急性期の熱感がある場合、炎症を抑えるためにアイシングを行うことがあります。
半月板損傷の原因は半月板への過度な負荷、衝撃ですが、その背景として蓄積された筋疲労や、骨格のバランスの崩れによって、膝関節周囲の筋肉が緊張し関節の動きが悪くなっている事も要因として挙げられるため、まずうつ伏せで腰部から下肢にかけて、鍼やお灸で刺激を与え、膝関節を構成する筋肉を緩め骨格のバランスを整えていきます。
その後仰向けで大腿部前面、膝周囲、下肢のツボを用いて血液循環を促進させ、筋肉の緊張を緩和することで膝関節の可動域拡大と、痛みの原因となる炎症物質の代謝を促し損傷部の回復を促します。また、痛みが強い場合、痛みの強い部分に鍼に電気を流すことで痛みの閾値を上げ疼痛緩和作用を促します。
東洋医学では関節痛や筋肉の痛み、痺れ、だるさなどを特徴とした病気を「痺症(ひしょう)」と呼びます。
この「痺」というのは通じない、塞がるという意味があり、痛みが生じるのは生体の弱りに乗じて、風邪、寒邪、湿邪、などの外邪の侵入により気血の流れが阻害されることで筋肉に栄養が十分に行き渡らず痺症が起こると考えられています。
20代男性
2週間程前にランニング中に膝崩れが起こるようになり、徐々に膝の屈伸時の痛みが出現してきた。整形外科を受診したところ半月板損傷と診断を受けた。安静と湿布、消炎鎮痛剤の服薬で初期よりは痛みが抑えられているものの、階段昇降時や歩行時の膝崩れと膝の引っかかり、膝関節を深く屈曲すると痛みが出現し日常生活に支障をきたしている。
1回目
特に大きな変化はない。
2回目
膝を曲げる際の引っかかり感が若干軽くなったように感じるが大きな変化はない。
3回目~5回目
膝屈曲時の痛みがやや減少。膝崩れ、引っかかりも初回より少なくなってきたように感じる。
6回目
膝崩れは階段昇降時に時々起こるが、歩行時は無くなってきた。引っかかりが軽くなり、痛みも減少している。
7回目
屈曲時の痛みは半減した。膝崩れ、引っかかりも時々起こるが頻度として半分以下になっている。
8回目
膝関節大きく屈曲する時以外は痛み強く感じなくなった。膝崩れもここ1週間は階段昇降時も出現していない。
9回目
あぐらをかいたり、急にしゃがみこんだりしなければ日常生活にほぼ支障をきたさない程度まで回復している。膝崩れ、引っかかりもほぼ消失した。
比較的スポーツに多いスポーツ外傷の一つで、半月板は膝関節の中で大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間にあるC型をした軟骨様の板で、内側と外側それぞれに一つずつあります。
半月板は関節に加わる体重の負荷を分散させるクッションの役割と、関節の位置を安定させる働きをしています。この半月板が過度の捻りや衝撃が加わると損傷を受けることで痛みや可動域の制限などを引き起こす疾患を半月板損傷といいます。
交通事故、外傷など膝をひねるようなあらゆる場面で起こりますが、ほとんどはスポーツ活動中に発生しています。スポーツの中でもサッカー、野球、バレーボール、バスケットボール、体操、ラグビー、テニス、スキー、柔道などの膝の捻りが生じるスポーツに多く見られます。
限度を超えた運動や、ケア不足による疲労の蓄積で、より負荷がかかった際にも発症しやすいといわれています。また、中年以降では加齢による退行性変性を起こし半月板の強度が低下する場合があるため、日常生活動作や些細な怪我でも損傷(変性断裂)することがあります。
痛みとともに膝の曲げ伸ばしの時に引っかかりが出現し、重症の場合には半月板が挟まりこんで膝の屈伸が出来なくなってしまう「ロッキング」という状態になり、歩けなくなる程痛くなることがあります。
また、関節の中で炎症を起こして水が溜まって腫れたり、出血して血液が溜まることがあります。また、半月板損傷を放置すると関節軟骨が擦り減り変形性膝関節症の原因となることがあるため注意が必要です。
医師の診察と徒手検査(圧痛、マクマレーテスト、アプレーテスト等)、MRI検査、関節鏡検査、関節造影などにより診断されます。
治療は保存的治療と外科的治療に二つに大別することができます。保存的治療として装具やテーピングなどの補助補強、湿布、薬物療法、急性炎症期にはRICE(安静、アイシング、圧迫、固定)処置、温熱療法、筋力増強訓練、関節可動域訓練などのリハビリテーションが行われます。
ロッキング現象や繰り返しの半月板損傷、持続する疼痛、水腫などがある場合は外科的治療が行われます。手術療法は切除術(損傷した部分を切り取る)、縫合による修復術(損傷した部分を縫い合わせる)の二種類があり、通常は関節鏡を使った鏡視下手術を行います。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 00:46 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)