当院の頻尿に対する治療の目的は、第一に膀胱・腎に関するツボに鍼やお灸で気血の流れをよくします。

また湿熱の邪気によって頻尿が引き起こされている場合は、それらを体外に出す治療が必要になってきます。また腎精を補う治療も行います。
頻尿は部分的に原因がある場合ばかりではなく、全身性の衰えや気血の滞りが原因の場合もあるので全身を診て治療していきます。それは東洋医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。頻尿の鍼灸治療は中国では有効とされています。
また、過度なストレスによる精神的なストレスも頻尿と深いかかわりがあると考えられます。普段でも緊張する場面、重要な会議の前やプレゼンテーションをする前などでトイレの回数が増えることがあります。それは、緊張状態により自律神経の状態が交感神経が優位の状態となっているからです。
日常生活でも交感神経が優位の状態が長く続いてしまうとトイレに行く回数が増えてしまうということです。そこで当院では、自律神経の状態を自律神経測定器で計測していき施術をしていきます。特に夜間頻尿によって睡眠時間が減っていたり、浅い睡眠となってしまっている場合は悪循環でさらに自律神経のバランスが乱れていることが予想されます。当院では、頻尿に対する施術でも自律神経調整治療で自律神経の状態も整えることも重要だと考えております。
また、膀胱も筋肉でできているため冷えている状態ですと筋肉が縮こまりやすくなってしまい、膀胱が蓄えることができる尿の量が減ってしまいます。そこで当院では、下腹部辺りの経穴にお灸をして温めることで膀胱が縮こまってしまう状態を防ぎます。

基本的にまず仰向けとなり、自律神経調整治療や下腹部を温めるお灸を施して次にうつ伏せとなり、背中にある東洋医学の「腎」や「膀胱」に関する経穴を刺激していきます。
当院の頻尿の治療目的は、トイレに行く回数を正常に戻して、日常生活への負担を少しでも減らすことです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも頻尿が回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。

東洋医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。
ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。
ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。
70代 男性
一晩に2回から多いと4回も起きてトイレに行くとのこと。病院で検査したが前立腺肥大など器質的な原因は見つからずに何か治す方法はないかと鍼灸に興味を持ちご来院されました。
日中起きている時間も頻繁にトイレに行く。だいたい夜は11時に寝て朝6時に起床。よく夜中2時と4時ごろにトイレに行きたくなる。夜中起きてしまうため睡眠の質も低下。日中頭がさえないことも多い
治療
自律神経測定器で初診時に自律神経の状態を測定してそれを踏まえて治療を行っていきました。
膀胱経のツボやお腹周りの自律神経調整と頻尿に効果的とされるツボを用いて治療していきました。うつ伏せ時には、背部兪穴の膀胱兪と腎兪、肝兪、脾兪などを使用、下肢後面の膀胱経のツボも多く使用して治療していきました。
また、お腹が冷えてしまうと膀胱の容量が小さくなりがちなので緩い腹巻を寝る際につけてお腹をできるだけ冷やさないように指導しました。
5回目の治療後辺りから徐々に夜中トイレに行く回数が減り始め睡眠の質も向上していきました。
10回目の治療後には、一回も夜中トイレに行かない日も出てきました。
60代 男性
数年前から就寝中にトイレに起きる頻度が増え始め、少しずつ回数が増加してきた。
ここ最近では、尿意が切迫し我慢ができない程悪化している。
病院で検査してもらったが、前立腺肥大など異常はみられなかった。
もともと不眠症でもあり、布団に入ると仕事や他の事が気になり、気が高ぶってしまい眠れないことが多々ある。仕事でのストレスも強く感じる。
夜間トイレに起きる回数は5回、6回ぐらいで、トイレに行っても少量しか出ない。
ひどい時は、2時間程度しか眠れない時もある。
当院の施術
自律神経の乱れの乱れの疑いがあったため、自律神経測定器で現在の状態を確認していきました。
測定の結果、夜の時間にもかかわらず交感神経が強く働いており、逆に副交感神経の働きが弱い状態でした。
また、血管年齢も高く出て、足の冷えもあるという事なので、血流が悪いのも要因の一つと考えました。
まずは、自律神経を整える施術、血流を促して足の冷えを改善する施術を行いました。
次に、腰や臀部周り、お腹、足にある頻尿に効果的なツボに鍼で刺激をしていきました。
経過
1回目
施術した夜は1回しか目覚める事がなく、熟睡できた。
2日目以降はまた少しづつ戻ってしまった。
2回目
トイレに行く回数が減ってきた。
3回目
夜間トイレに行く回数が3回程度に改善してきた。
4回目
お酒を飲むとトイレに起きる回数が少し増えるが、それ以外は落ち着いている。
5回目
気温が低下して、またトイレに起きる回数が増え始めた。
6回目
トイレに起きる回数がまた減ってきて、よく眠れるようになってきた。
7回目
夜間にトイレに行く回数が1回~2回と安定している。
頻尿とは正常よりもトイレが近く尿の回数が多いことをいいます。膀胱の容量は成人で700mlの尿を蓄えることができ、排尿回数は4~7回、排尿量は1000ml~2000mlが正常とされています。
しかし、水を大量に飲めばそれだけトイレの回数も量も増えていきます。さらに老人になれば、腎臓の尿濃縮力が低下するので尿の回数は多くなりがちで特に夜間にトイレに行く回数が増えてきます。
よって頻尿は自分の普段の状態と比べて回数が多いか少ないかで判断しますが、目安として昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上合計で8~10回以上トイレに行く状態は頻尿といえるでしょう。厳密にいうと尿量も排尿回数も多い場合は頻尿ではなく多尿と言われ、尿崩症や糖尿病、慢性腎不全などが疑われます。頻尿というのは、尿量自体は普通ですが、排尿回数が増える場合です。頻尿の症状に加え、残尿感や尿意亢進(尿が少し溜まってもトイレに行きたくなる)などが表れる場合もあります。
頻尿の起こる原因として膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に原因がある場合と精神的ストレスで起こる場合とがあります。尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手掛かりになります。
排尿時に痛みや不快感、残尿感を伴うようであれば膀胱炎や前立腺炎が疑われます。また中高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出ても少しずつしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。
何らかの精神的な緊張が原因となって頻尿となる場合もあります。これは高齢者には割と少なく、中年から若い人、子供に多い疾患です。
ⅰ)膀胱炎による頻尿
頻尿患者数で一番多いのが膀胱炎です。頻尿以外に排尿時の痛み、残尿感、血尿が特徴的です。腎臓で造られた尿は、膀胱に送られる間にほとんどが再吸収され、尿管を通り、膀胱に蓄えられます。尿を体外に出す際に通る管を尿道といい、男女で著しく異なります。女性の尿道は短く、男性の6分の1程度であるため、体外からの細菌が膀胱に達しやすく女性は膀胱炎を患いやすいといえます。
ⅱ)前立腺肥大症による頻尿
前立腺とは膀胱の出口付近から尿道を取り囲むようにあるクルミ大の実質臓器です。男性にしか存在しません。前立腺は乳白色の液を分泌するが、この液は射精の際に精巣から来た精子を薄めるとともに精子の運動を活発にする役割を果たしています。前立腺は尿道を取り囲むようにあるので前立腺が何らかの原因で肥大すると頻尿(特に夜間頻尿)や尿道を圧迫して尿が少しずつしか出なかったり、排尿しようと構えてから実際に尿が出るまでに時間がかかったりします。
ⅲ)神経性頻尿
誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。神経性頻尿は精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や電車などでトイレを我慢した経験をきっかけに尿意に対する恐怖感が植え付けられてしまった結果、何度もトイレに行くようになります。神経性頻尿は比較的女性に多く、頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感や痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが検査しても尿の異常は認められません。
中医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。
ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。
ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。
結膜とは上下のまぶたの裏側と、白目(強膜)の表面を覆っている半透明の膜で皮膚に似た構造をしています。
細かい血管が豊富に存在し、リンパ組織という免疫反応(体が異物に対して反応すること)を起こす組織があります。また、目の表面は涙によって常に潤されており粘膜としての性質があります。
結膜は直接外界と接しているので、様々な病原物質にさらされやすい環境にあります。結膜炎には感染で起こる細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎など様々な種類があります。

・細菌性結膜炎
原因
原因となる細菌には、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、淋菌(りんきん)緑膿菌(りょくのうきん)など、様々なものがあります。
症状
細菌の種類によって多少異なりますが、粘性の黄色みがかった目やにが多く出て、流涙が起こります。重篤な場合には、細菌性角膜潰瘍(さいきんせいかくまくかいよう)が出来て激しい眼痛を起こしたり、菌血症(きんけつしょう)や髄膜炎(ずいまくえん)などの全身の病気に至るものもあります。
・ウイルス性結膜炎
原因
アデノウイルス、エンテロウイルスなどのウイルス感染で起こり、様々な種類の結膜炎があります。
・流行性結膜炎(はやり目)
感染力が強く、昔から一般的に「はやり目」と呼ばれているものです。アデノウイルス(8型、19型、37型、54型など)の感染で起こり、感染してから1~2週間遅れて症状が現れます。突然目に何か入ってるいるかのようにゴロゴロしたり、充血、まぶたの腫れ、たくさんの目やにや涙が出て眼痛を伴うこともあります。10日ほどしてから角膜に炎症が起こり目がかすむこともあります。
・咽頭結膜炎(プール熱)
アデノウイルス(3型、4型、7型など)の感染で起こります。夏かぜとして流行することがあり、プールなどで広まることが多いためプール熱とも呼ばれています。
白目の充血や目やにといった目の症状は流行性結膜炎より弱い反面、のどの痛みや39度前後の発熱などの呼吸器系の症状がみられます。
・急性出血性結膜炎
エンテロウイルス(70型)やコクサッキーウイルス(A24変異型)などエンテロウイルスの仲間による感染で起こります。感染から一日で症状が現れ、充血、目やに、異物感などが出現し、結膜下出血が起きると白目が真っ赤になるためこの病名が付いています。
・アレルギー性結膜炎
アレルギーとはある特定の物質に対して過敏に体が反応することをいい、原因となる物質が体に入ると、かゆみや充血、眼の異物感、目やにや涙が出るなどの症状が起こってきます。
最近の報告によれば、日本では全人口の約15~20%がアレルギー性結膜炎を有していると推定されています。アレルギー性結膜炎は一年を通して起こる場合(通年性)と、ある季節にだけ起こる場合(季節性)があります。
原因
通年性のもので多いのはダニやカビ、ハウスダストです。その他イヌやネコの抜け毛やフケなどがあります。また、季節性の原因の代表はスギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどによる花粉が主です。
細菌性結膜炎の場合
病状から、炎症の原因となっている菌を推定して適応した薬剤が用いられますが、通常は色々な種類の細菌に有効な抗生物質の点眼薬や軟膏が用いられます。
抗生物質使用の際は点眼薬を用いるのが基本ですが、淋病やクラミジアが原因になっている場合は内服薬の追加が必要です。
ウイルス性結膜炎の場合
ウイルス性結膜炎の場合、結膜の細胞のウイルスを効果的に排除する薬剤は有りませんが、不快な症状を和らげるために炎症を鎮める効果のある非ステロイド性抗炎症点眼薬やステロイド点眼薬が用いられます。
また、抵抗力が落ちている結膜に細菌が感染しないように予防的に抗菌点眼薬、抗生物質の点眼薬が使用されることがあります。
アレルギー性結膜炎の場合
アレルギー性結膜炎の治療は基本的に薬物療法になります。治療には抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、メディカルエディエータ遊離抑制薬)が主に使われます。
重症の場合にはステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬を使用する場合もあります。また、目薬だけで症状が改善しない場合抗アレルギー薬を内服することもあります。
疲労やストレス、生活習慣の乱れなどで自律神経のバランスが乱れていると、免疫力が低下して細菌やウイルス感染を起こしやすくなったり、症状が長引いたり、免疫機能が乱れてアレルギー症状が起こりやすくなります。
そのため、当院では最初に自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
内臓機能や全身の血液循環、免疫機能などを司る自律神経系の調整施術を行うことで、自然治癒力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態を整えます。
また、目へと続く動脈が圧迫を受けやすい首や肩周囲の筋緊張の緩和と、目の周囲の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液の循環を促進し抗炎症作用を促すことで、結膜炎の症状を和らげ、治癒を促進する作用を促します。

