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僧帽筋への鍼灸治療

金曜日, 6月 21st, 2019

僧帽筋とは

僧帽筋は首の後ろから背中の上部、肩にかけて広がる、主に肩の動きを司る肩の筋肉の中で最も大きく、背部の一番表層にある筋肉です。後ろから見ると首、左右の肩、下の第12胸椎を結ぶ四角形に見えて、ちょうどカトリックの僧侶の付ける頭巾(フード)の形に似ていることから僧帽筋と呼ばれています。

僧帽筋は上部、中部、下部に分けることができ、それぞれ違った役割を担っています。

僧帽筋

・僧帽筋上部

上部は後頭部の付け根(後頭骨)から鎖骨につながっており、鎖骨の引き上げに特に関与します。

・僧帽筋中部

中部は頸椎の下部(第7頸椎)と胸椎の上位(第1~第3胸椎)から肩の端(肩峰)や肩甲骨の上に出っ張り(肩甲棘)につながっており、肩甲骨を挙げたり内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする際に使います。

・僧帽筋下部

下部は胸椎の中程(第4胸椎)から、下(第12胸椎)にかけて始まり肩甲骨につながっており、肩甲骨を下げたり、内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする役割を果たします。

また、僧帽筋が一緒に動くと手を頭の上まで上げることが出来ます。僧帽筋の重要な働きは腕の上部外側にある三角筋の働きを助けるために肩甲骨を安定させる役割であるともいえます。この働きにより肩に物を担いで運ぶことが出来るのです。

 

 

僧帽筋の働きは主に肩甲骨の動きに深く関わっています。動作でいうと重い頭の角度を保ったり、腕の重さを支える、肩をすくめたり、肩を横に張る、重い荷物を持つときに腕が下に引っ張られないように支えたり、肩に物を担いで運ぶ時などに働いてくれます。

肩こりの原因になる筋肉は色々ありますが、その中でもこの僧帽筋は日常生活でも酷使傾向にあり、肩こりに最も関係が深い筋肉といわれています。

 

僧帽筋×肩こり

 

肩こりは主に僧帽筋に筋疲労が蓄積して凝り固まることで起こります。

僧帽筋が硬くなる原因は色々ありますが、肩甲骨を動かす僧帽筋は背骨や上肢と繋がっているためそのつながりのどこかに無理が生じることで間接的に影響を受けることもあります。

 

・同一姿勢、不良姿勢(なで肩、猫背、巻き肩)

 

重さが約5~6kgの頭部を支えるのは頸椎の後面にある僧帽筋を始めとする筋群です。そのため、まっすぐ前を向いているときは良いのですが、下を向くなどして頭が前に出て猫背になると首や肩の筋肉に2~3倍の負担がかかります。

また、「なで肩」の人は僧帽筋の筋肉量が少ないので肩に疲労がたまりやすくなります。特に筋力が弱い女性はなで肩で疲労がたまりやすく、肩こりが発生しやすくなります。

さらに「巻き肩」といって肩甲骨が正常な位置よりも外側に開き、通常よりも肩が前に出た状態は首から肩、背中にかけて大きく広がる僧帽筋が引き伸ばされ、筋肉が緊張した状態が続くので肩こりが起こりやすくなります。

最近では多くの方が一日中パソコンに向かったり、下を向いてスマートフォンを触っていることが多いといわれています。そういった方は全体的に僧帽筋が引き伸ばされて肩こりを起こしやすいのです。

僧帽筋は副神経という脳神経に支配されており、精神的ストレスや脳の疲労の影響を受けて緊張する特徴があります。

僧帽筋の過緊張は筋緊張性頭痛や、自律神経症状(吐き気、めまいなど)を引き起こす原因にもなります。

 

肩こり

 

僧帽筋×首痛

僧帽筋は首の付け根にも存在しているため、肩こりと同時に首が痛くなることもあります。

また、寝違えによる首の痛みにも僧帽筋の過緊張や炎症が関与している場合があります。

 

僧帽筋×背中の痛み

 

脊柱は頸椎、胸椎、腰椎というように続いており、頸椎と腰椎に挟まれた胸椎部の背面を一般的に「背中」といいます。

僧帽筋は頸椎、胸椎から肩甲骨というように広く背中に走行しており、長時間の同一姿勢や重い物を運ぶ、持ち上げるなどの重労働などが原因で筋疲労を起こし痛みを生じることがあります。

 

 

僧帽筋×頭痛

 

緊張型頭痛は側頭筋や後頸筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリによって痛みを感じる神経が刺激されて起こると考えられています。

また、頸部には自律神経が通っているため僧帽筋の筋緊張が自律神経を刺激し自律神経のバランスを乱し、偏頭痛を起こす原因になることがあります。

 

 

僧帽筋が過緊張状態となる原因

 

・長時間の同一姿勢(デスクワーク、スマホ操作、読書など)

・ストレスによる緊張(自律神経の乱れ)

・慢性的な運動不足

・エアコンなどによる冷え

・重いバッグを肩にかける

・不適切な枕

・歯ぎしりや食いしばり

などが挙げられます。

 

 

 

僧帽筋への鍼灸治療

 

当院では治療の前に自律神経測定器にて、自律神経のバランスや血管の状態、ストレス度、疲労度などを測定しお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

全身の循環や内臓機能などを司る自律神経のバランスを整える治療を行い、体の自然治癒力を高めます

肩こりは僧帽筋だけが悪くなるわけでなく、その周辺の筋肉も緊張されていることが多いです。僧帽筋への施術と並行にその周りの筋肉を緩めるアプローチをかけていきます。

僧帽筋へ鍼治療

股関節の不調の鍼灸治療

金曜日, 6月 7th, 2019

股関節痛を引き起こす病気や怪我

・変形性股関節症

股関節の軟骨が摩耗や加齢によって擦り減ってしまうことで起こります。
子供の頃からの先天性股関節脱臼の後遺症や、股関節が浅い臼蓋形成不全などが原因になることも多いですが、加齢により軟骨が擦り減ってしまうことが原因になることもあります。

変形性股関節症を放置していると股関節や周囲の筋肉が硬くなり動かせる範囲が狭くなっていしまいます。靴下を履く、足の爪を切る動作などがしにくくなったり、長時間立ったり歩いたりすることが辛くなります。また、痛い足を無意識にかばって、歩き方が不安定になったり股関節を支える筋肉が弱るとその結果股関節にかかる負担が大きくなってしまいます。

症状としては、歩行時などに足の付け根(股関節)が痛み、股関節の動きが制限されるようになります。症状が進行するとその痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。

・大腿骨骨頭壊死症

大腿骨の骨頭部分の血流が悪くなり、骨の細胞が死んでしまう(壊死)病気です。他の病気の治療で、ステロイドを大量に服用されている方やアルコールの飲酒量が多い方の発生率が高くなりますが、

・大腿骨頸部骨折

股関節の大腿骨側の大腿骨頸部の骨折です。骨粗鬆症などで骨がもろくなった状態で転倒した際などに起こりやすく高齢者、特に女性に多くみられます。骨折のため腫れや痛みを伴い、歩行が困難になります。骨折の状態や位置により治療方法は異なりますが、多くの場合は骨接合術や人工骨頭置換術(人工関節置換術)などの手術を行います。

・関節リウマチ

関節リウマチとは、免疫異常によって関節の内膜を覆う滑膜という部分に炎症が起こる病気です。関節の痛みや腫れ、朝のこわばりが主の症状として現れますが、微熱やだるさ、食欲不振といった全身症状が伴うこともあります。関節リウマチは手足の関節に起こりやすいといわれていますが、頻度は少ないながら股関節にも発症します。

・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症

腰椎とは背骨の腰の部分を構成している5つの骨のことで、骨と骨とのクッションの役割を果たす軟骨があります。この椎間板が何らかの原因で正常の位置から外れて、後方の脊髄や神経根を圧迫する病気の事を腰椎椎間板ヘルニアといいます。症状として多くの場合腰痛の他におしりから足にかけて痛みやしびれが現れます。まれに排尿障害や排便障害が起こることもあります。

腰部脊柱管狭窄症は背骨の中にある脊髄が通る空間が狭くなる病気です。腰痛や足の痛み、しびれなどの症状を引き起こします。

どちらの場合も、腰の神経が刺激されて足の付け根に痛みが出ることもよくあります。

・鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れた時に鼠径部やその周辺に痛みが生じます。何らかの原因で体幹から股関節周囲の筋や関節の柔軟性の低下による拘縮が起こることや、骨盤を支える筋肉の低下による不安定性、体幹と下肢の連動性の低下などにより股関節周囲の機能障害が生じます。サッカー選手に多くみられ、一度なると治りにくいのが特徴です。

 

股関節の不調

 

原因不明の股関節の痛み

 

病院で検査をしても特に異常がなく、原因が見当たらない場合も意外に多いです。

当院には、そのような病院に行っても特に原因が特定されないという方が多くご来院されています。

病院で股関節の痛みの原因が特定されていない場合でもお気軽にご相談ください。

 

股関節の不調に対する鍼治療

股関節の不調に対する鍼治療では、股関節周りの筋緊張の緩和痛みを抑える鎮痛効果のつよい鍼通電療法も行っていきます。

股関節の不調の鍼治療

 

鍼治療のほかお灸施術も行い、筋緊張の緩和やストレッチ・マッサージなども行うことで症状改善をはかります。

 

その他、股関節の不調がある場合、歩行時それをかばうためには腰部や膝部にも負担が強くかかる場合もあります。股関節の施術に加えて膝や腰・臀部の施術も合わせて施術を行っていきます。

 

股関節の鍼通電治療

触診や簡易検査などによって腰部や膝部にも異常が見られた場合それらも緩和して股関節の不調の治癒を早めるような施術を行っていきます。

股関節の不調では、過度な鍼刺激やストレッチは症状を悪化させてしまう危険性もありますので股関節の不調が起きている原因に合わせてその方々に合わせた施術法を合わせて施術を行っていきます。

 

 

不妊症の鍼灸

木曜日, 5月 30th, 2019

不妊症の治療

不妊症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

WHOの適応疾患について←

①不妊に対する当院の施術

当院の不妊に対する施術は、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。当院のはり灸施術は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。自律神経のバランスを整えることにより、妊娠しやすい体をつくります。

不妊症の鍼灸治療

東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。また不妊は東洋医学的に診ると「」や「」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。

・妊娠力をつける
妊娠力をつけるためには、「腎精」が重要であり、それは先天的なものが多くを占めますが、日々の食生活や規則正しい生活によりある程度補うことが可能です。当治療院では、治療により正常に食事や運動ができる体づくりやアドバイスを行っていきます。

・冷えを改善する
東洋医学では、血流低下や血流の滞りによる体の冷えは健康に悪いだけでなく、妊娠しづらい体となってしまうと考えられています。当院独自のお灸を施すことにより、体全体を温め、血流改善を促します。それにより月経不順や子宮内膜症の改善・予防を期待できます。

