問診
初診の方は、しっかり時間をとって問診させていただきます。症状や生活習慣など細かくお聞きして原因をつきつめていきます。
そのもとに最善の治療方法を話し合います。症状によりましては、専門医の診察を勧める場合もございます。
治療方針
基本的には、子宮周りの血行を良くするように治療致します。また東洋医学の観点から個人個人にあった治療配穴をしようし、オーダーメイドの治療をいたします。
子宮困難症でご来院される多くの女性は、下半身やお腹の冷えがあります。
下半身の冷えや骨盤周りの状態を良くしていくことで、骨盤内血流量を上げていくように鍼灸治療を行います。
下半身の状態は卵巣に影響しますので、下半身の冷えやむくみなども治療対象としてます。
骨盤の歪みや臀部の筋肉などを鍼などで効果的に緩めていくことで、骨盤内血流量が増えていきます。骨盤の歪みは左右のくびれの違いや、脚長差がでますのでご自身でも確認できると思います。
骨盤矯正を行い、骨盤と下半身の状態を良くします。
全体治療
全体治療としては、自律神経の調節を行います。
自律神経の状態が乱れていると自然回復力が最大限に発揮されません。
当院では、自律神経を測るnanopulsという器械で身体の中の自律神経を調べます。
交感神経や副交感神経の活動や肉体的ストレス、精神的ストレス、疲労度などが調べられ、そのデータをもとに治療を行います。
子宮内膜症では月経痛が重い方が多く、毎月の月経に不安や恐怖感を感じるも多いようです。そのようなストレスは子宮にも影響を与え経血の流れを妨げる原因になります。
子宮も経血を排出しようと強く収縮し、より強い痛みを引き起こします。
また、現代社会でストレスや生活習慣の乱れから自律神経が上手く調節できないために病気や症状が強く出る方が多いです。
女性ホルモンと自律神経は密接な関係にあります。ホルモンの分泌は脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という部位が中枢(司令塔)となっているためです。
実は自律神経もホルモンと同じく視床下部が中枢となっています。ホルモンも自律神経も、この視床下部という部位によってコントロールされているのです。
同じ視床下部でコントロールされているため、ホルモンバランスが不安定になる時というのは自律神経も不安定になりやすい傾向があります。
ホルモンと自律神経はこのように密接した関係にあるため、互いに影響を受けやすいのです。
女性ホルモンバランスを整えるためにも自律神経のバランスを整える事は重要になってきます。
自律神経を治していくことは体質を治していくことになりますので、治療期間として3か月程をみていただきたいです。
治療開始の2回から3回までを3日置きに来ていただいた後、1週間に一度、2週間に一度と治療間隔を空けていくのが理想の治療方針です。
症状の強さや個人差もありますので、参考までに見てください。
30代女性
10年ほど前に一度子宮内膜症と診断され服薬と通院で完治したが、産婦人科にて最近卵巣にやや腫れがみられると診断された。もともと月経痛が重めで月経量はやや多く期間も7~10日と長め。不正出血が月に2.3度見られる。月経の前10日くらいから時折臍の辺りが痛むことがあり身体全体の冷え感が強い。仕事がデスクワークのため肩こりと腰痛もある。最近はめまいや気分の悪さを感じる事もあり体の弱りを感じている。また、仕事が忙しく、帰宅するのも夜遅いため体の疲れが抜けきらないと感じている。三か月後の健診にて悪化していた場合は低用量ピルを処方される予定との事。
治療方針
まず自律神経測定器にて身体の状態を診ていきました。血管年齢が実年齢よりも10歳ほど高く交感神経が過亢進状態でした。身体全体の冷えが強く下腹部の冷えもありましたので自律神経の調整、ホルモンバランスを整える経穴に鍼をし、下肢を赤外線で温めながら腹部全体を温灸器と灸を用いて温める治療を行いました。頸肩と腰部は手技と鍼で筋緊張を緩めその後骨盤周囲に鍼通電、灸を用いて骨盤内臓器の血流を改善する治療を行いました
治療経過
1回目
まだ月経がきていないので何とも言えないが、調子が悪くはない。めまいは無いが気持ち悪い感じはたまにある。
2回目
先週月経が来たがいつもよりは下腹部痛が心なしか軽く感じた。いつもは腰痛もあるのだが今回は症状軽かった。家でも下肢を出来るだけ温めるようにしているのも効果があったのかもしれないとの事。
