早期覚醒、目覚めの悪さの鍼灸治療

早期覚醒と目覚めの悪さに対する当院の鍼灸治療

 

早期覚醒や目覚めの悪さに対する当院の治療方針はまず自律神経を整えることです。

目覚めの悪さ・早期覚醒の鍼灸治療

 

早期覚醒や目覚めの悪さで悩んでいる方の多くは自律神経の日内リズムが乱れています。

通常、自律神経のバランスは、日中に活動的な神経である交感神経が高まり、夕方から夜にかけてリラックス神経である副交感神経が高まります。

しかし、早期覚醒や目覚めの悪さがある方は、この自律神経のリズムが崩れており、日中に副交感神経が高まり、夜にかけて交感神経が高まってしまってる方が多く、日中は倦怠感や眠気があり逆に夜になると頭がさえてきます。また、過労気味の方に多いのが常に交感神経の活動が高くなってしまっていることです。すると、寝つきの悪さや睡眠の質の低下などに繋がり早期覚醒や目覚めの悪さに繋がります。

 

そこで当院では自律神経測定器で自律神経のバランスを測定してその方の自律神経のバランスを把握することでその方に合った施術を選択して行っていきます。

その他、東洋医学的観点より最適なツボを選穴して五臓六腑の調子も整えていきます。快適な睡眠には五臓六腑の『』と『』の働きが特に重要です。心と腎の働きを整え、睡眠の質上げる特効穴なども用いて施術していきます。

目覚めの悪さ・早期覚醒のうつ伏せ鍼灸治療

 

眠りの質上げるツボとして足の裏にある「失眠」というツボがあります。当院ではこの部分にお灸で刺激を入れていき、睡眠の質の改善をはかっていきます。

 

睡眠の質を上げる「失眠」へのお灸治療

 

自律神経測定器
自律神経測定器

 

症例

40代男性

半年ほど前から起床予定時刻よりも2~3時間早く目覚めてしまい、その後もなかなか眠りにつけない状態が続いている。発症以前は7時間程安定して眠れていたが、現在の睡眠時間は5時間程度。良くて6時間。病院で睡眠導入剤を処方されるも、日中の倦怠感が強く出てしまい飲むのをやめてしまった。
出来れば薬に頼らない治療法で治したいという事で、鍼灸治療を試してみようと来院される。
睡眠不足で疲れがとれない為か全身の疲労感があり、集中力も低下している。
主にPCを使う仕事に従事しており、眼精疲労の症状も現れている。

当院での治療
自律神経測定器の結果夜の時間帯にもかかわらず交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。睡眠の質を高めるためのホルモン分泌、概日リズムの正常化、全身的な血行の改善、内臓機能や免疫力の向上による疲労、眼精疲労の緩和を目的とし自律神経系の調整をメインに治療を行いました。
また、下肢の冷え、頭部ののぼせの症状も見られましたので、腹部や下肢を温め、頸部の筋肉の緊張を除き血の巡りを改善する施術と、眼精疲労の改善のため目周囲に鍼やお灸を施しました。

1回目
まだ変化ないが、施術後はリラックスできた感覚はあった。

2回目
疲労感、眼精疲労少し楽になった気がするが、睡眠の方はまだ変化感じられない。

3回目
施術当日はよく眠れたように思うが、やはり二時間ほど前に目が覚めてしまった。しかし、その後は30分程で寝付けることができた。

4回目
いつもより30分ほど長く眠れた日が二日ほどあった。疲労感と眼精疲労は少し和らいだ。

5回目
毎日ではないものの、6時間以上眠れる日が出てきている。首のコリが残っているが肩や腰の張りが取れてきた。眼精疲労も感じにくくなってきている。

6回目
二日に一回は6時間以上眠れている。その後の寝付きもよい。首のコリの範囲が狭くなった。

7回目
七時間ほど眠れた日が一日あった。久しぶりに熟睡出来た感覚。眼精疲労は今はほとんど感じない。首と肩の緊張があるが来院前に比べれば半減くらいはしている。

8回目
6~7時間眠れる日が週に2,3回あった。

9回目~10回目
7時間眠れる日が週の3,4日になってきた。疲労感も抜けてきた。仕事中も集中できるようになっている。

11回目
今は、疲労感、眼精疲労は無くなった。首と肩こりもずいぶん楽になって頭も軽い。睡眠は7時間安定して眠れるようになっている。週に1,2回は少し早く目覚めてしまうこともあるが、その後すぐに眠りにつけるので睡眠不足によるストレスはほとんど感じなくなった。
いい状態が続くようにもう少し治療続けていきたいと思う。

12回目
前回から治療間隔を伸ばしたが安定して眠れている。仕事が長時間の時は目が疲れたり、肩がこる時もあるが眠れば回復するので体調面も安定している。

 

早期覚醒・目覚めの悪さの原因

 

