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涙嚢炎の鍼灸治療

土曜日, 1月 20th, 2024

涙嚢炎とは

 

涙は涙腺で作られ目の表面を潤した後目頭の上下まぶたにある涙点という小さな排水溝に流れていきます。その後は涙小管、涙嚢、鼻涙管の順に続き最終的に鼻へと流れていきます。

涙嚢炎は涙が鼻へ排出される通り道の涙道の一部が、何かしらの原因により詰まることにより、涙嚢に涙が溜まることで炎症を引い起こす症状の事をいいます。

涙嚢炎の原因

 

涙嚢炎の原因は、涙道の一部である鼻涙管が閉塞する鼻涙管閉塞によるものがほとんどで、先天性の物と後天性の物があります。

先天性鼻涙管閉塞症は、胎児には存在して生まれるときには無くなっているはずの鼻涙管の膜が残ったままの状態で生まれてしまったことにより起こります。先天性鼻涙管閉塞症は生後1年~1年半でほとんどの方は自然に良くなります。

※当院では新生児、乳幼児への涙嚢炎の施術は対応しておりません。

後天性鼻涙管閉塞症は、高齢者によく見られ主に加齢によって鼻涙管が狭窄する事で起こります。しかし、若年者でも狭窄を引き起こすこともあり、鼻ポリーブ、鼻炎、蓄膿症といった鼻の病気、結膜炎の炎症が波及する、外傷、腫瘍等が原因になることがあります。

これらの原因で涙道が詰まると、涙道の一部である涙嚢が細菌感染を引き起こし炎症が起こることで発症します。主な細菌は黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、レンサ球菌、緑膿菌、インフルエンザ球菌、嫌気性菌、真菌など様々です。

 

涙嚢炎の症状

 

涙嚢炎にかかると涙が多くなり目やにも出現します。進行すると涙嚢の周囲まで炎症が拡がり涙嚢部分の発赤、腫瘤、痛みが起こります。涙嚢を軽く圧迫すると涙点から膿が出てくるのが特徴です。

先天性のものは生後1年~1年半頃までに90%近くが自然治癒すると言われていますが、後天性のものは自然治癒が難しく、亢菌薬で一時的に炎症が治まっても再発を繰り返す事が多いです。

 

涙嚢炎に対する当院の治療

 

涙嚢炎は風邪を引くなど免疫力が低下場面で発症確率が高くなります。

そのため免疫力を司る自律神経の調節を行ってきます。自律神経のバランスを調節することにより免疫力、自然治癒力の働きを促します。

ご希望があれば当院に設置している自律神経測定器でリアルタイムの自律神経の状態を確認していきます。

また、涙嚢の患部周囲や目のツボに鍼やお灸を施し炎症を抑えていきます。痛みが強い場合は低周波鍼通電法で鎮痛作用を促します。

 

当院は涙嚢炎への施術は首肩の筋緊張も大きな関わりを持っていると考えています。

首肩の筋緊張を緩めて涙鼻菅への血流を促進させていきます。

それ以外に、東洋医学観点から眼と関わりのある「肝」や「腎」のツボを鍼やお灸で刺激して、涙道の詰まりの回復を促していきます。

涙嚢炎はすぐに良くなる病気ではないため継続的な治療が大切です。

治療間隔は週に1~2回が理想です。

 

涙嚢炎に対する病院で行う治療

 

涙嚢炎に罹患したらまずは眼科に受診しましょう。

涙嚢炎の症状が当てはまるようでしたら、眼科ではまず涙道の詰まりの有無を確認するために目頭にある涙点から生理食塩水を注入してその流れを観察する涙道通水検査を行います。

正常であれば生理食塩水が鼻の奥へ通過していくことが確認されますが、涙点に逆流する状態であれば鼻涙管が狭窄している状態になります。

他には一般的な眼科検査や必要に応じてCTといった画像検査、原因菌を確認するために皮膚から針を穿刺して膿を採取する細菌検査を行うこともあります。

急性涙嚢炎には抗生物質や抗菌薬を投与したり、局所麻酔をし局部に鍼を穿刺して溜まった膿を排出、洗浄をくりかえす治療を行います。

慢性涙嚢炎も抗生物質の投与や排膿処置が行われますが根治しにくく、放置すると角膜潰瘍を引き起こす可能性もあるため手術を行う場合もあります。

 

涙囊炎の東洋医学的観念

 

東洋医学では肝は目に開窮(かいきょう)すると考えられています。

これはどういう意味かというと、肝の経絡は目と繋がっており、肝の病気や機能低下が起こると肝と繋がっている目にも悪い影響が出てしまうと行くことを指しています。

東洋医学での肝は西洋医学での肝臓の働きと多少異なっていて、血液を貯めてそれを必要に応じて目や筋肉に送る働きや、胃腸の働きを助ける、気の流れの調節、感情のコントロールを司っていると考えられています。肝は感情のコントロールを司っているためストレスの影響を受けやすく、慢性的なストレスで肝が疲れてしまい機能が低下してしまいます。肝の働きが弱くなると目に血液を送ることができないため、目の病気になりやすくなります。

 

そのため、目の病気を治療するには肝の機能を回復させることも必要になってきます。

また、肝は腎とも深い関わりがあります。肝と腎の関係は肝腎同源と言い、肝と腎は互いを助け合っています。しかし、肝と腎のどちらかが陰虚になりそれが継続すると両方とも陰虚状態になってしまい助け合うことができなくなってしまいます。

そのため腎の機能を強化することも大切になります。

 

鍼灸で肩こりの根本治療

木曜日, 1月 18th, 2024

当院での肩こりの鍼灸施術について

当院の肩こりに対する鍼灸施術の特徴は、頸肩の筋緊張の緩和と同時に自律神経の状態を整えていくということです。

ストレス社会といわれる現代では、自律神経の状態も整えていかないことには肩こりの完本的な解決には至りません。それは、当院のコンセプトであり他院にはない施術となります。

肩こりの自律神経調整鍼灸治療

 

もちろん頸肩の筋緊張の緩和(頸肩への施術)がメインの施術とはなりますが、お腹や手足のツボも用いて自律神経の状態も整えていきます。当院には多くの肩こりでお悩みの方がご来院されますが、多くは自律神経の状態も乱れた方々です。

自律神経の状態も整えて頸肩の筋緊張も緩和させることで長期的な施術効果や肩こりの根本解決に繋がっております。

肩こりの鍼灸治療

問診時にあまりに自律神経の乱れがあると判断された場合には、自律神経測定器で自律神経の状態を測定して今の自律神経の状態を把握して施術していく場合もあります。またご希望であれば自律神経測定器で自律神経の状態を測定することも可能です。

問診時には、肩こりばかりでなく、体の様々なお悩みもご相談ください。

 

肩こりの鍼灸治療症例

30代女性

仕事はデスクワークが主で仕事のある日は、平均10時間ほどはデスクワークをしており、仕事が終わる時間も夜の10時ごろと遅くまで仕事をやる日が多い。

肩こり症状は、慢性的で20代の頃から悩まされていて疲れが溜まった時などは、マッサージに行ってほぐしてもらってしのいでいたが、ここ最近はマッサージをしてもあまり効果が感じられずに肩こり以外にも後頭部や側頭部の頭痛を感じるようになり、症状がひどいと市販の頭痛薬を飲んで症状を抑えていた。

同じような症状で悩まされている同僚から鍼灸治療が効いたということを聞いて、鍼灸治療は初めて少し怖さもあったが少しでも症状が改善されればということでご来院されました。

 

鍼灸治療
触診したところ頸部及び肩部の筋緊張が強くそれに引っ張られるようにして肩甲骨内側も筋緊張が強い状態でした。メインはその筋肉の緊張緩和を目的に鍼灸施術を行っていきました。
また、仕事も遅くまで行っており、なかなか疲れが取れずに疲れが溜まりやすいということで自律神経の状態も測定して自律神経も整えるような施術をお腹や手足のツボを使って行っていきました。

経過
最近は毎日といっていいほど頭痛が起こり症状が強く出ていると感じたため、3~4日おきに4回ほど治療を行っていきました。
その間で頭痛はほとんど感じられなくなり、首肩の筋緊張もだいぶ緩和されてきました。触診すると表面の大きな筋肉の緩和は見られたもののまだ深部の筋肉が緩んでいない状態でした。
治療間隔を1週間に1回ほどに伸ばして5回ほど治療を受けて頂きました。自律神経の状態もだいぶ整っていき、身体の疲れもだいぶ取れてきた様子。
頸肩の深部の筋緊張も緩和されてきて肩こりも感じにくくなってきたが、仕事で無理をするとどうしても肩が気になる時もあるとのことで少しでも休憩時間を設けてもらい、首肩のストレッチで自己ケアも行ってもらうようにしていただきました。

 

肩こりとは

肩こりとは、首肩の筋緊張から肩に違和感や痛みを感じて辛さを感じることです。症状が慢性化・進行してしまうと肩の奥深くの痛みや吐き気を伴なったり頭痛や眼の痛みなどといった症状も起きてしまいます。

肩こりは、デスクワークやスマートフォン操作などでの姿勢の悪さから日本人の多くが悩まされている国民病ともいえます。厚生労働省の調べによりますと、肩こりは日本人女性で身体の悩まされている部分1番目で日本人男性でも2番目になるとも結果が出ています。

しかし、肩こりはよく見られる症状だからといって放っておいてはいけません。処置が遅れると慢性的に肩こりに悩まされて症状が常態化してしまったり、また単なる肩こりとは違って内臓の状態の悪化が肩こり症状となって表面化している場合もあります。

 

 

肩こりの原因

 

肩こりの原因と言いましても様々なものがあります。稀ではありますが、その中でもとりわけ注意しなければならないのが内臓疾患からくる肩こりです。その他、姿勢の悪さからくるものや身体の冷え、精神的ストレスからくる肩こりは比較的よくみられる原因です。

 

姿勢の悪さからくる肩こり

肩こりの原因で最も多いのがこの姿勢の悪さからくる肩こりです。特にデスクワーク時には首は前傾して肩は丸まり、手は前に突き出した姿勢を取りがちです。すると背部から頸部にかけて背骨の生理的湾曲が損なわれて頭部の重さが肩や首にのしかかってしまい筋肉に負担が重くかかってしまうのです。筋肉に負担のかかる状態が長く続くと筋肉は緊張状態が続いて局所的な循環が悪くなります。肩こり症状でよく見られるのが僧帽筋や脊柱起立筋、肩甲挙筋、菱形筋などといわれる筋肉です。