冷え性改善のお灸

・全身のリラックス効果
ストレスは、交感神経を過亢進状態へと導き、体のあらゆる機能に悪影響を与えるのはもちろんこと妊娠にも大きな影響を与えてしまいます。ストレスを受けると特に視床下部というホルモン指令部に影響を与えます。視床下部はホルモン指令部の役割の他に自律神経調整の中枢でもあります。強いストレスを受けて自律神経が乱れた状態だとホルモンバランスの異常をも引き起こします。
心地よい刺激での治療により全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制してホルモンバランスを正常に戻します。
その他不妊症の患者さんでは日中の頭痛・慢性的な肩こり腰痛・のぼせ・めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった不定愁訴は身体にストレスを与え、妊娠に対してもよくないものです。当院では不定愁訴の改善を目的とした治療も並行して行っていきます。

 

不妊症の鍼灸治療

当院の不妊症に対する治療目的は、不妊で悩んでいる方の妊娠する確率を少しでもあげ、正常な妊娠・出産のサポートをすることです。妊娠するのはもちろん患者さん当人ですが、ご家族を含めた周りのサポートはとても重要なものとなっています。相談しやすい環境づくり、心地よい空間づくりを心掛け、日々診療しております。
また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも妊娠ができる機会を提供し、患者さんに少しでもお役にたてるよう尽力します。

 

②不妊症に対する東洋医学的考え

不妊症は、五臓六腑の「腎」と「肝」の働きが特に重要と東洋医学では考えられています。

<妊娠における「腎」の役割>
妊娠において特に重要なのが、腎で貯蔵される「精」というものがあります。それは、「腎精」とも呼ばれており、人体の生長・発育・生殖及び生命活動を維持する物質的な基礎です。これは、内分泌系全般の機能を指すものと考えられ、腎は妊娠に必要なホルモンバランスをつかさどっていると考えているのです。「腎精」が充実していると女性の場合、正常に月経が到来し、男性の場合は射精することができます。
また、「腎精」は、父母から先天的に受け継いだ要素が大きく、青年期に最も充実し、中年頃から次第に衰えて老化に向かいます。日々の偏った食生活やストレス・不摂生が続くいたりするとこの「腎精」が不足してしまい、ホルモン異常による排卵障害や着床障害、男性の場合ですと、造精機能障害を引き起こしてしまうのです。

<妊娠における「肝」の役割>
東洋医学でいう「肝」は血を蔵するとういう妊娠にとても重要な役割を持ちます。
「肝」は血を貯蔵し必要に応じて供給・消費します。血液循環の調節面では、自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させて体内各部の血流量を調整します。
女性の場合には、子宮に十分な血液を供給して子宮内膜や筋肉を順調に機能させ、またはホルモンバランスを調節して月経・妊娠・分娩が正常に行われるように調整することも含まれます。
このような「肝」の機能低下または過亢進が起きると、血が不足した状態やある場所で停滞してしまう状態を引き起こします。それは、月経不順や子宮内膜症・子宮および卵巣の妊娠力の低下につながります。また「肝」は精神的・身体的ストレスの影響を受けやすく、自律神経の過緊張を生させ、造精や精子の運動率低下に大きな影響をもたらします。

<「腎」と「肝」との関係>
東洋医学では「腎」と「肝」との関係は密接と言われており、両者の症状は同時にあらわれることが多く、「肝腎同源」ともいわれています。
「肝腎同源」は、女性の妊娠過程においてのホルモンバランスと自律神経系の関係を示しており、特に重要な関係となっています。

 

 

③不妊症の鍼灸治療症例

30代女性

現在不妊治療中で人工授精を行っている。原因は不明だがもともと卵子の量が少ないと医師から言われている。仕事が忙しく、運動不足や寝不足で身体の冷えやむくみ症状も強く、腰の痛みと時々下肢の痺れがある。

治療方針
まず自律神経測定器で自律神経のバランスを測定していきました。副交感神経が過亢進していたため、ホルモンバランスを整えるという観点から、まず自律神経のバランスを整える治療を行っていきました。同時に鍼と温灸器、灸を用いて下腹部を温め、ホルモンバランスを整える治療を行いました。その後うつ伏せで下肢のマッサージと冷えと浮腫みに対応する経穴に鍼と灸でアプローチし、仙骨部周囲の経穴に鍼と通電を行う事で、骨盤内の血流量を増加させる治療を行いました。下半身が全体的に冷えており筋肉の硬さが非常に強い状態で、関節の可動域制限が強かったため股関節と腰部のストレッチも行いました。

治療経過

◇1回目◇
まだまだむくみと冷えは強いが、治療後よく眠れたとの事。腰痛も少し軽減。

◇2回目◇
浮腫みは少し軽減した感覚はあるが、冷えがまだ取れない。腰痛は疲労が溜まると感じるが今は感じない。人工授精四回目を行ったが着床認められず。

◇3回目◇
足先の冷えは少しとれたが、医師から適度に運動した方が良いとの指示を受けたため、意識して歩くようにしているのだが少し歩き過ぎてしまったため下肢が筋肉痛。むくみは少し感じるが前ほど気にならない。

◇4回目◇
むくみが気にならなくなってきた。冷えも以前のように強くは無いがまだ感じるとの事。
人工授精を来週行う。

◇5回目◇
人工授精五回目行ったが着床認められなかった。下肢の循環は良くなっているように感じる。冷えと浮腫みも最初よりも半分ぐらいに軽減した感覚はある。

◇6回目◇
来週もう一度人工授精行う。それまでに体の状態を万全にしておきたいとの事。
体の調子は良いが少しむくみはある。

◇7回目◇
六回目の人工授精で着床成功。身体の状態も最初と比べると良くなっていると感じる。慢性の腰痛が軽減され、下肢の痺れもたまにしか出現しなくなった。下肢のむくみ、冷えは疲労が溜まると感じるが日常的に感じることは無くなった。

 

④不妊症とは

不妊とは、生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間性生活を行っているのにもかかわらず、妊娠しない場合をいいます。その一定期間については、アメリカや日本とは相違があり、日本では2年とされていますが、アメリカでは1年です。
女性・男性ともに年齢を重ねるに従って妊娠する確率が低下していきます。25歳以下の女性が妊娠するまでに要する期間が平均2~3カ月なのに対し、35歳以上の女性の場合は平均6カ月以上かかると言われています。
ある統計によると、生殖年齢の男女が避妊せずに性生活をおくった場合、一年で80%、二年で90%のカップルが妊娠するという結果が出ており、約10%のカップルが何らかの原因で不妊に悩んでいるとされているのです。
女性の社会進出や晩婚化、社会のストレス過多などにより不妊は現在でも増加傾向にあり、約100万組以上のカップルが不妊で悩まされているといわれています。
そういった状況下で早急に原因を検査することは重要なことであり、一年妊娠しなければ、病院へ行くタイミングの目安となるでしょう。

従来、不妊は女性側に原因があると考えられており家族から冷たい目で見られるなど、女性にとってとてもつらい思いをしてきましたが、現在では不妊の約半数は男性にも原因があるとされており、男性不妊という言葉も広く知れ渡ってきました。
WHOによる不妊の原因調査によると、女性のみの原因41%、男性原因のみ24%、男女に原因あり24%、原因不明11%という調査結果が出ています。

 

⑤妊娠するしくみ

妊娠しやすい性交のタイミングは、女性の生理周期によって決まっており、妊娠するしくみを知るということは、妊娠する確率をあげるためにとても重要なことでもあります。

女性の体は、初潮を迎えてから排卵と月経とを繰り返し妊娠に備えています。女性の卵子はすでに胎児の時から決まっており、それ以降増えることはなく、減っていく一方です。
月経が始まる頃に約20個の卵子からただ一つだけ卵子が選ばれ、排卵を迎えるまでに成熟していきます。この期間は個人差があり、もし低温期が長い場合はゆっくり成熟していることです。
そして、排卵を促す黄体化ホルモンが脳下垂体から大量に分泌され排卵がおこります。

 

卵巣から出た卵子は卵管へ移動し、受精が行われる卵管膨大部という場所に向かいます。
一方、射精された精子は子宮腔を通過し、卵管へと進出してきます。受精の行われる卵管膨大部にたどり着くまでに精子の数は100~200万分の1までに減少し、さらにその中で1個の精子だけが卵子と受精します。射精された精子は卵管内で4~7日くらい寿命があるといわれていますが、排卵された卵子は1日しか寿命がありません。しかも近年では、精子の数や運動率が低下しており、妊娠するためには性交のタイミングがとても重要となってきます。

また、卵子は年齢とともにダメージを受けて行き、体は健康そうに見えても卵子は老化しています。年とともに卵子の機能は低下しいき、一人目はすんなり妊娠したのに二人目の子供をもうけられないというのはこういった原因があるといわれてます。

よって10代後半~30代前半までが妊娠・出産の適齢期であり、40代になると能力は著しく低下し、50代以上ではほぼゼロに近くなり、50代以上の妊娠は非常に稀になるのです。

 

 

⑥不妊の原因(女性)

妊娠するためには、排卵・受精・着床と多くの行程をクリアしていかなければなりません。どこに不具合があっても妊娠することはできず、原因は多岐にわたります。
女性側に不妊の原因がある場合、子宮や卵巣など様々なことが考えられますが、複雑に絡み合い不妊を引き起こしている場合が少なくありません。

<排卵障害>
排卵障害とは、排卵が起こらないあるいは排卵が遅い状態のことをいいます。排卵障害は、不妊原因の15%をも占めるといわれています。
・視床下部や脳下垂体性による排卵障害
視床下部や脳下垂体に何らかの原因があり、卵子を成熟させるホルモン(卵胞刺激ホルモン)や排卵を促すホルモン(黄体化ホルモン)などが異常をきたし、排卵が起こりにくくなります。
その大きな原因が過度なストレスです。現代特有の社会のストレスやなかなか妊娠できないストレスまたはパートナーが不妊に無頓着という不満からくるストレスなど複雑です。そういったストレスを受けると特に視床下部というホルモン指令部に影響を与えます。視床下部はホルモン指令部の役割の他に自律神経の中枢でもあります。よって強いストレスを受けて自律神経が乱れた状態だとホルモンバランスの異常をも引き起こします。
ストレスによって月経リズムが崩れるのもこういった原因があるのです。

・高プロラクチン血症
乳汁を分泌するプロラクチンというホルモンがあります。その値が高くなると排卵を抑制することがあります。本来は、産後に多く分泌されて授乳中に次の妊娠を起こさせないようにするために排卵を抑制する役割があります。
胃潰瘍や心療内科系の薬の副作用として高プロラクチン血症となることもありますが、時間帯によって変化するホルモンであることから強いストレス不規則な睡眠冷えなどが関与している可能性があります。

