すね(下腿)の痛みの鍼灸治療

すね(下腿)の解剖

すねの骨は、脛骨と腓骨の2つあります。2つの骨は骨間膜や靭帯で繋がれており、その前後外側には筋肉がついています。

すねの代表的な筋肉として前脛骨筋があります。前脛骨筋は足関節を上に曲げる筋肉です。また、前脛骨筋は足関節の硬さと深く関係しています。足関節が硬く、十分に曲がらないと前脛骨筋に常に伸張ストレスが掛かり痛みを起こします。他にも足の指を曲げる長趾屈筋や長母指屈筋、足の指を伸ばす長趾伸筋や長母指伸筋、足を外側に動かす腓骨筋、内側に動かす後脛骨筋、足関節を伸ばす下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)があります。ふくらはぎにある筋肉(長趾屈筋や長母指屈筋、後脛骨筋、下腿三頭筋)の柔軟性が不足すると、足関節は正常に曲がらないため、結果としてすねの痛みを引き起こします。

考えられる病態

シンスプリント

ランニング動作や長時間立ち続けることで筋肉の使い過ぎ(オーバーユーズ)により、筋肉が付着している骨間膜で炎症が起きることで痛みが発生します。

履物やインソールによっても発症しやすくなり、硬い素材の上を走ると更に発症しやすくなります。

主な原因は後脛骨筋が固くなることで、後脛骨筋が付着する骨間膜を過度に引っ張ってしまうことで痛みが出ます。

 

脛骨疲労骨折

ランニング動作やジャンプ動作のオーバーワークにより発症します。ランニングのオーバーワークでは脛骨の上部と下部に疲労骨折が起きやすく、ジャンプ動作では脛骨の中央に疲労骨折を起こしやすいです。この疲労骨折では常に鈍い痛みを感じ、歩行中は踵を着いた時に痛みの増悪を認めます。

 

足底筋膜炎

足の裏の筋膜に過度な張力が反復的または長時間かかることで痛みを引き起こします。下腿三頭筋は足底の筋膜がかかと(踵骨)を経由して繋がっています。そのため下腿三頭筋の硬さも足底筋膜炎の要因となります。また、足底筋膜炎が長期間続くと骨棘を形成します。その場合、痛みが増悪する可能性があります。

 

コンパートメント症候群

急性と慢性があり、急性では骨折や激しい内出血により筋区画の内圧が上昇して中の神経や血管を圧迫して知覚麻痺や運動不全が起こります。神経や血管の圧迫が更に続くと末梢の組織に栄養や神経伝達が行かず筋壊死や神経障害を起こします。

慢性の場合は、急激な筋肥大や過度な運動による筋血流量の増加によって起こります。成長期や筋肥大を目的としてトレーニングをしている方、強度の高いスポーツを日常的に行っている方に見られます。慢性の場合も知覚麻痺や運動不全が見られます。ただし急性とは異なり

 

足関節捻挫

すねの痛みは足関節の硬さによっても起こります。そのため足関節捻挫後に適切な可動域訓練を行わないと足関節は硬いままとなり慢性的にすねの痛みを感じ続けます。

足関節捻挫は内側にひねる内反捻挫と、外側にひねる外反捻挫があります。足関節の捻挫ではその大半が内反捻挫です。足関節内反捻挫では関節の外側の靭帯が引き伸ばされ損傷します。更にすねの骨の脛骨と腓骨の間の靭帯損傷も合併しやすく、捻挫後は適切な治療と可動域訓練を行わないと足関節が硬くなります。

東洋医学的な考え

すねには、胃経と呼ばれる経脈(ツボの並び)があります。胃経とは、西洋医学的な臓器の胃と似た働きがあり、臓器の胃に問題がある場合にすねに痛みを感じることがあります。

原因として、

・暴飲暴食

・胃炎

・ストレス性胃潰瘍

・胃食道逆流症(GERD)

などがあります。

これらにより胃経の気血の疎通が滞ることで、すねに痛みが出ます。

 

すね(下腿)の痛みの鍼灸治療

すねの痛みに対する治療では、すね・足関節を中心に施術をしていきます。

治療の対象となる筋は主に前脛骨筋です。鍼やお灸で前脛骨筋の緊張を取り張痛を取ります。また、ふくらはぎの硬さがあればこちらにも鍼灸をしていきます。

東洋医学的観点から胃経のツボも合わせて使い、胃経の疎通を図ります。

主に使うツボ

・足三里

・豊隆

・中脘


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 20:46 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

お問い合わせはこちらから
ここをタッチするとすぐにお電話が出来ます
メールでのお問い合わせはこちらから