進は身体に様々な影響を与えます。内耳に影響がでた場合は、内耳の血流低下・免疫低下によるウィルス活動の活発化・炎症性疾患・内耳のむくみなどがみられて、めまいや耳鳴り、難聴、メニエール病、内耳炎などの症状としてあらわれやすくなります。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
中医学では口腔粘膜に炎症が起こった状態のことを「口瘡(こうそう)」「口糜(こうび)」といいます。口内炎を引き起こす基本的な原因は「熱」と考えられています。熱には大きく分けて二つのタイプがあり体内に余分な熱が生じてできるタイプ(実熱)と、体内に必要な物質が足りなくて起こるタイプ(虚熱)があります。
・実熱
風熱の邪気の侵入(邪熱侵入)
特徴
発症が急で、患部が赤く腫れ、熱感を伴う。頭痛や発熱、喉の痛みなどの風邪の症状に伴い現れる。
ストレスによるタイプ(心火上炎)
特徴
患部は赤く腫れ、熱感、痛みを伴う。イライラ、不眠などの精神症状がみられる。尿が黄色いなど。
憂鬱、怒りなどの精神的ストレスが体内に熱を生み口内炎の原因となります。
食生活の乱れによるタイプ(脾胃湿熱)
甘い物や脂っこいものの過食や過度の飲酒は、胃腸に湿熱を生み口内炎の原因になります。
特徴
舌苔が黄色く厚い。患部は腫れて痛みを伴う。口臭や口の渇き、便秘などの胃腸症状を伴うことが多い。
・虚熱
加齢や慢性疾患は身体に必要な血液や体液などの陰液を消耗させます。東洋医学ではこの状態を「陰虚」と呼びます。陰虚が進み体に必要な血液や体液が不足すると、相対的に体の陽気が盛んになるため体内に熱がこもり口内炎の原因になります。
また、病位として唇は「脾」、舌は「心」、頬と歯ぐき
は「胃」が関係が深い臓腑になります。
当院では、まず最初に自律神経測定器にて計測を行い、患者様のお身体の状態を診させて頂くことで、激量や用いるツボを選択し、その方に合ったオーダーメイドの治療を行います。
内臓機能、免疫、血流などを司る自律神経系のバランスを整えるツボや内臓機能を高めるツボにに鍼やお灸で刺激を与え、自然治癒力を高めることで口内炎の治癒を促進します。
また、東洋医学的観点から口内炎の部位によって脾、心、胃の経絡の重要なツボを用いてその働きを調整する治療を行います。
また、お灸などを用いて下肢や内臓の冷えを除くことで、上に昇った熱を下へ降ろし炎症を早く除くようにしていきます。


口腔内や口唇、舌の粘膜に炎症が生じる疾患です。歯茎の歯肉炎、舌の舌炎、唇の口唇炎、口角の口角炎などをまとめて口内炎と呼んでいます。口は食事や呼吸など外部と接する機会が多いため細菌やウイルスなどが侵入しやすく様々な種類の口内炎を引き起こします。
口内炎は痛みを感じて食事をしにくいだけでなく、イライラや集中できない、不眠など精神的に苦痛を感じることも少なくありません。
・アフタ性口内炎
精神的ストレスや過労、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB12不足など)生活習慣の乱れなどによる抵抗力の低下が原因で起こります。また、女性は生理前や妊娠中などホルモンバランスが乱れるときにできやすいといわれています。
口の中に赤く縁どられた米粒ほどの円形や楕円形の白い潰瘍(アフタ)が頬の裏側、舌の内側、歯茎、舌、口の底部分、喉などに1個~数個発生します。痛みがあり食べ物や飲み物がしみることがありますが、10日~2週間程で自然になくなり跡も残りません。しかし、繰り返しできる場合もありその場合は「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれます。
・カタル性口内炎
食事中に誤って口の中を噛んでしまった時、歯みがきの際に歯ブラシで口の中を傷つけてしまった時、合わない被せ物、入れ歯や矯正装置による刺激、熱い食べ物や飲み物で火傷をした時など物理的な刺激により引き起こされる口内炎です。
疲れや免疫力の低下、ビタミン欠乏や過度な喫煙などが引き金となることがあります。特徴として粘膜が赤く腫れたり、水疱ができたりしますが、アフタ性口内炎と違い炎症の境界が分かりにくいのが特徴です。また、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱を持ったり、味覚が鈍感になることがあります。傷ついた部分だけ白い口内炎ができます。通常一週間程度で自然に治ります。
・ウイルス性口内炎
単純ヘルペスウイルス、カンジダ菌などのウイルスが原因で口内炎ができることがあります。
・ヘルペス性口内炎
乳幼児に多くみられる口内炎で「単純ヘルペス」というウイルスに感染することで発症します。しかし感染したからといって必ずしもヘルペス口内炎を発症するわけでは無く一般的にほとんどが初感染後無症状ですが、数%がヘルペス性口内炎を発症します。
一度発症するとその後もウイルスが神経節の中に潜伏して残るため大人になって免疫力が低下した時に口内炎の症状が現れることがありますが乳幼児よりも軽症です。
症状として口の中に水疱ができ激しい痛みを伴います。痛みのため食事や水分を十分に摂ることが出来ず脱水症状を引き起こす事もあり注意が必要です。口内炎の他に発熱、倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。
・カンジダ性口内炎
カビ(真菌)の一種である「カンジダ菌」が増えることで発症します。カンジダ菌は常在菌でもともと私たちの身体に存在していますが、通常は症状を引き起こすことはありません。
しかし、免疫力が低下したり口の中が乾燥し口内環境が悪化したりすることをきっかけにカンジダ菌が増殖してしまうことがあります。また、抗生物質やステロイドなどの薬物の影響で常在菌のバランスが崩れることが原因となることもあります。
カンジダ性口内炎は健康な人が発症することは少なく乳幼児や妊娠中の女性や高齢者など抵抗力が弱まっている時や、他に何らかの疾患を抱えているときの発症が多いことも特徴として挙げられます。
症状として口の中に苔のような白い斑点が付着し痛みはあまりありません。しかし進行すると赤く炎症を起こしたり、痛みを伴ったりする場合もあります。また、舌に炎症が起こり灼熱感やヒリヒリとした痛みを伴うタイプもあり、粘膜の奥まで炎症が起こると治療後も痛みが残ってしまうこともあり、注意が必要です。
口内炎の治療は一般的に歯科、内科、口腔外科、または耳鼻科にて行われます。子供の場合はかかりつけの小児科で診てもらうのも良いでしょう。
主な口内炎治療には薬物療法、レーザー治療があります。
・薬物療法
殺菌、消毒効果、抗炎症作用のある貼り付け剤や軟膏、スプレー薬などを症状や患部に合わせて処方されます。
ウイルス性口内炎では、原因となるウイルスの抗ウイルス薬を使用します。
・レーザー治療
殺菌、消炎鎮痛、組織の活性化などの効果があるレーザーを使用します。痛みを軽減し、治癒を早める効果があるとされています。
症例
20代 男性
2週間前に口を噛んでしまい口内炎ができてしまった。
いつも口内炎ができやすい体質で、少し傷が付いたり体調を崩すとできてしまう。
食事の際は、塩辛いものを食べると傷がしみて痛むためとても苦痛に感じる。
普段も気になるためついつい舌で患部を触れてしまう癖がある。
いつもは自然と良くなっていたが、今回は痛みがなかなか落ちつかず、早く治したいと思いで当院を受診した。
当院の施術
体調を崩すと口内炎ができやすいという事なので、まずは自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。
自律神経の状態は交感神経が過剰に働いてしまい副交感神経の働きが抑制されていました。
副交感神経の働きは自然治癒力に大きく関係しているため、自律神経を整える施術も行っていきました。
まずは仰向けで足、背中、首肩の経穴を鍼で刺激し、次に仰向けになってお腹や手足の経穴にお灸や鍼をし、口内炎の炎症を抑えるために、口周囲の経穴にも鍼とお灸で刺激していきました。
施術間隔は週に2,3回のペースで行いました。
経過
1回目
痛みは変わらないが、施術当日はよく眠れた。
首肩のコリもすっきりした。
2回目
少し炎症が治まってきているような気がする。
3回目
以前より痛みが引いてきた。
4回目
少し痛みが残っているが、あまり気にならなくなってきた。
5回目
ほとんど気にならない。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