僧帽筋
僧帽筋は背中の筋肉の中で一番表層部にある筋肉です。肩甲骨の動きに大きく関与しており、腕を持ち上げる運動など日常生活上でも非常によく使われる筋肉です。背部の広い範囲を覆っており、この筋肉が疲労してしまうと肩こりとして感じやすかったり、機能が低下してしまうと猫背などの姿勢も悪くなってしまいます。

脊柱起立筋
脊柱起立筋は、背骨に沿って走行する筋肉で棘筋と最長筋、腸肋筋の3つの筋肉で構成されています。機能としては上半身を起こした状態を維持する姿勢筋です。そのほか上半身を後ろにそらせる働きもあります。デスクワークなどで椅子に腰かけている状態が長く続いてしまうとこの脊柱起立筋が疲労してきます。すると背中の張り感を感じたり、連動して肩こりも感じやすくなってしまうのです。

 

肩甲挙筋
肩甲挙筋は、僧帽筋の下にある比較的深層にある筋肉です。首を左右に動かす際に働く筋肉で日常生活の動作でもよく使われており、疲労が起こりやすい筋肉の一つです。肩甲挙筋は深層にあるので疲労してコリとなってしまうと深いコリとなり、コリを取るのが難しくなる筋肉です。肩甲挙筋が原因による肩こりは、比較的よく見られ慢性的な頑固な肩こりの方のほとんどはこの肩甲挙筋が過緊張状態を起こしています。

 

菱形筋
菱形筋は、その名の通りひし形の形をしており、背骨と肩甲骨内側を繋ぐ筋肉で呼吸などで胸を開く際に収縮して肩甲骨を背骨に引き寄せる働きがあります。また、デスクワークでパソコン作業をしている時は、手が前に出て肩甲骨と背骨の位置関係は遠くなり、菱形筋は引き伸ばされた状態が続きます。その状態が長時間続いてしまいますと筋肉は傷付きやすくなってしまいます。

 

身体の冷えからくる肩こり

身体の冷えからも肩こりが起こることがあります。筋肉は冷えると緊張して縮こまってしまう性質があります。冷房など冷たい風が肩付近にあたると筋肉は緊張してその付近の循環は悪い状態となってしまいます。すると、そこの部分に疲労物質が溜まりやすくなってしまったり、栄養ある血液を筋肉に行き届かせづらくなってしまうことで肩こり症状が起きてしまいます。

 

首肩の疾患からくる肩こり

首肩の疾患からも肩こり症状を感じることがあります。

・五十肩
医学用語では、肩関節周囲炎といいます。文字通り肩関節周囲の靭帯や筋肉に何らかの原因によって炎症が起きてしまうことを言います。なぜ五十肩と言いますと五十代に多くあらわれるからです。その原因として筋力の低下や筋肉や靭帯の柔軟性の低下が挙げられます。柔軟性が欠けてしまいますと一定の部分に負荷がかかることでその部分が限界を超えてしまい炎症を起こしてしまうのです。五十肩のこわいところは、何か今日は肩が凝るなということでは終わらないことです。五十肩がひどくなってしまうと夜間痛といいまして夜中寝ているだけでも痛みによって眠りが妨げられたり、著しく肩の動かせる範囲が狭まってしまいます。完璧に治るまで1~2年もの要することも少なくありません。

五十肩の鍼灸治療について

 

・頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアの場合には、肩こりの他にも頸肩に痛みや腕や手の部分に痛みや痺れ、知覚鈍麻が起きることがあります。ヘルニアは一度椎間板から飛び出してしまった物質がすぐに吸収されてしまえば一過性の症状となりますが、多くの場合そうとはならずに慢性的な頸肩の痛みやコリに繋がりかねません。あまりに椎間板の間の物質の飛び出し程度がひどい場合には病院で手術を施されることもありますが、多くは保存療法で温熱療法や電気療法、けん引療法等が病院でも行われます。

頚椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療について

内臓疾患からくる肩こり

関連痛と言いまして内臓とは別の場所で痛みを感じることがあり、肩の痛みやコリの病態として内臓疾患があらわれることがあります。

・狭心症や心筋梗塞
狭心症や心筋梗塞でも肩こりが起きる場合があります。しかし、その場合放散痛といって胸の痛みや背中、みぞおち上がりの痛みが出ます。肩こり以外にもそのような症状が出てしまった場合は即病院で検査を受ける必要があります。

 

・脳動脈瘤
脳動脈瘤で起きる肩こりの場合は、その他に頭痛や吐き気、目の奥の痛みや違和感、頭が重たく感じることやめまい症状が出ます。こちらもそれらの症状が肩こりと併発して起きている場合は、即病院で検査を受ける必要があります。

 

 

精神的ストレスからくる肩こり

精神的ストレスからくる肩こりもあります。それは、精神的ストレスにより自律神経が乱された場合に起こりやすいです。特に自律神経のうちの交感神経の活動が高まってしまっている状態が長く続いてしまうと血流が滞ってしまい疲労物質が溜まりやすくなってしまいます。また、筋肉は緊張した状態が続いてしまうことで筋肉のコリに繋がります。

肩こりを根本的に改善すると考えた場合、自律神経を整えることもとても重要となってくるのです。

 

症例

50代女性

 

主にデスクワークで8時間ほどパソコン作業をしている。5~6年ほど前から首肩コリがひどくなってきて痛みも感じるようになってしまった。特に低気圧が近づいてきて雨の日は特に状態が悪くなることが多かった。

1年ほど前から特に肩こりの症状が強くなってきて、デスクワークをするのも辛さを感じてしまうほどに。

老眼による視力低下も出てきてデスクワークの姿勢も悪くなってしまってさらに肩こりを感じるようなってしまった。

 

当院での鍼灸施術

 

自律神経の状態を測定させていただいたところ自律神経のバランスも悪く、特に交感神経が亢進状態でした。

背中や首肩を触診したところ肩甲骨周囲の筋肉が異常に緊張しており、それが背部全体ましてや腰の筋肉の緊張にも繋がっていました。

 

全身的な自律神経のバランスを整える自律神経調整施術を行いつつ、メインは首肩背中・腰回りの筋緊張緩和の鍼灸施術を行います。

 

また、肩甲骨周囲の筋緊張が異常に強かったため手技療法で肩甲骨を動かしつつ肩甲骨周囲の筋緊張の緩和も行っていきました。

 

目の疲れも気なるとのことで眼科鍼灸施術コースで目の周りの施術もプラスして行っていきます。

 

経過

 

1回目の施術後、デスクワーク中の首肩のつらさが半減したとのこと。自律神経のバランスが整ったおかげか深い睡眠がその日はできて疲れが日常的にも取れやすくなったように感じたと嬉しいお言葉をいただきました。

 

目の方はあまり変化を感じられなかったため目の周囲も電気鍼治療を用いて刺激量を上げていきます。

 

施術回数を重ねるごとに体調が整っていき首肩のこりやつらさを感じにくくなっていきました。

今では、どうしても仕事で無理をしてしまったときや疲れがピークになった時など1か月に1回程度で鍼灸施術を受けられております。

早期覚醒、目覚めの悪さの鍼灸治療

火曜日, 1月 16th, 2024

早期覚醒と目覚めの悪さに対する当院の鍼灸治療

 

早期覚醒や目覚めの悪さに対する当院の治療方針はまず自律神経を整えることです。

目覚めの悪さ・早期覚醒の鍼灸治療

 

早期覚醒や目覚めの悪さで悩んでいる方の多くは自律神経の日内リズムが乱れています。

通常、自律神経のバランスは、日中に活動的な神経である交感神経が高まり、夕方から夜にかけてリラックス神経である副交感神経が高まります。

しかし、早期覚醒や目覚めの悪さがある方は、この自律神経のリズムが崩れており、日中に副交感神経が高まり、夜にかけて交感神経が高まってしまってる方が多く、日中は倦怠感や眠気があり逆に夜になると頭がさえてきます。また、過労気味の方に多いのが常に交感神経の活動が高くなってしまっていることです。すると、寝つきの悪さや睡眠の質の低下などに繋がり早期覚醒や目覚めの悪さに繋がります。

 

そこで当院では自律神経測定器で自律神経のバランスを測定してその方の自律神経のバランスを把握することでその方に合った施術を選択して行っていきます。

その他、東洋医学的観点より最適なツボを選穴して五臓六腑の調子も整えていきます。快適な睡眠には五臓六腑の『』と『』の働きが特に重要です。心と腎の働きを整え、睡眠の質上げる特効穴なども用いて施術していきます。

目覚めの悪さ・早期覚醒のうつ伏せ鍼灸治療

 

眠りの質上げるツボとして足の裏にある「失眠」というツボがあります。当院ではこの部分にお灸で刺激を入れていき、睡眠の質の改善をはかっていきます。

 

睡眠の質を上げる「失眠」へのお灸治療

 

自律神経測定器
自律神経測定器

 

症例

40代男性

半年ほど前から起床予定時刻よりも2~3時間早く目覚めてしまい、その後もなかなか眠りにつけない状態が続いている。発症以前は7時間程安定して眠れていたが、現在の睡眠時間は5時間程度。良くて6時間。病院で睡眠導入剤を処方されるも、日中の倦怠感が強く出てしまい飲むのをやめてしまった。
出来れば薬に頼らない治療法で治したいという事で、鍼灸治療を試してみようと来院される。
睡眠不足で疲れがとれない為か全身の疲労感があり、集中力も低下している。
主にPCを使う仕事に従事しており、眼精疲労の症状も現れている。

当院での治療
自律神経測定器の結果夜の時間帯にもかかわらず交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。睡眠の質を高めるためのホルモン分泌、概日リズムの正常化、全身的な血行の改善、内臓機能や免疫力の向上による疲労、眼精疲労の緩和を目的とし自律神経系の調整をメインに治療を行いました。
また、下肢の冷え、頭部ののぼせの症状も見られましたので、腹部や下肢を温め、頸部の筋肉の緊張を除き血の巡りを改善する施術と、眼精疲労の改善のため目周囲に鍼やお灸を施しました。

1回目
まだ変化ないが、施術後はリラックスできた感覚はあった。

2回目
疲労感、眼精疲労少し楽になった気がするが、睡眠の方はまだ変化感じられない。

3回目
施術当日はよく眠れたように思うが、やはり二時間ほど前に目が覚めてしまった。しかし、その後は30分程で寝付けることができた。

4回目
いつもより30分ほど長く眠れた日が二日ほどあった。疲労感と眼精疲労は少し和らいだ。

5回目
毎日ではないものの、6時間以上眠れる日が出てきている。首のコリが残っているが肩や腰の張りが取れてきた。眼精疲労も感じにくくなってきている。

6回目
二日に一回は6時間以上眠れている。その後の寝付きもよい。首のコリの範囲が狭くなった。

7回目
七時間ほど眠れた日が一日あった。久しぶりに熟睡出来た感覚。眼精疲労は今はほとんど感じない。首と肩の緊張があるが来院前に比べれば半減くらいはしている。

8回目
6~7時間眠れる日が週に2,3回あった。

9回目~10回目
7時間眠れる日が週の3,4日になってきた。疲労感も抜けてきた。仕事中も集中できるようになっている。

11回目
今は、疲労感、眼精疲労は無くなった。首と肩こりもずいぶん楽になって頭も軽い。睡眠は7時間安定して眠れるようになっている。週に1,2回は少し早く目覚めてしまうこともあるが、その後すぐに眠りにつけるので睡眠不足によるストレスはほとんど感じなくなった。
いい状態が続くようにもう少し治療続けていきたいと思う。

