正中神経麻痺の鍼灸治療

正中神経麻痺の当院での鍼灸治療

正中神経麻痺の方の多くは、お仕事などで腕や手を酷使される方が多く、首や肩周囲の筋緊張が強いため腕や手の血液循環が阻害されている場合や、ストレスや疲労などでホルモンバランスや自律神経のバランスが乱れている場合が多いため当院では、まず最初に自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定させて頂き、お身体の状態を診ていきます。

うつ伏せで首や肩周囲に施術を行い筋肉の緊張を緩和し、上腕や手の血行を促進していきます。

正中神経麻痺のうつ伏せ鍼灸治療

 

その後、腕や手首周囲の痛みや痺れの強い部位に鍼を刺し微弱な電気を流すことで、痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用や、消炎作用を促します。また、正中神経の走行上の上腕部、前腕部にある筋肉に鍼や灸を施し刺激を与え、筋緊張を緩和し血行を促進することで神経の圧迫や絞扼を緩和していきます。

正中神経麻痺の鍼灸治療

 

さらに、自律神経のバランスを調整する治療を行うことで、全身の血流や免疫機能、内臓機能やホルモンバランスなどに影響を与え、本来持つ自然治癒力を高めることにより治癒を促進する効果が期待できます。

正中神経麻痺の自律神経調整鍼灸治療

 

 

東洋医学的考え方

東洋医学では運動麻痺は「痺証」として捉えます。「風・湿・寒・熱」の邪が侵入し病気を引き起こすと考えられています。体が元気であれば、外邪が侵入してもさほど症状は強く現れませんが、ストレスや疲労などによって体が弱っていると外邪が侵入しやすくなるといわれています。この外邪によって気血が停滞する事で起こるといわれています。

特に正中神経は経絡では心包経の経絡の走行と似ており、心包経の経絡上で外邪の影響によって気血がとどこってしまうと正中神経麻痺の原因となる場合がります。

 

 

正中神経麻痺とは

 

正中神経は手にとって重要な神経で、正中神経の障害は鋭敏な感覚と巧緻性を要求される手にとって致命的なダメージとなります。正中神経は肘前方から手首を通り、指まで伸びている神経で母指(親指)から環指母指側1/2までの掌側の感覚を支配し、前腕部では前腕の回内や手首の屈曲(曲げること)、手指の屈曲、母指の付け根の筋肉(母指球筋)などを支配しています。肘の少し上で正中神経と別れる前骨間神経は母指の第一関節の屈曲と示指の第一関節の屈曲をする筋肉などを支配していますが、皮膚の感覚は支配していません。

 

正中神経と9本の指を曲げる筋肉の腱は、手首部にある手根管という狭いトンネルの中を通り抜ける構造になっています。周囲三方向を骨の壁に囲まれ、残りの一方は強靭な靭帯によって囲まれています。このためトンネル部分で正中神経が圧迫されやすい構造になっています。
手の使い過ぎによる腱鞘炎妊娠時の水分貯留糖尿病甲状腺機能低下症アミロイドーシスなどにより、トンネル内で正中神経が慢性的な圧迫を受けてしびれ、痛み、運動障害などを起こす正中神経麻痺を起こします。これを手根管症候群といいます。

 

 

手根管症候群の鍼灸治療について

 

 

 

症状

 

正中神経の障害がどこで生じているかによって症状が異なります。肘より上のレベルでの障害は「高位麻痺」といい、麻痺の程度は様々ですが、母指から環指母指側1/2までの掌側の感覚障害、手首の屈曲(曲げること)、手指の屈曲、さらに手部では母指の付け根の筋肉(母指球筋)の筋力が障害されます。

前腕から手首までの間の正中神経での障害では手根管症候群と同様の症状(母指~環指1/2の感覚障害と母指球筋障害)を呈します。

手の関節付近で麻痺が起きている場合を「低位麻痺」といい、このケースでは親指の付け根の筋肉が委縮してしまいます。細かい作業をすることが出来なくなり、親指と人差し指で丸を作ることが困難になります。また、小指以外の指に痺れが出るほか、重度の場合は痛みも生じます。
痛みや痺れは夜から明け方に症状が出ることが多く、睡眠から目が覚めることもあります。指を振ったり使ったりしているうちに症状が緩和されるという特徴があるため、放置しやすく、症状が進むと文字を書いたり小さなものをつまむなどといった、親指を使った作業が困難になってしまいます。

前骨間神経麻痺では母指と示指の第一関節の屈曲が出来なくなりますが、皮膚の感覚障害はありません。母指と示指で丸を作らせると母指の第一関節と示指の第一関節の過伸展(反り返り)が起こり、涙のしずくに似た形となり、「涙のしずくサイン」陽性となります。

 

主な症状

・手指のしびれと知覚障害

・朝の手指のこわばり

・手指のしびれで目が覚め、指を動かしたり、手を握ると軽減する

・夜間痛

・母指の付け根がやせて細かいものをつまむ動作が上手くできない

 

原因

正中神経麻痺の原因は開放創や挫傷(ケガ)骨折などの外傷、腫瘍や神経の炎症、手根管症候群や回内筋症候群などの絞扼性神経障害により生じます。前骨間神経麻痺の原因は神経炎、転位の大きな上腕骨顆上骨折などの外傷、運動のし過ぎによる回内筋症候群などの絞扼性の神経障害などで生じます。

 

検査と診断

正中神経が支配する筋の麻痺と萎縮、正中神経の感覚異常により診断されます。神経伝道検査と筋電図検査を行うことで障害の程度や障害部位などが評価できます。前骨間神経麻痺は涙のしずくサインと感覚の障害のないことで診断できます。確定診断には筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査など必要に応じて行います。

治療

骨折や脱臼などの外傷や腫瘤によるものは早期に手術が必要です。原因が明らかでないものや回復の可能性のあるものは保存的治療が行われます。三か月ほど様子を見て回復しないものや麻痺が進行するものでは手術が必要になります。

 

保存的療法

局所の安静(サポーターなど)、薬剤内服(消炎鎮痛剤、ビタミン剤など)運動療法などが行われます。それでも改善しない場合は副腎皮質ステロイド薬の局所注射で効果がある場合もあります。

 

手術療法

骨折、脱臼などの外傷で手術が必要なものや腫瘤のあるものは手術が行われます。神経損傷のあるものでは、神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経の手術で回復の望みの少ないものは腱移行手術(他の筋で動かすようにする手術)が行われます。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 07:46 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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