肩こりの原因や症状には個人差がありますので、それぞれの原因、症状に合わせた治療を行う必要があります。当院ではまず自律神経測定器によって血管の状態や自律神経の状態を測定させて頂き、自律神経や内臓機能を整えるツボを鍼やお灸で刺激する事で全身の血流を促進し、身体をリラックスした状態へと促し自然治癒力を高めていきます。

そのうえで症状と合わせた頚や肩部、背部、上腕部などのツボを鍼や灸で刺激し、必要であれば筋肉の緊張が強いところへ電極を繋ぎ微電流を流すことで筋肉の緊張を緩和していきます。また鍼通電治療を行うことで痛みの閾値が上がり肩の痛みを感じにくくさせる効果も期待できます。
それらとマッサージやストレッチを行うことでさらに筋緊張の緩和を促し、施術効果を持続させるのです。

また、肩こりの改善には普段の日常生活での姿勢や生活習慣を変えていくことも必要です。当院での施術に加えて日常生活での注意点もアドバイスしていきます。
肩部の治療に対する鍼治療の臨床研究は日本問わず海外でも行われています。ここでは一つイギリスのプライマリケア・クリニックで行われた肩部の疼痛に対して鍼通電治療法を用いた臨床研究をご紹介させていただきます。
参加者は18歳以上で肩の軟部組織領域が原因で肩の疼痛が出ていると医師から診断を受けた方を対象に行われました。
一つ目のグループは、肩の痛みが出ている部分と末梢部分の経穴に鍼を刺して低周波鍼通電治療を1週間に一度8週間受けたグループと同じ経穴に対して鍼を刺さない偽鍼治療群とに分けて行われました。
130人の患者が参加し、鍼治療群65人と偽鍼治療群65人をランダムに振り分けて痛みを測定する疼痛VASを用いたり、非ステロイド性抗炎症薬の投与量、などを用いて施術後の変化を見ていきました生活の質への患者満足度の評価法。
両郡から10人ずつ脱落者がでたが、7週間後偽鍼群では疼痛VASスコアが20%低下したのに対して鍼通電治療群では、43%の低下が見られました。その他非ステロイド性抗炎症薬の投与量の減少、肩関節の可動域の拡大、生活の質の改善など鍼通電治療群では明らかな改善結果が得られました。
その効果は治療開始後、3か月・6か月ともに継続して見られました。
参考文献
『鍼のエビデンス 鍼灸臨床評価論文のアブストラクト』
医道の日本社
30代 女性
長年慢性的な肩こりに悩まれていたが、二年ほど前から結婚を期に職場が変わり、通勤に1時間以上かかり、仕事もパソコン中心のデスクワークを行うようになり、肩の痛みや腕の冷え感・だるさや痺れを感じるようになってしまった。ある時から通勤中の吊り輪を持つこともつらくなり、仕事中でも肩が痛く仕事にも支障が出るようになってしまった。整形外科を受診してレントゲンなどで検査をしたが、特に病的な異常は見られずに特に治療は行われなかった。
マッサージ院や整体院などにも1年ほど通院したがなかなか改善されずに鍼灸治療を試してみたいと当院にご来院されました。
治療
首や肩部分を触診したところ特に肩甲挙筋と僧帽筋、小円筋や大円筋、上腕二頭筋長腱付近の緊張が強く凝り固まってしまっている状態でした。また、通勤中や仕事中のつらさから仕事にも嫌気がさして夜も深い睡眠がとれていないと感じていることから自律神経測定器で自律神経の状態も測定していきました。
◇1~3回目◇
治療後1日くらいは肩や腕の調子はいいと感じたが、2日もすると状態は戻ってしまう。
◇4回目◇
普段、通勤電車でつり革をつかむとすぐに腕のだるさや冷え感を感じていたが、それを感じるまでの時間がだいぶ伸びてきたと感じたとのこと
◇5回目◇
頸肩周りの筋緊張はだいぶ緩和されてきた印象。本人としてはまだ仕事中1時間もすると肩が気になってくる。睡眠は最近深く取れるようになってきた。
◇6~8回目◇
頸肩部に鍼をさしながゆっくり肩を挙上させて痛みを軽減させる運動鍼療法を行ったところ次の日からだいぶ状態が軽減されてきたとのこと。
◇9回目◇
頸肩の状態はだいぶ緩和されてきて仕事中はそこまで気にならなくなってきた。まだつり革をもつと冷え感は感じてしまうが、その程度も軽減されてきた。
症例2
40代 男性
もともと肩こりが酷かったが、ここ最近になって痛みが生じるようになってきた。
腕を動かし始めるときに痛みが現れるが、動かし続けると楽になる。
普段はデスクワークで平均8時間、長い時は10時間ほどパソコンに向かって仕事をしている。
肩こりが気になるとマッサージや整体に行ってケアをしていて、今回もマッサージ、整体に行ったがあまり改善されず、他に良い方法がないかと探したところ、当院をみつけ予約した。
当院の施術
まず実際に筋肉の状態を触診にて確認していきました。
お身体は患部の肩のみではなく、背中や首、腰の筋肉も非常に緊張をしていました。
首や肩関節の可動域も狭く、首はストレートネックになっており、筋緊張は長時間の姿勢の悪さが大きな原因となっています。
当院では、
①自律神経の調節
②血流促進による筋緊張の緩和
③低周波鍼通電により痛みの緩和
以上を中心に行っていきました。
経過
◇1回目◇
施術後は少し軽くなったが、またすぐに戻ってしまった。
◇2回目◇
施術後は軽くなるが、まだ大きく変化はない。
◇3回目◇
少し楽な時間が増えてきた。
痛みも前より楽になってきた。
◇4回目~6回目◇
痛みも軽快し、首肩が軽い。
◇7回目~10回目◇
あまり気にならなくなってきたが、忙しいとまた辛くなる。
現在も通院中

肩こりとは後頭部から肩、肩甲骨や鎖骨にいたる筋肉が異常に緊張し、痛みや不快感、違和感を感じる症候の総称であり、症状が悪化すると頭痛や吐き気、上肢の痛みを伴う事もあります。肩こりを感じる筋肉は色々ありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉が中心です。
筋肉が硬くなり循環障害が起こる事で酸素や栄養分が末端まで届かず、疲労物質が蓄積する事が刺激となり痛みを引き起こします。肩こりの原因は実に様々です。

