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お灸の作用とセルフケアのススメ

日曜日, 6月 30th, 2024

鍼灸(しんきゅう)の『灸』とは、何をしてどんな効果があるかご存知ですか?

 

 

』とは、皮膚に「もぐさ」をのせ線香で火をつけて身体に『温熱刺激』を与える治療法です。

もぐさ」とは、キク科の多年草のヨモギの葉を乾燥させ石臼で挽き精製したものです。夾雑物の混入の程度により等級分けされ、使用用途も異なります。鍼灸師が手でひねって治療に用いるもぐさは、もぐさのなかでも特に高級品のもぐさを使用しており、なんと1kgの乾燥ヨモギから7gほどしか作られません。とても貴重ですね。

 

お灸は約2000年前の北方民族の独特の医療として芽生え、インドに渡り仏教医学として発達したといわれています。中国やインドの砂漠地帯でも自生する生命力の強いヨモギで病気を治そうと考えついたのがお灸の始まりとされています。

日本には飛鳥時代に中国から仏教と共に伝来し、独自に発展し多様な灸法があります。701年に制定された大宝律令の中の医疾令には針博士という官職名が記され、鍼とお灸の勉強が定められていました。奈良平安期以降お灸は広く用いられていました。

江戸時代には多様な灸法書が著されるようになり、健康維持のため庶民にも広く浸透していました。ヨーロッパとの交易でお灸は日本からヨーロッパ、世界へと伝えられ、お灸は英語で「moxibustion」「MOXA」(モグサ)と呼ばれています。

明治以降西洋医学が主流になり、熱くて痕が残るお灸は忌避されるようになっていきました。また昔の家屋に比べ住宅の気密性が高まり、煙のでるお灸は嫌がられるようになりました。今では、一部の地域や鍼灸院にかかる人のみにお灸が普及している状況です。

芳年 『風俗三十二相 あつさう』

歌川豊国 『江戸名所百人美女 鎧のわたし』

お灸の種類

 

お灸には治療目的に合わせて形を変えたり、道具を用いたりと色んな種類があります。

お灸の方法には大きく「直接灸」と「間接灸」という2種類の方法があります。直接灸とは、皮膚に直接もぐさを置き燃焼させる方法です。間接灸とは、皮膚ともぐさの間に台座やニンニク、生姜などを挟み間接的に燃焼させる方法です。当院では、直接灸と間接灸の両方を用い、適宜刺激量を調節し治療を行っています。

 

 

 

お灸の作用

 

お灸は以下の作用で身体に反応を起こしています。

 

1、温熱作用

2、皮膚から浸透する成分の作用

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

4、モグサや煙の芳香による作用

 

1、温熱作用

お灸は温熱刺激を生体に与えます。温熱刺激の感受には「温度感受性TRPチャネル」が関わっていると考えられています。

TRPチャネルとは、皮膚や感覚神経だけでなく身体中の臓器に発現し、温度刺激や化学刺激に反応する受容体です。人間には9種類の温度感受性TRPチャネルが存在することがわかっています。

お灸による温熱刺激には、侵害性の熱い温熱刺激と非侵害性の温かい温熱刺激に分けられます。

侵害性の熱い温熱刺激は、TRPV1(活性化温度閾値は43℃以上)、TRPV2(52℃以上)により感受されます。感覚神経のうちC線維、Aδ線維にそれぞれ発現しています。感覚神経上のTRPチャネルが活性化されると、温度情報は活動電位に変換されて求心性に脊髄、脳へ送られます。その過程で主に以下の3つの作用が起こると考えられています。

①軸索反射を介して、枝分かれした軸索末端から神経ペプチド(CGRP、サブスタンスP)が放出され、血管が拡張し、発痛物質が血管に取り込まれ痛みを緩和する。

②上行性に伝えられた温度情報が、脳幹や視床下部を介して、自律神経や内分泌系など様々な調節反応を誘発する。

③大脳辺縁系において心地よさが生じ、大脳皮質にて温かい感覚が生じて、気分を楽にする。

 

非侵害性の温かい温熱刺激はTRPV3(活性化温度閾値32〜39℃以上)、TRPV4(27℃〜35℃以上)、TRPM2(36℃以上)により感受されます。TRPV3やTRPV4は表皮のケラチノサイトなどに発現しており、温度を感受するとATPを放出して感覚神経に伝えることが報告されています。

 

TRPV2は上皮組織に存在する肥満細胞に発現し、TRPM2はマクロファージなどの免疫細胞に多く発現していることから、お灸は免疫とも関わっていると考えられます。

 

以上のように、活性化温度閾値の異なるTRPチャネルがあり、様々な組織に発現しているので、お灸の温度の違いにより生体に及ぼす反応も異なると考えられています。

 

TRPチャネルはDavid Julius教授(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)の研究グループによって発見され、2021年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。TRPチャネルの発見により、お灸の機序解明が進んでいます。

 

2、皮膚、呼吸器から浸透する成分の作用

ヨモギの腺毛には揮発性の精油が含まれており、主成分であるシネオールは燃焼により独特の芳香を発します。ヨモギには多数の精油がふくまれており、皮膚と親和性があり、含有されているポリフェノールが燃焼による酸化的ストレス状態を抑制することが報告されています。

 

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

昔のお灸は、皮膚を焼き切り熱傷を生じさせる療法でした。皮膚を焼くことで、炎症を引き起こし、再生させるという過程を通して、神経組織、結合組織、免疫系などに様々な影響を与えることにより病気の予防と治療を行っていました。

 

4、お灸に用いる物質の芳香作用

お灸の匂いでリラックスするという意見は多く、モグサ燃焼時の芳香によるアロマテラピー効果があると考えられています。

 

お灸の効果

1、血流改善、痛みの緩和

2、免疫・代謝機能の向上

3、リラクゼーション

 

セルフケアとしてのお灸

 

鍼灸院での治療効果を維持するためや、不調の改善、健康維持のために、セルフケアとしてご自宅での台座灸をおすすめいたします。

台座灸とは、円形の台座紙の上にもぐさがついているお灸で、シールで皮膚に貼ることができます。

煙が苦手な方は、煙の出ない台座灸も市販されています。

市販の台座灸は温熱レベルの低いものを選び、熱く感じたら取り除き、やけどをしないよう気をつけて行ってください。

 

 

セルフケアにおすすめのツボ

 

・足三里

スネにあり、膝のお皿の上に親指を当て、お皿をつつみこむように握った際に中指の先があたるところにある。

効果:免疫力向上。胃腸の調子を整える。足の疲れ。疲労。腰痛。

 

・三陰交

くるぶしの内側で指4本分上がったところにある。

効果:婦人科疾患。胃腸のトラブル。頭痛。肩こり。

 

・合谷

手の親指と人差し指の股の人差し指側にある。

効果:首肩こり。頭痛。疲労。

 

・手三里

ひじを曲げた時にできるしわに人差し指を置き、手首側に指3本のところにある。押すとズーンとひびく。

効果:首肩こり。胃腸の不調。疲労。

 

・大椎

第七頸椎と第1胸椎棘突起間にある。

効果:呼吸の調整。風邪。花粉症。首肩こり。

 

・肩井

首の付け根と肩先を結ぶ線の中央にある。

効果:首肩こり。腕の痛み。疲労。

 

・中脘

へそとみぞおちを結ぶ縦線の中間にある。

効果:胃腸の不調。逆流性食道炎。

 

・天枢

へそから左右指2本分外側にある。

効果:胃腸の不調。便秘。下痢。

 

・関元

へそから指4本分下側にある。

効能:胃腸の不調。冷え。疲労。婦人科疾患。

 

ご自身に合うツボを知りたい方はぜひ鍼灸師にご相談ください。

 

お灸で養生

 

東洋医学にはとても大事な身体観として『養生』と『治未病』という言葉があります。

『養生』とは、生命を養うという意味です。

『治未病』とは、病気になる前に治すという意味です。

健康は、日々の生活の小さな積み重ねによって維持されます。

病気を発症したとしても、悪化を防ぐことはとても重要です。

ぜひ日々のセルフケアとしてお灸をして、養生してくださいね。

気になることは鍼灸師にご相談ください。

産後ケアの鍼灸治療

金曜日, 6月 28th, 2024

出産後の体の変化

 

産後の体は妊娠中と同様にとてもデリケートで大きな体の変化が起こります。出産後に元の体に戻ろうとする約8週間を「産後の肥立ち」や「産褥期」と呼び、体が急激に元の状態に戻ろうとしホルモンバランスも大きく変わり様々な痛みや不快症状があるだけでなく、免疫力も低下してウイルスなどに感染しやすくなります。

また、赤ちゃんが生まれてからは生活も急激に変化するので、産褥期が過ぎた後もいろいろな不調や変化が起こりやすく、体だけでなく精神面も不安定になりがちです。そのため、産褥期はしっかりと体を休めて心身を整えることが重要です。

赤ちゃんが生まれたあとのお母さんは、自分の体のことを後回しにして無理してしまいがちですが、この時期のケアはとても大切で無理した結果、後々までつらい症状が残ることもあります。

産褥期・産後の症状

産褥期は子宮が妊娠前のように戻り、母乳も分泌され始めます。体が急激に戻ろうとすることで様々な症状がみられます。

 

・悪露の排出

出産後に起こる子宮内膜や分泌物の排出。整理よりも量が多いが出血があり、分娩時に残った胎盤の一部が排出されることも。産後すぐから一か月前後まで続きます。

 

・子宮収縮の痛み(後陣痛)

大きくなった子宮が元の大きさに戻る際の収縮による痛み。後陣痛とも呼ばれ産後三日程度までが特に強い痛みを感じやすい。授乳によって子宮が収縮して痛みが強まることもあります。

 

・会陰切開・帝王切開の痛み

傷の程度にもよりますが、産後二週間程度は切開による傷そのものが痛むでしょう。傷が治った後も、瘢痕と呼ばれる傷跡が残るため、痛みや座った時の違和感を覚えることがあります。