 

多のう胞性卵巣症候群
卵巣周辺に多くののう胞が付着して卵胞が大きくなるに従って排卵しづらくなります。
原因は現代医学でも特定できていませんが、血中のホルモン値が高くなり、男性ホルモンの値も高くなるのが特徴で、ひげが生えたり、すねなどの毛が濃くなるといった男性徴候がみられるたり、肥満となることも多いようです。

 

・早発卵巣不全
ホルモンバランスが原因で排卵が起こらないのではなく、40歳よりも前に排卵すべき卵子がなくなってしまった状態をいいます。

 

<卵管障害>
卵管は卵巣と子宮をつなぐとても重要な器官です。射精された精子が通る部分でもあり、受精された受精卵が子宮に移動するために通過する部分です。この部分が閉塞すると精子や受精卵が通過出来ないため妊娠ができません。また、卵管の出口である卵管采が癒着すると、排卵された卵子がうまく卵管膨大部に移動できません。

・クラミジアなどの感染症
クラミジアや淋病などの感染症は、卵管に炎症を起こして卵管を狭くして通過させにくくします。

・先天性卵管障害
子宮や卵管の先天的な異常で構造的な障害が生じて卵管が閉塞することがあります。

 

 

<着床障害>
受精された受精卵は、卵管を通って子宮内に入り込み、受精卵は、子宮内膜としっかりとつながります。これを着床といい、これではれて妊娠成立となります。
この着床に原因があると妊娠できません。

・器質的着床障害
子宮内に腫瘍ポリープができているとその大きさや位置によって着床しづらくなります。子宮筋腫や先天的な子宮奇形などが知られています。

・ホルモンの問題による着床障害
厚くなった子宮内膜は、卵巣内の黄体から分泌される黄体ホルモンにより着床しやすい状態へ準備されます。しかしこの黄体の機能がうまく働かず、黄体ホルモンが十分に分泌されないと子宮内膜が準備不足となります。これを黄体機能不全といい、排卵日から次の月経までの日数が10日以下の場合に判断されます。

 

 

<抗精子抗体>
女性にとって精子は異物ですが、通常は精子に対する抗体がつくられることはありません。しかし、まれに精子に対する抗体ができてしまい、射精された精子が子宮に入ろうとしても抗体に攻撃されてしまい、動けなくなって受精が起こることがありません。

子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内腔しか存在しない子宮内膜が子宮内膜層以外の骨盤内臓器で増殖することをいいます。好発部位として卵巣、卵管、腹膜、直腸、膀胱などがあります。
主な症状は、月経時痛で子宮内膜症患者の約9割に認められる症状です。子宮内膜ができる場所によって症状は異なり、卵管采周辺にできると卵子の卵管内への取り込みがうまくできなかったり、卵巣にできると卵巣内に血液が溜まってチョコレートのう腫ができます。
30~50%の方に不妊が見られます。

 

⑦不妊の原因(男性)

以前は、不妊の原因が女性側にあると考えられていましたが、現在では約半数は男性側にも原因があるといわれています。不妊で悩んでいるカップルは、男性も検査を受け原因を明らかにする必要があるかもしれません。
その原因は、精子がつくられる過程で何らかの問題が生じている場合や精子を運ぶ個所に問題がある場合またはうまく性交できない勃起障害なども近年では増えてきています。

<造精機能障害>
精子をつくる機能がうまく機能せずに十分な精子がつくられない状態をいいます。原因としておたふくかぜの罹ったことにより精巣炎が起こって精子をつくる組織に影響を及ぼす場合や染色体及び遺伝子に問題があり先天的に精子をつくる機能に影響がある場合などがあります。
造精機能障害は、男性不妊の9割以上も占めているといわれており、精子の数が少なかったり精子の運動率の低下または重症となると全く精子がつくられない場合もあるのです。
近年では、食生活や生活環境の変化から成人男性の精子数が減少しているという研究結果がでており、運動率も低下してきています。また寝不足や過労が続いた状態で精液検査をすると結果は悪くなります。
よって現代特有のストレスは、精子をつくる機能に影響を与えて男性不妊の原因になるといえます。

 

<精路通過障害>
精子を運ぶ精管が部分的に欠けていたり、狭くなって詰まっていると精子が正常に通過することができず、うまく射精ができません。原因は、先天的に精管に異常がある場合や炎症によって精管が閉塞する場合などがあります。

 

⑧妊娠しやすい体づくり

妊娠しやすい体づくりをするためには、生活習慣の見直しがとても重要です。

バランスの良い食事と同じような時間帯に食事を摂る、有酸素運動を中心とした運動習慣、十分な睡眠が特に重要です。

その他、卵巣機能は血行不良によって妊娠機能の低下に繋がりかねませんので下腹部が冷えないように対応することも必要です。就寝の際に腹巻をする・日中は腹部をホッカイロで温めることも有効な手段です。

ストレスのよって自律神経が乱れてしまうと血流状態もわるくなってしまうためストレスによる自律神経の乱れも緩和させることが妊娠しやすい体づくりには重要です。

具体的には、趣味の時間をつくることや有酸素運動を中心とした運動習慣などが挙げられます。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

アキレス腱炎の鍼灸治療

月曜日, 5月 27th, 2019

 

①アキレス腱・周囲炎に対する当院の鍼灸治療

当院のアキレス腱炎・周囲炎に対する施術は、アキレス腱周囲のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血流改善・鎮痛作用を促します。腫れのひどい場合は、まずその腫れを引かすことを第一に考え、お灸なども施していきます。

アキレス腱炎・周囲炎は五臓六腑の「」と「」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことやアキレス腱の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要があります。

当院で施術させていただいても変わらずにランニングなどのトレーニングをしていては、正直改善は見込めません。当院では、どういったことに注意すればよいのかといった生活指導なども行い、早期回復を目指します。

②アキレス腱炎・周囲炎の中医学的考え

東洋医学ではアキレス腱炎は、アキレス腱周囲の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みや腫れの原因となると考えられています。寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間体力仕事をした時などに気血は滞り、それがアキレス腱周囲であった場合にアキレス腱炎・周囲炎を発症する可能性が高くなります。

 

 

③症例

・主訴
50代 男性 アキレス腱炎

・症状
一年ほど前ゴルフのコースを回っていた時に左足首からふくらはぎに違和感を感じた。
痛みはあまりなく歩けないほどではないので、我慢して生活をしていたら徐々に痛みが悪化してきた。
整形外科を受診したところアキレス腱炎と診断され、湿布薬と消炎鎮痛剤が処方されたが、変化なかった。
自分で靴底を高くして対策をしたが、痛みがさらに強くなり当院に来院されました。

・当院の治療
左の足首は、右の足首と比べて熱感があり、炎症が続いているようでした。アキレス腱の一部は硬く一部隆起しているような状態でした。
まずは、炎症と痛みを緩和する目的で鍼灸治療を施しました。
また、足首の不調で歩き方のバランスが崩れてしまったせいか腰部の筋肉が硬くなっていたので、あわせて腰部をほぐすような施術を行いました。

・経過
◇1回目◇
治療後、アキレス腱の痛みは少し軽減して歩くのも楽になったが、次の朝にはまた痛みが戻っていた。

 

◇2~5回目◇
鍼灸治療に鎮痛効果が継続する時間が段々と伸びてきた。

 

◇6~8回目◇
アキレス腱に痛みを感じることはほぼなくなったが、ためにふとした時に痛みが走る時がある。アキレス腱の隆起はなくなり、硬さも取れてきた

◇9~10回目◇
痛みもあまり感じなく、ゴルフのコースもまわることができた。

・考察
体重も重く、膝や足首にかかる負担は相当大きいものと考えられた。最初の2~3週間は、炎症をとるため運動を控えていただき、食事の方も過食にならないように気をつけてもらいました。アキレス腱炎でご来院される方は、ランナーの方など比較的オーバーユースの方が多いですが、中年の方に関しては、体重増加により足首にかかる負担が増えていってしまったことも一つの大きな要因です。
日常生活では、アキレス腱に負担をかけ過ぎないようにすることや下肢のストレッチ、食事制限がとても重要になってきます。

 

④症例2

20代 男性

週末に仲間内でフットサルを行うことが日課となっているが、1か月ほど前からフットサル中にふくらはぎからアキレス腱にかけて違和感を感じることがあった。フットサルは体育館で行う時も屋外の人工芝で行うこともあり、違和感が出て2週間後の体育館でのフットサル中にアキレス腱の痛みを感じるようになってしまった。
インターネットで運動の前後でしっかりストレッチをした方が良いということが書いてあったためしっかりと運動の前にはストレッチを行うようにしたが、あまり改善が見られないということで当院にご来院されました。今は、週末のフットサルは控えているとのこと

治療
腰部の硬さやもも裏のはりなども感じられたため、そちらのほうから筋肉を緩ますような鍼灸・手技の施術を行ってからアキレス腱周りの施術に入りました。

◇1回目◇
治療終了後、腰やもも裏は筋肉の緩みはあきらかであったがアキレス腱の痛みは特に変わらず

◇2~5回目◇
アキレス腱の痛みが段々と軽減してきたとのこと。

◇6回目◇
だいぶ足の調子が良くなってきたので週末にフットサルを軽くおこなったが痛みは感じなかった。人工芝で比較的フカフカしている地面だとフットサルを行えるが体育館ではまだ怖さがあるの事

◇7回目◇
体育館でフットサルを行ってみたが痛みは出なかった。

 

⑤アキレス腱炎・周囲炎とは?