3回目
めまい、気分の悪さを感じる事が少なくなってきていが、まだ足先の冷え感は感じる。肩のこりや腰痛は以前に比べ軽減している。
4〜6回目
体の冷え感が軽減し調子は良い。月経時の下腹部痛以前より少し楽に感じ、月経前の臍部の痛みもあまり感じない。月経量も心なしか減少した気がする。
7~9回目
下肢の冷えは最近はあまり感じない。肩は疲れると痛むことはあるが、めまいや気分の悪さも無い。月経痛も以前に比べれば良くなり、日常生活に支障をきたすこともなくなった。月経期間が7日前後で終わるようになり、不正出血が無くなったとの事。
10~13回
検査結果、卵巣の腫れが正常の範囲内に戻ったとのことで低用量ピルは処方せず、2か月に一回の健診のみで大丈夫と言われた。しかし、月経痛は多少ある為もう少し治療は続けるとのこと。
子宮内膜症とは、「子宮内膜および、類似組織が子宮内膜層以外の骨盤内臓器で増殖する疾患」と定義されています。簡単に言うと、子宮の内腔以外の場所で子宮内膜がつくられた病気といえます。子宮以外で増殖した組織は排出されることが無いため体内に留まり、それが原因により卵巣などの炎症や癒着が起こります。
女性ホルモンの刺激を受けて増殖する疾患で、主として骨盤腔内の卵巣、卵管、ダグラス窩などに好発します。また、大腸や小腸、肺などに好発する事もあります。
子宮内膜症は一般的に進行性病変であり、女性ホルモンの刺激により発育していくものです。
月経時に子宮内膜と同じようにはがれていくのですが、古い血液が溜まって大きくなっていくとチョコレート嚢胞と呼ばれる嚢胞が形成されます。
好発年齢は20歳代後半から30歳代で、生殖年齢層にある女性の5から10%が罹患しているといわれています。
発症機序はまだ不明でありますが、子宮内膜移植説と体腔上皮化生説の二つが有力です。
子宮内膜移植説は、月経により剥がれた内膜が月経の時にでる血液とともに卵管を逆流して骨盤内で腹膜に癒着するというものです。
体腔上皮化生説は、卵管、子宮、および膣上部に分化する胎生期の組織が腹膜の一部から発生することから腹膜には子宮内膜に分化することが考えられて、エストロゲンや月経血液の刺激を受けて子宮内膜類似組織に化生変化して内膜症になるというものです。
現在では、発症機序を説明できるまでに至っていないため、上記の子宮内膜移植説と体腔上皮化生説のいずれも重要であると考えられています。
この説の他に免疫力の低下や、ストレスの影響なども原因として考えられています。
子宮内膜症の主な症状は、疼痛と不妊です。子宮内膜症の多くが月経困難症であるとされています。
症状には、月経困難症や下腹部痛、腰痛、過多月経、性交時痛、排便痛などがみられます。重症の例で不妊症を伴うことも多いですが、子宮内膜症があるから不妊症になるとも言えません。
不妊症の3割ぐらいが、子宮内膜症が原因と言われています。不妊症でかかられている方で、疼痛が無かった場合でも検査すると子宮内膜症が見つかることも少なくないです。子宮内膜症による不妊の原因は卵管周囲の癒着や卵管の閉塞を引き起こす事による卵管の機能障害や卵巣の機能障害などが考えられています。
疼痛は、病変による炎症や機械的圧迫などによるもので、病巣部位から分泌されるプロスタグランジンが関与されていると考えられています。
・内診
・血液検査
・画像診断などのMRI、CT、超音波
・腹腔鏡
上記の4つで診断されることが多いです。この三つでほとんどの子宮内膜症が見つかります。
ただし100%ではないのできちんと把握するには腹腔鏡による検査も行うことが必須になります。
薬物療法
対症療法用の鎮痛薬が処方されます。
痛みの原因となるプロスタグランジンを抑える薬になります。月経開始前から服用することで効果が高くなるそうです。
ホルモン療法
お薬で人工的に閉経状態にしたり、男性ホルモンを誘導させるもので子宮内膜症の症状を抑えます。ピルや黄体ホルモン製剤もあります。
手術療法
腹腔鏡手術と開腹手術があります。手術は嚢胞の大きさや、妊娠の希望の有無で変わるそうです。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:22 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)