不定愁訴は、身体と精神が複雑に絡んで症状が出るものや、ホルモンバランス、自律神経バランスが乱れるために起こるものなど様々です。東洋医学の考え方として、全体から見てバランスを整える治療法のため不定愁訴などに対して効果を発揮しやすい治療法といえます。
東洋医学的に身体の状態を診ることを前提として、当院では、自律神経測定器によって自律神経バランスを測ったうえで治療を行います。
これは、交感神経と副交感神経のバランスを測る事ができます。自律神経状態以外にも身体的ストレスや精神的ストレス、疲労度なども測れます。
自律神経状態を把握してから治療を行うことでより治療効果が出やすくなります。人によって自律神経バランスが違うのでデータを診てからオーダーメイドの治療を行います。データは保存して経過ごとに体質変化を確認できるようにしています。
運動器症状が強い方には、背骨や骨盤の矯正を行うと効果が高いことが多いです。背骨や骨盤の歪みは身体全体に影響するため、背骨や骨盤を整えると手足などの各関節周りや四肢の筋肉の痛みが取れます。
また、よく使われるツボとしまして頭のてっぺんにある『百会』があります。ある研究では、マウスに百会を刺激することで凶暴性がなくなり落ち着くようになったとの結果が出ています。百会に鍼を刺すことで精神的な安定効果が期待でき、不定愁訴の症状にも効果的と考えております。
不定愁訴の症状には、東洋医学と自律神経、骨格の三つからアプローチしていきます。
治療期間は症状の重さによって一概には言えませんが、初めのうちは一週間以内に一度と詰めて来て頂き、徐々に二週間に一度、一か月に一度と症状緩和とともに間隔を空けて治癒を目指します。
不定愁訴とは、他覚所見に乏しく漫然とした身体の不調を指します。不調の中には、頭が重い・倦怠感・疲労感・のぼせ・四肢が冷えるなどがあります。症状が定まらなく一日の中でも症状が出たり出なかったりと変動します。
不調の原因がはっきりしたものでなく理由もみあたらないといった因果関係がみつからない症状です。
病院などの医学的定義は、血液検査などの検査上異常数値がないにも関わらず症状を訴えるものを不定愁訴と診断するそうです。不定愁訴の原因として考えられるのが、更年期障害や自律神経の乱れがよく挙げられます。それ以外には、パニック障害や心的外傷後ストレス障害などの精神からも不定愁訴の症状がみられます。
本人の気持ちとして、体調不良なだけで病院にいっていいものかわからないため悩んで我慢されている方も多いです。病院にいった方でも検査上の異常も見られず他覚所見がない場合は、ストレスですねなどと言われて特に処置もされずに様子見といった本格治療ではなくその場の対応や対症療法だけで終わることも良く聞きます。
全身症状
倦怠感、疲労感、冷え、汗をかく、ほてり、脱力感
泌尿器・生殖器症状
月経異常、性欲低下、排尿痛、頻尿、下痢、便秘
その他の症状
頭痛、めまい、動悸、のぼせ、不安感、イライラと怒りっぽい、集中力低下、睡眠障害
原因は明らかにはなっておらず、様々な説があります。
更年期障害
卵巣機能が低下してきて女性ホルモンが減少してくるために起こる症状です。卵巣機能の低下すなわち女性ホルモンのエストロゲンの減少により生じると考えられています。
40代半ばで閉経を迎えるので更年期障害と呼ばれます。若年性のものもあり若い人では、20代や30代でも更年期障害と同じ症状がみられることがあります。
更年期障害の定義は、日本産婦人科学会が「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」と定めました。
ホルモンバランスの乱れは身体をコントロールする自律神経にも影響がでるため全身に不定愁訴症状がでます。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより身体や精神に様々な症状が現れる病気の総称です。日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。
・自律神経失調症の鍼灸治療について詳しくはこちら
自律神経バランスが乱れることで不定愁訴症状がでてきます。
自律神経失調症は4つのグループに分類されます。
・本態性型自律神経失調症
本態性型自律神経失調症は、自律神経失調症の患者さんの約5%程度で少数です。これは生まれつき自律神経の調整能力が低いために自律神経の状態が良くなく生まれつきどこかしら体調がすぐれない方に多いです。このような方には低血圧であったり虚弱体質の方が多く、ストレスに対する耐性も強くない傾向にあります。
・神経症型自律神経失調症
神経症型自律神経失調症は、心理的要因によって発症してしまう自律神経失調症です。性格的な特徴がみられ、過度な心配性や自己嫌悪感が強い人に多いです。
・心身症型自律神経失調症
自律神経失調症患者さんの約半数は心身症型自律神経失調と言われており、職場での人間関係であったり、家庭環境などのストレスが原因となって自律神経失調症を発症してしまいます。このタイプに多い特徴は、頑張り屋の人やすべての責任を背負い込んでしまう方、ストレスや疲労で生じる感情を自分な中で押し殺してしまう方に多いです。
・抑うつ型自律神経失調症
抑うつ型自律神経失調症は、やる気や気力が低下してしまい何をやるにしても億劫となってしまったり、思考も低下してしまうために仕事や勉強などが手につかない状態となってしまいます。それに加えて自律神経失調症の症状の特徴である頭痛やめまいなどの不定愁訴があらわれます。
精神的疾患
不安神経症、パニック障害、心的外傷ストレス(PTSD)などが原因となって不定愁訴症状をきたすことがあります。
身体表現性障害
身体表現性障害とは、激しい苦痛や吐き気など何らかの症状がでる病態で、症状は身体の様々な場所に変動し長い期間にわたって発症し続ける病気です。異常所見がみあたらなくても疾患にこだわってしまうことや、自分の身体が深刻な病気ではと、捉われるなど精神疾患が含まれます。
男女差は、男性よりも大半が女性に多くみられます。30代より前に発症することが多く、数年以上症状が続くと言われています。
病院での治療法は、薬物療法や認知行動療法、精神療法などが行われます。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 12:06 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)