低血圧は東洋医学的にみると主に虚弱体質や飲食不節や過労などと密接な関係があるとされ、身体のエネルギーとされる「気」や「血」の不足が症状を引き起こしていると捉えられます。特に女性は生理や出産、授乳などで血液を失う量も多く、血の量が不足しやすいです。
また、「気」や「血」が足りていてもストレスなどの影響で巡りが悪くなっている「気滞・瘀血」も原因の一つとして考えられます。
その他、五臓六腑の中で飲食物から栄養を吸収して血液に変える過程において関わりの深い臓器である「脾」「胃」や血液を貯蔵する「肝」、五臓六腑と関連し身体の要といわれている「腎」や心臓を指す「心」の弱りや不調が考えられます。
血圧は血液量と血管径により決まります。この血圧を正常に調節する機能として最も深い関わりを持っているのが自律神経です。
自律神経とは私たちの意思とは無関係に働く神経で全身の血管や内臓の働き、呼吸、脈拍、血圧、体温、消化、免疫、ホルモンをはじめ生命維持に関わるあらゆる働きを支配しており、心身を緊張、興奮させる「交感神経」と心身を休息、リラックスさせる「副交感神経」に分類され、この二つが拮抗してバランスをとることで身体の恒常性を保っています。
しかし、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどで「交感神経」「副交感神経」この二つのバランスが乱されてしまうと、あらゆる不調や病気を招きやすくなります。
当院では、まず初めに自律神経測定器により血管の状態や自律神経のバランスを測定し治療に入ります。
鍼やお灸を用いて自律神経のバランスを整える治療を行い、血液の循環を適正化する作用を促すことで症状の軽減や体質の改善を図ります。
また、東洋医学的観点から「気」や「血」を補い気血の流れを良くする治療や血液の生成、循環に関わる五臓六腑の働きを整える治療も合わせて行います。
また、低血圧の方は肩こりや頭痛などの不定愁訴を抱えられている方が多くそれぞれの症状に合わせた治療も行っていきます。
血圧が通常よりも低い低血圧により、何かしらの症状が現れる状態です。低血圧に確定的な定義はありませんが、現在WHOでは、世界共通の基準として収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)60mmHg以下を低血圧としています。収縮期血圧とは、心臓が収縮して全身に血液を送り出す際に、心臓にかかる圧力のことです。
拡張期血圧とは、心臓が拡張して全身から心臓に血液が戻ってくる際に、心臓にかかる圧力の事です。低血圧は高血圧と違い症状が無ければ原則として治療の必要はないとされますが、低血圧が疾患として問題となるのは血圧の低下により各臓器を送られる血液量が減少し、種々の自覚症状や機能低下が発現した場合になります。
・立ちくらみ
・めまい
・ふらつき
・頭痛
・不眠
・倦怠感
・眠気
・肩こり
・動悸
・息切れ
・胸痛
・胸部圧迫感
・食欲不振
・悪心
・チアノーゼ(唇や顔が青ざめる)
・手足が冷たくなる
・手足のしびれ
など
・本能性(一次性)低血圧
「低血圧症」の約8割を占め、特別な原因疾患を伴なわずに血圧が慢性的に低い状態で、同じ家系に低血圧症の人がいることも多く、遺伝による影響も大きいとされています。また、筋肉量が少なく痩せている、冷え性、疲れやすい、内臓下垂があるなどの体格的な特徴があり、体質的な場合が多いといわれています。
また、本能性低血圧は女性に多く、これは女性ホルモンの影響があると考えられています。女性ホルモンには血管を拡張する作用があるため男性よりも血圧が下がりやすくなります。
・症候性(二次性)低血圧
低血圧を引き起こす病気や薬剤などの原因があり、低血圧を引き起こすものを言います。二次性低血圧の原因となるものとして、循環器疾患、内分泌、代謝疾患、胃腸障害による栄養不良、ガンの末期、降圧剤、利尿剤、強心剤、睡眠薬、抗うつ剤などの副作用などがあります。
・起立性低血圧
横になった状態や座った状態から立ち上がった時に急激な血圧低下が起こり、めまいや立ちくらみ、失神などの症状を起こします。
起立性低血圧では臥位や座位の状態から立位になった時に収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上低下します。これは臥位や座位の状態から立位になった時に足の方へ流れていた血液が心臓にうまく戻れないことにより心臓から拍出する血液量が減るために低血圧が生じます。自律神経の調整機能が乱れやすい子供や高齢者、若い女性に多い傾向があります。
・食後低血圧
食事を摂った後に腸などの消化管に血流が増えて、その分血圧が下がってしまう現象です。食後に血流が腸に偏らないよう調整する自律神経の働きが衰えやすい高齢者に多いといわれています。
明かな病的低血圧以外の場合で低血圧を改善させていくためには、生活習慣の見直しが特に重要です。
その中でも食事と運動、ストレスを溜め込まないことが重要です。
・食事について
低血圧気味の方は、塩分とタンパク質をバランスよく摂取していく必要があります。
高血圧の人は、塩分を控えることが指導されることが多いですが、低血圧はその逆です。塩分には血管を収縮させることで血圧を上げる作用があります。もちろんの塩分の摂り過ぎはよくありませんが、低血圧で悩まされている方の多くは、塩分が足りていない場合が多いためバランスよく塩分を摂ることが必要です。
また、お肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質も血圧を上げることに有効です。アルコールは一時的に血圧を降下させてしまうのでなるべく飲酒は控えることをお勧めします。
その他低血圧の方は、1日3食食べなかったり、栄養バランスも偏りがある場合が多く、一日3食だいたい決まった時間に食事を摂ることも改善させていくためには重要です。
・運動について
低血圧の人は、一般的に手足の末端部分の血管の収縮力が弱く、心臓に血液が戻りにくい状態のことが多いです。
特に下半身の血液の戻りが弱いため下半身の運動が必要となります。ふくらはぎの筋肉は第二の心臓とも言われ、ふくらはぎのヒラメ筋と腓腹筋の収縮弛緩の働きが血液やリンパ液のポンプ作用となって体幹へと戻っていきます。
ふくらはぎの運動には、ウォーキングや階段の昇降運動が効果的です。ふくらはぎの運動自体で下肢の血液循環が改善され、さらにヒラメ筋・腓腹筋の筋力が付き大きくなることで多少の運動でも血液が戻りやすくなるのです。
しかし、ふらつきやめまいなどあって体調のすぐれない場合は転倒する危険性もありますので無理をして運動はしないようにしましょう。自分の体と相談しながら行いましょう。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:42 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)