アキレス腱炎の鍼灸治療

2018年9月23日

 

①アキレス腱・周囲炎に対する当院の鍼灸治療

当院のアキレス腱炎・周囲炎に対する施術は、アキレス腱周囲のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血流改善・鎮痛作用を促します。腫れのひどい場合は、まずその腫れを引かすことを第一に考え、お灸なども施していきます。

アキレス腱炎・周囲炎は五臓六腑の「」と「」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことやアキレス腱の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要があります。

当院で施術させていただいても変わらずにランニングなどのトレーニングをしていては、正直改善は見込めません。当院では、どういったことに注意すればよいのかといった生活指導なども行い、早期回復を目指します。

②アキレス腱炎・周囲炎の中医学的考え

東洋医学ではアキレス腱炎は、アキレス腱周囲の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みや腫れの原因となると考えられています。寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間体力仕事をした時などに気血は滞り、それがアキレス腱周囲であった場合にアキレス腱炎・周囲炎を発症する可能性が高くなります。

 

 

③症例

・主訴
50代 男性 アキレス腱炎

・症状
一年ほど前ゴルフのコースを回っていた時に左足首からふくらはぎに違和感を感じた。
痛みはあまりなく歩けないほどではないので、我慢して生活をしていたら徐々に痛みが悪化してきた。
整形外科を受診したところアキレス腱炎と診断され、湿布薬と消炎鎮痛剤が処方されたが、変化なかった。
自分で靴底を高くして対策をしたが、痛みがさらに強くなり当院に来院されました。

・当院の治療
左の足首は、右の足首と比べて熱感があり、炎症が続いているようでした。アキレス腱の一部は硬く一部隆起しているような状態でした。
まずは、炎症と痛みを緩和する目的で鍼灸治療を施しました。
また、足首の不調で歩き方のバランスが崩れてしまったせいか腰部の筋肉が硬くなっていたので、あわせて腰部をほぐすような施術を行いました。

・経過
◇1回目◇
治療後、アキレス腱の痛みは少し軽減して歩くのも楽になったが、次の朝にはまた痛みが戻っていた。

 

◇2~5回目◇
鍼灸治療に鎮痛効果が継続する時間が段々と伸びてきた。

 

◇6~8回目◇
アキレス腱に痛みを感じることはほぼなくなったが、ためにふとした時に痛みが走る時がある。アキレス腱の隆起はなくなり、硬さも取れてきた

◇9~10回目◇
痛みもあまり感じなく、ゴルフのコースもまわることができた。

・考察
体重も重く、膝や足首にかかる負担は相当大きいものと考えられた。最初の2~3週間は、炎症をとるため運動を控えていただき、食事の方も過食にならないように気をつけてもらいました。アキレス腱炎でご来院される方は、ランナーの方など比較的オーバーユースの方が多いですが、中年の方に関しては、体重増加により足首にかかる負担が増えていってしまったことも一つの大きな要因です。
日常生活では、アキレス腱に負担をかけ過ぎないようにすることや下肢のストレッチ、食事制限がとても重要になってきます。

 

④症例2

20代 男性

週末に仲間内でフットサルを行うことが日課となっているが、1か月ほど前からフットサル中にふくらはぎからアキレス腱にかけて違和感を感じることがあった。フットサルは体育館で行う時も屋外の人工芝で行うこともあり、違和感が出て2週間後の体育館でのフットサル中にアキレス腱の痛みを感じるようになってしまった。
インターネットで運動の前後でしっかりストレッチをした方が良いということが書いてあったためしっかりと運動の前にはストレッチを行うようにしたが、あまり改善が見られないということで当院にご来院されました。今は、週末のフットサルは控えているとのこと

治療
腰部の硬さやもも裏のはりなども感じられたため、そちらのほうから筋肉を緩ますような鍼灸・手技の施術を行ってからアキレス腱周りの施術に入りました。

◇1回目◇
治療終了後、腰やもも裏は筋肉の緩みはあきらかであったがアキレス腱の痛みは特に変わらず

◇2~5回目◇
アキレス腱の痛みが段々と軽減してきたとのこと。

◇6回目◇
だいぶ足の調子が良くなってきたので週末にフットサルを軽くおこなったが痛みは感じなかった。人工芝で比較的フカフカしている地面だとフットサルを行えるが体育館ではまだ怖さがあるの事

◇7回目◇
体育館でフットサルを行ってみたが痛みは出なかった。

 

⑤アキレス腱炎・周囲炎とは?

