鍼灸治療について

 

 

当院には鍼灸治療を受けるのが初めてという方が多くご来院されます。多くの方は、鍼灸に興味を持ってはいたが、本当の所効果はあるのか・痛みがあるのかなどの疑問を持って今まで鍼灸治療を受けたことがなかったという方がほとんどです。

そこで、鍼はどういう効果があるの?鍼とお灸は効果が違うの?鍼灸はどこの伝統医療なの?細さはどれくらいなの?と色々な質問をされます。

 

その度にまだまだ鍼灸治療は世間によく認知されていないのだなと感じます。

今回は、鍼灸の伝統・歴史や効果などをご紹介したいと思います。

 

 

鍼灸の歴史

鍼灸の発症は中国だと言われています。それが、6世紀ごろに朝鮮半島から日本に伝えれて現在に至っています。

中国で今から2千年以上も前から鍼灸医学が発祥していたことが分かっており、鍼の発症は、膿んでいた部分に偶然にヘイバラという植物のとげが刺さって膿が治り、楽になったためそれから植物のとげや木・石を細くしたもの、魚の骨などを利用して故意に身体を傷つけて病気を治すという発症が生まれたようです。

はり

お灸の場合は、人類が火を扱えるようになると発達し始めた医学だと言われています。初めは、石を火に熱して冷まして適温となったところで背部などに乗せて病気を治したところから始まったようです。

灸

鍼灸の発祥は、2千年以上も前の話なので諸説いろいろありますが、まだまだ現代の医療が発達していない時代に何かしら工夫して病気を治そう・体を元気にしようとして生まれた医学なのです。

中国前漢代には今でも鍼灸治療や漢方処方のバイブルと言われる『黄帝内径』が編集されました。これが、日本にも伝えられて日本の鍼灸治療の基盤となっているのです。この『黄帝内径』には、『未病』という言葉が出てきます。一度は『未病治』という言葉を聞いたことがあるかと思います。『未病治』とは、病気は体内にあるのにまだ体表に出ている状態ではなく、それを放置しておくと必ず体表に出てきて病気となってしまうのでまだ体表に出てきていない時点で治すという考えです。これは、鍼灸治療ひいては東洋医学でもとても重要な考えとなっています。

 

日本では6世紀ごろに鍼灸の知識が伝えられたと考えられており、日本最古の医学書と言われる『医心法』は鍼博士であった丹波康頼によって中国の医学書をもとに編集されています。平安時代まではお灸治療が盛んに行なわれていたと伝えられており、戦国時代の武将たちはお灸をすえて戦に向かったと言われています。

お灸治療

また、室町時代や江戸時代となると鍼治療が盛んに行なわれるようになりました。元禄期には、盲人の鍼灸師である杉山和一が鍼を管に挿入した状態で刺入する管鍼法という現代でも日本の鍼灸治療で一般的に用いられる手法を確立させました。

ちなみに中国では、この管鍼法は一般的に行われていません。鍼を直接もって身体に刺す方法が主流です。管鍼法は、鍼に直接触れることがないため衛生的でなおかつ素早く刺入することが可能なため痛みを最小限に抑えて皮膚に刺入することができるのです。これは、日本人特有のきめ細かい性格が生み出した方法・技術と言えます。

鍼治療

 

鍼灸治療の危機

日本の鍼灸の歴史をみると鍼灸治療の存続の危機に直面したことがわかります。

それは、明治以降の西洋医学が発達してきた時期と戦争が終わりGHQが入ってきた時期です。

明治時代となると西洋医学が日本にも広く知れ渡り、日本の伝統医学は非正統医学として認識されるようになってしまったのです。鍼灸の営業資格こそ残りましたが、それは視覚障碍者に限られたのです。鍼灸治療は、視覚障碍者の職業自立に役立つという考えとなりました。

 

また戦争が終わり、GHQは鍼灸治療を科学的根拠に欠ける医学として鍼灸治療を禁止しようとしましたが、存続運動などで何とかこの危機を脱しました。

 

 

中国での鍼麻酔で世界的認知

1971年にアメリカのニクソン大統領が中国に訪問した時に鍼麻酔技術が世界的に報道されて鍼灸治療が世界的にも認知されるようになりました。その後、1979年にはWHOが鍼灸治療の適応疾患を発表、1997年にはアメリカの国立衛生研究所が一部の病態・疾患について鍼灸治療の効果を認める声明文を発表して国際的にも鍼灸治療は認められるようになってきたのです。

鍼灸治療は、日本や中国ばかりではなく、アメリカやヨーロッパでも盛んに行なわれているようです。私が北京中医学大学に留学していたころも多くのアメリカやヨーロッパの留学生が一緒に鍼灸の勉強をしていました。

鍼通電治療による鍼麻酔

 

鍼灸の効果

鍼灸の効果は、まだまだ科学的にわかっていない部分も多いです。科学的根拠を示して世間的にもっと認められる医学となるのはこれから鍼灸の課題でもあります。

ただ、これまでも医学的に鍼灸治療は効果があるかという研究は行われており、多くのことがわかってきました。また、鍼治療をするとこういうことが身体で起こっているだろうと仮定されて様々な研究が今も行われています。

鍼治療で最も考えられる作用として、筋への刺入で筋の緊張を緩和することです。筋緊張が緩和されると、血液循環はよくなりコリや痛みの解消につながると考えられています。また、筋への断続的な刺激(低周波鍼通電療法)で痛みを感じる閾値を上げさせることで痛みを感じにくくさせる作用も知られています。

低周波鍼通電治療

自律神経にも影響を与えると考えられています。施術法にもよりますが主に副交感神経機能を主体的に高めて自然治癒力を高めます。また、交感神経機能を抑えて自律神経の調整効果もあります。

お灸は温熱効果による筋緊張の改善・血流改善、やけどしたと体が勘違いを起こして組織損傷による生体防御反応が起きて修復しようと白血球などの修復する細胞が集まってくるなどが挙げられます。修復細胞が集まることでお灸刺激をした周りの組織も修復してくれたり、消炎作用を促すのです。
お灸の効果について詳しくはこちら


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 12:04 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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