症例
50代 男性
2週間前から両眼がゴロゴロした痛みが出はじめ、充血が酷くなってきた。
眼科に受診し結膜炎と診断され、点眼薬の治療を行っているが完治まで少し時間がかかっているため、いち早く完全に治したいと思い当院を受診した。
初めの頃よりは少しづつ改善し、目ヤニは出なくなったが、まだ目の痛みや充血が治まっていない。
普段はパソコン作業が多く、目を良く酷使している。また夜遅くまで仕事をすることもあるため寝不足になりやすい。
首肩コリは触ると硬いとよく言われるが、あまり自覚がないため今までケアをした事がない。
当院の施術
寝不足が原因で免疫力や自然治癒力が低下していると判断し、それらに関係する自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認しました。
夜20時に測定したにも関わらず、免疫力や自然治癒力を担う副交感神経の働きが非常に低下していました。
そのため、まずは自律神経の調節、とくに副交感神経を高める施術を行いました。
次に眼の血流を促進するため首肩の筋緊張を緩める施術、眼の周囲に刺鍼し鎮痛を促し、お灸を同時に行うことで炎症を抑える施術も行っていきました。
経過
1回目
眼の痛みが少し軽減したような気がする。
2回目
眼の痛みが楽になってきた。
3回目
眼の痛みはだいぶ楽になり、気になる頻度も減ってきた。
充血はまだ残っている。
4回目
痛みは少し残っているが、ほとんど気にならなくなってきた。
充血も少し引いてきた。
5回目
痛みは完全に消えた。
充血も少し残っているが、あと少しでなくなりそう。
6回目
痛み、充血共に完全に消失した。
生体は何らかのストレスを受け、常にストレス状態にあると考えられます。
つまり、ストレスのない人などはいなく、ストレスの強度が重要な意味を持つ
といえます。
適度なストレスは人間の活動性を高め生活を豊かにしてくれます。
一方でストレスレベルが過剰な状態では、上記にあげた身体的症状や精神的症状
が出現し、最終的に度をこすと疾病という形で現れるのです。
適度なストレスがあり心身ともに健康な状態が理想的な状態といえます。
そのうえで過度なストレスを抱えている人に鍼灸施術を行うと以下の変化がみられます・

鍼灸施術後、多くの患者の気分は全般的に陽性気分(いい気分・爽快・心地よい)に傾く研究結果が出ています。
鍼灸治療の特徴は、経絡経穴(ツボ)を用いて、マイルドな物理的刺激を生体に作用させることによって全身の機能を調整していきます。鍼による置鍼刺激やお灸の温熱刺激・適度な刺激量の鍼通電刺激を行うと、脳波のα波が増大します。
α波は閉眼時に発生する脳波でリラクゼーション状態を誘導する一つの指標になります。

鍼灸治療および鍼通電刺激は、快ストレスとしての作用が期待できます。
仕事や日常生活を送るうえで、ストレスは一種、体のバロメーターてきなものであると
私は考えます。
過度なストレスは病気の原因や心身の不定愁訴の原因になりますが、
ストレスが何もない・・という環境もすこし問題といえますね。
現代の鍼灸治療は体感的なアプローチをとっていますが、身体的な感覚だけでなく
精神的反応も取り込んでいるといえそうです。
ストレスで心身共に疲れた時は鍼灸施術も効果がありますので一つの手段と考えて頂けたらと思います。
現代社会ではストレスを多く抱えている人はかなり多いです。ストレス社会といわれ、職場や家庭でのストレスを発散せずに溜め込んでしまって様々な悪影響が身体に出ます。
当院でも『ストレス』から起因する症状で来院される方も少なくありません。
当院では、ほとんどの患者様に対して初診時に自律神経測定器を用いて『ストレス指数』をチェックしていきます。驚くのは自分では日々の生活の中で全くストレスに感じていない場合でもストレス指数が高く出る場合が多々ある事です。
ストレス指数が高い人ほど、症状が強くでていたり、複数あったりすることは多いです。

東洋医学の予防医学の観点からしますと
このストレスをいかに処理するか(発散させるか)、もしくはストレスに対して強い体質をいかにつくるか(ストレス対処能力の向上)がとても重要になってきます。
ストレスが溜まって起きてしまう精神疾患の代表としてうつ病が挙げられます。うつ病患者はこの10年の間に50万人から100万人に倍増したと言われています。
産業精神医学の分野では90年代以降に『ストレスが原因でうつになる』という考え方が定着してきました。
かつてうつ病は仕事のしすぎや、仕事のプレッシャーなどでおしつぶされるケースが多かったように思えます。しかし今の若い世代のうつ病の症状は承認欲求がみたされないことや、コミュニケーションで承認を得ることができないことなどのことからくるケースが多いです。
承認欲求が満たされない⇒ストレス⇒うつ病・不定愁訴という構図ができている
といえます。このストレスを取り除くことで、身体におこる各症状を改善していくわけです。
しかし、承認欲求が満たされないと、先ほどの流れを繰り返してしまいますから、生活習慣や職場環境なども変えていく必要があるといえます。
『ストレス』は、もともと物理学用語で物体に力が加わった時に生じる
『ひずみ』のことさします。
丸いボールがあり、ボールを指で押すとへこみます。
このへこみの状態をストレス(ストレス反応)といい、押した指のことをストレッサーと言います。
これをカナダの医学博士のセリエが医学領域で用いたことにより、浸透していきました。
普段はストレスの原因となるストレッサーのことを『ストレス』と呼んでします。
ストレスが限度を超えて加わると身体や心に様々な症状が出ます。
身体的症状
・吐き気
・頭痛
・下痢
・便秘
・不眠
・蕁麻疹
・アトピー
・生理不順
・腰痛
・肩こり
精神的症状
・イライラする
・落ち着きがない
・不安感
・やる気がでない
・集中できない
・怒りやすい
身体的症状や精神的症状以外にもストレスに起因する症状はたくさんあると言われています。その代表的な疾患としましては自律神経失調症や頭痛・神経痛、過食症や拒食症などが挙げられます。
自律神経失調症
ストレスが加わると、頭痛・耳鳴り・めまい感・嘔吐・睡眠障害・食欲不振などの自律神経失調症の症状が出ます。自律神経失調症の場合ですと、長時間のストレス環境下にいることやストレスに対して抵抗力が落ちていてる状態の時、ストレスが強いものであったりする場合におこりやすいです。
頭痛・神経痛
ストレスが加わると体内のストレスホルモンが分泌され、頭痛の症状をきたすことは多いです。
過食症・拒食症
過食症の原因のひとつとしてストレスが挙げられます。
過食症は簡単に言うと、食べすぎてします症状です。
ストレスを感じることにより、欲求不満を食べることによって解消しようとしてなることがおおいです。
拒食症も大きな原因としてストレスが挙げられます。
拒食症は神経性食欲不振症とも呼ばれ、対人関係のトラブルからくるストレスや
過去のトラウマが影響している場合もあります。
精神的・身体的な過度なストレスによって発症する危険性の高いうつ病に鍼治療などでのツボの刺激が効果的とされる研究結果が出ています。
イギリスのヨーク大学の研究で2013年にうつ病患者755人を対象にした研究が行われています。
鍼治療を取り入れたグループとそうでないグループとに分けて3か月後の心身の健康スコアを比べたところ鍼治療を受けていた群のほうが大きくスコアの改善が見られたとのことです。
ツボ押しはご自身でもできますので、最近ストレスが溜まっていると思われる方はぜひ実践してみてください。
『百会』のツボ押し
百会は頭頂部に位置するツボで「百」もの経絡がそこで「合」うということから「百会」と名付けられています。とても重要なツボで様々な疾患に対して刺激されるツボです。
自律神経の働きにも良い影響を与えて自律神経の活動を整えてリラックス効果が期待できます。また気分がなんとなく落ち込んだりといった軽いうつ状態にある際にも有効です。
ツボの押し方は、両耳の上端に親指を押して中指を頭頂部に持っていき両手の中指が交わったところで押していた気持ちいい箇所を探します。
その部分をゆっくりと深呼吸しながら押すようにしてください。
症例
30代 女性
職場の部署が変わり、一気にストレスが増えた。そのせいか、睡眠や食欲にも影響がでていて1ヶ月で3キロ体重が減った。
原因は忙しさと人間関係と両方で感じており、転職を考えている。
今はとにかく生活リズムを元に戻したいと思い来院。
鍼は初めてだが、効果があるなら多少の痛みは我慢する覚悟をしてきた。
当院の治療
治療の前に自律神経測定器で今の状態を測定したところ、ストレスと疲労の値がかなり高く、自律神経の調節機能が低下している結果がでました。
問診時にストレスが身体の症状に深く関係している事と、それが原因で自律神経の乱れに繋がっている事を説明し、自律神経の調節治療をメインで行っていきました。
治療経過
◇1回目◇
思ったほど痛みがなくて安心した。
◇2回目~7回目◇
治療後は眠れるが、すぐに戻ってしまう。食欲に変化はない。
◇8~13回目◇
まとまった睡眠時間がとれる日が増えた。食欲も前に比べて食べられるようになった。
◇14回目◇
もとの生活リズムが取り戻せてきた。
水が滞って溜まっている状態です。
体重の60%は水と言われます。体にある水分というと真っ先に思い浮かぶのは血液ですが、血液は体重の7%程です。残りの53%は、細胞の中に40%含まれ、組織間質(細胞と細胞の間にある隙間)に13%の水分が存在します。
この組織間質に存在する13%の水分量が増えることで浮腫(むくみ)として現れます。
浮腫の種類には局所性の浮腫、全身性の浮腫、特発性の浮腫、生活習慣性の浮腫があります。
局所性の浮腫
・リンパ性浮腫(象皮病、悪性腫瘍リンパ節転移)
・静脈性浮腫(深部静脈血栓症、慢性静脈不全症)
・血管神経性浮腫(クインケ浮腫)
・炎症アレルギー
全身性の浮腫
・心原性浮腫(心不全)
・肝性浮腫(肝硬変、劇症肝炎、脂肪肝炎)
・腎性浮腫(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、腎不全)
・内分泌性浮腫(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、月経前浮腫)
・薬物性浮腫(経口避妊薬、抗炎症薬、血管拡張薬)
・低栄養性浮腫(蛋白漏出性胃腸症、脚気、摂食不良)
・妊娠
特発性浮腫(原因不明の浮腫)
生活習慣性の浮腫
・運動の不足
・食事の偏り
ここでは、来院される患者様の悩みで多い「内分泌性浮腫」と「生活習慣性の浮腫」について詳しくお伝えします。
「内分泌性浮腫」
◯甲状腺機能低下症
甲状腺ではホルモンを作り、全身に働きかけて代謝活動や精神活動を維持する働きがあります。この甲状腺の働きが低下する疾患です。原因は3つあり、甲状腺自体に異常がある場合(原発性)、下垂体や視床下部(甲状腺に司令を出す上司的な部位)に異常がある場合(中枢性)、甲状腺から出たホルモンが正常に働かない場合(ホルモン不適応性)です。
特に自身の免疫力が、間違えて自身の甲状腺を破壊してしまう疾患は慢性甲状腺炎(橋本病)と呼ばれます。橋本病の多くは女性に発症し、男女比は1:20以上です。30〜50代に多く、女性の10人に1人という高い確率で起こります。
女性の下肢の浮腫は原因が多岐に渡ります。もし下の症状が複数合わせて見られるようでしたら甲状腺機能低下症かもしれません。
・全身症状:寒さに弱い、手足が冷える、汗をかきにくい、声が掠れる(嗄声)、全身の怠さや疲労感、体重の増加、月経異常など
・精神症状:やる気が起きない、物忘れが増えた、話し方がゆっくりになった
・消化器症状:食欲の低下、便秘
・皮膚症状:硬い浮腫 (粘液水腫)、皮膚の乾燥、頭髪の抜け毛、眉毛外側1/3の脱毛
甲状腺のホルモンは心と体の両方に深く関わっているため、活動量が減り元気の無さが見られます。また粘液水腫といい、脛を押した時に凹み(指の痕)が出来ない事も特徴的です。