・筋肉疲労によるもの
姿勢不良による筋肉の過緊張、使い過ぎによるもの、冷えによる筋肉の中での血行不良、加齢や運動不足などが原因として挙げられます。
・眼精疲労
目の酷使によって、目の周囲の筋肉の緊張と共に首や肩の筋肉が緊張する事や、メガネの度数があっていないなどの慢性的な目の緊張や疲労が肩こりの症状を引き起こす事があります。
・ストレスによる緊張
過度なストレスを受けると、身体の調節機能である自律神経のバランスが崩れる事により筋肉疲労を引き起こします。自律神経は日中の活動を司る交感神経と体の回復を司る副交感神経の二つで成り立っており、この正反対の働きをする二つの神経がバランス良く働く事で健康が保たれています。
この自律神経は脳の視床下部で統率されている為、精神的ストレスの影響を受けやすいといわれています。過度のストレスや疲労により自分の意志とは無関係に自律神経のバランスが崩れて血管を収縮させ、筋肉を緊張させる交感神経の働きが優位になります。
このような状態が長く続くと、血行不良や筋肉の緊張も続き、肩こりが慢性化しやすくなります。また、自律神経は心臓の拍動や血圧の調整、汗の分泌、内臓の運動などの体の反応を司っている為、肩こりと併発して動悸や息切れ、不眠、めまい、頭痛、火照り、血圧上昇、下痢や便秘、胃腸の不調など様々な自律神経症状が現れる事も少なくありません。
・体系や骨格の影響によるもの
猫背、なで肩、肥満、側弯症、ストレートネックなど
・歯のかみ合わせ不良、顎の関節の問題からくるもの
不自然なかみ合わせにより咀嚼筋の緊張を引き起こす事で顎周りの筋肉が緊張し、肩こりを引き起こします。特に側頭筋の筋緊張は頭痛を引き起こす原因ともなります。
・頸の骨や神経に問題がある場合
頚椎椎間板ヘルニア
主に加齢や外傷が原因で発症し、骨と骨の間に挟まれているクッションの役割を果たしている椎間板が何らかの理由で飛び出て神経を刺激する事によって起こります。30代~50代に多く突然発症する事もあります。
悪い姿勢での作業やスポーツなどが誘因になる事もあります。首の痛みや肩こりに加えて痛みやしびれを腕や手指に感じます。椎間板が飛び出した場所により神経を圧迫する位置も違うので、痛みや痺れが現れる場所も違ってきます。
神経の圧迫が強くなると手足の動きが悪くなったり麻痺のような症状に進行する事もあります。
変形性頚椎症
私達の体は脊柱(いわゆる背骨)を支柱にしていますが、そのうち首の部分の骨は7つで構成されており頸椎(けいつい)と呼ばれています。
これらの骨や周辺の靱帯が組み合わさることで、上下左右の向きたい方向に首を動かすことが出来ています。頸椎の中には脊髄が中心に走っており脳から命令を全身に伝える役目を果たしています。変形性頚椎症とは何らかの理由により頸椎が変形を起こすことです。その原因は主に加齢や事故による外傷によるものが多く、40代以降の人が特にかかりやすいと言われています。
しかし、若くても遺伝的な要因で骨の変化が見られることがありますし、スポーツによる怪我や交通事故などの衝撃で頸椎がずれてしまったり、日頃の姿勢の影響も原因の一つとされています。
頸椎の変性とは骨と骨の間のクッションの役割を果たしている椎間板が弾力性を失っていく事で骨と骨がぶつかり合ったり擦り減ったりすることで、骨のでっぱりが出来て骨が変形します。これを骨棘(とげ状の突起)と言います。
また、靱帯の石灰化や骨化、椎間板が後ろに飛び出したり、脊髄の微細な傷や血行障害などにより脊髄から分かれて足の方へ向かう神経根という神経を圧迫、刺激されることによって痛みを引き起こします。首や肩の筋肉の緊張と圧痛、肩から腕にかけての痛み、(放散痛)脱力感、疲労感が生じ、腕や手指にしびれが出ることも多く、その痛みは軽いものから耐えられない程まで程度は様々です。
症状が進行すると手の筋肉の萎縮や皮膚温の低下、異常発汗、等が現れます。また、脊髄に圧迫が起こると下肢の症状が現れ、歩行障害、排尿、排便障害などの症状が現れます。
・臓器の問題があって起こる肩こり
肩こりを併発する内臓疾患として心臓病や肝臓、胆嚢の病気、胃腸障害、肺の病気などが挙げられます。
狭心症や心筋梗塞では左胸から左肩への放散痛が特徴的です。肩こり以外にも背中の痛みや、強い胸やけ、胸が締め付けられるような激しい痛みが伴います。
右肩やその周辺に痛みやコリがある場合は肝臓や胆嚢の病気の疑いがあります。肝臓の機能に障害があると肝臓の上に位置する横隔膜が刺激され肩の動きが障害され、右の首から肩への痛みが見られます。胆嚢炎や胆石の時は、右の上腹部の激しい痛みと共に右肩から肩甲骨にかけても強く痛みます。
胃腸障害では肩こりや肩甲骨の間に痛みが現れる事があります。肺結核や肺膜炎になると微熱、咳、だるさの症状が起こりますが初期症状として首、肩こりや背中のコリ、だるさが出ることがあります。
慢性的な肩こりがある方は内臓疾患からくる肩こりを見極めにくいかもしれませんが、内臓疾患からくる肩こりの特徴として肩こり以外にも持続的な疲労感、頭痛、動悸や息切れ、めまい、耳鳴り、背中の痛み、発熱、手足のしびれなどの症状が現れるという事や、運動や入浴、マッサージなどで筋肉を緩めても症状が軽減されないという事が挙げられます。
今までに感じたことの無い痛みや違和感が続いたり、肩こり解消の対処をしても、痛みが段々と増しているなどの異常を感じたりした場合は重大な病気が隠れている可能性もありますので、早急に医療機関の受診をお勧めします。
また、疲労や暴飲暴食、ストレス、運動不足、寝不足などで内臓疲労(肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胃、腸など)が起こり、それが肩や背中のこりとして現れることもあります。
東洋医学では人の体には経絡という道のようなものがあり「生命エネルギー」の通り道になっていると考えられています。主要な経絡は14ありそれぞれが臓器と深い関係にあります。このルート上にあるのがツボと呼ばれ生命エネルギーの出入り口とされています。ツボと臓器は繋がっている為臓器が不調になれば関連するツボが硬くなったり押すと痛んだりするようになります。鍼灸治療ではこの関係を利用し、内臓疲労から起こる肩こりに対し関連する臓器に対応するツボを鍼や灸で刺激を与える事で症状を緩和していきます。
鍼灸の鍼の皮膚接触刺激とお灸による燃焼刺激で血液中の各種白血球が2~3倍に増加したという実験結果もあります。
施術直後に白血球が増加し2~3日持続して数週間続けるとリンパ球も増えます。
また白血球の血管の流れるスピードも速くなり貪食力も上がります。
つまり鍼灸治療をすることによって『白血球やリンパ球が増加する→免疫力が高まる→風邪や病気になりにくい身体を作る“未病治”(未だ病まざるを治す)』ということになるのです。