アキレス腱炎とはアキレス腱自体が微細な部分断裂などによって炎症を起こした状態でアキレス腱周囲炎とは、アキレス腱を包む結合組織であるパラテノンという物質の炎症です。アキレス腱は、膝裏の内側・外側に2頭もち合わせて「ふくらはぎ」をつくる腓腹筋と腓腹筋の下にある平らなヒラメ筋の両筋を合してつくられています。
アキレス腱は、丈夫でほとんど弾力性がなく、ふくらはぎの筋肉の力をかかとに伝える役割をしており、足関節後方で皮膚を保っていることが容易に触知できます。
歩行、走行、跳躍などの際の足関節底屈に大きな役割を果たす他に停止時やジャンプの着地時にも大きな張力が働く部分です。
アキレス腱は筋肉と比べると血液の流れが悪いところで、老化も進みやすいため、体重が急に増えたり、運動しすぎたりして過度に負担がかかると炎症を起こして痛みが出やすい部分でもあります。

アキレス腱炎・周囲炎の症状として主に疼痛腫れ軋轢音があります。

ⅰ)疼痛
アキレス腱のかかとへの停止部よりも内くるぶしのやや上の部分に多く疼痛が発症します。疼痛が主症状で動き始めの時に最もひどく痛みます。
初期の段階では、運動開始時の疼痛が強いにもかかわらず、我慢して運動を続行していると次第に痛みが軽減してくる特徴があります。痛みを我慢して無理に運動し続けるとアキレス腱はさらに硬くなり、瘢痕組織で占められ、運動している間も絶えず痛むようになります。

ⅱ)腫れ
疼痛が強い場合では、疼痛部に一致して紡錘状のアキレス腱の腫れが見られることがあります。目で見て容易に判断でき、腫れている部分には局所熱感を伴う事が多いです。

ⅲ)軋轢音
アキレス腱周囲の炎症が顕著な場合には、足首を曲げ伸ばしすることによってギシギシするような軋轢音を聞くことができます。

※アキレス腱断裂となる前兆も
健康志向の高まりにより、マラソンブームなど特に中高年となってから運動をはじめるという方が増えております。冬のマラソンブームとなると当院にも初めてフルマラソンを走って膝やふくらはぎなど下腿の痛みなどでご来院される30~50代の方が多くなります。その中には、しっかりと準備をせずにフルマラソンに挑まれる方も多くいらっしゃいます。そんな時に注意しなければならないのがアキレス腱の断裂です。アキレス腱が断裂してしまうと完治するまで3カ月以上もかかってしまいます。

その間は、足首などをギプス固定されるため歩くこともままになりません。
アキレス腱断裂は、若い方にも起こりうるものですが、若い方がなるアキレス腱断裂が、運動のし過ぎいわゆるオーバーユースに対して中高年の方がなるアキレス腱断裂は腱の老化が原因となる場合が多いです。30代を過ぎると特に筋肉や腱も老化します。腱はコラーゲン線維からできているため段々とその弾力性や柔軟性が損なわれてしまうのです。

腱がしなやかであれば圧力を分散させることが可能ですが、硬くなってしまっているため圧力が集中して断裂しやすくなってしまうのです。

アキレス腱断裂の前には、アキレス腱炎が前兆となる場合が多く、アキレス腱に痛みや違和感を感じることがあります。そのような場合は一旦運動を休むか負荷を小さくしてしっかりと治癒させることが重要です。

 

⑥アキレス腱炎・周囲炎の一般的治療

急性期には安静休養を行い、保存療法を主とします。
消炎鎮痛剤の外用や内服はある程度有効であり、疼痛がひどい場合には腱周囲組織にステロイ注射を行う場合があります。またかかとの部分を高くする足底板を使用して腱への伸展力を軽減することや腱の捻じれを抑制する内側ソールウェッジ、テーピングも有効と考えられています。
疼痛軽減後もウォーミングアップ、クールダウン時のストレッチングアイシングなどを行い、局所の炎症を予防する必要があります。

 

アキレス腱炎・周囲炎にならないために

 

アキレス腱炎・周囲炎を予防するためには、運動前のストレッチが特に重要です。

アキレス腱を伸ばすストレッチ、足を前後に開脚して後ろに引いた膝を伸ばした状態でアキレス腱をゆっくりと伸ばすストレッチ法や足首周りのストレッチも行うようにしましょう。

足首が硬い状態ですと地面からの負荷を足首で散らすことができずに直にアキレス腱に負担が大きくかかってしまいます。運動前に足首を回したり、足首を前後・内側・外側にゆっくりと伸ばして足首のストレッチを行いましょう。

また、運動も徐々に強度を上げていくことがアキレス腱炎・周囲炎の予防に繋がります。例えば、運動開始直後から坂道ダッシュや高くジャンプするなどアキレス腱に負担の大きくかかる運動は避けて徐々に運動強度を上げるように意識してください。

その他、普段運動不足の方はお風呂上りなど体が暖まった状態のときにアキレス腱を伸ばすストレッチを日ごろから行っておくとアキレス腱の柔軟性が保たれてアキレス腱炎・周囲炎を予防することができます。

あとは、運動する際の靴が大きかったりするとアキレス腱に負担がかかりやすかったり、かかとのすり減りで思いがけずにアキレス腱に負担がかかることがありますので運動靴にも注意するようにしましょう。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

疲労回復に効果のある鍼灸治療

日曜日, 5月 26th, 2019

年齢を重ねていくごとに仕事の疲れが取れない・育児や家事に追われて日に日に疲れが溜まってしまうそのようなお悩みで鍼灸治療を受けられる方も増えています。

身体の疲労感は、身体が送っているSOSです。体は私たちに休養を取りなさいと勧めてくれているのです。しかし、その疲れを放っておくとやがてツケとなって体に跳ね返ってきます。

一定量の疲労感が溜まって許容量をオーバーすると様々な疾患へとつながる危険性があるのです。

 

疲労の種類

体の疲れ・疲労と言いましても様々な種類があります。単なる疲労感から疾患に繋がるサインの場合もあります。

慢性疲労

一般的に6ヶ月以上続く疲労感を慢性疲労

炎症性疾患による疲労

・自己免疫疾患(膠原病、血管炎など)・結晶起因性疾患(痛風、偽痛風など)

 

更年期障害による疲労

更年期を迎えると体内の卵子の数が極端に減り、急激にエストロゲン(卵巣から分泌される女性ホルモンの一つ)の分泌が急激に低下します。
エストロゲンの分泌は脳の視床下部という自律神経や体温調節などを行っている部位がコントロールしていますが、エストロゲンが低下すると視床下部は卵巣にもっと女性ホルモンを出すようにシグナルを送ります。しかしその際シグナルが不要な興奮を起こしてしまうことで、視床下部が混乱を起こし自律神経の乱れを引き起こすため、神経の調節不良や心身の不調が起こりやすい状態になるのです。
そのような症状は多かれ少なかれ生じますが、特に日常生活に支障をきたす場合を更年期障害と呼びます。

更年期障害は人によって症状が様々ですが、主な症状として肩こり、倦怠感、疲労感、のぼせ、ほてり、動悸、息切れ、腹痛、腰痛、不眠、イライラ、うつ状態、不安感、めまいなどが挙げられます。

更年期障害の鍼灸治療について詳しくはこちら←

甲状腺異常による疲労

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・甲状腺機能低下症(橋本病)など

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、甲状腺ホルモンが異常に分泌されてしまい、その結果として新陳代謝が上がるので激しいやせ、激しい発汗、イライラ、動悸、だるさ、眼の突出などの症状が現れます。

一方、甲状腺機能低下症(橋本病)では、甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまい、その結果として新陳代謝が落ちるので皮膚のかさつき、体重増加、寒がり、だるさ、物忘れ、集中力のなさ、うつ症状、抜け毛などの症状が現れます。

甲状腺機能異常の鍼灸治療について詳しくはこちら←

心疾患や貧血による疲労

・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など

虚血性心疾患は心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を送り届けている冠状動脈という血管の動脈硬化から起こります。

・心不全

心不全とは心臓のポンプの働きが低下して全身の臓器に必要な血液量を送れなくなった状態をいいます。心不全の症状として動悸や息切れ、呼吸困難、疲労感、むくみなどが挙げられます。

・貧血

貧血は赤血球数の低下、またはヘモグロビンの値の低下を来した状態で血液が不足した状態の総称です。貧血に陥ると酸素が体にうまく行き渡りにくくため新陳代謝が低下し結果として倦怠感や疲労感を引き起こします。

貧血の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

栄養不足による疲労

食事をしっかりとれずに栄養が摂取できていない状態ですと、疲労感が出やすい状態となります。

 

精神疾患による疲労

うつ病や自律神経失調症などの精神疾患では、疲労感を感じやすく、動くのも億劫な状態となることがあります。

うつ病の鍼灸治療ついて詳しくはこちら←
自律神経失調の鍼灸治療について詳しくはこちら←

などです。

このように疲労感と言いましても様々な種類があるためなかなか疲労が取れない場合には一度病院を受診して検査を受けてみることをおすすめします。

特にしっかりと休息・睡眠をとったのに疲労感が取れない場合は何らかの病気が隠れている場合もあります。

 

自律神経の日内変動が起こす疲労

 

自律神経は、基本的に日中活動的な時間帯の朝から夕方までの時間帯では交感神経の活動が高くなり、副交感神経の活動は抑えられています。逆に夕方から夜にかけては副交感神経の活動が高まり、交感神経の活動が抑えられるのが正常な活動となります。

 

疲労回復に効果のある鍼灸治療

疲労回復に対する鍼灸治療では、自律神経の状態を整える自律神経調整治療を中心に東洋医学の『腎』を整える施術も行っていきます。

その他、疲労で出ている症状、首肩こりや腰痛、下肢の痛みやコリに対しても施術を行っていきます。

疲労回復の鍼治療

 

 

疲労回復には日常生活を見直す事も重要です!

 

適度な運動をしましょう

身体を動かすことで全身の血行が良くなり、自律神経のバランスも整いやすくなることから疲労回復に効果的な場合があります。特にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効です。

バランス良い食事と十分な睡眠をとりましょう

バランスの良い栄養の摂取と十分な睡眠は疲労回復の基本です。偏った栄養の食事は避けて肉類・野菜類・炭水化物類とバランスよく食べるようにしてなるべく食事する時間も毎日合わせると良いです。

休みの日でも早寝早起きの習慣

仕事がある日とお休みの日とで就寝・起床時間が著しく異なってしまいますと自律神経のバランスが崩れやすく、疲れが溜まりやすい体の状態となってしまいます。
自律神経のバランスを崩さないためにもお休みの日でも仕事のある日と同じように早寝早起きを心がけましょう。

夜間頻尿の鍼灸治療

水曜日, 5月 22nd, 2019

夜間頻尿に対する当院の鍼灸治療

当院の頻尿に対する治療の目的は、第一に膀胱・腎に関するツボに鍼やお灸で気血の流れをよくします

夜間頻尿の鍼灸治療

 

 

また湿熱の邪気によって頻尿が引き起こされている場合は、それらを体外に出す治療が必要になってきます。また腎精を補う治療も行います。

頻尿は部分的に原因がある場合ばかりではなく、全身性の衰えや気血の滞りが原因の場合もあるので全身を診て治療していきます。それは東洋医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。頻尿の鍼灸治療は中国では有効とされています。

また、過度なストレスによる精神的なストレスも頻尿と深いかかわりがあると考えられます。普段でも緊張する場面、重要な会議の前やプレゼンテーションをする前などでトイレの回数が増えることがあります。それは、緊張状態により自律神経の状態が交感神経が優位の状態となっているからです。

日常生活でも交感神経が優位の状態が長く続いてしまうとトイレに行く回数が増えてしまうということです。そこで当院では、自律神経の状態を自律神経測定器で計測していき施術をしていきます。特に夜間頻尿によって睡眠時間が減っていたり、浅い睡眠となってしまっている場合は悪循環でさらに自律神経のバランスが乱れていることが予想されます。当院では、頻尿に対する施術でも自律神経調整治療で自律神経の状態も整えることも重要だと考えております。

