眼精疲労と自律神経の関係

2019年4月16日

①眼と自律神経系の関係

自律神経失調症の症状の一つとして眼の疲れ・眼精疲労があると知られており、目と自律神経系との関係は深いといえます。

自律神経とは、血管・リンパ腺・内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。

交感神経・・・・・主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。

副交感神経・・・主に夜に働くリラックス神経。安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。

 

眼の組織と自律神経の作用効果

                 標的組織 交感神経刺激 副交感神経刺激
眼球 瞳孔散大筋 収縮
瞳孔括約筋 収縮
眼筋 毛様体筋 弛緩 収縮
ミュラー筋 収縮

 

 

 

※自律神経の調整先

自律神経は脳の視床下部で調節されている。視床下部は、脳幹にある心拍数・血圧・呼吸・消化の自律神経中枢の活動も調節・統合している。

 

ここで注目していただきたいのが毛様体筋とミュラー筋です。
毛様体筋はカメラのレンズの役割をする水晶体に作用してピントを合わせる役割があります。近くの物を見る時は毛様体筋が緊張して水晶体を暑くしてピントを合わせます。遠くを見る時は逆に毛様体筋緩ん水晶体を薄くしてピントを合わせます。
パソコンやスマホが広く普及している現代の日本では、近くの物にピントを合わせることが多いため毛様体筋は常に緊張状態にあり疲労が蓄積されていきます。すると目の疲れに繋がるのです。

人間の目は本来長時間近くの物にピントを合わせるような構造はしていません。遠く物を見て敵から身を守ったり、獲物を見つけ出すために発達してきました。近くの物を多く見るということは、人間本来の構造とは逆行しているということです。

アフリカなどのまだパソコンやスマホなどが普及していない地域の人々の視力がいいのは、こういった人間本来の目の使い方をしているからです。
朝起きて夜眠るという人間本来の習慣からはずれ、夜勤など夜働き昼眠る方の自律神経が乱れやすいように、人間本来の働きと逆行すると自律神経は乱れやすくなります。

 

次はミュラー筋です。ミュラー筋はまぶたを上にあげる上眼瞼挙筋の働きの補助をします。目の酷使により上眼瞼挙筋が疲労してくるとその分をミュラー筋でカバーしようとします。
すると、どんどんミュラー筋への負担が重くなり、交感神経を刺激します。パソコンを多く使うお仕事をしており、目の疲れが強い方は、交感神経か緊張状態の方が多いです。

そういった方は、上眼瞼挙筋が疲弊してミュラー筋への負担が大きくなっていることがほとんどです。当院では、目の周りを刺激することでこういった目の周りの筋肉の疲労をとるような治療をしております。

②眼精疲労とは

眼精疲労とは目を使う仕事をするとき、普通の人では疲れない仕事でも容易に目が疲れて痛くなり物を見ているだけでも目のかすみ、まぶしさ、目の充血、ドライアイといった症状が現れる疾患です。
また目の症状以外にも首や肩の凝り、吐き気、便秘全身倦怠感など全身症状がみられることも一つの特徴です。このような状態が続いてしまうとうつ不眠といった精神性疾患となることもしばしばみられます。

 

③眼精疲労の種類

眼精疲労の原因は大きく分けて4つあります。

ⅰ)調節性眼精疲労
屈折異常や調節異常によっておこる眼精疲労です。とくに遠視、近視乱視、老眼の場合で、物が適正にみることができないためピントがうまく合わず無理に調節しようとして眼精疲労が発生すると思われます。

ⅱ)筋性眼精疲労
眼筋麻痺・斜位・斜視など眼筋に異常がある場合に起こります。

ⅲ)症候性眼精疲労
角膜炎・結膜炎などによっておこります。最近ではドライアイも眼精疲労の原因として考えられています。緑内障の初期には目のピントを合わせる調節力が低下してくることがあり、眼精疲労の原因になります。

ⅳ)不等像性眼精疲労
両眼の網膜にうつる像の大きさや形が異なることを不等像視といい、これによりおこる眼精疲労をいいます。メガネやコンタクトレンズが合っていないためにおこることが多いです。

ⅴ)神経性眼精疲労
眼には異常はなく、全身衰弱、心身症、神経症などでおこる眼精疲労をいいます。仕事などでストレスが強くなると体に様々な悪影響を与えます。眼精疲労はその一種と考えられます。

③目が身体全体に影響を与えてしまう理由

目の疲労は、身体全体に影響を与えてしまう可能性があります。それは、筋肉の関係と自律神経の関係が理由に挙げられます。まずは、筋肉の観点から見ていきたいと思います。当院に眼の疾患で来院される方の多くは、肩こりや頸部痛及び自律神経失調症など心療内科系の疾患を同時に抱えて来院されます。

ⅰ)眼周囲の筋肉

眼周囲の筋肉の過緊張は、表情筋である前頭筋→帽状腱膜→後頭筋を通して頸部及び肩部の筋肉(僧帽筋・胸鎖乳突筋・板状筋群・棘筋群)にも影響を与え、肩こり頸部痛を引き起こします。

 

表情筋群

筋名 起始 停止 作用 支配神経
前頭筋 帽状腱膜 眉部・鼻根の皮膚 眉を引き上げ、前頭部に皺を作る 顔面神経
後頭筋 上項線 帽状腱膜 帽子状腱膜を後方に引く 顔面神経
側頭筋 側頭窩 下顎骨の筋突起 口を閉じる・下顎骨を後方に引く 三叉神経
眼輪筋 眼窩の内側縁 眼窩周囲の皮膚 閉眼 顔面神経
皺眉筋 前頭骨の鼻部 眉部 眉間に皺を作る 顔面神経
上眼瞼挙筋 視神経管 上眼瞼 上眼瞼の挙上 動眼神経

眼精疲労が自律神経失調の原因にもなります

眼精疲労の症状が長く続いてしまいますと自律神経失調へ繋がってしまう危険性があります。自律神経失調の症状はひとそれぞれで精神的な落ち込みなど精神的な症状から体の慢性的な痛み・耳鳴り・動悸・胃腸の不調・便秘・生理不順など多種多様です。人によっては複数の症状が出て日常生活の質を著しく低下させてしまいます。

場合によっては仕事ができなくなる・家事が手につかないなど生活のリズムがくるいさらに自律神経の状態を乱しかねません。

近年では仕事で一日中パソコンに向き合い、プライベートでもスマートフォンやパソコンを使い目を酷使する機会が増えています。

この近くのものを見続ける生活は、目の毛様体筋が緊張させて交感神経が長時間働きっぱなしとなります。特に夜は交感神経の活動が抑制されないといけませんが、夜遅くまで目を酷使していると著しく自律神経のバランスを乱します。

それが毎日のように続くと自律神経失調症となってしまうのです。

 

④眼精疲労と自律神経を調整する鍼灸治療

当院では、目の周囲に直接鍼やお灸を施すことで目の周囲の筋緊張の緩和をしていきます。顔の部分は感覚が鋭く、人間の構造上痛みを感じやすくなっています。

鍼やお灸の刺激量には細心の注意を払って施術していきます。眼精疲労が主な症状であっても首肩こりや自律神経の乱れがある場合が少なくありません。上述したように目と自律神経には深い関わりがあり、自律神経が乱れてしまうと目のピントを合わせる筋肉に影響が出たり、まぶたが開きづらくなってしまいます。

当院では、お腹や背中、手足のツボを用いて自律神経を整える施術を目の施術と並行して行っていきます。

 

眼精疲労の頸肩への鍼灸治療

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸整骨院|眼精疲労 at 13:03 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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