後鼻漏(後鼻漏症候群)の鍼灸治療

後鼻漏とは

後鼻漏とは過剰に分泌された鼻水が喉の方へと流れ落ちてくる状態をいいます。
後鼻漏はいくら鼻をかんでも鼻水が前方から出ず、絶えず喉に流れ込んでしまいます。その結果、鼻水を口から吐き出し続けるか、飲み込み続けるしかありません

後鼻漏は鼻の不快感を生じさせるだけでなく、咳・痰の原因になったり、重症化すると食事や睡眠などの日常生活まで支障をきたすこともあります。

 

後鼻漏

 

鼻水の流れと働き

 

鼻腔、副鼻腔から分泌される鼻水は、一日に2~4リットルと言われており、分泌される鼻水は通常では違和感なく喉に流れていきます。

また、鼻腔内には「線毛機能」があり、粘液に付着した異物(花粉、ハウスダスト、細菌、ウイルス等)を排除する働きがあります。

ところが、鼻腔内の粘液が少なく乾燥したり、線毛機能が低下すると、細菌やウイルス感染を起こしやすくなるため、花粉などの異物に対しても過敏になってしまうのです。

 

 

後鼻漏になる原因

 

後鼻漏の原因疾患

 

 

後鼻漏は喉の異常として自覚されることが多いようですが、実際には鼻の問題が多くみられます。鼻水が鼻腔の構造により喉の奥へと流れ込むことで起こります。後鼻漏の原因となる疾患としては以下のようなものが挙げられます。

・副鼻腔炎
顔や頭の骨の中に形成された副鼻腔と呼ばれる空洞に生じる炎症です。副鼻腔内に粘り気のある鼻水がたまり、喉へと鼻水が流れます。
副鼻腔炎に対する鍼灸治療について

 

・アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダストなどのアレルギーの原因物質に対する反応によって鼻水が多くなり、喉へ流れる鼻水の量も増えます。
アレルギー性鼻炎の鍼灸治療について

 

 

・風邪症候群
風邪のウイルスに感染し、鼻やのどの粘膜に炎症が起きると、鼻水の量が増え、喉にもたくさんの鼻水が落ちるようになります。発症時、透明でサラサラしていた鼻水は、時間の経過とともに粘り気のある鼻水に変わり、喉の奥ではりついて、痰の絡んだ咳が出るようになります。また、風邪を引いた後に後鼻漏が続く方もいます。そのような場合は慢性上咽頭炎の可能性があります。
風邪に対する鍼灸治療

 

 

・上咽頭炎
鼻の奥にある上咽頭で炎症が起こった状態です。細菌やウイルス感染などで起こり、後鼻漏の原因となります。

 

 

 

後鼻漏の症状

・鼻水が喉へ流れ込んでくる
・咳き込み・咳払い
・痰がからむ
・痰の吐き出し
・喉の引っかかり
・喉の違和感・不快感
・声がれ
・食事への支障
・睡眠障害

 

などが挙げられます。

 

 

西洋医学的治療

診断
後鼻漏の原因を特定するために内視鏡検査で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、あるいは上咽頭炎がないかを確認します。必要に応じて副鼻腔CT検査やアレルギー検査を行います。
後鼻漏の治療方法は鼻水を発生させている原因を治療することが第一です。

治療
◇アレルギー性鼻炎が原因の場合
・抗アレルギー薬の内服
・点鼻薬
・レーザー治療あるいは日帰り手術
・舌下免疫療法
など

◇副鼻腔炎が原因の場合
・抗菌薬などの内服
・ネブライザー治療
など

◇上咽頭炎が原因の場合
・消炎剤や抗菌薬の内服
・ネブライザー治療
・Bスポット療法(上咽頭擦過治療:EAT療法)
・漢方薬の処方
など

家庭でできる対応

 

加湿器

 

乾燥を防ぐため、マスクや加湿器で鼻やのどの保湿をしましょう。ウイルスや細菌感染の予防には、免疫力を高めておくことが大切ですから日ごろからバランスの良い食事と適度な運動を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。

また、アルコールやカフェインなどの脱水症状を引き起こす物質や、たばこや急激な温度変化もできるだけ避けた方が良いでしょう。口呼吸は喉の乾燥につながるため、鼻で呼吸を行うことも大切です。

さらに、後鼻漏の原因となるアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・上咽頭炎などの諸疾患に対して鼻うがい(鼻洗浄)は予防、症状緩和の効果が期待できると言われています。

 

 

後鼻漏に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では後鼻漏は「胃腸の弱り」が大きな原因として考えられています。東洋医学では痰や鼻水のような病理産物は胃腸で作られると考えています。胃腸の弱りには先天的なものと後天的なものがあり、胃腸が弱いことを自覚されていない方も多くいらっしゃいます。

胃腸には消化吸収することと、体に必要なもの・不必要なものを分ける2つの大きな仕事がありますが、胃腸が弱ってしまうと不必要なものを排泄する力も弱ってしまいます。その不必要なものの代表的なものが病理産物である「痰飲(たんいん)」です。

痰飲とは、人体の基本的な構成成分の一つである津液(しんえき:生命活動に必要な水液)が、水分代謝の失調などにより異常な水液と化したものです。痰飲が鼻の奥や喉に停滞すると、後鼻漏が生じると考えられています。

また、五臓の「」は呼吸をつかさどる臓腑ですが、「皮毛をつかさどる」機能もあり、皮膚や粘膜と深い関係にあります。また、「脾(胃腸)」は食物を消化し、「気血を生む源」である臓器です。五行学説では「脾は肺を生む」とされ母子関係にあたります。つまり、胃腸のエネルギー不足が肺のエネルギー不足を呼び、肺の機能が崩れ、そこから邪気の侵入を許すことで、鼻症状を引き起こします。

その他、「肝」機能低下による熱の上昇が肺の潤いを損傷することや、「腎」の機能低下が呼吸機能や水分代謝を低下させることも関与していると考えられています。

当院の治療

当院では、免疫機能や内臓機能、全身の血流などに大きく関与する自律神経のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経系のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へと整えます。

東洋医学的観点から、五臓六腑の機能を整えるツボや水分代謝を改善するツボ、冷えを除くツボなどを用います。

また、慢性的な後鼻漏のある方は背骨のゆがみや首(頸椎)に異常があることが多く、背骨に配置されている自律神経の乱れが後鼻漏の症状を悪化させたり、首を流れる血管は顔面にも繋がっているため、首の血流が低下することで鼻の血流も同時に低下させてしまうため、後鼻漏の症状を悪化させる原因になります。

そのため、骨盤から背骨の歪みを整え、首肩周りの筋緊張を緩和し、仰向けで鼻周囲のツボに施術を行うことにより自律神経の働きを整え、顔面部、鼻粘膜への血流を促進し鼻の機能を整えていきます。

 

 

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 17:45 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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