心臓神経症の鍼灸治療

心臓神経症の鍼灸治療

 

心臓神経症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)でもその効果が認められている疾患のうちの一つです。

 

心臓神経症に対する当院の施術は、まず自律神経測定器にて、心臓の動きや血圧などを調整している自律神経のバランスや血管の状態を測定し、お体の状態を把握した上で治療に移ります。

自律神経のバランスを整える施術をメインに、五臓六腑の機能を高めるツボも取り入れ、免疫力を高め身体全体のバランスを整えていきます。

 

心臓神経症の自律神経調整鍼灸治療

 

 

鍼やお灸の刺激による血管拡張作用や筋の緊張を和らげる作用で、血液の循環を促進し、東洋医学的観点から心や腎の経穴や気血を補うツボも取り入れることで心や腎の機能を高め、全身の気血の巡りを整える作用を促します。

心臓神経症のうつ伏せ鍼灸治療

 

心臓神経症の鍼灸治療症例

 

30代女性

一か月ほど前から発作的に起こる胸の締めつけられるような痛みと動悸、息苦しさに悩まされている。夜寝る前に特に起こりやすいが、徐々に頻度が増えているように感じている。病院で心電図検査や心臓エコーなど検査を行うも特に異常は見あたらなかった。半年ほど前に転職をし、環境の変化により生活が不規則になったり人間関係や仕事のストレスを感じておりそういったことが関与しているのではないかと考えている。

 

当院での治療

自律神経測定にて計測を行ったところ交感神経が過亢進状態で精神的ストレスが高いという結果でした。心臓の動き、血圧などを司る自律神経の調整と、首や肩周囲の筋緊張がみられたため首肩にも鍼やお灸で刺激を与え体の緊張を除きリラックス神経である副交感神経の働きを活性化させる作用を促しました。

手足の冷えもあり、遠赤外線やお灸を用い冷えを緩和する作用を促し全身的な血液の循環を高める施術も行いました。

 

1回目

大きな変化はないが、身体の冷えと首や肩の緊張はすこし緩和された。

 

2回目

発作の頻度はまだ変化ないが、症状の持続時間は軽減したと感じる。

 

3回目

前回施術から一回だけ症状がみられたが、頻度は減ってきた。

 

4回目

仕事が過酷な日があり、その日の夕方に症状が出た。次の日の夜にも症状が出たが持続時間は短かった。

 

5回目

今週は一度も症状起こっていない。首肩の緊張も緩んできたと感じる。

 

6回目

前回施術後から一度だけ動悸のような症状があったがすぐに消失した。胸痛や息苦しさは出ておらず、身体の状態は改善してきたように感じる。

7回目

症状ほぼ消失した。たまに動悸を感じるが持続時間はかなり短くなった。足の冷えは感じる日もあるが、手の冷えはかなり改善された。状態維持のためにもう少し通院を続けたい。

 

8回目

動悸の症状も消失した。体の調子が安定して良くなったと感じている。

 

 

心臓神経症の東洋医学

東洋医学では五臓六腑の「心」は現代医学の心臓と同じように循環器系に関係する臓器と機能を表します。

その他大脳の働きである精神、意識、思考なども心の動きととらえ、睡眠、心臓、血管系の機能をコントロールすると考えられています。

 

心気虚
加齢や過労により心気が不足すると心のポンプ作用が弱まり動悸、息切れ、全身倦怠感、精神疲労などの症状が現れます。

 

心血の不足
ストレスが多い、睡眠不足、偏食、欠食などが原因で「血」が不足した状態です。意識が散漫になったり、忘れっぽくなったり動悸や不安を生じやすくなります。頭がフラフラしめまいを生じることもあります。

 

心と腎のバランスの崩れ(心腎不交)
東洋医学では五臓の心と腎は、心が火の性質を持ち、腎は水の性質を持ち、互いに反対の性質を持つと同時に互いを育てる関係にあります。心の心火(活発な精神活動)の行き過ぎを腎が抑える役割を果たしており、火の心は上半身、腎の水は下半身に分かれ、これを腎の生命力が心と腎を交通させ身体の平衡を保っていると考えられています。心腎不交とは加齢や慢性病、疲労、精神的緊張、情緒の変動などが原因で心と腎のバランスが失調した状態です。
寝汗が多い、のぼせや火照り、のどの渇き、耳鳴り、イライラ、口内炎、焦燥感、腰や膝がだるく無力などの症状が現れます。

