当院の視神経委縮に対する治療の目的は、目周辺のツボにハリやお灸を施すことにより目の血行状態をよくします。またハリに電極をつないで微電流を流す場合もあります。
お身体の状態によって目の周りに低周波電流を流します。また、首肩部にも低周波を流して板状筋群や胸鎖乳突筋などの過緊張状態を緩和させます。
神経は電気信号によって情報を伝達しますが、視神経の委縮が起きるとその電気信号は途絶えて周りの神経細胞などにも波及しかねません。低周波はそのような波及を防ぐ目的に繋がります。
また目の周りの筋肉を刺激することで周りの組織の血流改善を促し、萎縮した視神経にアプローチします。
はり治療の有効性としては、内因性オピオイドによる鎮痛効果・自律神経の調整作用による血流・神経系・内分泌系・免疫系の改善が挙げられ、眼科疾患の改善につながると考えられます。ただし、強い炎症性のものや外傷性で間もないものに関しては症状を悪化させる可能性があるので刺激量を調節しながら施術致します。
目の周りで主に使用する経穴は、太陽・攅竹・四白などを使用します。その他はその日の身体の状態を診て使用経穴を判断致します。
また、東洋医学の観点により、視神経委縮は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。
その他に当院では、東洋医学の診断方法と自律神経測定器に基づき全身の調整施術も行っていきます。部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあり、全身を施術することにより人間が本来持っている自然治癒力を回復します。
当院の視神経委縮の施術目的は、まず視神経委縮の進行を止めて、それから症状を少しずつ回復に向かわせるということです。視神経委縮は進行性の疾患であり、それを食い止めることが最も重要です。眼科と並行して通院していただき、少しでも患者さんのお役にたてるよう努めます。
東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。視覚の異常や運動系の異常などは肝血との関係が深く不足するとそれらの症状が見られるようになります。
また肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、精神的ストレスは肝気を滞らせて巡りを阻害します。
肝血不足や肝気の停滞は眼の障害を引き起こします。それは視神経委縮の原因となります。
40代男性
突然右目の視界が靄がかかったように見えにくくなり、視力が低下して病院に行ったところ視神経萎縮と診断された。様々な病院で様々な検査を受けたが特に原因は分からずに経過観察と言われた。視力の低下の他に視野が狭くなったり色覚の異常も感じられるようになり、病気の進行を止めて少しでも改善をしたいということで当院にご来院されました。
施術
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を把握してから施術していきました。この方の場合、交感神経の活動が活発で常に筋や血管が緊張状態にあることが考えられ、それが目にも悪影響を与えてしまっている可能性があったので自律神経の状態も整える施術も並行して行っていきました。その他、東洋医学で視神経の重要な経穴が頸部に存在することや背部兪穴と言いまして、背部にも五臓六腑の重要な経穴が存在することからまずうつぶせの施術で頸部と背部兪穴の経穴を主に施術したのち、仰向け姿勢となり、目の周りの経穴と自律神経系の調整経穴を用いて施術していきました。
施術の間隔としましては、最初の10回ほどは週に2回ほどの施術でそれ以降は週に1回ほどでした。施術開始して1カ月ほどは特に変化が見られず症状が悪くなるということも見られませんでした。それから2か月後の眼科の検診では、一番悪い時の視力が0.07だったの対して0.3までに回復。日常生活ではまだまだ生活しにくい状態でしたが、発症時に比べるとだいぶ楽とのことで施術間隔のペースを落として通院加療中です。
視神経委縮とは視神経を侵すいろいろな疾患が進行して、部分的ないし完全に視神経が侵されて視覚が部分的にまたは完全に失われる状態を指しています。
網膜の視細胞から伸びた神経線維は、眼底の視神経乳頭に集まって視神経となり、ここから眼球外に出て頭蓋内に入り、大脳半球の後極に近い視覚領に情報を伝えます。視神経は視覚情報を伝える100万本以上の神経線維を含んでいます。
視神経は網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達するという役割を担っているので、視神経が障害されると当然視機能は果たせなくなり、視力の減退や視野の縮小などが主な症状として現れます。
視神経委縮は様々な原因で視神経に障害がおこりその後の変化として現れる疾患です。視神経委縮には単純性視神経委縮、炎症性視神経委縮、緑内障性視神経委縮、遺伝性視神経委縮があります。またその発生原因がわからない場合も少なくありません。
ⅰ)単純性視神経委縮
単純性視神経委縮とは梅毒、頭蓋底骨折、脳腫瘍、内頸動脈瘤、外傷による視神経管骨折などが原因で起こる視神経委縮をいいます。
ⅱ)炎症性視神経委縮
炎症性視神経委縮はうっ血乳頭や乳頭炎、視神経炎の経過の末期であり、それらが原因で起こる視神経委縮をいいます。
ⅲ)緑内障性視神経委縮
緑内障性視神経委縮は緑内障で眼球の中の圧力が高い時に視神経が圧迫されて起こる視神経委縮で視神経乳頭の陥没が見られます。
ⅳ)遺伝性視神経委縮
遺伝性視神経委縮は視神経が正常に発達しなかった場合にみられる視神経委縮です。思春期の男子に多く発症して、両眼性で高度の視力障害が急激に起こるレーベル病のほかに常染色体優性遺伝や劣性遺伝の視神経委縮があります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 16:07 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)