「生活習慣性の浮腫」
◯運動の不足
血液を含む体の水分は重力によって下へ流れやすいです。逆に心臓に血液を戻すときは重力に逆らって送らないといけないためとても負担になります。この負担を担っているのがふくらはぎの腓腹筋を始めとする下肢の筋肉です。筋肉が収縮と伸長を繰り返す事で過剰な水分や血液を心臓に戻しています。
・運動の不足
・脚を組む
・冷え
・立ちっぱなし
・座りっぱなし
・足首の硬さ
・股関節の硬さ
これらがあると十分に筋肉が働かず、浮腫が現れます。
◯食事の偏り
普段摂っている食事の栄養素に偏りが出ると浮腫の原因になります。
ナトリウムの過剰摂取やアルコール摂取は浮腫みやすい体になります。ナトリウムには水分を引き付ける効果があり体内の水分量を増やします。アルコールは末梢血管を拡張させるので皮膚の赤みや浮腫を起こします。また、カリウムやマグネシウムには、体内の過剰なナトリウムの排泄を促す効果があるため浮腫に効果的とされています。

東洋医学的に浮腫は、津液(体の水分の総称)の滞りと考えられます。また、津液は「脾」、「肺」、「腎」3つの臓によって調節されています。
3つの中でも「脾」が最も浮腫に関わっています。脾は体の水分の量や分布を司っており、脾が病むと顔や足に浮腫が現れます。
脾が病む原因は、糖類の過剰摂取、アルコール摂取、冷飲や多飲、高湿度の環境などが挙げられます。これらの原因により徐々に脾の能力が弱まり浮腫となります。
また東洋医学では鍼やお灸によって、人の本来持っている自然治癒力や免疫力を引き出すことで症状の改善を行います。
そのため、原因となる食生活の改善や運動習慣の改善を併せて行うことがむくみを改善することに繋がります。

当院では症状 (浮腫)を改善する施術と合わせて、浮腫が起こりにくい体にするための施術を行います。
むくみを改善させるためには下肢の筋肉が充分に活動する必要があります。
固まっている筋肉に、はりやお灸で施術を行い、血流や柔軟性を改善させます。股関節や膝関節、足関節の可動域が少ない方は周囲の筋肉の柔軟性が低下しています。その場合はストレッチを行うことも考慮して行います。
また、筋肉に力が入りにくい場合は筋肉に電気を流して自動的に動かす事でむくみが改善されます。
浮腫が起こりにくい身体にするためには、脾・肺・腎の3つの能力を高めることが必要です。
そのために、仰向けでは手足に鍼とお灸を行います。うつ伏せでは背中、腰、ふくらはぎに鍼とお灸を行います。

症例
50代 女性
昔から足のむくみを気になっていたが、ここ2か月ぐらい前からひどくなってきた。
腎臓や心臓の病気が気になったので念のため病院を受診し、血液検査、心臓超音波、画像検査を行ったが特に異常が見られなかった。
午前中よりも午後から夕方、夜にかけてひどくなる。特に足首からふくらはぎにかけてむくみが強い。
仕事はデスクワークで一日中座りっぱなしのため、足を動かすことは少ないが、だるさを感じる。
当院の施術
足の状態を見てみたところ指で押しても圧痕は付きませんでしたが、足全体に強い張りがあり、軽度の静脈瘤も出現していました。下肢の冷えもあるため、血流低下や女性ホルモンの乱れが関連していると考えました。
精神的ストレスも感じやすく、十分睡眠時間を確保しているにもかかわらず、疲れが取れない倦怠感が続いているということなので、まずは自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。
お昼ごろに測定したにもかかわらず、副交感神経が大きく働いており、逆に交感神経の働きが弱い状態でした。これは、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく機能しておらず、日中に副交感神経が強く働くことで血管が拡張してしまい、血液の流れを緩やかになりすぎることが足のむくみに影響を及ぼしていることが伺えます。
①自律神経調節治療
②女性ホルモン調節治療
③下肢への低周波電気鍼療法
上記の内容を中心に施術を行いました。
経過
1回目
施術後、足がポカポカして暖かくて気持ちがよかった。
快適に眠れた。
2回目
初回より、足の太さが細くなったような気がする。
3回目
むくみが改善してきた。足がすっきりしてきている。
4回目
ほとんど気にならない。
症例2
30代 女性
ショップの店員をしており、立ち仕事のため足のむくみが以前から気になっていた。
特に夕方以降になると足のむくみが酷くなり張り感も強く感じるようになる。
普段セルフマッサージで対処してきたが、他に良い方法がないか調べたところ当院のホームページを見つけ予約した。
1日に8~9時間ほど立ちっぱなしで、仕事が終わるころには靴下のゴムが食い込んで痕がしばらく消えない程。
また、足の疲れや重だるさも酷く感じる。
当院の施術
まず足の状態を確認したところ、足首からふくらはぎにかけて酷くむくんでおり、筋肉の張りも非常に強い状態でした。
また、臀部周り筋緊張も硬くなっており、足につながる血管を圧迫し血流を阻害していることも要因の一つと考えました。
血流や自然治癒力をコントロールしている自律神経を調節する施術に加え、臀部や脚、特に下肢の経穴に刺鍼し、そこに低周波の電気を流す鍼通電療法を行いました。
電気で筋肉を動かし、腓腹筋の筋ポンプ作用を促進させむくみを改善していきました。
経過
1回目
まだ大きな変化は見当たらないが、少し足首が細くなって様な気がする。
2回目
足のだるさが軽くなった。施術後足がポカポカしている。
3回目~5回目
以前よりむくみが軽くなってきた様な気がする。
6回目~8回目
仕事が終わってから、むくみ難くなっている。
現在も継続して施術中
東洋医学においてむくみは「津液の停滞」と考えます。臓腑は脾、肺、腎の三つの臓器が主に関連しています。
特に水分代謝を司る脾が大きく関係し、この脾の働きが弱くなることによって起こるのが脾虚によるむくみです。
むくみの他にお腹が張る、食欲がない、軟便、下痢、吐き気などを伴なうことがあります。脾は四肢を司るため手足にむくみを生じます。
消化吸収を担う臓腑でもある脾は暴飲暴食や無理なダイエット、疲労や運動不足でも弱まりやすく、湿気の多い環境で過ごしたり暑いからと水分を過剰に摂取する事で、水分が脾胃に停滞し消化吸収が阻害されてむくみを生じます。
肺虚によるむくみは上半身や顔に出やすいのが特徴で、肺はどの臓器よりも外気にさらされやすく冷えや乾燥に弱い臓器です。
長時間寒い場所にいたり乾燥した場所にいる事で肺の機能が弱まると、水分を体の内から外へ配布する働きや、水分を体へ巡らせ皮膚の潤いを保ったり、汗として体外に発散させる肺の働きが弱められ水分が停滞してむくむと考えられています。
また、全身の水分バランスを整える働きをしている腎の機能が疲労やストレス、食生活の乱れ、睡眠不足などで弱まると尿の生成、排泄が上手くいかず体内の水分代謝が悪くなり、むくみの原因になります。
その他にも寒湿(冷え、湿気)や、湿熱(アルコール、暴飲暴食、油っぽい食事など)が原因として考えられています。
むくみに対する当院の鍼灸治療
むくみが起きやすい方は冷えや血流の悪さといった状態を伴なうことが多く、手足が冷えやすい、デスクワークで肩こりや腰痛がある、立ち仕事で足が疲れやすい、などといった自覚症状をお持ちの方が多いです。

当院では最初に自律経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定させて頂きお身体の状態を診ていきます。
自律神経のバランスが乱れを起こして交感神経が過亢進状態になると血管が収縮し、冷えや血行不良、筋緊張を起こしたり、逆に副交感神経が過亢進状態も血管のポンプ作用が低下しむくみを起こす原因となるからです。
まず、仰向けで腹部や下肢、上肢に鍼やお灸で刺激を与えて自律神経の調整を行った後、うつ伏せで足や腰など下半身にあるツボや背部の五臓六腑の働きを整えるツボに刺激を与え、冷えや血液循環を改善していきます。

また上半身や顔のむくみが気になる方は首や肩、上肢にもアプローチしていきます。

人間の身体の約6割程度は水分でできています。
水分は、細胞の内側と外側にも存在して、3分の2程度は細胞間質液といいまして細胞の中に存在しています。 しかし、何らかの原因で細胞内の水分が細胞外に出ることでむくみの症状として現れてしまうのです。
医学的にいいますと、「むくみ」を「浮腫」といいます。細胞間質液は、細胞内を飛び出して栄養成分を様々な器官に運ぶ役割があります。細胞外に出た細胞間質液は栄養成分を送り届けたあとに再び血液内に戻りますが、正常に血液内に細胞間質液が戻れないとむくみとなってしまうのです。