 

 

心臓神経症とは

胸の痛みや動悸など心臓に関わる症状があるのにも関わらず、検査では異常が認められず特定の身体疾患と診断できないものを指します。

ストレスや不安、抑うつ状態と関連しているものが多く、神経症的な素因や※無力性体質の人に起こりやすいといわれています。不安神経症や身体表現性障害といった精神疾患に準じた治療が行われます。好発年齢では思春期より30代前半までが多く、その他に中年期にも一つの山があり男性より女性のほうが2倍多いといわれています。

 

無力性体質とは
体系が細長くて筋肉の発達が不良で痩せている、胸が平らで内臓が下垂しやすく、色白、全般的に体力の低い体質。血圧は常に低く、自律神経の機能は不安定で精神的に過敏な傾向が
顕著にみられます。

 

 

心臓神経症の症状

胸の痛み、呼吸苦、動悸、不整脈、発汗、しびれ、めまいなど循環器疾患と同様の症状を自覚します。

このうち胸痛は「ズキズキ」、「チクチク」「重苦しい」と表現されるような痛みで、痛む部分が左胸のごく狭い範囲に限られており、手で圧迫すると痛みが強くなることが特徴です。

この痛みは運動したり興奮したりしている時ではなく、むしろ安静時にそれを感じ、持続時間も長いのが特徴です。

 

 

心臓神経症

 

 

 

心臓神経症の原因

 

一般的に日常生活や職場でのストレス、過労、環境の変化などにより不安や緊張が高まっていたり、抑うつ状態であったりすることなどが発症の原因であるといわれています。

また、心臓は生命に直結する臓器ですから、心臓の病気=死ぬ病気という解釈から新たな不安を起こしやすく、それがさらに心臓の症状を悪化させるという悪循環を作ってしまうことも多いようです。

私たちの体には血圧、呼吸、体温、内臓機能などを無意識のうちに調整している自律神経と呼ばれる神経があります。この自律神経は環境に応じて身体に備わった恒常性(体の中をいつも一定の状態に保とうとする働き)があります。

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、ストレスにさらされると交感神経の働きが高まり、さらに副腎皮質からより多くホルモンが分泌されることになります。交感神経の働きが高まるとアドレナリンとノルアドレナリン(どちらも副腎から分泌される物質)が大量に放出され、心臓のポンプの働きが急に活発になります。

皮膚や消化管粘膜などの細い血管では血管が収縮し、身体の血液が脳や心臓など重要な臓器により多く運ばれるようになるため、胃や腸の働きは抑えられます。逆にリラックスした状態のときは副交感神経の働きが優位となり、心臓の拍動は抑えられ反対に胃や腸の運動が高まります。

精神的ストレスにさらされると、喫煙や飲酒量が増加したり、運動不足になったりして生活習慣が乱されることも症状の悪化の一因となります。

 

 

西洋医学的治療

 

一般的に循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患などがないか調べ、臓器による異常による疾患が除外された場合に診断されます。そのため、心臓神経症の診断に特別な検査はなく、胸部レントゲン検査、血液検査、心電図検査、心臓超音波検査、上部消化管内視鏡など循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患を診断するための一般的な検査が行われます。

治療は不安神経症や身体表現性障害などの精神疾患に準じた薬物療法や非薬物治療が行われます。治療の際には内科や循環器内科の医師だけでなく、心療内科や精神科の医師と協力して行われます。

薬物療法
不安や緊張感を和らげる目的で抗不安薬、抗うつ薬などが一般的に使用されます。頻脈や動悸などの自律神経症状が強い場合にはβ遮断薬が併用されます。

非薬物療法
症状の原因となっている不安やストレスを避けるような生活を心がけることのほか、認知行動療法と呼ばれる医師やカウンセラー、臨床心理士との会話のなかで、病気や自己に対する認識を変えていくことで回復を促す治療法が用いられることもあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:03 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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