12回目
前回から治療間隔を伸ばしたが安定して眠れている。仕事が長時間の時は目が疲れたり、肩がこる時もあるが眠れば回復するので体調面も安定している。

 

早期覚醒・目覚めの悪さの原因

 

早期覚醒とは「本来起きたい時間よりも早く目覚めてしまう事」で睡眠障害の一つです。

予定していた起床時間よりも数時間早く起きてしまう日が続いたり、いったん起きてしまうと、予定より早い時間であっても再び就寝することが出来ない日々が続くことで十分な睡眠が得られず睡眠不足に陥ってしまったりします。

通常の早起きとして周囲からは大きな問題として扱ってもらえなかったり、年配の方の場合は年齢から起こる早寝早起きと勘違いされる場合もあり、医療機関への受診が遅れたり、症状が深刻化することもあります。

逆に寝起きが悪いという状態になるのは、脳が十分に覚醒状態へと切り替えることが出来ていないために起こります。これは、覚醒すべきタイミングに覚醒出来ない「睡眠慣性」という体の習性に起因しています。

睡眠慣性とは、目が覚めても眠気やだるさが残っているなど、身体が起きているにもかかわらず、脳がまだ眠っている状態の事を指します。睡眠慣性は睡眠の質が低かったり、脳が深い睡眠に入っている時にアラームで強制的に目覚めたりすると起こりやすいと言われています。

睡眠慣性になると脳が覚醒している状態に比べて認知機能が著しく低下した状態になり徹夜明けや、飲酒状態よりも脳機能が低下していると言われています。

朝目覚めてからもしばらくうとうとした状態が治らないのは睡眠慣性から十分に回復できていない為と考えられています。

 

 

 

 

早期覚醒となる要因

 

・加齢によるもの
私たちの身体には夜になったら眠るという仕組みが備わっています。
これを体内時計と呼びますが、加齢とともに体内時計の針は進行しやすくなります。そのため高齢者には就寝時刻が早く朝早く目覚めるという人が多く見られます。加齢に伴って睡眠の質は変化し、睡眠に必要な時間も短くなっていきます。
60歳以上になれば6時間以上眠れる人の方が珍しいと言われるほどです。また、加齢により睡眠導入物質であるメラトニンの分泌量が少なくなることで眠りが浅くなり、睡眠を持続することが難しくなることも原因として挙げられます。

 

・体内時計の変調
夜更かしや夜勤、旅行の時差による活動時間の変化などが引き金になる事があります。

 

・精神的ストレスや自律神経の乱れ
睡眠は身体から分泌される「神経伝達物質」や「自律神経」などが影響を与えています。仕事や人間関係などで強い精神的ストレスを受ける事により、脳が活性化し脳内のドーパミンや乗るアドレナリンなどの覚醒物質が脳を覚醒させ睡眠の質の低下を招きます。

また、自律神経は自分の意志とは無関係に働く神経で、内臓、血管などの働きをコントロールし、体内環境を整えてくれています。自律神経は交感神経と副交感神経の二つで成り立っていますが、交感神経は日中活動時に活発に働く神経で心や体を活発にする働きを持っています。

副交感神経は夕方から夜にかけて主に働く神経で脳や身体をリラックスさせ、体を休ませる神経です。このうち眠るとき優位に立つのは副交感神経です。

何らかの原因によってこの自律神経に乱れが生じることで、体を休める働きをするはずの副交感神経が働きにくくなり睡眠障害を起こします。自律神経の乱れを起こす原因と考えられるものには、ストレスや疲労、環境の変化、温度や湿度の変化、生活リズムの乱れ、ホルモンの変化などが挙げられます。

 

・うつ病などの心の病による早期覚醒
早朝覚醒を含む睡眠の質の低下は、心の病の症状として現れることがあります。
うつ病患者の9割以上が何らかの不眠症状を自覚しているとも言われているほど、うつ病と不眠の関連性は強いです。物事に興味が無くなったり、やる気の低下、気分の落ち込みといった症状が現れてきた場合には早期覚醒の原因としてうつ病が潜んでいる可能性もあります。その他、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や統合失調症などでも不眠の症状が現れる事があります。
うつ病の鍼灸治療について

 

 

・アルコール、喫煙、コーヒーなどのカフェイン摂取過多
アルコールは脳を鎮静させることにより寝つきを良くする作用があるため、眠れない時に摂取する方もいます。

しかし、実はアルコールは寝つきは改善させますが、眠りの質は悪化させます。利尿作用やアルコールが体内から分解される時に離脱症状が生じる為、心身が不快を感じ目覚めてしまうこともあります。

ニコチンやカフェインも興奮作用があるため睡眠に質を下げる原因となります。

 

 

・女性ホルモンのバランス
黄体ホルモンのプロゲステロンが睡眠を浅くすることがあります。そのため、女性ホルモンのバランスが変化する生理前や妊娠中、更年期などは不眠の症状が現れたり、日中の眠気が生じやすくなることがあります。

 

 

早期覚醒と関連のある疾患

 

・不眠症
寝つきが悪い「入眠障害」、夜間に何度も目が覚めて熟睡できない「中途覚醒」、朝早く目が覚めて眠れなくなる「早朝覚醒」などのタイプがあります。
不眠症の鍼灸治療

 

 

・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
眠っている時に呼吸が停止したり、喉の空気の流れが弱くなったりする病気です。多くの場合、舌や口蓋垂(のどちんこ)が空気の通り道である気道を塞ぐことで起こります。寝ている間に10秒間以上の無呼吸(呼吸が止まること)や低呼吸(呼吸による換気が50%以下に低下すること)が一時間に5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

 

 

・うつ病
うつ病の原因ははっきりと分かっていませんが、脳の神経伝達物質の働きが悪くなることと同時にストレスや身体の病気、環境の変化など様々な要因が重なって発病すると考えられています。うつ病が「不眠や食欲不振などを含めた特定の書状が2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」と診断基準が決まっており、気分の落ち込みの他にも精神的、身体的な症状を伴います。
睡眠障害の他にも食欲の低下または増加、疲労、倦怠感、ホルモン系の異常などの症状が現れることがあります。
また、精神症状として他にも喜びや興味の喪失、やる気の低下、抑うつ気分、自責感、気分が落ち込むなどの症状が2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出てくることがあります。

 

 

目覚めの悪さを起こす疾患

・起立性調節障害
自律神経失調症の一種です。若年層、特に中学生に全体の10%にみられ、思春期の女子に多い病気です。身体症状としてめまい、立ちくらみが一番多くみられ、その他にも息切れ、動悸、睡眠障害、食欲不振、腹痛、頭痛、倦怠感など人により様々な症状が現れます。
午前中に体調が優れず、午後になると改善する症状もあります。
起立性調節障害の鍼灸治療について

 

 

・睡眠相後退症候群
昼夜逆転の生活が要因となって体内時計がずれてホルモンの分泌のリズムや体温リズムが崩れてしまう病気です。心の病気とも呼ばれており無理に寝つく努力をして精神的に圧迫されたり、寝付けなくて鬱状態になる場合や登校や出社、家事や育児が出来ない自分を周囲も本人も追い込んでしまう事で余計に悪化させることがあります。

 

・低血圧

早期覚醒と目覚めの悪さの対策法

 

早朝覚醒・目覚めの悪さが継続的に起こる場合、自分自身でもいくつかの対策を検討することが重要です。以下は、早朝覚醒に対する一般的な対策です。

・規則正しい睡眠スケジュール

睡眠の質を向上させるためには、なるべく毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることが重要です。不規則な睡眠スケジュールは、体内時計を乱し、早朝覚醒を引き起こす原因になります。土日祝日など仕事や学校がお休みの日でもできるだけ同じ時間帯に寝て起きることが望ましいです。

 

・寝室の快適な環境

寝室を快適な環境にすることが大切です。適切な温度、暗さ、静けさなどを確保しましょう。基本的に室温は低めに設定して真っ暗にすることが深い睡眠に入りやすいと言われています。カーテンも街灯の光も遮るレベルの物を使用することが睡眠には望ましいとされています。

 

・夜の活動制限

寝る前に興奮するような活動や刺激的な体験を避けることが役立ちます。例えば、激しい運動やダラダラとテレビを見ること、コーヒーやアルコールの摂取は控えましょう。

 

・デジタルデバイスの制限

寝る前の1時間ほどはデジタルデバイス(スマートフォン、タブレット、コンピュータ)の使用を避けましょう。これらのデバイスのブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠に悪影響を与える可能性があります。活動的な神経である交感神経が活発になって睡眠の質を低下させることがわかっています。ベッドに入ったら絶対にスマートフォンは触らないように心がけましょう。

 

・ストレス管理

ストレスが早朝覚醒の原因である場合、ストレス管理技術を導入すると良いです。深呼吸、瞑想、リラックスした音楽の聴取などが効果的な方法です。日中にウォーキングなど軽い有酸素運動を40分程度行うとリラックス効果があることがわかっています。

 

・朝日を浴びる

朝日を浴びることで、体内時計がリセットされて、目覚めが悪い場合は覚醒が促進されます。窓際で朝日を浴びながら朝支度をするようにしましょう。
また、朝日が昇り始める時間にカーテンが自然と開くような商品もあるのでそのようなものを利用する手段もあります。

 

・深呼吸や瞑想

寝床で深呼吸や瞑想を行うことで、リラックスして眠りにつき、目覚めが良くなることがあります。深呼吸や瞑想は近年の研究でもその効果が実証されており、ゆっくりと呼吸することで副交感神経の活動が高まって深い睡眠ができるようになって早期覚醒や目覚めの悪さの対処法になります。

 

これらの対処法は個人差がありますので、自分に合った方法を見つけることが重要です。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

2月1日(木)より院長清水の施術料改定のお知らせ

木曜日, 1月 11th, 2024

いつも東京α鍼灸院をご利用いただき、誠にありがとうございます。お陰様で多くの方に支えられ、これまで以上に質の高いサービスを提供できるよう努力してまいりました。

誠に勝手ながら、経費の変動やサービス向上のための改善策を実施することとなり、院長清水の施術に限りまして料金改定をさせていただくことになりました。

改定後の主な料金は下記の通りです。

 