 

また、膀胱も筋肉でできているため冷えている状態ですと筋肉が縮こまりやすくなってしまい、膀胱が蓄えることができる尿の量が減ってしまいます。そこで当院では、下腹部辺りの経穴にお灸をして温めることで膀胱が縮こまってしまう状態を防ぎます。

夜間頻尿に対する腹部のお灸治療

基本的にまず仰向けとなり、自律神経調整治療や下腹部を温めるお灸を施して次にうつ伏せとなり、背中にある東洋医学の「腎」や「膀胱」に関する経穴を刺激していきます。
当院の頻尿の治療目的は、トイレに行く回数を正常に戻して、日常生活への負担を少しでも減らすことです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも頻尿が回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。

夜間頻尿に対する下肢の鍼灸治療

 

 

頻尿の東洋医学的考え

東洋医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。

ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。

ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。

 

症例

 

70代 男性

一晩に2回から多いと4回も起きてトイレに行くとのこと。病院で検査したが前立腺肥大など器質的な原因は見つからずに何か治す方法はないかと鍼灸に興味を持ちご来院されました。

日中起きている時間も頻繁にトイレに行く。だいたい夜は11時に寝て朝6時に起床。よく夜中2時と4時ごろにトイレに行きたくなる。夜中起きてしまうため睡眠の質も低下。日中頭がさえないことも多い

治療

自律神経測定器で初診時に自律神経の状態を測定してそれを踏まえて治療を行っていきました。

膀胱経のツボやお腹周りの自律神経調整と頻尿に効果的とされるツボを用いて治療していきました。うつ伏せ時には、背部兪穴の膀胱兪と腎兪、肝兪、脾兪などを使用、下肢後面の膀胱経のツボも多く使用して治療していきました。

また、お腹が冷えてしまうと膀胱の容量が小さくなりがちなので緩い腹巻を寝る際につけてお腹をできるだけ冷やさないように指導しました。

5回目の治療後辺りから徐々に夜中トイレに行く回数が減り始め睡眠の質も向上していきました。
10回目の治療後には、一回も夜中トイレに行かない日も出てきました。

 

 

 

夜間頻尿とは


頻尿とは正常よりもトイレが近く尿の回数が多いことをいいます。膀胱の容量は成人で700mlの尿を蓄えることができ、排尿回数は4~7回、排尿量は1000ml~2000mlが正常とされています。
しかし、水を大量に飲めばそれだけトイレの回数も量も増えていきます。さらに老人になれば、腎臓の尿濃縮力が低下するので尿の回数は多くなりがちで特に夜間にトイレに行く回数が増えてきます。

よって頻尿は自分の普段の状態と比べて回数が多いか少ないかで判断しますが、目安として昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上合計で8~10回以上トイレに行く状態は頻尿といえるでしょう。厳密にいうと尿量も排尿回数も多い場合は頻尿ではなく多尿と言われ、尿崩症糖尿病慢性腎不全などが疑われます。頻尿というのは、尿量自体は普通ですが、排尿回数が増える場合です。頻尿の症状に加え、残尿感尿意亢進(尿が少し溜まってもトイレに行きたくなる)などが表れる場合もあります。

 

 

頻尿の原因

頻尿の起こる原因として膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に原因がある場合と精神的ストレスで起こる場合とがあります。尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手掛かりになります。
排尿時に痛み不快感残尿感を伴うようであれば膀胱炎や前立腺炎が疑われます。また中高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出ても少しずつしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。

何らかの精神的な緊張が原因となって頻尿となる場合もあります。これは高齢者には割と少なく、中年から若い人、子供に多い疾患です。

ⅰ)膀胱炎による頻尿

頻尿患者数で一番多いのが膀胱炎です。頻尿以外に排尿時の痛み残尿感血尿が特徴的です。腎臓で造られた尿は、膀胱に送られる間にほとんどが再吸収され、尿管を通り、膀胱に蓄えられます。尿を体外に出す際に通る管を尿道といい、男女で著しく異なります。女性の尿道は短く、男性の6分の1程度であるため、体外からの細菌が膀胱に達しやすく女性は膀胱炎を患いやすいといえます。

ⅱ)前立腺肥大症による頻尿

前立腺とは膀胱の出口付近から尿道を取り囲むようにあるクルミ大の実質臓器です。男性にしか存在しません。前立腺は乳白色の液を分泌するが、この液は射精の際に精巣から来た精子を薄めるとともに精子の運動を活発にする役割を果たしています。前立腺は尿道を取り囲むようにあるので前立腺が何らかの原因で肥大すると頻尿(特に夜間頻尿)や尿道を圧迫して尿が少しずつしか出なかったり、排尿しようと構えてから実際に尿が出るまでに時間がかかったりします。

ⅲ)神経性頻尿

誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。神経性頻尿精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や電車などでトイレを我慢した経験をきっかけに尿意に対する恐怖感が植え付けられてしまった結果、何度もトイレに行くようになります。神経性頻尿は比較的女性に多く、頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感や痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが検査しても尿の異常は認められません。

 

頻尿の中医学的考え

 

中医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。

ⅰ)膀胱湿熱

外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。

ⅱ)腎気不固

腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。

眼瞼下垂の鍼灸治療

月曜日, 5月 20th, 2019

①眼瞼下垂に対する鍼灸治療

当院の眼瞼下垂に対する施術は、第一に目の周辺のツボにハリやお灸を施すことにより鍼目周囲の血行状態をよくします。また眼瞼下垂は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。先天性眼瞼下垂の場合は腎に関する経穴に鍼をさして腎気を補います

 

眼瞼下垂の方は、全身の倦怠感や不安感・頭痛・肩こりを感じている方が少なくありません。当院では、東洋医学の診断法に基づき、それらを解消するように全身を施術致します。

首肩の鍼灸治療

また、眼瞼下垂は自律神経系の活動とも関連が深いため、当院では自律神経測定器を用いて自律神経の状態を知った上で施術にあたります。それは、上記でもありますが、瞼をあげる筋肉には、動眼神経支配の筋肉と自律神経支配の神経があるからです。この自律神経支配であるミュラー筋は眼瞼を上げる上眼瞼挙筋の補助的な役割がありますが、自律神経が著しく乱れているうつ病や自律神経失調症と診断を受けている方でも瞼が下がっているという方が多くいらっしゃいます。

うつ病や自律神経失調症などの方でも自律神経を徐々に整えていくことで瞼の下がりが改善されたり、視界が明るくなったといわれる方がいらっしゃいます。眼瞼下垂の方でも自律神経を測定して今の状態を正確に把握して、目ばかりでなく体の状態を整えることで他にはない施術効果が期待できるのです。

その他、眼瞼下垂の方には、夕方以降になるとまぶたの垂れ下がりが気になるという方が多くいらっしゃいます。その方々は、パソコン作業などの細かい作業に従事されている方が多く、常に目の周りの筋肉が緊張状態にあり、目の周囲の筋肉の疲労から眼瞼下垂が起きています。

そのような方の場合は、仕事終わりなど目の周囲の疲労が溜まっている状態の時に施術を受けて頂くことがベストです。疲労が溜まっている状態で受けて頂くと鍼灸治療の効果がより実感でき、疲労が明日に持ち越されないことで症状の持続的な緩和がされやすくなります。

 

眼瞼下垂の鍼灸治療

 

②眼瞼下垂についての東洋医学的考え

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
そのほか肝は運動神経系の調節に関係があると考えられています。眼瞼下垂は、眼瞼挙筋の瞼の開閉のコントロール異常と考えられるので、そのことからも眼瞼下垂は肝に深く関係していることがわかります。
また、肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、それらの機能低下は眼瞼下垂を引き起こすとも考えられます。先天性眼瞼下垂は五臓六腑の腎と深く関係しています。

 

③眼瞼下垂の鍼灸治療症例

 

50代 女性

当院にご来院される一年ほど前から周囲の人からいつも眠たそうな目をしているということでまぶたの重みを意識し始めた。長時間パソコンやスマホをすると、特に顕著に感じるようになり病院を受診した。検査の結果、はっきりとした原因はわからなかった。医者からは手術を勧められたが、手術による副作用もあることからご本人としては、手術せずに治したいとのことで当院のご来院されました。

 

当院の治療

眼瞼下垂は、日々の生活の中に原因のある場合も多く、時間をかけて問診させていただく必要があります。この方の場合、下垂が朝はまだ比較的良いが、夕方にしたがってひどくなるとのことでした。パソコンの仕事に加えて、スマホ―トフォンもよく見ることから眼の酷使も考えられました。また、メークをとる時にまぶたを強くこすってしまうこともあるとのことで、軽く拭く程度にしていただきました。

次に自律神経測定器で自律神経の状態を把握した上で治療に移りました。午前11時ごろに計測したのにもかかわらず副交感神経の活動が高い状態で自律神経の乱れがありました。夜はなかなか寝付けられないこともあり、夜に交感神経の活動が高くなっている可能性もありました。

治療方針としまして

①全身の調整治療で自律神経を整える

②首肩の筋緊張を緩和させる

③目の周りの鍼灸施術により、疲労の緩和・血流改善

この3点を重点的に行いました。

治療経過

◇1回目◇
眼の感覚はあまり変化がみられなかったが、夜ぐっすり眠ることができた。

◇2回目◇
治療後、眼の疲れを感じにくくなった。

◇3回目◇
前回治療後、3日経つとまた目の疲れを感じた。

◇4~6回目◇
以前は夕方4時ごろになるとまぶたの重みを顕著に感じていたが、今は夜になると少し感じる程度になってきた

◇7~9回目◇
眼の疲れを感じにくくなり、眼の重たさもあまり感じにくくなった。仕事が忙しくなると夜に感じる時もある。

◇10回目◇
周囲の人から眠たそうに見えると言われなくなった。目を酷使しないように心がけているとほぼまぶたの重み・目の開けづらさを感じない

 

症例②

40代女性

当院にご来院二か月ほど前から目の重たさを感じるようになった。資格試験のため長時間勉強していて目が疲れてくると特に感じる。症状がひどくなると、目の周りや奥に痛みを感じるようになり頭痛や肩こりの症状も頻繁に出るようになってしまうとのこと。

市販の目の疲れに効くとされていた目薬を点眼したがあまり効果が感じられずに当院を受診された。

当院の治療
まだ一度も病院を受診されていないということで、念のためにかかりつけの病院で検査などをしていただきました。目の重たさや目の奥の痛み・頭痛は、脳の病気など重い病気の可能性もあるのでそれらを発見できないのが一番怖いことです。この患者さんの場合は特にそういった原因が検査をしても見つからなかったため、当院での治療を開始しました。

