当院の野球肘に対する施術は、第一に肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くします。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。その他、野球肘の方の多くは上腕二頭筋や前腕の屈筋・伸展筋の緊張が強く出ている場合がほとんどです。
筋肉の過緊張状態は肘の負担を増加させて更なる痛みの原因になりかねません。上腕・前腕さらに肩回りの筋肉を施術によってほぐすことで肘への負担の軽減に繋がり、痛みの緩和が期待できます。
野球肘は五臓六腑の「肝」「腎」に深く関係しているので、肝と腎に関するツボを用いて肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
また東洋医学では、症状が出ている部分に注目ばかりせずに全身を診て治療をするという考えがあります。野球肘を患って来院される方の多くは、練習量の過多により肘以外にも全身の疲労など様々な症状を患っています。そこで当院では東洋医学の診断法に基づき、全身の調整施術も行っていきます。診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。
当院の野球肘の施術は、野球肘の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも野球肘が回復できる機会を提供することです。生活指導はもちろんのこと患者さんと一緒になって競技への早期復帰を目指します。
東洋医学で野球肘は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する投球動作により気血は滞り、それが肘付近であった場合に野球肘を発症する可能性が高くなります。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わると野球肘がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
野球肘とはボールを投げる動作を繰り返すことにより生じる肘関節周囲の障害を総称する用語です。一連の投球動作において、肘の内側は引っ張られ、外側は圧迫を受け、肘の後ろはボールリリースの際にぶつかる力が加わります。そのような力が繰り返し肘に加わり、故障が発生します。特に小学生や中学生などの野球をやっている子供に多く、肘の違和感から始まり、無理して投球動作を続けていると痛みが強く出てその痛みをかばうような形でさらに肩の痛みにもつながりかねないので注意が必要です。
肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。それぞれの骨は骨と骨とをつなぐ靭帯や周囲の筋肉によって補強されており、非常に安定な関節です。しかし、投球動作を繰り返し行うことにより、靭帯や筋肉が弛んで肘関節の安定性が損なわれます。
野球肘は、少年期のものは離断性骨軟骨炎が多く、成人では肘関節内側の靭帯の損傷を主体とする筋炎、腱炎など肘関節周囲の軟部組織の炎症が主で、肘関節後方では疲労骨折が生じることもあります。
野球肘の症状としては、肘関節の痛みと肘の可動域の制限などがあります。
肘関節の痛み
ボールを投げる動作の際の痛みが特徴的です。肘の痛みのほかに腕のほうへ放散する痛みを訴えることもあります。日常生活ではほとんど痛みを感じません。
野球肘は主に痛む個所は3つあります。投球動作時に肘の内側が痛む場合は、前腕にある手首を手の表側に曲げる屈筋群は肘の内側に付着しているためにボールを投げる動作を繰り返すことで屈筋群の付着部である肘の内側に痛みが出ます。
肘の外側が痛む場合は、投球動作によって肘関節の骨がぶつかり合って上腕骨の軟骨部位が剝がれてしまい、炎症となって痛みを発生させることが多いです。
肘の後ろ側が痛くなる場合も肘の骨がぶつかり合って痛みを発生させる場合と上腕三頭筋という上腕の裏側にある筋肉が繰り返しの投球動作によって過度に使われて延焼する場合とがあります。
肘関節の運動制限
肘の曲げ伸ばしが悪くなり、症状が進行すると急に肘関節を動かせなくなることもあります。
※離断性骨軟骨炎
10歳~16歳の男性によく発症する疾患です。はっきりとした原因は不明でありますが、繰り返す関節運動によって成長途上の骨の先端に圧迫力などが加わり、骨の破壊と壊死を生じたものと考えられています。
離断性骨軟骨炎は、肘以外にも膝や足首などにも発生します。主な症状は、投球時あるいは投球後の肘の痛みです。前腕に放散する痛みや倦怠感を訴える場合もあります。症状が進行すると、激痛のあまり動かせなくなったり、肘関節の腫れや関節液が貯留、筋の萎縮を生じる場合もあります。
投球動作時には肘関節全体に外側のストレスがかかり、内側は伸ばされます。また投球後のフォロースルーにおいては、肘の後ろの部分で骨と骨とが強くぶつかります。その結果として、関節軟骨や靭帯・筋腱・神経などにさまざまな障害が発生します。
まだ成長期にある少年では、上腕骨内側、肘の後ろ側の骨化障害や離断性骨軟骨炎などが、成人では変形性関節症や疲労骨折などの骨障害が生じます。そのほかに上腕二頭筋炎や三頭筋腱炎・回内腱炎・尺骨神経障害などが全年代に生じます。
10代 男性
2か月前からボールを投げるときに痛みを感じていた。
痛みがでても次の日には治っていたのでしばらくしたら良くなると思っていたが、徐々に悪化。
最近はだいたい10球投げると痛みがでて、思いっきり投げることができない。
調子が悪い日は消しゴムを消す動きでも痛みを感じる。
2週間後に試合があるため、できるだけ早く治したい。
当院の治療
触診したところ、腫れや熱感はとくには見られなかった。
腕全体の緊張はそれほど強くないけれど、肘の内側を押さえると痛みがでるため圧痛箇所に鍼と電気を流す治療を行い、痛み軽減をはかった。
また、肩関節の動きをみたところ、可動域が悪くなっているところがあったので、肩回りの治療も合わせて行った。
試合まで時間があまりないので2日置きに治療をするといいとすすめた。
◇1回目◇
鍼はすこしひびくような刺激があったが、肘の痛みが減り、肩が動かしやすくなった。
◇2回目◇
前回の治療後、調子がいい。投げすぎると少し痛みがでるくらいまで楽になった。日常生活は問題なし。
◇3回目◇
肘の痛みはなくなった。
野球肘はボールの投げ過ぎによる故障ですので投球の中止が重要で、肘の安静が大切です。十分に痛みが引くまで投げることをやめて肘周りや手首の周りの筋力アップを行います。痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して場合によっては手術が必要になってくることもあるようです。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 12:12 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)