◆院長全身はりきゅう施術料金◆

6,900円 → 7,900円

◆院長眼科鍼灸施術及び耳鼻科鍼灸施術料金◆

7,900円 → 8,900円

◆院長美顔鍼灸及び全身ゆったり施術料金◆

9,900円 → 10,900円

◆回数券料金◆

今までと同様に5回券は8%オフ・10回券は10%オフ

 

 

新しい料金は2024年2月1日(木)から適用となります。

今回、院長清水の料金改定のみになります。他の施術者の施術料は変更ございません。

これからもより一層の満足度向上に向けて、心を込めた施術とサービスを提供してまいります。何かご質問やご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

今後とも変わらぬご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

 

 

予期不安に対する鍼灸治療

金曜日, 12月 29th, 2023

◯予期不安に対する鍼灸治療

予期不安に対する鍼灸の治療方針は、

「心(しん)の働きを整えること」と

「頸・背中のコリを解消させること」です。

「心(しん)の働きを整えること」

人の情動や精神活動を司る「心」は気が不足すると焦燥感や不安を起こしやすくなります。この状態は、電車や人混みなど発作の起きやすい場面を想像した際に発症する予期不安を誘発します。

そのため「心」の気の充足が重要になります。

また、「心」の働きを強めるのが「肝」の働きになります。「肝」は身体の気の巡りや自律神経系を司ります。

「心」と「肝」が充分に働くようお身体に合わせて手足にあるツボに鍼や灸をしていきます。

例)神門・太衝

「頸・背中のコリを解消させること」

頸・背中のコリは自律神経の交感神経が過剰に働いてしまう原因の一つです。また身体の状態と精神の状態はとても深く影響し合っています。そのため発作は抑えられていてもコリが残っていると予期不安が続いてしまう場合がみられます。

なので頸や背中の筋肉にあるコリに鍼をしていきます。

例)後頭下筋群・胸鎖乳突筋・僧帽筋・脊柱起立筋

◯予期不安の東洋医学

東洋医学では、予期不安は「心」と深い関係にあると考えられます。五臓六腑の「心」とは精神活動や情動を司るとされ、「心」を病むと精神的な症状(不安・動悸・睡眠障害など)が現れます。また「心」は五臓六腑全ての活動を統率し、身体全体が正常に働くよう調和を計っている役割があります。つまり脳や内臓、神経、ホルモン、筋肉、血液全ての組織・器官の働きが適切に行われるためには「心」が正常に働き統率する必要があります。

「心」を補い、支えているのが「肝」になります。五臓六腑の「肝」とは身体の気の巡り(疎泄)や自律神経系を司っており、「心」の働きを補う役割も担っています。また「肝」は自律神経系に深く関わっているため、「肝」の働きが乱れると頭痛や息苦しさ、下痢、便秘、慢性的な首肩こり、疲労感などを引き起こします。

◯予期不安の病院での治療

薬物療法

パニック発作や予期不安に対して、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が用いられます。薬物療法のお薬の副作用として悪心やめまい、眠気、立ちくらみ、お薬の依存性が挙げられます。症状を抑えるのにとても有用なお薬ですが依存してしまう可能性がありますので、徐々に服用頻度を減らせるとよいです。

認知行動療法

普段なら難なくできる行動が予期不安でできなくなってしまっている状態に行います。できないことを挙げていき、一番簡単なことから少しずつ行い成功体験を積んでいきます。

◯予期不安とは、、、

予期不安とは、「〜をしたら、〜になってしまうのではないか」という明確な不安です。

一般的な例として、電車内でパニック発作を起こしていた方。この方は症状の軽快後に「電車に乗ったら、パニック発作が出てしまうのではないか」という予期不安が出ます。

このように予期不安が頻繁に起こるようになると、日常の行動一つ一つが行い辛くなります。「音楽ライブや映画館に行くことが怖い」はまだ行くのを控えればよいですが、「学校や仕事場に行くことが事が怖い」があると生活・人生に支障をきたします。

また「外に出る事」や「人に合う事」すら予期不安によって行えなくなる場合があります。このような症状があると日常の生活がとても困難になります。そして併せてうつ症状(気分の落ち込み・やる気が出ない)や自律神経失調症(寝れない・日中怠い・疲れやすい)などを併発することもあります。

他にも不安によって日常生活に支障をきたす不安神経症も存在します。こちらは漠然とした不安から急な動悸や発汗、めまい、呼吸困難を起こします。そのため発作の頻度によっては外出がしにくくなり普段通りに生活を送り辛くなります。

吐き気

◯予期不安のセルフケア

予期不安が出にくくするために出来るセルフケアをご紹介します。

首の後ろで後頭骨と首の筋肉が交わっているラインにコリがあります。このラインの中央にあるコリは瘂門と呼ばれる経穴のある部位です。またその両脇にもコリがあります。経穴は天柱や風池がある部位です。

この後頭部にあるコリは後頭下筋群と呼ばれる小さい筋肉の集まりにコリが出来ています。後頭下筋群は頭蓋骨を支えると同時に脳幹の中の自律神経の中枢(視床下部)に近い重要な筋肉群です。ここにコリがあることでめまいや不安、動悸などの自律神経症状が起きやすくなります。

仰向けに寝た状態で、このコリを母指でゆっくり押していきます。方向は後頭骨にコリを押し付けていきます。首の筋肉は脱力し、母指に頭の重さを感じながら行います。

次に浅い呼吸に対するセルフケアです。

重要な筋肉として、胸鎖乳突筋があります。

この筋肉にコリがあると呼吸が浅くなりやすくなります。

胸鎖乳突筋は耳の後ろの頭蓋骨から鎖骨に付着しています。耳の後ろにあるコリは後頭下筋群と同じように押していきます。鎖骨の方は上から指を引っ掛けるように少し食い込ませて圧迫していきます。このように胸鎖乳突筋の緊張を緩めることでコリを解消していきます。

老人性(高齢者)うつに対する鍼灸治療

金曜日, 12月 29th, 2023

うつ病とは

うつ病は、しばしば『心の風』などと呼ばれるため、人間性の問題のように勘違いされますが、『心の弱さ』や『気持ちの問題』などで起こる病気ではありません。

うつ病は、脳内の神経伝達物質の機能異常によって起こる病気であり適切な治療が必要になります。

そのため、精神論や根性論といったものでどうにかなるものでもないのです。

 

うつ病の状態とは

人はうつ病になるとなにをしても楽しめないといった精神状態になり、一日中気分が強く落ち込み、食欲不振、不眠、疲れやすい、身体がだるいなどの身体症状が現れます。

ひどくなると日常生活にも支障をきたすため、治療が必要な病気で、気分障害のひとつになります。

 

うつ病の原因とは

うつ病のきっかけに最もなりやすいのは『環境要因』が深く関係しています。

家族や親しい人など大切な人の死や離別、仕事や財産、健康などの大切なものを失う事や、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での変化などが要因となります。

また最近では、ペットが亡くなりペットロスからうつ病になるケースも少なくありません。

様々なストレスにより人は誰でも、『どうも気分がすぐれない、やる気ぐ起きない』などと言うことはありますが、そうした状態はほとんどの場合、時間の経過やちょっとしたきっかけで回復していきます。

ところがうつ病の場合は、憂うつな気分が長く続き、いつもイライラや不安を感じ、何をするにもやる気になれず、何もかもどうにでも良くなり、死んでしまいたいと考えるようになったりもします。

 

高齢者はうつになりやすい?

中年以降は、初老期から老年期にかけては『うつ病になりやすい因子』が増えてくる時期と言われています。

原因のひとつは体調の変化によるものです。つまり、さまざまな病気にかかりそれが慢性化しやすいといったことが考えられます。

年を重ねるごとに疲れやすくなったり、疲れがなかなか取れなかったり、また物忘れや物覚えが悪くなったりしますが、そうしたことが以前との違いを実感してしまい、高齢者のうつ病の引き金になります。実際に身体のあちらこちらに不調が生じるようになるのもこの時期です。

さらには、高齢者になると、仕事を退職したり、子どもの独立や配偶者や親しい人の死別などにより、より大きな喪失感に襲われることになり、こうした大きな悲しみや寂しさからうつ病になることもあります。

こうした高齢者のうつ病は、『老人性うつ病』と呼ばれます。

 

老人性うつ病の特徴

老人性うつ病の特徴は、多くの場合、生きがいや興味の消失、漠然とした不安感や焦燥感などが主な症状です。

また、これらの精神症状より、不眠(過眠も含む)、食欲不振(過食も含む)めまい極度の疲労感などの身体症状を強く訴える場合もあります。

うつ病患者では脳内の神経伝達物質である、セロトニンやノルアドレナリンの量が減少し情報伝達がスムーズに行われていないことが分かっています。

つまり、うつ病は脳内の神経伝達物質の働きぐ悪くなっていることから起こる疾患と言うことになります。

また、高齢者に限らず、うつ病症状は朝や午前中に酷く現れ、午後から夕方にかけて改善していくことが多く見られます。

 

認知症との違い

認知症の場合は、発症のきっかけとなる出来事が分かりづらく、気がついたら進行していたと行く事も少なくありません。それほどゆっくりと進行していき、初期症状としては、『性格の変化や記憶障害』が主症状となります。

一日のなかで調子の波は少なく、人によっては攻撃的になることもあります。

認知症の場合、記憶障害が目立つようになり周囲が気づくことも多いですが、老人性うつ病の場合でも記憶障害は起こることがあります。しかし大きな違いは、老人性うつ病の場合は記憶障害があることに自覚があり、自ら訴える事ができます。認知症の場合は、忘れているという自覚がなく、指摘されると取り繕ってカバーしようとする傾向にあります。

 

病院での治療

老人性のうつの治療は、薬物療法精神療法環境調整の3つを軸として治療を行います。

薬物療法

老人性うつに限らず、その人に合った抗うつ剤などが処方され経過をみます。しかし、高齢者の場合には他の服用中の薬との相性もあるため、人によっては他の治療法で進めていくことも多いです。

精神療法

医療従事者が行うカウンセリングを通して改善を目指す方法で、薬物療法と併用して行われることもあります。

カウンセリングの注意点としては、本人の訴えることを否定しない、励まさないなどです。人によって適した関わり方は異なるため、家族や周囲の人の接し方などについては、医師のアドバイスをもらった上で行うと安心です。

環境調整

1人でいる時間が多い場合や孤独感の中にいる方は「人との関わりの時間を増やす」「体を動かす機会を作る」「外出することで気持ちを外に向ける」など、他者や他のものとの関わりをつくることが大切です。

