下肢静脈瘤の鍼灸治療

下肢静脈瘤とは

 

下肢静脈瘤は、脚の表面を走行している静脈がこぶ状にボコボコと盛り上がってしまう症状で、年齢とともに増加し、女性特に妊娠を契機として発症することが多いのが特徴です。

また、長時間の立ち仕事、スポーツ選手、重い荷物を扱う職業の人に下肢静脈瘤は多い傾向があります。

好発部位は、膝裏、太もも、ふくらはぎで、75歳以上の75%の人が悩まされていると言われています。

静脈の構造と働き

 

静脈は動脈と同じ内膜、中膜、外膜の三層構造をしており、全身から血液を心臓に戻すため弾力性があり中膜が厚い動脈と違って、静脈は収縮の必要がないため血管壁は柔らかく中膜も薄くできています。

四肢の太い静脈には複数の静脈弁がついており、血液の逆流を防ぐ役割を担っています。

動脈は心臓から血液を全身に送り、いくつもの細動脈に分岐し毛細血管が酸素や栄養などの物質を組織に供給します。酸素や栄養などの供給を終えた血液はまた毛細血管を介して静脈へ流れ大静脈通り心臓に戻っていきます。

 

下肢静脈瘤の種類

 

①伏在静脈瘤

下肢静脈瘤の中で一番多いものが伏在静脈瘤になります。

伏在静脈は下肢や太ももの内側を走行する大伏在静脈と、ふくらはぎの裏側から膝裏まで走行する小伏在静脈があります。これらの静脈の弁が壊れたりすることで機能しなくなり静脈瘤が発生します。

伏在静脈瘤の場合、ふくらはぎに起こることが多いです。

 

②側枝静脈瘤

側枝静脈は伏在静脈から枝分かれした静脈で、さらに分岐した先の枝の一部が膨らみ静脈瘤になったものをいいます。

これもふくらはぎに出現することが多いですが、側枝静脈瘤の場合は伏在型よりも細く範囲も狭いのが特徴です。そのため伏在型より症状も軽いことが多いです。

 

③網目状静脈瘤

皮下の浅い所を走行する静脈が拡張したものが網目状静脈瘤です。

網目状に見えるためこうのような名前で呼ばれています。

他のタイプの静脈瘤と違いボコボコした血管の隆起は無く、青色に浮き上がっているように見えるのが特徴です。

 

④くもの巣状静脈瘤

くもの巣状静脈瘤は別名スパイダースキンと呼ばれており、皮膚の浅い部分にある直径1㎜以下の非常に細い真皮内静脈や毛細血管が拡張し、くもの巣のように放射状に拡がって見えます。青白く見えたり、赤紫色に見えることもあります。

 

下肢静脈瘤の原因

 

下肢静脈瘤の原因は足の静脈の働きが低下し、血液の流れが停留することで起こります。

 

人間のふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、筋肉を動かすことでポンプのように下肢の血液を下から上へ心臓に流し戻す働きがあります。しかし、加齢での筋量低下、長時間の立ち仕事や座り仕事で足の筋肉を動かさない事が続くと筋ポンプ作用が働かないため血液が流れず下肢に溜まってしまいます。血液が溜まって静脈が拡張することでコブができてしまいます。

また、静脈の中には血液の逆流を防止する弁が存在します。この静脈弁は八の字をしており下から上へは流れますが、上から下へは流れない一方通行の仕組みをしています。

 

しかし、この弁が何かしらの原因により壊れてしまうと血液が逆流してしまい静脈瘤になってしまいます。この静脈弁は一度壊れたら再生することはできません。

静脈弁が壊れる原因はまだはっきりと解明されていませんが、妊娠経験者や中高年の女性に多いため女性ホルモンの変動が関係しているのではないかという意見もあります。

また肥満や長時間の立ち仕事、加齢、家族性に発生することも多いため何らかの遺伝的要因の可能性も示唆されています。

 

 

下肢静脈瘤の症状

 

下肢静脈瘤の症状は、血管がボコボコと腫れ上がる事や網目状やくもの巣状に浮き出る以外にも、足のだるさ、足のむくみ、足の痛みや重たさ、足がつる、足の冷え、足のほてり等があります。

これらの症状は、夕方から夜間にかけて起こりやすく、左右の足でもそれぞれ違う症状が出ることも少なくありません。

また、足の傷が治癒が遅くなる、足の湿疹ができやすい、虫刺されのような痕が長く残る、色素沈着という症状が起こる事もあります。

網目状静脈瘤と、くもの巣状静脈瘤はこれらの症状を伴わない事が多いです。

 

下肢静脈瘤の東洋医学

 

東洋医学では下肢静脈瘤のような水分代謝の低下を湿邪が原因と考えられています。

湿邪は雨や曇りの気候により体外から侵す外湿と、暴飲暴食により体内から侵す内湿があります。

五臓六腑のは水分代謝や消化吸収といった胃腸機能を担っているのですが、この脾は湿に侵されやすい臓器のため、低気圧や暴飲暴食で湿邪が体内に増加すると脾に負担がかかり水分代謝や消化機能が低下してしまうのです。

 

この湿邪の特性の1つは重く沈着性があるという事です。そのため湿邪に侵された部位は重だるさといった症状が現れます。

また、その重さのため下降して流れ込む特徴もあり、足にその影響が受けやすいのはそのためと考えられています。

湿邪は粘膩性という粘り気があるものとも考えられており、ジメジメした雨の日や湿度が高い日に悪化するのはこのためと言われています。

その粘り気の強さのため一度体内に入ると定着してしまい、慢性化し病気が長引いてしまうという特徴もあります。

 

当院の下肢静脈瘤の治療

 

まず、血流をコントロールしている自律神経の調節を目的とした施術を行います。

自律神経を整えることで全身の血液循環を促進させていきます。

次に下肢の筋肉に刺鍼し低周波の電気で刺激します。鍼に低周波を流すことにより筋肉を収縮させ筋ポンプ作用を起こすことにより、下肢の静脈にうっ滞した血液の流れを促していきます。


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:19 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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