神経麻痺に対する鍼灸治療はWHO(世界保健機関)にもその効果が認められている疾患の一つで腓骨神経麻痺に対しても鍼灸治療による改善が期待できます。
腓骨神経によって支配されている前脛骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋などに鍼や灸で刺激を与え腓骨神経からの指令で動いている筋肉に刺激を与える事で腓骨神経への血流を促し神経の機能を回復を促します。
また、腓骨神経麻痺を起こしている筋に鍼を指した状態で電気を流す鍼通電療法で直接的に筋収縮を引き起こすことで筋と神経伝達の回復を促していきます。
腓骨神経に繋がる坐骨神経が臀部や大腿後面で圧迫されることで腓骨神経麻痺を引き起こしている可能性もありますので臀部や大腿後面にも鍼灸施術を行っていきます。
その他、東洋医学的に考えると腓骨神経の走行は、五臓六腑の『胃』や『胆』の走行と類似しています。坐骨神経は『膀胱』と類似しているます。
東洋医学では腓骨神経麻痺はそれらの経絡に「風邪」や「湿邪」という邪気が侵入することで起こるととらえられています。よって東洋医学的な治療ではそれらの邪気を排出させるツボを選んで施術を行っていきます。
また、胃や胆、膀胱の働きが弱っていても腓骨神経麻痺を引き起こしやすくなりますのでそれらの臓腑を正常に戻すような施術も行っていきます。
このように腓骨神経麻痺に対する当院の治療では、筋肉に対する電気刺激などの西洋医学的観点と邪気を排出する東洋医学的観点より施術を行なうことで改善が期待できます。
腓骨神経麻痺とは膝の外側を通っている腓骨神経の麻痺を生じる疾患で、原因としては打撲や骨折、圧迫、神経炎、腰椎仙椎の疾患などにより神経が障害を受け、正常な情報の伝達が阻害されて起こります。
腓骨神経は坐骨神経というおしりの部分からももの後面に走行する人体最大の神経が、膝裏の上方で枝分かれして伸びる神経です。
枝分かれした神経は、「脛骨神経」と「総腓骨神経」と言われ、脛骨神経はふくらはぎにあるヒラメ筋などを支配して足首を伸ばす役割があります。
一方、総腓骨神経は「深腓骨神経」と「浅腓骨神経」にさらに枝分かれをして、足首や足の指を持ち上げる運動と下肢の外側から足背へかけての皮膚の感覚に働きます。
そのため障害されると下肢のしびれや感覚異常、足関節の背屈制限を引き起こし、進行すると足首や足の指を持ち上げる事が出来なくなるため足がだらんと下に垂れてしまう状態、下垂足(内反尖足)という状態を引き起こします。
歩くときにつま先を床や地面にこすらないように膝を通常より高く上げて歩く(下垂足歩行)など歩行にも障害をきたし、ちょっとした段差でも躓きやすくなったりサンダルなどの履物が脱げやすくなる、
また、足を上げる力だけでなく支える力も低下する事で転倒の危険性が高くなります。
下肢の筋肉や感覚を司る神経は腰髄や仙髄から枝分かれした坐骨神経と呼ばれる人体最大の末梢神経としてまとまって走行し、臀部の後方を通り膝の裏側のやや上方で脛骨神経と総腓骨神経に分岐し腓骨神経は膝の外側にある腓骨頭に巻き付くようにして走行しています。
そしてさらに深腓骨神経と浅腓骨神経に枝分かれし足背まで走行しています。腓骨神経は骨と皮膚、皮下組織の中に神経が存在し、クッションになる脂肪層も薄く移動性が乏しいため外部からの圧迫により麻痺が生じやすい神経です。
そのため長時間足を組んで座ったり、寝ている状態で膝が圧迫され続けた時、草むしりのような長時間膝を曲げた姿勢をとるなどすると麻痺が起こります。その他足の牽引や手術のためにずっと同じ姿勢で寝ていた、ギプス固定により腓骨頭部が後方から圧迫されるなどといったことが原因となるケースもあります。
これ以外にもガングリオンなどの腫瘤や腫瘍によるもの、股関節脱臼、坐骨神経麻痺、梨状筋症候群による圧迫、挫傷、大腿骨頸部骨折、腓骨頭骨折、関節リウマチによる関節の変形、膝の外傷などによっても生じます。一次的な圧迫による腓骨神経麻痺は原因が明らかな場合、要因を除去する事により自然に回復するのであれば治療の必要はありません。
しかし、神経の断裂や過度の伸長、直接的な損傷のように重度の損傷や症状は回復に時間がかかったり改善が難しい場合もあります。
・梨状筋症候群に対する治療について
・関節リウマチに対する治療について
下垂足が起こり、感覚異常がありティネルサイン(神経障害部をたたくとその支配領域に放散痛が出現)があれば障害部位が確定できます。
腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経障害の確定診断が必要なこともあります。診断方法は筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査、超音波検査などを必要に応じて行います。
一過性の軽症であるものは、原因となる圧迫を取り除き良肢位を保ちながら自然に治癒するのを待ちます。運動麻痺の回復傾向が見られない場合は尖足予防の装具を作成します。
骨折、脱臼などの外傷や腫瘤によるものは早期に手術が必要です。原因が明らかでない場合や回復の可能性があるものは保存的治療を行います。(圧迫の回避、局所安静、運動療法、物理療法、薬の内服など)
しかし、保存的加療で三カ月ほど様子を見て、回復しない場合や麻痺が進行する症例では手術を考慮する必要があります。神経損傷のある場合、神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経の手術で回復の望みが少ない場合は腱移行手術(ほかの筋肉で動くようにする手術)が行われます。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 10:50 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)