問診・自律神経測定器で測定したうえで上記の症例①の方と同じ治療方針で治療していきました。

◇1回目◇
治療後、目の周りがすっきりした感じ・目の前が明るくなった感じがした。

◇2回目◇
目の奥の痛み・頭痛が軽減して日常的に気になることが少なくなった。

◇3回目◇
目の重たさが消えて体も軽くなった感じがする

 

集中的に3日おきに治療を行い症状がだいぶ軽減したとのことで生活上の注意を気を付けていただき、治療を終了しました。その後、体と目のメンテナンスのため一か月に一回ほど通院されています。

 

症例③

20代 女性

約5年ほど前に二重瞼にする埋没法手術をした後から目が開けにくく、まぶたが重く感じることが出てきた。同時に首肩こりも感じるようになりひどい時は頭痛も出て、日常生活でも辛さを感じるようになった。子供の頃から視力もあまりよくなく、視力0.4程で乱視もあると眼科医から指摘されていた。脳の検査など様々な検査をしたがまぶたの重たさの原因はわからなかった。

最近仕事でもパソコンを使うようになり、さらに目の開けづらさやまぶたの重さを感じるようになってきた。筋肉をほぐしてもらおうとマッサージをうけたが、症状はあまり変わらなかったとのことで当院にご来院された。

当院の治療
触診してみると頸部の生理的な湾曲が少なく、ストレートネックになっていたので、まず頸部周辺の筋肉を緩めていきました。また肩こりもひどいということでお灸などを行い、肩部の疲労も取っていきました。うつ伏せでの施術の次は仰向けでお腹・手足のツボを用いて全体の調整施術と目の周りを中心に治療していきました。目にも程よい熱さのお灸をして血流改善をはかります。

◇1回目◇
治療後、少し全身の気怠さが出たとのことだが、その気怠さが取れたら目もすっきりして以前よりも目を開けやすくなった

◇2回目◇
一週間程は目の調子が良かったがそれ以降は以前ほどではないが目の症状が気になるようになった。特に2回目の施術の時は右目が気になるとのこと

◇3回目◇
仕事が忙しく、パソコンを長時間行っていたため首肩がつらい。治療後軽快。今回は右目は特に気にならない

◇4回目◇
まぶたの重たさやか開けづらさは日常の生活であまり目を酷使しなければ、感じないようになってきた

◇5回目◇
まぶたの重たさや開けづらさは、多少仕事で無理をしても感じないようになった。少し目や身体が疲れてきたなと感じたら、早めに休憩を入れるよう心掛けているとのこと。

 

③眼瞼下垂とは

 

眼瞼下垂とは正面視にて上まぶたが病的に下垂して瞳孔領域まで覆う病態を総称します。眼瞼下垂は、先天性または後天性理由により上眼瞼の機能障害が生じてまぶたが開きにくくなる疾患のひとつです。重度の下垂となると上眼瞼縁が瞳孔中心線より下になって視野がかなり狭くなります。

眼瞼下垂になりますと視界が制限されてしまうため無理に視野を確保しようとします。眉毛を挙上してまぶたを開こうとするため、あるいは下顎を挙上するために頭痛肩こりを併発することがあります。眼瞼挙筋の収縮で目の開閉がコントロールされています。筋肉の動きが弱かったり、ほとんど機能していない状態の多くは先天性眼瞼下垂と呼ばれています。また眼瞼挙筋にはミュラー筋と呼ばれる小さな筋肉が付随しており、上眼瞼挙筋は随意神経である動眼神経支配でミュラー筋は自律神経である交感神経が支配しています。交感神経が緊張することでミュラー筋が縮んで、まぶたを持ち上げる動作の補助をします。動眼神経麻痺について)

眼瞼下垂になると、それまで以上にミュラー筋を収縮させてしまうために、交感神経が常に興奮してしまうことがあります。そのために動悸がしたり、体を支える起立筋が過緊張するため首筋や肩の筋肉が凝ります。
また不安感疲労感を感じやすくなるなど眼瞼下垂になると自律神経失調症状が現れることもあります。

 

眼瞼下垂の鍼灸治療

 

 

眼瞼下垂が自律神経を乱す原因に

前述した通り、まぶたを上げる働きを補助するミュラー筋は交感神経の活動で動いています。年を重ねるとどうしても筋力が低下しますが目の筋肉も例外ではありません。加齢による筋力低下はミュラー筋を過度に緊張させる原因になり、交感神経の過緊張状態を作り出してしまうのです。

すると、高齢者の抑うつ感・不眠・肩こりなどの不定愁訴に繋がります。また、まぶたを上げる筋肉が低下することでおでこにある前頭筋やあごをあげることでそれをカバーしようとするため前頭筋や頸部の筋は物を見るために常に緊張状態となってしまいます。

すると、筋緊張性の頭痛や首の痛みに繋がってしまい、その痛みがさらに自律神経を乱して悪循環に陥ってしまう危険性もあります。その悪循環に陥ってしまうと、治療を開始して治っていく過程も長くなっていってしまいます。早期に治療を開始することが重要なのです。

☑最近まぶたの重みを感じる
☑昔の写真などと見比べても鏡に映った自分の瞼が下がっているように感じる
☑最近、常にまぶたが落ちて眠たそうと言われる
☑おでこに常にしわが寄っていて老けたと言われるようになってしまった。
☑夕方ごろとなると視界が狭くなり、物が見えづらくなった。

 

 

②眼瞼下垂についての種類

 

眼瞼下垂生まれた時から筋肉や神経に何らかの障害を伴った先天性眼瞼下垂と筋肉や皮膚の弛緩によって生じる後天性眼瞼下垂と偽眼瞼下垂に分けることができます。

 

ⅰ)先天性眼瞼下垂

生後一年以内に上眼瞼が垂れ下がった状態が先天性眼瞼下垂です。眼瞼挙筋の形成不全などで起こります。
片眼性のことが多く、遺伝的な問題も指摘されています。眼瞼下垂の約8割は先天性眼瞼下垂で眼瞼挙筋の局部の筋原性発生障害に起因します。先天性眼瞼下垂に合併する斜視は約15%程度と高頻度に発生します。
先天性眼瞼下垂の場合は完全な視野障害を生じることは少ないですが、数日から数週にわたる視野障害がある場合は弱視に至ることがあります。

 

 

ⅱ)後天性眼瞼下垂

後天性眼瞼下垂は筋力がないということでなくて加齢による筋力の低下皮膚の弛緩などでおこります。最近では目を酷使するパソコンの長時間使用などの行為やアトピーなどのアレルギー疾患によってまぶたを擦ったり、過剰なメイクにより目を擦る行為によって著しく皮膚が弛緩してしまいます。
そうすることにより瞼板と挙筋腱膜とがはずれてしまうことによって開瞼状態が悪くなります。しかし体には視野が妨げられると自然に眉を持ち上げたり、顎軽く上げたりしてそれを補おうとする作用が働くため判断が難しくなります。
片側の眼瞼下垂の場合は比較的簡単に判断できますが、両側性の場合で形成的な異常が伴わない場合は判断が困難な場合もあります。

また頭部外傷などで腫瘍ができて動眼神経麻痺が起こることで眼瞼下垂が起こることもあります。

今眼瞼下垂で悩まれている方に多い原因としてコンタクトレンズの着用が挙げられます。コンタクトレンズ特にハードレンズを長時間使っている方に多いのですが、ハードレンズを使っていると眼瞼が上に上がっているとレンズの位置もずれてきてしまいます。またレンズが外れそうになるのを防ぐために眼瞼は下がり気味に自然となってくるのです。さらに、コンタクトレンズの度重なる刺激がまぶたの裏側に炎症を起こしてしまう危険性もあります。この炎症が上眼瞼挙筋に波及してしまうと上眼瞼挙筋は正常に機能するのは難しくなってしまい、眼瞼下垂となってしまうのです。
その他、毎日のコンタクトレンズの着用・取り外し動作によっても眼瞼下垂になってしまうとも言われています。コンタクトレンズの着用・取り外しの際にどうしてもまぶたを上に引っ張り上げます。その動作により上眼瞼挙筋の炎症や微細な断裂が起きる危険性があるのです。
ハードレンズばかりでなく、ソフトレンズの場合でも着用・取り外し動作により眼瞼下垂となってしまったり、目に合わないコンタクトレンズを着用していると瞼裏や上眼瞼挙筋に炎症が起きる危険性もあるので注意が必要です。眼瞼下垂が気になり始めたら眼科医と相談の上、コンタクトレンズの着用を控えた方がいいかと思います。

 

 

ⅲ)偽眼瞼下垂

顔面神経麻痺などによって前頭筋が麻痺すると眉毛が下がって上眼瞼が下垂してみえることがあります。また高齢者の眼瞼はしばしば皮膚弛緩および筋肉や結合組織の脆弱化のために特に弛んだ上眼瞼が重力で垂れ下がるため視野障害、眼瞼下垂、や眼瞼炎を引き起こしやすくなります。

 

眼瞼下垂を悪化させないために

眼瞼下垂が進行して悪化した状態となってしまいますと回復するのに時間がかかったりまたは手術でしか改善しなくなってしまうこともあります。

瞼の垂れ下がりを感じ始めたらすぐにまぶたに刺激を与えない・目を酷使しないなどの生活習慣の見直しが重要です。

 

まぶたへの強い刺激は避ける

眼瞼下垂の原因で最も多いのが、日常的にまぶたに強い刺激を与えてしまってまぶたを上げるのを支える腱膜が伸びてしまうタイプです。
花粉症などで目がかゆい場合に目を強くこすらない、コンタクトレンズを装着する場合強く引っ張らないなどが特に重要です。
その他、女性ではアイメイクを落とす際に強く拭かない・つけまつげを付ける際にも強く引っ張らないなど化粧時には十分に注意する必要があります。

 

目を酷使しない

パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間集中的に診る行為は目の筋肉にとても負担となります。まぶたを上げる筋肉にもそれは例外ではなく、疲労がどんどんと蓄積されていってしまいます。
こまめに目を休める休憩を取って目を数分閉じたり遠くのものにピントを合わせるようにしましょう。

 

十分な睡眠

まぶたを上げる筋肉であるミュラー筋は、自律神経支配の筋肉であり、特に睡眠時間が少ない場合機能不全を起こします。すると上眼瞼挙筋に大きな負担となり、眼瞼下垂を加速させます。

胸鎖乳突筋への鍼治療

金曜日, 5月 17th, 2019

胸鎖乳突筋とは

胸鎖乳突筋とは、耳の後ろの乳様突起と呼ばれる部分から首の側面を通り鎖骨、胸骨にかけて繋がる筋肉で、顔を横に向けた時に浮き出る筋肉です。

首を上下左右に動かす、回す、傾ける動作などに使われます。胸鎖乳突筋の後ろには頸椎から分かれた細い神経が通っており、これらの神経は頚神経や腕神経と呼ばれ後頭部、耳、首、肩や腕、指先の感覚や運動を支配しています。

