歯ぎしり(噛みしめ)の鍼灸治療

2019年4月18日

歯ぎしり(噛みしめ)とは

 

歯ぎしり「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」は、歯を擦り合わせたり、過度に歯を噛みしめたりする動作です。寝ている時に起こる場合と、目覚めている時に起こる場合とにより睡眠時ブラキシズムと、覚醒時ブラキシズムとに分けられます。

歯ぎしりや噛みしめは無意識に行っている人がほとんどで、睡眠中の歯ぎしりは一緒に寝ている人や暮らしている人の指摘で症状に気付くことが多いです。これは歯を噛みしめる力が強い場合に歯ぎしりをした音が周りに聞こえるためです。

しかし、実際は睡眠中の歯ぎしりは音を立てていない人の方が多く、音が出ないタイプも含めると日本人の約7割もの人が歯ぎしりをしているとも言われています。

通常、上下の歯の間には2mmくらいの隙間が空くのが安静時の正常な状態であり、一日の間で上下の歯の接触は生理的範囲で約17分といわれています。人間の噛む力は40~60kgと自分の体重ほどもあり歯ぎしりや噛みしめはその頻度や強さ、持続時間によっては歯や身体の病気の原因になります。

 

歯列接触癖(TCH)

「噛み続け癖」と呼ばれることもあるこの癖は食べていない時にも不必要に上下の歯を接触させ続けてしまうというものです。

歯ぎしりや噛みしめと違い、意識せずに上下の歯が触れている状態の事を指します上下の歯の接触時間が長くなると、筋肉の緊張や疲労、顎関節の負担が増え、顎関節症や顎の疲労感、歯の違和感、口が開きにくいなどの症状を引き起こすことがあります。

また、頭痛、首肩こり、腰痛、顎の痛み、耳鳴り、めまい、息苦しさなど不定愁訴の原因になることがあります。

 

 

歯ぎしりの種類

・グラインディング

上下の歯をこすり合わせる歯ぎしりのことです。多くの人がしてる歯ぎしりはこのグラインディングタイプの歯ぎしりになります。寝ている時に下顎を左右に動かす動作を繰り返すことで「ギリギリ」という嫌な音が出るのが特徴です。

・クレンチング

音が出ないタイプの歯ぎしりのことで、上下の歯を強く噛みしめる癖のことです。同位置で歯を強く食いしばるのが特徴です。

・タッピング

上下の歯を続けてぶつける歯ぎしりのことです。下顎をリズミカルに素早く動かし、上下の歯を噛みしめるため「カチカチ」といった音が出るのが特徴です。

 

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因は詳しくは解明されていませんが、メンタリティが関わってる場合が多いと言われており不安、緊張、心配などのストレス、遺伝や飲酒、喫煙、カフェイン摂取、交感神経活動の亢進、服薬、かみ合わせなどの関与が指摘されています。

歯ぎしりは浅い眠りの時に起こることが分かっています。

人間は深い眠りと浅い眠りを交互に繰り返しており、深い眠りの時には筋肉の動きは抑制されています。(副交感神経の亢進、交感神経の低下)

そして眠りが浅くなるとその抑制が解け(交感神経の亢進、副交感神経の低下)、その拍子に咬筋(頬の筋肉)が動き、歯ぎしりが起こると考えられています。

飲酒、喫煙、カフェイン摂取、ストレスなどは睡眠を浅くする要因であり、特にストレスは歯ぎしりの7~10%に関与していると考えられています。また、特定の遺伝子型の人は他の人の約5%歯ぎしりをしやすいことが分かっています。また、睡眠時無呼吸症候群、逆流性食道炎などの疾患も眠りが浅くなるため歯ぎしりが起こりやすいといわれています。

 

日中の噛みしめ、歯列接触癖(TCH)の原因

ストレスによる緊張や、何かに長時間集中している時、PCやスマートフォンなどの操作の少し俯き加減の姿勢などが考えられています。

 

症状

・歯が擦り減る、割れる

歯ぎしりによって歯に非常に大きな力がかかります。個人差はあれど歯ぎしりの力は、ガムを噛む力の数倍~10倍といわれており大きな力がかかり続ける事で上下の歯が擦り減ってしまいます。

歯が擦り減るとエナメル質が破壊されて知覚過敏を起こします。また、詰め物が取れたり壊れたり、歯そのものが欠けたり割れたりする場合もあります。

 

・歯周病が発症、進行する

歯ぎしりによる過剰な力は、歯だけでなく歯茎にもダメージを与えます。歯茎が弱ると歯周病菌が繁殖しやすくなり、歯周病が発症、進行するリスクが高まります。

 