当院が鍼灸治療をする上で自律神経の状態を把握することはとても重要だと考えております。今、体の状態がどちらが優位な状態となっているのか把握することで治療法なども変わってくるのです。そこで当院では、急性の患者さん以外のほとんどは自律神経測定器で自律神経の状態を測定してから治療に入ります。

ここで今まで治療症例を2件ほどご紹介させていただきたいと思います。
・足三里
膝下外側にあり、免疫力を高めるほか下肢のだるさ、また胃経に属するため胃の不調がある時にも有効です。
・合谷
合谷は万能ツボとも言われ、様々な疾患の時にも用いられます。
とくに免疫力を高めるためや眼の疲れ、歯痛、抑うつ気分の時などに用いられます。
・関元
おへその下、指4本分にあるのが関元というツボで免疫力を高めるほかに頻尿や更年期障害の時にも有効とされます。
・中かん
おへそから上5本分にあるのが中かんというツボで免疫力を高めるほかに胃の不調や食欲不振などの時に用います。
アフリカ大陸の東側に位置するウガンダでは命をも奪う危険性のある疾患に対してお灸が施されることがあるそうです。
近年、NHKの番組でもその活動内容が取り上げられて注目されています。
その命をも奪う危険性のある疾患はなと結核です。結核はアフリカでは年間数十万人もの死者を出すほどの重篤な病気です。結核は、栄養不足や免疫力の低下などによって結核菌が体内で増殖して発症する病気です。
結核の患者さんに足三里という膝下外側に位置するツボにお灸をすることで免疫力が上がり症状が回復することがあり、ウガンダの病院では少しずつお灸を使用することが広がっているようです。
臨床研究では、足三里にお灸をすると血中のヘモグロビン値が大きく増加したという研究結果が出ており、それによって免疫力向上の効果が高いという結果が出ています。
この足三里にお灸をすると免疫があがることが論文に記されているのは、1929年に原志免太郎医師が発表した論文内にあります。当時、日本では結核が流行しており、お灸の研究をしていた原志免太郎医師が結核に感染しているラットにお灸を施したところラットの結核菌に対する抵抗力が高まったという結果が出ています。
しかし、一回お灸をしたからと言って免疫が上がるという事ではなく、6カ月間お灸する群としない群に分けて血液検査の免疫機能を果たす細胞の増減を調べたとのことです。日々の積み重ねが、免疫・健康を維持するポイントの様です。
今は自分でできる簡易的な台座灸が一般の薬局でも販売されており簡単に手に入ります。また、当院でも販売されています。
台座灸は、紙の台座の上にもぐさがのせてあるもので台座の裏にはシールがあり肌と固定できるため安全に使用することが出来ます。お灸の熱さも様々な種類があるため調整できます。
基本的に1日1回程度を目安に1~4か所ほど行うと良いでしょう。

50代 女性 主婦
主訴
肩こり・腰痛・不眠・目の疲れ
症状
10年ほど前から肩こりや腰痛の症状が続いていました。なんとか日常生活に支障なく生活できていましたが、最近お孫さんの世話をするようになり夜も痛みで起きるほどとなってしまいました。朝も肩こり・腰痛症状はつらく、少し動き出すと症状が和らいでくるという状態です。パソコンやスマホをすることでストレスの解消となっていましたが、長時間使用することで目の疲れやドライアイの症状も強く出てきました。
当院の治療
治療を行う前に自律神経の状態を測定すると、交感神経が優位な状態でした。よくよく話を伺ってみると寝つきも悪く、食欲不振で便秘美味とのことでした。交感神経優位の状態が長く続き、体の状態にも相当影響を与えていると判断し、自律神経のバランスを整えることが先決だと思い施術にあたりました。副交感神経が優位となり、体がリラックスな状態となったところで肩や腰の筋加えて目の周囲の筋肉をほぐすような施術をいたしました。
経過
1~3回目
最初の3回ほどは、自律神経の状態を整えることに重点を置いて施術しました。
4~7回目
自律神経の状態が少しずつ落ち着いてきたと判断した上で肩こりや腰痛症状に対してアプローチしました。
痛みが少しずつ取れてきて、夜も眠れる日が増えてきたとのこと。
8~10回目
眼科鍼灸で目周囲の筋肉にもアプローチしました。
目が楽になり、肩こりの方も自然と軽快してきた
考察
症状が強く出ていたため、7回目までは3日置きに施術しました。症状が軽快してきて目処が立ったところで治療間隔を1週間に1度ほどに延ばしていきました。自律神経の乱れが顕著だったため、自宅などでもゆっくりお風呂につかることや軽い運動をしてもらいました。まだまだお孫さんのお世話をしていかないということで今でも定期的に通院されております。
20代 男性 建築業
主訴
頭痛・首肩こり・不眠
症状
2年ほど前に建築業に就職してから日々の過酷な労働により頭痛・首肩こりを感じるようになってきました。1か月ほど前から夜勤と日勤の日が休みなく続き、一日中働いているような状態でした。頭痛の症状も悪化してきて横になっていてもつらい状況で会社も休みがちとなり、当院に来院されました。
当院の治療
まず自律神経の状態を測定したところ副交感神経がとても優位な状態でした。日中も眠たさやだるさを感じて仕事がままならないこともしばしばあったとのこと。しかし、夜は目がさえてくるような状態でしたので自律神経が乱れていたと思います。また、首肩の筋緊張が顕著に出ていたため自律神経を整える施術をしたから筋緊張をとっていきました。
経過
1~2回目
鍼やお灸の刺激も敏感だったため、鍼やお灸を使わない手技療法で対応しました。
3~5回目
3回目からは身体の状態も少しずつ落ち着いてきたため、鍼やお灸の施術も加えていきました。
6~8回目
日中も気怠さを感じることが少なくなってきた。朝は症状はつらいとのことだが、夕方は症状が軽快
9~12回目
朝もつらさが軽減してきた。痛みどめや睡眠導入剤なども服用していたが、量が減ってきた
考察
仕事が忙しいため、1~2週間のペースで来院していただきました。治療で補えない部分は、貼るタイプの置き鍼で対応していただき、ストレッチも怠らないようにしていただきました。
70代 男性
数年前にコロナにかかってから風邪を引きやすくなった。ワクチンを6回打っても2回コロナにかかり、どちらもかなりの光熱がでた。
そこから常に身体のだるさや、咳など常にある状態になり、いろんな病院で検査を受けたが異常は出なかった。
病院では、コロナの後遺症や老化だと説明も受けたが自分ではあまりにも体調が悪いし、なんとかしてほしい。今でも自分の会社を経営しており、後任もまだ頼りないため、まだまだ現役で働いていたい。
また、最近は体調が悪いため趣味の庭の手入れができないのが辛いし、このまま体調が悪くなり年齢的にも歩けなくなることを考えると不安なため来院。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ、日中にも関わらず副交感神経優位の状態になっておりました。副交感神経が高くなりすぎてしまうと、身体がだるくなってしまったり、集中力の低下にもつながることを説明しました。
また、自律神経が乱れると疲労が取れにくくなり、免疫力の低下にもつながりやすくなるとお伝えしました。
施術は自律神経の調節をメインで行いました。また、免疫系と関わりのある経穴に刺激を与え、より回復が速くなるように致しました。
鍼灸治療は初めてとのことでしたのでソフトな治療で行っていきました。
治療経過
◇1~3回目◇
変化は感じない。
◇4回目◇
治療後に体が軽くなった気がする。
◇5~7回目◇
朝起きる時のだるさが軽くなってきた。
◇7~15回目◇
治療を受けるたび、体が楽になってきた。
◇16回目◇
咳は完全には無くならないが、日常生活に支障が出ないくらいには治まってきた。
◇17回目◇
来院頻度を減らしてメンテナンスしつつ様子をみる。
自律神経には“交感神経”と“副交感神経”の二つがあり、両者バランスをとりながら働いていることによって健康の状態を保っています。
現代社会において「自律神経」が乱れてくることにより身体に様々な不調が現れています。
例えば自律神経の乱れによる主な症状として
このように自律神経の症状は多岐にわたります。
自律神経のうちの“交感神経”が働くと
良い意味でも悪い意味でも活動的な状態になります。
逆に副交感神経が働くと脳と体もリラックスします。副交感神経はリラックス神経とも呼ばれ睡眠とも深く関連があります。
日中の活動的な状態は交感神経が優位に働き、体を休める夜に副交感神経が優位に働きぐっすり寝られることが良い状態と言えます。
| 交感神経優位 | 副交感神経優位 |
| 瞳孔 大きくなる 器管 広がる 血圧 高くなる 胃腸 活動を抑える 心臓 脈拍が早くなる 顆粒球 増加 |
瞳孔 小さくなる 気管 狭くなる 血圧 低くなる 胃腸 活動が進む 心臓 脈拍が遅くなる リンパ球 増加 |
病気から身を守る防衛システム免疫系は主に血液中の白血球(リンパ球、顆粒球)が中心的役割を果たしています。白血球は血液循環をしながら体外から侵入してきた細菌などの異物を排除する役割があります。白血球の中にはリンパ球と顆粒球とがあり、それぞれに役割分担があります。顆粒球は細菌や細胞の死骸などを処理してリンパ球はウィルスなど比較的小さな異物に対して抗体をつくって対抗しています。
いわゆるこのリンパ球の働きが、『免疫』と言われるものです。このリンパ球は副交感神経の支配下にあり、逆に顆粒球は交感神経の支配下にあります。自律神経のバランスが良い時には、リンパ球と顆粒球のバランスも保たれており免疫力も十分な状態です。
しかし、現代では過度なストレスから交感神経優位の状態の方が多く、顆粒球の過多状態と陥りやすくなってしまうのです。顆粒球も免疫機能の約やりを担っていますが、過度に増えすぎてしまうと常在菌までも攻撃してしまい、炎症を起こしてしまう危険性があり、胃炎や虫垂炎、腎炎、肝炎などの原因となってしまう可能性があるのです。また交感神経の過緊張状態が続くと、血管は収縮して血流を阻害して心臓病や高血圧の原因となったり、新陳代謝も低下することから老廃物が溜まりやすくなり、痛みや筋肉のコリの原因となってしまうのです。
このように白血球の数や働きは 自律神経の影響を受けています。
つまりは自律神経の乱れは免疫力の低下となるわけです。
中心性漿液性脈絡網膜症に対する当院の施術方法は、眼の血流を促進させる事を中心に行います。「攅竹」、「魚腰」、「太陽」、「四白」といった眼の経穴に刺鍼し、同時に温灸器で眼を温めることで血液循環を促進させ網膜と脈絡膜に溜まっている漿液の排出を促します。
症状が強い方、慢性化している方、鍼治療が慣れている方などに対して刺激量を高めて行う場合は電気鍼療法を施すこともあります。

