気虚(ききょ)とは、東洋医学で用いられる言葉であり、体や心の状態を表す概念です。気は体内に存在する生命エネルギーでネルギーであり、体内の機能やバランスを調整する役割を果たしています。気虚とは、この気の不足や弱さを指し、体力、免疫力、集中力などの低下や疲労感、体のだるさなどの症状が現れる状態を指します。
気虚の症状は人によって異なりますが、以下に代表的な症状をいくつか挙げます。
1 疲労感:気虚の人は体力が低下しており、疲れやすい傾向があります。日常的な活動や運動においても、通常よりも早く疲れを感じることがあります。
2 集中力の低下:気虚の人は集中力が乏しくなり、仕事や勉強、日常生活においても思考や注意力の散漫さを感じることがあります。
3 免疫力低下:気虚の人は免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。体が弱く、抵抗力が低下しているためです。
4 冷えやだるさ:気虚の人は体の冷えやだるさを感じやすくなります。特に手足の末端が冷たくなることが多く、むくみや脚のおもだるさ、冷え性の症状が現れることもあります。
5 睡眠障害:気虚の人は睡眠障害を抱えることが多く、入眠困難や中途覚醒、ぐっすり眠っても疲労感が取れないなどの症状が現れることがあります。
6 頭痛やめまい: 脳血流が不足するため、頭痛やめまいを感じることがあります。特に体力を使った後や、ストレスを感じた後に起こりやすいです。
7 情動の不安定:気は感情のコントロールにも関わっています。適切な度合いの感情は必要ですが、過度な怒りや悲しみ、反対に全く反応が無くなってしまう場合があります。普段気にならないことでもイライラしたり、攻撃的になる場合があります。
気虚が起こる原因は生活習慣に大きく関わっています。
1 長期の過労やストレス:過度の仕事やストレスは気虚を引き起こす要因の一つです。長時間の労働や精神的なストレスが続くと、気の消耗が起こり、気虚の症状が現れることがあります。
2 栄養不足:栄養バランスの悪い食事や食欲不振による栄養不足は気虚を引き起こす原因となります。特にビタミンやミネラル、たんぱく質などの摂取が不足すると、気の生成や運行に必要な栄養素が不足し、気虚の状態が生じます。
3 過度の運動や過労のスポーツ活動:過度の運動や過労のスポーツ活動は、筋肉の疲労だけでなく、気の消耗も引き起こすことがあります。特に長時間の激しい運動や短期間での過度のトレーニングは、気虚の症状を生じやすくします。
4 慢性的な睡眠不足:睡眠不足や睡眠の質の低下は、気の不足を引き起こす原因となります。日常的に睡眠時間が短いと身体だけでなく胃腸の活動も低下します。食事からの栄養吸収効率が低下すると気虚になりやすくなります。
このように気虚では、基礎代謝や免疫力など健康の基盤が弱くなります。つまり血液循環が低下します。そのため身体のいたるところで症状が見られます。
脚の血液循環が低下すると、末端冷え症やふくらはぎのこむら返り、浮腫を起こします。
内臓の血流が低下すれば体重減少や栄養失調、下痢などお腹の症状に繋がります。
頭部の場合は、目や耳、鼻に症状が現れます。
目の症状:目の重だるさ、かすみ目、ドライアイなど
耳の症状:突発性難聴、耳鳴り、めまいなど
鼻の症状;鼻汁、嗅覚障害、後鼻漏など
また、気虚では情動の不安定性が見られます。
多くの場合は2つのケースにわかれます。感情の起伏が激しくなり、怒りや悲しみが強く発現して感情が抑えられなくなる場合と、物事に対するリアクションが軽微になり喜びや楽しさを感じにくくなる場合があります。
情動の不安定性による疾患:統合失調症、気分障害(双極性障害・うつ病)、不安神経症など
気虚の状態では自律神経の働きが低下している場合が多くみられます。
そのため自律神経の働きを上げることと、交感・副交感神経の働きのバランスを整える必要があります。
当院では自律神経測定器を導入しており、治療の前に測定して現在の自律神経の状態を確認します。
うつ症状が見られる場合は副交感神経が優位な場合が多く、イライラや睡眠障害が見られる場合は交感神経が過剰活動になっている場合があります。
うつ伏せ治療では、首や肩、背中、腰、脚にあるツボや筋肉の硬さ(硬結)に鍼をします。
その周囲を温めることでより効果的に血流を改善していきます。
仰向け治療では手足、お腹にあるツボに鍼をします。頭痛やめまい、目や耳にも症状があれば局所とその症状にあうツボにも鍼と灸をします。
気虚の症状は慢性的に発症していることが多く、その場合はある程度の治療期間が必要になります。また一時的に改善しても再発しやすいのも特徴です。そのため定期的な治療を受けることで良い状態を維持していくことが重要になります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:50 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)