胸鎖乳突筋は物理的な疲労(頭を支えるなど)以外にも、自律神経の不調や精神的ストレスでも筋肉を緊張させ様々な不調の原因となる筋肉です。

胸鎖乳突筋が緊張すると

・首肩こり
・頭痛
・首や顔のむくみ
・めまい
・耳鳴り
・耳閉感
・不眠症
・動悸
・手の痺れ
・うつ病
・パニック障害
・自律神経失調
・更年期障害

などの様々な症状が現れることがあります。これまでも多くの疾患の元になるのが胸鎖乳突筋です。

胸鎖乳突筋のすぐ下には脳や耳などにつながる血管や腕の方へと伸びる神経・血管が通っているため胸鎖乳突筋が過緊張状態で固まってしまっているとその下を通過する神経や血管を圧迫することで循環が悪い状態となってしまいます。

循環の悪い状態が長く続いてしまいますと脳や耳、上肢などの器官に栄養ある血液を送り届けることができずに機能低下を起こしてしまうのです。

また、循環が悪くなることでブドウ糖が乳酸などの疲労物質や発痛物質に変化してしまい痛みやコリの原因にもなります。

 

頭痛×胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋の過緊張状態で起きる頭痛はこめかみなどの側頭部に締め付けられるような痛みが生じてしまうことが特徴です。一般に筋緊張性の頭痛と呼ばれますが、筋肉の緊張している部位によっても頭部の痛みが出る部分が変化してきます。

・筋緊張性頭痛の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

めまい・耳鳴り・耳塞感×胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋の過緊張状態は、耳への循環低下を起こしてしまうことで聴覚への影響や耳の内耳にある三半規管にも影響を与えてしまうためめまいや耳鳴りの原因にもなります。

めまいに対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
耳鳴りに対する鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

腕や手の痛み・痺れ×胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋の過緊張によって腕の方へと伸びる血管や神経が圧迫されてしまうことで痛みや痺れの原因となります。特にデスクワークでパソコン作業が主な人に多く発症する症状です。

 

 

うつ病・自律神経失調症×胸鎖乳突筋

うつ病や自律神経失調症など自律神経の乱れが原因で症状が現れやすい方は、胸鎖乳突筋の過緊張がほとんどの方に診られます。

胸鎖乳突筋の過緊張による脳への栄養供給の滞りが原因で精神症状が現れるとも考えられています。

単なる首コリや肩こりだと放置したままですとこれら心療内科系疾患にかかってしまう危険性があるため注意が必要なのです。

 

うつ病に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
自律神経失調症に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

胸鎖乳突筋が過緊張状態となる原因

 

うつむき姿勢

胸鎖乳突筋の過緊張状態の原因で一番多いのが長時間のうつむき姿勢(PC作業、スマートフォンの操作、家事など)です。

うつむき姿勢の状態は、重い頭部が前に傾きそれを支えるために頸部の筋肉には通常時の何倍もの負担となってしまいます。

姿勢を保持する姿勢筋は、その耐久性に優れた筋肉であるため少しの疲労では、感じにくくなっています。パソコン作業で頸肩がこってしまうということは、相当にその筋肉に負担がかかっている証拠です。

自律神経の乱れ

自律神経の乱れでも胸鎖乳突筋の過緊張状態が引き起こされます。主に交感神経の活動が活発になりすぎると胸鎖乳突筋が緊張しやすい状態となります。
交感神経とは活動的な神経で日中など仕事や勉強などしている時に主に働く神経で血管や筋肉などを緊張させて覚醒させる神経です。通常は夜なると活動を抑えて逆にリラックス神経である副交感神経の活動が活発となります。

しかし、夜遅くまで仕事やスマートフォン操作などをして交感神経の活動が活発のままですと自律神経が乱されやすいです。
夜になっても交感神経の活動が活発なので筋肉は休むことができずにコリや痛みの原因となってしまうのです。

 

喰いしばり

喰いしばりによる胸鎖乳突筋の緊張も多い原因です。意外と意識していなくても何か集中して作業している時に歯を食いしばっている方が多いです。
一度力強く食いしばってみると理解できるかと思いますが食いしばると頸の筋肉も引っ張られるように緊張していることがわかります。
喰いしばりの状態が長く続いてしまいますと胸鎖乳突筋のコリの原因となってしまうのです。

 

胸鎖乳突筋の鍼治療

 

胸鎖乳突筋の鍼治療では、鍼をピンポイントに痛みやコリの原因となっている部分にアプローチをすることが可能です。

また、刺した鍼に電気刺激を加えて強制的に筋肉に収縮・弛緩のポンプ運動を起こさせることで血液循環の改善をして疲労物質や発痛物質を流してあげることで痛みやコリを取り除きます。

胸鎖乳突筋への鍼治療

また、自律神経が乱れが胸鎖乳突筋のコリや痛みとなることもあるため全身的な調整鍼灸施術も行っていきます。

当院には自律神経測定器が常備されていますので自律神経の測定をしてその方に合わせたツボを用いたオーダーメイド鍼灸治療を行っております。

自律神経測定器

神経症(ノイローゼ)の鍼灸治療

月曜日, 5月 13th, 2019

神経症(ノイローゼ)の東洋医学

 

東洋医学ではもともと心(精神)と身体は別々ではなく互いに関係していると考えられてきました。中医学では古くから喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という七つの感情(七情)が体調に大きく影響すると考えられており、七情により五臓の機能が失調することや、気が虚する(不足する)、気の流れが滞ることより抑うつ、不安や無気力などの精神症状が現れると考えられています。

特に五臓の「肝」は感情をコントロールしているといわれておりストレスの影響を受けやすい臓器です。この肝の失調が起こる肝の持つ疏泄作用(気を全身に巡らす作用)が低下する事により気が上に上りやすく、憂鬱、イライラしやすい、不眠、背中の痛み、だるさ、足の冷え、のぼせなどが起こりやすくなります。肝の失調は他の臓腑へも影響し心・腎・脾などの機能も低下しやすくなります。

心血虚

動悸、息切れ、頻脈、不整脈、不安感、不眠症など

腎虚

マイナス思考、足腰のだるさ、手足の冷え、手足のほてり、忘れしやすい、集中力の低下、頻尿、めまい、耳鳴りなど

脾虚

疲れやすい、食欲がない、もたれやすい、気力の低下、下痢など

気虚

身体の重だるさ、気力の低下、食欲不振、動悸、めまい、日中の眠気、下痢や軟便、病気への抵抗力の低下など

気滞

怒りっぽい、イライラしやすい、憂鬱感、お腹や頭のつかえ感や膨満感、頭痛、耳鳴りなど

 

神経症(ノイローゼ)に対する当院での治療

当院では、まず自律神経測定器にて血管の状態と自律神経のバランスを測定した後、治療に移ります。神経症の方は自律神経のバランスに乱れがあることが多く、その乱れが精神や身体の症状として現れていると考えられるため自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

神経症(ノイローゼ)の自律神経調整鍼灸治療

また、東洋医学的観点から五臓六腑の肝、心、腎、脾を中心とした機能調整と気や血を補うツボを選穴していきます。

 

不安症(ノイローゼ)の鍼灸治療

 

神経症の方の多くは、刺激にも敏感である場合が多く、その方に合わせた鍼の深さや太さ、お灸の熱さ等を調整して細心の注意を払って施術しております。

 

 

神経症(ノイローゼ)とは

 

神経症とは強い不安などを原因とする不適応障害のことです。自分の住む社会にうまく適応できず、日常生活に制限が起こったり心身に様々な症状が現れます。以前はノイローゼと呼ばれていましたが、最近では不安障害とも呼ばれています。

神経症は心の病の中でも最も頻度の高いもので、人口の約10%を超えるともいわれており10代後半から40代までに発症するのが一般的です。

 

 

神経症の種類とその症状

 

神経症には様々な種類があります。その中でも代表的なものを挙げていきます。

 

・社会恐怖症(対人恐怖症、SAD)

人前で発言したり、字を書くときに手が震えるなど他人から注目され、批判されたり恥ずかしい思いをするのではないかというような恐れによってパニックを起こしてしまう状態です。社会恐怖はその症状から視線恐怖、表情恐怖、赤面恐怖など種々の状態により恐怖する内容が異なります。また、地震や雷、閉所、暗所、血液、蛇やクモなど特定の対象による恐怖もあります。

 

 

・パニック障害(不安発作、PD)

パニック発作の反復を特徴とし、「このまま死んでしまうのではないか」「気を失って倒れてしまうのではないか」など強い不安や恐怖と共に、動悸、胸痛、発汗、吐き気、めまい、呼吸困難など種々の自律神経症状が突然出現し、その状態が数分から数十分持続するものです。原因は未だはっきりとは解明されていませんが、心理的なものではなく脳機能の異常によるとされる説が有力です。過労や睡眠不足、風邪などの身体的な悪条件、日常生活上のストレスなども発症や発作のきっかけになるといわれています。
パニック障害の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・強迫性障害(OCD)

反復する強迫観念や強迫行為を主な症状とし、心に浮かぶ不快な考えやイメージで本人はそれが無意味であったり、過剰であるとわかっていてもそれを打ち消すことはできず、せきたてられるのが特徴です。強迫行為は、強迫観念に伴う不安を打ち消すため行う行動であり、例えば執拗な手洗いや入浴、鍵やガスの元栓を閉め忘れていないかなど何度もしつこく確認する、縁起等を何度も確認するなど、このような強迫症状が続いて日常生活、あるいは仕事不自由や支障をきたすような場合強迫性障害と診断されます。

 

 

・全般性不安障害

ある特定の状況の限定されない理由のない不安、心配が長期間続き、絶えず何か悪いことが起こるのではないか、失敗するのではないか、などという考えが浮かび常に緊張してリラックス出来ず、筋肉の緊張、頭痛、発汗、めまい、口の渇き、頭のふらつきなど多彩な身体症状を伴います。そのため慢性的に憂鬱になったり、億劫になったりすることがあります。
不安障害の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

・気分変調症(気分変調障害、抑うつ神経症、神経症性うつ病)

不安や恐怖など一般的な神経質症状とともに憂鬱な気分や心が晴れないなどの軽いうつ症状が続きます。社会や家庭への不適応感や罪責感、様々な刺激への過敏性、社会からの引きこもり、疲れやすさや活力の欠如などが特徴的です。うつ病との違いをうつの程度と持続期間に区分され、気分変調症の場合「二年以上に及ぶ慢性の軽うつ状態を示す」状態を呼びます。
うつ病の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

・解離性障害(転換性障害、ヒステリー)