むくみの原因は、大きく分けて「生理的なむくみ」と「病的なむくみ」「突発性のむくみ」に分けられます。
・生理的なむくみ
生理的なむくみの原因は、長時間の座りっぱなしや立ち仕事などで同じ姿勢が長くなってしまうことで、特に足に静脈血が集中して静脈の圧力が高まることで細胞から押し出された細胞間質液が余分な水分となって現れることでむくみの症状となります。また、朝起きた時などにみられる一時的な顔のむくみなども生理的なむくみと言われ、生理的なむくみはずっとむくんでいるというわけではなく、むくみは朝や仕事終わりなど時間が限局されています。
・アルコールの摂取
アルコールを摂ると血液中のアルコール濃度が高くなり血管が拡張して静脈やリンパによる水分の処理が間に合わなくなるのでむくみやすくなります。
・塩分の摂りすぎ
塩分を摂りすぎると余分な水分が増えむくみが進行します。カップ麺などのインスタント食品は避けましょう。
・ビタミン・ミネラル不足
特にカリウム、マグネシウムなどの不足はむくみに繋がります。
・自律神経、ホルモンバランスの乱れ
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスをとる事によって内臓や血管などの機能が正常に機能しています。ストレスや疲労、生活習慣の乱れ、気温の変化などでこのバランスが乱れると血行不良の原因となってしまいます。
血行不良は冷え性の原因となるだけでなく老廃物や余分な水分が下半身に溜まりやすくなるためむくみの原因になります。また、ホルモンバランスと自律神経は脳の視床下部という同じ場所で支配されてます。そのためホルモンバランスが乱れると視床下部に影響を与え、自律神経のバランスも乱れやすくなります。すると血行不良やリンパの流れに影響を与え、むくみの原因となります。
・運動不足
筋ポンプ作用が十分に働かないため、足の血液が心臓へと戻らずに足にうっ血が起こりやすくなります。また、筋肉の量が少なくなることで筋ポンプ作用の効率が悪くなり、新陳代謝の低下により血行が悪くなり、リンパの働きが悪くなります。
・生活環境
運動不足や睡眠不足、エアコンによる冷え、ストレスや足を締め付けるような靴、極端にヒールの高い靴、圧迫感のある下着などもむくみの原因になります。
・筋肉疲労
筋肉の疲労は時間がたつにつれ筋肉を緊張させ、筋肉がポンプの役割を果たすことが出来なくなり血流が悪くなります。
・月経前のむくみ
身体の水分を保持するプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加する事によりむくみが出やすくなります。
・足のむくみ
デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢を長時間とる事でふくらはぎなど血液を循環させるポンプ機能が低下してしまいむくみの原因になります。血行が阻害されるとむくみの他にも足首の痛みなどの症状が出る場合もあります。
人体において下肢がむくみやすい部位なのは重力の影響でどうしても脚部に血液が溜まりやすいという「人体構造のしくみ」に関係があります。また、疲れている時、睡眠不足の時にもむくみやすくなります。こちらもポンプ機能が関係しているのですが、こちらはふくらはぎでなく心臓のポンプ機能が低下していることが原因です。また、女性に多いホルモンバランスの乱れや運動不足、冷え性といった血液やリンパの流れが悪い状態も原因となります。

・顔のむくみ
顔がむくむ時間で一番多いのが朝起きた時ですが、その原因は人間が夜寝る事で起こります。水分は高いところから低い所へ流れるので昼は足がむくみやすく、夜寝ている時は水分が身体全体に流れますので朝起きた時が顔のむくみが見られます。また、前日の過度のアルコール摂取や塩分の摂りすぎもよるものも原因の一つです。
アルコールをたくさん摂取すると血液中のアルコール濃度が高くなり血管が広がります。血液の流れが緩やかになると本来であればすぐに運び出してくれるための水分が滞ってむくみやすくなります。また、塩分を過剰に摂取すると腎臓に負担がかかってしまいます。
塩分を処理することが出来なくなるため体は塩分濃度を下げようとし、身体に水分をため込んでしまうためむくみが起こります。顔のむくみの症状は朝起きがけから、午前中くらいまでで昼に仕事や学校などで活動している健康な方であればいつの間にか顔のむくみは消えています。
その他にも、睡眠不足や疲れから新陳代謝が悪くなったり首や肩の筋肉の緊張が強い方もリンパの老廃物や余分な水分が流れにくく顔のむくみの原因となります。
病的なむくみ
こんなむくみがある場合は、一度病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
・心臓疾患
心不全など
心不全とは病名ではなく「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態」をいいます。心臓は全身に血液を送るポンプ機能を果たしていますが、病気など何らかの原因でその機能が低下することによって全身へ新鮮な血液を送ることが出来なくなってしまいます。その結果全身の末端である足などに水が溜まり、むくみを引き起こします。
・腎臓疾患
ネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞炎、糖尿病性腎症、腎不全など
何らかの原因により腎臓の機能が低下してしまうと体のフィルター機能が上手く働かなくなり老廃物が体から十分に排出することが出来ずむくみの原因になってしまいます。
・肝臓疾患
肝硬変や門脈圧亢進症など
肝臓の機能が低下すると血液の中に水分を留めておく「アルブミン」というタンパク質の合成を上手くすることが出来なくなります。血液中のタンパク質が低下する「低タンパク血症」を起こしむくみの原因になります。
・内分泌機能障害
甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、月経前症候群(PMS)など
甲状腺の機能が低下するとアルブミンとムコ多糖体の結合物が沈着する事で水分とナトリウムが移動するため粘液水腫というむくみが生じます。これは他の浮腫と違って指で押してもすぐに戻ってしまい指の跡が残りません。逆に甲状腺の機能が亢進すると甲状腺ホルモンの働きが活発で過剰に分泌されることにより不整脈の一つで脈が不規則、かつ非常に速くなる「心房細動」が合併症として現れる事があります。心房細動によって心臓の動きに負担がかかると、全身の血の巡りが悪くなり手足や身体に浮腫が現れる事があります。
また、月経前症候群(PMS)の症状の一つとしてむくみが挙げられます。原因は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌です。黄体ホルモンは妊娠しやすい体を作るホルモンですが、受精卵が着床しやすいように、子宮内膜を厚くする原料となる栄養や水分を蓄えようとするため、むくみやすくなるといわれています。
・突発性のむくみ
突発性のむくみとは原因のわからないものを指します。特に20代~50代の女性に多く発症して原因不明のため特に病院で検査をしても異常が見つからないため、病院では特に治療が行われずに悩まされている方も多くいらっしゃいます。 自律神経の乱れによるホルモンバランスの乱れや循環が悪くなっているために起こるとなどと考えられていますが、はっきりとした原因解明にまでは至っていません。

症例
50代 女性
更年期も関係しているのか分からないが、顔、足、手が気が付いたらパンパンにむくんでいる事が多くなった。
病院で検査をしてもらったが、異常は見つからなかった。
特に下肢のむくみが酷く、朝履いた靴が仕事終わりに入らないので最近はつっかけサンダルで職場に行っている。
前は足のサイズは23cmだったが、むくみがひどい時は26cmの息子の靴を借りて履いている。
手は朝起きるとパンパンで動かしていると動くようになるが、起きた時は手を握るのがやっとの状態で不便さを感じている。
当院の治療
筋肉の固さと筋肉量の低下、ホルモンバランスの乱れもあり手足が冷えてかなり血行が悪い状態でした。
東洋医学的な治療では、身体の水分の循環に関係する経穴に刺激を与えて、筋肉や血液循環等の西洋医学的な治療では、特に冷えや筋肉が固くなっている局所的な治療を行っていきました。
治療経過
◇1回目◇
足が軽くなり、ふくらはぎの太さが少し細くなった気がする。
◇2~5回目◇
むくみはまだあるが、足のサイズが変わることは減った。
◇6~9回目◇
回数を重ねるごとに、仕事終わりの足の重さが軽くなった。
◇10回目◇
自分の靴が毎日履けるようになった。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
ニキビとは、前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできる発疹を指します。思春期から青年期にかけてよくみられ、胸や背中の中心部などに出来ることもあります。
一般に思春期にできるものが「ニキビ」、大人になってできるものが「吹き出物」といわれることがありますが、実は両者の区別はなく、同じものです。どちらも「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気の通称です。

原因は様々ですが大きな要因は3つです。
・毛穴の閉塞
・皮脂の過剰な分泌
・アクネ菌というニキビの元となる菌の繁殖
肌は約28日のサイクルで角質がはがれ落ちて新しい皮膚細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。通常皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、ターンオーバーがうまくいかない場合毛穴の角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれて皮脂が詰まってしまいます。
そうすると、皮脂を栄養にしている「アクネ菌」が過剰に繁殖し炎症を起こして発疹を起こしてしまいます。また、角質が厚くなること以外にも、皮脂が過剰に分泌しすぎると、毛穴を塞いでしまう原因になってしまいます。
発達した脂腺が集まった場所を脂漏部位といいます。脂漏部位は頭皮、顔面(眉間、鼻翼などのいわゆるTゾーン)、胸骨部、肩甲骨部、腋窩部などで、これらはニキビの出来やすい部位と一致します。
男性ホルモンの「アンドロゲン」には皮脂の分泌を高める性質があります。思春期にニキビの発生が多いのはこのせいです。また、もともと脂性肌であったり、糖分や油分の多い食生活や過度なストレスなどもホルモン分泌の異常や皮脂分泌の促進につながりニキビの発生や悪化の原因になってしまいます。
・生理周期による皮脂分泌の増加
女性の場合生理周期によりニキビができやすい時期もあります。排卵後(黄体期)から月経前までは女性ホルモンのプロゲステロンの作用により皮脂分泌が活発になり、ニキビや吹き出物ができやすくなったり、肌荒れが起こりやすくなります。
食生活は吹き出物の大きな原因の一つです。特に皮脂の分泌が増えてしまうような油分・糖分の多い食べ物は吹き出物の発症、悪化を引き起こします。
また、香辛料が強い食べ物も、汗の分泌を促すと同時に皮脂の過剰分泌を引き起こすことがあるため、吹き出物には良くないと考えられています。
吹き出物は食べ物だけでなく、極端なダイエットによる栄養バランスの偏りや夜間遅い時間帯の食事など食事リズムの乱れも原因となることがあります。
ニキビの悪化していく段階
・微小面皰(びしょうめんぽう)
毛穴の開口部が狭くなり、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まっている状態です。ニキビができやすくなっていますが、肉眼では確認することが難しいため、見つけて治療することはほとんど不可能です。
・面皰(めんぽう)
毛穴が詰まって皮脂が溜まり毛穴が膨らんだ状態です。白いニキビに見えるので白ニキビとも言われます。
・丘疹(きゅうしん)
面皰内でアクネ菌がさらに繁殖して赤く炎症を起こし、ブツブツと丘のように盛り上がってる状態です。
・膿疱(のうほう)
丘疹の炎症がさらに進展した状態です。膿疱では毛穴の外壁が破壊され、内容物が漏れ出て炎症をより進展させます。毛穴の外壁が拡がり破裂すると、角質や皮脂などの面皰の内容物が真皮に漏れ出て強い炎症を生じます。
・嚢腫、結節(のうしゅ、けっせつ)
強い炎症を伴い毛穴が拡大して嚢腫を形成したり、毛包の破壊が進むと周囲の反応が増して結節を生じます。
・瘢痕(はんこん)
いわゆるニキビ跡と呼ばれるもので、炎症が強い場合には軽快後にコラーゲンの消失による陥凹性瘢痕(クレーター)や、コラーゲンの増生による肥厚性瘢痕を残すことがあります。
問診と血液検査、ホルモンバランスの検査など必要に応じて行います。治療は一般的に薬物療法で内服薬や外用薬が処方されます。また、皮脂の分泌を減らす目的で各種ビタミン剤や、体質改善目的で漢方治療を併用することもあります。場合によってはコメド(面皰)圧出などの処置が行われることもあります。
保険外治療としては、ケミカルピーリングや抗アンドロゲン治療や殺菌目的の光線治療などがあります。
「肌は内臓の鏡」といわれ、内臓の状態が皮膚にあらわれると考えられています。
ニキビや吹き出物は熱邪や湿邪などの外からの刺激により体内に熱がこもる事や、気や血の巡りが悪くなり老廃物が溜まりやすくなることが原因と考えられています。
また、外邪の侵入やストレスや疲労、生活習慣の乱れなどで、五臓六腑の「肺」「脾」「胃」「肝」などの働きが低下することなども大きく関係しています。東洋医学では肺は皮膚呼吸の機能維持、脾は消化器系から皮膚へ栄養を運ぶ働き、肝は浄化作用、脾胃の機能調整に関係していると考えられています。
当院では皮脂の分泌や、血流、免疫機能、肌の新陳代謝などに深く関わる自律神経のバランスを測定しお身体の状態を把握した上で治療を行います。
自律神経系の調整施術を行い、内臓機能や免疫力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。また、東洋医学的観点から肺、胃、脾、肝などの機能を高めるツボを取り入れます。さらに、症状のある部位の周辺のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液の循環を促進し、皮膚の新陳代謝を促し炎症を抑える作用を促します。

