当院のストレートネックに対する鍼灸治療は、まず第一に頸部・肩部へ鍼をさすことにより、血流改善・筋緊張の緩和を促します。
必要であれば、さした鍼に電気を流す鍼通電療法も行っていきます。鍼通電療法では痛みを抑制する鎮痛効果も期待できます。
また温灸療法やマッサージ・整体も行うことで鍼施術との相乗効果で筋緊張を緩和していきます。
そのほか、ストレートネックによる症状で悩まされている方の多くは自律神経の乱れ症状も見られます。首肩部の痛みや違和感は交感神経を過亢進状態にさせやすく、容易に自律神経のバランスの乱れに繋がってしまいます。するとめまいや吐き気、睡眠障害に悩まされる方も少なくありません。
当院でのストレートネックの治療はもちろん首肩部を中心に行いますが、全身の調整施術や自律神経の調整施術も並行して行っていきます。
ストレートネックとは、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまっている状態です。ストレートネックは決して病名というわけではありません。しかし、ストレートネックに起因する症状が今増えています。
ストレートネックを理解するためにまず背骨の生理的湾曲を理解する必要があります。
腰が曲がっているなど背骨が曲がっているとあまりいい印象を受けませんが、背骨は生理的に曲がっている状態が正常なのです。人間の頭部は、体重比で言いますと8~13%もあるといわれています。例えば体重60kgのひとは約6kgも頭部の重さがある計算になります。それだけ重いものを支えるために背骨は適度なS字カーブを描いて湾曲されていてその湾曲により頭部などの重力を分散させているのです。
まず、頸部は前面に湾曲して次に背中部分は後ろに湾曲して最後に腰部はまた前面に湾曲しているのです。
この生理的湾曲が崩されて頭部などの重力の分散がうまくできない状態になってしまうとある部分への重力の負担が大きくなってしまい、頸肩部でいうと頸椎ヘルニア・頚椎症・肩こりなど、腰部でいうと腰椎椎間板ヘルニア・慢性腰痛・圧迫骨折・などの原因となってしまうのです。その他にも身体全体にも影響を及ぼして自律神経失調症や不眠症なども患ってしまう危険性もあるので注意が必要です。
ストレートネックは前述したように病名ではありません。ストレートネックでも症状が全然出ていない方もいますが、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまうと
・首肩コリ
・頸部や肩部の痛み
・上肢の痺れ
・頭痛(主に筋緊張性頭痛)
・吐き気
・めまい
などの症状がでます。
デスクワークなど座っている時間が多い人や周りの人から猫背姿勢を注意されるなどで上記の症状が慢性的に出る方は一度整形外科などでレントゲン検査を受けてみるのもいいかもしれません。
頸部は通常、30度~40度の生理的湾曲をしていると言われています。ストレートネックのでは湾曲が30度以下なってしまっているため、下記のような自己チェック法でストレートネックが疑われます。
まっすぐな壁にかかと・仙骨・肩甲骨を付けるようにまっすぐに立ちます。この時にあごを軽く引いて後頭部が壁につかない場合はストレートネックが疑われます。
この自己診断法で後頭部が壁につかないかつ上記のようなストレートネックの症状が出ている場合はストレートネックの可能性が極めて高くなります。整形外科などでレントゲン検査を受けるとストレートネックは簡単に診断がつきますので一度整形外科を受診することをお勧めします。
また、症状が全く出ていないのにも関わらずに自己チェック法でストレートネックの疑いがある人も日々の姿勢などを気を付けて症状が今後出ないように気を付ける必要があります。なにしろストレートネックの怖いところは、症状に気づいたときには頸部の生理的湾曲はかなり崩れていて改善するのに苦労することが多いところです。
ストレートネックの原因は、主に
・スポーツや事故での外傷
交通事故でのむち打ち症でストレートネックとなってしまうことがあります。その他、格闘技での頭部や頸部への衝撃、スキーでの転倒などでもストレートネックの原因となってしまうこともあります。
・加齢や老化による筋力低下や骨の変形
加齢、老化によって頸部の筋力低下や頸椎椎間板の弾力性が損なわれてしまい椎間板クッション機能が低下して椎間板が変性してしまうことにより頸部の生理的湾曲が減少してストレートネックとなってしまうことがあります。
・姿勢の悪さ
今、パソコンでの仕事が増えて長時間座っている人が増えているため、姿勢の悪さのためストレートネックによる症状で悩まされている方が増えています。人間本来の背骨の構造上、背骨は座位姿勢には適したように構造されていません。椅子に座っている作業することが多くなってしまっていることによって骨盤周囲の筋肉は衰えてしまい人間本来の骨盤の前傾が保たれていない状態となってしまっているのです。
すると背骨全体のバランスが変わってきて背骨の生理的湾曲が保つことができなくなってしまいストレートネックへと変形してしまうのです。
またパソコンではマウスやボードを使うため上肢を前に出した状態を続ける事になります。そして、頭部は前傾して背骨の生理的湾曲であるS字を描くというよりもC字に描きやすくなってしまうことによりストレートネックになってしまいます。
・スマートフォンの長時間使用
スマートフォンの普及により、頭部の前傾姿勢が長時間続くことでストレートネックになる方が増えています。
ニューヨーク市脊椎専門クリニックのケネスハンスラージの研究によりますと、頭部を前傾姿勢にすればするほど頸部への荷重が増えていくという研究結果が出ています。肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度を基準に0度の場合と45度の場合を比べると45度の場合の方が約4倍もの荷重が首にかかっていると研究結果では出ています。この肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度が45度の姿勢はちょうどよく電車内でも見かける座ってスマートフォンを操作している時の姿勢です。
それだけ、頭部を前傾にすると頸への負担は増えるのです。頸への負担が増える事で頸部の筋肉は過緊張状態を引き起こし伸縮性を欠いてストレートネックとなってしまうのです。また、頸椎や椎間板にも影響を与えてしまい、頚椎椎間板ヘルニアや椎間板変性症になってしまうのです。
症例
10代 男性
受験期間の数ヶ月でかなり姿勢が悪くなった。コロナ禍でオンライン授業も多くなりパソコンやスマホの画面に向かうことが増えた事も関係していると思われる。勉強だけでなく趣味もパソコンゲームで、気付くと何時間も熱中しているとのこと。
また首、肩の痛みや緊張は常にあり、今は問題ないがこのままでは近視など他の悩みも出てきそうだと保護者様からの勧めで来院。
当院の治療
首から腰まで上半身は全体的に筋緊張があり、特に首周りのかたさが目立った。また、身体の緊張状態のせいか睡眠の質も悪いとのことでこちらも同時進行で治療していく。
首周りの筋肉の緊張を緩める事と、身体の状態を安定させるために自律神経調節の治療をメインで行った。
治療頻度は週に1回
治療経過
◇1回目◇
治療中リラックスできた。気づいたら寝ていた。
◇2回目~5回目◇
治療直後や数日間は楽になるがすぐ元に戻ってしまう。
◇6回目◇
治療後の軽さが前よりも長持ちするようになった。
治療頻度を2週間に1回に変更
◇7回目◇
机で勉強やパソコンをしていても疲れや緊張を感じにくくなった。
◇8~10回目◇
日常生活の中で首がかなり軽くなったと感じる。
◇11~13回目◇
ご家族に姿勢が変わってきたと言われた。背が伸びた気がする。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:35 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)