実際に当院でトリガーポイント療法を施した症例をご紹介させていただきます。
30代女性
パソコン仕事で長時間のデスクワーク後に後頭部と側頭部に強い頭痛が出現
痛みが強い時は痛み止めを飲んでいたが、次第に効果が薄くなり痛みが引かない状態になった。
病院でレントゲンやMRIを受けても原因が見当たらなく、緊張型頭痛と診断された。
薬では変化が見られないため当鍼灸院に来院。
今までにも大きな怪我はなく、神経学的所見にも異常なし。
長時間のデスクワークや仕事で残業すると頭痛が強くでるとのこと。
可動域テストで後屈により痛みが出現する。
治療
自律神経調節法で全身治療後に
板状筋群と後頭下筋群のトリガーポイントに刺鍼
刺鍼直後に頭痛の部分に痛みを感じたが次第に消えていった。
鍼は初めてのことだったので、刺激を弱く10分間置針した。
抜針後に動作時痛と頭痛を確認したが痛みがなくなったとのこと。
一回目の治療後は、睡眠が良く取れたとのことだが、次の日に体の疲れが出て日中だるさを感じた。一週間おきで治療を5回ほど重ねると頭痛はほぼ感じなくなった。
体が疲れてくると、少し頭が重い感じがするので症状がひどくならないように頭が重くなったと感じたらご来院していただいています。
40代男性
今朝、起きたら首が回らなくなり寝違え、仕事もままならない。どうしようもなくなり昼休みを利用して当院に来院。
左頸部に強い痛みを感じて、左に側屈すると激痛。
年に2~3回は寝違えるとのこと
患者は痛みのためにほとんど首を動かせない状態で、こめかみにも頭痛を感じていた。
寝る時は枕を高くして寝る。
痺れや上肢の可動域に制限がないため、神経学的所見に異常はない。
治療
炎症を抑えるために頸部の痛む箇所にアイシング
左胸鎖乳突筋のトリガーポイントに通電。
通電後に肩や背中にも鍼治療。
炎症による痛みが強いため当日は痛みの変化が少なく、やや痛みが減ったことと頸部の側屈が少し改善した程度だった。
後日来院時に、症状が改善したと報告された。
今朝起きたら痛みがかなり減って、首に違和感が残る程度に変わったとのこと。
引き続き頸部と背中に鍼治療をした。
三回目の治療で痛みが消失したため、治癒とした。
トリガーポイント治療という治療を聞いたことがあるますか?
トリガーポイントとはその名も通り「筋肉の痛みの引き金となる点」です。
実際に痛みは痛みを感じている場所とは関係ないところに原因がある場合があります。
西洋医学などでは、筋肉は運動器官として捉えているため、痛みを感じるものとしてはそれほど重要に診ていません。しかしトリガーポイントの治療では、痛みを感じている原因がその部分やその部分とは別の場所の筋肉が痛みの引き金となっていると捉えて治療していきます。
最近では、腰痛患者の実に85%は非特異的と言われており、MRIやレントゲン検査では異常が見られず、原因が特定できない方がほとんど言われています。今までの医療では、痛みは骨や関節、靱帯が原因と捉えられることが多かったですが、このような背景から軟部組織主に筋や筋膜に注目が集まるようになってきました。そして痛みの出ている範囲とは別のところにも痛みの根源があるのではないかということでトリガーポイントがさらに注目されるようになりました。
その中で生まれたトリガーポイント療法は鎮痛を目的に痛みの発生源である箇所を刺激することで痛みを抑制するというものです。トリガーポイントの部分では、受容器が過敏に反応しており、指で押したりするとズーンと鈍痛を感じます。圧痛が弱くても鈍痛の感覚が強く感じた場合は受容器が過敏に反応しているということであり、その部分を治療した場合に治療効果としては高く出やすい部分となります。
筋肉の痛みが精神的なものからくるものの場合ですとそれほど効果を発揮しませんが、どこか筋肉の異常で痛みを誘発している場合にはとても効果的な治療法です。
