へバーデン結節の鍼灸治療

へバーデン結節とは

へバーデン結節とは指の第一関節(DIP関節)が変形し曲がってしまう疾患で、変形性関症の一種です。第一関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟むように2つのコブ(結節)が出来るのが特徴です。

すべての人が強い変形になるとは限らず色々な程度の変形があります。発症は30歳を過ぎたころから多くなり、年齢とともに増加します。痛みや変形の強い方は女性に多いです。

 

症状

第一関節の腫れ、変形、関節の曲がりにくさなどの症状が現れます。ズキズキとした痛みを伴うことが多く、痛みは安静時の痛み、夜寝ているときの痛み、物をつまむ動作の痛みなどがあります。

また、関節に水が溜まるとその付近に水膨れのようなものができることがあり、ミューカシストと呼ばれています。潰れたり化膿することもあり注意が必要です。

 

原因

へバーデン結節の直接の原因は不明です。しかし、病気の性質から変形性関節症の一種であると考えられているため、加齢や使い過ぎが原因となっていると考えられています。また、最近では女性ホルモンとの関連が指摘されています。

指の第一関節には他の関節同様軟骨が存在し骨を守っていますが、年齢とともに軟骨が擦り減り骨と骨との隙間が狭くなり、骨同士が擦れあうことで骨の新たな隆起が生じ、結節ができます。また、骨の変形と共に炎症が生じ痛みが生じます。

へバーデン結節のリスク因子として年齢(特に40歳以降)、家族歴、肥満、痛風、関節への負担などが挙げられます。

 

※女性ホルモンの働き
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨、関節、靭帯、皮膚、血管などに作用し全身を守る役割を果たしています。
エストロゲンの分泌が減少すると手指の関節や関節を包む膜、腱、腱を包む腱鞘などがダメージを受けやすくなり、しびれやこわばり、炎症による腫れや痛みの原因になるといわれています。そのため更年期以降や女性ホルモンのバランスが崩れる妊娠中、産後などは関節などのトラブルが起こりやすいといわれています。

西洋医学的治療

外見上の第一関節の結節性隆起やゆがみ、痛み症状でも診断できますが、レントゲン検査が診断にとって有効です。

関節間隙が狭小化していることで診断します。一般的な治療として保存療法としては、安静(固定も含む)や消炎鎮痛薬、局所のテーピングなどがあります。急性期では、少量の関節内ステロイド注射も有効です。

保存療法で痛みが改善しない場合や、変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合は手術療法が選択されます。手術法には結節を切除するものや関節を固定する方法が行われます。

 

東洋医学的考え方

中医学では筋、関節などの疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を「痺証(ひしょう)」と呼びます。

痺証は四肢経絡が風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの身体の外部からの因子に気血の運行が妨げられて起こると考えられています。

痺証の代表的な種類

・痛痺(寒痺)
寒邪が強い痺証で温めると良くなり、冷やすと悪化する。熱感や赤みが無く痛みが強い特徴があります。

・行痺(風痺)
風邪が一番強い痺証で風邪の性質である遊走性があり、痛いところが変わる遊走痛、冷風に当たると悪化する特徴があります。

・着痺(湿痺)
湿邪が強い痺証で、局所の腫脹、重だるさ、固定痛、雨天での痛みの増加、飲酒での悪化などが特徴です。

・熱痺

関節や筋肉が赤く腫れ熱感を持ちます。発熱、口喝、患部を冷やすと気持ちが良いなどの特徴的な症状が見られます。熱がこもっているため熱を消そうと体が冷たい物を欲します。全般的に熱をイメージする症状が多いことからこの名前が付けられています。リウマチなどの膠原病の活動期によく現れる病証です。

また、痺証は血虚、瘀血(おけつ)腎虚を伴うことが多く、血虚や瘀血は気虚から進展して現れると考えられています。

東洋医学では「肝は筋を主り、腎は骨を主る」との言葉があります。そのため五臓六腑の肝や腎の働きが弱れば筋や骨にトラブルが起こりやすくなるのです。また、腎と肝は支え合う関係にあり、どちらかが弱ればもう片方も弱りやすくなってしまいます。

 

当院の鍼灸治療

内臓機能や免疫機能、血液循環などを司る自律神経の調整やホルモンバランスの調整を行い症状が治癒しやすいお身体の状態へ整える施術や、へバーデン結節の方は首肩周り、胸部、前腕の筋肉が緊張しやすいため、まずその部分の筋緊張を和らげ、手指の血液の循環を促進します。

また、東洋医学的観点から患部に関係する経絡の流れを整えるツボや腎や肝の機能、気血を補うツボも取り入れていきます。

患部である指は感覚が鋭敏で痛みを感じやすいため、基本的にはお灸でアプローチしていきます。鍼を用いる場合は美容鍼など痛みを感じにくい非常に細い鍼を使用していきます。

全身的なバランスを整え、患部やその周囲の血流を良くすることで痛みや腫れ、しびれを緩和する効果や関節可動域制限の改善、変形の進行を抑える効果が期待できます。


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 22:56 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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