・歯の位置が移動する、歯並びが変化する

歯と歯が強く擦れあったりぶつかり合ったりすると歯が揺れ動きやすくなるため歯並びが悪くなったり、歯の位置が動くことがあります。

 

・顎関節症の発症

歯ぎしりをすることで、顎の関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症を発症することがあります。

顎関節症に対する鍼灸治療

・咬筋(顎のえらの部分)の肥大

咀嚼筋である咬筋に強い負荷がかかることで、咬筋の緊張状態が続くと咬筋が発達し肥大することがあります。

 

・その他

顎の痛みや疲労感、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、睡眠障害など様々な二次障害が歯ぎしりによって引き起こされているといわれています。

肩こりに対する鍼灸治療

頭痛に対する鍼灸治療

めまいに対する鍼灸治療

耳鳴りに対する鍼灸治療

睡眠障害に対する鍼灸治療

 

歯ぎしりの予防法

自宅で出来る予防法として節酒や禁煙、カフェイン飲料を飲むことを減らすなど睡眠が深くなるような生活を心がけましょう。

また、不必要な昼寝は避けて生活習慣を整えることや、寝る前にストレッチをしたりぬるめのお風呂にゆったり入るなどストレスを軽減する工夫も必要です。

 

西洋医学的治療

一般的には歯科医院にて治療が行われます。

治療方法としてマウスピース(スプリント)、かみ合わせの調整、矯正治療、睡眠衛生、行動療法などが挙げられます。

 

歯ぎしりに対する東洋医学的考え方

歯ぎしりは東洋医学では噛歯(ごうし)といわれています。

歯ぎしりは心因的な感情が根底にあると捉えられ、五臓六腑の「肝」の不調に関わりがあると考えられています。「肝」は経や感情をコントロールする役割があると考えられており、ストレスなどによりこの「肝」の働きが乱れると感情のコントロールがうまくいかなくなり、不眠、怒りっぽい、焦燥感などの症状が現れることがあります。精神的な緊張は筋肉が過緊張を起こす原因になります。

また、風、寒、湿、熱邪などの外邪などによって顎関節周囲を通る足の陽明胃経、手の少陽胆経、手の太陽小腸経の経絡の滞りなども原因となる場合があります。

 

歯ぎしりに対する当院の治療

当院では自律神測定器にて自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。

自律神経は交感神経、副交感神経の二つに分けられ、交感神経は日中活動時に活発に働く神経で、副交感神経は夕方から夜にかけて優位に働くリラックス神経です。この二つの神経がバランスをとりながら無意識下で全身の器官を調整しています。ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどからこのバランスが乱れると心身の不調をきたす原因になります。

自律神経は睡眠の質や筋肉の緊張にも大きく関わっており、特に交感神経の過亢進は精神の緊張、全身的な筋緊張を招きます。

そのため自律神経系のバランスを整えるツボや東洋医学的観点から肝、心に関わるツボに刺激を与えます。

歯ぎしりに対するうつ伏せ治療

また、歯ぎしりや噛みしめ影響による顎や首や肩の筋肉の過緊張を除き、顎関節へかかる負担を軽減する治療を行います。また、顎関節周囲の胃経、胆経、小腸経のツボも用います。状態によっては鍼に微弱な電気を流すことで鎮痛作用や筋緊張の緩和、血液循環を促します。

 

歯ぎしりの鍼灸治療

 

症例

30代 女性

歯ぎしりがひどく、歯科でマウスピースを作ってそれを付けて夜は睡眠をとっていました。それでも朝になるとあご周りが痛く、首や肩にまで波及している状態でした。

普段からも気が付くと歯を噛みしめている場合もあり、それが原因で首回りも緊張しているのではないかとのことでした。

当院の自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動が異常に高く逆に副交感神経が低い状態で常に緊張状態が長く続いていてなかなかリラックスできていないことわかりました。

問診時にも仕事や家庭内でのトラブル最近ストレスが溜まっているとのこと

治療

首肩や肩甲骨周りの筋緊張を鍼灸施術で緩めてから仰向けとなり顎周りの施術で筋緊張を緩めてお腹手足のツボを用いて自律神経の状態を整えていきました。

治療した次の日の朝は顎周りが少し楽で日常的にも首肩が楽でしたが2~3日で元の状態と戻ってしまっていました。

数回の治療後は、治療効果も延びて朝目覚めもすっきり起きられてる様になっています。

自律神経測定器の結果も交感神経の活動が下がり良好の状態となりました。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸整骨院|眼精疲労 at 12:03 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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