声帯に炎症が生じて腫れてしまうことで、声が枯れたり声が全く出なくなったりする疾患です。
声帯炎になる原因の多くはウイルスや細菌感染によるもので、風邪の一部の症状として出ます。
その他に、タバコの吸いすぎやお酒の飲み過ぎ、汚れた空気を吸ったり、歌手や学校の先生、アナウンサーなど喉を酷使する職業の方などが起こりやすいです。
声帯粘膜が炎症により腫脹すると、発生時に声帯がしっかりと閉まらなくなり隙間ができるため、声が出なくなったり、ガラガラした声や、かすれた声になります。
ウイルス感染による場合は、対症療法が基本的な治療法になります。痰も増加することが多いので、去痰薬の内服やネブライザー療法を行います。また、二時的に細菌感染を合併することもあり、その場合には抗生剤の内服も行います。
大きな声を長時間出したり、声の使い過ぎなどで炎症が起きている場合には、ステロイドの内服治療が行われます。その際には、ステロイドによる、むくみや不眠、それに伴う精神・神経症状などが副作用として現れます。
安静を保ち治療をすれば1〜2週間で元の声に戻りますが、声帯に炎症が生じている状態で無理な発声を続けると、声帯に声帯結節ができてしまい、症状が悪化し長引くことがあります。そのため、声帯炎症の治療で最も重要なことは、喉の安静、つまり声を出さないことです。
【声帯ポリープ】
声帯ポリープは声帯にできる血豆のようなもので、大きな声を出した後などにできます。
声を使う職業の方に多く、声帯の使い過ぎによってできます。
【声帯結節】
声帯結節は、声帯の摩擦によってタコのような結節ができ、声が枯れるほかに、喉の痛みも引き起こします。
3ヶ月以内であれば、薬による治療と安静にすることで改善が見込めますが、慢性化すると手術が必要になることもあります。
こちらも、声を使う職業の方に多く、声帯の使い過ぎによってできます。
【甲状腺機能低下症】
喉にある甲状腺の機能低下によりホルモンの分泌が乱れてしまい、声枯れの症状を伴うことがあります。
【逆流性食道炎】
逆流性食道炎は胃酸の逆流によって食道に炎症が起きる疾患ですが、その炎症が喉付近まで達したり、声帯自体が胃酸の刺激を受けることで声枯れが生じます。
【咽頭がん】
初期症状として喉の痛みや違和感の他、声枯れが起こる場合があります。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏厚朴湯には、神経や筋肉の緊張を調整する作用があり、喘息や気管支炎など、喉まわりの炎症や不快感に用いられます。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯には、喉の筋肉の運動を高める作用があり、滋養強壮作用のある生薬や喉の痛みや炎症に効果のある生薬の組み合わせでできています。
声帯炎は、主にウイルスや細菌感染などにより、声帯粘膜が炎症し腫脹してしまう為、発声時にしっかりと声帯が閉まらなくなり隙間ができ、声が出なくなったり、声がかすれたりしてしまう症状が現れます。
鍼灸治療には抗炎症作用・鎮痛作用があるため、鍼とお灸を用いて、炎症の起きている喉周りや、声がかすれて発声しづらい為に負担がかかっている患部・筋肉に刺激を与え、症状の緩和を促します。
また声のかすれに対する治療として、東洋医学の観点からもアプローチします。
声帯炎は東洋医学では五臓六腑でいう『肺』の機能不全を起こしていると考えられるため、『肺』の働きを正常に戻すことが重要になってきます。その他に、声枯れなどの不調がある方は五臓六腑で言う『腎』の働きが弱っている方も多いため、『腎』に関する経絡や経穴も用いて施術を行います。
声帯の開閉時に働く喉頭内の筋肉は、迷走神経によって支配されています。その迷走神経の大部分は副交感神経からなり、頭部・頸部・胸部・腹部にわたる全ての内臓に分布しており、感覚や運動、内分泌の役割を担っています。
副交感神経は、安静時やリラックスしている時に優位になる神経です。ストレス社会と言われている現代では、多くの人が副交感神経の活動が低下していると言われています。
実際に当院にある自律神経測定器で測定すると、多くの方が副交感神経に拮抗する交感神経の活動が優位となっており、声の不調や喉の違和感でご来院される方々も例外ではありません。
自律神経には活動的な時や緊張時に働く『交感神経系』と、リラックス時に働く『副交感神経系』の2つからなり、通常はこの2つがバランスを取りながら働いているのですが、ストレスや過労などを受けるとバランスが崩れ、身体に不調が生じます。
そして喉や声の症状は、ストレスや過労によってトラブルを起こしやすい部分な為、自律神経の乱れを悪化させてしまう可能性があります。
人はストレスを感じたり過労が続くと、自律神経のバランスが崩れます。自律神経が乱れると、倦怠感や動悸、不眠、めまい、しびれ、手足の冷え、慢性症状の悪化などの様々な症状が現れます。
そのため、当院では、治療の前にしっかりと問診を行い、自律神経の状態を機械で測定し、症状や状態を把握した上で治療を行っていきます。
当院には自律神経測定器があり、この測定器では交感神経と副交感神経のバランス、肉体的ストレスや精神的ストレスなどの数値も測る事ができます。測定結果を元に、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。そして、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることで、より治療効果を高めることができます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴や声のトラブルやストレスに対する特効穴を用いて症状改善を目指します。
また、自律神経のバランスを整える事で心身の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、再発や悪化を防ぎます。
声帯炎の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:10 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)