ニキビとは、前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできる発疹を指します。思春期から青年期にかけてよくみられ、胸や背中の中心部などに出来ることもあります。
一般に思春期にできるものが「ニキビ」、大人になってできるものが「吹き出物」といわれることがありますが、実は両者の区別はなく、同じものです。どちらも「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気の通称です。
原因は様々ですが大きな要因は3つです。
・毛穴の閉塞
・皮脂の過剰な分泌
・アクネ菌というニキビの元となる菌の繁殖
肌は約28日のサイクルで角質がはがれ落ちて新しい皮膚細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。通常皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、ターンオーバーがうまくいかない場合毛穴の角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれて皮脂が詰まってしまいます。
そうすると、皮脂を栄養にしている「アクネ菌」が過剰に繁殖し炎症を起こして発疹を起こしてしまいます。また、角質が厚くなること以外にも、皮脂が過剰に分泌しすぎると、毛穴を塞いでしまう原因になってしまいます。
発達した脂腺が集まった場所を脂漏部位といいます。脂漏部位は頭皮、顔面(眉間、鼻翼などのいわゆるTゾーン)、胸骨部、肩甲骨部、腋窩部などで、これらはニキビの出来やすい部位と一致します。
男性ホルモンの「アンドロゲン」には皮脂の分泌を高める性質があります。思春期にニキビの発生が多いのはこのせいです。また、もともと脂性肌であったり、糖分や油分の多い食生活や過度なストレスなどもホルモン分泌の異常や皮脂分泌の促進につながりニキビの発生や悪化の原因になってしまいます。
・生理周期による皮脂分泌の増加
女性の場合生理周期によりニキビができやすい時期もあります。排卵後(黄体期)から月経前までは女性ホルモンのプロゲステロンの作用により皮脂分泌が活発になり、ニキビや吹き出物ができやすくなったり、肌荒れが起こりやすくなります。
食生活は吹き出物の大きな原因の一つです。特に皮脂の分泌が増えてしまうような油分・糖分の多い食べ物は吹き出物の発症、悪化を引き起こします。
また、香辛料が強い食べ物も、汗の分泌を促すと同時に皮脂の過剰分泌を引き起こすことがあるため、吹き出物には良くないと考えられています。
吹き出物は食べ物だけでなく、極端なダイエットによる栄養バランスの偏りや夜間遅い時間帯の食事など食事リズムの乱れも原因となることがあります。
ニキビの悪化していく段階
・微小面皰(びしょうめんぽう)
毛穴の開口部が狭くなり、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まっている状態です。ニキビができやすくなっていますが、肉眼では確認することが難しいため、見つけて治療することはほとんど不可能です。
・面皰(めんぽう)
毛穴が詰まって皮脂が溜まり毛穴が膨らんだ状態です。白いニキビに見えるので白ニキビとも言われます。
・丘疹(きゅうしん)
面皰内でアクネ菌がさらに繁殖して赤く炎症を起こし、ブツブツと丘のように盛り上がってる状態です。
・膿疱(のうほう)
丘疹の炎症がさらに進展した状態です。膿疱では毛穴の外壁が破壊され、内容物が漏れ出て炎症をより進展させます。毛穴の外壁が拡がり破裂すると、角質や皮脂などの面皰の内容物が真皮に漏れ出て強い炎症を生じます。
・嚢腫、結節(のうしゅ、けっせつ)
強い炎症を伴い毛穴が拡大して嚢腫を形成したり、毛包の破壊が進むと周囲の反応が増して結節を生じます。
・瘢痕(はんこん)
いわゆるニキビ跡と呼ばれるもので、炎症が強い場合には軽快後にコラーゲンの消失による陥凹性瘢痕(クレーター)や、コラーゲンの増生による肥厚性瘢痕を残すことがあります。
問診と血液検査、ホルモンバランスの検査など必要に応じて行います。治療は一般的に薬物療法で内服薬や外用薬が処方されます。また、皮脂の分泌を減らす目的で各種ビタミン剤や、体質改善目的で漢方治療を併用することもあります。場合によってはコメド(面皰)圧出などの処置が行われることもあります。
保険外治療としては、ケミカルピーリングや抗アンドロゲン治療や殺菌目的の光線治療などがあります。
「肌は内臓の鏡」といわれ、内臓の状態が皮膚にあらわれると考えられています。
ニキビや吹き出物は熱邪や湿邪などの外からの刺激により体内に熱がこもる事や、気や血の巡りが悪くなり老廃物が溜まりやすくなることが原因と考えられています。
また、外邪の侵入やストレスや疲労、生活習慣の乱れなどで、五臓六腑の「肺」「脾」「胃」「肝」などの働きが低下することなども大きく関係しています。東洋医学では肺は皮膚呼吸の機能維持、脾は消化器系から皮膚へ栄養を運ぶ働き、肝は解毒作用、脾胃の機能調整に関係していると考えられています。
当院では皮脂の分泌や、血流、免疫機能、肌の新陳代謝などに深く関わる自律神経のバランスを測定しお身体の状態を把握した上で治療を行います。
自律神経系の調整施術を行い、内臓機能や免疫力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。また、東洋医学的観点から肺、胃、脾、肝などの機能を高めるツボを取り入れます。さらに、症状のある部位の周辺のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液の循環を促進し、皮膚の新陳代謝を促し炎症を抑える作用を促します。
症例
30代 女性
小学生の時にニキビができはじめ、それからずっと続いている。薬や健康グッズ、温泉などを試したが治らない。ニキビの量や赤みが引く時はたまにあるが、ゼロになったことは小学生の頃からない。
いつも化粧やマスクで隠しているため肌の負担になっているのか肌荒れも気になっている。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、交感神経が優位になっていることと、ストレスの数値が高く測定されました。
また、生活習慣での運動不足や食生活の乱れもあり、当院では自律神経を整えて、ご自宅では食生活に気を付けることを決めました。
鍼は初めてで、痛いのは苦手とのこと。ソフトな治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
鍼に緊張したが、思っていたほど痛みはなかった。
◇2~7回目◇
回数を重ねるごとに肌の調子が良い。食事改善が少しだけストレスになっている。
◇8~15回目◇
鍼に慣れてきたので、刺激量を増やしての治療にチャレンジ。身体のだるさはあるが、スッキリ感があるので少しずつ刺激を増やしていった。
治療をするたびに、肌の調子が良くなっているのを感じている。
食事を改善した生活にも慣れてきた。
◇16~22回目◇
内臓機能が向上したのか、体温が35度台から36度台に変わった。新しい吹き出物ができにくくなってきた。
◇23回目◇
顔の赤みと吹き出物がほぼなくなった。
かなり改善したので一度治療を終わりにして様子をみることにした。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:21 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)