 

老人性うつ病に対する当院の治療法

老人性うつ病の多くは心身にかかるストレスが原因と考えられています。

人はストレスを感じたり、過労が続くと、自律神経のバランスがくずれてしまい、自律神経の乱れから、倦怠感や動悸、不眠、めまいなど様々な症状が現れ、これらの症状はうつ病を悪化させてしまう要因にもなります。

そのため、当院では自律神経測定器を用いて自律神経の状態を測定して治療します。うつ病の方の場合、自律神経の状態もその日によってかなり変化していきます。自律神経測定でこまめに測定して、現在の自律神経の状態を把握する事は、うつ病治療においてとても重要です。

そして測定結果を元に、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。また、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることでより治療効果を高めることができます。

鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。

自律神経を整える経穴やストレス解消の特効穴を用いて、脳内の伝達物質(ホルモン分泌)に働きかけるのと同時に、心身の負担を軽減させ、症状改善を目指します。

また、自律神経のバランスを整える事で身体の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、再発や悪化を防ぎます。

老人性うつ病の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。

 

消化不良の東洋医学

木曜日, 12月 28th, 2023

消化不良に対する鍼灸治療はWHO(世界保健機関)でもその有効性が認められている症状の一つです。消化不良の原因は多く挙げられますが、鍼灸治療を施すことにより東洋医学でいう五臓六腑の機能が整えられたり、自律神経のバランスが整えられることで消化不良の症状が軽減されることが期待できます。

消化不良の東洋医学

東洋医学では五臓六腑の『』と『』が消化吸収に関する重要な臓器と言われています。

東洋医学での脾は、消化器系全般の消化吸収機能や栄養代謝、免疫維持機能などの役割を担っていると考えられています。消化吸収に関しましては、脾の『運化を主る』という機能が重要です。

運化を主るとは、飲食物を消化して消化された栄養物質や水分を脈中などに送り、門脈系やリンパ系を通じて全身に輸送することを指します。この一連の流れを脾と胃の働きによって遂行されています。

この脾の運化作用が低下してしまい、全身のエネルギーとなる気血の生成が不足してしまうと吸収能力や栄養の代謝能力までも低下して全身に気血を行き渡らせることができなくなってしまいます。

すると、四肢や肌肉にも影響が出てきて肌肉がやせたり、力が入らずに、その状態が長く続いてしまうと全身的な栄養不良の状態である『気血両虚』という状態を引き起こしやすくなります。

脾の運化を主る機能が弱って消化不良を起こす病態の多くは、『脾胃気虚』と『脾胃陽虚』という状態です。

当院の消化不良に対する鍼灸施術は、東洋医学的観点によりこの『脾胃気虚』と『脾胃陽虚』を正常な状態に戻す施術を行っていきます。

消化不良の鍼灸治療

そのほか自律神経の状態も整えつつ、全身の巡りを活性化するような全身施術を行っていきます。

消化不良のうつ伏せ鍼灸治療

下肢への脾胃の重要なツボを用いて機能を正常化させる施術も行っていきます。

消化不良の下肢への鍼灸治療

消化不良について

消化不良で食べ過ぎた後やお酒を飲みすぎた後に胸やけや吐き気、便通が悪くなるといった症状を経験したことがある人は多いかと思います。このような場合、単なる消化不良といって放っておくと深刻な病気に繋がってしまう危険性があり、注意が必要です。

 

消化を行う器官を消化管といい、口から食道・胃や腸を経て肛門に出る一本の体を貫く管です。人間は野菜や果物、魚や肉も食するため消化も複雑な構造をしており、消化管の他に唾液腺や肝臓・胆のう・膵臓が消化に関わっており、すべてを含めて消化器系と言われます。

まず、口に運ばれた食べ物は咀嚼運動によって小さく細かくかみ砕かれて嚥下運動を経て食道に運ばれます。この際にもすでに唾液腺から出る唾液により消化は始まっています。

 

次に食道から下りてきた食物は、胃の中に入ります。

食物が胃の中に入ると反射的に胃は動き始めて胃液を分泌します。胃液は、ペプシノゲンという消化酵素が含まれており、タンパク質をペプチドという物質に分解していきます。その他胃酸は、その強い酸性により食物についている菌を殺します。

 

胃の中である程度消化された食物は、腸に運ばれてさらに消化されていきます。小腸は、十二指腸→空腸→回腸へと続く靱帯の中で一番長い消化管で食物はそこで4~8時間かけて消化されていきます。

肝臓で生成された胆汁は十二指腸で分泌されて脂質の消化に深い関わりをもっていきます。また、すい臓で生成された膵液も小腸内で分泌されて酸性の強い胃液の中和や中性脂肪の分解や多糖類の分解を行っています。

 

最後に食物は大腸・直腸を経て肛門から体外へと排出されます。大腸では主に水分が吸収されて、柔らかかった食物も固められて固形の物に変化していきます。

脂肪肝

このように口から運ばれた食物が様々な消化の過程を踏んで肛門から排出されますが、その中で臓器の何かしらの不具合が起きて消化不良となってしまうのです。消化不良は、消化の過程でうまく消化が行うことができずに食物から必要な栄養素や水分を吸収することができずに様々な体の不調を生じさせます。

消化不良の症状として主に

・胃痛

・胃の不快感

・腹部膨満感

・吐き気

・胸やけ

・腹痛

・下痢

・便秘

・げっぷ

 

などが挙げられます。

このような状態が続いてしまうと体は消化不良により、必要な栄養素や水分を体内に取り込むことができていないため、体力や免疫力は低下して重篤な疾患に繋がりかねません。

また、上記のような消化不良の症状が体にすでに重篤な疾患が隠れている際の場合もあります。

・急激な体重減少

・食物をうまく呑み込めない

・真っ黒い便や血便が出る

・嘔吐を頻繁に繰り返す

・めまい症状

・血圧の低下

・冷や汗が出る

 

などの症状を併発した場合はすぐに病院で検査を受ける必要がります。

消化不良

 

 

消化不良が伴う疾患

消化不良は、多くの場合は一時的であったり、検査をしても原因の分からない機能性消化不良の場合が多いですが、そこに重い病気が隠れている場合もあります。

 

・胃潰瘍

胃潰瘍は一度は耳にしたころのある疾患かと思いますが、ストレスなどによる自律神経の乱れや免疫力の低下により、胃液で胃が傷ついて胃痛や吐き気を伴います。

 

 

・逆流性食道炎

胃の中で食物を消化・殺菌するはずの胃液が食道へ逆流してしまう症状です。胃液に含まれる胃酸はとても強い酸性で食道を傷つけてしまい炎症を起こします。食生活の乱れや日常生活での過度なストレスが原因とも言われており、胸やけや呑酸の症状を呈します。

 

・十二指腸潰瘍

十二指腸が傷ついて炎症を起こしている状態です。強い腹痛や食欲不振・吐き気・嘔吐・腹部膨満感が症状としてあらわれます。30~40代の男性に多く発症すると言われており、ピロリ菌や強いストレス・喫煙習慣などが原因となると言われています。

 

・胃炎

胃炎には急に発症する急性胃炎と長期間の炎症が伴う慢性胃炎とがあります。多くは食べ過ぎ・飲みすぎ・喫煙習慣などの生活習慣、過度な精神的・肉体的ストレスによる自律神経の乱れが原因とされています。食べ過ぎ飲みすぎの状態で胃酸が過度に分泌されてしまうために胃の粘膜は傷つきやすく、自律神経の乱れも胃酸過多の状態となりやすくなります。

症状としてみぞおち辺りの違和感や痛み、吐き気や下痢、胸やけや嘔吐など様々な体の不調が出ます。

 

・がん

消化不良は、大腸がんや胃がんなど重篤な疾患が隠れている場合もあります。急激な体重減少や血便などの便の異常が見られた場合はすぐに病院で検査を受けましょう。

 

自律神経と胃腸の働き

自律神経と胃腸の働きはとても深い関係にあります。自律神経は自分の意識とは無関係に働き、主に内蔵の働きであったり、血流をつかさどっている神経です。これは、胃腸の働きに関しましても例外ではありません。胃腸も自分の意識で動かそうとしてもできません。自律神経には活動的な神経である交感神経と体を休めるリラックス神経である副交感神経とがあり、この交感神経と副交感神経とのバランスが重要となります。このバランスが崩れるとよく言われる自律神経が乱れとして体に様々な症状が出てきます。

胃腸の働きも自律神経が深く関わっており、交感神経が亢進すると胃腸の働きは低下して胃液や腸内の分泌液は減少して消化不良に陥りやすくなります。逆に副交感神経が亢進すると胃液の分泌が増えて胃腸の働きは活発になります。

しかし、副交感神経が亢進し過ぎても胃酸の量が増えて胃を傷つけたり、胃腸の働きが活発化し過ぎて下痢となる危険性があります。

胃腸の働きは自律神経である副交感神経の活動がとても重要ですが、あまりに副交感神経の働きが活発化してしまうと消化にとっても良くないのです。

 

しかし、現代のストレス社会では明らかに活動的な神経である交感神経が過亢進気味の方が多いです。交感神経は胃腸の働きを低下させて消化不良になりやすいです。

鍼灸治療は、自律神経を整える・主に交感神経の活動を抑制して副交感神経の活動を活発化させることが研究でもわかってきています。鍼灸治療は、この作用を利用して胃腸の働きを正常化するのにとても有効な治療法といえます。

消化不良の鍼灸治療 症例

40代女性

ここ1か月ほど胃の調子が悪く、食事後の胃もたれを強く感じる。

数時間してもなかなか消化されずお腹が全体的に重い。

食後にコーヒーを飲むのが好きだが、最近はコーヒーも飲めなくなってきた。

繁忙期のためゆっくり休むこともできずストレスもたまっている。

睡眠時間はだいたい4時間ほど。背中の胃の裏あたりの圧迫感も気になっている。

 

当院の治療

触診をおこなったところ、腹部と足の冷えが強く、腹部・背部の筋緊張も強くでていました。仕事のストレスや睡眠不足から自律神経が乱れ胃腸の働きが悪くなっているため、鍼灸で全身の調整を行うことにしました。

まずは仰向けで腹部と足に鍼と灸をほどこし、身体全体の血流が良くなるように促します。

次にうつ伏せで背部の筋緊張をゆるめ、胃の六ツ灸を行いました。

日常生活では、湯舟につかること、冷たいものや刺激物はさけること、油ものは控えて腹八分目を心がけることをアドバイスした。

 

◇1回目◇

胃もたれが軽減した。

背中が楽になり呼吸がしやすくなった。

 

