リモートワークによるデスクワークの増加によって普段起こらない体の不調で悩まされている方が増えています。
それは、まず自宅が長時間仕事をする環境にない方が多いことが第一の原因です。普段から家で仕事をすることがない人にとっては、椅子やデスクなどが十分に揃っておらず苦労されている方も多いかと思います。家で使用する作業用のパソコンもデスクトップのパソコンではなくノートパソコンを使っている人だと首肩に余計に負担をかかります。
その他、運動不足も一つの原因となり得ます。普段出勤されている方ですと歩く機会が急激に減少して特に腰回りの筋肉が張りやすくなります。
普段会社ではデスクトップパソコンを使用しているが、家ではノートパソコンを使用して作業をしている方は特に首肩回りに負担が大きくかかっています。
また机や椅子の高さも重要で家では作業用に向いていない物を使用している場合も多いです。
・ストレートネック
ストレートネックとはその名の通り頸部がまっすぐになってしまっている状態です。頸部は本来生理的湾曲といいまして30~40度前傾にカーブしています。
しかし、長時間のデスクワークで頭を前に倒した状態になっていると頸椎やその周りの組織の疲労によって生理的湾曲がなくなってしまいます。ストレートネックになっている方の特徴は、胸鎖乳突筋や斜角筋群の筋緊張が強いことです。
ストレートネックとなってしまいますと生理的湾曲で頭の重さが分散されていたのが、頸部がまっすぐになっていることによって頭の重さを直に頸部が受け止めないといけないため、慢性的な首肩の痛みやコリ、頸椎ヘルニアなどの症状が出る場合があります。
・頸椎ヘルニア
頸椎の間には上肢や肩に向かう神経が通っています。頸椎ヘルニアでは頸椎にストレートネックなどにより過度な負荷がかかってしまうことによって椎間板と頸椎のクッションの役割のある組織が破壊されてしまいます。その破壊された椎間板が神経を圧迫してしまうことによって上肢のしびれや痛みを起こしてしまいます。
その他にも背中の痛みや頭痛・めまいなど症状は多岐に渡ります。
・背部の痛み
背中周りの神経は、頸部から伸びているものもあるため頸部の状態は背中の痛みを引き起こすこともあります。
またパソコンでタイピングを行う姿勢は腕を前に出しているため肩甲骨内側の筋肉は引き伸ばされた状態が続くためその部分の筋肉が傷みやすくなります。
・ぎっくり腰
ぎっくり腰は正式には急性腰痛と言います。重労働の仕事で重い物を持った際に起こる印象が強いかと思いますが、長時間のデスクワークでぎっくり腰となるケースも多のが現状です。
どうしてぎっくり腰が起こってしまうかは、はっきりとした原因は解明されていません。
しかし、腰回りの筋肉の柔軟性の欠如や筋力の低下によって引き起こされやすいということは明らかです。
腰回りの筋肉には姿勢を保持する筋肉が存在します。長時間のデスクワークによってそれらの筋肉が疲労して柔軟性が失われて何か物を取ろうと腰を曲げたり捻ったりしたちょっとした際にぎっくり腰となってしまう危険性が高くなります。
また、なかなか運動する機会が減っていることも一つの原因となります。
・腰椎椎間板ヘルニア
腰部の椎間板に過度な負担がかかることで椎間板の一部が飛び出して神経を圧迫させてしまうことによって腰や臀部の痛み、下肢にかけてしびれや痛みが起こります。症状がひどいと下肢の感覚が鈍くなり力が入りづらい状態にもなってしまいます。
原因としましては座る時間が長く腰部組織への負担が大きくかかっていることが考えられます。
・坐骨神経痛
坐骨神経とは腰部から起こって臀部から下肢後面にかけて走っている神経です。坐骨神経がいずれかの箇所で圧迫されてその走行上に痛みが出るのが坐骨神経痛の特徴です。
坐骨神経が圧迫される個所は、腰部や臀部が多いです。坐骨神経痛を起こす疾患として腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが挙げられます。
主に痛みや筋肉の過緊張状態にある部分を中心に鍼やお灸の施術を行っていきます。
痛みが強く出ていたりあまりに頑固なコリがある場合には鍼通電治療も用いて施術を行っていきます。
鍼やお灸をすることで筋肉を緩めて血流を良くし疲労物質や発痛物質を流したり、痛みを抑制する鎮痛効果が期待できます。
その他にも東洋医学的観点であったり自律神経の状態もふまえて全身的な調整施術を行っていきます。部分的に診るというばかりでなく全身的に診るというのは東洋医学の基本であり、それをすることで根本的な解決をはかります。
・1時間に一回は立って体を休ませましょう!
ずっと座った姿勢ですとどうしても一定の部分に負担が集中してしまいます。1時間に一回は休憩時間を設けて立つことによって負担の集中を分散させ筋緊張を緩めることができます。
・ストレッチをして筋肉を緩めましょう
首を縦後ろ左右にゆっくり倒していた気持ちいいと思う部分で10秒ほど止めてください。ここでのポイントは反動をつけて行わないことです。頸部はデリケートな箇所で頭部の重たさもありますので反動をつけてしまいますと容易に筋肉や関節を痛めてしまいます。
・姿勢に注意しましょう
座っている時の姿勢が悪いと腰に負担が大きくかかってしまいます。立っている時よりも座っている時の方が腰部の椎間板に負担がかかることがわかっています。
まず少し前がかかりにお尻を突き出すイメージで深く座ります。そして90度ほどになるように上体を起こしていきます。猫背でも反り腰でもいけません。
頭部も前傾姿勢となると頚椎や頸部周りの筋肉に負担が大きくかかってしまいますので注意してください。
症例
40代 男性
コロナの時期からリモートワークが始まり、そこから数年ほぼ自宅で仕事をしている。1日に10時間以上パソコンかスマホの画面を見て仕事しているため、肩こりと腰痛は慢性的に気になっていたが、日数が経つにつれて酷くなっている。
妻がこちらの鍼灸院に前にお世話になっていたとのことで、妻に紹介してもらい来院。
当院の治療
上半身は筋肉が緊張し固くなっており、下半身は運動不足の影響もありむくみが酷い状態でした。
全身の血流改善、筋緊張の緩和、自律神経の調節をメインで治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
肩が軽くなった感じがする。
◇2回目◇
治療後はいいが、すぐに痛みが戻って来る。
◇3〜8回目◇
肩の動きがスムーズになっている気がする。
◇9〜12回目◇
パソコンに向う時間が長くても痛みが少なくなってきた。
◇13〜20回目◇
回数を重ねるごとに常に重く感じていた肩と腰が軽くなってきた。そのおかげか、日課の愛犬との散歩がより楽しくなった。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 17:03 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)