症例
30代 女性
小学生の時にニキビができはじめ、それからずっと続いている。薬や健康グッズ、温泉などを試したが治らない。ニキビの量や赤みが引く時はたまにあるが、ゼロになったことは小学生の頃からない。
いつも化粧やマスクで隠しているため肌の負担になっているのか肌荒れも気になっている。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、交感神経が優位になっていることと、ストレスの数値が高く測定されました。
また、生活習慣での運動不足や食生活の乱れもあり、当院では自律神経を整えて、ご自宅では食生活に気を付けることを決めました。
鍼は初めてで、痛いのは苦手とのこと。ソフトな治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
鍼に緊張したが、思っていたほど痛みはなかった。
◇2~7回目◇
回数を重ねるごとに肌の調子が良い。食事改善が少しだけストレスになっている。
◇8~15回目◇
鍼に慣れてきたので、刺激量を増やしての治療にチャレンジ。身体のだるさはあるが、スッキリ感があるので少しずつ刺激を増やしていった。
治療をするたびに、肌の調子が良くなっているのを感じている。
食事を改善した生活にも慣れてきた。
◇16~22回目◇
内臓機能が向上したのか、体温が35度台から36度台に変わった。新しい吹き出物ができにくくなってきた。
◇23回目◇
顔の赤みと吹き出物がほぼなくなった。
かなり改善したので一度治療を終わりにして様子をみることにした。
①眼と自律神経系の関係
自律神経失調症の症状の一つとして眼の疲れ・眼精疲労があると知られており、目と自律神経系との関係は深いといえます。
自律神経とは、血管・リンパ腺・内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。
交感神経・・・・・主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。
副交感神経・・・主に夜に働くリラックス神経。安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。

眼の組織と自律神経の作用効果
| 標的組織 | 交感神経刺激 | 副交感神経刺激 | |
| 眼球 | 瞳孔散大筋 | 収縮 | ― |
| 瞳孔括約筋 | ― | 収縮 | |
| 眼筋 | 毛様体筋 | 弛緩 | 収縮 |
| ミュラー筋 | 収縮 | ― | |
※自律神経の調整先
自律神経は脳の視床下部で調節されている。視床下部は、脳幹にある心拍数・血圧・呼吸・消化の自律神経中枢の活動も調節・統合している。
ここで注目していただきたいのが毛様体筋とミュラー筋です。
毛様体筋はカメラのレンズの役割をする水晶体に作用してピントを合わせる役割があります。近くの物を見る時は毛様体筋が緊張して水晶体を暑くしてピントを合わせます。遠くを見る時は逆に毛様体筋緩ん水晶体を薄くしてピントを合わせます。
パソコンやスマホが広く普及している現代の日本では、近くの物にピントを合わせることが多いため毛様体筋は常に緊張状態にあり疲労が蓄積されていきます。すると目の疲れに繋がるのです。
人間の目は本来長時間近くの物にピントを合わせるような構造はしていません。遠く物を見て敵から身を守ったり、獲物を見つけ出すために発達してきました。近くの物を多く見るということは、人間本来の構造とは逆行しているということです。
アフリカなどのまだパソコンやスマホなどが普及していない地域の人々の視力がいいのは、こういった人間本来の目の使い方をしているからです。
朝起きて夜眠るという人間本来の習慣からはずれ、夜勤など夜働き昼眠る方の自律神経が乱れやすいように、人間本来の働きと逆行すると自律神経は乱れやすくなります。
次はミュラー筋です。ミュラー筋はまぶたを上にあげる上眼瞼挙筋の働きの補助をします。目の酷使により上眼瞼挙筋が疲労してくるとその分をミュラー筋でカバーしようとします。
すると、どんどんミュラー筋への負担が重くなり、交感神経を刺激します。パソコンを多く使うお仕事をしており、目の疲れが強い方は、交感神経か緊張状態の方が多いです。
そういった方は、上眼瞼挙筋が疲弊してミュラー筋への負担が大きくなっていることがほとんどです。当院では、目の周りを刺激することでこういった目の周りの筋肉の疲労をとるような治療をしております。
眼精疲労とは目を使う仕事をするとき、普通の人では疲れない仕事でも容易に目が疲れて痛くなり物を見ているだけでも目のかすみ、まぶしさ、目の充血、ドライアイといった症状が現れる疾患です。
また目の症状以外にも首や肩の凝り、吐き気、便秘、全身倦怠感など全身症状がみられることも一つの特徴です。このような状態が続いてしまうとうつや不眠といった精神性疾患となることもしばしばみられます。
眼精疲労の原因は大きく分けて4つあります。
ⅰ)調節性眼精疲労
屈折異常や調節異常によっておこる眼精疲労です。とくに遠視、近視、乱視、老眼の場合で、物が適正にみることができないためピントがうまく合わず無理に調節しようとして眼精疲労が発生すると思われます。
ⅱ)筋性眼精疲労
眼筋麻痺・斜位・斜視など眼筋に異常がある場合に起こります。
ⅲ)症候性眼精疲労
角膜炎・結膜炎などによっておこります。最近ではドライアイも眼精疲労の原因として考えられています。緑内障の初期には目のピントを合わせる調節力が低下してくることがあり、眼精疲労の原因になります。
ⅳ)不等像性眼精疲労
両眼の網膜にうつる像の大きさや形が異なることを不等像視といい、これによりおこる眼精疲労をいいます。メガネやコンタクトレンズが合っていないためにおこることが多いです。
ⅴ)神経性眼精疲労
眼には異常はなく、全身衰弱、心身症、神経症などでおこる眼精疲労をいいます。仕事などでストレスが強くなると体に様々な悪影響を与えます。眼精疲労はその一種と考えられます。
目の疲労は、身体全体に影響を与えてしまう可能性があります。それは、筋肉の関係と自律神経の関係が理由に挙げられます。まずは、筋肉の観点から見ていきたいと思います。当院に眼の疾患で来院される方の多くは、肩こりや頸部痛及び自律神経失調症など心療内科系の疾患を同時に抱えて来院されます。
ⅰ)眼周囲の筋肉
眼周囲の筋肉の過緊張は、表情筋である前頭筋→帽状腱膜→後頭筋を通して頸部及び肩部の筋肉(僧帽筋・胸鎖乳突筋・板状筋群・棘筋群)にも影響を与え、肩こり・頸部痛を引き起こします。
表情筋群
| 筋名 | 起始 | 停止 | 作用 | 支配神経 |
| 前頭筋 | 帽状腱膜 | 眉部・鼻根の皮膚 | 眉を引き上げ、前頭部に皺を作る | 顔面神経 |
| 後頭筋 | 上項線 | 帽状腱膜 | 帽子状腱膜を後方に引く | 顔面神経 |
| 側頭筋 | 側頭窩 | 下顎骨の筋突起 | 口を閉じる・下顎骨を後方に引く | 三叉神経 |
| 眼輪筋 | 眼窩の内側縁 | 眼窩周囲の皮膚 | 閉眼 | 顔面神経 |
| 皺眉筋 | 前頭骨の鼻部 | 眉部 | 眉間に皺を作る | 顔面神経 |
| 上眼瞼挙筋 | 視神経管 | 上眼瞼 | 上眼瞼の挙上 | 動眼神経 |
※眼精疲労が自律神経失調の原因にもなります
眼精疲労の症状が長く続いてしまいますと自律神経失調へ繋がってしまう危険性があります。自律神経失調の症状はひとそれぞれで精神的な落ち込みなど精神的な症状から体の慢性的な痛み・耳鳴り・動悸・胃腸の不調・便秘・生理不順など多種多様です。人によっては複数の症状が出て日常生活の質を著しく低下させてしまいます。
場合によっては仕事ができなくなる・家事が手につかないなど生活のリズムがくるいさらに自律神経の状態を乱しかねません。
近年では仕事で一日中パソコンに向き合い、プライベートでもスマートフォンやパソコンを使い目を酷使する機会が増えています。
この近くのものを見続ける生活は、目の毛様体筋が緊張させて交感神経が長時間働きっぱなしとなります。特に夜は交感神経の活動が抑制されないといけませんが、夜遅くまで目を酷使していると著しく自律神経のバランスを乱します。
それが毎日のように続くと自律神経失調症となってしまうのです。
当院では、目の周囲に直接鍼やお灸を施すことで目の周囲の筋緊張の緩和をしていきます。顔の部分は感覚が鋭く、人間の構造上痛みを感じやすくなっています。
鍼やお灸の刺激量には細心の注意を払って施術していきます。眼精疲労が主な症状であっても首肩こりや自律神経の乱れがある場合が少なくありません。上述したように目と自律神経には深い関わりがあり、自律神経が乱れてしまうと目のピントを合わせる筋肉に影響が出たり、まぶたが開きづらくなってしまいます。
当院では、お腹や背中、手足のツボを用いて自律神経を整える施術を目の施術と並行して行っていきます。