 

・便秘

産後は悪露や授乳によって体内の水分量が減り、便秘になりやすい傾向にあります。こまめな水分補給や、食物繊維・乳酸菌など便秘に効果的な栄養素を積極的に取り入れるとよいといわれています。便秘が悪化すると痔になることもあります。

便秘に対する鍼灸

・抜け毛

産後はホルモンバランスの変化により、毛髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が多くなる方も多いです。中には円形脱毛症になってしまうケースも。ただし、症状は一過性であるため、ホルモンバランスが落ち着くのと同時に徐々に改善されていくケースが多いです。

 

・腰痛

骨盤の開きや筋肉の衰えなどで腰痛を訴える方も少なくありません。また、産後すは出産の際にゆるんだ骨盤が不安定な状態になるため、特に痛みを感じやすいです。

腰痛に対する鍼灸

骨盤が不安的な状態や筋肉が衰えた状態で無理な姿勢をとると腰痛を悪化させてしまいます。赤ちゃんのお世話をする際にもできるだけ背筋を伸ばした正しい姿勢をとるように心がけましょう。

 

・むくみ

妊娠中の血液量は妊娠前の1.5倍に増えます。産後急激に血液量が減ることで体内の水分バランスを保ちにくくなり、浮腫みが発生しやすくなります。また、産後は体力回復のために激しい運動ができないため、筋肉のポンプ機能が衰えてしまうことも原因の一つです。

むくみに対する鍼灸

 

・マタニティブルー、鬱状態

産後二週間以内に起こりやすい気分の落ち込みや不安感などの症状でホルモンバランスの乱れが影響していることも。二週間以上症状が改善しない場合は産後鬱に移行している可能性もあり、医師に相談を。

産後うつに対する鍼灸

 

・腱鞘炎

赤ちゃんの沐浴や授乳などで手を使うことが多くなるため手首に負担がかかり炎症を起こしてしまいます。

腱鞘炎に対する鍼灸

 

・肩こり

赤ちゃんのお世話は入浴やおむつ替えなどで無理な姿勢をとることが多いです。また、抱っこや授乳などは首肩に大きな負担がかかってしまいます。

肩こりに対する鍼灸

 

・頭痛

産後は様々な原因が重なり頭痛が起こります。首肩こりはもちろん、寝不足や育児に対する緊張で血管が細くなることも頭痛の原因になります。

頭痛に対する鍼灸

 

出産後の体が変化する原因

 

産後は体が妊娠前の状態に戻ろうとするため、大きくなった子宮の収縮やホルモンバランスの急激な変化が起こります。

ホルモン分泌の変化と一口に言っても、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン、骨盤を広げて赤ちゃんが産道を通りやすいようにするリラキシン、炎症を抑えるステロイドホルモンなどそれぞれ役割が異なるホルモンの分泌に変化が起こります。

また、生活環境の変化から体の変化が起こる場合もあります。

育児のために同じ体勢を取ることが増えると体の痛みにつながったり、夜泣きに合わせて生活をすることになるため生活リズムが乱れたり、また慣れない育児により精神的なストレスを感じることなどが考えられます。

 

東洋医学的考え方

東洋医学で考える産後ケアは

◆妊娠、出産で失われた体力の回復「気(元気の元)」を補う

◆授乳で消耗した「血」を補う

◆悪露を出し切り「血」の巡りをよくする

◆ホルモンバランスの改善

が大切です。

・気(き)

中医学では、身体を動かすものを「気」といい消耗した状態を「気虚(ききょ)」といいます。出産により消耗した身体を休めて体力を回復するのが大事です。
気虚の状態が続くと肥立ちが悪くなるだけでなく、お露が長引いたり、お腹の皮膚が引き締まらない原因にもつながります。

また、「気滞(きたい)」といってストレスなどの影響で気の流れが滞ることで悪露が長引いたり、不眠やイライラ、胸が張り母乳の分泌が悪くなるようなことが起こります。

 

・血(けつ)

出産による出血で消耗するだけでなく、母体の回復のため、母乳の材料などで使われることで出産後は不足しがちになります。血が不足するとイライラや不安、不眠など精神的に不安定になります。母乳の不足や産後鬱にならないためにも血を補うことは大切です。

また、身体に不要な血の滞りを「瘀血(おけつ)」といいます。胎盤の残りなど悪露は不要なものなので血流を良くしてしっかりと排泄します。悪露をしっかり排泄することで子宮が引き締まり妊娠前の状態に戻りやすくなります。

 

・腎虚(じんきょ)

「腎(じん)」は西洋医学の腎臓の水分調節だけでなくホルモンや骨、生殖に関する機能を担っている場所です。出産前と後では大きく女性ホルモンの分泌が低下します。このため情緒が不安定になります。腎を補うことでホルモンバランスを整えていくことが重要と考えられています。

 

当院の鍼灸治療

産後はホルモンバランスの変調や育児による体の疲れから自律神経の不調が起こりやすいです。そのため、自律神経系の調整施術を行い免疫機能や内臓機能、全身の血流を促進し体が本来持つ自然治癒力を高めます。

東洋医学的観点から気・血を補うツボや腎の機能を高めるツボなどを選穴していきます。

産後のお悩みは様々ですので、一人一人のお悩みの症状に合わせてツボを選穴し施術していきます。

下肢に起こる浮腫(むくみ)の鍼灸治療

月曜日, 6月 24th, 2024

浮腫(むくみ)とは...

水が滞って溜まっている状態です。
体重の60%は水と言われます。体にある水分というと真っ先に思い浮かぶのは血液ですが、血液は体重の7%程です。残りの53%は、細胞の中に40%含まれ、組織間質(細胞と細胞の間にある隙間)に13%の水分が存在します。
この組織間質に存在する13%の水分量が増えることで浮腫(むくみ)として現れます。

浮腫の種類

浮腫の種類には局所性の浮腫、全身性の浮腫、特発性の浮腫、生活習慣性の浮腫があります。
局所性の浮腫
・リンパ性浮腫(象皮病、悪性腫瘍リンパ節転移)
・静脈性浮腫(深部静脈血栓症、慢性静脈不全症)
・血管神経性浮腫(クインケ浮腫)
・炎症アレルギー
全身性の浮腫
・心原性浮腫(心不全)
・肝性浮腫(肝硬変、劇症肝炎、脂肪肝炎)
・腎性浮腫(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、腎不全)
内分泌性浮腫(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、月経前浮腫)
・薬物性浮腫(経口避妊薬、抗炎症薬、血管拡張薬)
・低栄養性浮腫(蛋白漏出性胃腸症、脚気、摂食不良)
・妊娠
特発性浮腫(原因不明の浮腫)
生活習慣性の浮腫
・運動の不足
・食事の偏り

下肢に起こる浮腫の原因

ここでは、来院される患者様の悩みで多い「内分泌性浮腫」と「生活習慣性の浮腫」について詳しくお伝えします。

「内分泌性浮腫」
◯甲状腺機能低下症
甲状腺ではホルモンを作り、全身に働きかけて代謝活動や精神活動を維持する働きがあります。この甲状腺の働きが低下する疾患です。原因は3つあり、甲状腺自体に異常がある場合(原発性)、下垂体や視床下部(甲状腺に司令を出す上司的な部位)に異常がある場合(中枢性)、甲状腺から出たホルモンが正常に働かない場合(ホルモン不適応性)です。
特に自身の免疫力が、間違えて自身の甲状腺を破壊してしまう疾患は慢性甲状腺炎(橋本病)と呼ばれます。橋本病の多くは女性に発症し、男女比は1:20以上です。30〜50代に多く、女性の10人に1人という高い確率で起こります。
女性の下肢の浮腫は原因が多岐に渡ります。もし下の症状が複数合わせて見られるようでしたら甲状腺機能低下症かもしれません。
・全身症状:寒さに弱い、手足が冷える、汗をかきにくい、声が掠れる(嗄声)、全身の怠さや疲労感、体重の増加、月経異常など
・精神症状:やる気が起きない、物忘れが増えた、話し方がゆっくりになった
・消化器症状:食欲の低下、便秘
・皮膚症状:硬い浮腫 (粘液水腫)、皮膚の乾燥、頭髪の抜け毛、眉毛外側1/3の脱毛

甲状腺のホルモンは心と体の両方に深く関わっているため、活動量が減り元気の無さが見られます。また粘液水腫といい、脛を押した時に凹み(指の痕)が出来ない事も特徴的です。

「生活習慣性の浮腫」
◯運動の不足
血液を含む体の水分は重力によって下へ流れやすいです。逆に心臓に血液を戻すときは重力に逆らって送らないといけないためとても負担になります。この負担を担っているのがふくらはぎの腓腹筋を始めとする下肢の筋肉です。筋肉が収縮と伸長を繰り返す事で過剰な水分や血液を心臓に戻しています。
・運動の不足
脚を組む
・冷え
立ちっぱなし
・座りっぱなし
足首の硬さ
・股関節の硬さ
これらがあると十分に筋肉が働かず、浮腫が現れます。
◯食事の偏り
普段摂っている食事の栄養素に偏りが出ると浮腫の原因になります。
ナトリウムの過剰摂取やアルコール摂取は浮腫みやすい体になります。ナトリウムには水分を引き付ける効果があり体内の水分量を増やします。アルコールは末梢血管を拡張させるので皮膚の赤みや浮腫を起こします。また、カリウムやマグネシウムには、体内の過剰なナトリウムの排泄を促す効果があるため浮腫に効果的とされています。

