交感性眼炎の鍼灸治療について

 

交感性眼炎に対する東洋医学的考え

 

東洋医学では交感性眼炎は五臓六腑の肝と深いかかわりがあると考えられます。肝は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。

強いストレスや外部環境の変化などにより肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。
肝陽の上向は交感性眼炎などのさまざまな目の疾患高血圧頭痛自律神経失調症などを引き起こします。また外からの風熱や寒冷の邪気が体に侵入すると目は侵されやすく、交感性眼炎を引き起こす原因にもなります。

 

 

交感性眼炎に対する当院の鍼灸治療

①問診
しっかりと時間をかけて問診をしてお身体の状態を診ていきます。

問診風景

 

②自律神経測定
目の症状は自律神経の状態ともとても深い関係にあります。当院では、交感性眼炎の患者さんに対して自律神経測定を行っています。

自律神経測定器

 

③うつ伏せ治療
交感性眼炎の患者さんは特に首肩の痛みやコリを感じている方が多いです。また目に重要な経穴も背部や頚部に存在するためそれらを鍼灸施術などで刺激していきます。

 

交感性眼炎のうつ伏せ鍼灸治療

 

④次に仰向けにて目の周りを施術します

仰向け施術は目の周りがメインの施術となりますが、それに加えてお腹や手足のツボを用いて自律神経のバランス調整の治療も行っていきます。

交感性眼炎の鍼灸治療

 

 

自律神経のバランス調整治療

交感性眼炎の自律神経調整鍼灸

 

 

当院の交感性眼炎に対する施術は、第一に目の周辺の経穴にはりをさして交感性眼炎の炎症をおさえる作用を促します。また必要であればハリに電極をつなげて微弱電流を流します。

東洋医学的に診ますと、交感性眼炎は五臓六腑のに深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。

また肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことで症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑え、なおかつ下げる治療もする必要があります。

風熱や寒冷の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
また東洋医学の特徴である全体を診て治療するという考えから全身の調整施術も行っていきます。

 

交感性眼炎とは?

交感性眼炎とは目への外傷や目の手術などによってぶどう膜が損傷を受けて発症するぶどう膜炎です。症状としては、原田病とほぼ同じです。

原田病とは、サルコイドーシスベーチェット病などとともに日本人には頻度の高い病気で、自己免疫疾患の一つです。色素細胞のある脳や皮膚、毛髪までも侵されることがあるとても怖い疾患です。

交感性眼炎では、手術や外傷などによりぶどう膜が傷ついてそれを修復しようとする作用が強く働き過ぎる自己免疫反応が色素細胞に起きてしまい、様々な症状を呈します。

自律神経の乱れ

ぶどう膜とは?

ぶどう膜とは眼球の外側の膜で、強膜と網膜とで挟まれた膜の脈絡膜毛様体虹彩の総称です。胸膜や硝子体などには血管が無いですが、脈絡膜は血管があって血流に富んだ膜です。その血液が血流のない目の器官に酸素などの栄養を行き渡らせています。ぶどう膜の一部である虹彩はカメラの役割でいうとしぼりに当たり、開いたり閉まったりして光の量を調整することにより、目に入ってくる光を調整しています。また毛様体は、カメラのレンズにあたる水晶体の厚さを変えてピントを合わせる役割があります。

ぶどう膜は眼球全体を覆っており、血管やメラノサイトなどの色素細胞が豊富にあり、見た目がぶどうに似ていることからぶどう膜と呼ばれています。

交感性眼炎の症状

交感性眼炎の主な症状は、視力低下目の痛みです。外傷後や時に手術後などぶどう膜に損傷を受けた1~2か月してから起こる場合もあり、発病の3~7日ぐらいで発熱などの風邪のような症状が出て眼精疲労めまい頭痛嘔吐などのような症状が出る場合もあります。

内耳の機能障害も起きる場合もあり、様々な全身症状が起こりうるとても厄介な病気です。

また、交感性眼症の症状は、原田病の症状と似ていると言われています。

※原田病
ぶどう膜炎の一つで身体の様々な部分の色素細胞が侵されることからぶどう膜・髄膜炎症候群とも言われています。髄膜炎は、頭痛が主な症状で発熱・痙攣・項部硬直などの髄膜刺激症状があらわれます。原田病もそのような症状が出ます。そのほかに耳鳴りやめまい、時にはピリピリとした違和感を頭皮に感じることもあります。

交感性眼炎の原因

交感性眼炎のはっきりとした原因は未だわかっていませんが、角膜や強膜が傷つくような外傷や網膜剥離や緑内障目の手術がきっかけとなってぶどう膜の色素細胞に自己免疫反応が起こることが原因と考えられています。

自己免疫反応とは、自分の細胞を異物と判断して自分自身を攻撃してしまう反応です。体の中に病原体や細菌などが入ってきたときの身体に起こる正常な反応は、異物を認識してそれを排除しようという生体反応がおきます。自己免疫反応では、病原体や細菌ではないのにもかかわらず何らかの原因によって自己の身体の一部を異物と判断して排除してしまいます

交感性眼炎の場合は、血液中の異物を除去する作用のあるリンパ球が自分のぶどう膜や皮膚や毛髪などの色素細胞を異物と判断して細胞を破壊してしまうのです。遺伝的な要因が考えられますが、はっきりとした要因はわかっていません。

交感性眼炎の一般的治療

交感性眼炎か判断するために蛍光眼底造形検査髄液検査血液検査が行われます。血液検査では、白血球の増加などから炎症性の反応が出ているか調べます。

治療法は現在でも有効な治療法がない状態ですが、早期の場合ステロイド薬の大量点的あるいは、パルス療法が行なわれます。
また、受傷した目の視機能がまったく期待できない場合は、もう一方の目に伝染しないために受賞した眼球を摘出する場合があるようです。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:31 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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