症例
30代 男性
仕事はデスクワーク、趣味はゲームで1日平均で18時間は画面を見ている生活をしている。
20代の頃は短時間睡眠でも体力が回復したが、2ヶ月前から睡眠がおかしくなりはじめ眠気が全くこない時と、普段の3倍の睡眠時間を毎日取っても体力が回復しない身体になってしまった。
睡眠に問題がでてから眼精疲労も強くなり、眼の奥が痛みはじめた。仕事中も画面を続けて見ることができなくなった。
これ以上悪化すると、趣味はもちろん仕事もままならないのでネットで探していたら当院を見つけたので来院。
治療頻度は週2回からスタート
当院での治療
眼の周りの筋肉の固さはもちろん、頭皮が全体的に固くなっており、特に側頭筋の筋緊張が強くなっていた。
また、運動習慣がなく身体の上半身は筋肉が固く、下半身はむくんでおり血流が悪い状態だった。
そのため、眼の周り、首肩周りの局所治療と、全身の血流改善の治療、睡眠改善の自律神経調節治療を行った。
治療経過
◇1回目◇
治療中に寝れてスッキリした。
◇2回目◇
眼の奥の痛みは変わらないが、治療した日は良く寝れる。
◇3~7回目◇
回数を重ねていくと、眼の痛みが少しずつ楽になった。
◇8~12回目◇
治療頻度を週に1回にした。
睡眠も安定してきたからか、眼精疲労が気にならなくなった。
◇12~15回目◇
仕事の繫忙期で疲労とストレスが高くなり痛みが戻ったが、1回の治療でなくなった。
◇16回目◇
痛みがほぼ気にならなくなったので、治療頻度を月に1,2回にしてメンテナンスとして通っている。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の月経不順に対する鍼灸治療は、自律神経の乱れを整え、身体の冷えを取り除くことにより月経不順の改善を促します。
治療手順
1.問診
しっかりと問診をして原因のありそうな部分を特定していきます。

2.自律神経測定器
自律神経測定器を用いて現在の体の状態を把握します。

3.仰向け治療
冷えのある部分にお灸を施したり、全身治療により自律神経を調整します。

4.うつ伏せ治療
背部兪穴という五臓六腑の状態を調節するのにとても重要なツボがありますので、その部分を刺激していきます。

20代女性
学校や仕事などでストレスを感じる際に生理痛に悩まされていたが、1か月前から生理痛に加えて経血量も増えてきた。月経周期も遅れることが多い。生理前にはイライラ感や怒りっぽくなり、イライラしている自分に腹が立ちさらにイライラ感を増す悪循環を起こしている。
月経不順のほかに慢性的な肩こりや腰痛もあり、とくに月経前になると腰痛はひどくなって生活に支障をきたすほどとなる。
当院の治療
自律神経測定器の結果、交感神経が過亢進状態でしたので、自律神経で体全体の調子を整えた上で、肩や腰のこりや痛みを取り除いていきました。
◇1回目◇
治療後肩こりや腰の症状は楽になった。生理の痛みはあまり変わらず。
◇2回目◇
月経が終わり、生理の痛みは引いてきたが、前回治療後よくなった肩こりは仕事で忙しくて戻ってしまった。治療後は軽快。
◇3~5回目◇
月経前は、少し体がだるい感じが出たが、いつものような月経前のひどい腰痛はでなかった。生理痛もいくらかましになったとのこと
◇6~10回目◇
全体的な身体の調子が上がってきてイライラ感も減ってきた。肩こり・腰痛は減ってきた。
◇11回目◇
月経周期は2日だけ遅れたが生理痛がなくなり、経血量もだいぶ減ってきた。
症例2
40代 女性
30代半ばで子供出産。それを境に徐々に月経が遅れるようになってしまった。特にここ2~3年は子育ても少し落ち着き、新しく事務仕事のパートをやるようになるとさらに悪化。50日間も月経が来ない時もある。仕事もデスクワークが主で座ったままパソコン作業をしていてストレスも溜まっている。朝も子供も学校への支度など早く起きて準備するため睡眠時間も平均すると5時間ほどと身体の疲れも抜けきれない状態。
あまりに月経が遅く心配となったため産婦人科を受診。器質的疾患や内分泌系疾患などは発見されなかった。そこでは、月経を誘発する薬を処方されたが、多少改善された程度でまだまだ月経時期が安定せずに遅れがちだったため、ほかの改善策はないかと当院にご来院されました。
治療
腰部や下肢、特に足先の冷えが顕著にみられた。自律神経測定の結果も交感神経の活動が高い状態で副交感神経の活動は抑制された状態でした。自律神経の状態を整えることとお灸で腰部・下肢の冷えをとる施術、併せて東洋医学的なアプローチ(心・肝・腎の機能を整える)をしていきました。
経過
最初の10回程は週に1~2回程の治療間隔で治療。その後は2週間に1度ほどの治療間隔で施術していきました。
治療開始して徐々に体の疲労感も取れてきて睡眠の質が上がったような気がしたとのこと。なんとか以前よりも1時間早くベッドに入るようにしていただいたが、夜ぐっすり眠ることが出来る。治療開始てはじめての月経周期が35日とやや早まった。
その後、徐々に腰部・下肢の冷えなども改善。その後月経周期が30日前後と安定するようになった。
症例3
20代 女性
10代の頃から月に2回月経がきていて、短くて10日間、長いと15日間ずっと出血している。思春期の頃はホルモンバランスも安定していないからと様子を見ていたが、今も変わらず月に2回月経があり、出血期間も長いので、出血のない日は月に10日もない。
生理痛も酷く、薬を飲めば楽になる日もあるが効かない日は何もできなくなってしまうので、なんとかしたいと思い来院。
日常的に貧血を起こしている。本人は慣れたと言っていたが、家族はこのままでは就職活動にも支障をきたしそうなので心配している。
当院の治療
自律神経測定機で計測したところ、血管の弾力性の低下、ストレス過多など自律神経の乱れがみられたことと、幼少期からアトピーや手足の冷えもあり体質改善が必要だと説明しました。
体質改善のための東洋医学的な内臓にアプローチする治療と、血行促進と自律神経を整える治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
特に変化なし
◇2~4回目◇
便通が良くなっている気がする。
◇5~10回目◇
月経不順に変化はないが、身体のだるさは軽くなっていく。
◇10~22回目◇
月経不順に変化はないが、手足の冷えが改善した。
◇23回目◇
月に2回月経はくるが、ほぼ10日間で終わるようになった。
◇24~37回目◇
月に2回月経はくるが、出血の日数が短くなっていった。
◇38回目◇
1回の月経が7日で終わるようになり、日常生活も快適に過ごせるようになったため治療を終了。
月経不順は東洋医学において「経乱」とよばれています。また月経異常は東洋医学でいう「心」と「脾」が深く関係していると言われています。気血は、脾胃の作用によって運ばれますが、脾の機能が低下して気血をうまく運べない状態となってしまうと月経異常が起きます。
また「心」の「血脈を主る」という心臓でいうポンプ作用が低下してしまうと細部に血液が回らなくなり、月経になりやすい状態となります。
これは、西洋医学でいう心臓のポンプ作用のことを指します。それ以外にも身体の細部にまでわたる新陳代謝や機能の発現なども指します。
思考や分析・判断処理などの意思決定や思想のことを「心」が主っていることを指します。
血液の成分である津液が汗に変化することを指します
脾と胃の作用により消化された栄養物質を全身に送り届かせたり、気・血・津液などの生成
を行います。
脾の運化作用で全身に気血や栄養物質を送り届かせるためにそのような物質を脈外に出さないようにする作用があります。
脾の機能によって運ばれた物質が四肢や筋肉を栄養することをあらわします。
脾が血の生成の元を供給して心は血を循環させてさせる役割があり、お互いが関係しあっています。よって脾の機能が低下すると心にも影響を及ぼし、また逆に心の機能が低下すると脾の機能が低下します。
月経が規則正しく来ないものです。月経の悩みで一番多いのが月経不順です。
月経は女性の生涯で35~40年間です。
月経周期は、だいたい30日前後で繰り返されます。前の月経がはじまった日から次の月経が来るまでの期間が月経周期になります。月経周期が25~38日の間であれば正常な周期と言えます。
24日以内と周期が短いと頻発月経と呼び、39日以上遅れるものを稀発月経と呼びます。
月経不順の原因を引き起こす病気には多嚢胞性卵巣や高プロラクチン血症があります。
子宮内膜が溶けて落ち、出血がおこるものです。
これは、子宮内膜は細胞や毛細血管、分泌腺などが含まれた組織です。この組織が次の月経に向けて、体内にある酵素が働き出血となって身体の外に出されるためです。
子宮内膜は子宮の内側を覆っている膜で、月経周期によって厚さを変えていきます。
この子宮内膜の厚さや月経周期は女性ホルモンによって作り出されています。
月経に異常がある時は多くの原因がホルモン分泌のアンバランスです。
月経は女性ホルモンによってコントロールされています。
脳の視床下部よりゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が脳下垂に指令をだして性腺刺激ホルモンのゴナドトロピンを放出します。
このゴナドトロピンは二種類あって、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
この二種類が排卵を促せたり、子宮内膜をコントロールします。排卵期には卵胞ホルモンが増えて排卵促すのと子宮内膜を増殖させて厚み作ります。排卵後は黄体ホルモンが増えてさらに子宮内膜を厚くさせる作用があります。
子宮内膜は妊娠しやすいようにするのと、妊娠後に受精卵に栄養が渡るように「新鮮な状態」を作り出さなければいけないため、月経に周期があります。
この女性ホルモンは脳によって管理されている場所です。この脳はストレスや精神状況によって影響を受けやすいものです。
その影響で月経周期に変動を起こすことがあります。
ストレスのよる無月経は全体の約10%にのぼると考えられております。心理的ストレスは、受験・入学・就職・転職など生活環境の変化が大きい時に特に感じることが多いかと思います。また職場や家庭で上手く物事が進まないときなど現代ではストレス感じそれを溜めこんでしまい発散できないという方が増えています。特に本人がストレスと感じていなくても症状が出る可能性もあります。
また体重の減少も月経異常の大きな原因となりえます。特に危険なのが本人に痩せすぎているという自覚がなく、正常な体重にしようとすることを拒むことで起こる神経性無食欲症という病態です。これは思春期に起こりやすく、月経が開始してから栄養不良から無月経となり、ホルモンの分泌が抑制されてしまい、成長していくにしたがって様々な身体の悪影響が出てしまうのです。
ストレス以外にも冷えや自律神経の乱れ、生活習慣などがあります。
病気や加齢なども原因として考えられます。
・ストレス
・ダイエットなどで体重が減少
・自律神経の乱れ
ストレスや過度なダイエットは自律神経の乱れを生みホルモンバランスが崩れて、月経周期が定まらないままにしておくと将来妊娠しにくくなる可能性があります。
月経不順を軽いものと考えていると将来的に妊娠の可能性だけでなくいろいろな不定愁訴から病気になることもありますので甘く考えてはいけません。
血をサラサラにする効果もあります。悪玉コレステロールを減少する作用があります。さらに血管の拡張作用もあるため、高血圧、動脈硬化、高脂血症、心筋梗塞などの病気にもなりにくくなります。
お肌の艶に関係する、コラーゲンとヒアルロン酸を増やしてくれます。
骨の破壊と再生の新陳代謝を調節してくれます。骨量のバランスが崩れると骨粗鬆症になります。
脳内の神経伝達物質のセロトニンやドーパミンを増やす作用がありますので、気分を明るく前向きな考え方になります。
どれも健康や女性には欠かせないものですので、月経不順とはストレスバロメーターだと思い、早めに改善したほうがいいです。
月経不順から引き起こされる病気には
子宮内膜は生理の時に剥がれ落ちます。この子宮内膜が何らかの原因で子宮の外にでてしまうのが子宮内膜症です。症状は月経痛・下腹部痛・過多月経・生理前の吐き気などです。
10人に1人かかると言われています。
女性の3~4人に1人は子宮筋腫を持っていると言われる程、多い病気です。
子宮の筋肉から発生する腫瘍です。
女性ホルモンの影響を受けて大きくなるため閉経後には小さくなっていきます。
生理の時の出血が多いことや、貧血、頻尿、排尿痛などの症状もありますが、自覚症状がない場合もあります。これは子宮筋腫ができる位置に関係していて、子宮の外側に筋腫がある場合は症状をあまり感じません。
誰でも起こる可能性があるもので、性交によってヒトパピローマウイルスに感染することで起こる病気です。
不正性性器出血が多く、おりものが多くなることもあります。進行するもので下腹部痛・血尿・血便・排尿障害が増えることもあります。
中医学では梨状筋症候群(坐骨神経痛)は、臀部付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間体力仕事をした時などに気血は滞り、それが臀部付近であった場合に梨状筋症候群(坐骨神経痛)を発症する可能性が高くなります。
また坐骨神経の通り道は、中医学の「膀胱経」の通り道と似ており、「膀胱経」が何らかの障害を受けると梨状筋症候群(坐骨神経痛)を発症しやすくなります。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると梨状筋症候群(坐骨神経痛)がおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
当院の梨状筋症候群(坐骨神経痛)に対する施術の目的は、臀部付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くして梨状筋の緊張を緩めることです。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