東洋医学的な浮腫の考え方

東洋医学的に浮腫は、津液(体の水分の総称)の滞りと考えられます。また、津液は「」、「肺」、「腎」3つの臓によって調節されています。
3つの中でも「脾」が最も浮腫に関わっています。脾は体の水分の量や分布を司っており、脾が病むと顔や足に浮腫が現れます
脾が病む原因は、糖類の過剰摂取、アルコール摂取、冷飲や多飲、高湿度の環境などが挙げられます。これらの原因により徐々に脾の能力が弱まり浮腫となります。
また東洋医学では鍼やお灸によって、人の本来持っている自然治癒力や免疫力を引き出すことで症状の改善を行います。
そのため、原因となる食生活の改善や運動習慣の改善を併せて行うことがむくみを改善することに繋がります。

当院での浮腫の治療

当院では症状 (浮腫)を改善する施術と合わせて、浮腫が起こりにくい体にするための施術を行います。

むくみを改善させるためには下肢の筋肉が充分に活動する必要があります。
固まっている筋肉に、はりやお灸で施術を行い、血流や柔軟性を改善させます。股関節や膝関節、足関節の可動域が少ない方は周囲の筋肉の柔軟性が低下しています。その場合はストレッチを行うことも考慮して行います。
また、筋肉に力が入りにくい場合は筋肉に電気を流して自動的に動かす事でむくみが改善されます。

浮腫が起こりにくい身体にするためには、脾・肺・腎の3つの能力を高めることが必要です。
そのために、仰向けでは手足に鍼とお灸を行います。うつ伏せでは背中、腰、ふくらはぎに鍼とお灸を行います。

 

症例

50代 女性

昔から足のむくみを気になっていたが、ここ2か月ぐらい前からひどくなってきた。

腎臓や心臓の病気が気になったので念のため病院を受診し、血液検査、心臓超音波、画像検査を行ったが特に異常が見られなかった。

午前中よりも午後から夕方、夜にかけてひどくなる。特に足首からふくらはぎにかけてむくみが強い。

仕事はデスクワークで一日中座りっぱなしのため、足を動かすことは少ないが、だるさを感じる。

当院の施術

足の状態を見てみたところ指で押しても圧痕は付きませんでしたが、足全体に強い張りがあり、軽度の静脈瘤も出現していました。下肢の冷えもあるため、血流低下や女性ホルモンの乱れが関連していると考えました。

精神的ストレスも感じやすく、十分睡眠時間を確保しているにもかかわらず、疲れが取れない倦怠感が続いているということなので、まずは自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。

 

お昼ごろに測定したにもかかわらず、副交感神経が大きく働いており、逆に交感神経の働きが弱い状態でした。これは、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく機能しておらず、日中に副交感神経が強く働くことで血管が拡張してしまい、血液の流れを緩やかになりすぎることが足のむくみに影響を及ぼしていることが伺えます。

①自律神経調節治療

②女性ホルモン調節治療

③下肢への低周波電気鍼療法

上記の内容を中心に施術を行いました。

経過

1回目

施術後、足がポカポカして暖かくて気持ちがよかった。

快適に眠れた。

2回目

初回より、足の太さが細くなったような気がする。

3回目

むくみが改善してきた。足がすっきりしてきている。

4回目

ほとんど気にならない。

 

ストレス頭痛の鍼灸治療

火曜日, 6月 18th, 2024

頭痛の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されております。

https://alfashinkyu-tokyo.com/column/index-991.html

 

ストレス性頭痛の治療の流れ

 

①問診で生活習慣、仕事、日常の姿勢、食事習慣、精神状態、など詳しくお話をお聞きします。

 

②ストレスは自律神経のバランスを乱し頭痛の原因となるため、必要であれば自律神経測定器で現在のストレスの度合いや自律神経の状態を確認します。

 

③ベットに横になって頂いて、触診にて筋肉の状態や冷えなどお身体の状態を確認していきます。

 

④問診、触診、自律神経測定器の結果をもとに、施術を行います。

 

⑤施術後は日常生活へのアドバイス、適切な施術間隔をお伝えします。

 

⑥お会計、次回のご予約を済ませ終了となります。

施術内容

 

まず、頸肩部周辺にの経穴に刺鍼し筋肉を緩めることで頭部の血液循環を促していきます。

頸は僧帽筋上部、頭半棘筋部の「天柱」「風池」、頭板状筋や胸鎖乳突筋の「完骨」、肩は僧帽筋の「肩井」「肩外兪」、肩甲間部の「膏肓」棘下筋の「天宗」といったっけ経穴を主に刺鍼していきます。

 

頭部は「百会」「頭維」「四神聡」の経穴以外にもコリや疼痛部にも直接刺鍼し、そこに低周波を流す「電気鍼療法」を行い頭部の筋緊張を緩め痛みを緩和させていきます。

 

※電気鍼療法が苦手な方は刺鍼のみでも対応可能です。お気軽にお申し付けください。

 

同時にストレスの緩和や体質改善を目的に自律神経を整える施術を行っていきます。自律神経を整えることによって、滞っている全身の血流がよくなり蓄積した疲労が回復が回復していきます。また、副交感神経を高めることでリラックス効果が生まれ、ストレスによる過剰な筋緊張が改善していきます。

 

 

ストレス性頭痛の原因やメカニズム

 

精神的ストレスで自律神経の交感神経が過剰に働きます。交感神経が過剰に働くと筋肉を必要以上に収縮させてしまいます。さらに血流も悪くなるので頭部の筋緊張が増悪し頭痛が引き起ります。

また、食いしばりとの関連性も大きいです。ストレスで交感神経が亢進すると、睡眠の質が低下し食いしばりを起こします。こめかみにある側頭筋は顎を動かす咬筋と連動して収縮します。こめかみを触りながら歯をぐっと噛みしめると側頭筋が動くのがわかります。

 

食いしばる時間が長ければ長いほど頭痛が起きやすくなります。

頸肩の筋肉の硬さが頭部に波及して頭痛が増幅することもあります。

また脳内のセロトニンがストレスなどの原因で一次的に増加し血管が収縮し、ふたたび拡張されることで刺激され痛みが起こるという説もあります。

片頭痛の誘因でもある喫煙、飲酒、チョコレートの食べ過ぎというストレス解消による行動も頭痛の原因になります。

 

 

頭痛の種類

 

頭痛には一次性頭痛二次性頭痛があります。

 

一次性頭痛は原因疾患が特定できない頭痛で、二次性頭痛は原因疾患が特定できる頭痛をのことを言います。

原因疾患とは脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、外傷、感染症などといったものがあり、これらによって起こる頭痛は二次性頭痛に分類されます。

上記のような疾患が検査しても見つからず、原因疾患の存在が否定され初めて一次性頭痛を疑います。つまり、脳出血や脳梗塞などが二次的に頭痛を引き起こしているため、これらは二次性頭痛と言われるのです。

 

一次性頭痛は片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛などが上げられ、これらは二次性頭痛の検査結果が陰性で、頭痛の部位、性質、誘因、持続時間、光や音に対しての過敏性、前兆の有無など情報を考慮し鑑別していきます。

 

片頭痛は原因がはっきりわかっていませんが、ストレスにより三叉神経が刺激され神経末端から炎症物質が放出されることによって脳の血管が急激に拡張することで頭痛が起こると考えられています。吐き気や嘔吐も伴うことがあり、音や光に過敏になります。チョコレートやワイン、チーズ、柑橘類が誘因になることがわかっています。

ズキンズキンと脈打つような痛みなのが特徴です。

 

緊張性頭痛は精神的ストレスや頸肩コリ、眼精疲労による頭部の筋収縮から起こる頭痛です。頭全体または一部に締め付けられるような痛みが発生し、その痛みがストレスになりさらに筋収縮を引き起こし頭痛を増悪するという悪循環ができてしまいます。

 

群発性頭痛は左右どちらかの目の奥に耐え難い痛みが起こる頭痛です。

例えるなら、目の奥をえぐられるような、またはバットで頭を殴られるような痛みと言われるほど強烈なものです。この頭痛は持続性はなく、30分~1時間といった比較的短時間で消失します。通常は1~3か月程規則的に起こり、その後は数か月~数年と頭痛のない日が続きます。

痛みは目の奥だけではなく、時には片側の側頭部や目の周辺にも出現することがあります。

群発性頭痛のはっきりとした原因はまだ分かっていませんが、目の裏側にある太い血管が拡張し、それが神経を刺激するためではないかと言われています。

 

※突然今まで経験したことのない強烈な痛みや、発熱、しびれや感覚が無いなどの麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、意識が朦朧とするなどの症状がある場合は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血ような緊急性の病気の疑いがあります。その場合は一刻も早く病院に受診しましょう。

 

症例

20代 男性

仕事の人間関係でストレスを感じるようになってから仕事中に頭痛がするようになった。最初は30分ほどでおさまっていたが、最近は仕事中だけではなく、出勤前にも痛みが出てくるようになり、かなり辛い。現在は仕事中は常に痛みがある状態になった。

主に痛みがあるのが仕事中のため、現在は薬で誤魔化して働いているが、業務にも支障をきたすかもしれないと不安になって来院。

 

当院の施術

自律神経を整える事をメインで考え治療。また、頭に行く血液は肩、首を通り脳に流れるので肩と首、背中の筋緊張を緩める治療も同時に行った。

特に頭痛の症状が現れている側頭部、後頭部の筋緊張が強く、血行促進と緊張緩和のために他の箇所と比べ筋肉にしっかり刺激を入れた。

週に2回来院。

 

◇1回目◇

治療中に寝てしまうくらいリラックスできた。身体の血流良くなった気がする。

◇2回目◇

前回はすぐ元に戻ってしまった。治療後には楽になる。

◇3〜5回目◇

肩が動かしやすくなり、頭痛の時間が短くなってきた。

◇6〜9回目◇

出勤前の頭痛が出なくなり、朝の時間が楽に過ごせるようになった。

◇10〜15回目◇

仕事中に頭痛はあるが、前のような激しい痛みはなくなり、かなり痛みが軽くなった。来院頻度を週に1回にして様子を見ながら治療。

◇16回目~20回目◇

仕事中常に頭痛がある日がなくなり、頭痛がでる以前のように仕事に集中できるようになった。

◇20回目以降◇

体調や疲労の度合いをみて月に数回来院。

 