◇2回目◇

徐々に良くなってきている。

まだ消化には時間がかかるが、前ほどのもたれ感はない。

仕事もひと段落し、ストレスも減少した。

 

◇3回目◇

胃もたれはほぼなし。

お菓子や油ものを食べると少し違和感があった。

 

◇4回目◇

良くなった。

鍼をはじめてから睡眠の質もあがったように感じる。

 

症例2

30代 女性

1ヶ月前から食後にみずおちに違和感が出るようになり、ここ数日は鈍痛や締め付けられるような痛みが気になるようになってきた。
食べても胃が固まって働きが悪く感じる。

元々ストレスがかかるとみずおちあたりがチクチク痛む事があり、自然に軽快するため今回の胃痛も放置していたが、悪化してきたため当院に来院した。

念のため病院で検査を受けたが特に異常がなく、機能性ディスプペシアと診断された。

当院の施術

問診、触診、自律神経測定器の結果を元に施術を進めていきました。
この方は、胃の痛みから背中の筋緊張が強くなってしまい、そのため胃の負担を増悪させている状態でした。
まずうつ伏せで背部の筋緊張緩和を目的に低周波電気鍼治療を行いました。

また、みずおち部分だけではなく、下腹部の強い張りがありました。詳しくお話を聞いてみると、胃の不調を感じ始めたあたりから便秘気味だったという事です。
胃に食べ物が入ると大腸の蠕動運動が起こり便を肛門まで運ぶ生理反応があります。
この方は胃の働きが低下しているため胃・大腸反射が充分に機能していない事で便秘を起こしていました。

仰向けでは自律神経の調節、腹部の張りに対する施術だけではなく、胃と大腸の反応点や経穴を組み合わせて胃腸を整えていきました。

経過

◇1回目◇
初回の施術では特に効果が得られなかった。

◇2回目◇
今回も胃の状態は変化がないが、良く眠れるようになり睡眠の質が変わったような自覚がある。

◇3回目◇
施術後胃の痛みが少し軽くなったが、また時間が経つと痛みはじめた。便秘の回数も以前より減少してきた。

◇4回目◇
食後の胃の痛みやむかつき感が軽くなってきた。

◇5回目◇
揚げ物やラーメン、辛い物を食べると胃の不快感はまだ出るが、それ以外の食事では気になる事が減ってきた。

◇6回目◇
ほとんど気になる事がなくなった。
食べる事への不安もなくなり、今では以前のように食事を楽しめるようになった。

 

消化不良を予防する

これまで書いた通り消化不良だといって決して侮ってはいけません。消化不良を起こしてしまう原因の多くは食生活などの生活習慣にあり、それらを改善していかなければ重篤な疾患にかかってしまう危険性もあるのです。

・食生活の改善
まず、消化不良を起こしてしまう原因に食べ過ぎがあります。食べ過ぎてしまうと、胃や腸は消化が追い付かなくなってしまうため、消化しきれなかった食物が胃や腸に影響を与えて痛みや不快感、吐き気などの症状を起こしてしまいます。今は飽食の時代でしっかりと栄養を取れている方が多いので、食事は腹6~7分目を目安にお腹いっぱい食べないように心がけましょう。
咀嚼するときも意識的に回数を増やしましょう。咀嚼回数が増えると唾液が多く出るため、唾液に含まれるアミラーゼが消化を助けて消化しやすい状態で胃や腸の消化を助けてくれます。また咀嚼回数を増やすことで食事の時間が長くなり、満腹感を得やすくなります。
食事を摂る時間も重要です。特に寝る直前に食事を摂ってしまうと寝ていると胃や腸の働きは低下するため胃腸に長く食物が滞在して胃もたれなどの原因となってしまいます。

・運動習慣
適度な有酸素運動(ウォーキングや水泳など)をすると腸の働きが活発化して、消化の助けとなります。また、副交感神経の活動も活発化することで胃腸の働きやすい環境となります。

・ストレスを解消する
胃腸の働きは自律神経とくに副交感神経の活動が重要となります。常に緊張して体の力が抜けずリラックスできない状態が長く続いてしまうと交感神経の活動が高まり、胃腸の働きが鈍くなってしまいます。趣味の時間を持つ、十分な睡眠時間を確保するなどして副交感神経の活動を高めて自律神経のバランスを整えることで胃腸の働きは改善されやすくなります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

不妊症に対する鍼灸治療

火曜日, 12月 26th, 2023

 

鍼灸治療

実際に現代医学で一般検査をしても原因がわかるのは6割程度です。

現在では生活習慣が妊娠と大きく関係していると見直されています。

ストレス回避や運動習慣など日常の健康管理が妊娠に繋がると考えられています。

 

鍼灸治療では

大まかに悪いところを治す!になります。

健康な身体であれば妊娠しやすいはずですので、鍼灸治療により身体のバランスを整えることが不妊治療にもなります。

女性に多い症状で

  • 女性に多い下半身のむくみや冷え症
  • ・腰部が異常に硬く柔軟性が無い方

があります。これらの方は、骨盤内血流量が下がっています。

骨盤内血流量が直接妊娠に関係しているとはわかっていませんが、子宮血流が良くなると妊娠率も上がってるということはわかっています。

 

不妊症の鍼灸治療

 

中リョウ穴が骨盤内血流量を上げることも知られています。

陰部神経に響くように仙骨側からアプローチすることが有効になります。

血管抵抗が下がり子宮血流が良くなります。

 

不妊症の骨盤内血流改善鍼灸

 

 

冷えに対するアプローチも大切です。

下半身の状態は女性ホルモンに影響しますので、冷えやむくみを改善する事も不妊治療になります。

冷え解消の鍼灸治療

下半身からの冷えた血流や緊張した筋肉が鼡径部に悪影響を与えるためです。

下半身の冷えの改善を目的に腎兪・三陰交に灸頭鍼を行います。
それと症状に合わせた経穴を使うことで、冷えを改善していきます。

 

 

男性側の不妊治療には、腎の気を高めてあげるのと生活習慣を改善してもらいます。

精液は食生活の影響を受けます。コンビニ弁当や偏った食事の方としっかりとした食事をとられている方では精子の運動率や数に大きな差がでるからです。

治療では、肩こりや腰痛などを中心に体の諸症状を治していくことで健康になっていってもらいます。

当然お酒は控えめにしていただき、禁煙してもらうのが一番です。

 

 

 

 

治療期間

 

3か月間の治療を続けていくと効果がでてきやすいです。

 

鍼灸治療で体質改善後から影響を受け始めて、排卵するまでが六か月間になるからです。

思春期になり原始卵胞が順番にスタートラインに並び成熟を開始します。それから順番になって排卵までおよそ三カ月かかります。

今の卵子は三カ月前の生活や体調が関係してくることになります。

三か月前の状態をよくするためにもそこからさらに体質改善に三か月ほどみたいので、

一般的に半年を目安行います。

 

 

その他

健康食品などでは

 

排卵障害にはエストロゲン様作用を持つものを食べて、

黄体機能不全にはプロゲステロン様作用を持つものを食べると良いです。

 

エストロゲンには

  • ・マカ
  • ・ブラックコホッシュ
  • ・レッドクローバー
  • ・イソフラボン

 

プロゲステロンには

  • ・チェストベリー
  • ・チェストツリー

 

 

大切な生活習慣

 

  • ・適度な運動習慣
  • ・バランスのとれた食事
  • ・充分な睡眠
  • ・ストレスを回避する生活

健康的な生活を送っていただけなければ、治療をしても意味がありません。

生活習慣の改善なくしてはその効果は半減します。

特に現代では運動不足、食生活の変化、ストレス、冷え、薬剤、高齢化など生活を見直すことは治療効果にも大きく影響します。

 

 

治療方針

 

治療には女性も男性も同じぐらいの意識をもって治療を受けて頂けるのが理想です。

女性だけの問題ではなく、男性も原因を持っていることがあるためです。

男性側と女性側が取り組んでからの治療効果になります。全員で妊娠にアプローチしていくのが当院の治療方針です。

妊娠

 

 

 

不妊症の原因

 

妊娠を試みて2年経っても妊娠しない状態と定義されています。避妊せずに一定の頻度性交渉を行った場合、一年で80%、2年で90%のカップルが妊娠するという統計があります。

その妊娠に至らなかった残り10%が何かが原因で妊娠に至らなかったと考えます。

不妊症

 

一般的には女性側が取り上げられますが、原因としては、女性側、男性側、原因不明そして男女両方に原因がある場合に分かれます。
女性側の原因としては

  • ・排卵因子
  • ・卵管因子
  • ・子宮因子
  • ・免疫因子
  • ・内膜症

 

男性側の原因としては

  • ・造成機能障害
  • ・精子成熟、保護障害
  • ・精路障害
  • ・射精障害

それ以外にも精子の運動率や数によるものもあります。

 

頻度は

  • ・排卵因子25~30%
  • ・卵管因子30~35%
  • ・男性因子30~35%

となっており、これら3つが三大原因と言われます。

この原因は単独だけではなく重複していることもあります。

 

実際には女性と男性は同じ程度に原因があると言われています。

 

 

妊娠の流れ

 

受精

受精は卵管の膨大部で起こります。

ここで射精された精子が卵子を待ち受けるのですが、精子の寿命は4~7日くらいになります。

 

排卵された卵子は寿命が1日しかありません。

精子と卵子が受精した後は細胞分裂を繰り返しながら子宮内腔に運ばれます。内腔に到達するのは、受精からだいたい5日目になります。

この間に子宮内膜は女性ホルモンの作用で着床環境を整えます。

内膜はいつでも着床できるわけではなく、着床できるのは数日間だけです。

 

このように非常に複雑なメカニズムが働いて妊娠します。

このメカニズムが正常に働いてくれるようにお助けするのが鍼灸治療です。

 

 

不妊症の鍼灸治療症例

30代女性

過去に2回流産をしたことがあり、婦人科では多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高いと言われていた。

生理周期もながく、ホルモンバランスも乱れていると診断を受けていました。

友人に鍼灸治療をすすめられて不妊症の鍼灸治療を試してみたいと当院にご来院されました。

 

仕事のストレスも過大にかかっており、中途覚醒や多汗症、のぼせや下肢の冷え症状など自律神経のバランスも乱れているような症状も多くみられたため初診時に自律神経の状態を測定してから施術を行っていきました。

足底の結果、交感神経の活動も高く、ストレス指数も高いような状態でしたので、全身的なバランス調整の施術や自律神経調整施術をしっかりと行っていき、三陰交や腎経・下腹部の経穴など婦人科で特に重要なツボを用いまして施術を行っていきました。

 

