緊張型頭痛に対する鍼灸治療

頭痛で悩んでいる人は日本人の3人に1人と言われるほどです。
しかし頭痛について知っている方は案外少ないものです。

緊張型頭痛、「頭痛」とはなにか見ていきましょう。

【頭痛の種類】

頭痛にはさまざまな種類があります。一般的な種類として、片頭痛緊張型頭痛群発頭痛などが挙げられます。
片頭痛は一側の頭痛で、頭痛とともに吐き気や光過敏、音過敏が起こることがあります。
緊張型頭痛は両側の頭痛で、長時間続く鈍い痛みが特徴です。
群発頭痛は非常に激しい一側の頭痛で、発作が集中して起こり、周期的に再発する特徴があります。

【各頭痛の原因とメカニズム】

片頭痛の原因は脳の血管の異常や神経の知覚異常にあるとされています。特定の刺激(例えば気圧、ストレス、食物、睡眠不足など)によって脳血管が拡張し、神経の過敏化が起こります。これによって血管拡張に伴う炎症物質が放出され、痛みを引き起こすと考えられています。前駆症状として閃輝性暗点(突然視野の中に稲妻のようなギザギザの光の波が現れ、徐々に四方に広がり、その場所が暗くはっきり見えなくなる現象)
がみられます。
緊張型頭痛の原因はストレスや筋肉の緊張が関与しており、筋肉の緊張が血流を制限し、酸素不足が起こることで痛みが発生します。主な原因となる筋肉は僧帽筋や後頸筋群、菱形筋の過緊張があり発生します。
長時間のPC業務やスマホ動画視聴により、眼精疲労をともないます。首・肩が凝る、背中が張っているなどの自覚症状がある場合が多いです。
群発頭痛の原因はまだ明確ではありませんが、神経の異常機能やホルモンの関与が考えられています。結膜充血や鼻汁前頭部発汗など自律神経症状が伴います。

【病院で行う頭痛の治療】

病院で行われる頭痛の治療は、まず正確な診断が重要です。診断には患者の症状や生活状況の詳細なヒアリング、神経学的な検査、画像検査などが行われます。治療の方法は頭痛の種類により異なりますが、一般的な治療法としては、薬物療法が挙げられます。片頭痛の場合、痛みを和らげるための鎮痛剤や三叉神経阻止剤が処方されることがあります。また、予防的な薬物療法も行われることがあります。

【頭痛の東洋医学的な考え】

まず東洋医学は局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつです。全身治療を行うことにより免疫力・自然治癒力を高めます。

頭痛において東洋医学では、気や津液(血液)の滞りやバランスの乱れが原因とされています。体のエネルギーである気が滞ることで緊張型頭痛が起こると考えられています。また、気と津液(血液)の流れが円滑でないことが片頭痛の原因とされています。東洋医学では外因と内因の2つに二分でき、頭痛の多くは内因によって発生しています。特に頭と関係の深い肝・腎・脾の3つに異常をきたすと頭痛が起きます。
肝は血液の流れやストレスに対応する能力と深い関係にあります。頭部への血流を調節する働きやストレスで身体が病まないようにする働きがあります。
腎は精神的・身体的な活動において根源的な活力「気」を司ります。過労になると腎が機能不全になり倦怠感や脱力感といった症状が現れます。気は血液を正常に全身に送る働きを持ちます。そのため気が不足すると頭部への血流が減り、頭痛が出ます。
脾は消化吸収と水分の運搬の働きがあります。脾の機能が弱まると、頭がむくみ、頭重感や頭痛が出ます。また脳は身体の中で1番エネルギーを消費する場所です。消化吸収不良による栄養素の不足は、脳疲労・頭痛に繋がります。

・気血両虚による頭痛:胃腸不良による栄養の欠乏している場合、首肩周りの筋肉が硬くなり血行が不充分な場合、過度な疲労で気を消耗している場合など現代でとても多い頭痛です。

・痰濁による頭痛:頭部の浮腫による頭痛です。低気圧や暴飲暴食(脂っこい食べ物、甘い食べ物の過剰摂取)により起こります。

【頭痛の東洋医学的な治療】

緊張型頭痛では、後頸部にある僧帽筋や頭半棘筋上の天柱・風池、胸鎖乳突筋や頭板状筋停止部上の完骨、肩甲上部にある僧帽筋上部繊維上の肩井、肩甲間部上にある肺兪・厥陰兪・心兪、肩甲骨上角付近の肩中兪・肩外兪・天髎を治療部位として用いる。そうすることで肩甲骨と頸部周囲の筋肉の緊張が緩み、頭痛が緩和します。

気血両虚による頭痛の治療では、脾胃の気虚を補うことと養血を促すことが必要になります。主に用いる経穴は、足部で三陰交・陰陵泉・足三里・血海、腹部で中脘、背部では脾兪です。また頭部の百会・上星に刺鍼することで気血の巡りを促します。

痰濁による頭痛では、身体に滞っている湿痰(余分な水分)を巡らせて身体の外に排泄できるようにすることが必要です。そのため水の運搬を司る脾胃の能力を高めます。主に用いる経穴は、陰陵泉・豊隆・脾兪・胃兪です。

【家庭でできる頭痛の予防法】

家庭で頭痛の予防に取り組むことも重要です。まずは十分な睡眠をとることや、ストレスを軽減するためのリラックス法(例: ヨガ、瞑想)を取り入れることが効果的です。また、適度な運動やバランスの良い食事を心掛けることも大切です。加えて飲酒やタバコの過度な摂取を控えることも頭痛の予防につながります。定期的な休息やストレッチは緊張型頭痛の予防に役立つので、日常生活に取り入れることをおすすめします。


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 17:51 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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