舌痛症の鍼灸治療

舌痛症に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学で舌は五臓六腑の「心」と気血生化の源である「脾胃」は密接に関係しており、臓腑や気血の病変が舌に反映されます。また、「心」は精神活動を担っている臓器でもあるため過度なストレスが「心」に影響を与えることもあります。

さらに、舌痛症は熱邪と関係が深い疾患と捉えます。熱邪は病気の原因(病因)の一つで、自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪です。

発赤、熱感などの炎症症状や、疼痛、化膿、発熱、悪寒、口喝、充血、不眠、イライラ、出血などの症状が見られます。

熱邪には二つのタイプがあり、熱邪の勢いが盛んになって生じる実熱(じつねつ)と、熱を冷ますのに必要とされる陰液が不足するため(陰虚)相対的に熱邪が強まって生じる虚熱(きょねつ)です。

陰虚証の場合、唾液分泌が減少し口の中が乾燥します。これによって口腔内の粘膜が炎症を引き起こしやすくなり、痛みを感じやすくなったり、辛い味などに過敏に反応するようになります。

 

舌痛症に対する当院の鍼灸治療

 

舌痛症の鍼治療

 

舌痛症の患者さんは疲労やストレスを抱えていることが多く、それは舌痛症の痛みに密接に関係していると考えられています。

そのため当院では、ストレスや疲労度、自律神経のバランスなどを機械で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

まず、顔面部の血流を良くするためうつ伏せで首や肩周りに鍼やお灸をして筋緊張を緩め、仰向けでお顔周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、痛みを感じる神経の機能を整える施術を行います。

また、東洋医学的観点から「心」や「脾胃」の機能をはじめとした五臓六腑を整えるツボや、熱邪を除くツボを用います。また、免疫機能や内臓機能、ホルモンバランスなどを主る自律神経系を調整するツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、お身体が本来持つ自然治癒力を高め病気が治癒しやすい状態へと整えていきます。

 

 

 

舌痛症とは

舌痛症

舌痛症とは、口腔の粘膜に明らかな病変がないにも関わらず舌に慢性的な痛みや痺れが生じる疾患です。

全人口の0.7%~3%の方に発症すると言われていて、特に閉経後の女性における有病率は12~18%とのことです。性別では女性が7~8割を占め、年齢は50代~70歳代が多く真面目で几帳面な性格の人が多い傾向にあります。

 

舌痛症の原因

女性の患者が大多数を占め、主に更年期以降発症することが多いため原因としてエストロゲンの減少や、自律神経の変調、中高年のうつや神経症などの精神科領域の疾患の関与が疑われていますが未だ病因は特定できていません。しかし、近年は舌痛症を神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の神経痛の一種と捉える考えが支持されています。

これは神経の中でも末梢だけでなく、中枢が大きく関与していると考えられています。

とはいえ、原因を一つに特定することはできず、様々な原因や要因が複合して影響しあっているとも考えられています。

・更年期障害の鍼灸治療について

・自律神経を整える鍼灸治療について

舌痛症の症状

 

症状の多くは舌の先や背中側、舌の脇や縁に表在性のヒリヒリする、焼けるような・やけどをしたような、または痺れた感覚を訴えることが多く、随伴症状として味覚障害や口腔乾燥感を伴うことがあります。

また、辛い物や酸味のあるような刺激物で悪化する方もいます。痛みは慢性的に持続するため、日常生活の質が低下(QOL)することもあります。

 

舌痛症の痛みの特徴

 

舌痛症の痛みは安静時に増悪し会話や食事の際、何かに集中していると痛みは忘れてしまうという傾向があります。

また、日内変動があり夕方から夜に悪化する傾向があります。痛みの強さには波があり、痛みのために睡眠できないということはありません。また、痛む部位が移動する、会話や疲労、ストレス、睡眠不足などで悪化することがあります。

痛みは心理社会的ストレスと密接な関係があることがわかっています。仕事や家庭などでの不快な出来事が痛みを増悪させます。この心理社会的なストレスが舌痛症のトリガー(誘因)となることが知られています。

 

西洋医学的治療

舌の痛みを生じるような疾患、舌炎やアフタ性口内炎、扁平苔癬(へんぺいたいせん)などの口腔粘膜疾患や、義歯、不良補綴物による障害、口腔乾燥症、口腔カンジダ症、舌癌などの疾患の有無を確認します。

また、血液検査や口腔の細菌培養検査により、鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏、亜鉛欠乏、カンジダ症の有無を確認します。

これらの検査から臨床的に明らかな原因となる病変を認めない場合舌痛症と診断されます。

舌痛症は原因が分かっていない疾患であることから根本的な治療法はまだ確立されておらず、対処療法となります。

現在最も有効な治療法は、主に抗うつ薬を中心とした薬物療法です。これは鬱などのメンタルへの効果ではなく、慢性的な痛み(慢性疼痛)そのものに対する効果を狙ったものです。

また、心理的な原因が考えられる場合には、食事や睡眠、運動などの生活習慣のアドバイスを含めたカウンセリングも行われています。

 

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 18:35 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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