また、中心性漿液性脈絡網膜症はストレスが関係していると考えられ、血流や自然治癒力をコントロールしている自律神経調節治療も同時に行っていきます。
「肝は目に開窮する」
眼科疾患に対する東洋医学での考えはこれが基本になっていきます。
肝の機能は目に反映するという意味で、肝に何かしら異常があると目にも異常が起きてしまうという事を表しています。
西洋医学での肝蔵は血液の貯蔵、タンパク質の合成、有害物質の分解、解毒、胆汁の合成、分泌という働きがありますが、東洋医学での肝の役割は少し違っており、蔵血の他に身体各部の血液量の調節、気機の調節、気持ちの余裕を生むなど精神活動の安定化などがあります。
東洋医学での肝はとくに精神的ストレスによるダメージが反映しやすく、精神的ストレスが継続することによって肝の機能が低下し、その結果開窮している目にも悪い影響を及ぼしてしまいます。

逆に肝を元気にさせると肝血が上昇し目も回復するので東洋医学ではその原理を用いて治療を行っていきます。
また、中医学では「肝腎同源」と言われ、肝と腎が互いに補いながら機能しています。肝が弱まると腎も弱まり、その逆の場合もあります。
肝の機能異常や過労・睡眠不足が腎の機能に影響をもたらして腎の水を主る機能を減退させて中心性漿液性脈絡網膜症を引き起こしてしまうと考えられます。

中心性漿液性脈絡網膜症は網膜にある黄斑に漿液が流れ溜まってしまうことで水ぶくれができ、部分的にドーム状の網膜剥離が起きてしまうことで視機能が低下する病気です。
30~50代の働き盛りの男性に好発し、片方の目に発症する事が多いですが、まれに両目に発症する事もあります。
中心性漿液性脈絡網膜症の症状は、
①中心暗転
視野の中心が暗く見える
②小視症
物が小さく見える
⓷変視症
物が歪んで見える
網膜は視覚的な映像を電気信号に変換し脳へ情報を送るカメラのフィルムのような役割があります。この網膜が漏れ出した漿液によりドーム状に膨らむことで上記のような症状が現れます。
ほとんどは良好な経過をたどり網膜剥離が治る事で症状が軽快していきます。自然と治ることもありますが、何かしらの見えづらさが残ってしまう場合も多いです。
網膜剥離が長い期間続いたり、再発を繰り返したりするような場合は視力低下がみられることもあります。
中心性漿液性脈絡網膜症の原因はまだはっきりわかっておりません。
しかし、働き盛りの男性に好発することから心身のストレスが要因の一つと考えられます。
当院のにご来院される患者様のほとんどが多忙だったり、不規則な生活など常に精神的ストレスを抱えている方が多く、パソコン作業で目を酷使されている事も少なくありません。
また、副腎皮質ステロイドの副作用や、女性の場合は妊娠時に起こることもあります。
網膜より外側から眼球を覆っている膜を脈絡膜と言います。
脈絡膜は血管が豊富にあり、網膜は網膜内の血管からだけではなく、脈絡膜の血管からも酸素や栄養を供給されています。同時に不要になった老廃物を脈絡膜へ戻して機能を維持しています。
網膜は何枚かの膜で構成されていますが、一番外側が脈絡膜でその内側にある膜が網膜色素上皮といい、網膜と脈絡膜の間で網膜に酸素や栄養以外の者が入り込むのを防いだり、不要な老廃物を脈絡膜に戻す働きをしています。これをバリア機能と言います。
しかし、何らかの原因でバリア機能が低下すると、網膜にとって不要な漿液が流れ込み、網膜色素上皮と光を感じ取る視細胞層の間に溜まり水ぶくれができてしまいます。
網膜色素上皮と視細胞層が水ぶくれにより剥がれて網膜剥離になるので、脈絡膜から栄養が途絶えてしまい視細胞の機能が低下し、視力低下の症状が現れます。
病院では末梢循環改善薬やビタミン剤、ヨウ素製剤といった内服薬によるものや、水が漏れている部分にレーザー光を照射し細胞を凝固させる治療が中心になります。
中心性漿液性脈絡網膜症の原因はまだはっきりわかっていませんが、働き盛りの男性がかかりやすい事から、ストレスが大きな要因と考えられています。
そのため、日頃からストレスを溜めこまない、発散することが大切になります。