心のまとまりや連続性に支障をきたす障害です。ある時の出来事がごっそりと抜けて思い出せなくなってしまう、予期せぬ場所へ記憶がないまま行ってしまうなどの症状がみられます。原因は様々で幼少期の外傷体験、衝撃的な出来事や事故、災害などの体験や目撃などの極度のストレスなどが引き金となって突発的に発症すると考えられています。

 

・心気症(ヒポコンドリー)

自分の健康状態や体の調子に異常にこだわり、重大な病気にかかっているのではないか、今後かかるのではないかなどと心配する病気です。医学的な検査や診察では明らかな器質的異常が無いのにも関わらず、過度な不安や恐怖にとらわれてしまいます。症状は様々で疲れやすさや睡眠障害などの全身症状、身体の痛みやしびれ、熱感、頭痛、めまい、動悸、呼吸困難、食欲不振、胃痛などが挙げられます。

 

・離人症性障害(離人症、現実感消失症候群)

自分が見たり感じたりする実感が薄れる障害です。具体的には見たり聞いたりしている周りの世界に対する生き生きとした実感が薄れ、自分自身に対して現実感が無くなり景色がベールを通して見えるような感じや、味やにおいが分からない、皮膚を触っても実感がないなどの症状が挙げられます。原因は未だはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要素に環境要因が加わって発症すると考えられています。

 

 

 

 

神経症(ノイローゼ)の原因

神経症の原因は災害や近親者の死去、病気などの急激な精神的衝撃、環境の変化、仕事の悩み、学校でのいじめ、受験など毎日の生活環境の中で取り除くことができないような慢性的なストレス、夫婦関係、家族関係がぎくしゃくしていることによる精神的葛藤、生まれ持った素因、幼少期まで遡る環境の中で徐々に形成された性格の偏りなど人によって様々です。

 

神経症になりやすいといわれている性格

・感受性が強い          ・自己中心的

・内向的、理知的、過敏症的な性格 ・潔癖症

・心配性             ・こだわりが強い

・完全主義            ・面倒見がいい

・自分に自信がない        ・執着性が強い

・引っ込み思案     

 

などが挙げられます。

 

神経症(ノイローゼ)の症状

神経症には不安感、イライラ、緊張感、恐怖感などの精神症状と、易疲労感、動悸、息苦しさ、不眠、めまい、頻尿、吐き気、食欲低下、頭痛などの身体症状があります。

神経症(ノイローゼ)にならないために

神経症(ノイローゼ)は、誰にでも患ってしまう疾患です。自分とは無関係と思っていても突然のアクシデントなど度重なるストレスの蓄積で精神症状は誰にでも出てしまう可能性があるのです。

自分の心身と対話をしてストレスの状態を把握していくことはとても重要です。

神経症(ノイローゼ)で悩まされている方の多くは、この自分の心身と向き合うことを忘れて自分のキャパをオーバーしてしまうほどに耐えてしまうことで発症します。

まず、ストレスを感じ取り時にはそのストレスから逃げてしまうことも重要です。仕事で多くのストレスを抱えているなら環境を変えたり、人間関係でストレスを抱えているのならその人から少し距離を取ってみるといった具合にです。どうしても変えられない場合は趣味や運動習慣などを取り組んだりして生活にオンとオフのメリハリを付けましょう。

その他、しっかりと時間を取った休息や睡眠時間栄養バランスのとれた食生活も不安症(ノイローゼ)にならないためにやはり重要となります。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

扁桃炎の鍼灸治療

日曜日, 5月 12th, 2019

扁桃炎に対する当院の鍼灸治療

当院の扁桃炎に対する治療の目的は、第一に咽頭周辺解熱の特効経穴に鍼やお灸をすることで抗炎症作用を促します。

扁桃炎の鍼灸治療

症状の強い場合は刺した鍼に微電流を流すことにより鎮痛作用を促したり、少し強めのお灸で抗炎症作用を促します角膜の炎症をおさえる作用を促します。
また扁桃炎は五臓六腑の「」と「大腸」に深く関係しているので肺に関する経穴を用いて肺の機能を正常に戻るように促します。風熱の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。それらのツボは背中に多くあるためうつ伏せとなっていただき、背部の治療も行っていきます。

 

扁桃炎の鍼治療

 

東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。扁桃炎は、免疫機能の低下が原因の一つと考えられているので、全身の調整治療を行い自律神経のバランスを整えることで、免疫力を高めます。

当院では、施術前に自律神経測定器で今現在の体の状態を診極めてから施術致します。そうすることでより高い治療効果が期待できます。
当院の扁桃炎に対する施術目的は、まず炎症や痛みを抑え、慢性化することを防ぐことです。また、西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも症状が軽くなり、慢性化しない機会を提供することです。

患者さんの仕事の質の向上や生活の質を高められるように治療はもちろんのこと生活上のアドバイスなども積極的に行っていきます。

 

 

扁桃炎の東洋医学的考え

 

扁桃炎は、東洋医学で主に五臓六腑の『』が障害された疾患と考えられています。

 

肺の機能として東洋医学では・・・
「気を主る」
呼吸によって外界の清気を吸入し、体内の濁気を排出して、気の交換をします。
また体内の気の生成に関与しています。

 

「宣散・粛降を主り、水道を通調する」
気と津液の両面に関与する機能であり、気と津液を全身の隅々まで行き渡らせて機能を発現させます。末梢の体液バランス・肺呼吸と皮膚呼吸の調節などに関与しています。

 

「皮毛を主り、鼻に開きょうする」
汗孔の開閉・汗の分泌・立毛筋の調節などを行っています。さらに病邪が侵入するのを防止して、もし侵入された場合抵抗し排除する重要な役割があります。

 

 

風熱犯肺・熱邪犯肺
上記のような肺の機能が熱邪(細菌やウィルス)の侵入により障害されて、機能が低下して扁桃炎が起こると考えられます。

 

 

肺と大腸は表裏関係
肺と大腸は、表裏関係にあり肺が侵されると、大腸にも影響受けやすくなり、腹痛や下痢・便秘なども引き起こしやすくなります。

 

扁桃炎の鍼灸治療症例

 

風邪が流行する時期となると扁桃腺が腫れて扁桃炎と診断されていました。ノドの違和感や微熱・軽度な頭痛などの症状が出ていました。

通常は抗生物質などを服用すると1週間以内に体調は回復していましたが、今回の扁桃炎は長く続いて体はそこまでつらくはないが長引く微熱と倦怠感・ノドの違和感を緩和したくてご来院されました。
病院で処方されたお薬を服用していますが、改善されていません。

 

 

経過

日々のストレスで免疫機能が低下してしまって扁桃炎となってしまっている可能性もありますので、初診時に自律神経測定器で自律神経を測定していきましてそれに見合った施術法や施術ツボを選別して施術を行っていきます。

1か月ほど週に1~2回ほどのペースで通院していただいておりました。

鍼灸を受けた後の期間では免疫力が向上したのか風邪や扁桃炎などの症状が出ることが少なくなったとのことです。

現在は症状も落ち着いておりますので、施術間隔も長くしていき、自律神経の状態や体のメンテナンスもかねて鍼灸治療を受けられております。

 

扁桃炎とは

扁桃炎とは、風邪や疲労などによって体の抵抗力が弱まった時に口腔内に潜んでいた常在菌(レンサ球菌・ぶどう球菌・肺炎球菌など)が口蓋扁桃を足場に増殖して炎症を引き起こす疾患です。

扁桃はアーモンドという意味で形がアーモンドに似ていることが由来です。扁桃は体内に侵入する微生物を最初に防御する免疫機能の役割を担っているといわれています。
特にあまり体の免疫機能が未発達の幼少期は、扁桃に免疫機能の大きな役割を担っているいますが、大人になってからその機能不明で扁桃を摘出しても免疫機能に弊害が起きることも少ないことから大した役割を担っていないとも考えられています。

症状としまして、悪寒を伴う発熱咽頭の激しい痛み倦怠感頭痛関節痛などがあります。また耳下腺や顎下腺などのリンパ節が腫れることもあり、痛みが側頭部や耳に広がることもあります。

扁桃炎は急性と慢性の疾患があります。

 

・急性扁桃炎
急激に悪寒を伴う高熱で発症し、激しい咽頭痛も起きます。急性扁桃炎は、炎症が周囲に波及して扁桃周囲炎となる場合もあります。
急性扁桃炎が治りかけたところで治療を怠り、悪化していく場合が多いようです。

 

・慢性扁桃炎
年に何回も扁桃炎が起きる場合を慢性扁桃炎といいます。扁桃のくぼみに細菌が蓄積されていき、風邪や過労、ストレスが誘因となってしばしば炎症を引き起こします。菌が常在されているためそれが原因で、関節リウマチや内臓の疾患に繋がることもあります。慢性扁桃炎は主に慢性単純扁桃炎・習慣性扁桃炎・扁桃病巣感染症の3つに分類されます。
慢性単純性扁桃炎は主に大人が発症するもので、能登の痛みや乾燥感、ノドの違和感を感じます。習慣性扁桃炎は子供に発症して高熱が出る急性扁桃炎を何回か繰り返します。扁桃病巣感染症は、扁桃部分の痛みは軽いものではありますが、リウマチや腎炎など関節や内臓にまでに炎症が広がることがあります。

 

頭痛 扁桃炎

 

 

 

扁桃炎の原因

扁桃炎は、常在菌(レンサ球菌・ぶどう球菌・肺炎球菌など)インフルエンザウィルスなどが原因となります。それらが、風邪や過労、過度なストレスなどにより体の免疫力が低下した時に増殖して炎症を起こします。
また子供の場合は扁桃で免疫機能の大きな役割を担っている部分が多く、扁桃炎に侵されると習慣化してしまう場合も多いです。

 

 

日常生活での注意点

扁桃炎は、免疫機能の低下や日常生活での不摂生が原因で起こる疾患なので、日々の生活を見直す必要があります。また一度扁桃炎にかかってしまうと慢性化しやすく、普段から予防することがとても重要です。
扁桃炎を予防する、慢性化することを防ぐためには、体の免疫力を高める・過労やストレスを避ける・喉を乾燥させないなどがあります。扁桃腺は、細菌やウィルスが体内へ侵入してきた時に最初に防いでくれる体の免疫にとってとても重要な器官です。ノドの乾燥は、菌を増殖させる危険性があるので、うがいやマスクでノドの乾燥を防いで菌を増殖させないことがポイントです。体の免疫力を高めるためには日々の食事に気を付けることや睡眠をしっかりと取ることです。また、過労やストレスは体の抵抗力や免疫力を低下させる危険性があります。扁桃炎になるということは体が弱っている証拠なのです。

 

・手洗い、うがいを欠かさない
・十分な睡眠をとる
・食事を三食きっちりと摂り、ビタミンCを多く摂る
・はちみつは殺菌力がある
・週に3~4日の運動習慣
・たばこを吸わない
・暴飲暴食をしない
・仕事や家庭でのストレスを溜め込まない

 

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