電気の刺激が苦手な方には、鍼とお灸とストレッチやマッサージ等を併用して筋肉を緩めて坐骨神経の圧迫されている部分を取り除いていく施術も行っていきます。

梨状筋症候群(坐骨神経痛)は五臓六腑の「肝」と「腎」、「膀胱」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや臀部付近の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

東洋医学では痛みはその部位だけの問題ではなく、五臓六腑を含めた体全体の問題としてとらえます。梨状筋症候群(坐骨神経痛)は全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので梨状筋だけの部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高め、早期回復が見込めます。
当院では補助的施術としてストレッチや吸角を行い、はりやお灸の効果を一層高めます。
※坐骨神経痛の鍼灸治療の有効性についての研究
明治鍼灸大学の研究
『根性坐骨神経痛に対する神経根鍼通電療法の開発とその有効性』
www.meiji-u.ac.jp/research/files/shinkyuigaku30_1.pdf
では、神経根に鍼通電療法を施すことで神経根ブロック注射よりも効果が持続出来て症状も軽減されたという研究結果も出ています。また、薬物療法神経根ブロック注射に対して鍼灸治療で用いられる鍼は細く、神経を傷つける危険性の低下や薬物による副作用リスクの軽減なども示唆され、鍼通電療法ではブロック注射よりも簡便に行うことができる治療法になり得る可能性が考えられるとされています。
症例 1
30代 女性
仕事はデスクワークが主で一日中椅子に座って仕事をしていた。ある日座って仕事をしている最中に臀部に痛みを感じた。痛みの程度は軽かったためそのまま仕事をしていると仕事が終わったときには強い痛みに変わってしまっていた。次の日も臀部の痛みが強く出ていて1時間ほど座って作業をしていると足の方にも痺れの症状が出てきて座っていなれないほどになってしまった。整形外科を受診したところ、梨状筋症候群と診断されて痛み止めの薬と日常的に運動やストレッチを行うように言われた。
毎日、痛み止めの薬を飲んで薬の効果が出ている時は良いが、効果が切れてしまうと痛みが再現されて座っていられない。インターネットで調べて臀部のストレッチなども行ってみたがあまり効果が見られず、なんとか痛みを軽減させてほしいということで当院にご来院されました。
施術
まず、仰向け治療で鼠径部・前脛骨筋などの下腿部の固結部に鍼通電療法やお灸療法を施して筋緊張を緩和していきました。次にうつ伏せとなり、梨状筋をねらった鍼通電療法、腰部・下腿後面部にも鍼やお灸を施していき、最後にマッサージやストレッチで筋肉をほぐして痛みの緩和をはかりました。
◇1回目◇
その日は臀部が楽になったと感じた。以前は、痛み止めを飲まないと痛みで眠ることができなかったが治療後当日は眠ることができた。
◇2回目◇
ひどいと仕事開始して10分後に痛みを感じることがあったがそれがなくなった。痛み止めはまだ服用
◇3回目◇
痛み止めを飲まなくても何とか座って仕事をできる日が出てきた。しかし、まだ1時間ほどすると足のしびれや痛みが出ることもある
◇5~4回目◇
痛みがほぼ出ないようになってきて調子のよい日が増えてきた。痛み止めの薬も服用していない。
症例 2
20代 女性
半年ほど前から1時間以上座る姿勢を続けていると、左臀部の痛みと左太もも裏にしびれや痛みがでるようになった。
仕事は立ち仕事で、前かがみに下を向きながら作業することが多く、首から肩、背中、腰のコリや疲労は常に感じていた。臀部の痛みや足のしびれは、1時間以上の座り姿勢の時のみ生じ、普段は全く感じない。
映画館で長時間座り続けるのが辛くご来院された。
施術
後頸部や肩、腰、臀部に強い筋緊張がみられたため、筋緊張緩和を目的に鍼通電を行い、下肢の血行促進のため、左下肢にお灸と鍼を行いました。また、全身の疲労回復と血流改善のため、自律神経調整施術を行いました。
一回目
施術後は筋緊張がほぐれ、身体が軽くなった。
二~三回目
仕事をすると、また身体が凝ってくるが、以前よりは楽になった。
四回目
映画を見に行っても、臀部や太もも裏が痛んだりしびれることがなくなった。
梨状筋症候群は、臀部にある洋梨の形をした梨状筋が何らかの原因で坐骨神経を圧迫し、坐骨神経障害を引き起こす病気です。梨状筋は臀部中央にある仙骨から始まり足の付け根付近の大腿骨大転子という部分についている筋肉で足先を外側に向かせる働きがあります。
梨状筋は、中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋と並んで痛みが遠くの場所にも発生しやすい筋肉の一つであり、こじらせると厄介な筋肉でもあります。特に梨状筋は、坐骨神経が通過しているため、梨状筋の緊張は、そのまま坐骨神経にも影響を与えてももの裏側から足の裏にかけて痛みが放散することもあります。
ももを曲げる働きをする筋肉はすべて坐骨神経から出る神経に支配されており、坐骨神経は一般的に梨状筋の下孔を通って骨盤外に出ます。しかし、走行には個人差があり梨状筋の下を通っている場合もあり、まれなケースでは梨状筋を貫通していることもあります。そして、大腿後面中央をほぼ縦に垂直に通り、膝裏に向かいます。膝裏に入る直前に脛骨神経と総腓骨神経という神経に分かれ、足の方へ下っていきます。しかしその過程で坐骨神経の一部が梨状筋の間を通ったりする場合があるため、股関節を曲げたり伸ばしたり捻ったりすることで筋の柔軟性が失われると坐骨神経は梨状筋に絞扼され、坐骨神経痛を訴えます。
症状としては臀部から足先にかけて坐骨神経の経路に沿って広がる痛みや痺れです。一般的に梨状筋症候群では腰痛症状がなく、足先を外側に向ける動きや横座りで体重を患側にかけると痛みが増強します。
※梨状筋症候群だと疑うポイント
・ももの裏・ひざ裏・足裏に痛みが走り、坐骨神経痛のような症状が出る
・特にももの裏に痛みがある
・股関節の痛みがある。
・仰向けで寝ている時に足先が内側を向く
・内またで歩く癖がある
※坐骨神経痛
坐骨神経痛は症状の表現であり、病名ではありません。坐骨神経が圧迫されることによって生じる神経痛を総称して「坐骨神経痛」といいます。
坐骨神経痛の原因疾患で最も多いのが腰椎椎間板ヘルニアで、その他に腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・分離症、梨状筋症候群などがあります。基本的に梨状筋症候群の場合は腰痛を伴わず、臀部から下肢にかけての痛みおよび痺れがありますが、腰痛の所見がないからといって容易に梨状筋症候群と判断することはできません。そういった場合でも腰椎椎間板ヘルニアが痛みの原因である場合も多いからです。
※臀部の痛みの原因
臀部痛の原因となりやすい筋肉は、主に3つあります。人体の中で最大と言われる大殿筋、その大殿筋の上方に位置する中殿筋、それと梨状筋です。これらの臀部の筋肉は、人が歩行するにあたってとても重要な役割を担っています。中殿筋は、股関節の動きにとても重要な筋肉で中殿筋が委縮してしまうと歩行時に骨盤が斜めに下がってしまうトレンデレンブルグ徴候が起きてしまい、歩行が安定しません。中殿筋は、大殿筋よりも小さい筋肉で筋肉に刺激を与えないと比較的筋力低下が起こりやすい筋肉と言われていますので注意が必要です。特に病気で安静が必要となってしまったケースでは、筋肉が萎縮してしまわないように出来る範囲でトレーニングをしていないと歩行に支障が出てきてしまいます。
また、臀部に強い痛みが発生している場合は、臀部の表層筋である大殿筋が痛みを防御するために未意識に周囲の筋肉を固くしてしまい、梨状筋・小殿筋・中殿筋にも影響を与えてしまいます。
梨状筋症候群は坐骨神経が梨状筋間で絞扼され、仕事や運動でストレスが加わり発症します。外傷やスポーツ活動などで圧迫されて引き起こされることが多く、特にランニングのように股関節の屈伸を繰り返すスポーツでは、坐骨神経を摩擦し、絞扼するため神経炎を生じる原因となります。
また長時間、座位の姿勢を取ることによって圧迫され発症する事もあります。腰椎椎間板ヘルニアと症状が似ており、鑑別が必要となります。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では、風邪は疲労やストレスで体の抵抗力が弱くなったところに、皮膚から「寒(冷え)」や「外邪(外から入り込む病因)」が侵入して起こると考えられています。
外邪は風邪、暑邪、熱邪、湿邪、燥邪、寒邪があり、この「外邪」の中で風邪の諸症状を引き起こすのに関係が深いのは「風邪(風が体に与える悪影響)」と「寒邪(寒さが体に与える悪影響)」といわれています。
風に当たり続ける事で体調の熱が奪われることや、皮膚や粘膜が乾燥することでウイルスや細菌が体に侵入しやすくなること、寒さにより体が冷える事で血行が悪くなり、免疫力が低下することが関係していると考えられています。
この「風邪」と「寒邪」はどこから侵入するかというと「口、鼻、皮膚、毛穴」などからです。この呼吸器や皮膚、毛穴と関係が深いのは「肺」といわれています。
東洋医学における「肺」は水分を全身に行き渡らせる働き、汗を調節する働きがあり、外からの外邪を防ぐ働きも肺が関係しています。肺は乾燥に弱い臓器とされていますので、空気が乾燥する時期には肺を病みやすくなり風邪をひきやすくなると考えられています。
肺気虚・・・肺の陽気が不足してしまうと呼吸器系の機能低下や咳、呼吸困難や水分代謝が障害されるために痰の量が増えてしまいます。その他、無力感や息切れなどの気虚の症候もあらわれることがあります。気虚の状態は、病態が長引くことが多く、肺気が持続的に衰える状態に陥りやすくなってしまいます。全身的な気虚としては脾肺気虚・心肺気虚・肺腎気虚が発生してしまうこともあります。
軽度な症状では、自汗・寒気・風邪をひきやすいなどがあります。
肺陰虚・・・肺の陰液の不足の病態で慢性病による栄養障害・炎症による津液消耗や乾燥した環境などによって生じます。症状として乾咳・血がにじまる粘痰、声が出ない、のどの乾燥感、顔面紅潮、微熱や寝汗などの熱症候があらわれます。肺陰虚は気管支の粘液分泌不足・慢性炎症や自律神経系の乱れなどが関連すると考えられています。
また、東洋医学では五臓六腑の『肺』は、『大腸』との関係が深いと考えられています。肺の下方に向かって機能を推し進める粛降という機能は、大腸の排便機能との関連が深いと言われています。肺の機能が低下してしまうと大腸の機能にも不調が起きやすく、逆のことも言えます。
・大根
大根は漢方の世界でも『除風寒』といって寒気から風邪を回復させる効能やの作用や『下気和中』といって気の巡りを促進させて胃腸の働きをよくするなどの効能があるとされています。現代の研究でも大根のアルコール抽出成分には、ブドウ球菌や真菌などの細菌に対する抗菌作用があることがわかっています。風邪の初期症状の場合、大根と白ネギを薄切りにしてお湯に入れて飲むと効果的です。その他にも大根の葉に豊富に含まれるビタミンCは抗酸化力があるとされ、血管の粘膜を強化する働きもあります。
・ショウガ
ショウガは、風邪に効果があると聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。漢方の政界でもショウガは、『解表散寒』といって寒気を追い払うことで風邪症状に効果があると言われています。胃腸の働きも回復させる『温中止嘔』や肺の機能を高めて咳を止める『温肺止咳』の効能もあります。現代の研究でも発熱しているマウスにショウガを与えると発汗を促すことで明らかな解熱作用が見られることがわかっています。
・ねぎ
ねぎも風邪症状に効果のある食材として知られている一つです。漢方の世界でも『発汗散寒通陽』といいまして節々の関節の痛みを伴う風邪に対して発汗作用で効果があると言われています。
東洋医学では風邪は身体の表面から入ってくると考えられており、特に後頚部から肩にかけては風邪が入ってきやすいところと考えられています。首や肩が凝り固まりそこへ冷たい風が当たると風邪を引きやすい状態になります。