早期覚醒とは「本来起きたい時間よりも早く目覚めてしまう事」で睡眠障害の一つです。

予定していた起床時間よりも数時間早く起きてしまう日が続いたり、いったん起きてしまうと、予定より早い時間であっても再び就寝することが出来ない日々が続くことで十分な睡眠が得られず睡眠不足に陥ってしまったりします。

通常の早起きとして周囲からは大きな問題として扱ってもらえなかったり、年配の方の場合は年齢から起こる早寝早起きと勘違いされる場合もあり、医療機関への受診が遅れたり、症状が深刻化することもあります。

逆に寝起きが悪いという状態になるのは、脳が十分に覚醒状態へと切り替えることが出来ていないために起こります。これは、覚醒すべきタイミングに覚醒出来ない「睡眠慣性」という体の習性に起因しています。

睡眠慣性とは、目が覚めても眠気やだるさが残っているなど、身体が起きているにもかかわらず、脳がまだ眠っている状態の事を指します。睡眠慣性は睡眠の質が低かったり、脳が深い睡眠に入っている時にアラームで強制的に目覚めたりすると起こりやすいと言われています。

睡眠慣性になると脳が覚醒している状態に比べて認知機能が著しく低下した状態になり徹夜明けや、飲酒状態よりも脳機能が低下していると言われています。

朝目覚めてからもしばらくうとうとした状態が治らないのは睡眠慣性から十分に回復できていない為と考えられています。

 

 

 

 

早期覚醒となる要因

 

・加齢によるもの
私たちの身体には夜になったら眠るという仕組みが備わっています。
これを体内時計と呼びますが、加齢とともに体内時計の針は進行しやすくなります。そのため高齢者には就寝時刻が早く朝早く目覚めるという人が多く見られます。加齢に伴って睡眠の質は変化し、睡眠に必要な時間も短くなっていきます。
60歳以上になれば6時間以上眠れる人の方が珍しいと言われるほどです。また、加齢により睡眠導入物質であるメラトニンの分泌量が少なくなることで眠りが浅くなり、睡眠を持続することが難しくなることも原因として挙げられます。

 

・体内時計の変調
夜更かしや夜勤、旅行の時差による活動時間の変化などが引き金になる事があります。

 

・精神的ストレスや自律神経の乱れ
睡眠は身体から分泌される「神経伝達物質」や「自律神経」などが影響を与えています。仕事や人間関係などで強い精神的ストレスを受ける事により、脳が活性化し脳内のドーパミンや乗るアドレナリンなどの覚醒物質が脳を覚醒させ睡眠の質の低下を招きます。

また、自律神経は自分の意志とは無関係に働く神経で、内臓、血管などの働きをコントロールし、体内環境を整えてくれています。自律神経は交感神経と副交感神経の二つで成り立っていますが、交感神経は日中活動時に活発に働く神経で心や体を活発にする働きを持っています。

副交感神経は夕方から夜にかけて主に働く神経で脳や身体をリラックスさせ、体を休ませる神経です。このうち眠るとき優位に立つのは副交感神経です。

何らかの原因によってこの自律神経に乱れが生じることで、体を休める働きをするはずの副交感神経が働きにくくなり睡眠障害を起こします。自律神経の乱れを起こす原因と考えられるものには、ストレスや疲労、環境の変化、温度や湿度の変化、生活リズムの乱れ、ホルモンの変化などが挙げられます。

 

・うつ病などの心の病による早期覚醒
早朝覚醒を含む睡眠の質の低下は、心の病の症状として現れることがあります。
うつ病患者の9割以上が何らかの不眠症状を自覚しているとも言われているほど、うつ病と不眠の関連性は強いです。物事に興味が無くなったり、やる気の低下、気分の落ち込みといった症状が現れてきた場合には早期覚醒の原因としてうつ病が潜んでいる可能性もあります。その他、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や統合失調症などでも不眠の症状が現れる事があります。
うつ病の鍼灸治療について

 

 

・アルコール、喫煙、コーヒーなどのカフェイン摂取過多
アルコールは脳を鎮静させることにより寝つきを良くする作用があるため、眠れない時に摂取する方もいます。

しかし、実はアルコールは寝つきは改善させますが、眠りの質は悪化させます。利尿作用やアルコールが体内から分解される時に離脱症状が生じる為、心身が不快を感じ目覚めてしまうこともあります。

ニコチンやカフェインも興奮作用があるため睡眠に質を下げる原因となります。

 

 

・女性ホルモンのバランス
黄体ホルモンのプロゲステロンが睡眠を浅くすることがあります。そのため、女性ホルモンのバランスが変化する生理前や妊娠中、更年期などは不眠の症状が現れたり、日中の眠気が生じやすくなることがあります。

 

 

早期覚醒と関連のある疾患

 