強膜炎の鍼灸治療

火曜日, 6月 18th, 2024

①強膜炎に対する当院の鍼灸治療

 

強膜炎の鍼灸治療方針

当院の強膜炎に対する施術は、第一に目周辺のツボに鍼をさして強膜の炎症をおさえる作用を促します。

強膜炎の鍼通電治療
また強膜炎は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことで症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑えて下げる治療もする必要があります。

強膜炎の場合、強い痛みのため寝不足となったり、常にイライラしたりと交感神経が過亢進状態となりやすいです。それは、自律神経の乱れとなり、様々な全身症状へと繋がってしまいます。
そこで当院では自律神経を測定して施術することで自律神経のバランスを調整します。
自律神経のバランスを整えることで人間が本来持っている免疫力を回復させます。

 

強膜炎の自律神経調整鍼灸

 

 

②強膜炎の東洋医学的考え

 

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。

肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。
すると強膜炎などのさまざまな目の疾患・高血圧頭痛自律神経失調症などを引き起こします。また外からの風熱の邪気が体に侵入すると目は侵されやすく、強膜炎を引き起こす原因にもなります。

 

 

③強膜炎の鍼灸治療症例

症例1

50代 女性

当院にご来院される半年ほど前から強膜炎を発症し、眼科でステロイド薬の点眼薬を処方してもらったが、なかなか症状が改善されず当院にご来院された。眼科では、強膜炎になった原因は特定されなかったが、既往歴に自己免疫疾患があり、ストレスなどと深く関係しているのではないかとご本人とおっしゃっていました。

強膜炎の症状として目の痛みはなく視力の低下や目の充血、日中太陽の光をあびるととてもまぶしく感じるとのこと。また、症状に対するストレスなどにより睡眠が浅く、朝の目覚めがすっきりしない。

 

・当院の治療
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから治療に入りました。まず、仰向けで自律神経調整療法を行い、自律神経の状態を整えてうつ伏せで首や肩の筋緊張をとっていきます。
そして再度仰向けになっていただき目の周りの施術をしました。

 

・経過
1回目 
自律神経測定器の結果、交感神経が過度に亢進している状態でしたので、交感神経を下げて副交感神経の働きを上げるような柔らかなお灸と鍼の刺激を施していきました。

2回目
1回目の治療後ステロイドの薬を以前は1日2回点眼していたが、1日1回で済むようになった。首肩部の筋の緊張はまだ緩和されていない

3回目
1回目の施術後のように点眼薬を1日1回ですんでいる。

4回目
眼科を受診したところ残りの目薬を使い切って、その後目に異常が出なかったらステロイドの点眼薬をもうしなくて良いと言われた

5回目
点眼薬をしなくても目の症状は落ち着いている。

 

 

 

症例2

40代女性
一年ほど前に目に強い痛みや視力低下が出たため病院を受診したところ、右目の強膜炎と診断された。左側頭部や左目周囲の痛みが強かったため鎮痛剤とステロイド剤を処方された。少しして症状が軽減したが、また仕事や家事が忙しくなると再発して薬を処方してもらうというサイクルを繰り返していた。
しかし、一か月前に症状が出て薬を飲んでもあまり効き目がなく痛みで睡眠もうまくとれなくなってきて当院にご来院された。

 

当院の治療
仕事も立ち仕事で特に目を酷使しているわけではないが、身体が疲労してくると症状が出るということで自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術にはいりました。痛みも強い状態、検査結果から自律神経も乱れている状態だったので自律神経を整えて首肩の筋緊張をとってから電気鍼療法で鎮痛効果をねらい施術しました。

 

経過
1回目
治療後、左目・左側頭部の痛みは軽減した。2日ほどたったらまた痛みが少し戻ったとのこと。

2回目
側頭部の痛みはほぼ感じなくなったが目の痛みはまだ少し感じる。夕方疲れてくると視界のぼやけを感じる

3~6回目
症状が少し強くなったり、全く感じなかったりを繰り返す

7回目
左目・左側頭部の痛みはまったく感じなくなった。薬の服用も中止

8回目以降
2週間に1度のペースで治療。以前は一か月周期で左目が痛くなっていたが3か月経っても今のところ症状が出ていないでいる

 

 

 

症例3

50代女性
5年ほど前に目の痛みと赤みの症状が出て眼科を受診したところ強膜炎と診断された。ステロイドの点眼薬と痛み止めの注射をして痛みは治まったが、赤みは常にある状態が続いていた。痛み止めをすると1か月かけて徐々に痛みは治まるが、2~3か月後にまた痛くなり、注射をうつという状態が続いていた。視力は昔から悪く左右共に0.01ほど。
当院にご来院される1か月前に痛み止めの注射を打ってもらったが、痛みが続いて目の赤み症状も強く出ていた。何とかこの痛みだけでも解消したいと当院にご来院された。

 

当院の治療
痛みが出始めるきっかけは本人としてもわからず、特に体に疲労が溜まっている時や目を酷使した時などに発症するというわけではなくイレギュラーに痛みが出てくるので本人としても対策のしようがないとのこと。しかし、痛くなる前は必ずと言っていいほど首肩がこって痛くなるとのことで、自律神経の状態・首肩の筋緊張も整える形で治療していきました。

 

治療経過
1回目
両目ともに痛みや赤みが見られたが、左目の方が症状が強く出ていたのでまず左目を中心に治療していきました。

2回目
前回治療後、痛みが軽減。違和感程度になった。赤みはまだ消えていない

3回目
左目は痛みというよりも違和感程度になった。赤みも軽くなってきて左目の内側だけまだ赤い

4回目
左目が良くなったことで右目が気になるようになってきたとのことで右目中心に治療

5回目
右目の違和感はなくなった

6回目
全体的に赤みもだいぶ減ってきて、1日のうちでたまに痛みが走る時がある

7回目
ステロイドの点眼薬を少しずつ減らしている。赤みが消えて眼科の先生にも驚かれたと嬉しそうにおっしゃっていた

 

 

症例4

30代 女性

産後にいきなり目の痛みと充血に襲われて病院を受診したところ強膜炎と診断を受けた。ステロイド点眼薬と服用薬を処方されて最初の目の痛みと充血が2週間くらいかけて軽減していった。

その後体調が悪いせいか、強膜炎を繰り返し起こすようになってしまった。

その度に比較的強いステロイド剤で炎症を抑えて時間が経つとまた発症するの繰り返し。

昔から漢方薬を服用するなど東洋医学に興味があり、鍼灸治療でどうにか回復しないかと当院にご来院されました。

 

経過

ご来院された3日ほど前から強膜炎が発症。目の痛みと充血のほかに痛みが強いせいか頭痛やめまいも感じるとのこと。明るい日差しで視界が真っ白、視力も低下。

また、育児と仕事の両立で身体は疲弊しきっている。仕事もパソコン等のデスクワークが中心で日常的に眼精疲労も感じやすい。

最近痛みのせいか睡眠不足もあるため自律神経の状態も乱れていないか診るために自律神経の状態も測定していきました。

 

治療間隔は5回ほどを3日〜5日の間隔で鍼灸治療を行っていきました。その後治療間隔を延ばしていき、2週間に1回ほど。

治療効果は出やすく、1回目のあとから目の痛みや充血は引いていった。病院でもステロイド剤の強さがワンランク下がったとのこと。

痛みがたまに出て痛みが出るとめまいにつながる感覚。

治療5回目までは症状に波がある日が多かったです。痛みが出るときもあるが痛みの程度はだいぶマシになっていった。

視力が元々悪く病院でも普段メガネをかけることを勧められていたがコンタクトレンズをつけてもいいとのことで強膜炎の状態はかなり改善されてきた。

8回目の施術後、病院でステロイド剤が処方されてず、炎症もだいぶ引いたとのこと。視力・羞明感も回復。

 

 

症例5

50代 女性

2か月前ほど前から眼の充血、痛みが気になり始めた。眼の痛みがかなり強くなったため眼科へ受診したら強膜炎と診断された。薬を処方してもらい多少楽になったが、強い痛みが続いており、日常生活で支障が出るほど苦痛なため当院を受診した。

患部は左目で、強膜部分は広範囲に充血が見られる。まぶしさは感じないが、もともと痛みに弱くこの痛みが続くかと思うと夜も眠れない。

当院の施術

まず、自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認していきました。

緊張やストレスを感じる事で反応する交感神経が過剰に働いており、リラックスした精神状態にさせる副交感神経の働きが弱い状態でした。

これは強い眼の痛みによってそれがストレスになり、交感神経を優位にしてしまっていると考えられます。交感神経優位になると自然治癒力も低下し治癒が遅れてしまいます。また、人によっては痛みに対して過敏になってしまいます。

 

次に触診でお身体の状態を確認したところ、背中から首、肩、頭部の筋緊張が強くみられました。普段の姿勢によるものが原因として考えられますが、痛みによる精神的ストレスで筋肉が緊張しているものも大きく関係しています。

①鍼とお灸で眼の炎症を抑える、鎮痛を促す

②自律神経の調節

③首、肩、背中、頭部の筋緊張を緩める

上記の内容を中心に施術を行いました。

 

経過

1回目

まだ痛みは続いているが、少し楽になった様な気がする。

2回目

初回より痛みが引いてきた。充血も改善してきた。

3回目

痛みが引いてきたため、よく眠れるようになってきた。

4回目

痛みはあまり気にならなくなってきた。

充血も少し残っているが、ほとんどない。

5回目

痛みは気にならなくなり、快適に過ごせるようになった。

 

 

 

④強膜炎とは

 

強膜炎の症状

 

