外耳炎とは、鼓膜の外側にある外耳道という部分に炎症が起こる疾患です。
通常は耳掃除といった外耳を傷つける要因になることを中止し清潔にすれば自然に軽快していきますが、高齢者や糖尿病患者は治りが悪くなることがあります。重症の場合、外耳の細菌感染が頭蓋骨まで浸食し悪性外耳道炎を引き起こすこともありますので、治りが遅い場合には早めに耳鼻科へ受診することが大切です。
外耳炎は、外耳道を耳かきや爪で引っ掻くことで傷ができ、そこに黄色ブドウ球菌、緑膿菌、真菌などの細菌が感染することによって起こります。
それ以外でも水泳で耳の内部に水が入ることや、整髪料やヘアカラー剤などの刺激物が耳の中に入ることがきっかけで発症することもあります。耳栓や補聴器、イヤホンの使用も外耳炎のリスクが高まります。
外耳炎は、急性限局性外耳道炎、びまん性外耳道炎、悪性外耳道炎の3つに分類されます。
・急性限局性外耳道炎
急性限局性外耳道炎は多くの場合、耳の入口あたりの皮膚が腫れ上がり、激痛を伴います。
食事で咀嚼時に顎を動かしたり、耳の入口付近や耳介、耳珠を押したり引っ張ったりすると痛みが増します。歯や頭頂部に痛みが放散する事もあります。
・びまん性外耳道炎
びまん性外耳道炎は外耳道の骨部という部位に発症する事が特徴で、主な症状は強いかゆみと痛みになります。
悪化すると奥の方まで炎症が広がり鼓膜周辺まで腫れ上がることがあります。中耳炎での耳漏、耳せつ、外耳道湿疹に続発して起こる事もあります。
・悪性外耳道炎
悪性外耳道炎は、強い炎症が起こりそれにより、炎症が外耳道周辺の組織まで広がり、側頭骨の骨髄炎を生じるのが特徴で、進行すると頭蓋骨底部の頭蓋底にまで炎症が波及してしまうこともあります。
外耳道に緑膿菌が感染することが主な原因で、それ以外にも細菌、真菌、アスペルギルスやMRSAを含む黄色ブドウ球菌でも発症することがあります。発症には免疫力の低下が関与していると考えられており、発症者の約80%が糖尿病に罹患していると言われています。
症状は、耳の強い痛みで、特に夜間に強くなる事が多いです。また、耳から悪臭のある分泌物を出し、外耳道に膿やカスが見られ、聴力の低下めまい、耳鳴りが起きる事もあります。外耳道に肉芽が形成されてしまうと耳閉感も現れ、頭蓋底まで感染が広がると、顔面神経、舌院神経、迷走神経など様々な脳神経が障害され、顔面神経麻痺などの神経障害が引き起こす事もあります。
炎症が顎関節に広がると、顎周辺に腫れや痛みが起こり、口が開きにくいといった症状も起こります。
炎症が頭蓋内に及ぶと、髄膜炎や脳膿瘍を生じ意識障害や痙攣などが引き起こされる事もあります。
当院ではまず、自律神経の調節施術を行い、内蔵機能と全身的な血流循環の促進、免疫機能を高め、治癒しやすいお身体の状態へと整えていきます。
ご希望の方は、施術前に自律神経測定器で現在の自律神経の状態や、ストレスの状態、血管の状態を測定していきます。
また、外耳炎の東洋医学の観点から「肝」「腎」「脾」に関連する経穴を使用し体質を整えていく事や、耳の血流を促進し回復を促すため首肩の筋緊張を緩める施術も行っていきます。
さらに耳周囲の経穴に鍼やお灸で刺激を与え、炎症や痛みを抑える作用を促していきます。
状態によっては刺入した鍼に微弱な電気を流す低周波鍼通電法を用いて痛みを抑制していきます。
外耳炎で鍼灸治療で使用される経穴は「耳門」「聴宮」「聴会」「翳風」になります。耳門は水分調節や老廃物を排出する働きに効くツボで、翳風は外耳炎の化膿による痛みに効果的なツボになります。
東洋医学では、「腎」「肝」「脾」の機能が低下することで耳の症状が現れると考えられています。
腎は、慢性的な身体の疲労、または加齢によって低下し、肝は精神的ストレス、脾は胃腸などの消化器系の不調や、自律神経系の失調により機能が低下します。
外耳炎は外鏡検査で、発赤、腫脹、耳漏を確認していきます。耳漏が認められたら、原因の微生物の種類を見極めるために、外耳から分泌液を採取して細菌検査を行います。
悪性外耳道炎の場合は、外鏡検査、細菌検査の他に周囲の骨破壊や膿腫の形成の有無、上咽頭や頭蓋内の癌などの鑑別を行うために、レントゲン検査やCT検査を行います。
また、悪性外耳道炎と類似した症状を示す外耳道癌や中耳結核との鑑別を行うために、外耳道に形成された皮膚組織や肉芽を採取して顕微鏡で観察する病理検査、炎症反応などの全身状態を評価するための血液検査も行われます。
病院で行う治療は、脱脂綿や吸引機で軽く耳の内を清掃して清潔な状態にします。それから局所へステロイドの点耳薬、軟膏塗布を行います。
びまん性外耳道炎の場合は抗生物質の塗布や投与が中心になります。
また、患部を切開して膿を除去する処置や痛みが激しい場合は、鎮痛剤が処方されることもあります。
悪性外耳道炎では、肉芽組織を除去する手術も行われることがあります。
外耳炎は過剰な耳掃除によるものが一番多いです。そのため耳かきをしすぎないことが大切です。耳かきを行う頻度は月に1~2回程度がおすすめです。
耳の中の深部は皮膚が薄く非常に傷がつきやすいです。また、耳垢は入口から1cmぐらいの深さに存在しますので、それ以上の深さで行わないように注意しましょう。
耳掃除以外にも、長時間のイヤホンの使用やヘアスプレーが耳の中に入らないように注意することも外耳炎の予防に非常に大切なことです。
もし、外耳炎の症状がある場合はプールやお風呂に潜らないようにし、早めに耳鼻科に受診しましょう。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 13:29 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)