主訴
目の疲れ・ドライアイ
症状
30代男性でパソコン作業が主な仕事で一日10時間はパソコン作業を行い、長い時は15時間パソコン作業を行っていました。最初は、夕方になると目の疲れや目の渇きを感じていたが、徐々に症状が強くなってきて、一日中症状を感じるようになっていった。そして、仕事に支障をきたして一時休職せざるおえなくなってしまった。
パソコン画面を見ると体が反応してすぐ目に不快感をおぼえて、みてられない
当院の治療
まず、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握しました。測定した時間が夜なのにもかかわらず交感神経の数値が高く、常に神経が緊張している状態でした。聞くと寝つきが悪い時が多いとのこと。
とりあえず仰向きで自律神経を整えるような鍼灸施術をした後でうつ伏せで首肩の筋緊張をとっていきました。
最後にまた仰向けとなってもらい目の周りと頭部を鍼やお灸で刺激することで緊張をとってあげたり、血流の改善を促しました。
経過
1回目
目の疲れは少し楽になったが、まだパソコン画面を見ることができない
2~4回目
だいぶ目の症状が楽になり少しずつパソコン画面を見られるようになってきた。体が軽くなってきたと感じる
5~9回目
少し長い間パソコンを見ると目が気になってくるが、合間に休憩をとると回復する。会社への復帰を考えるようになってきた
10回目
会社に復帰することができた。会社に事情を理解してもらい、最初は短い時間から働くこととなった。
11~15回目
徐々に働く時間を戻していき、休職前と変わらずに仕事をこなせるようになった
考察
こちらの症例の男性患者さんも首肩のこり・痛みが強く出ていたためそちらの方もしっかり症状をとるような施術をしました。
休職前と同じように仕事をしていてはまだ症状がぶり返してしまう恐れがあるため、日々日常的に自分でできる目の疲労ケアを実践していただきました。

症例2
30代 女性
転職してからデスクワークが増えて、慢性的な首肩コリが悪化してきたのと同時に今まで気にしてこなかった眼精疲労が辛く感じている。
業務は常にパソコンとタブレット端末に向かっているため夕方になると眼のかすみを感じていたが、ここ2週間前から眼の奥が痛くなってきたことと、仕事が忙しい日は瞼の痙攣が止まらない時があり、このままでは更に悪化してしまうと思ったことと、もともと同僚がこちらの院に通っており、前から興味があったので紹介を受けて来院を決めた。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ、お昼の時間帯で深夜並みの副交感神経優位の状態でした。このような状態ですと、日中でも常に眠気があり、いまいちやる気が出ない等の状態になりやすく、本人に確認したところ眠気ややる気が出ないとこはほぼ毎日とのことです。
慢性的な首肩コリで筋肉の緊張が強く出ていたので筋肉を緩ませるための血流を促進する治療と、自律神経を整える治療、眼の周りの局所治療を行いました。
治療頻度は週に1回ほどです。
治療経過
◇1回目◇
鍼が思ったより痛くなくて安心した。リラックスできて良かった。
◇2~6回目◇
瞼の痙攣が出なくなった。
◇7~12回目◇
回数を重ねるごとに眼の奥の痛みが楽になってきた。最近は残業しても痛くならなくて嬉しい。
◇13~15回目◇
慢性化していた首肩コリも、くる前より良くなった。今後は美容鍼を自分のご褒美として受けに通院する。
パソコン作業を主に行うオフィスワーカにとくに多いのが肩こり・頭痛・目の疲れ(ドライアイ)の3症状で悩まれている方です。
それは、目の周囲の筋肉・頭の筋肉・首肩の筋肉がお互い影響を受けていることが原因と考えられます。
目周囲・頭部の筋肉
眼輪筋
目の周囲に輪状にある筋肉で、まぶたを閉じる役割があります。
前頭筋
ちょうどおでこにある筋肉で眉毛を上にあげる役割があります。
帽状腱膜
前頭筋と後頭筋を繋げる役割があります。
後頭筋
後頭部付近にあり、帽状腱膜についています。
首肩の筋肉
僧帽筋
後頭部から始まり鎖骨や肩甲骨についています。肩甲骨を動かす役割があります。
胸鎖乳突筋
耳裏のでっぱりについて胸骨・鎖骨を挙上する役割があります。
その他、頭の動きをつかさどる筋肉の多くは後頭部について頭を動かす役割を担っています。
目・首・肩の筋肉は帽状腱膜という組織を介して繋がっているといえます。
パソコン作業を長時間行うと目周囲の筋肉が疲労して目をばっちり開けることが難しくなってきます。またどうしても細かい字などを見る時は目を細めてみようとします。
すると前頭筋や後頭筋も引っ張られて疲労しやすくなります。
また引っ張られるため頭が締め付けられるような頭痛を感じやすくなります。
そして、それが僧帽筋や頭部を動かす筋肉にも影響を与えるのです。
パソコンを行う姿勢にも問題がありますが、目の使い過ぎが原因による肩こり・首の痛みの場合も多いのです。
よって当院では、目の疲れの症状でも首肩周りの筋肉や頭の筋肉の過緊張をとるために鍼灸施術や手技療法を施します。
目の症状・首肩の症状は、一つのセットであり両方の問題をとることで症状が軽快していく場合が多いです。