・不眠症
寝つきが悪い「入眠障害」、夜間に何度も目が覚めて熟睡できない「中途覚醒」、朝早く目が覚めて眠れなくなる「早朝覚醒」などのタイプがあります。
不眠症の鍼灸治療

 

 

・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
眠っている時に呼吸が停止したり、喉の空気の流れが弱くなったりする病気です。多くの場合、舌や口蓋垂(のどちんこ)が空気の通り道である気道を塞ぐことで起こります。寝ている間に10秒間以上の無呼吸(呼吸が止まること)や低呼吸(呼吸による換気が50%以下に低下すること)が一時間に5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

 

 

・うつ病
うつ病の原因ははっきりと分かっていませんが、脳の神経伝達物質の働きが悪くなることと同時にストレスや身体の病気、環境の変化など様々な要因が重なって発病すると考えられています。うつ病が「不眠や食欲不振などを含めた特定の書状が2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」と診断基準が決まっており、気分の落ち込みの他にも精神的、身体的な症状を伴います。
睡眠障害の他にも食欲の低下または増加、疲労、倦怠感、ホルモン系の異常などの症状が現れることがあります。
また、精神症状として他にも喜びや興味の喪失、やる気の低下、抑うつ気分、自責感、気分が落ち込むなどの症状が2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出てくることがあります。

 

 

目覚めの悪さを起こす疾患

・起立性調節障害
自律神経失調症の一種です。若年層、特に中学生に全体の10%にみられ、思春期の女子に多い病気です。身体症状としてめまい、立ちくらみが一番多くみられ、その他にも息切れ、動悸、睡眠障害、食欲不振、腹痛、頭痛、倦怠感など人により様々な症状が現れます。
午前中に体調が優れず、午後になると改善する症状もあります。
起立性調節障害の鍼灸治療について

 

 

・睡眠相後退症候群
昼夜逆転の生活が要因となって体内時計がずれてホルモンの分泌のリズムや体温リズムが崩れてしまう病気です。心の病気とも呼ばれており無理に寝つく努力をして精神的に圧迫されたり、寝付けなくて鬱状態になる場合や登校や出社、家事や育児が出来ない自分を周囲も本人も追い込んでしまう事で余計に悪化させることがあります。

 

・低血圧

早期覚醒と目覚めの悪さの対策法

 

早朝覚醒・目覚めの悪さが継続的に起こる場合、自分自身でもいくつかの対策を検討することが重要です。以下は、早朝覚醒に対する一般的な対策です。

・規則正しい睡眠スケジュール

睡眠の質を向上させるためには、なるべく毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることが重要です。不規則な睡眠スケジュールは、体内時計を乱し、早朝覚醒を引き起こす原因になります。土日祝日など仕事や学校がお休みの日でもできるだけ同じ時間帯に寝て起きることが望ましいです。

 

・寝室の快適な環境

寝室を快適な環境にすることが大切です。適切な温度、暗さ、静けさなどを確保しましょう。基本的に室温は低めに設定して真っ暗にすることが深い睡眠に入りやすいと言われています。カーテンも街灯の光も遮るレベルの物を使用することが睡眠には望ましいとされています。

 

・夜の活動制限

寝る前に興奮するような活動や刺激的な体験を避けることが役立ちます。例えば、激しい運動やダラダラとテレビを見ること、コーヒーやアルコールの摂取は控えましょう。

 

・デジタルデバイスの制限

寝る前の1時間ほどはデジタルデバイス(スマートフォン、タブレット、コンピュータ)の使用を避けましょう。これらのデバイスのブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠に悪影響を与える可能性があります。活動的な神経である交感神経が活発になって睡眠の質を低下させることがわかっています。ベッドに入ったら絶対にスマートフォンは触らないように心がけましょう。

 

・ストレス管理

ストレスが早朝覚醒の原因である場合、ストレス管理技術を導入すると良いです。深呼吸、瞑想、リラックスした音楽の聴取などが効果的な方法です。日中にウォーキングなど軽い有酸素運動を40分程度行うとリラックス効果があることがわかっています。

 

・朝日を浴びる

朝日を浴びることで、体内時計がリセットされて、目覚めが悪い場合は覚醒が促進されます。窓際で朝日を浴びながら朝支度をするようにしましょう。
また、朝日が昇り始める時間にカーテンが自然と開くような商品もあるのでそのようなものを利用する手段もあります。

 

・深呼吸や瞑想

寝床で深呼吸や瞑想を行うことで、リラックスして眠りにつき、目覚めが良くなることがあります。深呼吸や瞑想は近年の研究でもその効果が実証されており、ゆっくりと呼吸することで副交感神経の活動が高まって深い睡眠ができるようになって早期覚醒や目覚めの悪さの対処法になります。

 

これらの対処法は個人差がありますので、自分に合った方法を見つけることが重要です。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:11 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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