当院では、患者さんの身体に触れてよく筋肉を確認しながら原因のある筋肉にアプローチするトリガーポイント療法と自律神経などの精神的・身体的な全体のバランスを整える自律神経調整療法を併用すことで高い治療効果が期待できます。
という特徴があります。
ツボの部位も押すと痛いという点では似通っていると言えます。
ですが、経穴では上記の特徴を持たないのでトリガーポイントとは異なります。
トリガーポイント療法は筋肉や筋膜に原因がある痛みに有効です。
痛みだけに限らず、痺れや熱感、冷感などの感覚異常もトリガーポイント由来で引き起こされることもありますので痛み以外にも効果がある場合があります。
例えば、緊張型頭痛を例にして考えてみます。
緊張型頭痛の多くは頸部や肩のトリガーポイントで解消することが多いです。
頭痛が酷い方は脳神経外科に通院するほど悩まれています。
実際に脳神経に異常があるよりも緊張型頭痛からくる痛みの方が圧倒的に多いです。
お仕事や家事からくる疲労や、頸部から肩部の筋緊張によって頭痛が起きることが原因になります。頭痛を起こしている特定の筋肉のトリガーポイントを刺激して鎮静化させることで症状が消失や緩和します。
頭痛を起こしている筋肉は、痛みの場所によってある程度分かります。
トリガーポイントは筋肉別によって頭痛の発生場所が決まっているからです。
場所から筋肉を特定してから触診でトリガーポイントを探します。
トリガーポイントを刺激することで頭痛が再現されれば、原因と特定できます。
1.主に板状筋
2.その他に僧帽筋
この筋肉は首の伸展と屈曲運動によく使われます。
デスクワークなど屈曲・伸展動作を繰り返す、または長時間続けることで障害されやすいです。
1.主に板状筋群
2.その他に僧帽筋
この筋肉は首の後ろから横に付きます。
高い枕を好む人や視覚がぶれやすいはこの筋肉を疑います。
1.主に胸鎖乳突筋
2.その他に僧帽筋・後頭下筋群
筋肉が側頭部の側頭骨に付きます。
寝違えの原因となることが多い筋肉です。
耳鳴りやめまい・目のかすみなどの症状を伴うこともあります。
1.主に後頭下筋群
2.後頭部のすぐ下に付く筋肉です。
パソコンをよく使われる方に多く見られます。首を軽く後ろに傾ける人がこの筋肉を硬くします。
筋肉に原因があるトリガーポイントはストレスと関係します。
筋肉内の血管は自律神経の交感神経の作用で収縮して血流を悪くさせます。
このような血流が少ない状況で運動や筋肉に負担をかければ直ぐに損傷します。
さらに血流が悪いことにより、筋肉を傷めている発痛物質も蓄積していきやすいです。
ストレスによってトリガーポイントが発生しやすく、痛みが頑固になりやすいということです。
ただ筋肉を緩めるだけなら一時的な症状緩和にはなるかもしれませんが、
治療効果を持続させるためにも自律神経治療は欠かせません。
多裂筋
多裂筋は胸椎や腰椎仙骨に始まり椎骨の棘突起に付着する筋肉で、脊柱の支持や伸展に携わっている筋肉で姿勢を保持するときに重要な筋肉です。ぎっくり腰が起きた際にはこの多裂筋に固結・発痛が起きることが多く、その部分の痛みや固結をとる施術をするとぎっくり腰も楽になることが多いです。
腸肋筋・腰方形筋
腸肋筋は腰腸肋筋、胸腸肋筋、頚腸肋筋に分かれていますが、慢性腰痛の際は、腸骨際の付着部に圧痛が見られることが多いです。腰方形筋も腸骨稜に付着して主に体幹を横に曲げる役割がありますが、慢性腰痛の際に腸骨付着部に圧痛が見られることが多いです。
天柱
天柱は、首の髪の生え際にあるツボで頭痛や肩こりに対してよく使われるツボです。筋肉としては僧帽筋や頭板状筋を刺激して、眼精疲労やドライアイなどの目の疾患に対しても非常によく使われるツボです。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:13 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)