強膜炎とは、眼球の外側を覆っている強膜という部分に炎症がおこることを言います。強膜は眼球の外壁の後ろ6分の5の白い不透明な組織です。また眼球の外壁の前6分の1は透明で角膜という組織です。

これらは厚くて強靭な密性結合組織から成り、眼球の形を保ち保護します。角膜周囲の強膜の上には、半透明の結膜が張っており、この強膜あるいはその表面に炎症を起こした状態が強膜炎です。

強膜炎は30代~50代の成人に多く見られて、男性よりも女性に多く発症します。患者の3分の1で両眼に発症します。強膜炎は関節リウマチ全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患を伴うことがあります。

強膜炎の症状として目の充血痛み視力障害などの症状があらわれます。強膜炎は病巣が深いので痛みも強くて充血の範囲も広くあらわれます。突き刺すような目の激しい痛みがあり、あまりの痛さに眠れなかったり、食欲が落ちることがしばしばあります。

そのほか目の圧痛・涙の量の増加・明るい光に対して過敏になるといった症状が出ます。強膜炎が重症の場合は強膜に穴があいたり、薄くなったりします。眼の奥の方にも炎症が起こると視神経に異常が出る場合があるので、眼底検査で確認する必要があります。網膜剥離を起こして視力が低下する場合もあります。

また強膜は、内側でぶどう膜と前方で角膜と接していることから強膜炎となるとそれらにまで炎症が及ぶことがあり、ぶどう膜炎や角膜炎を合併してしまい視力低下や眼痛の症状が一層強く出てしまう危険性があります。

 

⑤強膜炎の原因

強膜炎のほとんどは原因が不明ですが、挙げられる原因として自己の組織を攻撃する自己免疫疾患やさまざまな炎症性疾患などがあります。
慢性関節リウマチ結節性動脈周囲炎全身性エリテマトーデスサルコイドーシス痛風結核梅毒なども強膜炎の原因に挙げられますが、それらの疾患の存在が確定されるケースはそれほど多くはありません。

強膜炎は、発症場所や炎症の性質によって分類されます。

上強膜炎
上強膜炎では強膜の表面部に炎症が起こります。上強膜炎では強膜の表面部分が炎症していることで充血が強くみられますが、それ以外の視力低下や痛みなどの症状は比較的軽いです。上強膜炎は原因がはっきりと特定されておらず、自己免疫疾患などが疑われており症状がなくなっても再発を繰り返すと言われていますが、症状が重症化することは比較的稀です。発症する年代は青年期が多く、男性よりも女性にかかりやすいとされています。

前部強膜炎
前部強膜炎は強膜の深部に炎症が起こっていることを指し、強膜炎というと一般的にこの前部強膜炎のことをいいます。前部強膜炎のなかでも広範囲に炎症が及ぶものをびまん性前部強膜炎、強膜にしこりのようなできものができるものを結節性前部強膜炎、強膜が壊死して溶けてしまうものを壊死性前部強膜炎といいます。

後部強膜炎
後部強膜炎は眼球の後部にまで炎症が進行して炎症が広範囲に広がっていることを指します。後部強膜炎で炎症が広範囲にわたってしまうと脈絡膜にまで炎症が及んで網膜に浮腫ができて網膜が剥離することがあり、視力が著しく低下する危険性があります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

老眼の鍼灸治療

金曜日, 6月 14th, 2024

老眼の鍼灸治療

 

・自律神経の調整
目と自律神経は実は深い関係にあります。自律神経とは、内臓の働きや血液循環など自分の意識とは無関係に働いている神経であり、目のピントを合わせる調整や目の血液循環にも影響を与えています。
自律神経の状態が乱れていると目のピントを合わせる調整能力が低下したり、目の周りの血液循環は低下してしまいます。

 

老眼の自律神経調整鍼灸

・首肩コリの解消
首肩の筋肉が過緊張状態やコリがあるとその部分で血管を圧迫してしまい脳や目に栄養ある血液が行き届きませんし、脳や目からの血液が下がりにくくなってしまうのです。
また、首肩部分には目に関するツボもあるためその部分を刺激していきます。
東洋医学的にみると目と五臓六腑の『肝』、老化と五臓六腑の『腎』は深い関係にあります。『肝腎同源』という言葉もあり、肝と腎はお互いに影響しあうため症状が現れるときも同時に現れる場合も多いです。首肩の施術と並行して背部に肝と腎の重要なツボがあるためそのツボも刺激していきます。

 

老眼の頸肩鍼灸治療

・目の周りの施術
目の周りに鍼を刺してお灸を施すことで目の周りの筋緊張の緩和や血液循環を改善する目的で施術していきます。

老眼の鍼治療

 

当院ではこの3点を老眼治療として行っていきます。その他にもその方の症状に合わせたツボを用いて施術を行っていきます。

老眼とは

老眼とは目の水晶体が老化によって硬くなったり、毛様体筋という水晶体の厚みを調節する筋肉の衰えによって近くのものが見えづらくなることです。

現代の生活の中には、目に負担のかかることが溢れています。仕事中は、パソコン作業をして仕事の時間以外でもスマートフォンを見ていたりテレビを見たりと常に目に負担のかかることをしている方も少なくないと思います。

目に負担のかかる時間の多い人は、老眼となる時期も早まる可能性があります。一般的には老眼は45歳から始まりやすいと言われますが、30代後半くらいから老眼の症状が出る方もいます。

老眼

老眼となる仕組み

老眼となってしまう原因を知るためには目の構造を理解する必要があります。

目に入ってきた情報は、角膜→水晶体→硝子体→網膜と通過して資格情報として視神経を介して脳に伝わります。

目の構造

角膜:角膜は一般的には黒目と言われるもので暑さ0.5ミリほどの厚さです。角膜は透明な組織で外から入ってきた光を網膜上で合わせるために光を屈曲させる役割があります。角膜は、目の構造上一番外にあり外界に触れやすいため傷つきやすいため傷つくと角膜炎となったりします。

角膜炎について詳しくはコチラ

 

水晶体:水晶体はカメラの機能でいうとレンズに相当する目の器官です。角膜の内側に位置します。水晶体の役割は角膜と同じように光を屈折させて網膜上で合わせる役割があります。
しかし、角膜と違う部分は水晶体は毛様体筋の働きによって水晶体の厚さを変化させることができる点です。近くのものに焦点を合わせるときは、毛様体筋は収縮して水晶体は膨らむことで焦点を合わせようとします。逆に遠くのもに焦点を合わせるときは、毛様体筋は弛緩して水晶体を薄くすることで遠くに焦点を合わせます。

水晶体が白く濁って物が見えづらくなる症状を白内障と言います。

・白内障について詳しくはコチラ

 

硝子体:硝子体は水晶体の内側にある目の器官の中ではとても大きい器官です。硝子体の内部は房水というタンパク質で出来ており、眼球の形を保つ役割があります。硝子体の中の房水がうまく排出されなかったりして房水の量が増えてしまうと視神経を圧迫して視界が狭くなったり、中心暗点ができる緑内障となってしまいます。

また、房水が紫外線などによって物質変化して線維化したものが房水内に漂流してしまうと飛蚊症となってしまいます。

・緑内障について詳しくはコチラ

・飛蚊症について詳しくはコチラ

 

網膜:網膜はカメラで言いますとフィルムの役割で角膜・水晶体・硝子体と通ってきた光を視覚情報として電気信号に変えて視神経を介して脳に情報を送る役割があります。成人では厚さは0.2ミリほどで網膜の中心部分、視覚情報が集中する部分を黄斑部といい、この黄斑部分が変性してしまい物が歪んで見えたり、視界が狭くなってしまう症状を加齢性黄斑変性症といいます。

・加齢性黄斑変性症について詳しくはコチラ

 

 

この4つの視覚情報を伝達する過程で老眼となる原因となってしまうのは、水晶体毛様体筋です。水晶体は目の器官で唯一自分で厚さを変えてピントを調節するととても重要な役割があります。その過程で、老化により厚さを変えることができなかったり、筋力の衰えによって厚さの調整能力が低下すると老眼となってしまうのです。

老眼

 

今増えている『スマホ老眼』とは

老眼は思っているよりも早く発症します。40歳以上は目のピントを調整する能力が衰えてしまう老眼世代にあたります。目の調整能力は20歳がピークと言われてそれを境目に段々と落ちてくるといわれていますが、眼を酷使する現代社会ではその年齢も低年齢化していると思われます。

ピント調節筋である毛様体筋の緊張が強く、簡単には筋肉の緊張がほどけない場合もあります。このような場合、子供ならば仮性近視といい、大人であればスマートフォンを長時間艦見続けてピント調整がうまくいかない『スマホ老眼』の方が急増しています。
そのような方々は、厳密にいうと水晶体の弾力性が失われた状態ではないので「老眼」とは診断されませんが、老眼とほぼ同じような症状がでます。

水晶体の弾力性が失われている老眼と違ってスマホ老眼の方がまだ対処が簡単にできます。

一番は長時間のスマホ操作を避ける・30分以上はできるだけ見続けない・合間に遠くを眺めたり目を温めるなどして目の保養時間を作る、ルテインゼアキサンチンなどの栄養素を摂取するなどの対策を行っていけば、段々とスマホ老眼は回復していく可能性が高いです。

逆にスマホ老眼の状態を放っておいてしまいますと、毛様体筋や水晶体周囲にも血流の悪化などで影響が及ぶ危険性があります。

スマホ老眼には眼科鍼灸

老眼と遠視の違い

老眼と遠視はともに近くのものが見えづらくなるということでは同じですが、原因がまるっきり違ってきます。

老眼は先ほども記述した通り、水晶体の硬化や毛様体筋の機能低下により近くのものが見えづらくなる現象ですが、遠視は、眼軸が原因となってきます。眼軸とは角膜から光の焦点が合う網膜までの距離のことをいいます。遠視とは、この眼軸の長さが短いために網膜よりも後ろで焦点が合ってしまい網膜に映る画像がぼやけてしまうのです。

