脳疲労とは「脳が疲れて正常に機能しなくなった状態」のことを指します。脳疲労は正式な病名ではありません。
脳の不調を理解するためにまずは脳のネットワークについて知っておきましょう。
人間の脳には大脳新皮質と大脳辺縁系という司令塔があります。大脳新皮質は、思考や学習など精神活動を、大脳辺縁系は食欲や性欲などの本能や情動を担っています。
また大脳の下には、自律神経中枢や食欲中枢を司る間脳があります。間脳は無意識に心臓を適切なリズムで動かしたり、適切に体にエネルギーを入れるための食欲をコントロールしている脳です。
この三つの関係性は人間の体を機能させる高度情報処理システムといえます。
人間を取り巻く環境は「情報」または「情報源」といえます。もし、高度情報処理システムの処理能力を上回る情報が脳に入ってくる(情報過多)とこの高度情報処理システムの機能は破綻してしまいます。まず、本能を司る大脳辺縁系が機能不全に陥り、大脳新皮質にも影響を及ぼし始めます。やがてその影響は間脳にも達し、脳全体の働きが鈍ってしまいます。これが「脳疲労」の仕組みです。
・スマートフォンやパソコンの使い過ぎ
脳疲労の原因には、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスの影響も考えられます。
検索サイトで手軽に調べ物が出来たり、SNSで友人とコミュニケーションが取れたりと便利な反面、脳が受け取る情報量が増加して脳疲労につながる可能性があります。
・睡眠不足
脳はノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠時に休んでいるため睡眠が十分でないと、脳の疲労が回復せず、次の日に疲れを持ち越してしまうのです。また、脳の疲労が蓄積すると慢性的な疲労状態となり、集中力の低下などにつながってくるとされています。一方のレム睡眠も、脳波としては浅い睡眠でありますが、多量に入ってきた情報を淘汰し消去するために必須と考えられています。朝の目覚めのすっきり感には双方の睡眠が必須なわけです。
・精神的ストレス
現代社会はストレス社会と言われていて仕事や家庭でストレスを抱えている人が増えています。恋人関係や夫婦関係など人間関係においてもストレスを継続的に抱えることで、脳の処理が刺激に対して追いつけず、機能不全に陥ってしまうのです。
集中力の低下、感情のコントロールがしにくくなる、自律神経の乱れなどが挙げられます。また、脳疲労が続くとうつ病や不安障害のリスクもあるといわれています。
・リラックスする時間を増やす
脳の疲労を回復させるために必要なのはストレスをためないことです。アロマなどを活用したり、音楽を聴いたりしてリラックスする時間を積極的に取りましょう。また、マッサージをすると体を弛緩させ、よりリラックスできるようになります。
・スケジュールを整理する
覚えておく事柄が多いと、脳の負荷も大きくなってしまいます。リマインダーを活用したり、タイマーをかけたりしてテクノロジーの力に頼るのも一つの方法です。スマートフォンは使いすぎると脳疲労の原因にもなり得ますが、うまく活用すると脳疲労の軽減にも役立ってくれます。
・睡眠を十分にとる
十分な睡眠をとることは、脳疲労の回復のために非常に重要です。適切な睡眠時間は個人差がありますので、あまり時間にはこだわらず、毎日すっきり自然に起きられる状態を目指すとよいでしょう。
・睡眠前のデジタル機器の利用を控える
スマートフォンなどの光は、睡眠や覚醒のリズムを調整するメラトニンというホルモンの分泌を抑制します。
ベッドに入ってから眠りにつくまでの間、スマートフォンについ手を伸ばしてしまいがちという方は、枕元に置くのではなく、充電器をデスクの上に置くなどして物理的に距離を置くこともよい方法です。
1.夜中に目が覚めたり、用がないのに朝早く目覚める
2.寝つきが悪い
3.食事がおいしいと思わない
4.便秘する
5.体を使わないのに疲労感がある
6.気持ちが沈んで重い
7.希望が持てない
8.考えがまとまらない
9.イライラする
10.不安だ
11.自分は価値がない人間だと思う
これら項目に多く当てはまればはまるほどに脳疲労が起きている危険性が高くなります。
当院では自律神経測定器でストレス、疲労度、自律神経のバランスを測定しお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
脳血流を促進するため肩や首の筋緊張を緩和します。脳疲労のある方はデスクワークでPCを長時間使用したり、スマートフォン、タブレットなどデジタルデバイスを長時間使用する方も多く、首肩の筋肉が過緊張状態の方が多く見られます。首肩コリがあると脳へ行く血管を圧迫し脳の血流が悪くなってしまいます。
頭周りのツボを鍼で刺激を入れていき脳の血流を改善し脳に栄養が届けやすくなることで、効率よく脳が働けるようになり疲れにくくなります。
併せて自律神経系の調整施術を行うことで、自律神経の乱れが調整され、自律神経症状の緩和や就寝時の質の高い睡眠作用が期待できます。また、免疫機能や内臓機能を高め、健康なお体の状態へと近づけていきます。
症例
50代 男性
ここ数か月リモートワークが主体となり、不慣れなパソコン作業が増え、休みの日はぼーっとしてしまう時間が増えた。常に身体が重い感じがして、何に対してもやる気が出ない。
慢性的に首肩回りのこりはあるが、20年以上のものなので、諦めている。
不眠も続き、ひどいときは1時間ごとに目が覚める。市販の薬や医者に処方してもらった薬もあったが効かなくなってきた。
当院の治療
長年の首肩の筋肉の固さで、脳に流れるはずの血液がうまく循環できていませんでした。筋肉の過緊張を和らげるために、うつ伏せの治療では首肩の筋肉に鍼とお灸で血行促進を行い、仰向けの治療では四肢と腹部に鍼とお灸で自律神経を整える治療を行いました。
◇1回目◇
首肩コリは楽になった気がする
◇2回目◇
治療後は楽になるが、すぐに元に戻ってしまう。
◇3回目◇
睡眠時に起きる回数が減った。
◇4回目◇
睡眠時に起きない日があった。身体が軽くなり、頭もクリアになることが増えてきた。
◇5回目◇
かなり改善してきた。全身の血流が良くなっている事がわかる。治療間隔を週に2回から週に1回に変えて経過観察をしていく。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 13:45 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)