アキレス腱炎とはアキレス腱自体が微細な部分断裂などによって炎症を起こした状態でアキレス腱周囲炎とは、アキレス腱を包む結合組織であるパラテノンという物質の炎症です。アキレス腱は、膝裏の内側・外側に2頭もち合わせて「ふくらはぎ」をつくる腓腹筋と腓腹筋の下にある平らなヒラメ筋の両筋を合してつくられています。
アキレス腱は、丈夫でほとんど弾力性がなく、ふくらはぎの筋肉の力をかかとに伝える役割をしており、足関節後方で皮膚を保っていることが容易に触知できます。
歩行、走行、跳躍などの際の足関節底屈に大きな役割を果たす他に停止時やジャンプの着地時にも大きな張力が働く部分です。
アキレス腱は筋肉と比べると血液の流れが悪いところで、老化も進みやすいため、体重が急に増えたり、運動しすぎたりして過度に負担がかかると炎症を起こして痛みが出やすい部分でもあります。

アキレス腱炎・周囲炎の症状として主に疼痛腫れ軋轢音があります。

ⅰ)疼痛
アキレス腱のかかとへの停止部よりも内くるぶしのやや上の部分に多く疼痛が発症します。疼痛が主症状で動き始めの時に最もひどく痛みます。
初期の段階では、運動開始時の疼痛が強いにもかかわらず、我慢して運動を続行していると次第に痛みが軽減してくる特徴があります。痛みを我慢して無理に運動し続けるとアキレス腱はさらに硬くなり、瘢痕組織で占められ、運動している間も絶えず痛むようになります。

ⅱ)腫れ
疼痛が強い場合では、疼痛部に一致して紡錘状のアキレス腱の腫れが見られることがあります。目で見て容易に判断でき、腫れている部分には局所熱感を伴う事が多いです。

ⅲ)軋轢音
アキレス腱周囲の炎症が顕著な場合には、足首を曲げ伸ばしすることによってギシギシするような軋轢音を聞くことができます。

※アキレス腱断裂となる前兆も
健康志向の高まりにより、マラソンブームなど特に中高年となってから運動をはじめるという方が増えております。冬のマラソンブームとなると当院にも初めてフルマラソンを走って膝やふくらはぎなど下腿の痛みなどでご来院される30~50代の方が多くなります。その中には、しっかりと準備をせずにフルマラソンに挑まれる方も多くいらっしゃいます。そんな時に注意しなければならないのがアキレス腱の断裂です。アキレス腱が断裂してしまうと完治するまで3カ月以上もかかってしまいます。

その間は、足首などをギプス固定されるため歩くこともままになりません。
アキレス腱断裂は、若い方にも起こりうるものですが、若い方がなるアキレス腱断裂が、運動のし過ぎいわゆるオーバーユースに対して中高年の方がなるアキレス腱断裂は腱の老化が原因となる場合が多いです。30代を過ぎると特に筋肉や腱も老化します。腱はコラーゲン線維からできているため段々とその弾力性や柔軟性が損なわれてしまうのです。

腱がしなやかであれば圧力を分散させることが可能ですが、硬くなってしまっているため圧力が集中して断裂しやすくなってしまうのです。

アキレス腱断裂の前には、アキレス腱炎が前兆となる場合が多く、アキレス腱に痛みや違和感を感じることがあります。そのような場合は一旦運動を休むか負荷を小さくしてしっかりと治癒させることが重要です。

 

⑥アキレス腱炎・周囲炎の一般的治療

急性期には安静休養を行い、保存療法を主とします。
消炎鎮痛剤の外用や内服はある程度有効であり、疼痛がひどい場合には腱周囲組織にステロイ注射を行う場合があります。またかかとの部分を高くする足底板を使用して腱への伸展力を軽減することや腱の捻じれを抑制する内側ソールウェッジ、テーピングも有効と考えられています。
疼痛軽減後もウォーミングアップ、クールダウン時のストレッチングアイシングなどを行い、局所の炎症を予防する必要があります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸整骨院|眼精疲労 at 12:44 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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