逆に眼軸が長い場合もあります。その場合は、光の焦点が網膜よりも前に来てしまうため遠くのものが見えづらくなってしまうのです。このような近視も近年若い世代中心に増加傾向にあります。目の周りの筋疲労などで眼球が圧迫されることで眼軸が伸びてしまうタイプです。

・近視について詳しくはコチラ

 

 

老眼となる前兆

体の老化は、人間にとって避けられないものです。老化は進行を遅らせたりと予防は十分に可能です。特に目は視覚情報が人間の情報の6~8割も占めると言われ、特に老化現象を身にしみて感じやすいと言えます。ここでは老眼の前兆となる症状をしっかりと把握して、目の衰えを感じたらすぐに対処していきましょう。

 

・細かい作業をしているとすぐに目が疲れる

・以前に比べると新聞の字が見えにくくなってきた

・目の疲れのほかに肩こり、頭痛もする(眼精疲労

・うす暗い所で視力が低下したと感じる

・普段何気ないときに目がかすんで見える

・物が二重に見える(複視

スマホ老眼

 

これらの症状は老眼のサインと考えられます。一度眼科で調べてもらう必要があります。

 

日常生活での注意点

目に負担のかかる生活を続けていると老眼の進行は早まってしまいます。老眼を予防・症状を軽くするためには治療のほかにも日常生活で目に負担のかかる生活をしないように心がけることが必要です

 

・近くのものを長時間見ない(1時間に10分は休憩を挟む)
・パソコン作業の合間に遠くのものに焦点を合わせて目の筋肉を休める
・温めた濡れタオルを目にかけて目を温める
・有酸素運動を習慣化して体全体の血行を良くする

このような日常生活での注意点を頭に入れておきましょう。

早期老眼にならないために

 

症例

 

40代 女性

症状

最近暗い所で仕事をすることが多くなり、少し気になっていた老眼が一気に酷くなった。もともと視力が悪く眼の疲れも感じやすかったが、最近は特に疲れを感じている。

仕事でも困っているが生活で特に困るのが朝のメイクの時、眼鏡をかけることもできないからなんとかしたくて来院。

 

当院の施術

目の周りの筋肉だけではなく、首肩、背中周りまで広く筋肉の緊張があったため、目の周り、筋緊張が強く出ている箇所に鍼で刺激を与えました。また、血行促進と緊張を緩めるための自律神経を整える治療をも仰向けで行い、相乗効果でお身体の改善を早めていきました。

鍼が初めてとのことなので軽めの刺激から筋肉に届くしっかりめの刺激に増やしていきました。

治療頻度は週に2回です。

 

経過

◇1回目◇

視界が明るくなってきた。眼の周りが軽い気がする。

◇2回目◇

治療後は良かったが次の日には戻ってしまった。

◇3回目◇

の調子がよくなり、メイクする時も少し見え方が変わってきた。

◇4~6回目◇

眼の調子も良いが、周りから肌や髪の毛の調子が良い、きれいになったと言われた。

◇7~10回目◇

眼の疲れが出にくくなってきた。

治療を週に1回にし、現在も通院中

 

肉離れの鍼灸治療

月曜日, 6月 10th, 2024

肉離れとは

 

肉離れとは筋膜や筋繊維の損傷や断裂した状態を意味します。

特に太ももの筋肉やふくらはぎといった、大きな筋肉にみられることが特徴です。受傷時に「急に力が抜けた」「バキッと音が鳴った」などの訴えもあります。

また、肉離れとは俗称で医学的には「筋挫傷(きんざしょう)」と呼びます。

肉離れ

肉離れになってしまう原因

 

運動中のジャンプやダッシュ動作、急な切り返し動作など、筋肉の瞬間的な収縮が過度に行われることで、筋肉や筋膜が急に引き伸ばされて損傷します。

しかし、その背景にはオーバーユース、筋肉の柔軟性の低下や筋肉の疲労、筋力不足、加齢、ウォーミングアップ不足、脳から筋肉への指令系統(運動神経)の不調和、関節運動の不安定、ミネラル不足、体の冷えなど様々な要素が関与しています。

 

・筋肉の過緊張

筋肉にはゴムのように伸びたり縮んだりする作用があり、それによって関節を動かし、運動時の出力を上げています。ところが、疲労やストレッチ不足などが原因で筋肉が過度に緊張していると、古くなったゴムのように切れやすくなってしまい、肉離れのリスクが高くなります。

 

・水分不足

体にはいくつものミネラルが存在していますが、汗をかく水分不足に陥ってしまうと体内のイオンバランスが崩れ、筋肉がつりやすくなってしまい、それが肉離れにリスクが高くなります。

 

・冷え

冬場やクーラーの風が直接当たるなどして体が冷えていると、血流が悪化し筋肉が硬くなりやすい状態になっています。筋肉が硬くなると外力により筋繊維が断裂しやすく肉離れを起こしやすくなります。

 

肉離れの症状

 

損傷を起こした筋肉の痛みと圧痛が主な症状です。痛みは、伸ばした時(伸長痛・ストレッチ痛)や力をかける時(収縮時痛)に強く出ます。
そのため、ももやふくらはぎに肉離れが生じると、重度の場合、体重をかけることで痛みが強くなり、うまく歩くことができなくなってしまいます。

また、重症度の肉離れを起こすと、見た目の変化を伴うこともあります。例えば断裂した部分がへこんだり、内出血を伴ったりすることがあります。また、肉離れによる腫れが大きい場合、血行が悪くなることで患部がしびれるコンパートメント症候群がみられることがあります。重度のコンパートメント症候群では、筋肉の壊死を引き起こすことがあり注意が必要です。

 

肉離れの予防法

肉離れは普段からストレッチを行うなどして予防に努めることが重要です。

・ウォーミングアップをしっかり行う

運動前にはウォーミングアップを行い、筋肉を温めておきましょう。

・運動後はストレッチを行う

スポーツ終了後のクールダウンをしっかり行うことで筋肉に疲労が残りにくくなります。

 

肉離れを引き起こした時の対処法

 

アイシング

 

肉離れを起こしてから48時間以内はRICE処置が有効です。

・R:Rest(安静)

肉離れは筋繊維が断裂しており、動かしてしまうと内出血がひどくなってしまいます。なるべく患部には体重をかけず動かさないように安静を保ちましょう。

 

・I:Ice(冷却)

患部を氷嚢などで冷やしましょう。15~20分ほど冷やしたら一度様子を見て、痛みや腫れが続くようであればさらに冷やしましょう。

 

・Compression(圧迫)

患部を弾性包帯などで固定し、炎症による腫れを抑えましょう。※あまり強く圧迫してしまうと血流が悪化してしまうため注意が必要です。

 

・E:Elevation(挙上)

可能であれば患部を心臓よりも高くし、炎症の拡大を抑えましょう。

 

西洋医学的治療

診断

問診、診察、エコー(超音波検査)、CT(コンピューター断層診断)、MRI、レントゲンなどの画像診断などによって状態を確認します。肉離れ、剥離骨折の有無、軽傷・重症の判断を行います。

肉離れ重症度の分類

・Ⅰ型:出血所見が特徴である軽傷型

・Ⅱ型:肉離れの典型例で筋腱移行部、腱膜の損傷が特徴の中等     症型

・Ⅲ型:腱性部の断裂や腱付着部での裂離損傷といった重症型

 

西洋医学的治療

受傷直後は、RICE処置で対応します。RICEとはRest(安静)、Ice(患部の冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)です。適切なRICE処置を行えばその後の治療も良好な経過をたどります。

肉離れは基本的に保存療法とその後のリハビリによる治療が中心となります。痛みが強く荷重歩行が困難な時にはギプス固定や松葉杖を用いて免荷(めんか:体重をかけないこと)をすることもあります。

また、ストレッチ痛の強いⅢ型に関しては手術療法も考慮する必要があります。

 

 

当院の肉離れに対する鍼灸治療

 

 

肉離れのはり治療

当院では肉離れの早期回復と再発防止の為の施術を行っています。炎症の強い急性期には必要であればアイシングを行い、患部やその周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え炎症を抑える作用を促し、損傷した筋肉を改善させるための施術を行います。

また、肉離れの周辺の筋肉が凝り固まり違和感を覚えたり痛みの原因になることがありますが、この筋肉のしこりも鍼やお灸の刺激で筋肉の柔軟性を高めたり血流を良くすることで取り除くことができます。

慢性期では、根本的治療として全身の筋肉のバランスを整え肉離れの再発を防ぎます。また、筋肉の血流改善と組織の修復促進のため患部やその周囲のツボを用いて施術を行います。

 

症例

 

40代 女性

症状

3日前に自宅でトレーニングしていたらふくらはぎから変な音がして急に息ができないくらいの痛みがふくらはぎにでた。その場で冷やし、応急処置はしたが歩くことが難しい。病院に行く前に少しでも楽になりたいので来院。

当院の施術

筋肉の炎症と緊張が強く、少しでも動くと痛みがあるようでした。

特に痛みの強いふくらはぎから大腿四頭筋までの筋肉に鍼と電気で刺激をあたえて筋肉の血流改善をし、筋肉細胞の修復を速める事を目的とした治療をうつ伏せで行い、仰向けでは自律神経を整えて身体全体の自然治癒力を高め、回復を手助けする効果のある治療を週に2回行いました。

経過

◇1回目◇

治療直後は変化なし。

◇2回目◇

痛みと腫れはまだあるが、軽減してきた。

◇3回目◇

炎症反応が強くなり、痛みが戻ってきた。

◇4回目◇

前回の痛みがかなり良くなった。少し歩けるようにまで回復した。

◇5回目◇

一気に痛みがなくなり、ゆっくりであれば歩けるようになった。

◇6回目◇

痛みはほぼなくなり、日常生活に支障がなくなった。

これからは再発防止と体のメンテナンスとして週に1回のペースで通いたい。

ドライマウスに対する鍼灸治療

木曜日, 6月 6th, 2024

ドライマウスに対する当院の鍼灸治療について

 