これらの症状でお困りの方は、一度お気軽にご相談ください。

声帯に炎症が生じて腫れてしまうことで、声が枯れたり声が全く出なくなったりする疾患です。
声帯炎になる原因の多くはウイルスや細菌感染によるもので、風邪の一部の症状として出ます。
その他に、タバコの吸いすぎやお酒の飲み過ぎ、汚れた空気を吸ったり、歌手や学校の先生、アナウンサーなど喉を酷使する職業の方などが起こりやすいです。
声帯粘膜が炎症により腫脹すると、発生時に声帯がしっかりと閉まらなくなり隙間ができるため、声が出なくなったり、ガラガラした声や、かすれた声になります。
ウイルス感染による場合は、対症療法が基本的な治療法になります。痰も増加することが多いので、去痰薬の内服やネブライザー療法を行います。また、二時的に細菌感染を合併することもあり、その場合には抗生剤の内服も行います。
大きな声を長時間出したり、声の使い過ぎなどで炎症が起きている場合には、ステロイドの内服治療が行われます。その際には、ステロイドによる、むくみや不眠、それに伴う精神・神経症状などが副作用として現れます。
安静を保ち治療をすれば1〜2週間で元の声に戻りますが、声帯に炎症が生じている状態で無理な発声を続けると、声帯に声帯結節ができてしまい、症状が悪化し長引くことがあります。そのため、声帯炎症の治療で最も重要なことは、喉の安静、つまり声を出さないことです。
【声帯ポリープ】
声帯ポリープは声帯にできる血豆のようなもので、大きな声を出した後などにできます。
声を使う職業の方に多く、声帯の使い過ぎによってできます。
【声帯結節】
声帯結節は、声帯の摩擦によってタコのような結節ができ、声が枯れるほかに、喉の痛みも引き起こします。
3ヶ月以内であれば、薬による治療と安静にすることで改善が見込めますが、慢性化すると手術が必要になることもあります。
こちらも、声を使う職業の方に多く、声帯の使い過ぎによってできます。
【甲状腺機能低下症】
喉にある甲状腺の機能低下によりホルモンの分泌が乱れてしまい、声枯れの症状を伴うことがあります。
【逆流性食道炎】
逆流性食道炎は胃酸の逆流によって食道に炎症が起きる疾患ですが、その炎症が喉付近まで達したり、声帯自体が胃酸の刺激を受けることで声枯れが生じます。
【咽頭がん】
初期症状として喉の痛みや違和感の他、声枯れが起こる場合があります。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏厚朴湯には、神経や筋肉の緊張を調整する作用があり、喘息や気管支炎など、喉まわりの炎症や不快感に用いられます。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯には、喉の筋肉の運動を高める作用があり、滋養強壮作用のある生薬や喉の痛みや炎症に効果のある生薬の組み合わせでできています。
声帯炎は、主にウイルスや細菌感染などにより、声帯粘膜が炎症し腫脹してしまう為、発声時にしっかりと声帯が閉まらなくなり隙間ができ、声が出なくなったり、声がかすれたりしてしまう症状が現れます。
鍼灸治療には抗炎症作用・鎮痛作用があるため、鍼とお灸を用いて、炎症の起きている喉周りや、声がかすれて発声しづらい為に負担がかかっている患部・筋肉に刺激を与え、症状の緩和を促します。
また声のかすれに対する治療として、東洋医学の観点からもアプローチします。
声帯炎は東洋医学では五臓六腑でいう『肺』の機能不全を起こしていると考えられるため、『肺』の働きを正常に戻すことが重要になってきます。その他に、声枯れなどの不調がある方は五臓六腑で言う『腎』の働きが弱っている方も多いため、『腎』に関する経絡や経穴も用いて施術を行います。

声帯の開閉時に働く喉頭内の筋肉は、迷走神経によって支配されています。その迷走神経の大部分は副交感神経からなり、頭部・頸部・胸部・腹部にわたる全ての内臓に分布しており、感覚や運動、内分泌の役割を担っています。
副交感神経は、安静時やリラックスしている時に優位になる神経です。ストレス社会と言われている現代では、多くの人が副交感神経の活動が低下していると言われています。
実際に当院にある自律神経測定器で測定すると、多くの方が副交感神経に拮抗する交感神経の活動が優位となっており、声の不調や喉の違和感でご来院される方々も例外ではありません。
自律神経には活動的な時や緊張時に働く『交感神経系』と、リラックス時に働く『副交感神経系』の2つからなり、通常はこの2つがバランスを取りながら働いているのですが、ストレスや過労などを受けるとバランスが崩れ、身体に不調が生じます。
そして喉や声の症状は、ストレスや過労によってトラブルを起こしやすい部分な為、自律神経の乱れを悪化させてしまう可能性があります。
人はストレスを感じたり過労が続くと、自律神経のバランスが崩れます。自律神経が乱れると、倦怠感や動悸、不眠、めまい、しびれ、手足の冷え、慢性症状の悪化などの様々な症状が現れます。
そのため、当院では、治療の前にしっかりと問診を行い、自律神経の状態を機械で測定し、症状や状態を把握した上で治療を行っていきます。

当院には自律神経測定器があり、この測定器では交感神経と副交感神経のバランス、肉体的ストレスや精神的ストレスなどの数値も測る事ができます。測定結果を元に、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。そして、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることで、より治療効果を高めることができます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴や声のトラブルやストレスに対する特効穴を用いて症状改善を目指します。
また、自律神経のバランスを整える事で心身の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、再発や悪化を防ぎます。
声帯炎の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。
症例
30代 女性
3週間前に風邪を引いてしまい、声が出ずらくなった。
声の仕事をしているため早急に治したく当院に来院した。
声は嗄声の様なかすれ声で、長く出し続けることが出来ず途中でガラガラ声になってしまう。
病院で念のため検査をしてもらったが、ポリーブや結節などの異常はなく、炎症のため完全に声帯が閉じにくい状態になっている。
喉の痛みはないが首周りの圧迫感が強く感じ、多少咳も残っている。
仕事は楽しいが知らず知らずストレスは溜まっている感覚はあり、夜の睡眠の質はあまり良くないように感じる。
当院の施術
まず、現在の自律神経の状態を確認するために自律神経測定器を使用して交感神経と副交感神経のバランスをチェックしていきました。
午前中にも関わらず副交感神経の働きが強く交感神経の働きが弱い状態で、自律神経の働きが逆転している状態でした。
首肩や肩甲骨回りや背中の筋肉が緊張していたため、首肩背中に刺鍼し筋肉の緊張を緩めていきました。
また、自律神経の乱れを整えて自然治癒力を上げるために、自律神経調節を目的と施術も行いました。
同時に、首の前面の声帯炎の効果のあるツボに鍼やお灸で刺激し、炎症を抑える施術を行っていきました。
経過
◇1回目◇
咳が軽減して、声も出しやすくなった。
まだ少し、ガラガラ声。
◇2回目◇
まだ、完全な状態ではないが、初診より声がスムーズに出せるようになってきた。
◇3回目◇
ほぼ良い時の状態にまで回復した。
◇4回目◇
仕事に復帰できるまで改善した。
当院では、呼吸や脈拍、血圧などを司る自律神経の状態を自律神経測定器で測定し、患者様のお体の状態を把握した上で治療に移ります。
自律神経のバランス調整施術で、内臓機能、血液循環、免疫機能を高め全身的なバランスを整え、東洋医学的観点から、心・肺・腎を中心とした五臓六腑の機能調整、気を補う、流れを調整するツボなども用いて治療を行います。
また、呼吸筋、呼吸補助筋の緊張による横隔膜の動きが悪くなることも息切れの原因となりますので、首や肩、肩甲骨周囲、腹部などの筋緊張や筋疲労を和らげる施術も合わせて行っていきます。