経過

婦人科にも並行して通院していただき、体温を測定してタイミング療法も同時に行っていきます。

仕事のストレスが多く、睡眠が浅く中途覚醒も一晩で2~3回あったのでまずはしっかりと睡眠のツボを刺激して眠れるような施術をメインに行っていきました。

次第と眠れるようになり、下肢の冷えや仙骨付近の冷えも目立ってきましたのでその個所に鍼やお灸を施すことで血流量を上げて冷え改善を行っていきました。

施術開始後4か月経過してタイミング療法で結果がなかなか出なかったため、体外受精に移行。

すると1か月後に妊娠確認が取れました。以前に流産経験があるため心拍確認がしっかりととれるまでは安心できないので、しっかりと気を抜かずに自律神経の状態を整えたりと鍼灸施術で体調管理を行っていきました。

その後心拍確認も取れて安定期に入ることができて体調管理のために鍼灸施術は1~2週間おきに受けておられます。

風邪の東洋医学

月曜日, 12月 25th, 2023

風邪の東洋医学的考え

 

東洋医学では、風邪は疲労やストレスで体の抵抗力が弱くなったところに、皮膚から「寒(冷え)」や「外邪(外から入り込む病因)」が侵入して起こると考えられています。

外邪は風邪、暑邪、熱邪、湿邪、燥邪、寒邪があり、この「外邪」の中で風邪の諸症状を引き起こすのに関係が深いのは「風邪(風が体に与える悪影響)」と「寒邪(寒さが体に与える悪影響)」といわれています。

風に当たり続ける事で体調の熱が奪われることや、皮膚や粘膜が乾燥することでウイルスや細菌が体に侵入しやすくなること、寒さにより体が冷える事で血行が悪くなり、免疫力が低下することが関係していると考えられています。

 

この「風邪」と「寒邪」はどこから侵入するかというと「口、鼻、皮膚、毛穴」などからです。この呼吸器や皮膚、毛穴と関係が深いのは「肺」といわれています。

東洋医学における「肺」は水分を全身に行き渡らせる働き、汗を調節する働きがあり、外からの外邪を防ぐ働きも肺が関係しています。肺は乾燥に弱い臓器とされていますので、空気が乾燥する時期には肺を病みやすくなり風邪をひきやすくなると考えられています。

 

肺気虚・・・肺の陽気が不足してしまうと呼吸器系の機能低下や咳、呼吸困難や水分代謝が障害されるために痰の量が増えてしまいます。その他、無力感や息切れなどの気虚の症候もあらわれることがあります。気虚の状態は、病態が長引くことが多く、肺気が持続的に衰える状態に陥りやすくなってしまいます。全身的な気虚としては脾肺気虚・心肺気虚・肺腎気虚が発生してしまうこともあります。
軽度な症状では、自汗・寒気・風邪をひきやすいなどがあります。

肺陰虚・・・肺の陰液の不足の病態で慢性病による栄養障害・炎症による津液消耗や乾燥した環境などによって生じます。症状として乾咳・血がにじまる粘痰、声が出ない、のどの乾燥感、顔面紅潮、微熱や寝汗などの熱症候があらわれます。肺陰虚は気管支の粘液分泌不足・慢性炎症や自律神経系の乱れなどが関連すると考えられています。

 

 

また、東洋医学では五臓六腑の『肺』は、『大腸』との関係が深いと考えられています。肺の下方に向かって機能を推し進める粛降という機能は、大腸の排便機能との関連が深いと言われています。肺の機能が低下してしまうと大腸の機能にも不調が起きやすく、逆のことも言えます。

 

風邪症状に効果のあるとされる漢方の食材

 

・大根
大根は漢方の世界でも『除風寒』といって寒気から風邪を回復させる効能やの作用や『下気和中』といって気の巡りを促進させて胃腸の働きをよくするなどの効能があるとされています。現代の研究でも大根のアルコール抽出成分には、ブドウ球菌や真菌などの細菌に対する抗菌作用があることがわかっています。風邪の初期症状の場合、大根と白ネギを薄切りにしてお湯に入れて飲むと効果的です。その他にも大根の葉に豊富に含まれるビタミンCは抗酸化力があるとされ、血管の粘膜を強化する働きもあります。

 

・ショウガ
ショウガは、風邪に効果があると聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。漢方の政界でもショウガは、『解表散寒』といって寒気を追い払うことで風邪症状に効果があると言われています。胃腸の働きも回復させる『温中止嘔』や肺の機能を高めて咳を止める『温肺止咳』の効能もあります。現代の研究でも発熱しているマウスにショウガを与えると発汗を促すことで明らかな解熱作用が見られることがわかっています。

 

・ねぎ
ねぎも風邪症状に効果のある食材として知られている一つです。漢方の世界でも『発汗散寒通陽』といいまして節々の関節の痛みを伴う風邪に対して発汗作用で効果があると言われています。また、『消腫解毒』といって毒を解消させて炎症の腫れを引かせる作用があります。

 

 

当院での風に対する鍼灸治療

 

東洋医学では風邪は身体の表面から入ってくると考えられており、特に後頚部から肩にかけては風邪が入ってきやすいところと考えられています。首や肩が凝り固まりそこへ冷たい風が当たると風邪を引きやすい状態になります。

 

風邪に対するうつ伏せ鍼灸治療

 

当院ではまず、自律神経系のバランスを整える治療を行い、五臓六腑の働きを調整し冷えを除き、免疫力を高め自然治癒力を促進する治療を行います。また、東洋医学的観点から肺の働きを補うツボも取り入れていきます。

風邪に対するお灸治療

その後うつ伏せで後頚部から肩の筋緊張を緩め、風邪の治療穴や背部の五臓六腑の働きを調整するツボに鍼やお灸を用いて刺激を与えていきます。同時に腰部や下肢を遠赤外線やお灸で暖める事で、全身の血流を促進し冷えの緩和と、新陳代謝を促進し自然治癒力を高めていきます

風邪の肺経に対する鍼灸治療

風邪の原因

 

風邪の原因となるのは、約8割以上がウイルスで、残りは細菌や微生物が原因と言われています。同じ風邪でも症状の軽いもの~重いものまで様々です。
これは、風邪を引き起こすウイルスが多種存在し、ウイルスの種類やかかった人の状態によって症状に個人差が現れるためといわれています。風邪のウイルスは常に空気と接している鼻や口を通して体に侵入します。
しかし、健康な人の身体には細菌やウイルスなどの侵入を排除するための自己防衛機能(免疫システム)が働いています。風邪の諸症状はこれらの自分の体の免疫機能が働く事で起こる体の反応です。基本的にゆるやかに進行していき、微熱が徐々に上がってきます。熱は一般的に37~38度程度です。

風邪の症状

 

くしゃみ、鼻水、咳

鼻の中には鼻毛や粘膜が空気清浄フィルターのような働きをし、ウイルスや細菌など異物の侵入を防いでいます。鼻の粘膜に風邪ウイルスが付着するとそれを追い出そうとしてくしゃみや鼻水が出ます。また、ウイルスがのどの粘膜に付着した場合は咳がでます。これらの反応はウイルスが侵入した初期段階に起こります。

 

発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、喉の痛み、違和感、咳、痰、倦怠感

ウイルスが鼻や口の粘膜を通過し、身体の中に侵入すると血液中の白血球がウイルスを排除しようとして働きます。白血球の中でも貪食細胞と呼ばれるマクロファージや好中球がその名の通りウイルスや細菌を飲み込み、酵素で分解し殺します。貪食細胞が飲み込みきれなかったウイルスに対しては、特定の病原体を排除する役割を持つタンパク質である抗体が免疫システムとして働きます。
抗体はある種の病原体が侵入した時に白血球のT細胞が指令を出しB細胞が抗体を作り始め、次に同じ病原体が侵入してきたときにブロックします。体内でこれらの免疫システムが働く事でその反応として炎症が起こります。この炎症が寒気、頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、喉の痛みや違和感、倦怠感、咳、痰、鼻水などとして現れます。ただしその症状は誰もが同じように現れるのではなく、個人の体力や体調などにより様々です。これらの炎症反応が強いことは、これまでに感染したことのないウイルスであること、ウイルスの性質が強いことや量が多いこと、ウイルスが深く侵入してしまうことなどが関係しています。

 

風邪と間違えやすい病気

 

・花粉症

スギ花粉が飛散するのは2月~3月にかけての頃です。インフルエンザの流行の時期と重なっています。スギ花粉症がある方ではインフルエンザ、風邪ウイルス、花粉症のどれなのか鑑別が必要になります。見分け方として鼻や喉の症状は花粉症の場合でもなるので鑑別点となりません。
花粉症でも微熱が出ることがありますが、38度を超えるようなことは稀なので高熱の場合は鑑別点となります。しかし目の痒みはインフルエンザウイルスや風邪ウイルスでは通常起こりません。

 

・インフルエンザ

喉の痛み、鼻水、頭痛、悪寒、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。風邪との大きな違いは風邪が徐々に熱が上がるのに対して、インフルエンザは突然38℃台の高熱が出ることが挙げられます。重症化すると気管支炎や肺炎などを併発する事もあり、子供の場合は中耳炎や熱性けいれん、ときには急性脳症を起こす可能性があります。

気になる症状があればすぐに病院で検査を受けましょう。インフルエンザの場合は早期治療が非常に重要です。

 

・アレルギー性鼻炎

家のほこりやダニ、スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどの花粉によって起こります。くしゃみや水っぽい鼻水、鼻詰まりが特徴です。花粉が原因の場合には喉の痒みや発熱も見られます。春先に多いため、初めて発症した人は風邪と思い込みやすいと言われています。
アレルギー性鼻炎は鼻症状やくしゃみの他に目の痒みや涙、充血下痢や皮膚の痒みなどが起こることもあります。原因が花粉以外の場合は発熱は無いといわれています。

 

・急性気管支炎

多くはウイルスが原因となる病気で鼻水、喉の痛みの他、悪寒やふしぶしの痛み、咳、微熱など風邪そのものの症状が現れます。最初はコンコンと乾いた咳が出ますが、やがて少量の白いたんが、さらに進行すると緑や黄色のたんが絡むようになります。気道が狭くなり、咳の後ゼイゼイという音や、ヒューヒューという音がし始めます。重症化すると高熱が3~5日程続くといわれています。タバコを吸う人、ダイエット中の人、子供や高齢者などは発症しやすいため注意が必要です。

 

・肺炎

細菌やウイルスが鼻や口から侵入することで起こります。健康な人は喉で排除できますが、風邪を引いて喉に炎症が起こっていたり、慢性疾患などで体力や免疫力が弱っているなどに肺炎を起こしやすくなります。

体力の少ない子供や高齢者は特に注意が必要です。肺炎は、ガン、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3位となっている病気です。症状は肺炎を起こす病原体の種類や炎症を起こしている部位によって少しずつ異なります。たいてい38度以上の高熱がでますが、高齢者の場合は熱が出ない場合もあります。肺炎の特徴は激しい咳です。