ドライマウスとは、その名の通り口の中が乾いてしまうことで様々な不快な症状を引き起こしてしまい、生活の質が著しく低下してしまうこともあります。

ドライマウスでは唾液の分泌が低下してしまっています。唾液には、

唾液の作用

があります。

唾液の分泌が低下してしまいますと、歯の病気歯周病などにかかりやすくなってしまいますし、さらには口臭の原因食べ物が飲み込みづらくなり食欲の低下などにもつながりかねません。

当院が施術するドライマウスの鍼灸治療では、3つのポイントに重視して行っております。

ドライマウスの施術ポイント

・自律神経の調整施術

自律神経とドライマウスに関係するのと疑問を持たれるかもしれませんが、実は唾液を分泌する唾液腺は自律神経である副交感神経と交感神経とに支配されており、唾液分泌が反射的に調節されています。
主に副交感神経刺激時にはサラサラとした唾液が分泌されて、交感神経刺激には主としてネバネバした唾液を分泌させます。
よく緊張した状態では、口の中がネバネバして乾くような状態となりますが、交感神経は身体が緊張時に働く神経ですのでその反応として口の中がネバネバするように感じるのです。
ドライマウスの原因は様々なものが挙げられますが、ストレスの一つの原因だと考えられており自律神経の状態も関係してくるものと考えられます。

自律神経測定pptx

当院では現在の副交感神経・交感神経の状態、どちらが優位に活動しているのかを把握した上でその方々に合わせた施術を行っていきます。
ドライマウスでご来院される方の多くは、副交感神経の活動が弱い方が多いので基本的に副交感神経の活動を高めるようなお灸でリラックスできる治療も行っていきます。

自律神経調整

 

・首肩回りや手足のツボを刺激

自律神経の状態を整えるうえで首肩回りや背中の施術は特に重要となっています。脊柱の周りに自律神経節なども存在しており、背部の施術でも自律神経の状態を整えていきます。

当院のドライマウスの施術ではまずうつ伏せで背部や頸肩周りの施術を行ってから次に仰向けとなってお腹や手足さらに頬部を中心に施術を行います。

ドライマウスに関連するツボは頬部に多くあるため頬周りの施術は重要となってきますが、上肢にある合谷や下肢にある足三里太谿といったツボもドライマウスに関連したツボであるためそれらも刺激していきます。

ドライマウスの首肩治療

 

・頬部へのツボの刺激

頬部にある下関・頬車・地倉・廉泉などといったツボに鍼を刺して唾液分泌を促します。それらのツボに鍼を刺して電気を流す鍼通電治療をおこなうことで唾液分泌量が増加したという研究結果もあります。

ドライマウスの電気鍼

 

当院ではこの3つのポイントを重点的に行うことでドライマウスの改善をはかっていきます。
鍼が初めてで少し抵抗があるや電気を流すのが怖いといった方もいらっしゃいますので最初は刺激量はご相談の上決めさせて頂いてなるべく患者様の身体に負担をかけさせないように努めておりますので、何なりとご相談下さい。

 

症例

50代 女性

シェーグレン症候群によるドライマウスに苦しんでいる。

普段から飴を舐めていないと口が乾いてしまい、食事の時は水が手放せない。

とくにパンやビスケットなど水分が少ない食べ物を食べると口や喉に張り付いてしまい非常に苦痛を感じる。

もともとストレスはあまり感じる方ではなかったが、ドライマウスの症状がストレスになりますます口の渇きがひどくなったような気がする。

趣味や湯船に浸かったりリラックスしている状態になると口の渇きは多少マシになる。

当院の施術

自律神経測定器で自律神経の状態を確認しました。

自律神経の状態は、交感神経の働きが過剰になっており副交感神経とのバランスが大きく乱れた状態でありました。

唾液は、ネバネバした粘液性唾液とサラサラした漿液性唾液があります。粘液性唾液がは交感神経によってコントロールしており、緊張したりストレスを感じることで交感神経が高まり粘液性唾液が多く分泌されます。粘液性の唾液が多くなると口がネバネバして乾いた状態になってしまうので、シェーグレン症候群に加え、自律神経の乱れがドライマウスの症状を増悪していることが考えられます。

施術内容は

①自律神経の調節

②首肩の筋緊張の緩和

③顎や耳の下の経穴に鍼通電を施す唾液腺への刺激

以上を中心に行いました。

施術間隔は週に1~2回。

経過

◇1回目◇

施術中に唾液が出てきた感覚があったが、大きくは変化がない。

◇2回目◇

施術後に唾液が滲み出てきた。その後の食事もいつもより楽に食べることができた。

◇3回目◇

食事中に水を飲む回数が減ってきた。

 

 

 

ドライマウスの鍼灸治療のエビデンス

日本における1997年の研究ではドライマウス・ドライアイが主症状となるシェーグレン症候群患者12例と健常成人群5例に対して顔面部へ鍼を刺して低周波鍼通電療法を10分間行い唾液分泌量および涙液分泌量にどのような影響を及ぼすか比較試験を行いました。報告では、唾液障害重症度によって差異は生じるが、低周波鍼通電療法で唾液及び涙液が増加したという結果が出ています。

別の1999年の研究でも口内感想を訴えるシェーグレン症候群の患者11例を含む32例に足して鍼治療の効果を検証した比較試験があります。その結果、鍼治療1カ月後で25例中18例(72%)の唾液分泌量が著しく増加して、6カ月後では23例中17例(74%)の患者に分泌量の増加が見られました。

これらの結果から鍼刺激による唾液分泌量や涙液分泌量の増加についてはカルシトニンなどの血管拡張物質の作用やアセチルコリンの関与によって唾液腺血管の拡張さらに神経ペプチドの活性化などによって分泌量が増加したと考えられています。

※参考文献
『鍼灸臨床 最新科学』 医歯薬出版株式会社

ドライマウスの原因

ドライマウスの原因は様々なものが挙げられます。最近口がよく乾くと言って放置しておくと大変なこと病気が隠れている場合もありますので一度内科などを受診してしっかりと検査することをお勧めします。

ドライマウスの検査から糖尿病シェーグレン症候群などの自己免疫疾患が分かる場合もあります。

シェーグレン症候群の鍼灸治療について

 

他にもドライマウスの原因となるものにストレスからくる自律神経の状態が良くないことなどや咀嚼時間が短いなども挙げられます。

よく噛むことで唾液は分泌されます。しかし、食生活の変化で近年ではよく噛まない人が増えていると言います。咀嚼は唾液の分泌を促すばかりでなく唾液腺自体が衰えていくことでますます唾液の分泌量が低下してしまうのです。

 

ドライマウスチェックシート

ドライマウスチェックシートに当てはまりお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

不正出血の鍼灸治療

月曜日, 5月 27th, 2024

不正出血とは

ホルモン異常や様々な原因によって、分娩や月経時以外にも性器から出血してしまう事を不正出血と言います。

不正出血と月経時の出血を量やにおいによって見分けることは難しく、月経期間以外におきた出血はすべて不正出血になり、子宮に何かしらに異常が起きている状態なので、必ず病院に受診しましょう。

出血量が大量だったり、腹痛、腰痛、性交時痛、排尿痛、発熱、性器のかゆみ等の症状がある場合は、特に要注意です。

 

不正出血の原因

 

不正出血の原因は、以下のようなものが考えられます。

 

① ホルモンバランスの乱れによるもの

女性ホルモンのバランスが乱れると不正出血が起こります。

特に思春期や更年期といったホルモンバランスが乱れやすい時期に起こりやすいです。

それ以外にも、卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群といった卵巣の病気によって女性ホルモンの分泌量に異常を起こす事があります。

 

②膣の炎症によるもの

クラミジア、淋菌、トリコモナスといった性感染症や、便中の大腸菌が膣内に入り込み感染すると膣炎を引き起こす事があります。炎症によって膣の粘膜が損傷し出血の原因になることがあります。

また、閉経で女性ホルモンが減少し膣粘膜が萎縮し乾燥した状態になる萎縮性膣炎も原因の一つです。膣粘膜の乾燥で、些細な摩擦刺激により粘膜が弱くなることで不正出血が起きることがあります。

 

③子宮の病気によるもの

子宮がん、子宮筋腫、子宮膣部びらん、子宮ポリーブ、流早産や胎盤剥離、子宮外妊娠などの異常妊娠によって不正出血が起こることがあります。

 

女性ホルモンと不正出血のメカニズム

 

 

 

女性ホルモンには、エストロゲンプロゲステロンという2種類があり、エストロゲンは卵胞ホルモンと呼ばれており、乳管の発育、乳汁分泌の抑制、子宮筋の発育と増大、子宮内膜の増殖と肥厚といった作用があります。

プロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれており、乳腺や乳房の増殖、子宮筋の収縮の抑制、基礎体温の上昇させ受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させる作用があります。

この2つのホルモンはバランスが正しく分泌していれば問題ありません。しかし、ホルモンバランスが乱れると不正出血を起こしてしまいます。

 

エストロゲンの作用で子宮内膜が増殖し、ある程度まで内膜が肥厚するとその厚さを支えることができず不安定になります。

そこにプロゲステロンが分泌されることによって、成長した子宮内膜を安定化し肥厚しても崩れないようにしてくれます。

 

しかし、プロゲステロンの分泌が止まってしまうと肥厚した子宮内膜はその厚さを支えられず崩壊してしまいます。それが不正出血になります。

 

また、エストロゲンがの分泌が止まらずに出続けてしまうと、子宮内膜が肥厚しすぎてしまうので、内膜が崩壊し不正出血を起こします

 

