外斜位の鍼灸治療

 

外斜位に対する鍼灸治療の流れ

1.まずはしっかり問診します!

問診

生活の行動で外斜位の原因が潜んでいる場合もありますのでしっかり時間をかけて問診していきます。

2.自律神経測定器

自律神経測定器

目の運動は自律神経に左右されている場合も多いです。目は意識的に物にピントを合わせることもできますが、普段は無意識でピントを合わせて調整しています。自律神経が乱れてくるとこの無意識下で行われていたピント調整が上手くいかなかったり、眼位も狂ってきます。

 

3.うつ伏せ治療

 

外斜位に対する頸肩鍼灸治療

 

次にうつ伏せになっていただき、首肩の凝りをとります。肩や首がこって硬くなっていると、その下を通っている血管も圧迫されて血液がしっかり上に上っていきません。

4.目の周囲の治療と自律神経の調整治療

 

外斜位の鍼灸治療

はりを目の周りに刺した後に電子温灸器で目の周囲を温めたり、はりにパルスをつけて電気を流すことも行います。目の血流改善を促すことにより目の筋肉を正常に働くようにします。

 

 

外斜位を予防する

 

外斜位は先天性の物は別として、しっかり目のケアをしていけば予防できるものだと言えます。

①目を使いすぎない!
パソコン作業やスマホを使う際は、1時間に5分は休憩を取り遠くに物にピントを合わせるようにする。目を軽く閉じるだけでも目を休めることもできます。

②夜に濡れタオルなどで目を温めて血行促進!
血流不足は筋肉にも老廃物が溜まってしまったり、栄養ある良い血液が細部にまで回ってきません。目が疲れた時や就寝前に目の周囲を温めることで血行促進を行ってください

③目のトレーニング
step1
目を前後左右に動かす 前後左右をそれぞれ5秒ずつ目いっぱい見ます。それを、3セット繰り返します。最初は目が疲れてきたら休み休みやりましょう。

step2
目の開け閉め運動 目をギュッと閉じて次に大きく開きます。これも5秒ずつ3セット繰り返します。

step3
目を回す運動 最後に顔は動かさずに思い切り目を上に向け、ゆっくり時計回りに3周させます。逆に回りも3周行います。様々な方向に動かすことでさらに効果を促進します。

外斜位の鍼灸治療症例

 

20代 男性

パイロット試験を受ける際の身体検査で外斜位だと判明。このままだと身体検査に通らずにパイロットになるのをあきらめないといけないということで、何か治療法はないかと探していたところ偶然当院のホームページを見つけてご来院された。

詳しく問診をして行ったところ、子供の頃から視力があまりよくなく、テレビやゲームをしているとよく目が疲れることがあったとのこと。最近では、パソコンやスマホを使う機会が多く、普段から目の疲れやドライアイの症状を感じていた。また、試験のストレスによりお腹の調子を崩していたり、睡眠が浅かったりと体調もすぐれないとのこと。

治療
当院では、まず自律神経測定器で自律神経の状態を計測して治療に入りました。測定の結果、交感神経の活動が高く自律神経も乱れていたので、まず自律神経の状態を整えてから目の周りの筋肉を緩めて血流を改善する目的で施術しました。

治療経過
集中的に1日おきのペースで治療していきました。無事にパイロット試験に合格してご本人も喜んでおられました。パイロット試験に合格することが第一目標でしたが、普段から目の疲れなどを感じるとのことでまた外斜位がひどくならないよう定期的に施術を受けられています。

 

外斜位とは

目を閉じたときの目の位置が外を向いている状態のことです。人は目を閉じている時は目を動かす筋肉も休められ、自然な目の位置(眼位)に移動して落ち着きます。

しかし、その眼位が外側にずれている方が意外と多いのです。正常な成人でも安静に眼位がわずかに外を向いていることは珍しくありません。さらに目の酷使によって目の周囲の筋肉が疲労した状態ですと外斜位が顕著化してしまいます。この場合、決して病的というわけではありませんが、力を抜いてぼーっとしていると複視の状態を自覚するなどの症状が出ることもあります。

通常、眼科に行っても「斜視」は検査などでわかるものの「斜位」については検査もされずわからないことが多いです。斜位の症状に気づかれる方は、主に鉄道などの運転手パイロットの方々です。そういった職業の方々は、目の検査を精密に行うため検査結果として出ることがあります。検査結果によっては、試験に受からなかったり、職業をあきらめざる負えないこともあります。

