痔の鍼灸治療

痔の東洋医学的考え方

痔に対する鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)で適応疾患として認められている疾患の一つです。

WHOの鍼灸治療適応疾患について

東洋医学では痔は「瘀血(おけつ)」によって起こると考えられています。「瘀血」とは停滞した状態の血液、古い血が滞ることをいいます。

つまり、肛門付近の血液循環が悪くなることにより痔が生じるということです。肛門付近で「瘀血」が起こるのは体の冷えや便秘が主な原因と考えられています。

当院の痔に対する鍼灸治療

当院では、自律神経測定器にて自律神経のバランスを計測させて頂き、お身体の状態を把握したうえで治療に移ります。

自律神経は腸の蠕動運動や全身の血液循環に深く関わるため、自律神経系を整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、内臓機能、血液循環、免疫機能を高め、体のバランスを整えます。自律神経のバランスを整えることは全身的な循環を促進させ、冷えを除き、消化器官の働きを整え、便秘や下痢を改善する、または防ぐためにとても重要といえます。

痔に対する鍼灸治療

 

また、東洋医学的観点から「」の流れを整えるツボや腰部、骨盤周囲、腹部、下肢などのツボに刺激を与え肛門周囲の血液循環を促進し、痔の症状を和らげていきます。

痔の鍼灸治療

痔とは

肛門部周辺の静脈が圧迫され血液の流れが滞ることにより発生する疾患の総称です。痔には痔核(じかく)、痔瘻(じろう)、裂肛(れっこう)の3つのタイプがあります。

痔核(いぼ痔)

肛門の血行が悪くなり毛細血管の一部がこぶ状になったものです。形状がイボに似ており肛門と直腸の境界の歯状線より内側に出来た物を「内痔核」、外側に出来た物を「外痔核」といいます。

痔瘻(じろう)

肛門の周辺が細菌に感染し、炎症を起こし膿を出すおでき状の「ろう管」が出来るものです。老年~中高年の男性に多いといわれています。

裂肛(きれ痔)

硬い便により歯状線の外側の肛門上皮が切れたり、裂けたりするもので切れ痔、裂け痔とも呼ばれます。痛みが強く治りにくいため慢性化するケースも少なくありません。男性より女性に多いといわれています。

 

痔の原因

痔核

長期にわたる不適切な排便習慣(排便時のいきみや便秘など)などにより肛門の粘膜の間にある組織(毛細血管などが集中するクッション部分)やそれを支える部分に負担がかかり弱くなることで、結果として腫大、出血、脱出といった痔核を起こします。また、肛門部の血流が悪くなる事で肛門のクッション部分にうっ血を起こすことも悪化に繋がります。

痔瘻

下痢をしていたりすると、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さなくぼみに便が入りやすくなります。肛門陰窩の奥には肛門腺という線組織があり、便中の細菌がこの肛門腺に細菌感染を起こし化膿します。このように膿が溜まってしまった状態のことを肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)といいますが、進行すると肛門に向かって膿の通り道(トンネル)が形成され、穴から膿が出るようになり痔瘻を生じます。

裂肛

便秘の硬い便や、下痢が勢いよく肛門を通過することで、肛門上皮が傷ついたり切れてしまうことが主な原因です。浅い傷であれば通常すぐに修復されますが、何度も繰り返すと傷が深くなり、より深い部分に潰瘍ができます。慢性の裂肛では、肛門括約筋の緊張が高まり硬くなってしまい(硬化)肛門を狭くしてしまうことがあります。そうすると血流が悪くなり傷の治りはより遅くなってしまいます。

※肛門周囲の血行不良の原因

長時間の座位や立位、精神的、肉体的ストレス、体の冷え、妊娠、出産、香辛料やアルコールなど刺激物の過剰摂取、

 

痔の症状

痔核

・内痔核

初期は排便時の出血のみですが、排便時に自然に戻る脱出が起きるようになり、次第に排便後に指で戻さなければ戻らない脱出になります。
肛門の奥の直腸と肛門の境界である歯状線の内側は知覚神経が通っていない為、内痔核はほとんどの場合痛みを感じませんが、病状が進むと排便時にイボが肛門外に出て炎症などによる痛みを生じることがあります。

・外痔核

肛門皮下の静脈のうっ血による血栓や血腫ができた状態で、歯状線の下にある肛門上皮には知覚神経が通っているため、多くの場合肛門付近の痛みを伴います。
肛門付近に痛みや違和感があって気付いたり、手で触って確認できる場合があります。

 

痔瘻

痔瘻は通常痛みはなく、しこりを触れたり、分泌物が出たり痒みを感じるなどが症状です。しかし、痔瘻が化膿して肛門周囲膿瘍を起こすと、比較的急に肛門の腫れ、痛み、発熱を起こします。

裂肛

排便時に強い痛みと出血があります。通常出血はトイレットペーパーにつく程度で多くはありません。また、硬い便や下痢便は通過する際の痛みも強くなります。

 

西洋医学的治療

診断は問診、視診、触診、肛門指診、肛門鏡検査、超音波検査、大腸カメラなどを必要に応じて行います。

痔核の治療

基本的には食生活や排便習慣などのライフスタイルを改善し、悪化させないようにする生活療法や、薬物療法を主とした保存療法を行います。保存療法を行っても出血がひどい場合や、脱出により日常生活に支障をきたす場合は、外来処置(注射療法など)や手術療法(結索切除術など)を行います。

 

痔瘻の治療

保存療法や薬物療法での治癒は難しく、いったん治ったようでも再発しやすく根本的な手術が必要になります。肛門周囲膿瘍の場合は、まず切開して膿を出す手術を行いますが、多くは後日痔瘻に対する手術を行います。

裂肛の治療

保存療法、座薬、内服薬などの薬物療法が基本となりますが、これらの治療でも改善しない場合や、慢性化したものの場合手術療法が選択されることがあります。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 00:22 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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