逆に子宮内膜を厚くするエストロゲンの分泌が減少すると、子宮内膜が脆くなってしまいます。そうすると、内膜の表面の一部が剝がれてしまい出血が起こってしまいます。

 

不正出血の症状

 

不正出血は、頻度、出血量、血液の色など様々な違いがあります。

色は、ピンク色、黄色、茶色、黒色があり、おりものに血が混ざることもあります。

月経以外で鮮血な出血がみられ、閉経しているのにもかかわらず、出血が起こることもあります。痛みやかゆみを伴うこともあります。

閉経後の出血、痛みやかゆみがある場合は緊急性のものの可能性があるため至急病院への受診する必要がありますが、それに関係なく不正出血がみられる場合は必ず病院へ受診しましょう。

 

不正出血に対する東洋医学的考え

 

不正出血は東洋医学では「心」「脾」が深く関係していると考えられています。

 

東洋医学での心は、

心は血脈を主る(ポンプ作用、新陳代謝)

心は神を主る(思考や分析、判断処理といった意思決定)といった作用

 

脾は、

脾は運化を主る(消化された栄養物質を全身に送る。気・血・津液等の生成)

脾は統血する(栄養物質を脈外に出さないようにする)

脾は四肢・肌肉を主る(四肢や肌肉に栄養する)といった作用があります。

 

飲食したものは気や血に変化し、気血は脾胃の作用でよって体内へ送り運びますが、脾の機能が低下してしまうと、気血うまく運べなくなってしまうので、不正出血がおこります。

また、心の血脈を主るという心臓のポンプ作用が低下してしまうと、血液が十分にまわらなくなり、不正出血を引き起こすと考えられています。

 

脾が血の生成の元を供給し、その血を心が循環させるという役割から、お互いが大きく関係し合っています。そのため、脾の機能が低下すると心に影響を及ぼし、逆に心の機能が低下すると脾にも影響が及んでしまいます。

 

不正出血に対する当院の施術

 

当院での不正出血に対する鍼灸施術は自律神経の乱れや、女性ホルモンのバランスを整えることで不正出血の改善を促していきます。

 

問診

 

 

記入していただいた問診票をもとに、症状やお身体の状態、生活習慣などを確認し、治療方針を組み立てていきます。

 

 

自律神経測定器

 

 

女性ホルモンのバランスは自律神経の乱れと大きく関わりがあるため、測定ご希望の方や必要に応じて施術前に自律神経のリアルタイムの状態を測定していきます。

 

鍼灸施術

 

 

仰向けとうつ伏せの体勢で、自律神経の調整、女性ホルモンの調整、不正出血に関わる経穴を組み合わせ使用した東洋医学的観点の施術を主に行っていきます。

 

不正出血の病院での治療

 

婦人科では一般的に内診により出血量や出血源を確認します。また、子宮や卵巣の状態を確認するため超音波検査、子宮がん検査やおりもの検査、血液検査、尿検査を行います。

検査結果で明らかな異常や腫瘍が見られない場合は経過観察を行うことが多く、不正出血が続く場合はホルモン剤などが処方されます。

 

 

ふくらはぎの痛みの鍼灸治療

月曜日, 5月 27th, 2024

ふくらはぎの痛みの原因

 

ふくらはぎの痛み

■筋肉の損傷が原因のふくらはぎの痛み

・筋肉痛

ふくらはぎの痛みで最も多い原因は筋肉痛です。筋肉痛とは、運動によって傷ついた筋繊維を修復しようとするときに起こります。主に運動量の増加、オーバーワークによって筋線維が耐え切れなくなって損傷します。
・筋肉痛の鍼灸治療について

 

・肉離れ

ふくらはぎの肉離れとは、急激な筋肉の引き伸ばしと収縮が同時に起こり、ふくらはぎの筋繊維が部分的に断裂してしまった状態です。まれに完全に断裂することもあります。
こむら返りと混同されやすいものの全くの別物です。肉離れは筋肉が伸縮性が乏しくなってしまっている状態では起こりやすくなります。

 

■病気や症状が原因のふくらはぎの痛み

・こむら返り

足がつる」と表現されるこむら返りは、主にふくらはぎに起こる筋肉けいれんの総称です。
自分の意志とは無関係に筋肉が持続的な攣縮(れんしゅく)を起こし、多くは激しい痛みを伴います。ふくらはぎの筋肉に起こることが多いですがその他、足の裏、太もも、上体を多く使う方では、指、首、肩などでも起こります。
睡眠中(明け方に多い)に見られるほか、激しい運動中や筋肉を使いすぎた後にも見られます。
どうして、こむら返りが起こるのか、その原因はよくわかっていませんが、一般的にカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質異常やそれらが不足する状態などが原因で起こるといわれていますが。しかし、原因が特定できない状況で起こることもあります。
・こむら返りの鍼灸治療について

 

・坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、お尻から脛、ふくらはぎといった下肢全体に痛みを生じさせることがある症状です。特定の病気を指す言葉ではなく、頭痛などと同じく痛みの総称を意味します。

坐骨神経痛を引き起こす原因は複数考えられます。
どの原因にも共通しているのが、腰椎の異常に伴う坐骨神経への強い刺激や圧迫です。例えば激しい運動や長時間同じ姿勢で座り続けるデスクワークなどが一因として挙げられます。症状としては、痺れを伴った痛みがお尻からふくらはぎのラインに走るケースが見受けられるのが坐骨神経痛の特徴です。
・坐骨神経痛の鍼灸治療について

 

・シンスプリント

シンスプリントは、過度なランニングや繰り返しのジャンプなどが原因で発症する骨膜の炎症です。
シンスプリントは脛(すね)の痛みを指す症状ですが、柔軟性が低下したふくらはぎの筋群(ヒラメ筋など)によって、脛の内側が引っ張られて痛みが生じると考えられています。
そのため、脛の裏側にあるふくらはぎにも痛みが起こることがあります。
・シンスプリントの鍼灸治療について

 

・下肢静脈瘤

足の動脈硬化が原因で、ふくらはぎに血流障害を引き起こしてします症状です。ふくらはぎの血管が狭くなったり、詰まったりし、何もしていなくても痛みが現れることがあります。

 

・閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は徐々に血管が詰まっていくため、初期はふくらはぎのしびれや冷えを訴えます。
進行すると痛みを伴うようになり、長い時間歩くことが困難になる場合もあるため、血管外科のある病院で治療の相談をしましょう。

 

ふくらはぎの痛みの種類

 

 

東洋医学的考え方

痛みは気・血(けつ)・津液(しんえき)など人体の構造成分の流れや量と深い関係にあると捉えています。気は生命エネルギーに近い概念、血は全身を滋養する血液や栄養、津液は体内の水分を指します。ふくらはぎの痛みに関係が深いのは血と津液です。

東洋医学に「不通則通(ふつうそくつう)」という言葉があります。「通ざれば、すなわち痛む」と読みます。体内での気・血・津液の流れがスムーズでないと痛みが生じるという意味です。

量については「不栄則通(ふえいそくつう)」という言葉があり、これは「栄ざれば、すなわち痛む」と読みます。
人体にとって必要な気・血・津液が不足すると痛みが生じるという意味で、栄養や潤いが十分供給されないと、その部分が正常に機能できず、痛みが生じるのです。

また、筋肉や関節のしびれ、だるさ、痛みなどを特徴とした病気を「痺症(ひしょう)」といいます。「痺」という文字は通じない、塞がるといった意味で、体の気血(きけつ)の流れ(神経、血液の流れ)が何らかの原因によって障害を受けていることを指します。

これは、風、寒、湿、熱などの外邪が経絡に侵入し起こると考えられています。

 

 

ふくらはぎの痛みに対する当院の鍼灸治療

 

◇急性症状の場合

痛みの強い部分やその周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液循環を促進し、消炎作用、鎮痛作用を促します。また、必要であれば、鍼に電気を流して電気鍼治療をして痛みを感じる閾値を上げ、痛みを感じにくくする作用を促します。

さらに、ふくらはぎの筋肉の問題は腰背部や臀部、大腿部の筋肉の連動性が大きく関わっているため、その部分にも鍼やお灸をして、筋肉の緊張を緩和しバランスを整えていきます。

 

ふくらはぎの痛みに対する電気鍼治療

 

◇その他の症状の場合

骨盤のゆがみや筋肉のバランスを正常に戻して下肢の血液循環を改善していくことが重要になってきます。

なぜなら骨盤が歪むと足へと流れる神経伝達の乱れにより、筋肉の活動量が減ることで筋肉のバランスが崩れ、ふくらはぎや足の血液循環が悪くなることが多いからです。

腰背部や臀部、大腿部の筋肉の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え下肢の筋緊張を緩め、血行を促進します。また、東洋医学的観点から気・血・津液を補うツボや下肢を栄養する経絡である、腎経、脾経、胆経、膀胱経などの重要なツボも取り入れて施術を行います。

また、自律神経系の調整施術を行うことで、全身的な血行促進、内臓機能や免疫機能を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。

下肢の血流促進鍼灸

 

症例

 

40代 男性

昨日子供とキャッチボールをして、肉離れになった。歩くのもつらい、以前から運動習慣があり、痛めるのは決まって右足。今回も右を痛めた。

病院に行く前に少しでも痛みをとってほしくて来院。

 

当院の治療

うつ伏せでは右腰からふくらはぎ全体に電気治療で痛みの沈静化と筋緊張をとり、血行促進する治療、仰向けでは、常に痛みがある状態だと乱れやすくなってしまう自律神経を調節して自然治癒力を高める治療を行いました。

◇1回目◇

治療後は変化を感じない。

◇2回目◇

前回から3日後に治療を行い、かなり痛みがひき少し歩けるようになった。

◇3、4回目◇

腰から足まで感じていた痛みがふくらはぎのみになった。

◇5回目◇

日常生活も支障がでないほどに回復し、普通に歩けるようになった。

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