また一般の方でも近くの物を多く見るようになった現代では、すぐ目が疲れるなどの症状の方はもしかすると外斜位かもしれません。

 

近くの物を注視することへの弊害

人間本来の目は、遠くのものをよく見る構造となっています。昔は、遠くの獲物をみつける・遠くの天候をみて移動するなど遠くのものをよく見ないと命の危険もあるほど遠くのものを見るということはとても重要なことでした。

しかし、現代ではそういったことはありません。逆に近くの物を注視る機会が増えることで目に様々な弊害が出てきているのです。

一度試していただきたのですが人差し指を自分の鼻の前にかざして指先に焦点を合わせるようにしてみてください。寄り目となりすぐに目が疲れることが実感できるかと思います。この例は少し極端ですが、逆に遠くのものにピントを合わせていても目の疲れは感じません。近くに物を見るということは、目に相当負担がかかっているということが実感できるかと思います。

現代の日本では特にパソコンやスマホが普及して1・2時間は平気で連続して使用している方が多いです。パソコン作業がお仕事の方は仕方のない部分があるかと思いますが、それだけ目に負担をかけているということです。

外斜位

 

なぜ外斜位が多いのか

先ほどの人差し指を自分の鼻に近づけて焦点を合わせるという動作でもお解りになれたように近くに物を見る時は目が寄ることでピントを合わせます。近くの物を注視する時間が増えてしまうと、目を内側に向ける筋肉はずっと働き続ける状態となってしまいます。だんだんと筋肉は疲労していき、機能低下を起こしてきます。

その結果、目を閉じて目周囲の筋肉の力が抜けた時、内側に固定する力が弱くなり、外に引っ張られることで外斜位となってしまうのです。

そしてまた目を開けてピントを合わせる時に最初に外側に目が向いているためピントを合わせることが遅くなったり、通常の眼位に戻すための動作が一つ増えることで目が疲れやすくなるのです。健常な人でも成人の安静時の眼位はやや外を向いています。しかし、両目は自然と目を内側に向かって収束させて焦点を合わせようとする輻湊運動が起きます。外斜位の特徴はこの輻湊運動を健常な人よりも多く働かせないといけないために眼精疲労が起きやすいのです。そして症状が悪化してしまうと輻湊運動がやりずらい状態となり、間欠性の外斜視状態となってしまう危険性もあります。

眼精疲労について

外斜位の症状

以前にも申し上げましたが軽い外斜位は、眼科などに行ってもほとんどわかりません。目が疲れやすい目を開けた時にすぐ焦点が合いづらい(眼瞼下垂)視界がぼんやりする近くの細かい文字が見えにくいといった老眼に似た症状がでたら外斜位かもしれません。

眼瞼下垂について
老眼について

そういった症状をそのままにしておくと、目が常に外側に向いてしまう外斜視となってしまう場合があるので、注意が必要です。

外斜位

目の筋肉

目の周囲の筋肉には

  • ・外眼筋

上直筋(眼球を上内側に動かす)

下直筋(眼球を下内側に動かす)

内側直筋(眼球を内側に動かす)

外側直筋(眼球を内側に動かす)

上斜筋(眼球を下外側に動かす)

下斜筋(眼球を上外側に動かす)

  • ・内眼筋

虹彩筋(虹彩という目の組織を調整して焦点を合わせる筋肉)

毛様体筋(カメラのレンズの役割のある水晶体の厚さを調整してピントを合わせる筋肉)

 

大きく分けてこの二つがあります。特にこの外眼筋が酷使により疲労すると斜位や斜視となってしまいます。

また内眼筋は主にピントを合わせるなどの役割があるため、酷使により疲労するとピントが合わせづらくなる仮性近視初期の老眼などの原因となってしまいます。

外斜位が進行すると外斜視という普段まぶたを開いて状態でも眼位が外を向いてしまう状態となり、複視に見える状態が常態化してしまう危険性もあります。外斜視の状態となると目を内側によせる輻湊が出来ずらくなり、近くのものに焦点を合わせようとすると余計に力を必要として眼精疲労がさらに悪化してしまうこともあります。この輻湊が維持できなくなった外斜視では間欠性外斜視の状態、外斜視の時とそうでない時が混じった状態となることが多いです。目を酷使した時の夕方から夜にかけて目が疲労した状態となったときに外斜視となってしまうことがあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:17 / 院長コラム コメント&トラックバック(%)

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