たんを伴なわない乾いた咳が長く続くことが多いのですが、黄色や緑色の痰を伴なう湿った咳が出る事もあります。他にも悪寒、息苦しさ、胸痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振、倦怠感、頭痛などの症状がみられます。

炎症が肺を包む胸膜に及ぶと胸痛が起こったり、血液の中の成分が染み出して胸と胸壁の間の胸腔に水が溜まることで胸膜炎を起こすこともあります。また、悪化すると血液中の酸素不足からチアノーゼ(唇や顔が紫色になること)が現れ、呼吸数や脈が速くなることもあります。

 

・結核

結核菌という細菌が体内に入り、増殖することにより起こる病気です。結核菌に感染しても必ず発症するわけではなく、健康であれば菌を吸い込んだ後人の身体は免疫によって結核菌を抑え込んでしまいます。

しかし、体力が低下したり、病気になって免疫機能が働かなくなるなどして抵抗力が落ちると、抑え込まれていた結核菌が再び活動を始め、発病する可能性があります。日本では結核の約八割は肺結核です。結核菌が肺の内部で増え、結核に特有な様々な炎症が起こ

ります。続いて肺が破壊されていき、呼吸する力が低下します。肺以外の臓器が侵されることもあり、リンパ節、腎臓、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。初期の症状は風邪と似ており、倦怠感、咳やたん、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。ただしそれが2週間以上も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と異なります。

 

風邪にかからないための生活習慣

風邪にかからないためには、免疫機能を強化し、感染を予防するための生活習慣が重要です。以下は、風邪予防のための生活習慣の一部です。

  • 手洗いと衛生
    頻繁に手を洗うことが風邪予防の基本です。特に公共の場や外出先で触れたり、人ごみにいる場合は、手洗いや手指の消毒を行うことが重要です。

  • 適切な栄養摂取
    バランスの取れた食事を摂り、特にビタミンCや亜鉛、他の重要な栄養素を含む食品を摂ることで、免疫機能をサポートできます。

  • 適度な運動
    適度な運動は免疫機能を向上させ、全体的な健康を促進します。適度な運動は血行を良くし、免疫細胞の循環を助けます。

  • 十分な睡眠
    睡眠は免疫機能をサポートし、体の修復と再生に重要です。毎晩適切な時間を確保して質の良い睡眠をとることが大切です。

  • ストレス管理
    長期間のストレスは免疫機能を低下させることがあります。リラックス技術や趣味、適切な休息を取るなど、ストレスを軽減する方法を見つけましょう。

  • 適切な服装
    風邪の季節や寒冷地域にいる場合は、適切な服装を心がけましょう。風邪を引きやすい部位をしっかりと覆い、風を通さないようにします。

    大切な食習慣
    風邪にかからないための食習慣

  • バランスの取れた食事
    主食(ごはん、パン、麺)、主菜(肉、魚、豆腐などのたんぱく質源)、副菜(野菜)、果物をバランスよく摂ることが重要です。これにより、必要な栄養素を摂取できます。

  • 多様な色と種類の野菜
    野菜にはさまざまな栄養素が含まれています。色とりどりの野菜を取り入れ、異なる種類の野菜を食べることで、多様な栄養素を摂ることができます。

  • 適切なたんぱく質摂取
    肉、魚、卵、豆腐、豆類などから適切な量のたんぱく質を摂ることが大切です。たんぱく質は細胞や筋肉の構築に関与し、満腹感も提供します。

  • 良い脂質を重視
    良質な脂質(オメガ-3脂肪酸やモノ不飽和脂肪酸)を意識して摂ることが大切です。オリーブオイル、アボカド、ナッツ、魚などが良い脂質の源です。

  • 食物繊維を摂る
    穀物、野菜、果物、豆類などの食物繊維を摂ることで、腸の健康を保ち、便通を良くします。食物繊維は満腹感も与え、過食を防ぐのに役立ちます。

  • 適量の果物摂取
    果物にはビタミンやミネラル、抗酸化物質が豊富に含まれています。毎日適量の果物を摂ることで、免疫機能をサポートし、全体的な健康を促進します。

  • 水分補給
    十分な水分を摂ることは非常に重要です。水分は代謝を促進し、体内の機能をサポートします。飲み物としては水が最適です。
  • 食事を楽しむ
    ストレスなく食事を楽しむことも重要です。ゆっくりと食事を摂り、食べること自体を楽しむことで、満足感が得られます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

貧血症状に対する鍼灸治療

日曜日, 12月 24th, 2023

貧血の東洋医学

 

東洋医学では「気・血・水」という概念があり、貧血はこの「血」の不足や働きの低下を現す「血虚」という状態ととらえます。血は全身を巡り栄養や酸素や潤いを届け身体を温めたり精神を安定させるといった働きを担っています。

五臓六腑のうち血に深く関わる臓器として肝、脾、心が挙げられ、肝は血貯蔵や循環量の調節を行い、心は血を流す原動力になっています。脾は飲食物を消化吸収し血の材料を作っていると考えられています。

 

貧血に対する当院の鍼灸治療

 

自律神経測定器で血管年齢と自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を診させて頂いてから治療に移ります。東洋医学的観点より五臓六腑の肝、脾、心のツボを中心に用い、血液の産生を促します。

また、内臓機能、心臓の動きや血管の動きを主る自律神経系の調整を行うことで血液循環を促進し、貧血の症状の軽減を図ります。

貧血の自律神経調整鍼灸

 

その他貧血の方は身体の倦怠感や首や肩、腰などの筋緊張を伴なうことが多いため、そちらの治療も合わせて行っていきます。

基本的にまず仰向けでお腹や手足のツボを用いて自律神経調整治療を行った後にうつ伏せとなり、頸肩や腰部の筋緊張の緩和・背部兪穴といわれる五臓六腑の重要なツボを用いて五臓六腑の働きを調整していきます。

貧血の鍼灸治療

 

 

貧血とは

血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が正常より少なくなる事です。血中のヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると貧血と診断されます。血液の働きで最も重要な仕事は酸素を全身に運搬することで、この働きを司っているのは血液中のヘモグロビンです。そのため、貧血になると全身の細胞に酸素の運搬が十分に行われなくなり、頭痛やだるさ、肩こりなど様々な症状を引き起こします。

貧血は女性に多く10人に1人が貧血ともいわれています。

 

貧血の主な症状

・めまい
・立ちくらみ
・顔面蒼白
・動悸
・息切れ
・耳鳴り
・頭痛
・眠気
・食欲不振
・倦怠感
・疲労感
・不安や緊張感
・首や肩のこり
・爪の変形

など

貧血の種類と原因

 

・鉄欠乏性貧血

日本の貧血患者の約7割、女性全体の約一割が該当するといわれているのが鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンの主な材料である鉄が不足し、ヘモグロビンが作られなくなるために起こる貧血です。

欠食、偏食、無理なダイエットや、インスタント食品などの食生活の乱れ、特に女性では妊娠中や授乳期、月経などで鉄が不足しやすくこの貧血に陥りやすい傾向があるといわれています。その他にも子宮内膜症や子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど婦人科疾患に伴う過多月経や潰瘍、痔、ガンなどによる消化管からの出血なども原因の一つとして挙げられます。

 

・再生不良性貧血

骨髄中の造血細胞が何らかの原因によって障害されることで、赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減少する疾患です。再生不良性貧血は生まれつきこの病気になる先天性と何らかのきっかけがあってこの病気が起こる後天性のものがあります。

再生不良性貧血は特定疾患(難病)に指定されており、後天性のものは原因がはっきりとしない特発性と、ウイルス感染や薬剤の使用など原因の分かっている続発性に分けられます。

 

悪性貧血(巨赤芽球貧血)

赤血球の合成に必要なビタミンB12、葉酸が不足して赤血球が減少することによって起こる貧血です。この場合は、赤血球の形が大きくなるため、巨赤芽球貧血とも呼ばれます。

不足している成分ごとにビタミンB12欠乏症貧血や葉酸欠乏性貧血に分類されます。

 

・ビタミンB12欠乏性貧血

本来ビタミンB12は胃で吸収され赤血球生成の材料になりますが、胃や腸を手術で切除した場合などにはビタミンB12が吸収される機会が失われてしまいます。ビタミンB12は極端な偏食でなければ不足は起こりにくいのですが、ビタミンB12の吸収に問題がある人、動物性食品をあまり食べない人、菜食主義の人は不足する可能性があるため注意が必要です。

 

・溶血性貧血

健康な人の赤血球の寿命は120日程といわれていますが、赤血球が正常の寿命より早く血管内や脾臓、肝臓や骨髄内などで破壊される事で起こる貧血です。先天性の原因として遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症などがあり、後天性のもの自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、薬の副作用、不適合な輸血、ウイルス感染などが挙げられます。

 

 

・二次性貧血(続発性貧血)

骨髄や赤血球の異常ではなく、他の病気が原因となって起こる貧血で、感染症や膠原病、慢性炎症、癌など血液の病気とは異なる病気が原因となる貧血です。

 

 

症例

40代 女性

子宮筋腫による不正出血のため以前から貧血症状に苦しんできた。

月経過多になることが多く、ひどい時は鉄剤を服用しても貧血症状がおさまらず、めまいや立ちくらみ、少し動いただけで息切れをする。

もともと末端冷え性でもあり、とくに足先からふくらはぎにかけて冷たくなるため、全身のの血流が悪いことも自覚している。

仕事は忙しく、睡眠の眠りは浅いため疲れがとれない。

 

当院の施術

この方の貧血の原因は子宮筋腫によるもののため、子宮筋腫に対する施術で貧血症状を改善していきました。

まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認したところ、交感神経の働きが強くなっており、逆に副交感神経の働きが弱くなっていました。

このような自律神経の乱れは血流の妨げになることが多く、貧血症状の悪化につながります。また足の冷えが非常に強く、下肢の冷えは骨盤血流量を低下させ女性ホルモンに大きな影響を及ぼします。

今回は女性ホルモンと自律神経のバランス調節、骨盤血流量の促進を目的とした施術を行いました。

 

経過

◇1回目◇

施術後は身体が暖かくなり、夜も気持ちよく寝れた。

◇2回目◇

出血量はまだ変化が見られないが、体調は整っているように思える。

体が軽い。

◇3回目◇

出血量が少し減った気がする。

ふらつく様なめまいが気にならなくなってきた。

◇4回目◇

出血が減り、身体の調子が良い。

階段を登っても以前のような息切れがしなくなってきた。

◇5回目◇

調子が良い日が続いている。

気持ちも前向きになってきた。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

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