当院ではまず、自律神経系のバランスを整える治療を行い、五臓六腑の働きを調整し冷えを除き、免疫力を高め自然治癒力を促進する治療を行います。また、東洋医学的観点から肺の働きを補うツボも取り入れていきます。

その後うつ伏せで後頚部から肩の筋緊張を緩め、風邪の治療穴や背部の五臓六腑の働きを調整するツボに鍼やお灸を用いて刺激を与えていきます。同時に腰部や下肢を遠赤外線やお灸で暖める事で、全身の血流を促進し冷えの緩和と、新陳代謝を促進し自然治癒力を高めていきます。

風邪の原因となるのは、約8割以上がウイルスで、残りは細菌や微生物が原因と言われています。同じ風邪でも症状の軽いもの~重いものまで様々です。
これは、風邪を引き起こすウイルスが多種存在し、ウイルスの種類やかかった人の状態によって症状に個人差が現れるためといわれています。風邪のウイルスは常に空気と接している鼻や口を通して体に侵入します。
しかし、健康な人の身体には細菌やウイルスなどの侵入を排除するための自己防衛機能(免疫システム)が働いています。風邪の諸症状はこれらの自分の体の免疫機能が働く事で起こる体の反応です。基本的にゆるやかに進行していき、微熱が徐々に上がってきます。熱は一般的に37~38度程度です。

くしゃみ、鼻水、咳
鼻の中には鼻毛や粘膜が空気清浄フィルターのような働きをし、ウイルスや細菌など異物の侵入を防いでいます。鼻の粘膜に風邪ウイルスが付着するとそれを追い出そうとしてくしゃみや鼻水が出ます。また、ウイルスがのどの粘膜に付着した場合は咳がでます。これらの反応はウイルスが侵入した初期段階に起こります。
発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、喉の痛み、違和感、咳、痰、倦怠感
ウイルスが鼻や口の粘膜を通過し、身体の中に侵入すると血液中の白血球がウイルスを排除しようとして働きます。白血球の中でも貪食細胞と呼ばれるマクロファージや好中球がその名の通りウイルスや細菌を飲み込み、酵素で分解し殺します。貪食細胞が飲み込みきれなかったウイルスに対しては、特定の病原体を排除する役割を持つタンパク質である抗体が免疫システムとして働きます。
抗体はある種の病原体が侵入した時に白血球のT細胞が指令を出しB細胞が抗体を作り始め、次に同じ病原体が侵入してきたときにブロックします。体内でこれらの免疫システムが働く事でその反応として炎症が起こります。この炎症が寒気、頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、喉の痛みや違和感、倦怠感、咳、痰、鼻水などとして現れます。ただしその症状は誰もが同じように現れるのではなく、個人の体力や体調などにより様々です。これらの炎症反応が強いことは、これまでに感染したことのないウイルスであること、ウイルスの性質が強いことや量が多いこと、ウイルスが深く侵入してしまうことなどが関係しています。

・花粉症
スギ花粉が飛散するのは2月~3月にかけての頃です。インフルエンザの流行の時期と重なっています。スギ花粉症がある方ではインフルエンザ、風邪ウイルス、花粉症のどれなのか鑑別が必要になります。見分け方として鼻や喉の症状は花粉症の場合でもなるので鑑別点となりません。
花粉症でも微熱が出ることがありますが、38度を超えるようなことは稀なので高熱の場合は鑑別点となります。しかし目の痒みはインフルエンザウイルスや風邪ウイルスでは通常起こりません。
・インフルエンザ
喉の痛み、鼻水、頭痛、悪寒、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。風邪との大きな違いは風邪が徐々に熱が上がるのに対して、インフルエンザは突然38℃台の高熱が出ることが挙げられます。重症化すると気管支炎や肺炎などを併発する事もあり、子供の場合は中耳炎や熱性けいれん、ときには急性脳症を起こす可能性があります。
気になる症状があればすぐに病院で検査を受けましょう。インフルエンザの場合は早期治療が非常に重要です。
・アレルギー性鼻炎
家のほこりやダニ、スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどの花粉によって起こります。くしゃみや水っぽい鼻水、鼻詰まりが特徴です。花粉が原因の場合には喉の痒みや発熱も見られます。春先に多いため、初めて発症した人は風邪と思い込みやすいと言われています。
アレルギー性鼻炎は鼻症状やくしゃみの他に目の痒みや涙、充血下痢や皮膚の痒みなどが起こることもあります。原因が花粉以外の場合は発熱は無いといわれています。
・急性気管支炎
多くはウイルスが原因となる病気で鼻水、喉の痛みの他、悪寒やふしぶしの痛み、咳、微熱など風邪そのものの症状が現れます。最初はコンコンと乾いた咳が出ますが、やがて少量の白いたんが、さらに進行すると緑や黄色のたんが絡むようになります。気道が狭くなり、咳の後ゼイゼイという音や、ヒューヒューという音がし始めます。重症化すると高熱が3~5日程続くといわれています。タバコを吸う人、ダイエット中の人、子供や高齢者などは発症しやすいため注意が必要です。
・肺炎
細菌やウイルスが鼻や口から侵入することで起こります。健康な人は喉で排除できますが、風邪を引いて喉に炎症が起こっていたり、慢性疾患などで体力や免疫力が弱っているなどに肺炎を起こしやすくなります。
体力の少ない子供や高齢者は特に注意が必要です。肺炎は、ガン、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3位となっている病気です。症状は肺炎を起こす病原体の種類や炎症を起こしている部位によって少しずつ異なります。たいてい38度以上の高熱がでますが、高齢者の場合は熱が出ない場合もあります。肺炎の特徴は激しい咳です。
たんを伴なわない乾いた咳が長く続くことが多いのですが、黄色や緑色の痰を伴なう湿った咳が出る事もあります。他にも悪寒、息苦しさ、胸痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振、倦怠感、頭痛などの症状がみられます。
炎症が肺を包む胸膜に及ぶと胸痛が起こったり、血液の中の成分が染み出して胸と胸壁の間の胸腔に水が溜まることで胸膜炎を起こすこともあります。また、悪化すると血液中の酸素不足からチアノーゼ(唇や顔が紫色になること)が現れ、呼吸数や脈が速くなることもあります。
・結核
結核菌という細菌が体内に入り、増殖することにより起こる病気です。結核菌に感染しても必ず発症するわけではなく、健康であれば菌を吸い込んだ後人の身体は免疫によって結核菌を抑え込んでしまいます。
しかし、体力が低下したり、病気になって免疫機能が働かなくなるなどして抵抗力が落ちると、抑え込まれていた結核菌が再び活動を始め、発病する可能性があります。日本では結核の約八割は肺結核です。結核菌が肺の内部で増え、結核に特有な様々な炎症が起こ
ります。続いて肺が破壊されていき、呼吸する力が低下します。肺以外の臓器が侵されることもあり、リンパ節、腎臓、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。初期の症状は風邪と似ており、倦怠感、咳やたん、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。ただしそれが2週間以上も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と異なります。
風邪にかからないためには、免疫機能を強化し、感染を予防するための生活習慣が重要です。以下は、風邪予防のための生活習慣の一部です。

症例1
50代 男性
季節の変わり目によく風邪を引く。熱は微熱程度で、咳や鼻水が続き喉が痛む。身体はだるく、一度風邪を引くと2週間ほど症状が続く。
中途覚醒があり、睡眠の質はあまり良くなく、日中に眠気を感じることが多い。
今回も風邪の症状が治らないため当院へご来院された。
施術
免疫機能は自律神経の影響を受け、自律神経の乱れが免疫力の低下を引き起こします。交感神経が優位な状態が続くと、顆粒球という白血球が増えます。顆粒球が発する物質にはリンパ球という白血球の働きを抑える作用があり、ウイルスなどに感染しやすくなります。また、交感神経が優位な状態は、コルチゾールというホルモンを分泌し、免疫細胞の働きを抑制してしまいます。
副交感神経を働かせ、免疫力の向上、睡眠の質の改善のため、自律神経調整の施術を行いました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
施術後は身体が軽くなった。咳が治まり、よく眠れた。
二回目
咳は完全に治まり、身体のだるさが楽になった。施術をした日はよく眠れる。
三回目
以前より身体が軽く感じる。風邪の症状は完全に治まっている。
以降、メンテナンスでご来院中。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院