東洋医学では息切れは過労や栄養不足、ストレスなどによる「気」の失調や五臓六腑の心・肺や肺が行う呼吸を助ける腎などの機能低下が関係していると考えられています。
代表的なものとしてこのような状態が挙げられます。
・心血虚
心を栄養する血液が不足した状態を指します。血を作る脾の働きが低下すると心血が作られない為心の循環不全になります。心血虚の場合、心陽で熱を帯びるため動悸、息切れ、胸苦しさなどが生じます。また、心は精神をコントロールするためイライラ、夢をよく見る、眠りが浅い、めまいなどの症状が起こることもあります。
・肺気虚
肺に供給される気が不足した状態を指します。具体的な症状として咳、痰、息切れ、疲労感、多汗などが挙げられます。
・肺腎気虚
肺と腎の気が不足した状態です。肺は呼吸を司っている臓器ですが、その中でも特に空気を吐き出す呼気を担っています。一方で腎は空気を吸い込む吸気に関わっています。
呼吸に関わる肺、腎の失調は大気中の気の取り込みに大きな支障になってしまいます。肺腎気虚の主な症状は呼吸困難、息切れ、発声困難、手足の冷え、むくみ、多汗、腰の痛みや重だるさなどが挙げられます。
息切れとは呼吸をするのに努力を必要としたり、不快感を自覚することです。
息切れには
・息がつまる
・呼吸が浅い
・胸が圧迫される
・十分に息が吐けない
・呼吸が早い
など様々な表現があります。血液中の酸素量の低下、二酸化炭素の増加、その他いろいろな原因がありますが、多くは体が必要とする酸素量が供給出来ないと息切れは起こります。
日常生活から考えられる原因
・激しい運動や運動不足による体内の酸欠
運動をするとき体は筋肉を動かすため沢山の酸素を必要とします。激しい運動をするほど大量の酸素を必要とするため、酸素を多く取り入れようと呼吸が早くなり息切れを起こしやすくなります。
また、日頃の運動不足も心臓が血液を送り出すための筋力が弱くなるため、息切れを起こしやすくなります。
・過労やストレスによる脈拍や自律神経の乱れ
自律神経には体を活動状態にする「交感神経」と、休息、回復状態にする「副交感神経」の二種類があります。この二つはアクセルとブレーキの関係にあり状況に応じてどちらかが優位になり、呼吸、血液循環、体温調節、消化、排泄、生殖、免疫などの働きを無意識のうちにコントロールしています。
強いストレスや過労などが原因で交感神経が緊張(亢進)してしまうと息切れや動悸が起こります。
・肥満による心臓への負担
体重の増加に伴って体が大きくなると、身体はその分多くの酸素を必要とします。肥満では心臓は沢山の血液と酸素を送ろうと活発に活動します。すると心臓に負担がかかり息切れや動悸が起こりやすくなります。
息切れを伴う疾患
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
長年の喫煙習慣が原因の約90%を占める疾患で、喫煙により慢性気管支炎や肺が弾力を失う肺気腫を引き起こし、咳や痰、息切れが続くようになります。
30年~40年近くかけてゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり最終的には呼吸不全になることがあります。
・気管支喘息
慢性の気管支の炎症やアレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状が現れると息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には喉が詰まる感じが現れ、咳や痰、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)、呼吸困難が続きます。息を吸う時より吐くときの方が苦しくなるのが特徴です。
・心不全
心筋梗塞や不整脈など様々な心疾患が原因で、心臓の機能が低下し体に十分な血液が供給できなくなった状態です。全身の血液循環が悪くなることで肺にうっ血が生じ、呼吸困難、息切れ、動悸が起こります。
また、胃腸や肝臓にうっ血が生じると食欲不振や嘔吐、腹部膨満感なども見られるようになります。
・狭心症
心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が脂質異常や糖尿病などによって血管が動脈硬化で硬くなり、血流が不足しやすい状態に陥ります。
そして寒い日や階段昇降時など心臓に負担がかかった際に、数分程度一時的に酸素が不足して胸が締め付けられるような痛みや息苦しい発作が起こります。
・心筋梗塞
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化を起こして内腔が狭くなると、血液が固まって出来る血栓が詰まり、血流が完全に止まってしまうのが心筋梗塞です。突然胸に激痛が起こり、痛みは30分から数時間続くことがあります。
血流が止まると心筋の壊死が始まり、その範囲が広がると血圧が低下して顔面が蒼白となるとともに吐き気や冷や汗がみられたり、意識を失って死に至る場合があります。
・不整脈
心拍動が基準値(一分間に60~100回程度)を外れて拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れたりして起こるのが不整脈で、動悸や息切れ、胸の不快感などを生じます。低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることもあり生命の危険にさらされることもあるため、心臓や循環器の専門医への受診が必要です。
・過換気症候群
過剰な精神的ストレスなどが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを訴えます。
呼吸回数が増えることで血液中の二酸化炭素が過度に減少しめまいや手足のしびれ、筋肉のこわばりなどとともに呼吸速度が速まりときに失神してしまうこともあります。
・バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
のどぼとけの近くにある甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患で、甲状腺ホルモンの代謝亢進作用によりのぼせやほてり、多汗、手の震え、動悸、息切れなどの症状が起こります。その他疲労感や甲状腺の腫れ、眼球突出などの症状が現れることがあります。
・更年期障害
閉経前後の約10年間を指す更年期を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変化により自律神経のバランスが崩れ、のぼせ、ほてり、めまい、イライラ、肩こり、動悸、息切れなど心や体に様々な症状が現れます。
・貧血
鉄分の不足などが原因で、酸素と融合し酸素を全身へ送るヘモグロビンの量が減少することで血液中の酸素濃度が薄くなった状態です。体内の酸素が不足することでめまいや倦怠感、息切れなどの症状が起こります。
などがあります。
まず、問診、触診、視診、聴診などを行い
バイタルサイン(血圧、脈拍など)の確認をします。呼吸困難で特に重要なバイタルサインは呼吸数、SpO2(動脈血酸素飽和度、体の動脈中でどれだけ酸素があるか示す指標)です。
多くの場合問診と身体所見でおおよその病気候補は絞られます。最終的な確定診断を行うために、胸部レントゲン写真、心電図検査、動脈血液検査などの検査が行われます。
症例
10代 女性
仕事中に息がしにくい時が数か月前から度々あったが、気にしないようにしていたら悪化してしまった。2,3週間前から常に息がしにくい状態になり仕事中ずっとゼエゼエ息をしていた。
高校を卒業し、一年前に社会人になったばかりだが、勤務時間が長く一日で家にいる時間が平均で6時間ほどでかなり疲労が溜まっている。
業務内容も体力仕事メインで職場で一番下っ端のため、自分の仕事プラス雑用と先輩の分の仕事も自分がやることが毎日なので、肉体的にも精神的にもキツイと感じている。
学生時代は運動もしていて体力には自信があったが、最近は家にいても何をする気にもならなくなっている程疲労している自覚はある。
先日、家から10メートルほどしか離れていない駐車場に行くために歩くだけでも息が切れるようになり、このままでは仕事だけではなく、生活に支障がでるため来院。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、ストレス値と疲労度がかなり高い数値でした。自律神経の乱れもあり、夜に測定したのにも関わらず活動するときに優位になる交感神経がリラックスするときに優位になる副交感神経よりもかなり高い数値になっていました。
触診時には、首から背中にかけて筋肉に緊張が強く見られました。疲労も溜まっているとのことでしたので血行促進による筋肉の緊張緩和、自律神経を整えることでの疲労回復をメインで施術を行いました。
来院頻度は月に1回。
治療経過
◇1回目◇
施術中は寝ていて何も覚えていないが、リラックスできた。
◇2回目◇
呼吸は変わらないが、仕事中に体が軽く感じた。
◇3回目◇
歩いても息が上がらない日が増えてきた。
◇4回目◇
仕事の忙しい時以外なら、ほとんど呼吸は落ち着いてきた。日常生活では息切れがなくなった。
◇5回目◇
息切れが仕事中もでなくなり、快適に働けるようになった。